第二二章 迎への鳥船〔二〇二六〕
インフォメーション
著者：出口王仁三郎
巻：霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇：第3篇 天地変遷
よみ（新仮名遣い）：てんちへんせん
章：第22章 迎への鳥船
よみ（新仮名遣い）：むかえのとりふね
通し章番号：2026
口述日：1934（昭和9）年07月31日（旧06月20日）
口述場所：関東別院南風閣
筆録者：林弥生
校正日：
校正場所：
初版発行日：1934（昭和9）年12月5日
概要：
舞台：
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]：朝香比女の神一行は、歎かひの島の国津神たちに燧石を授けて歓ぎの島と名づけた後、葭原の国に向かって進み、国土の東海岸にある松浦の港に、真昼頃にようやく到着した。
一行は老松生い茂る磯辺に上陸し、美しい景色をめでながら、述懐の歌を歌った。すると、天の鳥船が空気をどよもしながら、松浦の港に向かってやってくるのが見えた。
鳥船が空を翔けてくる有様を歌っているうちに、鳥船は静かに松浦の港の砂浜の上に着地した。初めて鳥船を見た朝香比女の神の従者神たちは、口々に驚きの歌を歌った。
鳥船からは朝空男、国生男、大御照の三柱の神が降り来たり、朝香比女一行に最敬礼をなすと、御樋代神・朝霧比女の神の命により、一行を迎えに来たことを伝えた。
朝香比女の神は朝霧比女の神の心遣いに謝意を表した。一同は挨拶を交わすと、天の鳥船に乗り込んで松浦港を出発し、高光山へと飛び立った。
朝香比女の神は下界を見下ろして、水奔草が生い茂る原野に気づき、これを焼き払うために燧石を朝霧比女の神に授けようと歌った。
一行は空中の旅を歌に歌ううちに、その日の夕方ごろに青木ケ原の聖場に降り立った。高光山の神々たちは両手を高く差し上げて、ときの声を上げて歓迎の意を表した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]：
備考：
タグ：
データ凡例：
データ最終更新日：
OBC ：rm8022
愛善世界社版：
八幡書店版：第14輯 407頁
修補版：
校定版：429頁
普及版：
初版：
ページ備考：
001 朝香比女の神の一行は、002歎かひの島に打ち渡り、003国津神に燧石を授け、004荒れ果てし国原を隈なく拓かせ、005歓ぎの島と改めつつ、006再び駒諸共御船に乗り、007万里の島ケ根を右に左に漕ぎ渡りつつ、008万里の海原の中にて、009広袤第一と聞えたる、010葭原の国土の東海岸なる松浦の港に、011真昼頃漸く着かせ給ひ、012磯辺に船を横たへて、013初頭比古の神、014起立比古の神、015立世比女の神、016天晴比女の神の四柱と共に上陸し、017老松生ひ茂る磯辺の波打際を、018心地よげに見はるかしながら御歌詠ませ給ふ。
019『顕津男の神に会はむと山川や
020海原渡り此処に来つるも。
021打ち寄する磯辺の波の白々と
022日に輝けるさまの清しき。
023八千尋の底ひも知らぬ波の上を
024安く渡りて此処に着きぬる。
025常磐樹の蔭に憩へば海を吹く
026風の響きのさわやかなるかな。
027御子生みの業を思ひて朝夕を
029この島は葭草茂り曲津神は
031この島は朝霧比女の知食す
032聖所と思へば何か嬉しき。
033天津日は松の梢にかかりつつ
035 初頭比古の神は歌ふ。
036『わが公の御伴に仕へて種々の
037貴の功を仰ぎけるかな。
038波の音松の響もわが公の
039功を清く称ふべらなる。
040曲津見の右や左にあれ狂ふ
041山川海をわたり来し公。
042万世の末の末まで輝かむ
043朝香の比女の貴の功は。
044百千鳥鳴く音を聞けば喜びを
045包みて公を待ちわぶるがに見ゆ』
046 起立比古の神は歌ふ。
047『高照の山を天降りし御樋代の
048神の功に従ひ来にけり。
049顕津男の神も喜び給ふらむ
050御樋代神の清き心を。
051果てしなき山川海原渡りまして
052神の神業に仕へます公よ。
053御樋代の神の雄々しさに励まされ
054弱き心も起立の神われは。
055国土稚き葭原の国土も起立の
056神の功の現るる時よ。
057高光の山を遥かに見渡せば
058紫の雲棚曳きて居り。
059紫の雲の辺りは朝霧比女の
060永遠にまします青木ケ原か。
061われも亦青木ケ原の清庭に
062詣でて四方の国形見まほし』
063 立世比女の神は歌ふ。
064『御樋代の朝香の比女に従ひて
065珍しみ渡るも海原の波。
066種々の曲神等を言向けて
067国土拓きましし神の雄々しさ。
068天降ります神の功もたつ世比女
070松を吹く風の響きの清しさに
071旅の疲れも忘らえにけり。
072波の上を右に左に飛びかへる
073鴎の翼の光る昼なり。
074光闇行き交ふ海原渡り来て
075今松浦の港に着きぬる。
076松浦の港の眺め清しもよ
077目路の限りは白砂白波』
078 天晴比女の神は歌ふ。
079『天地の晴れ渡りたる此の真昼を
080嬉しきかもよ港に休らふ。
081西空をふりさけ見れば黒き影
082翼を摶ちて進み来るかも。
083次ぎ次ぎに形大きく見えにつつ
084翼の音の轟き聞ゆる。
085天晴れ天晴れ鳥にはあらぬ神々の
086乗らせ給へる磐樟船かも』
087 朝香比女の神は、088右手を高くさし上げ日光を遮り、089御空を見渡し給へば、090天の鳥船は西空をかすめて空気をどよもしながら、091松浦の港をさして降り来るあり。092その勇ましき姿を見て、093御歌詠ませ給ふ。
094『天晴れ天晴れ天の鳥船降り来ぬ
096朝霧比女神の神言の遣はせし
097吾等を迎への御船なるらし』
098 かく歌ひ給ふ折もあれ、099松浦の港の真砂の上に、100鳥船は静かに鳴りを鎮めて降り来る。
101 初頭比古の神は驚きながら歌ふ。
102『珍らしき御船なるかな雲の上を
103渡りて来ます神のありとは。
104波の上を渡る御船はわれ知れど
105空行く御船は知らざりにけり。
106主の神の貴の言霊幸はひて
107空行く船は造られにけり』
108 起立比古の神は歌ふ。
109『珍しき御船なるかな千早振る
110神代もきかぬ天の鳥船。
111鳳凰の翼に乗りし神ありと
112聞けども空の御船は聞かず』
113 立世比女の神は歌ふ。
114『御樋代の神の御供に仕へ来て
115今日珍しき御船見しかな』
116 天晴比女の神は歌ふ。
117『久方の晴れたる空をどよもして
118天晴れ鳥船降りましけり』
119 斯く歌ふ折もあれ、120大御照の神を先頭に、121朝空男の神、122国生男の神の三柱は、123莞爾として鳥船を下り、124静かに朝香比女の神の御前に進み寄り、125最敬礼を為し、126次ぎに供の四柱の神に目礼し、127鳥船を指さしながら、
128『御樋代の朝香比女神迎へむと
129高光山を降り来しはや。
130朝霧比女神の神言を畏みて
131公迎へむと雲路をわけ来つ。
132願はくばこれの御船に召しませよ
133高光山に送りまつらむ』
134 朝空男の神は歌ふ。
135『久方の高照山ゆ天降りましし
136御樋代神のよそほひ畏し。
137朝霧比女神は八柱御樋代の
138神の出でまし待たせ給へり。
139鳥船を造りてわれは来りけり
140いざや召しませ堅き御船よ』
141 国生男の神は歌ふ。
142『国生男神はわれなり高光の
143山に仕へし司神ぞや。
144朝香比女神の神言は御光に
145いませばわが国照らさせ給へ。
146久方の雲井を渡るこの船は
147海ゆく船に勝りて安けし』
148 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
149『御樋代神の厚き心を諾ひて
150御船の力に聖所にのぼらむ。
151珍しき天の鳥船眺めつつ
152主の大神の功をおもふ。
153久方の雲路を分けて来りましし
154神の雄々しき心を称へむ』
155 初頭比古の神は歌ふ。
156『わが公の御供に仕へ此処に来て
157空の御船に上る楽しさ。
158未だ国土は稚しと聞けど葭原は
160空をゆく御船の功著ければ
161高光山も安くのぼらむ』
162 起立比古の神は歌ふ。
163『初めての空の御船に身をまかせ
164下界を見つつゆくは楽しからむ』
165 立世比女の神は歌ふ。
166『姫神のわれにはあれど鳥船に
167乗りて進むと思へば嬉し』
168 天晴比女の神は歌ふ。
169『天地の晴れ渡りたる今日の日に
170空ゆく船は清しかるらむ』
171 大御照の神は歌ふ。
172『いざさらば朝香比女神初めとし
173四柱神も乗らせ給はれ』
174 ここに主客八柱の神は、175翼強き広き鳥船に身を托し、176松浦港より中空高く舞ひ上り、177下界の山川海原を見下しながら、178高光山の頂指して、179雲井の旅を続けさせ給ふ。
180 朝香比女の神は、181眼下の国形を見下し給ひて御歌詠ませ給ふ。
182『われこそは御空を伊行く鳥なれや
183山川ことごと目の下に見つ。
184山も野も大海原もありありと
185わが目の下に輝きにけり。
186草枕長の旅路も今日こそは
188この国土に火種ありせば葭草や
189水奔草を焼きて拓かむ。
190幸にわれは燧石を持ちにけり
191御樋代神に土産をすすめむ。
192雲路分けて進むわれ等は楽しけれ
193翼は早く羽音清しく』
194 大御照の神は歌ふ。
195『朝香比女心安けくましませよ
197吹き来る風に向ひて鳥船の
198進む羽音の勇ましきかな。
199久方の御空に見ゆる高山は
200主の神まつれる聖所なるぞや』
201 朝空男の神は歌ふ。
202『御樋代神の朝香比女 206高光山の聖場に 208吹き来る風は強くとも 209黒雲の峯包むとも 210如何で怖れむ主の神の 211貴の神言を被りて 215如何なる難処も乗り起えて 216所期の目的達せむと 218眼下に見ゆる湖は 219予讃の国にて名も高き 221新に生れし水鏡 222月日を浮べて輝けり 223遥か彼方を見渡せば 224水上山の聖場は 225厚き紫雲に包まれて 226国の秀見ゆる清しさよ 227葭草茂り水奔草 230荒野ケ原を目の下に 232御樋代神の降臨を 236次第々々に近よりて 237青木ケ原の聖場に 238建てる御館甍まで 241神の守りの尊さよ。
242半時の後には貴の聖場に
243安く着きなむ御樋代神よ』
244 八重の雲路を分けながら、245其の日の夕ごろ、246大御照の神の操れる鳥船は、247青木ケ原の聖場に御樋代神を伴ひまつり、248安く静かに着きにけり。
249 高光山の司等は両手を高くさし上げ、250「ウオーウオー」と鬨をつくりて歓迎の意を表しける。
251（昭和九・七・三一 旧六・二〇 於関東別院南風閣 林弥生謹録）
霊界物語.ネット～出口王仁三郎 大図書館～