第一四章 思ひ出の歌〔一一八三〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:第2篇 月明清楓
よみ(新仮名遣い):げつめいせいふう
章:第14章 思ひ出の歌
よみ(新仮名遣い):おもいでのうた
通し章番号:1183
口述日:1922(大正11)年12月08日(旧10月20日)
口述場所:
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:山口の森
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:治国別は河鹿峠の山口まで送り届けた晴公親子と別れたのち、足を早めて山口の森に向かった。万公は足拍子を取りながら進軍歌を歌っている。
万公は若いころに両親に苦労をかけた身の上を歌い、自身の精進と両親に対していつか苦労に報いることができるようにと、述懐を歌っていた。
一方治国別は、霊界における霊国と天国の違いを歌に歌い、天人の様子とその責務を宣伝歌に歌った。
一行は楓に出会った山口の森まで戻ってきた。万公はここで再び野宿をしようと提案したが、治国別は浮木の森まで先を急ごうと発破をかけ、一行は南を指して進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2023-02-14 17:51:22
OBC :rm4414
愛善世界社版:187頁
八幡書店版:第8輯 205頁
修補版:
校定版:196頁
普及版:81頁
初版:
ページ備考:
001 治国別一行は、002河鹿峠の山口にて親子四人に訣別し、003再び足を早めて山口の森に向つた。004万公は道々足拍子を取りながら進軍歌を歌つた。
005万公『神が表に現はれて 006善と悪とを立分ける
010奇童神童と讃へられ
011吾両親も喜びて
014天下無双の豪傑に
018二つの眼へ入つても
020噛ンだり吐いたり抱いたり
022助けて日夜に甘やかし
025里人達に蚰蜒の
028杓に水を汲み取つて
030極道息子にして仕舞つた
032可愛がりよが違た故
033鼻垂れ小僧の俺達に 034呑ました甘茶が毒となり
035挺子でも棒でも動かない
037女に溺れる賭博打つ
043見捨て給はず俺のよな
045仁慈無限の手を延べて
047二人の親の愛よりも 048神の恵は幾倍か
049分らない程有難い 050仁慈の教を聞いてから
052根本的に改良し
053今は嬉しき三五の 054名さへ目出度き宣伝使
056悪魔の征討に上りゆく
058此世を作りし神直日
059心も広き大直日 060直日に見直し聞直し
061救ひ玉ひし皇神の
063涙の露の晴れ間なし
065一生懸命に研き上げ
068先祖の御名は云ふも更
069吾両親の御名迄も
072飯食ふ間も忘れない
074此頃親が恋しなり
076思ひは胸に満ち溢れ
077気が気でならぬ吾身魂 078二人の親に孝行を
081温い布団も着せられず 082何程甘い飲食を
083供へた処で甘いとも
086三五教の神様へ
088どうぞ二人の親達の
090天晴手柄を致すまで
094森の木蔭で晴公が
095恋しき親に廻り会ひ 096妹と遇うた嬉しさを
097眺めた時の吾心
101剽軽者だと誹られよが 102あの場に臨むでそンな事
103構うて居るよな間があろか
105私を育てた両親も 106朝な夕なに神様に
107両手を合せ万公が 108一時も早く改心し
109一人前の益良雄に
111飾つて帰り来ますやうと 112祈つて御座るに相違ない
113山より高い父の恩 114海より深い母の慈悲
116深い恵は神の恩
119諾なひたまひて吾霊を
121吾師の君に従ひて 122旗鼓堂々と神の道
123今や進むで出でて往く 124朝日は照るとも曇るとも
126如何でか忘れむ親の恩
127忘れてならうか神の恩 128神は吾等と倶にあり
129人は神の子神の宮
131聞いたる上は一日も 132仇に月日は送れない
135 治国別は道々歌ふ。
137清く正しき神の国
139御霊の清き人々の
141常磐堅磐に栄えゆく
146夜なき清き神の国 147月日は清く明けく
149地上の世界に比べては
151この楽園に住む人は
152皆天人と讃へられ 153不老と不死の境界に
154置かれて主神を信愛し 155無上の正覚開きつつ
158神の御国ぞ尊けれ
160茲に二つの区別あり 161其第一を霊国と
162称へて神の在す国 163第二の国を天国と
164称へて清き身霊等の 165地上を捨てて天人と
166成り済ましたる人々の 167喜び勇み遊ぶ国
168霊国、天国諸共に 169愛と信との日月は
171金銀瑪瑙瑠璃硨磲
172玻璃や珊瑚の殿堂や 173樹木は野辺に繁茂して
174玲瓏玉の如くなる 175天人男女は永久に
176手を携へて神業に
178宇宙唯一の神の国
181地上に生れし吾々の
182身霊を汚す事もなく 183現世の事皆終へて
185上りし時は主の神の
186尊き恵みに包まれて 187安く楽しく永久に
188住まはせ玉へ天津神
191畏み畏み願ぎまつる
192朝日は照るとも曇るとも
194神に任せし吾々は 195如何でか曲に汚されむ
196至粋至純神ながら 197神に禀けたる御魂をば
199此身此儘天国の
200神の御国に神籍を 201置かさせ玉へ惟神
202神の御前に願ぎまつる 203仁慈無限の大神は
204地上に人の種を蒔き 205肉の宮をば胞衣として
206清き御霊を養ひつ 207成人したる其上は
209迎はせ玉ひ天国の
212人と生れし神の子は 213善をば励み悪を避け
214神をば信じ 且つ愛し 215神の御子たる本分を
217如何でか捨てさせ給ふべき
218思へば思へば人の身は
222仁慈の心汲み取りて
225身霊を汚す事勿れ
226限りも知らぬ生命を 227保ちて栄ゆる天国の
228御民となりて地の上の
234立て分け玉ふ世となりぬ 235斯かる尊き大御代に
237至幸至福の者ぞかし
238喜び祝へ神の恩
240神は吾等と倶にあり 241人は神の子神の宮
242決して汚す事勿れ
245 斯く歌ひて治国別一行四人は凩荒ぶ荒野を渡り、246煌々たる太陽の光を面に受けながら、247意気揚々として、248又もや山口の森に差かかる。249万公は、
250万公『先生、251夜前の活劇場へ又もや到着致しました。252随分夜前はよい獲物がありましたな。253今晩もここで一つお宿をかる事に致しませう。254今度はひよつとしたら、255ヒウドロドロがやつて来るかも知れませぬぜ』
256治国別『ハヽヽヽヽ、257夜前のやうに蒟蒻の幽霊と早替りせらるると困るからなア。258此森は危険だよ、259サア今日の中に膝栗毛に鞭を打つて浮木の原まで遠乗りをせうかい』
260万公『浮木の森迄は幾等程里程がありますか』
261治国別『まアざつと五十里位のものだらう』
262万公『それや大変だ。263何うしてコンパスが続くものですか』
264治国別『又万公弱音を吹き出したなア、265神様のお力を借れば五十里位は一息だ、266サア往かう』
267と山口の森を一寸目礼し、268委細構はずスタスタと、269南を指して急ぎ行く。
270(大正一一・一二・八 旧一〇・二〇 加藤明子録)