霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 (さぎ)(からす)〔一六一七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻 篇:第3篇 幽迷怪道 よみ(新仮名遣い):ゆうめいかいどう
章:第10章 鷺と鴉 よみ(新仮名遣い):さぎとからす 通し章番号:1617
口述日:1923(大正12)年05月24日(旧04月9日) 口述場所:竜宮館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年2月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
人間が霊肉脱離ののち、高天原の楽土または地獄の暗黒界に陥るにあたり、何人も踏まなければならない経過があり、これは三種の状態が区別される。外面の状態、準備の状態、内面の状態である。
しかしながら中有界(精霊界)の準備を経過せずに直ちに天界または地獄に行くものは、生前すでに準備ができており、善悪の情動ならびに因縁によって、各自霊魂相応のところを得ているのである。
天界に入る準備が生前できていれば、自然的世界的な悪習慣等が洗浄されれば、直ちに天人の保護指導によって相応の愛に匹敵した楽土に導かれる。
地獄に陥る精霊は、限界において表面のみ愛と善を標榜し、かつ偽善的動作のみ行い、内心深く悪を蔵していた者である。いわゆる、自己の凶悪を糊塗して人を欺くために、善と愛とを利用した者である。
このような精霊は神様の摂理により、さまざまな状態で地獄に落ちていく。口先ばかり親切らしく見せかけて世人を油断させ、その虚に乗じて自己の利益をはかり、かつ世の人に損害を与えた者たちである。
このようなことは比較的少数であり、大部分は精霊界にとどめられて神教を授かり、精霊自己の善悪の程度によって神の順序にしたがい、第三下層天国または地獄に入る準備をなさしめられるのである。
人間各自の精霊は外面的・内面的の二方面を有している。精霊の外面とは、人間が現世において他の人々と交わるに際して、身体に適順させる手段を用いることである。特に面色、語辞、動作等の外的状態である。
精霊の内面とは、人の意志および想念に属する状態であって、容易に外面に現れないものである。
すべての人間は、幼少のころから仁義誠実、道徳等の武器を外面に摸表することを習っている。しかしその意志するところの想念はすべて、深く内底に包蔵されている。そのため人間同士の眼からこれを看破することは不可能である。
現代の人間は、その内心がいかに邪悪無道に満ちていても、表面生活上のために似非道徳的・似非文明的生涯を営むのが常となっている。
現界永年の習慣の結果、人間の精神は麻痺しきってしまって、自己の内面さえ知ることができなくなっている。また内面的生涯の善悪などについて煩慮することさえ稀である。ましてや他人の内面的生涯を察知することなどできはしない。
死後精霊界に至った直後の人間精霊の状態は、肉体が現世にあったときと少しの相違もない。ゆえに自己が一個の精霊だということを想いおこなさなかったら、高姫のごとく、現界にあって生活を送っているという感覚をなすほかはないほどである。人間の死というものは、この間の通路に過ぎない。
現世を去ってまだ幾何の日時も経ない人間の精霊や、現界人の一時的な変調によって霊界に入ってきた精霊も、現世にあるのと同じような状態にいるものであり、生前の朋友や知己と互いに相会し相知り合うものである。
精霊は、その面色や言語等によって知覚し、相接近するときはその生命の円相によって互いに知覚するのである。霊界においてもし甲が乙を思うと、乙は直ちに甲の前に現れ来る。
霊界は想念の世界であり、何事も霊的事象に支配されているから、現界のような時間空間がない。その想念の情動によって互いに朋友、親族、知己を認識し、現世にあったときの交情によって互いに談話もなし、ほとんど現世にあったときと少しの相違もないのである。
夫婦再開などは互いに相祝し、現世において夫婦双棲の歓喜を味わい楽しんだ程度に比して、あるいは長く、あるいは少時間、その生涯を共にするものである。
霊界の善霊すなわち天人は、現界から新たに入り来った精霊の善悪正邪を点検するために、たいてい以下のような点を確認する。すなわち凶霊は常に外面的事物についてのみ談論することを好むこと甚だしく、内面的事物については豪も顧みない。
内的事物とは、神の教え、聖地救世主の神格、高天原に関する真と善とに関してであるが、凶霊はこれを談論せず、聞くことを嫌忌し、意に止めず、神の教えを聞いても楽しまず、かえって不快の念を起こし面貌にまで表すものである。
現界人の多くは神仏の教えを迷信呼ばわりし、神仏を口にすることを恥辱のように考ええている者が大多数である。大本の教えをこちらから何ほど親切をもって聞かせても、地獄道に籍をおいた人間には到底駄目であることを実地に経験した。
しかしながら大慈大悲の大神の御心を奉戴し、一人たりとも天界に進ませ永遠無窮の生命に赴かしめ、もって神界御経綸の一端に仕えなければならないのである。
精霊もある一定の期間を経ると、彼らの精霊が内面的状態に移り、その内分の一切が暴露される。
人間の死後における第一の外面的状態は、あるいは一日、あるいは数日、数か月から一年にわたることもある。しかしながら一年を越えるこのは極めて稀有である。各自精霊の外面状態に長短の差があるのは、内外両面の一致不一致による。
天人はまず精霊の外面を暴露せしめ、順序中に入らしめて、内面に相応する平面たらしめる。この順序を取るところは、精霊界(中有界)の中心点である天の八衢の関所であって、伊吹戸主大神の主管し給うブルガリオにおいて行われる。
内面的状態は、人間が中有界である一定期間を経過し、心すなわち意志と想念に属する境遇のことを言うのである。
およそ民文の発達した社会に生存するものは、世間の風評や談話によって人を判断し、自分の心のままを語らず、応接はなるべく礼に合うべく務めるものである。またみえすいたような嘘でも善く言われると大変に歓ぶものである。
これに反して真実をその人の前に赤裸々に言明するときは非常に不快の念を起こし敵視されるようなことが起こる。現代の人間の言動は、その思うところ・願うところとまったく正反対のものである。
偽善者の境遇にあるものは、言説においては天人のように愛善と真信に一切基づいているようであるが、その内実は高天原の経綸も霊魂の救いも死後の世界も信じておらず、ただ自己の利益を愛しているのみである。
このような人間は、内外両面を区別し、一つとならないように努めている。外面外面が衝突をきたしている。しかし現代の理屈からいえば、内外両面を区別して考えることが至極当然となっている。
そして内面外面の一致という説に対しては種々の悪名を付け、悪魔の言としてけなすものである。内面的想念が外表に流れて暴露することがないように努め、限界的道理によってすべてを解決しようとし、内面的神善を抹殺するのである。
しかし人間が創造されたのは、その内面的想念を、相応によって外面的想念と相一致させなくてはならない理由があるのである。真の善人はその思うところも言うところもただ善のみである。
地獄的悪人においては、心に悪を想いながら善を口に語り、善人とはまったく正反対の状態にある。外面に善を示して、内面に悪を抱いている。かくて善は悪のために制せられ、使役されるにいたる。
真の善に居るものは、順序を乱すことなく、その全はみな内面的想念から流れて外面に出て、それが言説となり行動となる。人間はこのような順序のもとに創造されたからである。
人間の内面はすべて高天原の神界にあり、神界の光明中に包まれている。この光明とは、大神より起こり来る神真であり、高天原の主となるものである。
人間には内外両面の想念があり、互いに隔たっている。想念は意志からくるものであり、意志の一形式である。
およそ人間の人間たるゆえんはまったくその内面にあるのであり、外面にあるのではにないことを知らなければならない。内面は人の霊に属し、人の生涯とはこの内面の霊の生涯に他ならない。
人の身体に生命があるのは、この精霊に由るのである。この理によって、人はその内面のごとく生存し永遠にわたって変わらず、不老不死の永世を保つものである。
されど外面は肉体に属するがゆえに、死後は必ず離散し消滅し、その霊に属していた部分は眠り、ただ内面のために平面となるにすぎないのである。かくして人間の自有に属するもの・属さないものとの区別が明らかになる。
外的意志と外的想念とは、一つも自有のものではない。ただその内面的な意志と想念に属するもののみが自有となしうるのである。そのため、永遠の生命に入ったとき、自有となるものは、神の国の栄のために努力した花実ばかりである。その他一切のものは中有界においてはく奪されるものである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6310
愛善世界社版:137頁 八幡書店版:第11輯 310頁 修補版: 校定版:139頁 普及版:64頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 【宗教編】第四篇 神霊世界 > 第十章 鷺と鴉
001 人間(にんげん)霊肉(れいにく)脱離(だつり)(のち)002高天原(たかあまはら)楽土(らくど)(また)地獄(ぢごく)暗黒界(あんこくかい)(おちい)るに(さき)んじて003何人(なにびと)()まねばならぬ経過(けいくわ)がありまして、004この状態(じやうたい)三種(さんしゆ)区別(くべつ)があります。005そしてこの三状態(さんじやうたい)大別(たいべつ)して、006外面(ぐわいめん)状態(じやうたい)007準備(じゆんび)状態(じやうたい)008内面(ないめん)状態(じやうたい)(いた)します。009(しか)(なが)死後(しご)(ただち)高天原(たかあまはら)(のぼ)精霊(せいれい)010地獄(ぢごく)(おちい)精霊(せいれい)とのあることは、011今日(こんにち)(まで)物語(ものがたり)(おい)読者(どくしや)(すで)(すで)()承知(しようち)(こと)(おも)ひます。012中有界(ちううかい)一名(いちめい)精霊界(せいれいかい)準備(じゆんび)経過(けいくわ)せずして013(ただち)天界(てんかい)(また)地獄(ぢごく)()くものは014生前(せいぜん)(すで)(その)準備(じゆんび)出来(でき)()015善悪(ぜんあく)情動(じやうどう)(ならび)因縁(いんねん)によつて各自(かくじ)霊魂(れいこん)相応(さうおう)(ところ)()るものです。016(みぎ)(ごと)準備(じゆんび)(すで)完了(くわんれう)せる精霊(せいれい)にあつては017(ただ)その肉体(にくたい)(とも)自然(しぜん)(てき)世界(せかい)(てき)なる悪習慣(あくしふくわん)(とう)洗滌(せんでう)すれば018(ただち)天人(てんにん)保護(ほご)指導(しだう)()つて019天界(てんかい)の、0191それ相応(さうおう)所主(しよしゆ)(あい)匹敵(ひつてき)した楽土(らくど)(みちび)かるるものであります。020(これ)(はん)して(ただち)地獄(ぢごく)(おちい)精霊(せいれい)にあつては、021現界(げんかい)(おい)表面(へうめん)にのみ(あい)(ぜん)とを標榜(へうぼう)022()偽善(ぎぜん)(てき)動作(どうさ)のみ(おこな)ひ、023内心(ないしん)(ふか)(あく)(ざう)()りしもの、024所謂(いはゆる)自己(じこ)凶悪(きようあく)糊塗(こと)して(ひと)(あざむ)くために025(ぜん)(あい)とを利用(りよう)したものであります。026(なか)にも(もつと)詐偽(さぎ)欺騙(ぎへん)()んで()るものは027(あし)上空(じやうくう)にし(かしら)()(さかさま)にして()()まれるやうにして()()くものです。028この(ほか)にも種々(しゆじゆ)様々(さまざま)状態(じやうたい)にて地獄(ぢごく)()()くものもあり、029(あるひ)死後(しご)(ただち)岩窟(がんくつ)(なか)(ふか)()()れられるものもありますが、030(かく)(ごと)状態(じやうたい)になるのは(すべ)(かみ)(さま)()摂理(せつり)031精霊界(せいれいかい)にある精霊(せいれい)分離(ぶんり)せむがためであります。032(ある)(とき)岩窟内(がんくつない)より()()され、033(また)ある(とき)()()れられる場合(ばあひ)もありますが、034(かく)(ごと)精霊(せいれい)生前(せいぜん)(おい)035(くち)(さき)(ばか)りで親切(しんせつ)らしく()せかけて、0351世人(せじん)油断(ゆだん)させ036(その)(きよ)(じやう)じて自己(じこ)利益(りえき)(はか)り、037()()(ひと)損害(そんがい)(あた)へたものですが、038斯様(かやう)(こと)比較(ひかく)(てき)少数(せうすう)であつて、039その大部分(だいぶぶん)精霊界(せいれいかい)(とど)められて神教(しんけう)(さづ)かり040精霊(せいれい)自己(じこ)善悪(ぜんあく)程度(ていど)によつて(かみ)順序(じゆんじよ)(したが)ひ、041第三(だいさん)下層(かそう)天国(てんごく)042(また)地獄(ぢごく)()るの準備(じゆんび)()さしめらるるものであります。043人間(にんげん)各自(かくじ)精霊(せいれい)には外面(ぐわいめん)(てき)044内面(ないめん)(てき)二方面(にはうめん)(いう)しております。045精霊(せいれい)外面(ぐわいめん)とは046人間(にんげん)現世(げんせい)(おい)()人々(ひとびと)(まじ)はるに(さい)047(その)身体(しんたい)をして(これ)適順(てきじゆん)せしむる(ところ)手段(しゆだん)(もち)ひる(こと)048(とく)面色(めんしよく)049語辞(ごじ)050動作(どうさ)(とう)外的(ぐわいてき)状態(じやうたい)であり、051精霊(せいれい)内面(ないめん)とは(ひと)意思(いし)(およ)びその意志(いし)よりする想念(さうねん)(ぞく)する状態(じやうたい)であつて、052容易(ようい)外面(ぐわいめん)には(あら)はれないものであります。053(すべ)ての人間(にんげん)054幼少(えうせう)(ころ)より朋友(ほういう)(じやう)だとか、055仁義(じんぎ)誠実(せいじつ)056道徳(だうとく)(とう)武器(ぶき)外面(ぐわいめん)模表(もへう)する(こと)(なら)つて()りますが、057(その)意志(いし)よりする(ところ)(すべ)ての想念(さうねん)058(これ)(ふか)内底(ないてい)包蔵(はうざう)するが(ゆゑ)に、059人間(にんげん)同士(どうし)()よりは(これ)観破(くわんぱ)することは(じつ)不可能(ふかのう)であります。060現代(げんだい)人間(にんげん)061その内心(ないしん)如何(いか)邪悪(じやあく)無道(ぶだう)()ちて()つても、062表面(へうめん)生活(せいくわつ)(じやう)便宜(べんぎ)のために063似非(エセ)道徳(だうとく)(てき)064似非(エセ)文明(ぶんめい)(てき)生涯(しやうがい)(いとな)むのは(つね)であります。065現界(げんかい)永年(えいねん)習慣(しふくわん)結果(けつくわ)066人間(にんげん)精神(せいしん)痳痺(まひ)()つて(しま)つて、067自己(じこ)内面(ないめん)さへ()(こと)出来(でき)なくなつて()ります。068また自己(じこ)内面(ないめん)(てき)生涯(しやうがい)善悪(ぜんあく)などに()いて煩慮(はんりよ)することさへも(まれ)であります。069(いは)んや070自己(じこ)以外(いぐわい)他人(たにん)内面(ないめん)(てき)生涯(しやうがい)如何(いかん)察知(さつち)するに(おい)ておやであります。071死後(しご)(ただ)ちに精霊界(せいれいかい)()ける人間(にんげん)精霊(せいれい)状態(じやうたい)072その肉体(にくたい)現世(げんせい)にありし(とき)(ごと)依然(いぜん)として容貌(ようばう)073言語(げんご)074性情(せいじやう)(とう)相酷似(あひこくじ)し、075道徳(だうとく)(じやう)076民文(みんぶん)(じやう)生活(せいくわつ)状態(じやうたい)(すこ)しの相違(さうゐ)もない。077(ゆゑ)人間(にんげん)死後(しご)精霊(せいれい)にして精霊界(せいれいかい)(おい)(あひ)()事物(じぶつ)注意(ちうい)(はら)はず、078(また)天人(てんにん)(かれ)精霊(せいれい)甦生(かうせい)せし(とき)(おい)ても、079自己(じこ)最早(もはや)一箇(いつこ)精霊(せいれい)だといふことを(おも)(おこ)さなかつたなれば、080その精霊(せいれい)依然(やはり)高姫(たかひめ)(ごと)081現界(げんかい)()つて生活(せいくわつ)(おく)つて()るといふ感覚(かんかく)をなすの(ほか)()いのです。082(ゆゑ)人間(にんげん)()といふものは083(ただ)(この)(かん)通路(つうろ)()ぎないものであります。
084 現世(げんせい)()りて(いま)幾何(いくばく)日時(にちじ)()ない人間(にんげん)精霊(せいれい)085(また)現界人(げんかいじん)(いち)()(てき)変調(へんてう)によつて霊界(れいかい)()(きた)りし精霊(せいれい)も、086()以上(いじやう)(ごと)状態(じやうたい)()るものであつて、087生前(せいぜん)朋友(ほういう)知己(ちき)(たがひ)(あひ)(くわい)(あひ)識合(しりあ)ふものであります。088(なん)となれば、089精霊(せいれい)なるものは、090その面色(めんしよく)言語(げんご)(とう)によつて知覚(ちかく)091(また)(あひ)接近(せつきん)する(とき)はその生命(せいめい)円相(ゑんさう)によつて(たがひ)知覚(ちかく)するものです。092霊界(れいかい)(おい)(かふ)()(おつ)(こと)(おも)(とき)(たちま)ちその面貌(めんばう)(おも)093(これ)同時(どうじ)に、0931その生涯(しやうがい)()いて(おこ)りし一切(いつさい)事物(じぶつ)(おも)ふものです。094そして(かふ)(おい)(これ)()すときは、095(おつ)(ただ)ちに(かふ)(まへ)(あら)はれ()るもので096丁度(ちやうど)態人(わざびと)使(つか)ひに()つて(まね)いて()るやうなものです。097霊界(れいかい)(おい)何故(なぜ)(かく)(ごと)自由(じいう)あるかと()へば098霊界(れいかい)想念(さうねん)世界(せかい)であるから099(おのづか)想念(さうねん)交通(かうつう)があり100何事(なにごと)霊的(れいてき)事象(じしやう)支配(しはい)されて()りますから、101現界(げんかい)(ごと)時間(じかん)(また)空間(くうかん)なるものが()いからであります。102それ(ゆゑ)霊界(れいかい)()(きた)りしものは(その)想念(さうねん)情動(じやうどう)によつて、103(たがひ)にその朋友(ほういう)104親族(しんぞく)105知己(ちき)認識(にんしき)せざるは()く、106現世(げんせい)にあつた(とき)交情(かうじやう)によつて(たがひ)談話(だんわ)()し、107交際(かうさい)()し、108(ほとん)現世(げんせい)にありし(とき)(すこ)しの相違(さうゐ)もないのです。109(なか)にも夫婦(ふうふ)再会(さいくわい)などは普通(ふつう)とせられて()ますが、110夫婦(ふうふ)再会(さいくわい)(とき)(たがひ)(あひ)(しゆく)し、111現世(げんせい)(おい)夫婦(ふうふ)双棲(さうせい)歓喜(くわんき)(あぢ)はひ(たの)しんだ程度(ていど)()して、112(あるひ)(なが)(ひさ)しく、113(あるひ)少時間(せうじかん)114その生涯(しやうがい)(とも)にするものです。115そしてその夫婦(ふうふ)(あひだ)真実(しんじつ)婚姻(こんいん)(あい)116(すなは)神界(しんかい)(あい)(もと)づいた(こころ)和合(わがふ)()(とき)は、117その夫婦(ふうふ)少時(しばらく)にして(あひ)(わか)るるものであります。
118 (また)夫婦(ふうふ)(あひだ)現世(げんせい)(おい)119(たがひ)了解(れうかい)なく嫉妬(しつと)不和(ふわ)争闘(さうとう)や、120その()内心(ないしん)嫌忌(けんき)しつつあつたものは、121(この)仇讐(きうしう)(てき)想念(さうねん)(たちま)外面(ぐわいめん)破裂(はれつ)して122(あひ)争闘(さうとう)分離(ぶんり)するものであります。
123 霊界(れいかい)にある善霊(ぜんれい)(すなは)天人(てんにん)124現界(げんかい)より(あら)たに()(きた)りし精霊(せいれい)善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)点撿(てんけん)すべく、125種々(しゆじゆ)方法(はうはふ)(もち)ふるものです。126精霊(せいれい)性格(せいかく)127死後(しご)外面(ぐわいめん)状態(じやうたい)にあつては容易(ようい)弁別(べんべつ)()かないものです。128如何(いか)凶悪(きようあく)無道(ぶだう)なる精霊(せいれい)にても129外面(ぐわいめん)(てき)真理(しんり)()(かた)り、1291(ぜん)(おこな)(こと)130至誠(しせい)至善(しぜん)善霊(ぜんれい)(すこ)しも相違(さうゐ)(てん)見出(みいだ)すことが出来(でき)ないのです。131外面(ぐわいめん)(じやう)(みな)有徳(いうとく)愛善(あいぜん)らしき生涯(しやうがい)(おく)つて()る。132現界(げんかい)(おい)一定(いつてい)統治(とうち)制度(せいど)(もと)にあつて法律(はふりつ)服従(ふくじゆう)して生息(せいそく)し、133(これ)()つて(ただ)しきもの、134至誠者(しせいしや)との名声(めいせい)(はく)(あるひ)特別(とくべつ)(めぐみ)()けて尊貴(そんき)地位(ちゐ)(のぼ)(とみ)(あつ)めたるものであつて、135(これ)()死後(しご)少時(しばらく)善者(ぜんしや)有徳者(いうとくしや)(みと)めらるるものです。136(しか)しながら天人(てんにん)(これ)()精霊(せいれい)善悪(ぜんあく)区別(くべつ)するに(あた)り、137大抵(たいてい)()方法(はうはふ)()るものであります。138(すべ)何人(なにびと)所主(しよしゆ)(あい)左右(さいう)さるるものでありますから、139(すなは)凶霊(きようれい)(つね)外面(ぐわいめん)(てき)事物(じぶつ)にのみ(つい)談論(だんろん)するを(この)むこと(はなは)だしく140内面(ないめん)(てき)事物(じぶつ)(つい)ては(がう)(かへり)みないからであります。141内的(ないてき)事物(じぶつ)(かみ)(をしへ)142(また)聖地(せいち)救世主(きうせいしゆ)神格(しんかく)143(およ)高天原(たかあまはら)(くわん)する(しん)(ぜん)とに(くわん)しては(これ)談論(だんろん)せず、144(また)(これ)(をし)ふるも()くことを嫌忌(けんき)(さら)()()めず、145(また)(かみ)(をしへ)()いて(たのし)まず、146(かへつ)不快(ふくわい)(ねん)(おこ)面貌(めんばう)にまで(あら)はすものです。147現界人(げんかいじん)(おほ)くは148(すべ)神仏(しんぶつ)(をしへ)迷信(めいしん)()ばはりをなし、149()神仏(しんぶつ)(くち)にする(こと)(おほい)恥辱(ちじよく)(ごと)(かんが)へて()るものが大多数(だいたすう)であつて、150大本(おほもと)(をしへ)此方(こちら)から(なに)(ほど)親切(しんせつ)(もつ)()かし、151天界(てんかい)(すく)(たす)けむと焦慮(せうりよ)するとも、152地獄道(ぢごくだう)(せき)()いた人間(にんげん)には、153到底(たうてい)駄目(だめ)である(こと)(しばしば)実験(じつけん)いたしました。154(しか)しながら大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)御心(みこころ)奉体(ほうたい)一人(ひとり)たりとも天界(てんかい)(すす)ませ、155永遠(ゑいゑん)無窮(むきう)生命(せいめい)(おもむ)かしめ156(もつ)神界(しんかい)()経綸(けいりん)一端(いつたん)(つか)へなくては()らないのであります。157霊界(れいかい)(おい)ても現界(げんかい)(おい)ても同一(どういつ)ですが、158地獄(ぢごく)()りの凶霊(きようれい)天界(てんかい)()きの善霊(ぜんれい)とを区別(くべつ)せむとするには159凶霊(きようれい)(しばしば)ある一定(いつてい)方向(はうかう)(すす)まむとするを()ることが出来(でき)ます。160凶霊(きようれい)がモシその()のままに放任(はうにん)される(とき)はそれに(つう)ずる道路(だうろ)往来(わうらい)するもので、161(かれ)()往来(わうらい)する方向(はうかう)転向(てんかう)する道路(だうろ)とによりて、162その所主(しよしゆ)(あい)(いづ)れにあるかを(たしか)めらるるものであります。
163 現界(げんかい)()つて霊界(れいかい)(あら)たに()(きた)精霊(せいれい)164(いづ)れも高天原(たかあまはら)とか地獄界(ぢごくかい)とかの()団体(だんたい)(ぞく)して()ないものは()りませぬが、165(しか)(これ)内的(ないてき)(こと)ですから、166その精霊(せいれい)()依然(いぜん)として外面(ぐわいめん)(てき)状態(じやうたい)にある(あひだ)(その)内実(ないじつ)(あら)はさない。167外面(ぐわいめん)(てき)事物(じぶつ)(すべ)ての内面(ないめん)(おほ)ひかくして(しま)ひ、168内面(ないめん)暴悪(ばうあく)なるものは、169(こと)(これ)(おほ)ひかくすこと巧妙(かうめう)(きは)めて()るからです。170(しか)()一定(いつてい)期間(きかん)()たる(のち)(かれ)()精霊(せいれい)内面(ないめん)(てき)状態(じやうたい)(うつ)(とき)(おい)て、171その内分(ないぶん)一切(いつさい)暴露(ばくろ)するものです。172この(とき)最早(もはや)外面(ぐわいめん)(ねむ)()消失(せうしつ)173内面(ないめん)のみ(ひら)かるるからであります。174人間(にんげん)死後(しご)()ける第一(だいいち)外面(ぐわいめん)(てき)情態(じやうたい)175(あるひ)(いち)(にち)176(あるひ)数日(すうじつ)177(あるひ)(すう)(げつ)178(あるひ)(いち)(ねん)(わた)ることがあります。179されど(いち)(ねん)()ゆるものは(きは)めて稀有(けう)(こと)であります。180(かく)(ごと)各自(かくじ)精霊(せいれい)外面(ぐわいめん)状態(じやうたい)長短(ちやうたん)()ある所以(ゆゑん)は、181内外(ないぐわい)両面(りやうめん)一致(いつち)不一致(ふいつち)によるものです。182何故(なぜ)なれば、183精霊界(せいれいかい)にあつては何人(なにびと)(いへど)思想(しさう)(およ)意志(いし)言説(げんせつ)(また)行動(かうどう)(べつ)にする(こと)(ゆる)されないから、184(かく)精霊(せいれい)内外(ないぐわい)両面(りやうめん)(ひとつ)となつて相応(さうおう)せざればならぬからであります。
185 精霊界(せいれいかい)にあるものは、186自有(じいう)情動(じやうどう)たる(あい)影像(えいざう)ならぬものはありませぬから、187その内面(ないめん)にある(ところ)一切(いつさい)をその外面(ぐわいめん)(あら)はさない(わけ)にはゆきませぬ。188(これ)(ゆゑ)善霊(ぜんれい)なる天人(てんにん)()精霊(せいれい)外面(ぐわいめん)暴露(ばくろ)せしめ、189(これ)順序(じゆんじよ)(ちう)()らしめて190(もつ)(その)内面(ないめん)相応(さうおう)する平面(へいめん)たらしめらるるのであります。191そして(かく)(ごと)順序(じゆんじよ)()(ところ)192精霊界(せいれいかい)(すなは)中有界(ちううかい)中心点(ちうしんてん)たる(あめ)八衢(やちまた)関所(せきしよ)であつて、193伊吹戸主(いぶきどぬしの)(かみ)主管(しゆくわん)(たま)ふ、194ブルガリオに(おい)(おこな)はるるものであります。
195 内面(ないめん)(てき)情態(じやうたい)196人間(にんげん)死後(しご)()一定(いつてい)期間(きかん)中有界(ちううかい)にて経過(けいくわ)し、197(こころ)(すなは)意志(いし)想念(さうねん)(ぞく)する精霊(せいれい)境遇(きやうぐう)()ふのです。198人間(にんげん)生涯(しやうがい)199言説(げんせつ)200行為(かうゐ)(とう)観察(くわんさつ)する(とき)201何人(なにびと)にも内面(ないめん)外面(ぐわいめん)二方面(にはうめん)(いう)することが()()られます。202その想念(さうねん)にも意志(いし)にも内外(ないぐわい)両面(りやうめん)区別(くべつ)があるものです。203(すべ)民文(みんぶん)発達(はつたつ)した社会(しやくわい)生存(せいぞん)するものは204他人(たにん)(こと)思惟(しゐ)するに(あた)り、205その(ひと)(たい)する世間(せけん)風評(ふうひやう)(また)談話(だんわ)(とう)()つて()たり()いたりした(ところ)のものを(もつ)206人間(にんげん)性能(せいのう)観察(くわんさつ)する基礎(きそ)となすものです。207されど人間(にんげん)他人(たにん)物語(ものがた)(とき)(さい)して208自分(じぶん)(こころ)(まま)(かた)るものではありませぬ。209たとへ対者(たいしや)悪人(あくにん)()つても、210(また)自分(じぶん)()()はない(ひと)であつても、211その交際(かうさい)応接(おうせつ)などの(てん)()()(れい)()ふべく、212(また)相手(あひて)(がた)感情(かんじやう)(がい)せざる(やう)(つと)むるもので、213(じつ)偽善(ぎぜん)(てき)行為(かうゐ)(あへ)てするもので、214(また)(これ)でなければ社会(しやくわい)より排斥(はいせき)されて(しま)ふやうな矛盾(むじゆん)出来(しゆつたい)する()(なか)であります。215そして(すべ)ての(ひと)()えすいたやうな(うそ)でも()()はれると大変(たいへん)(よろこ)ぶものですが、216(これ)(はん)真実(しんじつ)(その)(ひと)(まへ)赤裸々(せきらら)言明(げんめい)する(とき)非常(ひじやう)不快(ふくわい)(ねん)(おこ)し、217(つひ)には敵視(てきし)する(やう)になり、218(がい)(くは)ふるやうな(こと)出来(でき)るものです。219(ゆゑ)現代(げんだい)人間(にんげん)()(ところ)220(おこな)(ところ)は、221その(おも)(ところ)(ねが)(ところ)(まつた)正反対(せいはんたい)のものです。222偽善者(きぜんしや)境遇(きやうぐう)にあるものは、223高天原(たかあまはら)経綸(けいりん)死後(しご)世界(せかい)や、224霊魂(れいこん)(すく)ひや聖場(せいぢやう)真理(しんり)国家(こくか)利福(りふく)隣人(りんじん)(こと)(かた)らしておけば225(あたか)天人(てんにん)(ごと)愛善(あいぜん)信真(しんしん)一切(いつさい)(もと)づける(やう)なれども、226(その)内実(ないじつ)には高天原(たかあまはら)経綸(けいりん)霊魂(れいこん)(すく)ひも死後(しご)世界(せかい)(しん)じないのみか、227(ただ)(あい)する(ところ)のものは自己(じこ)利益(りえき)あるのみであります。228(かく)(ごと)偽善者(きぜんしや)229偽信者(ぎしんじや)随分(ずいぶん)太古(たいこ)教徒(けうと)(なか)にも()なり沢山(たくさん)あつたものですが、230現代(げんだい)三五教(あななひけう)(なか)には十指(じつし)()(かぞ)へたら231最早(もはや)(のこ)るは外面(ぐわいめん)(てき)状態(じやうたい)にあるもの(ばか)りで、232天国(てんごく)(ただ)ちに(のぼ)()精霊(せいれい)(すくな)いやうであります。
233 (すべ)人間(にんげん)想念(さうねん)には内面(ないめん)234外面(ぐわいめん)区別(くべつ)がありまして、235(かく)(ごと)人間(にんげん)は、236外面(ぐわいめん)(てき)想念(さうねん)によりて言説(げんせつ)をなし、237内面(ないめん)には(かへつ)異様(いやう)感情(かんじやう)包蔵(はうざう)して()るものです。238そして内外(ないぐわい)両面(りやうめん)区別(くべつ)する(こと)(つと)めて、239(ひとつ)とならない(やう)にと(つと)むるものです。240(しん)高天原(たかあまはら)経綸(けいりん)(たす)聖壇(せいだん)隆盛(りうせい)(いの)241死後(しご)安住所(あんぢうしよ)()むことを(おも)はば242如何(いか)なる事情(じじやう)をも(みち)のためには(しの)ぶべきものであります。243(かみ)(さま)御用(ごよう)にたて()らるるだけの余裕(よゆう)(あた)へられたのも244(みな)(かみ)(さま)のお(かげ)である(こと)(わす)れ、245自有(じいう)心得(こころえ)()るからです。246(ここ)外面(ぐわいめん)内面(ないめん)衝突(しようとつ)(きた)すことになつて()るのです。247(しか)現代(げんだい)理窟(りくつ)から()へば、248内外(ないぐわい)両面(りやうめん)区別(くべつ)して(かんが)ふる(こと)至当(したう)となつて()ります。249そして右様(みぎやう)(せつ)(たい)しては種々(しゆじゆ)悪名(あくめい)(もつ)対抗(たいかう)し、250()悪魔(あくま)(げん)(けな)すものであります。251(また)(かく)(ごと)(ひと)内面(ないめん)(てき)想念(さうねん)外表(ぐわいへう)(なが)()でて(ここ)暴露(ばくろ)することなからむを(つと)め、252現界(げんかい)(てき)道理(だうり)によつて、253(すべ)てを解決(かいけつ)せむとし254内面(ないめん)(てき)神善(しんぜん)抹殺(まつさつ)するものであります。
255 さり(なが)人間(にんげん)創造(さうざう)さるるや、256その内面(ないめん)(てき)想念(さうねん)をして257相応(さうおう)()りて外面(ぐわいめん)(てき)想念(さうねん)(あひ)一致(いつち)せしめなくては()らない理由(りいう)があるのです。258この一致(いつち)(しん)善人(ぜんにん)(おい)()(ところ)であつて、259その(おも)(ところ)()(ところ)も、260唯々(ただただ)(ぜん)のみだからであります。261かくの(ごと)内外(ないぐわい)両面(りやうめん)想念(さうねん)一致(いつち)する(こと)262到底(たうてい)地獄(ぢごく)(てき)悪人(あくにん)(おい)ては()(こと)出来(でき)ない。263何故(なぜ)なれば、264(こころ)(あく)(おも)ひながら(ぜん)(くち)(かた)265(まつた)善人(ぜんにん)正反対(せいはんたい)情態(じやうたい)にあるものです。266外面(ぐわいめん)(ぜん)(しめ)して(あく)(いだ)いて()る。267かくて(ぜん)(あく)のために(せい)せられ、268(これ)使役(しえき)さるるに(いた)るのであります。269悪人(あくにん)はその所主(しよしゆ)(あい)(ぞく)する目的(もくてき)達成(たつせい)せむがために、270(おもて)(ぜん)(かざ)つて唯一(ゆゐいつ)方便(はうべん)となすものです。271(ゆゑ)にその言説(げんせつ)行動(かうどう)とに(あらは)れる(ところ)善事(ぜんじ)なるものは、272その(なか)(あし)目的(もくてき)包蔵(はうざう)して()るので、273(ぜん)(けつ)して(ぜん)でなく、274(あく)(けが)(ところ)となるは明白(めいはく)なものです。275外面(ぐわいめん)(てき)(これ)()善事(ぜんじ)となすものは、276その内面(ないめん)(すこ)しも知悉(ちしつ)せざるものの言葉(ことば)であります。
277 (しん)(ぜん)()るものは、278順序(じゆんじよ)(みだ)すこと()く、279その(ぜん)(みな)内面(ないめん)(てき)想念(さうねん)より(なが)れて外面(ぐわいめん)()280それが言説(げんせつ)となり行動(かうどう)となるのは、281人間(にんげん)(かく)(ごと)順序(じゆんじよ)のもとに創造(さうざう)せられたものであるからであります。282人間(にんげん)内面(ないめん)(すべ)高天原(たかあまはら)神界(しんかい)にあり、283神界(しんかい)光明中(くわうみやうちう)(つつ)まれて()る。284その光明(くわうみやう)とは、285大神(おほかみ)より起来(きらい)する(ところ)神真(しんしん)286所謂(いはゆる)高天原(たかあまはら)(しゆ)なるものです。287人間(にんげん)内外(ないぐわい)両面(りやうめん)想念(さうねん)があり、288その想念(さうねん)内外(ないぐわい)(たがひ)(あひ)(へだ)たり()ることは前述(ぜんじゆつ)(とほ)りであります。289想念(さうねん)()つたのは(その)(なか)意志(いし)をも包含(はうがん)して(あは)せて()つたのです。290(けだ)想念(さうねん)なるものは意志(いし)より(きた)り、291意志(いし)なければ何人(なにびと)(いへど)想念(さうねん)なるものは()りませぬ。292(また)意志(いし)(およ)想念(さうねん)()(とき)は、293この意志(いし)(うち)にも(また)情動(じやうどう)294(あい)295(およ)び、2951(これ)()より起来(きらい)する歓喜(くわんき)悦楽(えつらく)をも(ふく)んで()ります。296以上(いじやう)のものは(いづ)れも意志(いし)関連(くわんれん)して()るからです。297何故(なぜ)なれば(ひと)はその(ほつ)する(ところ)(あい)し、298(これ)によつて歓喜(くわんき)悦楽(えつらく)(じやう)(しやう)ずるものだからです。299(また)想念(さうねん)といふことは300(ひと)()りて(もつ)(その)情動(じやうどう)(すなは)(あい)(たし)かむる(ところ)一切(いつさい)()ふのです。301()んとなれば想念(さうねん)意志(いし)形式(けいしき)()ぎないものです。302(すなは)意志(いし)()りて(もつ)(みづか)顕照(けんせう)せむと(ほつ)する(ところ)のものに()ぎないからであります。303この形式(けいしき)種々(しゆじゆ)理性(りせい)(てき)解剖(かいばう)によつて(あらは)れるもので、304その源泉(げんせん)霊界(れいかい)(はつ)(ひと)精霊(せいれい)(ぞく)するものであります。
305 (すべ)人間(にんげん)人間(にんげん)たる所以(ゆゑん)(まつた)くその内面(ないめん)にあつて306内面(ないめん)(はな)れた(ところ)外面(ぐわいめん)にあらざることを()らねばならない。307内面(ないめん)(ひと)(れい)(ぞく)し、308(ひと)生涯(しやうがい)なるものは、309()内面(ないめん)なる(れい)精霊(せいれい))の生涯(しやうがい)(ほか)ならないからです。310(ひと)身体(しんたい)生命(せいめい)のあるのは311(この)精霊(せいれい)()るものです。312()()によつて(ひと)はその内面(ないめん)(ごと)くに生存(せいぞん)永遠(えいゑん)(わた)りて(かは)らず、313不老(ふらう)不死(ふし)永生(えいせい)(たも)つものです。314されど外面(ぐわいめん)(また)肉体(にくたい)(ぞく)するが(ゆゑ)に、315死後(しご)(かなら)離散(りさん)消滅(せうめつ)し、316(その)(れい)(ぞく)して()部分(ぶぶん)(ねむ)り、317(ただ)内面(ないめん)のために、318(これ)平面(へいめん)となるに()ぎないのです。319かくて人間(にんげん)自有(じいう)(ぞく)するものと(ぞく)せざるものとの区別(くべつ)(あきら)かになるのであります。320悪人(あくにん)にあつては(その)言説(げんせつ)(おこ)さしむる(ところ)外的(ぐわいてき)想念(さうねん)と、321(その)行動(かうどう)(おこ)さしむる(ところ)外的(ぐわいてき)意志(いし)とに(ぞく)するものは、322(いつ)(もつ)(かれ)()自有(じいう)()すべからざるものと()()るでありませう。323(ただ)その内面(ないめん)(てき)なる想念(さうねん)意志(いし)とに(ぞく)するもの而己(のみ)324自有(じいう)()()るのであります。325(ゆゑ)永遠(えいゑん)生命(せいめい)()りたる(とき)自有(じいう)となるべきものは、326(かみ)(くに)(さか)えのために努力(どりよく)した花実(くわじつ)ばかりで、327(その)()一切(いつさい)のものは、328中有界(ちううかい)(おい)剥脱(はくだつ)されるものであります。329アヽ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
330大正一二・五・二四 旧四・九 於竜宮館 加藤明子録)
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