霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
01 笑の恵
〔1170〕
02 月の影
〔1171〕
03 守衛の囁
〔1172〕
04 滝の下
〔1173〕
05 不眠症
〔1174〕
06 山下り
〔1175〕
07 山口の森
〔1176〕
第2篇 月明清楓
08 光と熱
〔1177〕
09 怪光
〔1178〕
10 奇遇
〔1179〕
11 腰ぬけ
〔1180〕
12 大歓喜
〔1181〕
13 山口の別
〔1182〕
14 思ひ出の歌
〔1183〕
第3篇 珍聞万怪
15 変化
〔1184〕
16 怯風
〔1185〕
17 罵狸鬼
〔1186〕
18 一本橋
〔1187〕
19 婆口露
〔1188〕
20 脱線歌
〔1189〕
21 小北山
〔1190〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第44巻
> 第2篇 月明清楓 > 第10章 奇遇
<<< 怪光
(B)
(N)
腰ぬけ >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一〇章
奇遇
(
きぐう
)
〔一一七九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第2篇 月明清楓
よみ(新仮名遣い):
げつめいせいふう
章:
第10章 奇遇
よみ(新仮名遣い):
きぐう
通し章番号:
1179
口述日:
1922(大正11)年12月08日(旧10月20日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
山口の森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
女は自分は楓という名であり、父は珍彦、母は静子、別れた兄は俊というと明かした。治国別は、女の両親はきっと生きていて無事であろうと安堵させた。
晴公は楓の身の上話を聞いてふさぎ込んでいる。万公に問い詰められた晴公は、自分が楓の兄の俊であることを明かした。
兄妹は再会を果たし、二人はうれし涙に暮れた。楓は兄たち三五教の宣伝使一行に、両親を助けてくれるように頼みこんだ。
治国別は二人の再会を祝福し、両親の無事と再会を祈る宣伝歌を歌った。楓と晴公はそれぞれ述懐の歌を歌い、その他の供人たちも二人を励ます歌を歌った。治国別一行はふたたび眠りに就いたが、晴公と楓の兄妹は一睡もせずに涙と共にこれまでの物語を語り明かそうと森の外に立って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-11 15:49:50
OBC :
rm4410
愛善世界社版:
130頁
八幡書店版:
第8輯 185頁
修補版:
校定版:
135頁
普及版:
58頁
初版:
ページ備考:
001
万公
(
まんこう
)
、
002
晴公
(
はるこう
)
、
003
竜公
(
たつこう
)
はやつと
胸
(
むね
)
撫
(
な
)
で
卸
(
おろ
)
し、
004
瘧
(
おこり
)
の
落
(
お
)
ちたやうな
顔
(
かほ
)
をして
女
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
を
不思議
(
ふしぎ
)
さうに
見守
(
みまも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
005
松彦
(
まつひこ
)
は
何
(
なに
)
呉
(
くれ
)
となく
親切
(
しんせつ
)
に
女
(
をんな
)
を
労
(
いたは
)
り、
006
いろいろと
慰安
(
ゐあん
)
の
言葉
(
ことば
)
を
与
(
あた
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
007
治国別
(
はるくにわけ
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さに
頭
(
あたま
)
を
垂
(
た
)
れ、
008
目
(
め
)
を
瞬
(
しばたた
)
き
涙
(
なみだ
)
をそつと
拭
(
ぬぐ
)
ひながら、
009
治国別
『
承
(
うけたま
)
はれば
貴女
(
あなた
)
の
家庭
(
かてい
)
には
悲惨
(
ひさん
)
の
幕
(
まく
)
が
下
(
お
)
りたものですなア。
010
そして
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
き
三五教
(
あななひけう
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
たために、
011
バラモンに
捕
(
とら
)
へられなさつたとは
実
(
じつ
)
に
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
事
(
こと
)
だ。
012
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
013
キツと
貴女
(
あなた
)
の
両親
(
りやうしん
)
は
命
(
いのち
)
に
別条
(
べつでう
)
ありませぬよ。
014
これから
私
(
わたし
)
が
何
(
なん
)
とかして
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
して
貴女
(
あなた
)
にお
渡
(
わた
)
し
致
(
いた
)
しませう』
015
女
(
をんな
)
は、
016
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひながら、
017
女(楓)
『ハイ
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
によう
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいました、
018
あり
難
(
がた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
019
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
遇
(
あ
)
ふたやうに
存
(
ぞん
)
じます。
020
何卒
(
どうぞ
)
憐
(
あは
)
れな
私
(
わたし
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
、
021
お
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
022
両親
(
りやうしん
)
はキツと
助
(
たす
)
かりませうかなア』
023
治国別
『キツと
助
(
たす
)
けてみせませう。
024
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
025
さうして
貴女
(
あなた
)
の
両親
(
りやうしん
)
の
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ひますかな』
026
女(楓)
『ハイ
父
(
ちち
)
の
名
(
な
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
、
027
母
(
はは
)
は
静子
(
しづこ
)
と
申
(
まを
)
します。
028
そして
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
は
楓
(
かへで
)
と
申
(
まを
)
します』
029
治国別
『さうしてお
前
(
まへ
)
の
尋
(
たづ
)
ぬる
兄
(
あに
)
の
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふのかなア』
030
楓
『ハイ、
031
兄
(
あに
)
の
名
(
な
)
は
俊
(
とし
)
と
申
(
まを
)
しました。
032
其
(
その
)
兄
(
あに
)
に
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひたいばかりに、
033
親子
(
おやこ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
広
(
ひろ
)
いフサの
国
(
くに
)
を
彷徨
(
さまよ
)
ひ、
034
漸
(
やうや
)
くライオン
河
(
がは
)
の
辺
(
ほとり
)
まで
参
(
まゐ
)
つて……
両親
(
りやうしん
)
は
老
(
お
)
い、
035
足
(
あし
)
の
歩
(
あゆ
)
みも、
036
はかばかしくないので、
037
つひそこへ
住居
(
ぢうきよ
)
を
定
(
さだ
)
めて
居
(
ゐ
)
たので
厶
(
ござ
)
います』
038
晴公
(
はるこう
)
は
此
(
この
)
女
(
をんな
)
の
物語
(
ものがたり
)
を
聞
(
き
)
き、
039
太
(
ふと
)
き
息
(
いき
)
をつき、
040
口
(
くち
)
をへの
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
び、
041
目
(
め
)
を
閉
(
ふさ
)
いで、
042
頻
(
しき
)
りにウンウンと
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
きながら、
043
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
き
考
(
かんが
)
へに
沈
(
しづ
)
ンで
居
(
ゐ
)
る。
044
万公
(
まんこう
)
は
勢
(
いきほ
)
ひよく、
045
万公
『オイ
晴公
(
はるこう
)
、
046
何
(
なん
)
だい、
047
こくめい
な
顔
(
かほ
)
をしよつて、
048
貴様
(
きさま
)
が
生
(
う
)
ンだ
ナイス
ぢやないか。
049
仕様
(
しやう
)
もない
言霊
(
ことたま
)
を
出
(
だ
)
して
鬼女
(
きぢよ
)
を
生
(
う
)
ンだと
思
(
おも
)
へば
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
はない、
050
天下
(
てんか
)
無双
(
むさう
)
のナイスだ。
051
ちつと
噪
(
はしや
)
がぬかい、
052
こンな
時
(
とき
)
こそ
貴様
(
きさま
)
の
威張
(
ゐば
)
る
時
(
とき
)
だよ。
053
思
(
おも
)
ひきや
鬼女
(
きぢや
)
と
思
(
おも
)
ひし
其
(
その
)
影
(
かげ
)
は
054
譬
(
たと
)
へ
方
(
かた
)
なきナイスなりとは
055
だ。
056
本当
(
ほんたう
)
に
貴様
(
きさま
)
は
今夜
(
こんや
)
の
言霊戦
(
ことたません
)
の
殊勲者
(
しゆくんしや
)
だ。
057
この
女
(
をんな
)
を
発見
(
はつけん
)
して
一
(
ひと
)
つ
手
(
て
)
がかりを
得
(
え
)
、
058
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
を
根底
(
こんてい
)
より
覆
(
くつが
)
へし
神力
(
しんりき
)
を
現
(
あら
)
はす
機運
(
きうん
)
が
向
(
む
)
いたのだ。
059
何
(
なに
)
をウンウンと
溜息
(
ためいき
)
をつくのだ。
060
ちつと
確
(
しつか
)
りせぬかい、
061
エーン』
062
晴公
(
はるこう
)
は
力
(
ちから
)
なげに、
063
晴公
『アヽ
済
(
す
)
まぬ。
064
如何
(
どう
)
したらよからうかなア』
065
と
云
(
い
)
ひながら
豆
(
まめ
)
のやうな
涙
(
なみだ
)
をパラパラと
降
(
ふ
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
066
折
(
をり
)
から
十八夜
(
じふはちや
)
の
月
(
つき
)
は、
067
河鹿山
(
かじかやま
)
をかすめて
上
(
のぼ
)
り
初
(
はじ
)
めた。
068
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
とは
云
(
い
)
へ
全体
(
ぜんたい
)
的
(
てき
)
にホンノリと
四辺
(
あたり
)
は
明
(
あか
)
くなつて
来
(
き
)
た。
069
蝋燭
(
らふそく
)
の
火
(
ひ
)
はつぎ
換
(
か
)
へられた。
070
万公
(
まんこう
)
は
元気
(
げんき
)
よく、
071
万公
『
何
(
なん
)
だ
晴公
(
はるこう
)
、
072
貴様
(
きさま
)
は
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだな。
073
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
卵
(
たまご
)
が
何
(
なん
)
だ、
074
メソメソと
吠面
(
ほえづら
)
をかわくと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるかい。
075
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
活
(
くわつ
)
を
入
(
い
)
れてやらう
確
(
しつか
)
りせい』
076
と
云
(
い
)
ひながら
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
晴公
(
はるこう
)
の
背
(
せ
)
をつづけ
打
(
う
)
ちにした。
077
晴公
『
今
(
いま
)
あの
楓
(
かへで
)
の
云
(
い
)
つた
兄
(
あに
)
と
云
(
い
)
ふのは
俺
(
おれ
)
だよ、
078
この
晴公
(
はるこう
)
だよ』
079
万公
『
何
(
なに
)
、
080
お
前
(
まへ
)
があのナイスの
兄貴
(
あにき
)
か、
081
ヨウさう
聞
(
き
)
くと、
082
どこともなしに
似
(
に
)
よつた
処
(
ところ
)
があるやうだ。
083
もし
先生
(
せんせい
)
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
があるものですな。
084
これもやつぱり
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せでせう。
085
晴公
(
はるこう
)
がしやうもない
言霊
(
ことたま
)
を
寝
(
ね
)
もせずに
上
(
あ
)
げて
居
(
を
)
つたのを
見
(
み
)
て
怪体
(
けたい
)
な
男
(
をとこ
)
だと
怪
(
あや
)
しみながら
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
ましたが、
086
矢張
(
やつぱ
)
り
虫
(
むし
)
が
知
(
し
)
らしたので
寝
(
ね
)
られなかつたのですな。
087
兄妹
(
きやうだい
)
の
霊魂
(
れいこん
)
が
交通
(
かうつう
)
したのでせうかな。
088
ヤア
晴公
(
はるこう
)
さまお
目出度
(
めでた
)
う。
089
楓
(
かへで
)
さまお
目出度
(
めでた
)
う。
090
お
祝
(
いは
)
ひ
申
(
まを
)
します。
091
私
(
わたし
)
の
先生
(
せんせい
)
もこの
松彦
(
まつひこ
)
さまと
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
兄弟
(
きやうだい
)
の
御
(
ご
)
対面
(
たいめん
)
なさつたのだ、
092
何
(
なん
)
と
人間
(
にんげん
)
の
運命
(
うんめい
)
は
分
(
わか
)
らぬものだなア、
093
先生
(
せんせい
)
、
094
本当
(
ほんと
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか』
095
治国別
『さうだなア、
096
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
もあればあるものだ。
097
何
(
いづ
)
れ
宣伝使
(
せんでんし
)
になるものは
親
(
おや
)
兄弟
(
きやうだい
)
に
生
(
い
)
き
別
(
わか
)
れたり、
098
再
(
ふたた
)
び
世
(
よ
)
に
立
(
た
)
つ
可
(
べ
)
からざる
運命
(
うんめい
)
に
陥
(
おちい
)
つた
者
(
もの
)
ばかりが
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
救
(
すく
)
はれて
御用
(
ごよう
)
をして
居
(
ゐ
)
るのだから、
099
誰
(
たれ
)
だつて
其
(
その
)
来歴
(
らいれき
)
を
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
さら
)
せば、
100
皆
(
みな
)
悲惨
(
ひさん
)
な
者
(
もの
)
ばかりだよ。
101
人間心
(
にんげんごころ
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
つて
考
(
かんが
)
へ
出
(
だ
)
した
位
(
くらゐ
)
なら
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
心
(
こころ
)
を
安
(
やす
)
むずる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないのだが、
102
愛
(
あい
)
と
信
(
しん
)
と
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
光明
(
くわうみやう
)
に
照
(
て
)
らされて
地上
(
ちじやう
)
の
憂
(
う
)
さを
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
るのだからなア』
103
と
悄然
(
せうぜん
)
として
首垂
(
うなだ
)
れる。
104
万公
(
まんこう
)
は
涙声
(
なみだごゑ
)
を
態
(
わざ
)
と
元気
(
げんき
)
らしく、
105
万公
『
先生
(
せんせい
)
貴方
(
あなた
)
からそう
悄気
(
しよげ
)
て
貰
(
もら
)
つては、
106
吾々
(
われわれ
)
は
如何
(
どう
)
するのです。
107
人
(
ひと
)
の
心霊
(
しんれい
)
は
歓喜
(
くわんき
)
のために
存在
(
そんざい
)
すると
何時
(
いつ
)
も
仰有
(
おつしや
)
つたぢやありませぬか。
108
どうやら
貴方
(
あなた
)
は
歓喜
(
くわんき
)
去
(
さ
)
つて
悲哀
(
ひあい
)
来
(
きた
)
ると
云
(
い
)
ふ
状態
(
じやうたい
)
ですよ。
109
ちつと
確
(
しつか
)
りして
下
(
くだ
)
さいな』
110
治国別
『イヤわしは
歓喜
(
くわんき
)
余
(
あま
)
つての
悲哀
(
ひあい
)
だ。
111
つまり
有難涙
(
ありがたなみだ
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
るのだ。
112
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
恵
(
めぐみ
)
を
今更
(
いまさら
)
の
如
(
ごと
)
く
感謝
(
かんしや
)
して
居
(
ゐ
)
る
随喜
(
ずいき
)
の
涙
(
なみだ
)
だからさう
心配
(
しんぱい
)
をして
呉
(
く
)
れるな』
113
万公
『
私
(
わたし
)
も
歓喜
(
くわんき
)
の
涙
(
なみだ
)
がアンアンアン
溢
(
こぼ
)
れますわい。
114
オンオンオンオイ
晴公
(
はるこう
)
、
115
いや
俊
(
とし
)
さま、
116
お
前
(
まへ
)
も
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
が
溢
(
こぼ
)
れるだらう。
117
歓喜
(
くわんき
)
の
涙
(
なみだ
)
なら
堤防
(
ていばう
)
が
崩
(
くづ
)
れる
処
(
ところ
)
迄
(
まで
)
流
(
なが
)
したらよからう。
118
アンアンアン
余
(
あま
)
り
嬉
(
うれ
)
しくて
泣
(
な
)
き
堪能
(
たんのう
)
が
仕度
(
した
)
いわい』
119
晴公
(
はるこう
)
は
又
(
また
)
涙声
(
なみだごゑ
)
にて、
120
晴公
『
治国別
(
はるくにわけ
)
の
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
121
何卒
(
どうぞ
)
妹
(
いもうと
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
宜
(
よろ
)
しくお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
122
治国別
『ウン
私
(
わたし
)
も
満足
(
まんぞく
)
だが、
123
お
前
(
まへ
)
も
嘸
(
さぞ
)
満足
(
まんぞく
)
だらう』
124
楓
『あなたは
兄上
(
あにうへ
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
125
妾
(
わたし
)
は
楓
(
かへで
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
126
ようまあ
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
127
どうぞお
父
(
とう
)
さまやお
母
(
かあ
)
さまの
命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
うて
下
(
くだ
)
さいませ。
128
貴兄
(
あなた
)
にこの
事
(
こと
)
さへ
知
(
し
)
らして
置
(
お
)
けば
楓
(
かへで
)
は
此
(
この
)
儘
(
まま
)
死
(
し
)
すとも
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
思
(
おも
)
ひは
残
(
のこ
)
りませぬ、
129
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
130
晴公
『
妹
(
いもうと
)
随分
(
ずゐぶん
)
苦労
(
くらう
)
をしたであらうなア、
131
俺
(
おれ
)
だとて
親兄妹
(
おやきやうだい
)
の
事
(
こと
)
を
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
忘
(
わす
)
れた
事
(
こと
)
はない。
132
雨
(
あめ
)
の
晨
(
あした
)
風
(
かぜ
)
の
夕
(
ゆふべ
)
アーメニヤの
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
め、
133
両親
(
りやうしん
)
は
如何
(
いか
)
に、
134
妹
(
いもうと
)
は
如何
(
いか
)
にと、
135
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
がつきる
程
(
ほど
)
どれ
丈
(
だけ
)
泣
(
な
)
き
暮
(
く
)
らしたか
知
(
し
)
れない。
136
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
拾
(
ひろ
)
はれて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
に
入
(
い
)
り、
137
歓喜
(
くわんき
)
の
雨
(
あめ
)
に
浴
(
よく
)
し、
138
「かへらぬ
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ふまい」といつも
心
(
こころ
)
を
紛
(
まぎ
)
らし、
139
馬鹿口
(
ばかぐち
)
ばかりたたいて
浮世
(
うきよ
)
三分
(
さんぶ
)
五厘
(
ごりん
)
で
表面
(
へうめん
)
は
暮
(
く
)
らして
居
(
ゐ
)
るものの、
140
恩愛
(
おんあい
)
の
覊
(
きづな
)
はどうしても
切
(
き
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
141
妹
(
いもうと
)
、
142
俺
(
おれ
)
も
会
(
あ
)
ひたかつた』
143
と
人目
(
ひとめ
)
も
構
(
かま
)
はず
楓
(
かへで
)
の
体
(
からだ
)
を
抱
(
いだ
)
きかかへ、
144
一言
(
ひとこと
)
も
発
(
はつ
)
し
得
(
え
)
ず
泣
(
な
)
き
崩
(
くづ
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
145
勇
(
いさ
)
みをつけむと
治国別
(
はるくにわけ
)
は
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
しぬ。
146
治国別
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
147
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
148
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
149
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
は
荒
(
すさ
)
ぶとも
150
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
151
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
152
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
153
善神
(
ぜんしん
)
邪神
(
じやしん
)
を
立
(
た
)
て
分
(
わ
)
ける
154
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
155
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
156
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
157
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
158
身
(
み
)
の
禍
(
わざはひ
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
159
天地
(
てんち
)
を
造
(
つく
)
りたまひたる
160
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
のます
限
(
かぎ
)
り
161
信
(
しん
)
と
愛
(
あい
)
との
備
(
そな
)
はりし
162
誠
(
まこと
)
の
氏子
(
うぢこ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
163
守
(
まも
)
りたまはぬ
事
(
こと
)
やある
164
晴公
(
はるこう
)
楓
(
かへで
)
の
両人
(
りやうにん
)
よ
165
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
平
(
たひ
)
らけく
166
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せよ
千早
(
ちはや
)
振
(
ふ
)
る
167
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
168
親子
(
おやこ
)
兄妹
(
きやうだい
)
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
169
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
楽
(
たの
)
しみを
170
摂受
(
せつじゆ
)
し
得
(
う
)
るは
目
(
ま
)
のあたり
171
治国別
(
はるくにわけ
)
は
三五
(
あななひ
)
の
172
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
頼
(
たよ
)
りつつ
173
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
望
(
のぞ
)
みをば
174
必
(
かなら
)
ず
叶
(
かな
)
へ
与
(
あた
)
ふべし
175
神
(
かみ
)
は
汝
(
なんぢ
)
と
共
(
とも
)
にあり
176
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
177
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
は
178
如何
(
いか
)
に
悪魔
(
あくま
)
の
荒
(
すさ
)
ぶとも
179
如何
(
いか
)
でか
恐
(
おそ
)
れむ
敷島
(
しきしま
)
の
180
大和心
(
やまとごころ
)
を
振
(
ふ
)
り
興
(
おこ
)
し
181
四方
(
よも
)
の
醜草
(
しこぐさ
)
薙払
(
なぎはら
)
ひ
182
天地
(
てんち
)
に
塞
(
ふさ
)
がる
叢雲
(
むらくも
)
を
183
生言霊
(
いくことたま
)
の
神力
(
しんりき
)
に
184
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひつつ
天
(
あま
)
つたふ
185
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
の
清
(
きよ
)
きごと
186
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
かげの
照
(
て
)
る
如
(
ごと
)
く
187
吾
(
わ
)
が
神力
(
しんりき
)
を
輝
(
かがや
)
かし
188
バラモン
教
(
けう
)
の
曲神
(
まがかみ
)
を
189
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し
歓楽
(
くわんらく
)
の
190
海
(
うみ
)
に
真如
(
しんによ
)
の
日月
(
じつげつ
)
を
191
浮
(
うか
)
べて
歓喜
(
くわんき
)
の
小波
(
さざなみ
)
に
192
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
す
法
(
のり
)
の
船
(
ふね
)
193
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けくおぼされよ
194
いざこれよりは
曲神
(
まがかみ
)
の
195
軍
(
いくさ
)
の
砦
(
とりで
)
に
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
196
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
の
給
(
たま
)
ひてし
197
生言霊
(
いくことたま
)
を
打
(
う
)
ち
出
(
だ
)
して
198
天地
(
てんち
)
清浄
(
しやうじやう
)
山川
(
やまかは
)
も
199
木草
(
きくさ
)
の
端
(
はし
)
に
至
(
いた
)
るまで
200
歓喜
(
くわんき
)
の
雨
(
あめ
)
に
浴
(
よく
)
せしめ
201
救
(
すく
)
ひて
往
(
ゆ
)
かむ
惟神
(
かむながら
)
202
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
亀彦
(
かめひこ
)
が
203
治国別
(
はるくにわけ
)
と
現
(
あら
)
はれて
204
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
205
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
206
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ。
207
今
(
いま
)
のぼる
月
(
つき
)
の
御光
(
みひかり
)
親
(
おや
)
と
子
(
こ
)
の
208
身
(
み
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
を
守
(
まも
)
らせたまへ。
209
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
時
(
とき
)
をまたせよ
楓姫
(
かへでひめ
)
210
珍彦
(
うづひこ
)
静子
(
しづこ
)
の
親
(
おや
)
に
遇
(
あ
)
はさむ。
211
たらちねの
親
(
おや
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
日月
(
じつげつ
)
の
212
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
光
(
ひかり
)
なるかも。
213
七里
(
ななさと
)
を
照
(
て
)
らすと
云
(
い
)
へる
垂乳根
(
たらちね
)
の
214
親
(
おや
)
の
光
(
ひかり
)
ぞめでたかりけり。
215
治国別
(
はるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
村肝
(
むらきも
)
の
216
心
(
こころ
)
の
限
(
かぎ
)
り
汝
(
なれ
)
をたすけむ』
217
楓
(
かへで
)
は
唄
(
うた
)
ふ。
218
楓
『たまちはふ
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
に
遇
(
あ
)
ひしごと
219
吾
(
われ
)
は
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
み
来
(
き
)
にけり。
220
有難
(
ありがた
)
き
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
照
(
て
)
らされて
221
吾
(
わが
)
父母
(
ちちはは
)
に
遇
(
あ
)
ふ
日
(
ひ
)
待
(
ま
)
たるる。
222
吾
(
わが
)
兄
(
あに
)
に
思
(
おも
)
はぬ
処
(
ところ
)
で
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
223
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
のとめどなきかな。
224
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
を
恨
(
うら
)
みし
吾
(
われ
)
こそは
225
身
(
み
)
の
愚
(
おろか
)
さを
今
(
いま
)
ぞ
悔
(
く
)
いぬる。
226
垂乳根
(
たらちね
)
の
親
(
おや
)
は
如何
(
いか
)
にと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
227
胸
(
むね
)
迫
(
せま
)
りつつ
神詣
(
かみまう
)
でせし。
228
父母
(
ちちはは
)
を
奪
(
うば
)
ひ
去
(
さ
)
りたる
曲神
(
まがかみ
)
を
229
憎
(
にく
)
みしあまり
醜業
(
しこわざ
)
せしかな。
230
大空
(
おほぞら
)
を
照
(
て
)
らして
登
(
のぼ
)
る
月影
(
つきかげ
)
を
231
見
(
み
)
るにつけてもうら
恥
(
はづ
)
かしき』
232
晴公
(
はるこう
)
『
三五
(
あななひ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
に
浴
(
よく
)
しつつ
233
浮世
(
うきよ
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
覚
(
さま
)
しけるかな。
234
妹
(
いもうと
)
と
聞
(
き
)
くより
心
(
こころ
)
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
ちて
235
抱
(
だ
)
きつきたくぞ
思
(
おも
)
ひけるかな。
236
バラモンに
捕
(
とら
)
へられたる
父母
(
ちちはは
)
の
237
身
(
み
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
を
果
(
は
)
かなくぞ
思
(
おも
)
ふ。
238
さりながら
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
垂乳根
(
たらちね
)
の
239
身
(
み
)
を
隅
(
くま
)
もなく
守
(
まも
)
りたまはむ。
240
垂乳根
(
たらちね
)
の
父
(
ちち
)
珍彦
(
うづひこ
)
よ
母
(
はは
)
の
君
(
きみ
)
よ
241
今
(
いま
)
兄妹
(
きやうだい
)
が
救
(
すく
)
ひまつらむ。
242
さは
云
(
い
)
へどか
弱
(
よわ
)
きわれの
力
(
ちから
)
ならず
243
産土山
(
うぶすなやま
)
の
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに。
244
治国別
(
はるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
助
(
たす
)
けられ
245
吾
(
わが
)
垂乳根
(
たらちね
)
を
救
(
すく
)
ふ
嬉
(
うれ
)
しさ。
246
曲神
(
まがかみ
)
の
如何
(
いか
)
程
(
ほど
)
せまり
来
(
きた
)
るとも
247
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
におひ
退
(
そ
)
けやらむ。
248
妹
(
いもうと
)
よ
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
かれ
三五
(
あななひ
)
の
249
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
見捨
(
みす
)
てたまはじ』
250
楓
(
かへで
)
『
有難
(
ありがた
)
し
兄
(
あに
)
の
命
(
みこと
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
251
胸
(
むね
)
にたたみて
守
(
まも
)
りとやせむ。
252
アーメニヤ
恋
(
こひ
)
しき
家
(
いへ
)
をふり
捨
(
す
)
てて
253
逍
(
さまよ
)
ひし
親子
(
おやこ
)
の
身
(
み
)
の
果
(
はか
)
なさよ。
254
黄金姫
(
わうごんひめ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
助
(
たす
)
けられ
255
またもやここに
救
(
すく
)
はれにけり。
256
何事
(
なにごと
)
も
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
経綸
(
しぐみ
)
257
見直
(
みなほ
)
し
見
(
み
)
れば
憂
(
う
)
き
事
(
こと
)
もなし。
258
憂
(
う
)
き
事
(
こと
)
のなほ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
に
積
(
つも
)
るとも
259
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れむ
神
(
かみ
)
のまにまに』
260
松彦
(
まつひこ
)
『
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
大空
(
おほぞら
)
に
照
(
て
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
261
曲
(
まが
)
のかくらふ
隙
(
すき
)
はあらまし。
262
ランチてふ
軍
(
いくさ
)
の
司
(
つかさ
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
て
263
生言霊
(
いくことたま
)
をたむけてや
見
(
み
)
む。
264
愛信
(
あいしん
)
の
誠
(
まこと
)
の
剣
(
つるぎ
)
振
(
ふ
)
りかざし
265
曲
(
まが
)
のとりでを
切
(
き
)
りはふりなむ。
266
面白
(
おもしろ
)
しあゝ
勇
(
いさ
)
ましき
門出
(
かどで
)
かな
267
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へし
軍司
(
いくさづかさ
)
の』
268
万公
(
まんこう
)
『
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
に
勝
(
まさ
)
る
宝
(
たから
)
なし
269
珍彦
(
うづひこ
)
静子
(
しづこ
)
の
心
(
こころ
)
しのばゆ。
270
珍彦
(
うづひこ
)
よ
静子
(
しづこ
)
の
姫
(
ひめ
)
よ
待
(
ま
)
てしばし
271
救
(
すくひ
)
の
神
(
かみ
)
と
現
(
あら
)
はれゆかむ。
272
ゆくりなく
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひたる
山口
(
やまぐち
)
の
273
森
(
もり
)
は
結
(
むす
)
びの
神
(
かみ
)
にますらむ』
274
竜公
(
たつこう
)
『
常暗
(
とこやみ
)
の
森
(
もり
)
を
照
(
て
)
らして
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
275
怪
(
あや
)
しき
影
(
かげ
)
に
驚
(
おどろ
)
きしかな。
276
さりながら
世
(
よ
)
にも
稀
(
まれ
)
なるナイスぞと
277
悟
(
さと
)
りし
時
(
とき
)
の
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けさ。
278
今
(
いま
)
となり
身
(
み
)
の
愚
(
おろ
)
かさを
顧
(
かへり
)
みて
279
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
さへ
赤
(
あか
)
くなりぬる。
280
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
に
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
潜
(
ひそ
)
むらむ
281
正
(
ただ
)
しき
人
(
ひと
)
をおぢ
怖
(
おそ
)
れけり。
282
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
曲神
(
まがかみ
)
を
283
払
(
はら
)
はせたまへ
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
。
284
治国別
(
はるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
従
(
したが
)
ひて
285
言霊戦
(
ことたまいくさ
)
に
向
(
むか
)
ふ
嬉
(
うれ
)
しさ』
286
治国別
(
はるくにわけ
)
『
山口
(
やまぐち
)
の
森
(
もり
)
に
休
(
やす
)
らひ
兄妹
(
おとどひ
)
の
287
名乗
(
なの
)
りあげたる
事
(
こと
)
の
床
(
ゆか
)
しさ。
288
片彦
(
かたひこ
)
やランチ
将軍
(
しやうぐん
)
何者
(
なにもの
)
ぞ
289
彼
(
かれ
)
は
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
なれば。
290
吾
(
われ
)
こそは
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
なり
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
291
いかで
恐
(
おそ
)
れむ
人
(
ひと
)
の
御子
(
みこ
)
らに。
292
さりながら
心
(
こころ
)
高
(
たか
)
ぶる
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ
293
言霊戦
(
ことたません
)
に
向
(
むか
)
ふ
人々
(
ひとびと
)
。
294
たらちねの
親子
(
おやこ
)
兄妹
(
きやうだい
)
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
295
抱
(
いだ
)
き
喜
(
よろこ
)
ぶ
時
(
とき
)
の
待
(
ま
)
たるる。
296
夜
(
よ
)
や
更
(
ふ
)
けぬ
月
(
つき
)
は
御空
(
みそら
)
に
上
(
のぼ
)
りましぬ
297
いざいねませよ
百
(
もも
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
』
298
晴公
(
はるこう
)
『
神司
(
かむづかさ
)
宣
(
の
)
らせたまへる
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
も
299
守
(
まも
)
るよしなき
今日
(
けふ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ。
300
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
みて
森
(
もり
)
の
夜
(
よ
)
の
301
明
(
あ
)
けゆく
空
(
そら
)
を
待
(
ま
)
ちあぐむなり』
302
楓
(
かへで
)
『なつかしき
兄
(
あに
)
の
命
(
みこと
)
よ
治国別
(
はるくにわけ
)
の
303
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
御言
(
みこと
)
守
(
まも
)
りませ
304
さりながら
妾
(
わらは
)
も
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
305
ねるに
寝
(
ね
)
られぬ
今宵
(
こよひ
)
ばかりは』
306
治国別
(
はるくにわけ
)
『
兄妹
(
きやうだい
)
の
心
(
こころ
)
はさもやあるべしと
307
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
しおく
308
いざさらば
万公
(
まんこう
)
五三公
(
いそこう
)
竜公
(
たつこう
)
よ
309
松彦
(
まつひこ
)
共
(
とも
)
に
一
(
ひと
)
ねむりせよ』
310
松彦
(
まつひこ
)
『
吾
(
わが
)
兄
(
あに
)
の
言葉
(
ことば
)
にならひ
人々
(
ひとびと
)
よ
311
よくねむりませ
寅
(
とら
)
の
刻
(
こく
)
まで』
312
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひて
治国別
(
はるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
は、
313
やすやすと
眠
(
ねむ
)
りについた。
314
晴公
(
はるこう
)
、
315
楓
(
かへで
)
の
兄妹
(
きやうだい
)
は
嬉
(
うれ
)
しさの
余
(
あま
)
り
一睡
(
いつすゐ
)
もせず
辺
(
あた
)
りを
憚
(
はばか
)
り、
316
ひそびそと
長物語
(
ながものがたり
)
を
涙
(
なみだ
)
とともに
語
(
かた
)
り
明
(
あ
)
かさむと
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立出
(
たちい
)
で
兄妹
(
きやうだい
)
は
月光
(
げつくわう
)
を
浴
(
あ
)
びて
森
(
もり
)
の
外
(
そと
)
を
逍遥
(
せうえう
)
する
真夜中
(
まよなか
)
、
317
初冬
(
しよとう
)
の
月
(
つき
)
は
皎々
(
かうかう
)
として
満天
(
まんてん
)
に
輝
(
かがや
)
き、
318
此
(
この
)
森
(
もり
)
の
外面
(
ぐわいめん
)
は
白
(
しろ
)
く
光
(
ひか
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
319
(
大正一一・一二・八
旧一〇・二〇
加藤明子
録)
320
(昭和九・一二・二七 王仁校正)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 怪光
(B)
(N)
腰ぬけ >>>
霊界物語
>
第44巻
> 第2篇 月明清楓 > 第10章 奇遇
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
逆リンク(このページにリンクが張られているページ)
宣伝使になるものは悲惨な者ばかり | 飯塚弘明.com
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【10 奇遇|第44巻(未の巻)|霊界物語/rm4410】
合言葉「みろく」を入力して下さい→