霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一一章 (こし)ぬけ〔一一八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻 篇:第2篇 月明清楓 よみ(新仮名遣い):げつめいせいふう
章:第11章 腰ぬけ よみ(新仮名遣い):こしぬけ 通し章番号:1180
口述日:1922(大正11)年12月08日(旧10月20日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要: 舞台:山口の森 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
晴公、楓の兄妹は久しぶりの再会に積もる話をしようと森の木の間の月影をたよりに二三町ばかり南へ進んで行く。
南方より三人の男が提灯をともしてやってくる。提灯の三つ葉葵のしるしを見て、兄妹はバラモン教の捕り手とわかり、大木の幹に姿を隠した。
三人の男はバラモン教軍の斥候であり、三五教の宣伝使に出会ったらひとたまりもないとびくつきながら、このあたりで最近噂の鬼娘の話に恐れおののいている。
また話の中に、晴公と楓の両親が三五教の杢助・黒姫宣伝使に間違われて捕えられ、人質として駕籠に乗せられて運ばれてくることも漏れ聞こえてきた。
三人の馬鹿話に晴公と楓は思わず吹き出してしまう。バラモン教の三人は、二人はてっきり人目を忍ぶ若夫婦だと思って姿を見せるように呼びかけたが、楓は鬼娘のふりをして、逆に三人を驚かせる。
そこへバラモン軍の後発隊十五六人が、二人の両親を駕籠に乗せてやってきた。一行が斥候隊の三人、アク、タク、テクから様子を聞いていると、森の中から宣伝歌が聞こえてきた。
不意を打たれたバラモン軍の一隊は、人質の駕籠を投げ捨ててバラバラと逃げて行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-02-11 17:11:20 OBC :rm4411
愛善世界社版:147頁 八幡書店版:第8輯 191頁 修補版: 校定版:154頁 普及版:65頁 初版: ページ備考:
001 晴公(はるこう)002(かへで)両人(りやうにん)兄妹(きやうだい)(むつま)じく()をひき(なが)ら、003(もり)木間(こま)()月影(つきかげ)(さいは)ひに枯草(かれくさ)茫々(ばうばう)()(しげ)つた細道(ほそみち)逍遥(せうえう)し、004()らず()らず二三丁(にさんちやう)(ばか)(みなみ)(はう)(すす)むで()く。
005 南方(なんぱう)より二三(にさん)(にん)(をとこ)アク、タク、テクの3人006(いそが)しげに提灯(ちやうちん)をとぼしてやつて()る。007兄妹(きやうだい)(これ)(なが)めて()提灯(ちやうちん)しるし三葉葵(みつばあふひ)がついてゐる。008(まが)(かた)もなきバラモン(けう)捕手(とりて)間違(まちが)ひない、009()つけられては一大事(いちだいじ)大木(たいぼく)(みき)姿(すがた)(かく)した。010(さん)(にん)はツト立止(たちど)まり、
011(かふ)『オイ此辺(ここら)一先(ひとま)一服(いつぷく)して()かうぢやないか。012これから(さき)危険(きけん)区域(くゐき)だ。013何程(なにほど)斥候隊(せきこうたい)だと()つても、014(わづ)かに(さん)(にん)(ぐらゐ)では心細(こころぼそ)いぢやないか。015三五教(あななひけう)言霊(ことたま)宣伝使(せんでんし)とやらに出会(でつくは)したら、016大変(たいへん)()()ふと()(こと)だ。017(ひと)此辺(ここら)団尻(だんじり)()ろして(うま)(みづ)でもかうたら()うだイ』
018(おつ)『オイ何処(どこ)(うま)()るのだ。019貴様(きさま)チツと(とぼ)けてゐやせぬか』
020(かふ)貴様(きさま)(うま)で、021一人(ひとり)鹿(しか)だ。022大分(だいぶ)最前(さいぜん)からヒイヒイと汽笛(きてき)をならしてゐるぢやないか。023それだから()出水(でみづ)(うま)(みづ)()ませと()ふのだよ』
024(おつ)(なに)(ぬか)すのだ、025(いたち)()が。026(さき)()きよつて(くさ)(くさ)()連発(れんぱつ)しよつて、027コレ()ろ、028(おれ)(はな)(まが)つて(しま)つた。029眉毛(まゆげ)(まで)立枯(たちがれ)出来(でき)てきたワ。030本当(ほんたう)(こま)つた(やつ)(さき)()つたものだな』
031(かふ)(おれ)最後屁(さいごぺ)(はな)(まが)つたのぢやないわ。032貴様(きさま)先天(せんてん)(てき)鼻曲(はなまが)りだ。033親譲(おやゆづ)りの片輪(かたわ)(まで)(おれ)()転嫁(てんか)さすとは、034チト(むし)()すぎるぞ。035()うだドツと張込(はりこ)ンで此処(ここ)休息(きうそく)しようぢやないか。036さうすりや、037やがて本隊(ほんたい)がやつて()るのだから、038()斥候(せきこう)だと()つても一丁(いつちやう)(くらゐ)距離(きより)(たも)つて()かなくちやコレから(さき)心細(こころぼそ)いよ』
039(おつ)『それだから貴様(きさま)(いたち)()ふのだ。040(すぐ)(ばば)をたれ屁古垂(へこた)れよつて(なん)(ざま)だイ』
041(かふ)『ヘン(えら)さうに()ふない。042臆病(おくびやう)たれ()043(さん)(にん)真中(まんなか)(はい)らにやヨウ(ある)かぬと()つたぢやないか。044ポンポン(なが)(この)アーちやまは(てき)矢玉(やだま)()ける一番槍(いちばんやり)()先頭(せんとう)だぞ。045(なん)なら貴様(きさま)046(さき)()つたら()うだイ。047(おれ)真中(まんなか)から()つてやらうか』
048(おつ)先輩(せんぱい)(さき)()くのは(あた)(まへ)だよ。049(すべ)(もの)には順序(じゆんじよ)がある。050長幼序(ちやうえうじよ)あり夫婦別(ふうふべつ)あり、051といふからなア』
052(かふ)夜道(よみち)()(とき)()貴様(きさま)長幼序(ちやうえうじよ)ありを()(まは)すのだから(たま)らぬワ。053なア丙州(へいしう)054(ひと)此処(ここら)(やす)ンで()かうぢやないか』
055(へい)『モー二三丁(にさんちやう)(きた)()けば古社(ふるやしろ)(あと)がある。056ウン其処(そこ)には大変(たいへん)都合(つがふ)のよい(だん)があつて、057(こし)をかけるに()つて()いだ。058そこ(まで)()かうぢやないか』
059(かふ)『そこ(まで)()くのは()つて()るが、060なンだか(にはか)(あし)(すす)まなくなつたのだ。061()るのぢやないか。062エー』
063(へい)()るとは(なに)()るのだい。064怪体(けたい)(こと)をいふ(やつ)だな』
065(かふ)()るとも()るとも(おほい)()るのだ。066モウ夜明(よあ)けに()もあるまいから、067此処(ここら)一寸(ちよつと)(やす)みて()かうかい』
068(へい)『アハー(この)(あひだ)から(うはさ)()いた鬼娘(おにむすめ)(こと)(おも)()しよつたな。069ソレは貴様(きさま)070(ひと)(はなし)だよ。071幽霊(いうれい)化物(ばけもの)(おに)とは(けつ)して(この)()(なか)にあるものぢやない。072そンな迷信(めいしん)をするな。073さア、074()かう』
075(おつ)『ヨウ其奴(そいつ)一寸(ちよつと)()ものだ。076(しか)(なが)()たところが、077(なん)(やく)にもならないから、078マア此辺(ここら)一層(いつそう)(こと)一服(いつぷく)しようかい。079それの(はう)余程(よほど)安全(あんぜん)だぞ』
080(へい)『アハヽヽヽ此奴(こいつ)到頭(たうとう)本音(ほんね)()()つた。081やつぱり鬼娘(おにむすめ)(こは)いと()えるワイ。082(あたま)蝋燭(らふそく)三本(さんぼん)()て、083(つら)青赤(あをあか)()りたて、084(くち)(みみ)(まで)()けたやうにして、085ピカツ ピカツと(やみ)()らし(なが)ら、086(しろ)()(ひき)ずつて()姿(すがた)()たら(あんま)気味(きびた)がよい(こと)ない(こと)ない(こと)ないワ。087(おれ)(なん)だか身柱元(ちりけもと)がぞくぞくして()はせぬワイ。088さア、089何奴(どいつ)此奴(こいつ)もそこ(まで)(すす)めとは()はぬわ』
090(かふ)『アハヽヽヽ、091やつぱり此奴(こいつ)屁古垂(へこた)(ぐみ)だな。092(とき)にランチ将軍(しやうぐん)さまは何故(なぜ)アンナ(ぢい)(ばば)大事(だいじ)(さう)駕籠(かご)()せて河鹿(かじか)(たうげ)()ゆるのだらうかなア。093(ちつ)とも合点(がつてん)()かぬぢやないか。094彼奴(あいつ)三五教(あななひけう)杢助(もくすけ)や、095黒姫(くろひめ)()けてゐるのだと()(うはさ)だが、096(おれ)一寸(ちよつと)(かほ)()たが、097(あま)(こは)さうな(やつ)ぢやなかつたぞ』
098(おつ)『それが化物(ばけもの)だよ。099人殺(ひとごろし)をしたり、100強盗(がうたう)する(やつ)には(けつ)して悪相(あくさう)(やつ)()いものだ。101(むし)(ころ)さぬ(まる)(をんな)(やう)(やさ)しい(かほ)をして()つて、102(かげ)(わる)(こと)をするのだ。103(おれ)(やう)閻魔面(えんまづら)世間(せけん)(やつ)(はじ)めから(こは)がつて油断(ゆだん)をせぬから、104一寸(ちよつと)(わる)(こと)出来(でき)はせない。105外面(げめん)(によ)菩薩(ぼさつ)106内心(ないしん)(によ)夜叉(やしや)()つてな、107(そと)から(よわ)そに()える(やつ)挺子(てこ)でも(ぼう)でも()へぬ(やつ)だよ』
108(へい)『さうすると()杢助(もくすけ)109黒姫(くろひめ)駕籠(かご)()せ、110河鹿(かじか)(たうげ)通過(つうくわ)せうといふ算段(さんだん)だなア』
111(かふ)『ウンさうだ。112(なん)でも治国別(はるくにわけ)とか、113玉国別(たまくにわけ)とか()豪傑(がうけつ)(ほこら)(もり)や、114懐谷(ふところだに)(あたり)(ぢん)(かま)へて(しき)りに言霊(ことたま)とやらを打出(うちだ)しよるものだから、115()うしても(すす)(こと)出来(でき)ない。116そこで三五教(あななひけう)杢助(もくすけ)117黒姫(くろひめ)初稚姫(はつわかひめ)()れてライオン(がは)(ほとり)にバラモン(ぐん)動静(どうせい)(かんが)へて()つたのを(うま)捕獲(ほくわく)し、118河鹿(かじか)(たうげ)無事(ぶじ)通過(つうくわ)しようといふ計略(けいりやく)だ。119もし言霊(ことたま)でも打出(うちだ)()つたら駕籠(かご)()をパツと(ひら)き、120(やり)(ころ)すが()うだ。121コレでも言霊(ことたま)発射(はつしや)するかと両人(りやうにん)胸元(むなもと)()きつけるのだ。122さうすると如何(いか)無謀(むぼう)宣伝使(せんでんし)でも、123三五教(あななひけう)()つての豪傑(がうけつ)杢助(もくすけ)124黒姫(くろひめ)見殺(みごろし)にする(わけ)には()かぬ。125せう(こと)なしに屁古垂(へこた)()つて、126何卒(どうぞ)無事(ぶじ)()通過(つうくわ)をして(くだ)さいと反対(あべこべ)(たの)むやうに仕組(しぐ)まれた仕事(しごと)だ。127随分(ずゐぶん)ランチさまも智勇(ちゆう)兼備(けんび)勇将(ゆうしやう)ぢやないか』
128 兄妹(きやうだい)一口(ひとくち)々々(ひとくち)(むね)(とどろ)かせ(なが)()きゐたり。
129(へい)(なん)だか(ひと)くさいぞ。130怪体(けたい)(にほ)ひがするぢやないか』
131(おつ)(ひと)くさいなンて(まる)(おに)のやうな(こと)をいふない。132アタ(いや)らしい、133鬼娘(おにむすめ)()(もり)だと(おも)つて馬鹿(ばか)(こと)()ふものぢや()い。134ナーニ此処(ここ)(ひと)()つて(たま)るかい。135俺様(おれさま)のやうな英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)でも気味(きみ)(わる)山口(やまぐち)(もり)だ。136こンな(ところ)夜夜中(よるよなか)うろついて()ようものなら大蛇(をろち)()まれて(しま)ふワイ』
137(へい)『それでも(なん)だか人間(にんげん)(にほ)ひがするやうだ、138(しか)人間(にんげん)(にほひ)のするのは当然(あたりまへ)だらうよ。139此処(ここ)にも一人(ひとり)人間(にんげん)()るのだからなア』
140(おつ)人間(にんげん)一人(ひとり)とはなンだい。141(さん)(にん)()るぢやないか』
142(へい)(おれ)人間(にんげん)だが(ほか)(いたち)鹿(しか)だ』
143(おつ)『ナニを(ぬか)すのだい。144ドー(たぬき)()が』
145(へい)(たぬき)でも(なん)でもホツチツチだ。146(おれ)人間(にんげん)さまの(はな)には()うも異性(いせい)(にほ)ひがするのだ。147随分(ずゐぶん)威勢(ゐせい)のよい(にほ)ひだよ。148一寸(ちよつと)(をとこ)(にほ)ひもするやうだし』
149(おつ)『ハー、150さうすると貴様(きさま)もやつぱり四足(よつあし)だ。151(いぬ)(うま)(がは)りだな。152さうでなくちや、153それ(だけ)(はな)()気遣(きづか)ひはないわ。154ハナハナ(もつ)奇妙(きめう)奇天烈(きてれつ)動物(どうぶつ)だなア』
155 (かへで)可笑(をか)しさに(こら)えかね、156「ホヽヽヽヽ」と()()せば、
157(おつ)『ソラ鬼娘(おにむすめ)だ。158ホヽヽヽヽだ。159オイ()げろ()げろ』
160(かふ)(へい)()げろといつたつて(にげ)られるものか。161モウあきらめるより仕方(しかた)がないわ。162肝腎(かんじん)(こし)命令権(めいれいけん)服従(ふくじゆう)せぬのだから』
163 (かたはら)木蔭(こかげ)から、
164(晴公、楓)『アハヽヽヽ、165オホヽヽヽ』
166(へい)『ソレ()たか、167(おれ)(はな)(えら)いものだろ。168(わか)男女(だんぢよ)()()()つて、169ソツと(わが)()()()し、170たとへ()(すゑ)171(やま)(おく)172(とら)(おほかみ)住処(すみか)でも、173などと洒落(しやれ)よつて(こひ)(みち)()きをやつてるのだよ。174()(わか)つた以上(いじやう)矢張(やつぱり)人間(にんげん)だ、175(おどろ)必要(ひつえう)はないわ』
176 (かふ)(おつ)(むね)をなで()ろし、
177甲、乙(たれ)(おどろ)いてゐるものがあるかい。178貴様(きさま)一人(ひとり)(おどろ)いて()よるのだ。179オイ若夫婦(わかふうふ)180そンな(ところ)(かく)れて()らずに、181()遠慮(ゑんりよ)なく此処(ここ)(まか)りつン()て、182()ンな面付(つらつ)きをして()るか、183(ひと)()(なぐさ)みに(きよう)したら()うだい』
184 (かへで)はやさしい(こゑ)で、
185(にい)さま、186(さん)(にん)()(かた)がアナイ()うてゐやはりますから、187一寸(ちよつと)(かほ)(をが)まして()げませうかなア。188ホヽヽヽヽ』
189(かふ)『ナーンだ、190馬鹿(ばか)にしやがるない。191(をが)まして()げようなンて、192()ンなナイスかしらぬが、193(をんな)(ぐらゐ)精神(せいしん)をとろかすアーちやまぢやないぞ、194エー。195世間体(せけんてい)をつくりよつて「(にい)さま、196ホヽヽヽヽ」が()いて(あき)れるワイ。197貴様(きさま)(おや)()(しの)ンで()()いてゐるのだろ。198サア此処(ここ)へつン()(なに)()白状(はくじやう)するのだ。199(はや)()()ぬかいグヅグヅしてゐると爺婆(ぢぢばば)駕籠(かご)()()ると迷惑(めいわく)だ。200それ(まで)首実検(くびじつけん)をしておく必要(ひつえう)があるワ』
201(かへで)『ホヽヽヽヽ、202アタイもアンタ(がた)(くび)実検(じつけん)して()必要(ひつえう)があるのよ。203(さいは)ひお月様(つきさま)()()(あそ)ばし、204よく()えるでせう。205アタイ毎晩(まいばん)(この)(もり)(あら)はれて()鬼娘(おにむすめ)ですわ。206ビツクリなさいますなや』
207(かふ)『エー、208気味(きび)たの(わる)(こと)(ぬか)(やつ)だ。209モウ拝謁(はいえつ)はまかりならぬ。210勝手(かつて)(もり)(おく)へすつこみて、211万劫(まんご)末代(まつだい)姿(すがた)(あら)はさぬやうにいたせ』
212(かへで)『アタイその(ぢい)さまと(ばあ)さまとが()ひたいのよ。213それで此処(ここ)青鬼(あをおに)(にい)さまと()つてゐるの。214(みな)さま、215()苦労(くらう)だね。216(うま)さま、217鹿(しか)さま、218(たぬき)さま。219ホヽヽヽヽ』
220(かふ)『エー鬼娘(おにむすめ)(まで)馬鹿(ばか)にしよる(わい)221コリヤ鬼娘(おにむすめ)222コレでも一人前(いちにんまへ)立派(りつぱ)(にい)さまだぞ。223沢山(たくさん)のナイスにチヤホヤされて(そで)千切(ちぎ)れて(たま)らないから、224浮世(うきよ)のうるささを()けてバラモン(けう)先生(せんせい)になつてゐるのだ。225何程(なにほど)(ほれ)たつて駄目(だめ)だ。226四十八(しじふはち)(サンチ)のクルツプ(はう)発射(はつしや)してやらうか。227貴様(きさま)地獄(ぢごく)から()たのだらうが、228地獄(ぢごく)(かへ)つてアーちやまに肱鉄(ひぢてつ)をかまされたと()つては貴様(きさま)(つら)()つまい。229さア、230(はや)退却(たいきやく)々々(たいきやく)
231 ()かる(ところ)十七八(じふしちはち)(にん)同勢(どうぜい)232()()(やり)()りかざし、233二挺(にちやう)駕籠(かご)をかつがせてスタスタとやつて()る。234先頭(せんとう)()つた(をとこ)(さん)(にん)姿(すがた)月影(つきかげ)(なが)め、
235(をとこ)『ヤア此処(ここ)(なん)だか(あや)しいものが()る。236大方(おほかた)三五教(あななひけう)(やつ)だろ。237オイ(みな)(もの)238首途(かどで)血祭(ちまつり)芋刺(いもざ)しにして()け』
239 (かふ)(おつ)(へい)(おどろ)いて両手(りやうて)をひろげ、
240甲、乙、丙『アーモシモシ アクに、241タクに、242テクだ。243一寸(ちよつと)此処(ここ)鬼娘(おにむすめ)()やがつたから評定(ひやうじやう)をしてゐるのだ。244見違(みちが)へて(もら)つちや(こま)るぞ』
245槍持(やりもち)『ナンダ斥候隊(せきこうたい)のアク、246タク、247テクぢやないか。248何故(なぜ)こンな(ところ)にグヅグヅしてゐるのだ。249敵状(てきじやう)()うなつたか』
250(かふ)()うも()うもあつたものぢやない。251(いま)此処(ここ)鬼娘(おにむすめ)(あら)はれたのだ。252(こゑ)ばつかり(きこ)えてチツとも姿(すがた)()えないのだよ』
253 槍持(やりもち)はビクビク(ふる)()した。
254槍持『ナヽヽヽナニ鬼娘(おにむすめ)()たと。255ソヽヽヽそしてそれは()うなつたのだい』
256(かふ)(おれ)(ほれ)よつたと()えて、257どうしても()うしても()かぬのだよ。258大雲山(だいうんざん)のお(ふだ)でもあつたら(かし)()れないか』
259(をとこ)怪体(けたい)(こと)()ふぢやないか。260マアマア此処(ここ)(ひと)駕籠(かご)()ろして調(しら)べて()よう。261全隊(ぜんたい)()まれ!』
262号令(がうれい)する。263十七八(じふしちはち)(にん)同勢(どうぜい)(やり)(つゑ)につき(あし)(そろ)へてピタリと()まつた。264二人(ふたり)()せた(かご)手荒(てあら)地上(ちじやう)()ろされた。
265 (もり)(なか)から(あた)りに(ひび)大声(おほごゑ)宣伝歌(せんでんか)さやさやに(きこ)()たる。
266治国別(かみ)(おもて)(あら)はれて
267(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
268三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
269われは治国別(はるくにわけ)(かみ)
270ランチ将軍(しやうぐん)片彦(かたひこ)
271手下(てした)(やつ)(ども)よつく()
272河鹿(かじか)(たうげ)陣取(ぢんど)りて
273生言霊(いくことたま)(めう)()
274天下(てんか)無双(むさう)宣伝使(せんでんし)
275(なんぢ)()一族(いちぞく)(ことごと)
276生言霊(いくことたま)(はら)はむと
277(いま)此処(ここ)(まで)(むか)うたり
278もはや(にが)れぬ百年目(ひやくねんめ)
279(なんぢ)(うん)(はや)つきぬ
280(ふた)つの(かご)をそこに()
281(いち)()(はや)()(かへ)
282(こば)むに(おい)ては(それがし)
283(また)もやきびしき言霊(ことたま)
284(あられ)(ごと)打出(うちいだ)
285(まが)(したが)(もの)(ども)
286木端(こつぱ)微塵(みぢん)()(くだ)
287(ほろぼ)しくれむは()(あた)
288(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
289(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
290(ただ)何事(なにごと)吾々(われわれ)
291直日(なほひ)見直(みなほ)宣伝使(せんでんし)
292(なんぢ)(つみ)(にく)けれど
293(すめ)大神(おほかみ)神習(かむなら)
294仁慈(じんじ)(もつ)(すく)()
295あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
296(かみ)言葉(ことば)(したが)へよ』
297 (この)言霊(ことたま)不意(ふい)()たれて二挺籠(にちやうかご)路上(ろじやう)()てた(まま)298バラバラパツと蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)生命(いのち)からがら()げて()く。299アク、300タク、301テクの(さん)(にん)(こし)をぬかして()(おく)れ、302路傍(ろばう)四這(よつば)ひとなつて(ふる)(おのの)いてゐる。303(かへで)(もり)かげを立出(たちい)山駕籠(やまかご)()(ひら)いて、304アツと(ばか)りにおどろき(さけ)ぶ。
305大正一一・一二・八 旧一〇・二〇 外山豊二録)
306(昭和九・一二・二七 王仁校正)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki