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第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
01 独り旅
〔2005〕
02 行倒
〔2006〕
03 復活
〔2007〕
04 姉妹婆
〔2008〕
05 三つ盃
〔2009〕
06 秋野の旅
〔2010〕
第2篇 秋夜の月
07 月見ケ丘
〔2011〕
08 月と闇
〔2012〕
09 露の路
〔2013〕
10 五乙女
〔2014〕
11 火炎山
〔2015〕
12 夜見還
〔2016〕
13 樹下の囁き
〔2017〕
14 報哭婆
〔2018〕
15 憤死
〔2019〕
第3篇 天地変遷
16 火の湖
〔2020〕
17 水火垣
〔2021〕
18 大挙出発
〔2022〕
19 笑譏怒泣
〔2023〕
20 復命
〔2024〕
21 青木ケ原
〔2025〕
22 迎への鳥船
〔2026〕
23 野火の壮観
〔2027〕
余白歌
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第四章
姉妹婆
(
しまいばば
)
〔二〇〇八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第1篇 忍ケ丘
よみ(新仮名遣い):
しのぶがおか
章:
第4章 姉妹婆
よみ(新仮名遣い):
しまいばば
通し章番号:
2008
口述日:
1934(昭和9)年07月26日(旧06月15日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
冬男、熊公、虎公は家の中に進み入った。婆は驚きの色を見せながらもかすかに笑い声をもらし、目を怒らせて三男三女を見上げていた。
冬男は婆を戒め改心を迫るが、婆は逆に、現世の苦しみを助けようと命を奪ったのだから、感謝するべきであり、この忍ケ丘の幽霊たちは、自分が救ってあげた者たちばかりだ、と嘯いた。
冬男、熊公、虎公と三人の娘・山、川、海は怒って婆をののしり、今こそ婆を滅ぼそうと歌を歌うが、婆は苦しみ冷や汗をかきながらも、しぶとく一同をののりし返している。
一同は心を合わせて、今こそ婆を征伐して滅ぼそうとする折しも、表戸を静かに開いて入ってきたごま塩頭の中婆があった。中婆は一同に目礼し、自分は「譏り(そしり)」であると名乗った。そして、里人の代表として、怪我をした笑い婆を見舞いに来たのだ、と述べた。
譏り婆は笑い婆に近寄って抱き起こすと、すっくと背に負ってまっしぐらに表を指して駆け出した。そして沖天の雲に乗り、遠い南の空に向かって、雲を霞と逃げ去ってしまった。この婆は笑い婆の妹で、間断なく人を譏っている悪魔であった。
残された六人は後を追うすべもなく、互いに顔を見合わせてしばらく呆然としていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8004
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 310頁
修補版:
校定版:
70頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
が
破
(
やぶ
)
れ
家
(
や
)
の
外
(
そと
)
に
立
(
た
)
ちて、
002
様子
(
やうす
)
をうかがひ
居
(
ゐ
)
たる
冬男
(
ふゆを
)
、
003
熊公
(
くまこう
)
、
004
虎公
(
とらこう
)
の
三
(
み
)
つの
精霊
(
せいれい
)
は、
005
時
(
とき
)
こそよしと
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
れば、
006
やや
驚
(
おどろ
)
きの
色
(
いろ
)
を
見
(
み
)
せながら、
007
身動
(
みうご
)
きならぬ
苦
(
くる
)
しさに、
008
アハハハハ、
009
イヒヒヒヒとかすかに
笑
(
わら
)
ひ、
010
目
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らせ、
011
三男
(
さんなん
)
三女
(
さんぢよ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見上
(
みあ
)
げて
居
(
ゐ
)
る。
012
冬男
(
ふゆを
)
はこの
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
013
『さきの
日
(
ひ
)
に
吾
(
われ
)
苦
(
くる
)
しめし
報
(
むく
)
いにて
014
このありさまは
何事
(
なにごと
)
なるかも。
015
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
りしや
天地
(
あめつち
)
の
016
神
(
かみ
)
のいましめ
今
(
いま
)
あらはれぬ。
017
神々
(
かみがみ
)
は
熊
(
くま
)
と
虎
(
とら
)
との
腕
(
うで
)
をかり
018
汝
(
なれ
)
が
両手
(
りやうて
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
かせたり。
019
両腕
(
りやううで
)
は
体
(
からだ
)
につける
如
(
ごと
)
見
(
み
)
ゆるとも
020
その
関節
(
くわんせつ
)
は
抜
(
ぬ
)
けてありけり。
021
いぢらしと
思
(
おも
)
へど
詮
(
せん
)
なし
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
の
022
霊魂
(
たま
)
の
生命
(
いのち
)
を
断
(
た
)
たねばおかじ。
023
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
数多
(
あまた
)
の
生命
(
いのち
)
奪
(
うば
)
ひたる
024
婆
(
ばば
)
アの
最後
(
さいご
)
のあはれなるかな。
025
精霊
(
せいれい
)
の
生命
(
いのち
)
すてたる
其
(
そ
)
の
後
(
のち
)
は
026
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
あらじと
思
(
おも
)
ふ。
027
この
丘
(
をか
)
に
毒茶
(
どくちや
)
を
進
(
すす
)
めし
鬼婆
(
おにばば
)
の
028
みたまの
果
(
は
)
てぞあはれなるかな。
029
しつこくも
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
まで
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
り
030
熊
(
くま
)
と
虎
(
とら
)
とにいためられける。
031
斯
(
か
)
くならば
婆
(
ばば
)
よ
心
(
こころ
)
をあらためて
032
神
(
かみ
)
の
助
(
たす
)
けを
直
(
ただ
)
にうくべし』
033
婆
(
ばば
)
は
呻吟
(
うめ
)
きながら、
034
しわがれ
声
(
ごゑ
)
をしぼりて、
035
『
迷
(
まよ
)
ひ
来
(
こ
)
し
汝
(
なれ
)
に
毒茶
(
どくちや
)
を
進
(
すす
)
めしも
036
生命
(
いのち
)
奪
(
うば
)
ふと
思
(
おも
)
へばなりけり。
037
現世
(
うつしよ
)
のもだえ
苦
(
くる
)
しみ
助
(
たす
)
けむと
038
吾
(
われ
)
は
毒湯
(
どくゆ
)
を
与
(
あた
)
へたるなり。
039
感謝
(
かんしや
)
することを
忘
(
わす
)
れてこの
婆
(
ばば
)
を
040
恨
(
うら
)
むは
何
(
なん
)
の
心
(
こころ
)
ぞやそも。
041
この
婆
(
ばば
)
は
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
氏子
(
うぢこ
)
をば
042
殖
(
ふや
)
すが
為
(
ため
)
に
毒
(
どく
)
を
進
(
すす
)
めし。
043
かぎりある
現
(
うつつ
)
の
生命
(
いのち
)
を
抜
(
ぬ
)
きとりて
044
永久
(
とは
)
の
生命
(
いのち
)
を
与
(
あた
)
ふる
真心
(
まごころ
)
。
045
わが
為
(
ため
)
に
生命
(
いのち
)
うばはれ
救
(
すく
)
はれし
046
者
(
もの
)
ばかりなる
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
ぞや』
047
冬男
(
ふゆを
)
は
憤然
(
ふんぜん
)
として、
048
『
国土
(
くに
)
つくる
務
(
つと
)
めある
身
(
み
)
を
殺
(
ころ
)
したる
049
この
鬼婆
(
おにばば
)
は
魍魎
(
すだま
)
なるらむ。
050
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
にかへりごとせむ
由
(
よし
)
もなし
051
現
(
うつつ
)
の
生命
(
いのち
)
奪
(
うば
)
はれし
吾
(
われ
)
。
052
精霊
(
せいれい
)
となりて
故郷
(
こきやう
)
にかへるべき
053
かむばせもなきわが
身
(
み
)
なりけり。
054
この
上
(
うへ
)
は
婆
(
ばば
)
アのみたまを
亡
(
ほろ
)
ぼして
055
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
司
(
つかさ
)
とならむ。
056
あきらめて
早
(
はや
)
く
亡
(
ほろ
)
びよ
鬼婆
(
おにばば
)
よ
057
汝
(
なれ
)
がみたまの
生命
(
いのち
)
はわがもの』
058
熊公
(
くまこう
)
は、
059
『
鬼婆
(
おにばば
)
のたくみの
罠
(
わな
)
におちいりて
060
われは
果敢
(
はか
)
なくなりしみたまぞ。
061
この
恨
(
うらみ
)
いつか
晴
(
は
)
らすと
只二人
(
ただふたり
)
062
清水
(
しみづ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ちしよ。
063
斯
(
か
)
くならば
最早
(
もはや
)
力
(
ちから
)
も
及
(
およ
)
ぶまじ
064
この
鬼婆
(
おにばば
)
を
斬
(
き
)
りて
放
(
はふ
)
らな。
065
嬉
(
うれ
)
しさと
楽
(
たの
)
しさ
一度
(
いちど
)
に
湧
(
わ
)
き
出
(
い
)
でて
066
婆
(
ばば
)
アの
生命
(
いのち
)
を
今日
(
けふ
)
は
断
(
た
)
つなり』
067
婆
(
ばば
)
アは
寝
(
ね
)
ながら
苦
(
くる
)
しき
息
(
いき
)
の下より、
068
『へらず
口
(
ぐち
)
たたくな
熊公
(
くまこう
)
の
精霊
(
せいれい
)
よ
069
吾
(
われ
)
のたくみにかかりし
馬鹿者
(
ばかもの
)
。
070
精霊
(
せいれい
)
の
生命
(
いのち
)
死
(
し
)
すると
思
(
おも
)
ふ
奴
(
やつ
)
071
幽冥
(
いうめい
)
知
(
し
)
らぬたぶれなりけり。
072
この
婆
(
ばば
)
の
生命
(
いのち
)
は
如何
(
いか
)
に
迫
(
せま
)
るとも
073
ひるまずたゆまず
仇
(
あだ
)
をかへさむ。
074
肉体
(
にくたい
)
は
死
(
し
)
すことあるも
精霊
(
せいれい
)
は
075
幾千代
(
いくちよ
)
までも
亡
(
ほろ
)
びざるなり。
076
どこまでも
生
(
い
)
きながらへて
汝
(
な
)
が
生命
(
いのち
)
077
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
に
悩
(
なや
)
ましくれなむ。
078
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
に
討
(
う
)
たれてひるむ
婆
(
ばば
)
ならず
079
しばしの
間
(
あひだ
)
をやすむのみなる』
080
虎公
(
とらこう
)
は、
081
『
執念
(
しふねん
)
の
深
(
ふか
)
き
婆
(
ばば
)
かも
今
(
いま
)
となりて
082
へらず
口
(
ぐち
)
のみたたき
居
(
ゐ
)
るなり。
083
両腕
(
りやううで
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
かれながら
知死期
(
ちしご
)
まで
084
ののしる
婆
(
ばば
)
アの
心
(
こころ
)
にくきも。
085
一打
(
ひとう
)
ちに
息
(
いき
)
とめてみむこの
婆
(
ばば
)
の
086
頭骸骨
(
づがいこつ
)
をば
打
(
う
)
ちくだきつつ。
087
わが
恨
(
うら
)
み
晴
(
は
)
らさむときは
来
(
きた
)
りけり
088
思
(
おも
)
ひしれ
婆
(
ばば
)
ア
今日
(
けふ
)
の
朝
(
あした
)
を』
089
婆
(
ばば
)
アは
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
をベロリと
出
(
だ
)
し、
090
冷汗
(
ひやあせ
)
をかきながら
尚
(
なほ
)
もしぶとく、
091
『
虎公
(
とらこう
)
よ
馬鹿
(
ばか
)
をほざくなこの
婆
(
ばば
)
は
092
斬
(
き
)
つても
斬
(
き
)
れぬ
亡
(
ほろ
)
びぬつはものぞ。
093
よしやよし
幾万
(
いくまん
)
人
(
にん
)
の
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
とも
094
ひるまぬ
笑
(
わら
)
ひの
婆
(
ばば
)
アを
知
(
し
)
らずや。
095
如何
(
いか
)
ならむ
悩
(
なや
)
みにあふもアハハハハ
096
イヒヒヒヒヒと
笑
(
わら
)
ひ
過
(
すご
)
さむ。
097
難局
(
なんきよく
)
に
処
(
しよ
)
しても
吾
(
われ
)
は
笑
(
わら
)
ふなり
098
笑
(
わら
)
へば
生命
(
いのち
)
は
永久
(
とは
)
に
亡
(
ほろ
)
びず。
099
笑
(
わら
)
ふこと
知
(
し
)
らぬ
輩
(
やから
)
のあはれさよ
100
いつも
怒
(
おこ
)
りつ
泣
(
な
)
きつ
居
(
ゐ
)
るなり。
101
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
は
弱味
(
よわみ
)
をつけこみて
102
そろそろ
生地
(
きぢ
)
をあらはしにけり。
103
この
婆
(
ばば
)
のみたまは
亡
(
ほろ
)
びず
何時
(
いつ
)
までも
104
生
(
い
)
きて
乙女
(
をとめ
)
に
仇
(
あだ
)
を
返
(
かへ
)
さむ。
105
山
(
やま
)
も
川
(
かは
)
も
海
(
うみ
)
もおぼえて
居
(
を
)
れよかし
106
今
(
いま
)
に
報
(
むく
)
いむ
今日
(
けふ
)
の
恨
(
うら
)
みを』
107
山
(
やま
)
は
少
(
すこ
)
しく
柳眉
(
りうび
)
を
逆立
(
さかだ
)
て
声
(
こゑ
)
をふるはせ、
108
『まだ
花
(
はな
)
の
蕾
(
つぼみ
)
の
生命
(
いのち
)
とりし
婆
(
ばば
)
に
109
吾
(
われ
)
は
報
(
むく
)
いむ
恨
(
うら
)
みのかずかず。
110
今日
(
けふ
)
まではすきを
窺
(
うかが
)
ひにこやかに
111
婆
(
ばば
)
に
仕
(
つか
)
へて
来
(
きた
)
りし
吾
(
われ
)
なり。
112
わが
心
(
こころ
)
知
(
し
)
らずに
胸
(
むね
)
を
安
(
やす
)
んじて
113
過
(
す
)
ぎにし
婆
(
ばば
)
のうかつなるかも。
114
故郷
(
ふるさと
)
のわが
垂乳根
(
たらちね
)
は
夜昼
(
よるひる
)
を
115
悲
(
かな
)
しみ
給
(
たま
)
はむ
思
(
おも
)
へばにくらし。
116
この
婆
(
ばば
)
のたまの
生命
(
いのち
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼして
117
世
(
よ
)
の
禍
(
わざはひ
)
をのぞかむと
思
(
おも
)
ふ』
118
婆
(
ばば
)
アは
怒
(
いか
)
りの
面相
(
めんさう
)
すさまじく、
119
『アハハハハあはれなるかな
乙女
(
をとめ
)
山
(
やま
)
120
汝
(
なれ
)
は
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らぬ
馬鹿者
(
ばかもの
)
。
121
わが
許
(
ゆる
)
しなくてみたまの
生命
(
いのち
)
をば
122
保
(
たも
)
つと
思
(
おも
)
ふかうつけ
者
(
もの
)
奴
(
め
)
が。
123
この
婆
(
ばば
)
は
閻魔
(
えんま
)
の
妻
(
つま
)
よ
今
(
いま
)
ここに
124
館
(
やかた
)
構
(
かま
)
へて
生命
(
いのち
)
断
(
た
)
つなり。
125
見苦
(
みぐる
)
しき
姿
(
すがた
)
の
婆
(
ばば
)
とさげすむな
126
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
の
奥方
(
おくがた
)
なるぞや』
127
川
(
かは
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
128
『
大王
(
だいわう
)
の
奥方
(
おくがた
)
なるか
知
(
し
)
らねども
129
悪
(
あ
)
しきことのみいたす
婆
(
ばば
)
なり。
130
この
婆
(
ばば
)
が
幽冥界
(
いうめいかい
)
にある
限
(
かぎ
)
り
131
精霊
(
せいれい
)
等
(
たち
)
は
浮
(
うか
)
ばざるべし。
132
如何
(
いか
)
ならむ
悩
(
なや
)
みにあふもいとはまじ
133
婆
(
ばば
)
アの
生命
(
いのち
)
をとらねばやまじ。
134
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
に
毒
(
どく
)
を
流
(
なが
)
してこの
婆
(
ばば
)
は
135
人
(
ひと
)
の
生命
(
いのち
)
をとりし
曲
(
まが
)
なり』
136
婆
(
ばば
)
アは、
137
『
汝
(
なれ
)
乙女
(
をとめ
)
訳
(
わけ
)
を
知
(
し
)
らずに
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふ
138
婆
(
ばば
)
の
光
(
ひかり
)
を
知
(
し
)
らぬ
盲
(
めくら
)
が』
139
海
(
うみ
)
は、
140
『
斯
(
か
)
くなれば
如何
(
いか
)
にもがくも
及
(
およ
)
ぶまじ
141
婆
(
ばば
)
に
報
(
むく
)
いむ
日頃
(
ひごろ
)
の
恨
(
うら
)
みを。
142
玉
(
たま
)
の
身
(
み
)
の
惜
(
を
)
しき
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれて
143
黙
(
もだ
)
すべきやは
花
(
はな
)
なる
乙女
(
をとめ
)
は』
144
婆
(
ばば
)
アは、
145
『
何
(
なん
)
なりと
勝手
(
かつて
)
にほざけこの
婆
(
ばば
)
の
146
許
(
ゆる
)
しなければ
住
(
す
)
み
場
(
ば
)
なからむ』
147
と
言
(
い
)
ひながら、
148
うんうんと
又
(
また
)
もや
冷汗
(
ひやあせ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
く
流
(
なが
)
しながら
呻吟
(
うめ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
149
ここに
冬男
(
ふゆを
)
は
乙女
(
をとめ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
150
『さきの
日
(
ひ
)
に
吾
(
われ
)
に
毒茶
(
どくちや
)
を
進
(
すす
)
めたる
151
汝
(
なれ
)
はいやしき
乙女
(
をとめ
)
ならずや。
152
鬼婆
(
おにばば
)
の
手下
(
てした
)
と
思
(
おも
)
ひし
汝
(
なれ
)
乙女
(
をとめ
)
153
今日
(
けふ
)
は
婆
(
ばば
)
アの
敵
(
かたき
)
となりけるよ』
154
山
(
やま
)
はこれに
答
(
こた
)
へて、
155
『
鬼婆
(
おにばば
)
のきびしき
教
(
をしへ
)
にそむかれず
156
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
茶
(
ちや
)
を
進
(
すす
)
めける。
157
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
と
思
(
おも
)
へどやむを
得
(
え
)
ざりけり
158
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へわが
曲業
(
まがわざ
)
を』
159
川
(
かは
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
160
『
君
(
きみ
)
こそはあたら
大丈夫
(
ますらを
)
精霊
(
せいれい
)
と
161
なして
力
(
ちから
)
をからむと
思
(
おも
)
へり。
162
大丈夫
(
ますらを
)
の
君
(
きみ
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
この
婆
(
ばば
)
を
163
征討
(
きた
)
むと
思
(
おも
)
ひて
毒
(
どく
)
たてまつりき。
164
大丈夫
(
ますらを
)
の
君
(
きみ
)
精霊
(
せいれい
)
となりまさば
165
吾
(
われ
)
の
力
(
ちから
)
と
思
(
おも
)
ひゐたりしよ。
166
精霊
(
せいれい
)
の
君
(
きみ
)
にしあれば
吾
(
われ
)
もまた
167
精霊
(
せいれい
)
故
(
ゆゑ
)
に
力
(
ちから
)
とたのまむ』
168
山
(
やま
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
169
『ともかくも
男女
(
だんぢよ
)
六柱
(
むはしら
)
精霊
(
せいれい
)
の
170
力
(
ちから
)
協
(
あは
)
せて
婆
(
ばば
)
を
征討
(
きた
)
めむ。
171
鬼婆
(
おにばば
)
よ
心
(
こころ
)
しづかに
冥
(
めい
)
せよや
172
いよいよ
運
(
うん
)
のつきにしあれば』
173
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アは
絶体
(
ぜつたい
)
絶命
(
ぜつめい
)
と
見
(
み
)
えける
折
(
をり
)
しも、
174
表戸
(
おもてど
)
を
静
(
しづ
)
かに
開
(
ひら
)
きて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る
胡麻塩
(
ごましほ
)
の
髪
(
かみ
)
を
後
(
うしろ
)
に
垂
(
た
)
らしたる
中婆
(
ちうばば
)
アありけり。
175
中婆
(
ちうばば
)
アは
言葉
(
ことば
)
淑
(
しと
)
やかに
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
男女
(
だんぢよ
)
に
黙礼
(
もくれい
)
しながら、
176
『
此
(
この
)
家
(
や
)
の
主
(
あるじ
)
笑
(
わら
)
ひさんは、
177
きついお
怪我
(
けが
)
をなさつたと
聞
(
き
)
きました。
178
私
(
わたし
)
はこの
村
(
むら
)
の「
譏
(
そし
)
り」と
言
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
でありますが、
179
里人
(
さとびと
)
の
代理
(
だいり
)
として
参
(
まゐ
)
りました。
180
見
(
み
)
れば
山
(
やま
)
、
181
川
(
かは
)
、
182
海
(
うみ
)
の
優
(
やさ
)
しき
三人
(
さんにん
)
様
(
さま
)
の
厚
(
あつ
)
き
御
(
ご
)
介抱
(
かいはう
)
を
御
(
お
)
礼
(
れい
)
申
(
まを
)
します。
183
また
外
(
ほか
)
の
男
(
をとこ
)
の
三人
(
さんにん
)
様
(
さま
)
まで
御
(
お
)
見舞
(
みま
)
ひにお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいましたやうですが、
184
何
(
なん
)
とも
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
申
(
まを
)
しやうもございませぬ。
185
どれ、
186
私
(
わたし
)
も
一寸
(
ちよつと
)
御
(
ご
)
容態
(
ようたい
)
を
見
(
み
)
させていただきませう』
187
と
言
(
い
)
ひつつ、
188
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アを
抱
(
だ
)
き
起
(
おこ
)
し、
189
すつくと
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ひ、
190
ホホホホホと
後
(
あと
)
を
振
(
ふ
)
りむき、
191
笑
(
わら
)
ひながら
驀地
(
まつしぐら
)
に
表
(
おもて
)
をさして
駈
(
か
)
け
出
(
いだ
)
し、
192
冲天
(
ちうてん
)
の
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り、
193
遠
(
とほ
)
き
南
(
みなみ
)
の
空
(
そら
)
に
向
(
むか
)
つて
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りぬ。
194
この
婆
(
ばば
)
アは
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
の
妹
(
いもうと
)
にして、
195
間断
(
かんだん
)
なく
人
(
ひと
)
を
譏
(
そし
)
り
楽
(
たの
)
しみとせる
悪魔
(
あくま
)
なりける。
196
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アは
妹
(
いもうと
)
に
助
(
たす
)
けられ
急場
(
きふば
)
を
遁
(
の
)
がれ、
197
行方
(
ゆくへ
)
をくらましたるより、
198
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
はむ
術
(
すべ
)
もなく、
199
互
(
たが
)
ひに
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあ
)
はして、
200
暫
(
しば
)
しが
程
(
ほど
)
は
呆然
(
ばうぜん
)
たりける。
201
(
昭和九・七・二六
旧六・一五
於関東別院南風閣
内崎照代
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