霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
01 独り旅
〔2005〕
02 行倒
〔2006〕
03 復活
〔2007〕
04 姉妹婆
〔2008〕
05 三つ盃
〔2009〕
06 秋野の旅
〔2010〕
第2篇 秋夜の月
07 月見ケ丘
〔2011〕
08 月と闇
〔2012〕
09 露の路
〔2013〕
10 五乙女
〔2014〕
11 火炎山
〔2015〕
12 夜見還
〔2016〕
13 樹下の囁き
〔2017〕
14 報哭婆
〔2018〕
15 憤死
〔2019〕
第3篇 天地変遷
16 火の湖
〔2020〕
17 水火垣
〔2021〕
18 大挙出発
〔2022〕
19 笑譏怒泣
〔2023〕
20 復命
〔2024〕
21 青木ケ原
〔2025〕
22 迎への鳥船
〔2026〕
23 野火の壮観
〔2027〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第80巻
> 第2篇 秋夜の月 > 第10章 五乙女
<<< 露の路
(B)
(N)
火炎山 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一〇章
五乙女
(
いつをとめ
)
〔二〇一四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第2篇 秋夜の月
よみ(新仮名遣い):
しゅうやのつき
章:
第10章 五乙女
よみ(新仮名遣い):
いつおとめ
通し章番号:
2014
口述日:
1934(昭和9)年07月27日(旧06月16日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8010
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 340頁
修補版:
校定版:
186頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
一行
(
いつかう
)
は
森蔭
(
もりかげ
)
の
小
(
ささ
)
やかなる
家
(
いへ
)
に
立寄
(
たちよ
)
り
見
(
み
)
れば、
002
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
、
003
笑
(
ゑみ
)
を
満面
(
まんめん
)
に
浮
(
うか
)
べて
一行
(
いつかう
)
を
迎
(
むか
)
へ
入
(
い
)
れ、
004
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れを
此
(
こ
)
の
破家
(
あばらや
)
に
休
(
やす
)
ませ
給
(
たま
)
へと
勧
(
すす
)
める。
005
此
(
この
)
女
(
をんな
)
の
名
(
な
)
は、
006
秋風
(
あきかぜ
)
、
007
野分
(
のわき
)
、
008
夕霧
(
ゆふぎり
)
、
009
朝霧
(
あさぎり
)
、
010
秋雨
(
あきさめ
)
といふ。
011
『
秋
(
あき
)
ながら
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れに
汗
(
あせ
)
出
(
い
)
でぬ
012
この
破家
(
あばらや
)
に
休
(
やす
)
ませ
給
(
たま
)
へ。
013
松
(
まつ
)
のひびき
萩
(
はぎ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
のさやさやに
014
響
(
ひび
)
きてさむき
秋
(
あき
)
なりにけり。
015
秋風
(
あきかぜ
)
の
吹
(
ふ
)
き
通
(
とほ
)
るなる
此
(
この
)
館
(
たち
)
に
016
暫
(
しば
)
しは
汗
(
あせ
)
をぬぐはせ
給
(
たま
)
へ』
017
秋男
(
あきを
)
はこれに
答
(
こた
)
へて、
018
『
秋
(
あき
)
されば
涼
(
すず
)
しきものを
汗
(
あせ
)
ばみぬ
019
この
森蔭
(
もりかげ
)
に
休
(
やす
)
らひ
行
(
ゆ
)
かむか。
020
一時
(
ひととき
)
をこれの
館
(
やかた
)
に
休
(
やす
)
らひて
021
吾
(
われ
)
は
力
(
ちから
)
を
養
(
やしな
)
はむとぞ
思
(
おも
)
ふ。
022
願
(
ねが
)
はくば
只
(
ただ
)
一時
(
ひととき
)
の
休
(
やす
)
らひを
023
これの
館
(
やかた
)
に
清
(
きよ
)
く
許
(
ゆる
)
せよ』
024
といひながら
一行
(
いつかう
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ、
025
柴
(
しば
)
の
戸
(
と
)
をくぐりて
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
るや、
026
表
(
おもて
)
より
見
(
み
)
たる
破家
(
あばらや
)
に
引替
(
ひきか
)
へて、
027
美
(
うる
)
はしき
広
(
ひろ
)
き
居間
(
ゐま
)
、
028
幾
(
いく
)
つともなく
並
(
なら
)
び
居
(
ゐ
)
たりしに、
029
『
思
(
おも
)
ひきやこの
破家
(
あばらや
)
に
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
030
美
(
うつく
)
しき
広
(
ひろ
)
き
居間
(
ゐま
)
のあるとは。
031
暫
(
しばら
)
くをこれの
館
(
やかた
)
に
休
(
やす
)
らひつ
032
勇
(
いさ
)
み
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
に
進
(
すす
)
まむ』
033
松
(
まつ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
034
『
草
(
くさ
)
を
分
(
わ
)
け
坂
(
さか
)
を
辿
(
たど
)
りて
吾
(
わが
)
足
(
あし
)
は
035
軽
(
かろ
)
き
疲
(
つか
)
れを
覚
(
おぼ
)
えけるかな。
036
この
家
(
いへ
)
に
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
魂
(
たましひ
)
を
037
よび
生
(
い
)
かしつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くべし。
038
不思議
(
ふしぎ
)
なる
館
(
やかた
)
なるかも
表
(
おもて
)
とは
039
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
の
居間
(
ゐま
)
の
数々
(
かずかず
)
。
040
もしやもし
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アのたくらみに
041
かかりしものかと
案
(
あん
)
じらるるも』
042
竹
(
たけ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
043
『
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
の
館
(
やかた
)
なりしは
幸
(
さいは
)
ひよ
044
幸
(
さいは
)
ひ
真昼
(
まひる
)
のことにありせば。
045
此
(
この
)
家
(
いへ
)
に
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アがひそむなら
046
生命
(
いのち
)
かぎりに
戦
(
たたか
)
ひて
見
(
み
)
む。
047
此
(
この
)
家
(
いへ
)
の
表
(
おもて
)
に
乙女
(
をとめ
)
五柱
(
いつはしら
)
048
立
(
た
)
てるも
一
(
ひと
)
つの
不思議
(
ふしぎ
)
なりけり。
049
鬼婆
(
おにばば
)
の
潜
(
ひそ
)
める
館
(
やかた
)
と
思
(
おも
)
はれず
050
斯
(
か
)
かる
優
(
やさ
)
しき
乙女
(
をとめ
)
住
(
す
)
むやを』
051
梅
(
うめ
)
は
小首
(
こくび
)
を
傾
(
かたむ
)
けながら
歌
(
うた
)
ふ。
052
『
悪神
(
あくがみ
)
の
罠
(
わな
)
に
入
(
い
)
りしか
何
(
なん
)
となく
053
吾
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
は
落着
(
おちつ
)
かぬかも。
054
八十
(
やそ
)
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
の
住家
(
すみか
)
と
知
(
し
)
るならば
055
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
戦
(
たたか
)
ひて
見
(
み
)
む。
056
悪神
(
あくがみ
)
は
優
(
やさ
)
しき
乙女
(
をとめ
)
と
見
(
み
)
せかけて
057
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
生命
(
いのち
)
を
窺
(
うかが
)
ひ
居
(
ゐ
)
るにや。
058
不思議
(
ふしぎ
)
なる
事
(
こと
)
ばかりなり
此
(
この
)
家
(
いへ
)
は
059
窓
(
まど
)
もあらずに
下
(
した
)
に
明
(
あか
)
るし』
060
桜
(
さくら
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
061
『
疑
(
うたが
)
へば
限
(
かぎ
)
りなからむ
此
(
この
)
家
(
いへ
)
を
062
吾
(
われ
)
は
曲津
(
まがつ
)
の
住家
(
すみか
)
と
思
(
おも
)
はず。
063
破家
(
あばらや
)
の
表
(
おもて
)
に
乙女
(
をとめ
)
あらはれて
064
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
吾
(
われ
)
を
迎
(
むか
)
へし。
065
皇神
(
すめかみ
)
の
御言
(
みこと
)
かがふり
出
(
い
)
でで
行
(
ゆ
)
く
066
この
旅立
(
たびだち
)
にさやる
曲津
(
まが
)
なし』
067
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
居
(
ゐ
)
る
折
(
をり
)
しも、
068
秋風
(
あきかぜ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
は
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
069
盆
(
ぼん
)
に
茶
(
ちや
)
を
汲
(
く
)
みながら、
070
目
(
め
)
の
上
(
うへ
)
高
(
たか
)
く
差上
(
さしあ
)
げ、
071
破家
(
あばらや
)
に
憩
(
いこ
)
はせ
給
(
たま
)
ふ
客人
(
まらうど
)
に
心
(
こころ
)
ばかりの
茶
(
ちや
)
を
奉
(
たてまつ
)
る。
072
『これの
茶
(
ちや
)
は
泉
(
いづみ
)
の
山
(
やま
)
の
高畑
(
たかはた
)
に
073
栄
(
さか
)
えて
甘
(
あま
)
き
薬
(
くすり
)
なりけり。
074
それ
故
(
ゆゑ
)
に
普
(
あまね
)
く
人
(
ひと
)
は
泉茶
(
いづみちや
)
と
075
称
(
とな
)
へて
朝夕
(
あさゆふ
)
楽
(
たの
)
しみ
飲
(
の
)
むなり。
076
これの
茶
(
ちや
)
を
召上
(
めしあが
)
りませ
長旅
(
ながたび
)
の
077
疲
(
つか
)
れは
頓
(
とみ
)
に
休
(
やす
)
まるべきを』
078
秋男
(
あきを
)
は
怪
(
あや
)
しみながら、
079
『
何処
(
どこ
)
となくこの
茶
(
ちや
)
の
香
(
かを
)
りは
怪
(
あや
)
しけれ
080
暫
(
しばら
)
く
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ちてすすらむ』
081
秋風
(
あきかぜ
)
は
稍
(
やや
)
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へながら、
082
『
不思議
(
ふしぎ
)
なることを
宣
(
の
)
らすよこれの
茶
(
ちや
)
は
083
泉
(
いづみ
)
の
茶
(
ちや
)
にて
人
(
ひと
)
の
生命
(
いのち
)
よ』
084
秋男
(
あきを
)
は
答
(
こた
)
ふ。
085
『
何
(
なん
)
となく
吾
(
われ
)
は
生命
(
いのち
)
の
惜
(
を
)
しさ
故
(
ゆゑ
)
086
見知
(
みし
)
らぬ
茶湯
(
ちやゆ
)
は
飲
(
の
)
みたくはなし』
087
野分
(
のわき
)
といふ
乙女
(
をとめ
)
は
涼
(
すず
)
しき
声
(
こゑ
)
にて、
088
『
客人
(
まらうど
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
真心
(
まごころ
)
疑
(
うたが
)
ひて
089
清
(
きよ
)
き
優
(
やさ
)
しき
心
(
こころ
)
を
受
(
う
)
けずや。
090
朝
(
あさ
)
に
夕
(
ゆふ
)
に
清
(
きよ
)
めすまして
作
(
つく
)
りたる
091
これの
茶
(
ちや
)
の
湯
(
ゆ
)
に
毒
(
どく
)
のあるべき』
092
松
(
まつ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
093
『
乙女
(
をとめ
)
等
(
ら
)
の
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
受
(
う
)
けぬには
094
吾
(
われ
)
あらねども
暫
(
しば
)
しを
待
(
ま
)
たせよ。
095
あつき
湯
(
ゆ
)
は
吾
(
われ
)
は
好
(
この
)
まず
舌
(
した
)
やかむ
096
ぬるむを
待
(
ま
)
ちて
吾
(
われ
)
は
飲
(
の
)
むべし』
097
夕霧
(
ゆふぎり
)
は
後
(
あと
)
よりのび
上
(
あが
)
りながら、
098
『
乙女
(
をとめ
)
等
(
ら
)
の
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
疑
(
うたが
)
ひて
099
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
誠
(
まこと
)
をうけ
給
(
たま
)
はずや。
100
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
茶湯
(
ちやゆ
)
と
思
(
おも
)
ひて
客人
(
まらうど
)
は
101
ためらひ
給
(
たま
)
ふと
思
(
おも
)
へば
怨
(
うら
)
めし。
102
萩
(
はぎ
)
桔梗
(
ききやう
)
匂
(
にほ
)
へる
秋
(
あき
)
の
山裾
(
やますそ
)
に
103
館
(
やかた
)
造
(
つく
)
りて
君
(
きみ
)
等
(
ら
)
を
待
(
ま
)
ちしよ。
104
吾
(
われ
)
こそは
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
105
五乙女
(
いつをとめ
)
にて
怪
(
あや
)
しきものならず』
106
竹
(
たけ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
107
『
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
の
乙女
(
をとめ
)
か
知
(
し
)
らねども
108
汝
(
なれ
)
が
面
(
おもて
)
にあやしきふしあり。
109
折々
(
をりをり
)
に
乙女
(
をとめ
)
の
耳
(
みみ
)
は
動
(
うご
)
くなり
110
まさしく
狐狸
(
こり
)
の
化身
(
けしん
)
と
思
(
おも
)
ふ。
111
茶
(
ちや
)
の
色
(
いろ
)
は
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
変
(
かは
)
り
行
(
ゆ
)
きて
112
墨
(
すみ
)
の
如
(
ごと
)
くになりにけらしな。
113
此
(
この
)
茶
(
ちや
)
こそ
水奔草
(
すゐほんさう
)
にてつくりたる
114
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
ふ
毒湯
(
どくゆ
)
なるべし』
115
朝霧
(
あさぎり
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
116
『
斯
(
か
)
くなれば
最早
(
もはや
)
詮
(
せん
)
なし
吾々
(
われわれ
)
は
117
乙女
(
をとめ
)
と
見
(
み
)
ゆれど
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
なり』
118
秋雨
(
あきさめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
119
『
客人
(
まらうど
)
に
看破
(
みやぶ
)
られたるその
上
(
うへ
)
は
120
最早
(
もはや
)
詮
(
せん
)
なし
覚悟
(
かくご
)
召
(
め
)
されよ。
121
破家
(
あばらや
)
と
見
(
み
)
ゆれど
永遠
(
とは
)
の
巌窟
(
がんくつ
)
よ
122
最早
(
もはや
)
逃
(
のが
)
れる
道
(
みち
)
はあるまじ』
123
梅
(
うめ
)
は
声
(
こゑ
)
もあらあらしく
歌
(
うた
)
ふ。
124
『
吾
(
われ
)
とても
汝
(
なれ
)
が
謀計
(
たくみ
)
を
知
(
し
)
りし
故
(
ゆゑ
)
125
これの
巌窟
(
いはや
)
を
破
(
やぶ
)
らむと
来
(
き
)
つる。
126
乙女子
(
をとめご
)
の
姿
(
さま
)
を
装
(
よそほ
)
ひ
鬼婆
(
おにばば
)
の
127
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
ひ
謀
(
はか
)
る
曲
(
くせ
)
もの』
128
桜
(
さくら
)
は
怒
(
いか
)
りながら、
129
『コリヤ
曲津
(
まがつ
)
もうかうなれば
是非
(
ぜひ
)
もなし
130
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
飽
(
あ
)
くまで
放
(
はふ
)
らむ』
131
秋男
(
あきを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
132
『
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
曲津
(
まがつ
)
の
巌窟
(
いはや
)
と
知
(
し
)
りしゆゑ
133
殊更
(
わざと
)
に
此処
(
ここ
)
に
誘
(
さそ
)
はれ
入
(
い
)
りぬ。
134
乙女子
(
をとめご
)
と
見
(
み
)
ゆるは
何
(
いづ
)
れも
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
135
生命
(
いのち
)
奪
(
うば
)
ふと
待
(
ま
)
てる
奴
(
やつ
)
なり。
136
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
に
水奔草
(
すゐほんさう
)
を
飲
(
の
)
まされて
137
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
は
鬼
(
おに
)
となりしものなり。
138
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
心
(
こころ
)
鎮
(
しづ
)
めて
聞
(
き
)
けよかし
139
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アに
怨
(
うら
)
み
持
(
も
)
たずや』
140
秋風
(
あきかぜ
)
は
稍
(
やや
)
顔
(
かほ
)
を
曇
(
くも
)
らせて、
141
『
客人
(
まらうど
)
の
言葉
(
ことば
)
は
宜
(
うべ
)
よ
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
142
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アに
謀
(
はか
)
られにけり。
143
この
辺
(
あた
)
りは
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アの
縄張
(
なはばり
)
よ
144
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
彼
(
かれ
)
に
頤使
(
いし
)
さるるもの。
145
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
とられし
悔
(
くや
)
しさに
146
人
(
ひと
)
を
艱
(
なや
)
むる
鬼
(
おに
)
とはなりぬ。
147
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
る
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
も
悉
(
ことごと
)
く
148
吾
(
われ
)
と
等
(
ひと
)
しき
運命
(
うんめい
)
たどりし。
149
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アは
傷
(
きず
)
つきて
150
休
(
やす
)
らひ
居
(
を
)
りぬ
亡
(
ほろ
)
ぼし
給
(
たま
)
へ。
151
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
をきため
給
(
たま
)
はば
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
亦
(
また
)
152
君
(
きみ
)
に
力
(
ちから
)
を
添
(
そ
)
へ
奉
(
まつ
)
るべし。
153
力強
(
ちからづよ
)
き
鬼婆
(
おにばば
)
ながら
昨夜
(
さくや
)
より
154
不快
(
ふくわい
)
なりとて
呻吟
(
うめ
)
き
居
(
ゐ
)
るなり』
155
松
(
まつ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
156
『
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
の
生言霊
(
いくことたま
)
に
打出
(
うちだ
)
され
157
婆
(
ばば
)
はいたでに
悩
(
なや
)
むなるらむ。
158
面白
(
おもしろ
)
し
斯
(
か
)
くも
秘密
(
ひみつ
)
を
聞
(
き
)
く
上
(
うへ
)
は
159
乙女
(
をとめ
)
に
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
力
(
ちから
)
を
添
(
そ
)
へむ。
160
面白
(
おもしろ
)
き
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
くかな
鬼婆
(
おにばば
)
は
161
これの
館
(
やかた
)
に
呻吟
(
うめ
)
き
居
(
ゐ
)
るとは。
162
斯
(
か
)
くならば
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
声
(
こゑ
)
かぎり
163
生言霊
(
いくことたま
)
に
攻
(
せ
)
め
艱
(
なや
)
まさむ』
164
茲
(
ここ
)
に
秋男
(
あきを
)
の
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
と
五柱
(
いつはしら
)
の
乙女
(
をとめ
)
、
165
互
(
たがひ
)
に
堅
(
かた
)
き
握手
(
あくしゆ
)
を
交
(
か
)
はし、
166
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
の
潜
(
ひそ
)
める
居間
(
ゐま
)
を
四方
(
しはう
)
より
取巻
(
とりま
)
き、
167
天地
(
てんち
)
も
破
(
やぶ
)
るるばかりに
大音声
(
だいおんじやう
)
を
発
(
はつ
)
し、
168
『
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
169
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
八千万
(
やちよろづ
)
の
神
(
かみ
)
170
此
(
これ
)
の
館
(
やかた
)
に
潜
(
ひそ
)
みたる
171
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
なる
水奔鬼
(
すゐほんき
)
を
172
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
にくまもなく
173
亡
(
ほろ
)
ぼし
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
174
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
力
(
ちから
)
あれ
175
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
光
(
ひかり
)
あれ
176
アオウエイ
177
カコクケキ』
178
と
次々
(
つぎつぎ
)
に
七十五
(
しちじふご
)
声
(
せい
)
の
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
れば
179
さすがの
水奔鬼
(
すゐほんき
)
も
堪
(
たま
)
りかね
180
狭
(
せま
)
き
室内
(
しつない
)
を
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ひ
181
悲鳴
(
ひめい
)
を
挙
(
あ
)
げて
又
(
また
)
もや
再
(
ふたた
)
び
起上
(
おきあが
)
り
182
死物狂
(
しにものぐる
)
ひの
形相
(
ぎやうさう
)
凄
(
すさま
)
じく
183
秋男
(
あきを
)
に
向
(
むか
)
つて
飛
(
と
)
びかかるを
184
ものをも
言
(
い
)
はず
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め
185
婆
(
ばば
)
の
横面
(
よこづら
)
を
打
(
う
)
ちすゑ
打
(
う
)
ちすゑきためければ
186
さしもの
婆
(
ばば
)
も
痛
(
いた
)
さに
堪
(
た
)
へ
兼
(
か
)
ねてや
187
窓
(
まど
)
の
戸
(
と
)
にはかに
押開
(
おしあ
)
けて
188
忽
(
たちま
)
ち
巌窟内
(
がんくつない
)
を
飛出
(
とびいだ
)
し
189
怪
(
あや
)
しき
雲気
(
うんき
)
を
吐
(
は
)
きながら
190
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
大空
(
おほぞら
)
さして
191
血煙
(
ちけむり
)
の
雨
(
あめ
)
を
降
(
ふ
)
らせつつ
192
跡白雲
(
あとしらくも
)
と
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
きぬ
193
ああ
惟神
(
かむながら
)
言霊
(
ことたま
)
の
194
厳
(
いづ
)
の
力
(
ちから
)
ぞ
畏
(
かしこ
)
けれ
195
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アの
水奔鬼
(
すゐほんき
)
は
196
斯
(
か
)
くして
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
の
精霊
(
せいれい
)
を
197
醜
(
しこ
)
の
巌窟
(
がんくつ
)
に
残
(
のこ
)
し
置
(
お
)
き
198
第二
(
だいに
)
の
作戦
(
さくせん
)
に
移
(
うつ
)
らむと
199
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
きしこそ
恐
(
おそ
)
ろしき。
200
五乙女
(
いつをとめ
)
は
満面
(
まんめん
)
に
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へ、
201
胸
(
むね
)
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し、
202
「ウオウオ」と
叫
(
さけ
)
びつつ、
203
手
(
て
)
の
舞
(
ま
)
ひ
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
む
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らぬばかりなりける。
204
秋風
(
あきかぜ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
205
『
吾
(
われ
)
こそは
泉ケ丘
(
いづみがをか
)
に
生
(
うま
)
れたる
206
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
ら
)
の
娘
(
むすめ
)
なりけり。
207
四柱
(
よはしら
)
の
乙女
(
をとめ
)
も
同
(
おな
)
じ
里
(
さと
)
の
子
(
こ
)
よ
208
この
鬼婆
(
おにばば
)
に
謀
(
はか
)
られしもの。
209
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
茶
(
ちや
)
を
飲
(
の
)
まされて
吾々
(
われわれ
)
は
210
水奔鬼
(
すゐほんき
)
とはなりにけらしな。
211
客人
(
まらうど
)
に
此
(
この
)
茶
(
ちや
)
をささげ
吾
(
われ
)
と
共
(
とも
)
に
212
力
(
ちから
)
協
(
あは
)
すと
勧
(
すす
)
めけるかな。
213
思
(
おも
)
へば
春
(
はる
)
の
初
(
はじ
)
めなり
214
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
等
(
ら
)
は
215
泉
(
いづみ
)
の
里
(
さと
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
216
高光山
(
たかみつやま
)
に
詣
(
まう
)
でむと
217
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
れる
折
(
をり
)
もあれ
218
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れに
咽喉
(
のど
)
かわき
219
苦
(
くる
)
しむ
折
(
をり
)
しも
森蔭
(
もりかげ
)
の
220
一
(
ひと
)
つの
小
(
ちひ
)
さき
家
(
いへ
)
を
見
(
み
)
て
221
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
等
(
ら
)
は
222
立寄
(
たちよ
)
り
見
(
み
)
れば
白髪
(
はくはつ
)
の
223
一人
(
ひとり
)
の
婆
(
ば
)
さんが
住
(
すま
)
ひ
居
(
ゐ
)
て
224
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
渋茶
(
しぶちや
)
を
召
(
あ
)
がれよと
225
手招
(
てまね
)
きしたる
嬉
(
うれ
)
しさに
226
暫
(
しばら
)
く
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めつつ
227
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
茶
(
ちや
)
と
知
(
し
)
らず
228
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
一度
(
いちど
)
に
飲
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
しぬ
229
俄
(
にはか
)
に
頭
(
あたま
)
は
痛
(
いた
)
み
出
(
だ
)
し
230
手足
(
てあし
)
身体
(
しんたい
)
腫
(
は
)
れ
上
(
あが
)
り
231
身動
(
みうご
)
きならぬ
状態
(
さま
)
を
見
(
み
)
て
232
婆
(
ばば
)
はニツコと
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ひ
233
吾
(
わが
)
計略
(
けいりやく
)
にかかりしよ
234
汝
(
なんぢ
)
乙女
(
をとめ
)
の
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
235
生命
(
いのち
)
は
最早
(
もはや
)
今日
(
けふ
)
かぎり
236
葭原
(
よしはら
)
の
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
ら
)
の
生命
(
せいめい
)
を
237
残
(
のこ
)
らず
取
(
と
)
りて
幽界
(
いうかい
)
の
238
真正
(
まこと
)
の
鬼
(
おに
)
となせよかし
239
吾
(
われ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
反
(
そむ
)
きなば
240
茨
(
いばら
)
の
鞭
(
むち
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げて
241
汝
(
なんぢ
)
が
全身
(
ぜんしん
)
打
(
う
)
ち
破
(
やぶ
)
り
242
つらき
目
(
め
)
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れむずと
243
威
(
おど
)
しの
言葉
(
ことば
)
に
怖
(
お
)
ぢ
恐
(
おそ
)
れ
244
彼
(
かれ
)
が
教
(
をし
)
ふるままにして
245
悲
(
かな
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
り
来
(
き
)
ぬ
246
秋男
(
あきを
)
の
君
(
きみ
)
は
現世
(
うつしよ
)
の
247
人
(
ひと
)
にしあれば
言霊
(
ことたま
)
の
248
力
(
ちから
)
は
強
(
つよ
)
し
吾々
(
われわれ
)
は
249
精霊界
(
せいれいかい
)
にある
身
(
み
)
なれば
250
其
(
その
)
言霊
(
ことたま
)
に
力
(
ちから
)
あるべき
251
言霊
(
ことたま
)
の
光
(
ひかり
)
は
出
(
い
)
でず
苦
(
くる
)
しみぬ
252
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
にて
泣
(
な
)
くばかり
253
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
へ
水上
(
みなかみ
)
の
254
山
(
やま
)
に
輝
(
かがや
)
く
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
255
御子
(
みこ
)
とあれます
秋男神
(
あきをがみ
)
の
256
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
257
五人
(
ごにん
)
乙女
(
をとめ
)
は
鬼婆
(
おにばば
)
の
258
頤使
(
いし
)
に
甘
(
あま
)
んじ
仕
(
つか
)
へつつ
259
強
(
つよ
)
き
身魂
(
みたま
)
の
来訪
(
らいはう
)
を
260
待
(
ま
)
ちに
待
(
ま
)
ちたる
甲斐
(
かひ
)
ありて
261
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らす
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
262
ああたのもしや
心地
(
ここち
)
よや
263
月見
(
つきみ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
264
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
が
一行
(
いつかう
)
悉
(
ことごと
)
く
265
艱
(
なや
)
まし
呉
(
く
)
れむと
計画
(
たく
)
みしを
266
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アは
逆
(
さか
)
しらに
267
生言霊
(
いくことたま
)
に
打出
(
うちだ
)
され
268
生命
(
いのち
)
からがら
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り
269
一間
(
ひとま
)
に
呻吟
(
うめ
)
き
居
(
ゐ
)
たりしゆ
270
此
(
この
)
時
(
とき
)
こそは
幸
(
さいは
)
ひと
271
五人
(
ごにん
)
乙女
(
をとめ
)
は
諜
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せ
272
仇
(
あだ
)
を
打
(
う
)
たむと
思
(
おも
)
へども
273
素
(
もと
)
より
乙女
(
をとめ
)
の
力
(
ちから
)
には
274
手向
(
てむか
)
ふ
由
(
よし
)
もなかりけり
275
かかる
処
(
ところ
)
へ
現身
(
うつそみ
)
の
276
身体
(
からたま
)
もたす
汝
(
なれ
)
一行
(
いつかう
)
277
来
(
きた
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
嬉
(
うれ
)
しさに
278
毒
(
どく
)
と
知
(
し
)
りつつ
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
279
湯
(
ゆ
)
を
勧
(
すす
)
めむとしたりけり
280
必
(
かなら
)
ず
怒
(
いか
)
らせ
給
(
たま
)
ふなかれ
281
君
(
きみ
)
を
力
(
ちから
)
と
思
(
おも
)
ふが
故
(
ゆゑ
)
に
282
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
に
幽界
(
かくりよ
)
に
283
現
(
あら
)
はれまして
鬼婆
(
おにばば
)
を
284
討
(
う
)
ち
罰
(
きた
)
めつつ
霊界
(
れいかい
)
の
285
禍
(
わざは
)
ひ
除
(
のぞ
)
くと
思
(
おも
)
へばなり
286
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
秋男神
(
あきをがみ
)
287
御供
(
みとも
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
288
真心
(
まごころ
)
あらはし
詫
(
わ
)
び
奉
(
まつ
)
る
289
外
(
ほか
)
の
乙女
(
をとめ
)
も
同
(
おな
)
じ
心
(
こころ
)
の
捨小舟
(
すてをぶね
)
290
取
(
と
)
りつく
島
(
しま
)
もなかりしが
291
今日
(
けふ
)
の
吉
(
よ
)
き
日
(
ひ
)
の
喜
(
よろこ
)
びに
292
蘇
(
よみがへ
)
りけりあら
尊
(
たふと
)
293
偏
(
ひとへ
)
に
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
294
是
(
これ
)
より
君
(
きみ
)
は
言霊
(
ことたま
)
の
295
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
うたひつつ
296
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
に
進
(
すす
)
みませ
297
譏
(
そし
)
り
婆
(
ば
)
さんの
第一
(
だいいち
)
に
298
恐
(
おそ
)
れて
忌
(
い
)
むは
言霊
(
ことたま
)
よ
299
吾
(
われ
)
は
後
(
あと
)
より
蔭
(
かげ
)
ながら
300
君
(
きみ
)
の
出
(
い
)
で
立
(
た
)
ち
送
(
おく
)
りつつ
301
一臂
(
いつぴ
)
の
力
(
ちから
)
を
添
(
そ
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ
302
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ』
303
と
言
(
い
)
ひながら、
304
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
は
白煙
(
はくえん
)
となりて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
305
よくよく
見
(
み
)
れば、
306
森蔭
(
もりかげ
)
の
雑草
(
ざつさう
)
の
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
る
中
(
なか
)
に
一行
(
いつかう
)
は
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
してうづくまり
居
(
ゐ
)
つ。
307
破家
(
あばらや
)
の
蔭
(
かげ
)
も
巌窟
(
いはや
)
も
跡形
(
あとかた
)
なく、
308
小鳥
(
ことり
)
の
囀
(
さへづ
)
り、
309
虫
(
むし
)
の
啼
(
な
)
く
音
(
ね
)
ばかりなりける。
310
秋男
(
あきを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
311
『
不思議
(
ふしぎ
)
なる
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
しより
鬼婆
(
おにばば
)
の
312
悩
(
なや
)
める
状態
(
さま
)
を
覚
(
さと
)
らひにけり。
313
破家
(
あばらや
)
も
巌窟
(
いはや
)
も
全
(
まつた
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて
314
野辺
(
のべ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
さやかなり』
315
(
昭和九・七・二七
旧六・一六
於関東別院南風閣
森良仁
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 露の路
(B)
(N)
火炎山 >>>
霊界物語
>
第80巻
> 第2篇 秋夜の月 > 第10章 五乙女
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【10 五乙女|第80巻(未の巻)|霊界物語/rm8010】
合言葉「みろく」を入力して下さい→