一度二度墜落身越して飛行便脱線汽車の代用として〈二章(初版)〉
王道は正道を行き政党は横道覇道を進み行くなり〈二章(初版)〉
震災後きつく瘠せたる印紙かな〈四章(初版)〉
デンデン虫苦しさ内殻這ひ出し〈五章(初版)〉
農相農相と這ひ出したる田々虫蝸牛角上の小ぜり合から〈六章(初版)〉
国民が待ちに待ちたる普選権また危ふしと空を仰ぎつ〈六(初版)〉
風船の様にあやふい普選権いづこの嶋に落ちむとするか〈六章(初版)〉
入超の声聞く度に国民はまた巾着を締めむとぞする〈七章(初版)〉
日地月あつめて造る串団子星の胡麻かけ喰ふワニロ〈七章(初版)〉
関東の地震に勝る人造の地震治むる神の権力〈十章(初版)〉
醜司自身神也火の車乗りて市中を駆けめぐりつつ〈十一章(初版)〉
何事の勃発すとも惟神任す真人の自信神也〈十一章(初版)〉
神勅の地震雷火の雨は乱れたる世の状をいふなり〈十二章(初版)〉
極楽の野に休らふもしばしの間やがては苦しき牛と馬なり〈十四章(初版)〉
おく霜に庭の白菊しほれけり凩しげき冬の初めに〈十五章(初版)〉
大空をおほへる傘も破れはて白菊の花霜になやめる〈十五章(初版)〉
月の夜に宿を立出で眺むれば黄菊白菊一つ色なる〈十五章(初版)〉
うす暗き廐の中に繋がれて淋しく孤独を送る馬かな〈十六章(初版)〉
たまさかに外に出づれば重き荷を負はされ悩む牛馬の吾れ〈十七章(初版)〉
桐一葉音なく散りぬ天地の淋しき秋の空寒くして〈十八章(初版)〉
今朝見ればシーポー(船)の屋根真白なり夜明けの霜のつるぎかざして〈十八章(初版)〉
木枯の吹く冬の日もあたたかき人の心にかほる花の香〈十九章(初版)〉
五大教神の司をおくりおきあとはゆるゆるエス語歌つくる〈十九章(初版)〉
過ぎ去りし昔の夢を偲びつつ何時とはなしに若やぐ吾は〈十九章(初版)〉
夢の世の夢を誠の夢としていや永遠に忘れざらまし〈二十章(初版)〉
別れても又逢ふことのある世ぞと世の諺を便りに生くる〈二十章(初版)〉
煙だに立たずばわかじ奥山の杣の住むなる炭がまの在処〈二十章(初版)〉
雀の子数多つどへる女護島へ移住なしたし六部の昼寝〈二十二章(初版)〉
千歳のよはひを保つ鶴の子もヽ離れては十年となる〈二十三章(初版)〉
[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]