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第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
01 独り旅
〔2005〕
02 行倒
〔2006〕
03 復活
〔2007〕
04 姉妹婆
〔2008〕
05 三つ盃
〔2009〕
06 秋野の旅
〔2010〕
第2篇 秋夜の月
07 月見ケ丘
〔2011〕
08 月と闇
〔2012〕
09 露の路
〔2013〕
10 五乙女
〔2014〕
11 火炎山
〔2015〕
12 夜見還
〔2016〕
13 樹下の囁き
〔2017〕
14 報哭婆
〔2018〕
15 憤死
〔2019〕
第3篇 天地変遷
16 火の湖
〔2020〕
17 水火垣
〔2021〕
18 大挙出発
〔2022〕
19 笑譏怒泣
〔2023〕
20 復命
〔2024〕
21 青木ケ原
〔2025〕
22 迎への鳥船
〔2026〕
23 野火の壮観
〔2027〕
余白歌
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第三章
復活
(
ふくくわつ
)
〔二〇〇七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第1篇 忍ケ丘
よみ(新仮名遣い):
しのぶがおか
章:
第3章 復活
よみ(新仮名遣い):
ふっかつ
通し章番号:
2007
口述日:
1934(昭和9)年07月26日(旧06月15日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
笑い婆は、息の絶えた冬男の霊魂と身体を茨の鞭で打ちたたいていたが、闇の中から二人の大男が現れて、婆の首を引っつかむと、どっと大地に投げつけた。
これは、前にやはり笑い婆の計略にかかって命を落とした、かつての冬男の家臣・熊公と虎公の精霊であった。熊公と虎公は婆の両手をつかんで左右から力限りに引っ張れば、婆は顔をしかめ、火団となって忍ケ丘へ逃げ去った。
冬男の精霊は、家の家臣・熊公と虎公の霊に助け出されたのを喜んだが、また以前に原野に派遣された二人が、笑い婆の毒茶によって命を落としていたことを知った。
三人は、こうなったら主従力を合わせて笑い婆の命を取って、後の災いを取り除こうと協議一決した。そして、婆の住処である忍ケ丘まで、進軍歌を歌いながら進んでいった。
三人は真夜中ごろ、忍ケ丘の笑い婆の家の表に着いた。そっと破れ戸の外から中の様子をうかがうと、婆は熊公・虎公に両腕を引き伸ばされた痛みに苦しみもだえていた。
三人の乙女は婆を介抱するどころか、命を奪われた上に日ごろ使われていた恨みを晴らそうと、枕辺に立って婆を見下ろしていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8003
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 303頁
修補版:
校定版:
46頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アの
計略
(
けいりやく
)
に
002
かかりて
遂
(
つひ
)
に
生命
(
いのち
)
をば
003
落
(
おと
)
せし
冬男
(
ふゆを
)
の
亡骸
(
なきがら
)
を
004
眺
(
なが
)
めて
婆
(
ばば
)
アはからからと
005
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ひつつ
牛
(
うし
)
のよな
006
長
(
なが
)
き
舌
(
した
)
をば
吐
(
は
)
き
出
(
いだ
)
し
007
アハハハハツハ、イヒヒヒヒ
008
ウフフフフツフ、エヘヘヘヘ
009
オホホホホツホ
面白
(
おもしろ
)
や
010
心地
(
ここち
)
よやなと
言
(
い
)
ひながら
011
冬男
(
ふゆを
)
が
霊魂
(
みたま
)
と
身体
(
からたま
)
を
012
茨
(
いばら
)
の
鞭
(
むち
)
もて
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
き
013
虐
(
しひた
)
げければ
疲
(
つか
)
れたる
014
冬男
(
ふゆを
)
は
悲鳴
(
ひめい
)
をあげながら
015
助
(
たす
)
けてくれよと
叫
(
さけ
)
ぶ
折
(
をり
)
016
忽
(
たちま
)
ち
起
(
おこ
)
る
暴風雨
(
ばうふうう
)
017
雷
(
いかづち
)
轟
(
とどろ
)
きいなづまは
018
天地
(
てんち
)
に
閃
(
ひらめ
)
き
渡
(
わた
)
りつつ
019
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
より
現
(
あら
)
はれし
020
鬼
(
おに
)
をあざむく
荒男
(
あらをとこ
)
021
二人
(
ふたり
)
は
此処
(
ここ
)
に
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
022
婆
(
ばば
)
の
素
(
そ
)
つ
首
(
くび
)
ひつつかみ
023
大地
(
だいち
)
にどつと
投
(
な
)
げつける
024
投
(
な
)
げつけられて
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
025
顎
(
あご
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つしやくりつつ
026
アハハハハツハちよこざいな
027
貴様
(
きさま
)
も
俺
(
おれ
)
の
計略
(
けいりやく
)
に
028
かかりて
身
(
み
)
亡
(
う
)
せし
熊公
(
くまこう
)
と
029
虎公
(
とらこう
)
の
餓鬼
(
がき
)
にあらざるや
030
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
森林
(
しんりん
)
に
031
魍魎
(
すだま
)
となりて
彷徨
(
さまよ
)
ふか
032
さつてもさても
心地
(
ここち
)
よや
033
その
有様
(
ありさま
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
034
着物
(
きもの
)
はちぎれ
帯
(
おび
)
は
切
(
き
)
れ
035
頭
(
あたま
)
は
鳶
(
とんび
)
の
巣籠
(
すごも
)
りか
036
手足
(
てあし
)
は
松
(
まつ
)
の
荒皮
(
あらかは
)
か
037
見
(
み
)
るもいぶせき
姿
(
すがた
)
かな
038
この
婆
(
ば
)
アさまに
手向
(
てむか
)
ふて
039
後
(
あと
)
で
後悔
(
こうくわい
)
致
(
いた
)
すなよ
040
生命
(
いのち
)
知
(
し
)
らずの
餓鬼
(
がき
)
どもと
041
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
罵
(
ののし
)
れば
042
熊公
(
くまこう
)
、
虎公
(
とらこう
)
の
精霊
(
せいれい
)
は
043
烈火
(
れつくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
憤
(
いきどほ
)
り
044
鬼
(
おに
)
の
蕨
(
わらび
)
(
拳
(
こぶし
)
)を
固
(
かた
)
めつつ
045
倒
(
たふ
)
れし
婆
(
ばば
)
を
左右
(
さいう
)
より
046
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
打
(
う
)
ち
据
(
す
)
ゆる
047
婆
(
ばば
)
アはひるむと
思
(
おも
)
ひきや
048
またカラカラと
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ひ
049
長
(
なが
)
き
舌
(
した
)
をばはみ
出
(
だ
)
して
050
顎
(
あご
)
をしやくれる
憎
(
にく
)
らしさ
051
よくよく
見
(
み
)
れば
両人
(
りやうにん
)
の
052
拳
(
こぶし
)
は
爛
(
ただ
)
れて
血
(
ち
)
は
流
(
なが
)
れ
053
見
(
み
)
るかげもなき
惨状
(
さんじやう
)
に
054
婆
(
ばば
)
アはまたまた
笑
(
わら
)
ひつつ
055
熊公
(
くまこう
)
、
虎公
(
とらこう
)
の
盲
(
めくら
)
ども
056
俺
(
おれ
)
の
体
(
からだ
)
は
此処
(
ここ
)
にある
057
貴様
(
きさま
)
は
尖
(
とが
)
つた
巌角
(
いはかど
)
を
058
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
き
059
拳
(
こぶし
)
を
痛
(
やぶ
)
る
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ず
060
もうこれからは
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
061
致
(
いた
)
すとこのまま
置
(
お
)
かぬぞや
062
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
063
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ば
)
さんに
敵対
(
てきた
)
ふて
064
幽冥界
(
いうめいかい
)
に
居
(
を
)
れるかと
065
口汚
(
くちぎた
)
なくも
罵
(
ののし
)
りぬ
066
虎公
(
とらこう
)
、
熊公
(
くまこう
)
怒
(
いか
)
り
立
(
た
)
ち
067
婆
(
ばば
)
の
両手
(
りやうて
)
を
左右
(
さいう
)
より
068
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
引
(
ひ
)
つぱれば
069
さすがの
婆
(
ばば
)
も
辟易
(
へきえき
)
し
070
こりやたまらぬと
顔
(
かほ
)
しかめ
071
火団
(
くわだん
)
となりて
驀地
(
まつしぐら
)
072
遥
(
はる
)
かの
空
(
そら
)
を
駈
(
か
)
けながら
073
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
へと
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
る
074
冬男
(
ふゆを
)
はやうやう
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り
075
やつと
心
(
こころ
)
も
落
(
お
)
ちつきて
076
辺
(
あた
)
りを
見
(
み
)
ればこは
不思議
(
ふしぎ
)
077
水上
(
みなかみ
)
の
山
(
やま
)
に
仕
(
つか
)
へたる
078
わが
家臣
(
いへのこ
)
の
熊公
(
くまこう
)
と
079
虎公
(
とらこう
)
二人
(
ふたり
)
がにこやかに
080
わが
顔前
(
がんぜん
)
に
跪
(
ひざまづ
)
き
081
若君
(
わかぎみ
)
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
と
言
(
い
)
ひながら
082
涙
(
なみだ
)
垂
(
た
)
らして
拝
(
をが
)
みゐる。
083
以下
(
いか
)
精霊
(
せいれい
)
の
言葉
(
ことば
)
なり。
084
冬男
(
ふゆを
)
『
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
を
重
(
かさ
)
ねてゆくりなく
085
此
(
この
)
丘
(
をか
)
の
辺
(
べ
)
に
身
(
み
)
亡
(
う
)
せけるかな。
086
幽界
(
かくりよ
)
の
神
(
かみ
)
となりてゆ
何故
(
なにゆゑ
)
か
087
わが
身
(
み
)
は
軽
(
かる
)
くなりにけらしな。
088
汝
(
なれ
)
こそは
水上
(
みなかみ
)
の
山
(
やま
)
に
仕
(
つか
)
へたる
089
家臣
(
いへのこ
)
熊公
(
くまこう
)
、
虎公
(
とらこう
)
ならずや』
090
熊公
(
くまこう
)
『
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アに
謀
(
はか
)
られて
091
生命
(
いのち
)
亡
(
う
)
せにし
熊公
(
くまこう
)
なりける』
092
虎公
(
とらこう
)
『われもまた
笑
(
わら
)
ひの
婆
(
ばば
)
に
謀
(
たばか
)
られ
093
毒茶
(
どくちや
)
を
飲
(
の
)
みて
亡
(
う
)
せし
虎公
(
とらこう
)
よ。
094
若君
(
わかぎみ
)
の
精霊
(
みたま
)
危
(
あやふ
)
く
見
(
み
)
えしより
095
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アに
手向
(
てむか
)
ひにける。
096
昔
(
むかし
)
よりこれの
大野
(
おほの
)
に
彷徨
(
さまよ
)
へる
097
心
(
こころ
)
汚
(
きた
)
なき
婆
(
ばば
)
にてありける。
098
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
住
(
す
)
む
精霊
(
せいれい
)
は
悉
(
ことごと
)
く
099
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アに
殺
(
ころ
)
されしものぞ。
100
われらまた
国土
(
くに
)
開
(
ひら
)
かむと
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
101
君
(
きみ
)
の
命
(
みこと
)
の
仰
(
あふ
)
せに
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
し。
102
漸
(
やうや
)
くに
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
辿
(
たど
)
りつき
103
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
茶
(
ちや
)
に
倒
(
たふ
)
されぬ。
104
此
(
この
)
恨
(
うら
)
みいつの
世
(
よ
)
にかは
晴
(
は
)
らさむと
105
熊公
(
くまこう
)
とともに
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ち
居
(
ゐ
)
し』
106
冬男
(
ふゆを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
107
『ゆくりなくも
家臣
(
いへのこ
)
二人
(
ふたり
)
に
出会
(
であ
)
ひたる
108
われはにはかに
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
むも。
109
汝
(
な
)
が
行方
(
ゆくへ
)
父
(
ちち
)
は
日夜
(
にちや
)
に
探
(
たづ
)
ねつつ
110
如何
(
いかが
)
なりしと
煩
(
わづら
)
ひしはや。
111
ちちのみの
父
(
ちち
)
の
御言
(
みこと
)
を
被
(
かがふ
)
りて
112
国土
(
くに
)
開
(
ひら
)
かむと
吾
(
われ
)
は
来
(
き
)
つるも。
113
われもまた
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アの
偽
(
いつは
)
りに
114
現身
(
うつそみ
)
の
生命
(
いのち
)
捨
(
す
)
てにけらしな』
115
熊公
(
くまこう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
116
『かくならば
主従
(
しゆじう
)
三人
(
みたり
)
村肝
(
むらきも
)
の
117
心
(
こころ
)
協
(
あは
)
せて
婆
(
ばば
)
亡
(
ほろ
)
ぼさむか。
118
一筋
(
ひとすぢ
)
や
二筋縄
(
ふたすぢなは
)
に
行
(
ゆ
)
かぬ
婆
(
ばば
)
よ
119
如何
(
いか
)
なる
手段
(
てだて
)
も
先
(
さき
)
に
知
(
し
)
るれば。
120
さりながら
二
(
ふた
)
つの
腕
(
うで
)
を
痛
(
いた
)
めたる
121
これの
刹那
(
せつな
)
に
亡
(
ほろ
)
ぼしくれむ』
122
冬男
(
ふゆを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
123
『
面白
(
おもしろ
)
しああ
勇
(
いさ
)
ましも
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
124
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
ふ
仇
(
あだ
)
亡
(
ほろ
)
ぼさむ。
125
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
頭
(
かしら
)
と
誇
(
ほこ
)
れる
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
126
みたまの
生命
(
いのち
)
取
(
と
)
らで
置
(
お
)
くべき。
127
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
の
生命
(
いのち
)
をとりて
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
128
百
(
もも
)
の
災
(
わざはひ
)
除
(
のぞ
)
かむと
思
(
おも
)
ふ』
129
虎公
(
とらこう
)
『
若君
(
わかぎみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
うべよ
吾
(
われ
)
もまた
130
婆
(
ばば
)
アの
征討
(
きため
)
に
力
(
ちから
)
を
添
(
そ
)
へむ。
131
三柱
(
みはしら
)
の
大丈夫
(
ますらを
)
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せなば
132
婆
(
ばば
)
亡
(
ほろ
)
ぼすはたやすかるべし。
133
いざさらば
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
134
婆
(
ばば
)
の
館
(
やかた
)
にひたに
進
(
すす
)
まむ』
135
と
茲
(
ここ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
協議
(
けふぎ
)
一決
(
いつけつ
)
し、
136
再
(
ふたた
)
び
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
所狭
(
ところせ
)
きまで
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
る
野路
(
のぢ
)
を
伝
(
つた
)
ひて、
137
婆
(
ばば
)
の
棲処
(
すみか
)
なる
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
138
熊公
(
くまこう
)
は
先頭
(
せんとう
)
に、
139
冬男
(
ふゆを
)
は
中
(
なか
)
に、
140
虎公
(
とらこう
)
は
殿
(
しんがり
)
をつとめながら、
141
葭草
(
よしぐさ
)
と
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
所狭
(
ところせ
)
きまで
茂
(
しげ
)
れる
野路
(
のぢ
)
を、
142
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
になぶられながら、
143
精霊
(
せいれい
)
の
常
(
つね
)
として、
144
ひよろりひよろりと
征服歌
(
せいふくか
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
145
熊公
(
くまこう
)
の
歌
(
うた
)
。
146
『ああ
勇
(
いさ
)
ましや
勇
(
いさ
)
ましや
147
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
の
真中
(
まんなか
)
に
148
広
(
ひろ
)
くて
低
(
ひく
)
く
開
(
ひら
)
けたる
149
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に
150
古
(
ふる
)
く
棲
(
す
)
みたる
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
151
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
らの
生命
(
いのち
)
をば
152
とりて
楽
(
たの
)
しむ
曲津見
(
まがつみ
)
を
153
征討
(
きた
)
め
払
(
はら
)
ふと
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
154
今日
(
けふ
)
は
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
むなり
155
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
はなまぐさく
156
イヂチは
数多
(
あまた
)
すむとても
157
毒虫
(
どくむし
)
むらがり
来
(
きた
)
るとも
158
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れむ
吾々
(
われわれ
)
は
159
世
(
よ
)
にも
稀
(
まれ
)
なる
荒男
(
あらをとこ
)
160
現世界
(
うつしせかい
)
に
在
(
あ
)
りし
日
(
ひ
)
は
161
古今
(
ここん
)
無雙
(
むさう
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
と
162
世
(
よ
)
に
聞
(
きこ
)
えたるつはものぞ
163
如何
(
いか
)
に
精霊
(
せいれい
)
なればとて
164
魂
(
たま
)
の
力
(
ちから
)
は
衰
(
おとろ
)
へじ
165
婆
(
ばば
)
アも
同
(
おな
)
じ
精霊
(
せいれい
)
の
166
みたまなりせば
吾々
(
われわれ
)
は
167
如何
(
いか
)
で
恐
(
おそ
)
れむ
大丈夫
(
ますらを
)
の
168
弥猛心
(
やたけごころ
)
の
拳
(
こぶし
)
もて
169
彼
(
かれ
)
が
首
(
かうべ
)
を
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
き
170
現幽
(
げんいう
)
二界
(
にかい
)
の
災
(
わざはひ
)
を
171
払
(
はら
)
ひて
幽冥
(
いうめい
)
の
神
(
かみ
)
となり
172
長
(
なが
)
く
其
(
その
)
名
(
な
)
を
伝
(
つた
)
ふべし
173
ああ
面白
(
おもしろ
)
や
面白
(
おもしろ
)
や
174
日頃
(
ひごろ
)
の
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らすべき
175
時
(
とき
)
は
漸
(
やうや
)
く
廻
(
めぐ
)
りけり
176
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
は
広
(
ひろ
)
くとも
177
水奔草
(
すゐほんさう
)
は
茂
(
しげ
)
くとも
178
敵
(
てき
)
は
数々
(
かずかず
)
来
(
きた
)
るとも
179
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
恐
(
おそ
)
れじ
水上
(
みなかみ
)
の
180
山
(
やま
)
に
鎮
(
しづ
)
まる
神々
(
かみがみ
)
の
181
恵
(
めぐみ
)
を
浴
(
あ
)
びて
進
(
すす
)
むべし
182
ああ
面白
(
おもしろ
)
や
勇
(
いさ
)
ましや
183
仇
(
あだ
)
を
報
(
はう
)
ずる
今
(
いま
)
や
時
(
とき
)
184
婆
(
ばば
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼす
今
(
いま
)
や
時
(
とき
)
185
幸
(
さいは
)
ひ
闇
(
やみ
)
の
深
(
ふか
)
ければ
186
さすがの
婆
(
ばば
)
もわが
行
(
ゆ
)
くを
187
知
(
し
)
らずに
眠
(
ねむ
)
り
居
(
ゐ
)
るならむ
188
左右
(
さいう
)
の
腕
(
うで
)
は
両人
(
りやうにん
)
の
189
強
(
つよ
)
き
力
(
ちから
)
にむしられて
190
なやみ
苦
(
くる
)
しむその
隙
(
すき
)
を
191
狙
(
ねら
)
つてつけ
入
(
い
)
る
計略
(
はかりごと
)
192
進
(
すす
)
めや
進
(
すす
)
め、いざ
進
(
すす
)
め
193
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アの
亡
(
ほろ
)
ぶまで』
194
冬男
(
ふゆを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
195
『
大野原
(
おほのはら
)
いゆく
旅人
(
たびびと
)
悉
(
ことごと
)
く
196
謀
(
はか
)
り
殺
(
ころ
)
せし
婆
(
ばば
)
は
憎
(
にく
)
らし。
197
われもまた
婆
(
ばば
)
の
毒手
(
どくしゆ
)
に
誘
(
いざな
)
はれ
198
玉
(
たま
)
の
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれにける。
199
精霊
(
せいれい
)
の
生命
(
いのち
)
はあれど
現身
(
うつそみ
)
の
200
生命
(
いのち
)
は
最早
(
もはや
)
故郷
(
くに
)
に
帰
(
かへ
)
れず。
201
かくならば
三人
(
みたり
)
が
心
(
こころ
)
一
(
いつ
)
にして
202
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アを
亡
(
ほろ
)
ぼしくれむ。
203
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
配
(
くま
)
りて
進
(
すす
)
めかし
204
婆
(
ばば
)
アの
手下
(
てした
)
道
(
みち
)
にし
待
(
ま
)
てば。
205
ゆくりなく
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
鬼婆
(
おにばば
)
に
206
茶
(
ちや
)
をふれまはれ
謀
(
はか
)
らはれける。
207
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
貴
(
うづ
)
の
乙女
(
をとめ
)
も
鬼婆
(
おにばば
)
の
208
毒手
(
どくしゆ
)
にかかりて
亡
(
う
)
せしなるらむ。
209
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
の
生命
(
いのち
)
救
(
すく
)
ひつつ
210
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
闇
(
やみ
)
を
照
(
て
)
らさむ』
211
虎公
(
とらこう
)
は
殿
(
しんがり
)
をつとめながら
歌
(
うた
)
ふ。
212
『
天地
(
あめつち
)
の
213
岩戸
(
いはと
)
開
(
ひら
)
くる
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
214
百千々
(
ももちぢ
)
の
215
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らす
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
216
もろもろの
217
なやみをやらふ
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
218
水上山
(
みなかみやま
)
の
神館
(
かむやかた
)
219
王
(
こきし
)
の
君
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
220
心
(
こころ
)
も
固
(
かた
)
き
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
221
御子
(
みこ
)
と
生
(
あ
)
れます
若君
(
わかぎみ
)
に
222
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くも
223
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
か
224
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
年月
(
としつき
)
を
225
恨
(
うら
)
みの
鬼
(
おに
)
となりはてて
226
婆
(
ばば
)
アの
生命
(
いのち
)
を
窺
(
うかが
)
ひし
227
その
甲斐
(
かひ
)
ありて
今
(
いま
)
吾
(
われ
)
は
228
強
(
つよ
)
き
力
(
ちから
)
に
押
(
お
)
されつつ
229
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
勇
(
いさ
)
ましき
230
ああ
吾
(
われ
)
は
231
若君
(
わかぎみ
)
の
如
(
ごと
)
旅
(
たび
)
行
(
ゆ
)
きて
232
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アにたばかられ
233
生命
(
いのち
)
とられし
落武者
(
おちむしや
)
よ
234
これの
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らさむと
235
熊公
(
くまこう
)
と
共
(
とも
)
に
年月
(
としつき
)
を
236
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
暮
(
くら
)
したり
237
いよいよ
時
(
とき
)
は
満
(
み
)
ちにけり
238
いよいよ
婆
(
ばば
)
アを
征討
(
きた
)
むべき
239
よき
日
(
ひ
)
となりぬ
勇
(
いさ
)
ましや
240
吾
(
われ
)
精霊
(
せいれい
)
の
身
(
み
)
ながらも
241
何
(
なに
)
かは
知
(
し
)
らずいと
強
(
つよ
)
き
242
力
(
ちから
)
添
(
そ
)
はりし
心地
(
ここち
)
して
243
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
244
幸
(
さいは
)
ひ
空
(
そら
)
に
月
(
つき
)
もなく
245
星
(
ほし
)
かげもなき
闇
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
の
246
今日
(
けふ
)
の
出
(
い
)
で
立
(
た
)
ち
面白
(
おもしろ
)
や
247
年月
(
としつき
)
重
(
かさ
)
ね
恨
(
うら
)
みたる
248
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アの
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
249
恨
(
うら
)
み
晴
(
は
)
らすと
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
しき』
250
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひながら、
251
真夜中
(
まよなか
)
頃
(
ごろ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
精霊
(
せいれい
)
は、
252
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
の
家
(
いへ
)
の
表
(
おもて
)
に
着
(
つ
)
きにける。
253
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
破
(
やぶ
)
れ
戸
(
ど
)
の
外
(
そと
)
にそつと
佇
(
たたず
)
み、
254
内
(
うち
)
の
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかが
)
へば、
255
婆
(
ばば
)
は
両手
(
りやうて
)
のむしれるばかり
二人
(
ふたり
)
に
引
(
ひ
)
かれたる
痛
(
いた
)
みに、
256
霊魂
(
たましひ
)
も
断
(
き
)
れむばかり
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
え、
257
うんうんと
呻吟
(
うめき
)
の
声
(
こゑ
)
をあげ
居
(
ゐ
)
たり。
258
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
はとよく
見
(
み
)
れば、
259
こはそも
如何
(
いか
)
に、
260
介抱
(
かいはう
)
なし
居
(
ゐ
)
るやと
思
(
おも
)
ひきや、
261
婆
(
ばば
)
の
二代目
(
にだいめ
)
の
如
(
ごと
)
く、
262
『アハハハハツハ、イヒヒヒヒ
263
ウフフフフツフ、エヘヘヘヘ
264
オホホホホツホ
面白
(
おもしろ
)
や
265
主
(
あるじ
)
の
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ば
)
アさんは
266
あまりに
我執
(
がしふ
)
が
強
(
つよ
)
くして
267
数限
(
かずかぎ
)
りなく
人命
(
じんめい
)
を
268
奪
(
うば
)
ひて
忍
(
しのぶ
)
の
里
(
さと
)
をつくり
269
司
(
つかさ
)
となりて
居
(
ゐ
)
たりしが
270
最早
(
もはや
)
天運
(
てんうん
)
つきけるか
271
昨夜
(
さくや
)
泊
(
とま
)
りし
水上
(
みなかみ
)
の
山
(
やま
)
の
272
冬男
(
ふゆを
)
と
言
(
い
)
へる
大丈夫
(
ますらを
)
に
273
うまく
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
逃
(
に
)
げられて
274
その
無念
(
むねん
)
さに
地団駄
(
ぢだんだ
)
を
275
踏
(
ふ
)
みつつ
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひかけて
276
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
辿
(
たど
)
りつき
277
不覚
(
ふかく
)
をとりて
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り
278
左右
(
さいう
)
の
手足
(
てあし
)
をむしられて
279
身動
(
みうご
)
きならず
苦
(
くる
)
しめる
280
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
は
何事
(
なにごと
)
ぞ
281
われら
三人
(
みたり
)
の
乙女
(
をとめ
)
らも
282
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ば
)
さんに
謀
(
はか
)
られて
283
遂
(
つひ
)
に
幽冥
(
いうめい
)
の
鬼
(
おに
)
となり
284
恋
(
こひ
)
しき
父母
(
ふぼ
)
の
家
(
いへ
)
にさへ
285
帰
(
かへ
)
るよしなきみじめさよ
286
この
恨
(
うら
)
み
287
いつかは
晴
(
は
)
らしくれむぞと
288
当
(
あて
)
なき
事
(
こと
)
を
頼
(
たの
)
みつつ
289
待
(
ま
)
ちし
月日
(
つきひ
)
の
甲斐
(
かひ
)
ありて
290
今日
(
けふ
)
は
嬉
(
うれ
)
しき
鬼婆
(
おにばば
)
の
291
早
(
はや
)
くも
知死期
(
ちしご
)
となりにけり
292
ああ
面白
(
おもしろ
)
や、たのもしや
293
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ば
)
さんの
蘇
(
よみがへ
)
る
294
ためしは
最早
(
もはや
)
あらざらめ
295
天落
(
てんお
)
ち
地
(
つち
)
は
割
(
わ
)
るるとも
296
婆
(
ば
)
さんの
再
(
ふたた
)
び
蘇
(
よみがへ
)
る
297
ためしはあらじ
今
(
いま
)
の
間
(
ま
)
に
298
婆
(
ば
)
さんの
寝首
(
ねくび
)
を
押
(
おさ
)
へつけ
299
かよわき
乙女
(
をとめ
)
の
身
(
み
)
ながらも
300
日頃
(
ひごろ
)
の
恨
(
うら
)
み
晴
(
は
)
らすべし
301
ああ
面白
(
おもしろ
)
し、たのもしし
302
アハハハハツハ、イヒヒヒヒ
303
ウフフフフツフ、エヘヘヘヘ
304
オホホホホツホ
面白
(
おもしろ
)
し』
305
と
歌
(
うた
)
ひつ
笑
(
わら
)
ひつ、
306
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
枕辺
(
まくらべ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
307
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
は
怒
(
いか
)
り
心頭
(
しんとう
)
に
達
(
たつ
)
すれど、
308
最早
(
もはや
)
びくとも
動
(
うご
)
かぬ
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
309
煮
(
た
)
いて
喰
(
くら
)
ふと
焼
(
や
)
いて
食
(
く
)
はうと、
310
三人
(
みたり
)
乙女
(
をとめ
)
の
手
(
て
)
の
中
(
うち
)
にあるを
知
(
し
)
る
故
(
ゆゑ
)
に、
311
狡猾
(
かうくわつ
)
なる
婆
(
ばば
)
は
聞
(
きこ
)
えぬ
振
(
ふり
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
312
痛
(
いた
)
さを
耐
(
こら
)
へて
笑
(
わら
)
ひにまぎらし
居
(
ゐ
)
たりける。
313
(
昭和九・七・二六
旧六・一五
於関東別院南風閣
白石恵子
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