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第33巻(申の巻)
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第35巻(戌の巻)
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第66巻(巳の巻)
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第71巻(戌の巻)
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第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
01 笑の恵
〔1170〕
02 月の影
〔1171〕
03 守衛の囁
〔1172〕
04 滝の下
〔1173〕
05 不眠症
〔1174〕
06 山下り
〔1175〕
07 山口の森
〔1176〕
第2篇 月明清楓
08 光と熱
〔1177〕
09 怪光
〔1178〕
10 奇遇
〔1179〕
11 腰ぬけ
〔1180〕
12 大歓喜
〔1181〕
13 山口の別
〔1182〕
14 思ひ出の歌
〔1183〕
第3篇 珍聞万怪
15 変化
〔1184〕
16 怯風
〔1185〕
17 罵狸鬼
〔1186〕
18 一本橋
〔1187〕
19 婆口露
〔1188〕
20 脱線歌
〔1189〕
21 小北山
〔1190〕
余白歌
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第一章
笑
(
わらひ
)
の
恵
(
めぐみ
)
〔一一七〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第1篇 神示の合離
よみ(新仮名遣い):
しんじのごうり
章:
第1章 笑の恵
よみ(新仮名遣い):
わらいのめぐみ
通し章番号:
1170
口述日:
1922(大正11)年12月07日(旧10月19日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
祠の森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
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:
主な登場人物
[?]
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-14 18:19:13
OBC :
rm4401
愛善世界社版:
7頁
八幡書店版:
第8輯 141頁
修補版:
校定版:
7頁
普及版:
3頁
初版:
ページ備考:
001
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
大宇宙
(
だいうちう
)
002
善
(
ぜん
)
と
真
(
しん
)
との
光明
(
くわうみやう
)
に
003
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
へる
五六七
(
みろく
)
神
(
しん
)
004
御稜威
(
みいづ
)
は
宇内
(
うだい
)
に
輝
(
かがや
)
きて
005
御霊
(
みたま
)
のふゆの
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
漏
(
も
)
る
006
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
月影
(
つきかげ
)
に
007
面
(
おも
)
を
照
(
て
)
らして
治国別
(
はるくにわけ
)
の
008
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
一行
(
いつかう
)
が
009
冬
(
ふゆ
)
の
御空
(
みそら
)
も
晴公
(
はるこう
)
や
010
五三公
(
いそこう
)
万公
(
まんこう
)
純公
(
すみこう
)
の
011
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
伴
(
とも
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
012
バラモン
教
(
けう
)
の
兵士
(
つはもの
)
が
013
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
り
行
(
ゆ
)
きし
其
(
その
)
跡
(
あと
)
の
014
乱離
(
らんり
)
骨灰
(
こつばひ
)
微塵
(
みぢん
)
となりて
015
退却
(
たいきやく
)
したる
惨状
(
さんじやう
)
を
016
思
(
おも
)
ひ
出
(
いだ
)
して
物語
(
ものがた
)
る
017
時
(
とき
)
しもあれや
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
018
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
や
道公
(
みちこう
)
の
019
休
(
やす
)
らふ
祠
(
ほこら
)
の
近辺
(
きんぺん
)
に
020
ひそかに
聞
(
きこ
)
ゆる
女子
(
をみなご
)
の
021
囁
(
ささや
)
く
声
(
こゑ
)
に
耳
(
みみ
)
すませ
022
ハテ
訝
(
いぶ
)
かしと
聞
(
き
)
きゐたる
023
無心
(
むしん
)
の
月
(
つき
)
は
皎々
(
かうかう
)
と
024
治国別
(
はるくにわけ
)
が
頭上
(
づじやう
)
をば
025
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
透
(
とう
)
して
照
(
て
)
らしゐる
026
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
凩
(
こがらし
)
に
027
木々
(
きぎ
)
の
枯葉
(
かれは
)
はバラバラと
028
霰
(
あられ
)
の
如
(
ごと
)
く
落
(
お
)
ち
来
(
きた
)
り
029
俄
(
にはか
)
に
女
(
をんな
)
の
囁
(
ささや
)
きも
030
吹来
(
ふきく
)
る
風
(
かぜ
)
に
遮
(
さへぎ
)
られ
031
千切
(
ちぎ
)
れ
千切
(
ちぎ
)
れに
聞
(
きこ
)
えつつ
032
遂
(
つひ
)
には
夢
(
ゆめ
)
のあとの
如
(
ごと
)
033
ピタリとやみて
凩
(
こがらし
)
の
034
梢
(
こずゑ
)
を
渡
(
わた
)
る
音
(
おと
)
のみぞ
035
あたり
響
(
ひび
)
かせ
聞
(
きこ
)
えける。
036
万公
『
先生
(
せんせい
)
、
037
万公
(
まんこう
)
にはシカとは
分
(
わか
)
りませぬが、
038
此
(
この
)
山中
(
さんちゆう
)
に
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えるぢやありませぬか。
039
どうも
声
(
こゑ
)
の
出所
(
でどころ
)
は
祠
(
ほこら
)
の
近辺
(
きんぺん
)
の
様
(
やう
)
ですが、
040
又
(
また
)
道公
(
みちこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
041
気楽
(
きらく
)
さうにあンな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
042
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
に
狂言
(
きやうげん
)
でもして、
043
お
慰
(
なぐさ
)
みに
供
(
きよう
)
してるのぢやありますまいかな』
044
治国別
『イヤイヤ
決
(
けつ
)
してさうではあるまい。
045
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
に
遮
(
さへぎ
)
られてシカとは
聞
(
きこ
)
えないが、
046
どうやら
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
らしい。
047
何程
(
なにほど
)
巧妙
(
かうめう
)
に
声色
(
こわいろ
)
を
使
(
つか
)
つてもヤツパリ
贋物
(
にせもの
)
は
贋者
(
にせもの
)
だ。
048
どつかに
違
(
ちが
)
つた
所
(
ところ
)
があるよ。
049
今
(
いま
)
の
声
(
こゑ
)
には
何
(
なん
)
とはなしに、
050
驚
(
おどろ
)
きと
喜
(
よろこ
)
びと
悲
(
かな
)
しみとが
交
(
まじ
)
つてゐる
様
(
やう
)
だ。
051
ヒヨツとしたら、
052
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
示
(
しめ
)
しに
依
(
よ
)
つて、
053
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
の
病気
(
びやうき
)
見舞
(
みまひ
)
にお
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばしたのではあるまいかと
思
(
おも
)
はれるのだ』
054
万公
『
如何
(
いか
)
にも、
055
さう
承
(
うけたま
)
はればさうかも
知
(
し
)
れませぬ。
056
それならこンな
所
(
ところ
)
に
安閑
(
あんかん
)
としては
居
(
を
)
れますまい。
057
サア
先生
(
せんせい
)
、
058
万公
(
まんこう
)
と
御
(
ご
)
一緒
(
いつしよ
)
に
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
に
参
(
まゐ
)
りませう』
059
治国別
『
慌
(
あわて
)
て
行
(
ゆ
)
くには
及
(
およ
)
ばぬ、
060
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
の
方
(
はう
)
から
御用
(
ごよう
)
が
済
(
す
)
みたら、
061
道公
(
みちこう
)
さまがついてゐるのだから、
062
何
(
なん
)
とか
知
(
し
)
らして
下
(
くだ
)
さるだらう。
063
それ
迄
(
まで
)
はどういふ
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
があるかも
知
(
し
)
れないから
控
(
ひか
)
へて
居
(
を
)
つたがよからう。
064
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
には
有難
(
ありがた
)
迷惑
(
めいわく
)
といふ
事
(
こと
)
があるからなア』
065
万公
『
成程
(
なるほど
)
流石
(
さすが
)
は
先生
(
せんせい
)
だ。
066
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
迄
(
まで
)
好
(
よ
)
うお
気
(
き
)
の
付
(
つ
)
いた
事
(
こと
)
。
067
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
も
感心
(
かんしん
)
を
致
(
いた
)
しました。
068
折角
(
せつかく
)
可愛
(
かあい
)
い
奥
(
おく
)
さまと
御
(
ご
)
対面
(
たいめん
)
を
遊
(
あそ
)
ばして
厶
(
ござ
)
る
所
(
ところ
)
へ
無粋
(
ぶすゐ
)
な
男
(
をとこ
)
が
飛出
(
とびだ
)
しては、
069
殺風景
(
さつぷうけい
)
ですからなア。
070
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
も
万公
(
まんこう
)
(
満腔
(
まんこう
)
)の
同情
(
どうじやう
)
をよせて、
071
暫
(
しばら
)
く
控
(
ひか
)
へる
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう』
072
治国別
『ウン、
073
それがよかろう。
074
ここらで
一眠
(
ひとねむ
)
りしたら
何
(
ど
)
うだ。
075
いい
加減
(
かげん
)
に
休
(
やす
)
ンでくれぬと、
076
安眠
(
あんみん
)
妨害
(
ばうがい
)
になつて
困
(
こま
)
るからなア』
077
万公
『ヘー……』
078
晴公
(
はるこう
)
はそばから、
079
晴公
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
080
雀
(
すずめ
)
の
親方
(
おやかた
)
ですから
仕方
(
しかた
)
がありませぬ
哩
(
わい
)
。
081
昼
(
ひる
)
の
内
(
うち
)
はチユン チユン チヤアチヤア
囀
(
さへづ
)
つて
居
(
を
)
つても、
082
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れるが
最後
(
さいご
)
、
083
チユンともシユツともいはぬのが
雀
(
すずめ
)
の
性来
(
しやうらい
)
だが、
084
此奴
(
こいつ
)
ア
時知
(
ときし
)
らずだから、
085
何時迄
(
いつまで
)
も
囀
(
さへづ
)
るので、
086
吾々
(
われわれ
)
も
大
(
おほい
)
に
迷惑
(
めいわく
)
だ』
087
万公
『オイ
晴公
(
はるこう
)
さま、
088
俺
(
おれ
)
が
雀
(
すずめ
)
ならお
前
(
まへ
)
は
燕
(
つばめ
)
だよ。
089
まだも
違
(
ちが
)
うたら
轡虫
(
くつわむし
)
だ。
090
ガチヤ ガチヤ ガチヤと
声
(
こゑ
)
計
(
ばか
)
りか、
091
動静
(
どうせい
)
までが
騒
(
さわ
)
がしい
落着
(
おちつ
)
かぬ
男
(
をとこ
)
ぢやないか。
092
まるで
秋
(
あき
)
の
田
(
た
)
の
鳴子
(
なるこ
)
のやうな
代物
(
しろもの
)
だワイ』
093
晴公
『ヘン
晴
(
はる
)
さまはヤツパリ
春
(
はる
)
だ。
094
秋
(
あき
)
の
田
(
た
)
の
鳴子
(
なるこ
)
とは、
095
併
(
しか
)
しよい
仇名
(
あだな
)
をつけてくれたものだ。
096
しかし
鳴子
(
なるこ
)
は
雀
(
すずめ
)
を
追払
(
おつぱら
)
ふものだからなア、
097
アツハヽヽヽ』
098
治国別
『
両人
(
りやうにん
)
よい
加減
(
かげん
)
に
寝
(
ね
)
たらどうだネ、
099
治国別
(
はるくにわけ
)
も
困
(
こま
)
るぢやないか』
100
万公
『コレ
御覧
(
ごらん
)
なさいませ。
101
どの
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
にも
露
(
つゆ
)
が
溜
(
たま
)
り、
102
月
(
つき
)
が
宿
(
やど
)
つてピカピカと
光
(
ひか
)
り、
103
まるで
瑠璃光
(
るりくわう
)
の
中
(
なか
)
に
包
(
つつ
)
まれてるやうぢやありませぬか。
104
目
(
め
)
の
奴
(
やつ
)
、
105
眠
(
ねむ
)
ることを
忘
(
わす
)
れて、
106
瑠璃光
(
るりくわう
)
の
光
(
ひかり
)
に
憧
(
あこ
)
がれ、
107
仲々
(
なかなか
)
休戦
(
きうせん
)
の
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
きませぬワ。
108
モウ
暫
(
しばら
)
く
万公
(
まんこう
)
を
大目
(
おほめ
)
に
見
(
み
)
て
下
(
くだ
)
さいませ』
109
治国別
『ウン、
110
成
(
な
)
るべく
静
(
しづ
)
かに
頼
(
たの
)
むよ』
111
五三公
『
先生
(
せんせい
)
、
112
モウぼつぼつおりても
良
(
い
)
いぢやありませぬか。
113
玉国別
(
たまくにわけ
)
さまも
目
(
め
)
が
悪
(
わる
)
いなり、
114
道公
(
みちこう
)
一人
(
ひとり
)
で、
115
奥
(
おく
)
さまにやつて
来
(
こ
)
られ、
116
いろいろの
愁嘆場
(
しうたんば
)
を
聞
(
き
)
かされて
困
(
こま
)
つてゐるかも
知
(
し
)
れませぬよ。
117
これから
五三公
(
いそこう
)
は
純公
(
すみこう
)
と
二人
(
ふたり
)
で、
118
様子
(
やうす
)
を
見
(
み
)
て
来
(
き
)
ませうか』
119
治国別
『どンな
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
があるか
知
(
し
)
れないから、
120
行
(
ゆ
)
くのなら
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせて、
121
ソツと
往
(
い
)
つたが
良
(
い
)
い。
122
雀
(
すずめ
)
も
鳴子
(
なるこ
)
もこちらに
預
(
あづ
)
けておいてなア、
123
アハヽヽヽ』
124
五三公
『ナル
程
(
ほど
)
、
125
逃
(
に
)
げる
小雀
(
こすずめ
)
、
126
なるこ
とならば
一足
(
ひとあし
)
なりと
先
(
さき
)
へ
雀
(
すずめ
)
と
参
(
まゐ
)
りませう。
127
なア
純
(
すみ
)
さま、
128
お
前
(
まへ
)
も
俺
(
おれ
)
に
従
(
つ
)
いて
前
(
まへ
)
へ
前
(
まへ
)
へと
進
(
すす
)
み
公
(
こう
)
さまだ。
129
顔
(
かほ
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
黒
(
くろ
)
いからなア』
130
治国別
『アハヽヽヽ
鳴子
(
なるこ
)
と
雀
(
すずめ
)
の
二代目
(
にだいめ
)
が
出来
(
でき
)
よつた。
131
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
何一
(
なにひと
)
つ
亡
(
ほろ
)
びてなくなるものは
無
(
な
)
いと
見
(
み
)
える。
132
此方
(
こちら
)
が
沈黙
(
ちんもく
)
すれば
又
(
また
)
彼方
(
あちら
)
で
騒
(
さわ
)
ぎ
出
(
だ
)
す、
133
一方
(
いつぱう
)
を
押
(
おさ
)
へれば
一方
(
いつぱう
)
が
膨
(
ふく
)
れる、
134
到底
(
たうてい
)
惟神
(
かむながら
)
に
任
(
まか
)
すより
仕方
(
しかた
)
がないワイ』
135
と
一人
(
ひとり
)
呟
(
つぶや
)
いてゐる。
136
万公
(
まんこう
)
、
137
晴公
(
はるこう
)
は
息
(
いき
)
を
潜
(
ひそ
)
め、
138
俄
(
にはか
)
に
眠
(
ねむり
)
につかむと、
139
自
(
みづか
)
ら
寝息
(
ねいき
)
を
製造
(
せいざう
)
して
夢中
(
むちう
)
の
国
(
くに
)
へ
高飛
(
たかとび
)
せむと
努
(
つと
)
めてゐる。
140
風
(
かぜ
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
鎮静
(
ちんせい
)
し、
141
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
の
人声
(
ひとごゑ
)
は
明瞭
(
めいれう
)
に
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たりぬ。
142
五三公
(
いそこう
)
、
143
純公
(
すみこう
)
の
二人
(
ふたり
)
は
差
(
さ
)
し
足
(
あし
)
抜
(
ぬ
)
き
足
(
あし
)
泥棒
(
どろばう
)
が
暗夜
(
やみよ
)
に
人
(
ひと
)
の
家
(
うち
)
を
覗
(
のぞ
)
くやうな
按配
(
あんばい
)
式
(
しき
)
で、
144
漸
(
やうや
)
く
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
に
近付
(
ちかづ
)
き
見
(
み
)
れば
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
妻
(
つま
)
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
及
(
および
)
今子姫
(
いまこひめ
)
の
姿
(
すがた
)
が
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
にボンヤリと
浮
(
う
)
いたる
如
(
ごと
)
くに
見
(
み
)
えければ、
145
五三公
(
いそこう
)
は
小声
(
こごゑ
)
で、
146
五三公
『オイ
純公
(
すみこう
)
さまよ、
147
この
五三公
(
いそこう
)
の
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
りヤーツパリだ。
148
ヤツパリはヤツパリだなア、
149
エヽー。
150
結構
(
けつこう
)
なものだらう。
151
親切
(
しんせつ
)
なものだらう。
152
有難
(
ありがた
)
いぢやないか。
153
羨
(
うらや
)
ましいぢやないか。
154
本当
(
ほんたう
)
に
妬
(
や
)
けて
来
(
く
)
るぢやないか。
155
エヽ
怪体
(
けたい
)
の
悪
(
わる
)
い、
156
しまひにやムカムカしてくるわ。
157
なア
純
(
すみ
)
さま、
158
コリヤ
此
(
この
)
儘
(
まま
)
でスミ
公
(
こう
)
といふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
くまいネー』
159
純公
『やかましう
言
(
い
)
ふない。
160
聞
(
きこ
)
えたら
何
(
ど
)
うする。
161
純公
(
すみこう
)
さまの
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
だ。
162
怪体
(
けたい
)
が
悪
(
わる
)
いなぞと
余
(
あま
)
り
軽蔑
(
けいべつ
)
してくれない。
163
嬉
(
うれ
)
しいわい。
164
なつかしい、
165
有難
(
ありがた
)
い、
166
辱
(
かたじけ
)
ない、
167
勿体
(
もつたい
)
ないわ』
168
五三公
『それにしても、
169
道公
(
みちこう
)
の
奴
(
やつ
)
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かぬぢやないか。
170
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
さまの
仲
(
なか
)
でまるで
検視
(
けんし
)
の
役人
(
やくにん
)
のやうな
面
(
つら
)
をしよつて
出
(
で
)
しやばつてゐよる。
171
彼奴
(
あいつ
)
ア、
172
チとおとして
来
(
き
)
よつたのだな。
173
俺
(
おれ
)
の
先生
(
せんせい
)
を
見
(
み
)
よ、
174
随分
(
ずゐぶん
)
粋
(
すゐ
)
が
利
(
き
)
くぢやないか。
175
キツと
玉国別
(
たまくにわけ
)
さまも
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
さまも、
176
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
では……あゝ
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
か……
女房
(
にようばう
)
であつたか、
177
ようマア
親切
(
しんせつ
)
に
来
(
き
)
てくれた、
178
会
(
あ
)
ひたかつた
会
(
あ
)
ひたかつたと、
179
互
(
たがひ
)
に
抱
(
だき
)
つきしがみつき
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
にくれ
玉
(
たま
)
ふべき
所
(
ところ
)
だのに、
180
夫婦
(
ふうふ
)
の
恋仲
(
こひなか
)
を
隔
(
へだ
)
てて
通
(
とほ
)
さぬ
道公
(
みちこう
)
の
馬鹿者
(
ばかもの
)
、
181
チツと
気
(
き
)
を
利
(
き
)
かしても
よかりさうなものだがなア
』
182
と
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
高声
(
たかごゑ
)
が
勃発
(
ぼつぱつ
)
した。
183
さうすると
純公
(
すみこう
)
は
最早
(
もはや
)
ヤケクソになり
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
184
純公
『
道公
(
みちこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
185
道
(
みち
)
を
知
(
し
)
らぬも
程
(
ほど
)
があるワイ。
186
夫婦
(
ふうふ
)
の
道
(
みち
)
は
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
だがなア。
187
どの
道
(
みち
)
困
(
こま
)
つた
代物
(
しろもの
)
だよ。
188
アハヽヽヽ』
189
と
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
つて、
190
ヤケ
糞
(
くそ
)
になつて
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
す。
191
道公
(
みちこう
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
192
慌
(
あわて
)
て
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
へ
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
り、
193
道公
『コリヤ
純公
(
すみこう
)
、
194
馬鹿
(
ばか
)
にするなイ。
195
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
で、
196
奥様
(
おくさま
)
が
慰問
(
ゐもん
)
しにお
出
(
い
)
でになつたのだ。
197
それが
何
(
なに
)
が
可笑
(
をか
)
しいか。
198
先生
(
せんせい
)
に
対
(
たい
)
して
失礼
(
しつれい
)
ぢやないか。
199
サアこれから
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
の
罪
(
つみ
)
をお
詫
(
わび
)
するのだぞ。
200
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬにも
程
(
ほど
)
があるぢやないか』
201
純公
『ヘン、
202
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬのはお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だよ。
203
なぜお
前
(
まへ
)
は
今子姫
(
いまこひめ
)
さまと
一緒
(
いつしよ
)
に
治国別
(
はるくにわけ
)
さまのお
側
(
そば
)
へ
行
(
ゆ
)
かぬのだ。
204
折角
(
せつかく
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
遊
(
あそ
)
ばして
厶
(
ござ
)
るのに、
205
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だい。
206
そんな
事
(
こと
)
で
弟子
(
でし
)
が
勤
(
つと
)
まるか。
207
なア
五三公
(
いそこう
)
、
208
さうぢやないか』
209
五三公
『ウン、
210
お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふのも
尤
(
もつと
)
もだ。
211
道公
(
みちこう
)
さまの
云
(
い
)
ふのも
道理
(
だうり
)
だ。
212
モウ
斯
(
か
)
うなつちや
仕方
(
しかた
)
がない。
213
こンな
枝葉
(
しえう
)
問題
(
もんだい
)
を
捉
(
とら
)
へて
舌戦
(
ぜつせん
)
をやつてゐる
場合
(
ばあひ
)
ぢやないぞ。
214
早
(
はや
)
く
先生
(
せんせい
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げねばなるまい』
215
と
五三公
(
いそこう
)
は
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
216
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
面前
(
めんぜん
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
む。
217
純公
(
すみこう
)
は
両手
(
りやうて
)
をついて、
218
純公
『
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
219
私
(
わたし
)
は
純公
(
すみこう
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
220
お
目
(
め
)
はどうで
厶
(
ござ
)
いますか。
221
ヤア
奥様
(
おくさま
)
、
222
ようマア
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
来
(
き
)
て
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さいました。
223
私
(
わたし
)
の
女房
(
にようばう
)
が
来
(
き
)
てくれたやうに
嬉
(
うれ
)
しう
厶
(
ござ
)
います』
224
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
は
顔
(
かほ
)
を
掩
(
おほ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
225
五十子姫
『ホヽヽお
前
(
まへ
)
は
純
(
すみ
)
さま、
226
此
(
この
)
度
(
たび
)
の
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
遭難
(
さうなん
)
で、
227
大変
(
たいへん
)
に
苦労
(
くらう
)
をかけましたなア。
228
併
(
しか
)
し
貴方
(
あなた
)
は
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
で
御
(
お
)
目出
(
めで
)
たう
厶
(
ござ
)
います』
229
純公
『ハイ、
230
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
で、
231
私
(
わたし
)
が
代
(
かは
)
れるものなら
代
(
かは
)
つて
居
(
を
)
れば
良
(
い
)
いので
厶
(
ござ
)
いますが、
232
何分
(
なにぶん
)
厄雑者
(
やくざもの
)
の
栄
(
さか
)
える
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
で、
233
善
(
よ
)
い
者
(
もの
)
には
害虫
(
がいちう
)
のはいるもので
厶
(
ござ
)
います。
234
オイ
道公
(
みちこう
)
、
235
どうだ。
236
奥様
(
おくさま
)
からこンな
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
頂
(
いただ
)
き、
237
身
(
み
)
に
余
(
あま
)
る
光栄
(
くわうえい
)
ぢやないか、
238
貴様
(
きさま
)
も
何
(
なに
)
か
一
(
ひと
)
つ
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
をかけて
頂
(
いただ
)
いたか、
239
どうだい。
240
滅多
(
めつた
)
にそンなことはあるまい……ソリヤきまつてゐるよ。
241
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かない
男
(
をとこ
)
だからなア。
242
時
(
とき
)
と
場合
(
ばあひ
)
といふことを
知
(
し
)
らない
石地蔵
(
いしぢざう
)
さまは、
243
困
(
こま
)
つたものだい』
244
道公
『この
道公
(
みちこう
)
さまは
先生
(
せんせい
)
からは
特別
(
とくべつ
)
のお
言葉
(
ことば
)
を
頂
(
いただ
)
き、
245
奥様
(
おくさま
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
246
今子姫
(
いまこひめ
)
様
(
さま
)
からも
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
言葉
(
ことば
)
を……
根
(
ね
)
つから
一寸
(
ちよつと
)
も
頂
(
いただ
)
かぬのだ。
247
アハヽヽヽ』
248
五十子
(
いそこ
)
『ホヽヽ
何
(
なん
)
とマア
気楽
(
きらく
)
な
方々
(
かたがた
)
ぢやなア』
249
今子
(
いまこ
)
『
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
のお
悩
(
なや
)
みを
他所
(
よそ
)
に、
250
そンな
気楽相
(
きらくさう
)
なことを
云
(
い
)
つちやすみますまいで、
251
チとお
嗜
(
たしな
)
みなさいませ』
252
純公
『すみてもすまいでも、
253
純公
(
すみこう
)
さまですよ。
254
チツとなつと
面白
(
おもしろ
)
いことを
云
(
い
)
つて、
255
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
苦痛
(
くつう
)
を
軽減
(
けいげん
)
すべく
努
(
つと
)
めてるのですよ。
256
女童
(
をんなわらべ
)
の
知
(
し
)
る
所
(
ところ
)
でない。
257
エヽしざり
居
(
を
)
らう、
258
オツと
道純
(
みちすみ
)
が
一心
(
いつしん
)
変
(
へん
)
ぜぬ
勇気
(
ゆうき
)
の
顔色
(
がんしよく
)
取
(
と
)
りつく
島
(
しま
)
もなかりけり、
259
シヤン シヤン シヤン……だ。
260
アハヽヽヽ』
261
五十子
(
いそこ
)
『
貴方
(
あなた
)
は
五三公
(
いそこう
)
さまぢやありませぬか。
262
主人
(
しゆじん
)
がお
世話
(
せわ
)
になりました
相
(
さう
)
です。
263
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います』
264
五三公
『
私
(
わたし
)
は
五三公
(
いそこう
)
、
265
貴女
(
あなた
)
は
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
266
男
(
をとこ
)
と
女
(
をんな
)
の
違
(
ちがひ
)
こそあれ、
267
同
(
おな
)
じ
名前
(
なまへ
)
ですからヤツパリ
御
(
ご
)
因縁
(
いんねん
)
も
深
(
ふか
)
いとみえます。
268
奥様
(
おくさま
)
に
代
(
かは
)
つて
特別
(
とくべつ
)
に
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
を、
269
何
(
なに
)
くれとなく
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて、
270
まだ
致
(
いた
)
しませぬ。
271
誠
(
まこと
)
にすまぬことで
厶
(
ござ
)
います。
272
今
(
いま
)
から
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
はれちや
聊
(
いささ
)
か
迷惑
(
めいわく
)
の
至
(
いた
)
り、
273
これは
折角
(
せつかく
)
乍
(
なが
)
ら
御
(
ご
)
返上
(
へんじやう
)
致
(
いた
)
します。
274
どうぞ
道公
(
みちこう
)
さま
純公
(
すみこう
)
さまの
方
(
はう
)
へ
御
(
お
)
廻
(
まは
)
し
下
(
くだ
)
さいますやうに』
275
五十子
(
いそこ
)
『ホツホヽヽヽ』
276
今子
(
いまこ
)
『ウツフヽヽヽ』
277
五三公
『コレ、
278
今子
(
いまこ
)
さま、
279
俯
(
うつ
)
むいてせせら
笑
(
わら
)
ひを
致
(
いた
)
しましたなア。
280
其
(
その
)
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
といひ、
281
月
(
つき
)
にすかして
見
(
み
)
た
笑顔
(
ゑがほ
)
と
云
(
い
)
ひ、
282
中々
(
なかなか
)
以
(
もつ
)
て
意味
(
いみ
)
深長
(
しんちやう
)
、
283
イヤもう
此
(
この
)
五三公
(
いそこう
)
も、
284
貴女
(
あなた
)
の
笑顔
(
ゑがほ
)
には
恍惚
(
くわうこつ
)
と
致
(
いた
)
しましたよ。
285
一瞥
(
いちべつ
)
城
(
しろ
)
を
傾
(
かたむ
)
けるといふ
千両
(
せんりやう
)
目許
(
めもと
)
で
眺
(
なが
)
められた
時
(
とき
)
の
心持
(
こころもち
)
と
云
(
い
)
つたら、
286
胸
(
むね
)
をさされる
様
(
やう
)
で
厶
(
ござ
)
いました』
287
今子姫
(
いまこひめ
)
は
顔
(
かほ
)
に
袖
(
そで
)
をあて、
288
恥
(
はづか
)
しげに
俯向
(
うつむ
)
いてゐる。
289
五三公
(
いそこう
)
は
世間
(
せけん
)
慣
(
な
)
れのした
磯端
(
いそばた
)
の
団子石
(
だんごいし
)
の
様
(
やう
)
な
円転
(
ゑんてん
)
滑脱
(
くわつだつ
)
なあばずれ
者
(
もの
)
、
290
宣伝使
(
せんでんし
)
の
伴
(
とも
)
となつて、
291
ここ
迄
(
まで
)
伴
(
つ
)
いて
来
(
き
)
たものの、
292
物
(
もの
)
の
機
(
はづ
)
みにはチヨイチヨイと
生地
(
きぢ
)
が
現
(
あらは
)
れる
厄介
(
やくかい
)
至極
(
しごく
)
な
滑稽
(
こつけい
)
男
(
をとこ
)
である。
293
五三公
(
いそこう
)
は
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
を
額口
(
ひたひぐち
)
のドマン
中
(
なか
)
にチヨンと
載
(
の
)
せ、
294
カイツクカイのカイカイ
踊
(
をど
)
りをし
乍
(
なが
)
ら、
295
治国別
(
はるくにわけ
)
の
休
(
やす
)
らふ
森蔭
(
もりかげ
)
をさして、
296
五三公
『オイ
道公
(
みちこう
)
、
297
純公
(
すみこう
)
、
298
粋
(
すゐ
)
を
利
(
き
)
かせよ』
299
と
呼
(
よ
)
ばはり
乍
(
なが
)
ら
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
300
玉国別
『ハツハヽヽヽ、
301
玉国別
(
たまくにわけ
)
もおかげで
余程
(
よほど
)
頭痛
(
づつう
)
が
軽減
(
けいげん
)
して
来
(
き
)
たやうだ。
302
目
(
め
)
も
何
(
ど
)
うやら、
303
一方
(
いつぱう
)
はハツキリとし、
304
一方
(
いつぱう
)
の
方
(
はう
)
は
薄明
(
うすあか
)
りが
見
(
み
)
える
様
(
やう
)
だ。
305
笑
(
わら
)
うといふことは
実
(
じつ
)
に
霊肉
(
れいにく
)
の
薬
(
くすり
)
になるものだなア』
306
道公
『
歓喜
(
くわんき
)
の
笑声
(
せうせい
)
は
天国
(
てんごく
)
の
門
(
もん
)
平安
(
へいあん
)
の
道公
(
みちこう
)
を
開
(
ひら
)
くと
云
(
い
)
ひますからなア。
307
軈
(
やが
)
て
先生
(
せんせい
)
の
目
(
め
)
も
開
(
あ
)
くでせう。
308
どうぞ
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
笑
(
わら
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
309
玉国別
『
笑
(
わら
)
ひは
結構
(
けつこう
)
だが、
310
さう
俄
(
にはか
)
作
(
づく
)
りの
笑
(
わら
)
ひも
出来
(
でき
)
ず、
311
何分
(
なにぶん
)
無粋
(
ぶすゐ
)
の
玉国別
(
たまくにわけ
)
のことだから、
312
笑
(
わら
)
ひの
原料
(
げんれう
)
が
欠乏
(
けつぼう
)
を
告
(
つ
)
げてゐるのだからなア』
313
道公
『
先生
(
せんせい
)
、
314
貴方
(
あなた
)
の
御
(
お
)
身体
(
からだ
)
には
笑
(
わら
)
ひが
充満
(
じゆうまん
)
して
居
(
を
)
りますよ。
315
一寸
(
ちよつと
)
道公
(
みちこう
)
が
笑
(
わら
)
はして
見
(
み
)
せませうか』
316
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
後
(
うしろ
)
へまはり
脇
(
わき
)
の
下
(
した
)
を
指
(
ゆび
)
の
先
(
さき
)
で
くす
ぐらうとする。
317
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
道公
(
みちこう
)
の
手
(
て
)
が
障
(
さは
)
らぬ
内
(
うち
)
にツと
立
(
た
)
ちて
逃出
(
にげだ
)
し、
318
早
(
はや
)
くも
笑
(
わら
)
つてゐる。
319
道公
(
みちこう
)
は
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
り、
320
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
321
ワザと
鰐足
(
わにあし
)
になつて
石亀
(
いしかめ
)
の
踊
(
をど
)
つたやうなスタイルで
玉国別
(
たまくにわけ
)
を
追
(
お
)
つかける。
322
玉国別
(
たまくにわけ
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
思
(
おも
)
はずドツと
吹出
(
ふきだ
)
し、
323
腹
(
はら
)
を
抱
(
かか
)
へて
笑
(
わら
)
ふ。
324
玉国別
(
たまくにわけ
)
も
道公
(
みちこう
)
に
追
(
お
)
はれて、
325
何回
(
なんくわい
)
となく
祠
(
ほこら
)
の
周
(
ぐるり
)
を
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
逃廻
(
にげまは
)
つてゐる。
326
(
大正一一・一二・七
旧一〇・一九
松村真澄
録)
327
(昭和九・一二・二〇 王仁校正)
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