霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 四郎狸(しらうだぬき)〔一〇二八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第37巻 舎身活躍 子の巻 篇:第3篇 阪丹珍聞 よみ(新仮名遣い):はんたんちんぶん
章:第16章 四郎狸 よみ(新仮名遣い):しろうだぬき 通し章番号:1028
口述日:1922(大正11)年10月10日(旧08月20日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
稲の植え付けが終わり、麦かちを手伝っていると、三人の男が自分を尋ねてきた。旭村の岩田弥太郎、射場久助、入江幸太郎であった。
弥太郎の妻のお藤が二三か月前から霊感者となって一日に飯を五六升、酒を三升も平らげるようになり、養蚕の蚕をつまんで食ってしまう、白木大明神と名乗っていろいろ指図をするようになった。
病気を治すので参詣人が集まるようになってきたが、隣村の稲荷おろしから訴えられたりなど、困っているので何とかしてほしいとのことであった。
喜楽は頼みを聞き入れ、小末を連れて弥太郎の家にやってきた。小末に霊視させると、お藤には狸がついていることがわかった。
お藤は神がかりになって喜楽の姿を見ると、丁寧に手をついて、神界の御用ができるよう大神様に取り次いで欲しいと頼み込んだ。
小末が帰神状態になり、白木明神と名乗る憑霊に対して、能勢妙見の新滝の四郎衛門狸であることを見抜いて詰問した。お藤の憑霊は観念して素性を明かした。
狸は、人について病気を起こさせ、医者の薬をのませて実地に試験することで薬の知識を得たという。そこで霊界の医者になろうと思ってさらに人の身体を稽古に使っていたが、誤って二人の人間の命を取ってしまったという。
その罪によって教会の守護神の役をはく奪されてしまった。たまたまお藤の肉体が薪割に来て、酒に酔いつぶれて倒れていた隙を狙い澄まして取り付いたのだという。そして喜楽に、名を与えてもらって神界のお役目を与えてほしいと頼み込んだ。
その夜は射場久助の家に泊めてもらい、岩田藤に修斎を与えた。翌日、小末と一緒に穴太に帰ってみると、四五人の修行者を巡査が引っ張って行こうとしていた。御嶽教太元教会の杉山という男がそこに立っていた。
喜楽は巡査と杉山に対して霊学上の議論を闘わして、ようやく巡査は納得して帰って行った。
杉山という男は、余部の高島ふみという稲荷下げの若い女の教会の受付などをやっていたが、高島ふみといい仲になり、ふみの夫に追い出された。そこで二人は同じ町に広い家を借りて信者を集めていた。
杉山は、喜楽のところへ信者を取られていたので、なんとかたたきつぶしてやろうと巡査を説きつけてやってきたのであった。
喜楽は三四年前は父の祈祷を頼むために高島ふみの教会に通っていたことがあり、杉山とも旧知の仲であった。しかしそのときに教会の受付の爺さんから、高島ふみの神がかりは偽物であることを聞いてしまっていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-23 12:02:55 OBC :rm3716
愛善世界社版:193頁 八幡書店版:第7輯 103頁 修補版: 校定版:201頁 普及版:95頁 初版: ページ備考:
001 (いね)植付(うゑつ)けも出来上(できあ)がり、002(むぎ)かちをしようと(には)一面(いちめん)(むぎ)(ひろ)げて日光(につくわう)(かわ)かして()た。003(その)()十一(じふいち)()(ごろ)(さん)(にん)(をとこ)が、
004三人の男喜楽(きらく)サンは在宅(うち)ですか』
005(たづ)ねて()た。006(この)(ごろ)(むぎ)かち田植(たうゑ)とで(あま)参詣者(さんけいしや)()いので、007(むぎ)かち手伝(てつだ)(つも)りで農夫(のうふ)姿(すがた)となつて、008(あさ)(はや)くから(むぎ)田圃(たんぼ)から(はこ)んだり(ひろ)げたりして()たのである。009其処(そこ)へやつて()(さん)(にん)(をとこ)は、010旭村(あさひむら)印地(いぢ)()(ところ)岩田(いはた)弥太郎(やたらう)011射場(いば)久助(きうすけ)012入江(いりえ)幸太郎(かうたらう)であつた。
013 (その)(よう)()きは岩田(いはた)弥太郎(やたらう)(つま)のお(ふぢ)()ふのが、014二三(にさん)(げつ)(まへ)から霊感者(れいかんしや)となり、015(いち)(にち)(めし)五六(ごろく)(しよう)()いてケロリと(たひら)げ、016(さけ)三升(さんじやう)()かさずに()み、017養蚕(やうさん)手伝(てつだ)(なが)ら、018折角(せつかく)(おほ)きうなつた(かひこ)(むし)を、019片端(かたはし)から(つま)んで()べると()厄介(やくかい)(もの)である。020(しか)(なが)ら、
021(この)(はう)白木(しらき)大明神(だいみやうじん)だ』
022()つて、023(めう)()()いて色々(いろいろ)指図(さしづ)をする。024種々(しゆじゆ)病人(びやうにん)(この)(ふぢ)祈祷(きたう)指図(さしづ)した(くすり)によつて(たれ)(かれ)全快(ぜんくわい)するので、025それが評判(へうばん)となつて(あさ)から(ばん)まで(ちひ)さい(いへ)(なか)に、026参詣人(さんけいにん)がつまつて()たのである。027(その)隣村(となりむら)黒髪(くろかみ)大明神(だいみやうじん)()ふ、028稲荷(いなり)(まつ)つた教会(けうくわい)があつて、029(その)(だい)サンと()ふのが五十(ごじふ)(ばか)りの()アサンであつた。030(その)()アサンが、031岩田(いはた)(ふぢ)山子(やまこ)(はじ)めて(ひと)(たぶ)らかすとか()つて交番(かうばん)(とど)けたので、032巡査(じゆんさ)がやつて()て、
033巡査許可(きよか)なしに貴様(きさま)(うち)(ひと)()せたり(くすり)指図(さしづ)をしたりする(こと)はならぬ』
034八釜(やかま)しく()つて()る。035されども岩田(いはた)(ふぢ)霊感者(れいかんしや)(こと)とて、036(たれ)(なん)といつても()()れず、037ドシドシと託宣(たくせん)をしたり祈祷(きたう)をしたり、038(くすり)指図(さしづ)をやつて()る。039さうして相変(あひかは)らず毎日(まいにち)大酒(おほざけ)()み、040大飯(おほめし)(くら)ひ、041折角(せつかく)()につきかけた(かひこ)(むし)まで片端(かたつぱし)から(つか)んで()ふので、042(さん)(にん)(をとこ)(なん)とかして(しづ)めて(もら)()いと相談(さうだん)結果(けつくわ)043田植(たうゑ)()んだ(その)休日(きうじつ)利用(りよう)して喜楽(きらく)(たの)みに()たのであつた。
044 喜楽(きらく)(ただち)神主(かむぬし)小末(こすゑ)(めい)じて、045印地(いぢ)岩田(いはた)(ふぢ)(いへ)容姿(ようし)透視(とうし)せしめた。046(その)結果(けつくわ)(その)(いへ)瓦葺(かはらぶき)である(こと)047畳数(たたみかず)何枚(なんまい)ある(こと)048(かひこ)(たな)何枚(なんまい)(なら)んで()(こと)049(ふぢ)(かほ)痘痕(あばた)のある(こと)050(いへ)(すこ)(よこ)氏神(うぢがみ)(やしろ)がある(こと)051(うら)(はう)には五六間(ごろくけん)(はば)(みづ)()(かは)があつて(その)両方(りやうはう)(つつみ)竹藪(たけやぶ)のある(こと)(など)をスツカリ透視(とうし)して(しま)ひ、052(さん)(にん)(その)(よし)()げると、053(さん)(にん)(たがひ)(かほ)見合(みあ)はせ、
054三人の男如何(いか)にも(その)(とほ)りで御座(ござ)います。055(かみ)(さま)(じつ)(たふと)いもので御座(ござ)いますなア』
056感嘆(かんたん)して()た。057そこで喜楽(きらく)(さん)(にん)(たの)みを()れ、058神主(かむぬし)小末(こすゑ)(したが)五人(ごにん)()れで、059昼飯(ひるめし)()ませ炎天(えんてん)(なつ)()()(なが)ら、060吉田(よしだ)061小林(をばやし)062小川(をがは)063川関(かはせき)064八木(やぎ)大橋(おほはし)()え、065(その)()(さん)()(ごろ)(やうや)くにして岩田(いはた)(ふぢ)(たく)()いたのである。
066 ()つて()れば数十(すうじふ)(にん)参詣人(さんけいにん)座敷(ざしき)(すわ)つて()た。067岩田(いはた)(ふぢ)門口(かどぐち)()(むか)(をつと)弥太郎(やたらう)(むか)小声(こごゑ)で、
068お藤弥太(やた)やん、069喜楽(きらく)サンは()やはりましたか』
070(たづ)ねて()る。071弥太郎(やたらう)喜楽(きらく)から、
072留守(るす)だつたと()へ、073さうして神懸(かむがか)初版・愛世版では「神懸り」、校定版では「神憑り」。(おれ)喜楽(きらく)だと()(こと)()つてるか如何(どう)かを調(しら)べる必要(ひつえう)があるから途中(とちう)小林(をばやし)(ひと)(をが)んで(もら)ひに()られたのだと()ふが()い』
074(をし)へられて()たから、075弥太郎(やたらう)故意(わざ)(とぼ)けて、
076弥太(やた)折角(せつかく)()つて()たけれど、077喜楽(きらく)先生(せんせい)留守(るす)だつた。078エー、079仕方(しかた)がない』
080(ちから)なげに(くび)頷垂(うなだ)れて()せた。081(ふぢ)喜楽(きらく)(はち)()(ひげ)()巡査(じゆんさ)(おも)ふたか、082小声(こごゑ)で、
083(ふぢ)弥太(やた)ヤン、084あの(ひと)巡査(じゆんさ)ぢやないかい』
085心配(しんぱい)さうに(たづ)ねて()る。086弥太郎(やたらう)は、
087弥太郎(やたらう)『いや、088あのお(かた)小林(をばやし)井筒屋(ゐづつや)(とま)つて御座(ござ)段通屋(だんつうや)サンで、089(わし)がお(まへ)神懸(かむがか)初版・愛世版では「神懸り」、校定版では「神憑り」。(はなし)をしたら大変(たいへん)賛成(さんせい)して、090(おれ)(ひと)商売(しやうばい)(じやう)(こと)身体(からだ)病気(びやうき)(こと)(うかが)つて(もら)()いと()つて()いて御座(ござ)つたのだ。091さうしてあの独眼(めかんち)(ふと)(をなご)サンは井筒屋(ゐづつや)女中(をなごし)サンだ』
092(うま)胡魔化(ごまくわ)して()る。093(ふぢ)(べつ)(うたが)ひもせず、
094(ふぢ)『アーさうかい。095そんなら(これ)から(かみ)(さま)にお(ねが)ひします』
096()(なが)ら、097()神殿(しんでん)(むか)つて拍手(はくしゆ)し、098片言交(かたことまじ)りに神言(かみごと)奏上(そうじやう)(はじ)めた。099神言(かみごと)半分(はんぶん)あまり(すす)んだ(ころ)から(にはか)(こゑ)がかすり()し、100『ガアガア』と(あひる)(やう)言霊(ことたま)調子(てうし)になつて()た。101喜楽(きらく)は、
102喜楽(きらく)(なん)言霊(ことたま)(にご)つた(をんな)だ。103大方(おほかた)(たぬき)()いて()るのだらう』
104(おも)(なが)ら、105大勢(おほぜい)(なか)(まぎ)れて小末(こすゑ)(かれ)守護神(しゆごじん)透視(とうし)させ(なが)ら、106素知(そし)らぬ(かほ)して(ひか)へて()た。107祝詞(のりと)(をは)るとお(ふぢ)は『キリキリキリ』と(おほ)きな()ぎしりをし、108団栗(どんぐり)(やう)()()いて、109時々(ときどき)(した)をチヨロチヨロ()(なが)ら、110クレリと神壇(しんだん)(うしろ)にし、111参詣人(さんけいにん)(はう)()(なほ)つた。112(たれ)()ても人間(にんげん)(かほ)とは()えない、113(たぬき)()(まま)面相(めんさう)になつて()る。114(ふぢ)自分(じぶん)姿(すがた)()(にはか)態度(たいど)(あらた)め、115両手(りやうて)をついて、
116(ふぢ)『これはこれは喜楽(きらく)先生(せんせい)御座(ござ)いましたか、117(わたくし)稲荷山(いなりやま)(いち)(みね)守護(しゆご)(いた)白木(しらき)大明神(だいみやうじん)御座(ござ)います。118今日(けふ)(むぎ)かちをなさるお(かんが)へで()(いそが)しうして御座(ござ)(なか)へ、119弥太郎(やたらう)(ほか)両人(りやうにん)がお邪魔(じやま)(いた)しまして(えら)()馳走(ちそう)(あづ)かりました。120()うまあお()(くだ)さいました。121(わたくし)弥太郎(やたらう)(あと)について貴方(あなた)のお(たく)(まで)(まゐ)りました。122それ(ゆゑ)小林(をばやし)井筒屋(ゐづつや)()休息(きうそく)(とき)123(わたし)審神(さには)する()めに弥太郎(やたらう)にいろいろ仰有(おつしや)つた(こと)も、124チヤンと()いて()ります。125何卒(どうぞ)(わたし)神名(かみな)(くだ)さいまして、126神界(しんかい)御用(ごよう)出来(でき)ます(やう)に、127大神(おほかみ)(さま)にお取次(とりつぎ)をお(ねが)ひします』
128とキリキリキリと(また)もや猛烈(まうれつ)()ぎしりをする。129数十(すうじふ)(にん)参詣者(さんけいしや)はお(ふぢ)喜楽(きらく)視線(しせん)集中(しふちう)し、130(いき)をこらして見詰(みつめ)()た。131小末(こすゑ)は、
132『ウン!』
133一声(いつせい)()()がると(とも)に、134(たちま)帰神(きしん)状態(じやうたい)になつて(しま)ひ、
135小末(こすゑ)(その)(はう)稲荷山(いなりやま)眷族(けんぞく)白木(しらき)明神(みやうじん)(まを)して()るが、136真赤(まつか)(いつは)りであらうがな』
137(ふぢ)『いえいえ(けつ)して(うそ)(まを)さぬ。138稲荷山(いなりやま)白木(しらき)明神(みやうじん)間違(まちが)ひは御座(ござ)りませぬ。139とつくりと調(しら)べて(くだ)されよ』
140切口上(きりこうじやう)になつて(りき)んで()る。
141小末(こすゑ)(いつは)りを(まを)すな。142(その)(はう)能勢(のせの)妙見(めうけん)新滝(しんたき)守護(しゆご)(いた)す、143四郎(しらう)右衛門(うゑもん)(まを)(たぬき)であらうがな』
144目星(めぼし)()されてお(ふぢ)憑霊(ひようれい)閉口(へいこう)し、
145(ふぢ)『ハイ、146もう()うなる(うへ)仕方(しかた)御座(ござ)いませぬ。147何卒(どうぞ)(わたし)(なん)とか()(くだ)さいまして、148人助(ひとだす)けをさせて(くだ)さいませ。149(なに)()白状(はくじやう)(いた)しますが、150(じつ)(わたし)丹波(たんば)(くに)多紀(たき)(ぐん)○○(むら)○○教会(けうくわい)守護(しゆご)(いた)す、151四十八(しじふはち)(ひき)(たぬき)親分(おやぶん)御座(ござ)いましたが、152喜楽(きらく)先生(せんせい)(まへ)ではチツと(まを)()げかねる(こと)なれども、153()うなれば仕方(しかた)がありませぬ。154(なに)()白状(はくじやう)(いた)します。155(わたし)御存(ごぞん)じの(とほ)四郎(しろう)右衛門(うゑもん)(まを)(たぬき)御座(ござ)いますが、156大勢(おほぜい)人間(にんげん)(うつ)つて色々(いろいろ)(やまひ)(おこ)させ、157医者(いしや)(くすり)()ませて試験(しけん)(いた)しました。158それ(ゆゑ)(この)病気(びやうき)には(この)(くすり)()くと()(こと)をよく()つて()ます。159霊界(れいかい)医者(いしや)にならうと(おも)つて、160沢山(たくさん)(ひと)身体(からだ)稽古(けいこ)使(つか)ひ、161人間(にんげん)生命(いのち)二人(ふたり)まで(あやま)つてとつて(しま)ひました。162(その)(つみ)によつて○○教会(けうくわい)守護神(しゆごじん)(やく)剥奪(はくだつ)され、163只今(ただいま)(かな)しき浪人(らうにん)()(うへ)164(たれ)かよき(だい)があれば(うつ)つて(ひと)(たす)け、165自分(じぶん)(つみ)(ほろ)ぼし神界(しんかい)へお()びを(いた)さうと、166()神懸(かむがか)りの(だい)(かんが)へて(さぐ)して()(うち)167(この)(ふぢ)肉体(にくたい)石炭山(せきたんやま)石割(いしわ)りに()つて(さけ)(くら)()ひ、168(やま)にぶつ(たふ)れて()(その)(すき)(ねら)ひすまして、169とりつきました。170(この)肉体(にくたい)使(つか)ふて(ひと)思惑(おもわく)()てようと(おも)ひますから、171何卒(どうぞ)(わたし)()をお(あた)(くだ)され。172(また)(ふぢ)肉体(にくたい)にも、173それ相当(さうたう)役目(やくめ)仰付(おほせつ)けて(くだ)されまする(やう)にお(ねが)(いた)します』
174四郎(しろう)右衛門(うゑもん)(だぬき)自分(じぶん)懺悔話(ざんげばなし)諄々(じゆんじゆん)()()て、175(かほ)一面(いちめん)(なみだ)(みなぎ)らし両手(りやうて)をついて(たの)()む。176(なん)とはなしに喜楽(きらく)可哀相(かあいさう)()がして()た。
177喜楽(きらく)『お(まへ)サンは(いま)二人(ふたり)(ひと)(あやま)つて(ころ)したと()つたが、178それは(なん)()(ひと)だ。179差支(さしつかへ)がなければ()かして(もら)()いものだ』
180四郎狸(しろうだぬき)『ハイ、181仕方(しかた)がありません、182(なに)()白状(はくじやう)しますが、183○○教会(けうくわい)教導職(けうだうしよく)(つる)サンと()女教師(ぢよけうし)(はら)這入(はい)り、184種々(いろいろ)病気(びやうき)試験中(しけんちう)到頭(たうとう)(つる)サンは()んで(しま)ひました。185それから(ほか)に、186一人(ひとり)187これは(ちひ)さい子供(こども)御座(ござ)いました。188先生(せんせい)(さま)のお()(うへ)関係(くわんけい)のない(こと)ですから、189(この)(ひと)()だけは御免(ごめん)(かうむ)りませう』
190喜楽(きらく)『○○教会(けうくわい)のお(つる)サンは(わし)従妹(いとこ)であつて叔父(をぢ)女房(にようばう)だ。191それをお(まへ)()つて()るのだらうなア』
192四郎狸(しろうだぬき)『ハイ、193それだから貴方(あなた)神界(しんかい)にお(わび)をして(いただ)き、194(つみ)(ゆる)されて天晴(あつぱ)(もと)(かみ)()(かへ)らして(もら)()いので、195態々(わざわざ)弥太郎(やたらう)久助(きうすけ)サン、196幸太郎(かうたろう)サンを先生(せんせい)のお(たく)(たの)みにやつたので御座(ござ)います。197改心(かいしん)(しるし)(いま)此処(ここ)証拠(しようこ)()せます』
198()ふより(はや)く、199コンコンと二回(にくわい)ばかり(おほ)きな(せき)をした。200(その)(はづみ)真白毛(まつしろけ)毛玉(けだま)()んで()た。201よくよく()れば(その)毛玉(けだま)自由(じいう)自在(じざい)(うご)いて()る。202(かぜ)(あた)つて(うご)くのではなからうかと(おも)ひ、203(すぐ)硝子蓋(がらすぶた)のしてある(はこ)(なか)()れて()たが、204毛玉(けだま)矢張(やは)左右(さいう)自由(じいう)自在(じざい)(うご)いて()る。205大勢(おほぜい)(もの)()つて(たか)つて毛玉(けだま)不思議(ふしぎ)(さう)(なが)めて()る。206四郎(しろう)右衛門(うゑもん)(だぬき)(くち)(とが)らし、
207四郎狸(しろうだぬき)(はや)白粉(おしろい)(その)毛玉(けだま)にふりかけて(くだ)され。208(よわ)ります』
209嘆願(たんぐわん)してる。210(ふぢ)使(つか)白粉(おしろい)弥太郎(やたらう)(さが)()して、211(しろ)毛玉(けだま)にブツかけてやつた。212毛玉(けだま)硝子箱(がらすばこ)中心(ちうしん)()()め、213幾万(いくまん)とも()れぬ(ほそ)()前後(ぜんご)左右(さいう)(うご)かして()た。
214 (その)()射場(いば)久助(きうすけ)(いへ)()めて(もら)ひ、215岩田(いはた)(ふぢ)修斎(しうさい)(あた)へ、216二人(ふたり)()()つて穴太(あなを)(かへ)つて()ると、217四五(しご)(にん)修業者(しうげふしや)巡査(じゆんさ)がやつて()交番所(かうばんしよ)引張(ひつぱ)つて()のうとしてる(ところ)であつた。218さうして御嶽教(みたけけう)太元(たいげん)教会(けうくわい)杉山(すぎやま)(ぼう)()(をとこ)其処(そこ)()つて()る。219喜楽(きらく)巡査(じゆんさ)杉山(すぎやま)(むか)つて種々(いろいろ)霊学(れいがく)(じやう)議論(ぎろん)(たたか)はし、220(やうや)巡査(じゆんさ)納得(なつとく)して無事(ぶじ)(かへ)つて()つた。
221 (この)杉山(すぎやま)()(をとこ)(もと)金岐(かなげ)隠亡(おんばう)であつて、222(むら)戸長(こちやう)(つと)めて()(をとこ)であつたが、223明治(めいぢ)十六(じふろく)(ねん)旱魃(かんばつ)で、224御嶽教(みたけけう)山下(やました)()行者(ぎやうじや)が、225亀岡(かめをか)余部(あまるべ)へやつて()雨乞(あまごひ)をして、226(あめ)()らすと()週間(しうかん)断食(だんじき)河原(かはら)(なか)でやつた。227けれども(あめ)はあまり()りになる(ほど)()らなかつたが、228()週間(しうかん)(あが)りにバラバラと()つてきたのは事実(じじつ)である。229(その)(とき)に、230余部(あまるべ)(ある)(いへ)女房(にようばう)で、231高島(たかしま)おふみと()(わか)(をんな)が、232山下(やました)(ぼう)神徳(しんとく)(かん)じ、233毎晩(まいばん)(かは)()つて水行(すゐぎやう)をやつて()ると何時(いつ)()にやら(からだ)(ふる)()し、
234高島ふみ(この)(はう)稲荷(いなり)大明神(だいみやうじん)だ!』
235(しやべ)()した。236それから余部(あまるべ)のお稲荷(いなり)サンと()つて、237四方(しはう)八方(はつぱう)から参詣(さんけい)する(もの)出来(でき)()た。238(その)(とき)参拝(さんぱい)したのが杉山(すぎやま)藤五郎(とうごらう)()(をとこ)であつた。239(この)(をとこ)相当(さうたう)学問(がくもん)もあり財産(ざいさん)もあり、240人格(じんかく)もあまり(わる)くない。241何時(いつ)高島(たかしま)ふみの教会(けうくわい)(かよ)ふて受付(うけつけ)(など)をやつて()たが、242()らぬ()(めう)(なか)となつたのを、243ふみの(をつと)(かぎ)つけ、
244ふみの夫『ド(ぎつね)もつて()()きさらせ』
245一言(いちごん)(もと)(はう)()され、246二人(ふたり)はそれより天下(てんか)()れての夫婦(ふうふ)気取(きど)りで、247(おな)余部(あまるべ)(まち)宏大(くわうだい)(いへ)()り、248そこへ稲荷(いなり)サンを(まつ)つて附近(ふきん)信者(しんじや)(あつ)めて()た。249(しか)るに今度(こんど)喜楽(きらく)が、250あまり(とほ)からぬ穴太(あなを)(うかが)ひや祈祷(きたう)をやり()したので、251(この)教会(けうくわい)へうつつを()かして(かよ)ふて()信者(しんじや)(のこ)らず穴太(あなを)(あつ)まるので、252(なん)とかして(たた)(つぶ)してやらうと(かんが)へ、253駐在所(ちうざいしよ)巡査(じゆんさ)()きつけてやつて()たものである。
254 喜楽(きらく)三四(さんよ)(ねん)以前(いぜん)から(ちち)病気(びやうき)なので、255祈祷(きたう)して(もら)つたり(うかが)つて(もら)()めに高島(たかしま)ふみの教会(けうくわい)へチヨコチヨコ(かよ)ひ、256杉山(すぎやま)とは余程(よほど)懇意(こんい)になつて()たのである。257けれども杉山(すぎやま)高島(たかしま)ふみに(そそのか)されて、258穴太(あなを)喜楽(きらく)何処(どこ)かへやつてやらうと(たく)んで()たのであつた。259余部(あまるべ)太元(たいげん)教会(けうくわい)には服部(はつとり)(ぼう)()(をとこ)受付(うけつけ)をして()た。260明治(めいぢ)二十九(にじふく)(ねん)(はる)(こと)であつた。261春季(しゆんき)大祭(たいさい)(おこな)はれると()ふので(はや)うから参拝(さんぱい)して()ると、262服部(はつとり)(ぼう)(ただ)一人(ひとり)263玄関口(げんくわんぐち)(さけ)をチヨビリチヨビリ()(なが)(ひか)へて()た。264一見(いつけん)して五十(ごじふ)七八(しちはち)六十(ろくじふ)二三(にさん)(くらゐ)()える(ぢい)サンである。265喜楽(きらく)は、
266喜楽(きらく)服部(はつとり)サン、267(はや)う。268今日(けふ)はお(まつ)りぢやさうで参拝(さんぱい)しました』
269()ふと、270服部(はつとり)()をちらつかせ(なが)ら、
271服部(はつとり)『あゝ喜楽(きらく)サンか、272一杯(いつぱい)やりなさい。273此処(ここ)(まつり)午後(ごご)(いち)()()ふのだが、274(みな)(とほ)(ところ)から(まゐ)るので如何(どう)しても()()(ごろ)にならぬと(はじ)まらぬ。275杉山(すぎやま)サンも高島(たかしま)おふみサンも(あさ)(はや)うから世話方(せわかた)(うち)奔走(ほんそう)()つたので留守(るす)だが、276稲荷(いなり)サンも()加減(かげん)なものだぜ。277……喜楽(きらく)サン、278(まへ)サンも()加減(かげん)()()ましたら如何(どう)だ。279(しり)(きつね)尻尾(しつぽ)(むす)びつけて羽織(はおり)(うら)からチヨイチヨイ()し、280本当(ほんたう)稲荷(いなり)サンが(うつ)つて()られた(やう)誤魔化(ごまくわ)すので、281本気(ほんき)(をが)()になりはせないわ。282阿呆(あはう)らしい、283(あさ)から(ばん)まで椀給(わんきふ)でこき使(つか)はれて(たま)つたものぢやない。284神酒(みき)だといつて一升(いつしよう)()ふて()きやがつたから、285神酒(みき)徳利(どつくり)(みづ)()れて、286(さけ)(この)(とほ)(わし)()んで()るのだ』
287(なに)から(なに)まで秘密(ひみつ)素破抜(すつぱぬ)いて()る。288喜楽(きらく)は、
289 ……マサカそんな(こと)はあるまい。290服部(はつとり)()不平(ふへい)のあまりこんな中傷(ちうしやう)讒誣(ざんぶ)をするのだらう……と(おも)(なが)ら、291弁当(べんたう)()して()祭典(さいてん)(とき)(いた)るのを()つて()た。
292大正一一・一〇・一〇 旧八・二〇 北村隆光録)
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