第一章 北光照暗〔一一二六〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻
篇:第1篇 波瀾重畳
よみ(新仮名遣い):はらんちょうじょう
章:第1章 北光照暗
よみ(新仮名遣い):ほっこうしょうあん
通し章番号:1126
口述日:1922(大正11)年11月14日(旧09月26日)
口述場所:
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:北光神は白髯を撫でながら、セーラン王やヤスダラ姫、竜雲たちを集めて神界のご経綸や神示について、綿密な解釈を与えていた。
北光神は、神諭は微細なところに至るまで密意が存在しているため、普通の知識や学問の力ではとうてい真に理解されることはない、と説いた。
主なる神が大空の雲に乗って来る云々という神示も、『教えの聖場の終期に当たりて、信と愛とまた共に滅ぶる時、救世主は神諭の内意を啓発し、神界の密意を現し給う』ということであると説いた。
世知に長けた者たちは、誰が神界を探査してこれらのことを語ることができようか、できるはずがない、と主張する。我(北光神)は常に霊魂を清めて天人と交わり、正しい神諭の理解を天人と相語り合って得たのである。
神界から天人と言語を交換することを許され、その真相を天下万民に伝え説き諭すことに努めているのは、無明の世界を照破し、不信の災いを除き去るためである。
たとえ神諭に天地が覆る、泥海になる、人間が三分になると示されてあっても、めまいが来るとあっても、これを文字そのままに解すべきものでない。すべて内義的、神界的、心霊的に解すべきものである。
そうでなくてはかえって天下に害毒を流布し神慮を悩ませることになる、と厳に説いた。ヤスダラ姫、竜雲その他一同は北光神の教えを聴聞し、感謝の涙に暮れた。
北光神は平素の落ち着きにも似ず、セーラン王一同はイルナの城に乗り込んで邪神を言向け和すときが来たと出陣を急がせた。
セーラン王は北光神の命を拝承し、決意の歌を歌うと駒にまたがった。一行七人は北光神夫婦に別れを告げ、狼の群れに山路を送られて高照山を降り、イルナの都を指して進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2022-12-19 12:01:16
OBC :rm4201
愛善世界社版:11頁
八幡書店版:第7輯 647頁
修補版:
校定版:11頁
普及版:1頁
初版:
ページ備考:
001神の御稜威も高照山の 002堅磐常磐の岩窟に
003天降り坐したる北光彦の 004天の目一つ神司
006伊豆の慈眼に救ひつつ
007瑞の教を遠近に
012諸の獣族を愛くしみ
013美都の御霊の御教を
015神の御綱に曳かれつつ 016ここに耶須陀羅姫の命
017テルマン国の毘舎の家 018シヤールの夫の暴状に
020忠誠無比の下男
022夜を日に次いで入那国
023蓮の川辺に来る折 024右守の司の放ちたる
025数十人の手下等に 026取り囲まれて主従は
027進退茲に谷まりし
029声も涼しく宣伝歌
031諸国巡修の竜雲が 032此処に現はれ主従が
033危難を救ひ寄手をば 034彼方の野辺に追ひ退りぬ
036危救の恩を謝しながら
040三五教の宣伝使
041黄金姫や清照姫の
045袂を別つ右左 046狼巣ぐふ高照の
047深山を指して三人は 048膝の栗毛に鞭を打ち
049漸く谷を数越えて
052天の目一つ神司
053竹野の姫も歓びて
055誠一つの三五の 056教を諭す時も時
057黄金姫や清照姫の
059入那の城主と時めきし
061その他の従者と諸共に 062駒に鞭打ち出で来り
063又もや不思議の対面に 064日頃慕ひし相愛の
065目出度き男女の語り合ひ 066実にも割無く見えにける
068天地の神の経綸を
069心を籠めて宣り伝へ
071萎れ切つたる夏草の 072白雨に蘇生せし如く
073天国浄土の花咲きぬ
076四十二巻の物語
079畏き神の大前に 080謹み敬ひ願ぎ奉る。
081 北光の神なる天の目一つの神は白髯を撫でながら、082セーラン王や耶須陀羅姫、083竜雲その他を集めて、084神界の御経綸や神示に就て綿密なる解釈を与へつつあつた。
085セーラン『昨日より承はりました世界の終焉に就て、086今一応詳細なる説明を御願ひ申上げ度きもので御座ります。087瑞の御霊の御神示の中に、088世の終りの来る時は其日の患難の後、089直ちに日は暗く月は光を失ひ、090星は空より墜ち、091天の勢ひ震ふべし。092其時、093人の子の徴天にあらはる。094又地上にある諸族は哭き哀しみ、095且つ人の子の権威と大なる栄光とを以て天の雲に乗り来るを見む。096又その使等を遣はし、097ラツパの大なる声を出さしめて、098天の彼の極みより此の極みまで、099四方より其選ばれし者を集むべし……とあるのは、100其言葉の通りに解すれば如何なもので御座りませうか、101文字通りに解すべきものとすれば、102最後の神の審判と云はれてある世界終焉の時に、103是等の恐るべき事件が出現すると見なくてはなりませぬなあ』
104北光神『この予言を以て教示の文字通りに解するものは可成沢山あるさうです。105是等の人は日月光を失ひ、106星は空より墜ち、107主なる神の徴天に現はれ、108又雲の中よりラツパを持つた天使は、109瑞の御霊の救世主と共に、110現実的に天より降り給ふものと思考して居るのみならず、111見る限りの世界は悉く滅びて、112茲に始めて新しき天地の出現を見得らるるものと早合点して居るのである。113三五教の宣伝使の中に於ても、114此の如く信じて居る人があるやうです。115斯の如く信じて居る人は、116神諭の微細なる所に至るまで密意の存在しある事を知らないのである。117神諭の裡には文字の如く解すべき自然的世間的の事では無くして、118心霊的、119神界的の秘事を包含されて居る。120一文一句のうちにも、121一々内義を含ましめむために、122悉く相応の理に由りて示諭されてある。123故に神諭は、124普通の知識や学問の力では、125到底真解さるるものでは無い。126是即ち神聖なる神諭たる所以である。
127 主なる神、128大空の雲に乗りて来るとの神示も亦此内義に由つて、129解釈すべきものである。
130即ち暗くならむといふ日は
131 愛の方面より見たる救世主厳の御魂を表はし、
132月は信の方面より見たる
133 救世主瑞の御魂を表はし、
135 善と信との知識又は
136 愛と信との知識を表はし、
137天上に於ける人の子の徴は
138 神真の顕示を表はし、
139地上に於て哭き哀まむと云ふ諸族は
142 信と愛とより来る万事を表はし、
143天の雲に乗りて権威と栄光とを以て主即ち救世主の来らむといふのは、
144 神諭の中に救世主の現存することを表はし、
145 かねて其の黙示を表はし、
147 神諭の文字に顕はれたるを表はし、
149 神諭の内に潜める意義を表はし、
150天人のラツパをもちて、151大なる声を出すというてあるのは、
152 神真の由りて来るべき天上界を表はしたものである。
153この故に救世主の宣へる如上の言葉は、154何の意義なるかと云へば、
155 教の聖場の終期に当りて
156 信と愛とまた共に滅ぶる時
157救世主は神諭の内意を啓発し、158神界の密意を現はし給ふといふ事である。159目下の婆羅門教徒もウラル教徒も亦三五教徒も、160殆ど全部知るものなしと謂つても良い位だ。161実に宣伝使の職にあるものすら、162神諭のわが解釈を否まむとする者計りだ。163そして彼等の多くは曰ふ。164『何者か、165能く神界を探査し来りて、166是等の事を語り得るものぞ』と。167斯の如き説を主張する者、168特に世智に長けたる人々の中に多々あるを見る。169其害毒の或は真率純真の人に及ぼし、170遂に其信仰の壊乱を来すの恐れあるを歎き、171我は常に霊魂を浄めて天人と交はり、172之と相語り合うたのである。173天人と言語を交換する事、174人間界と同様に神界より許されて、175親しく天界に起る諸多の事件や地獄の有様をも見ることを許され、176神界の真相を天下万民に伝へ示し、177説き諭すに努めて居るのは、178無明の世界を照破し、179不信の災を除き去らむが為である。180例へ神諭に天地が覆へると示してあつても、181泥海になるとあつても、182人間が三分になると示されてあつても、183眩舞が来るとあつても、184決して之を文字其儘に解すべきものでない。185凡て内義的、186神界的、187心霊的に解すべきものである。188さうで無くては、189却て天下に大なる害毒を流布し、190神慮を悩ませ奉る事になるものである事を承知せなくてならぬと思ふ。191併し乍ら、192是は北光一家の私言だ。193脱線して居るかも知れぬ、194アハヽヽヽ』
195セーラン王『御懇篤なる御教示を蒙りまして、196吾々も漸くにして迷夢を醒ましました。197あゝ惟神霊幸倍坐世』
198と感涙に咽ぶ。199ヤスダラ姫も竜雲も、200其他の一同も息も継がず、201北光神の示教を聴聞し、202感謝の涙に暮れつつあつた。
203北光神『サア サア セーラン王様、204ヤスダラ姫様、205レーブ、206カル殿、207是より入那の城に乗り込み、208邪神を言向和すべく時を移さず出陣されよ。209時遅れては大変だ。210黄金姫、211清照姫様も待つて居られます』
212と平素落着き払つた神に似ず急き立てる。213セーラン王は此の言葉に立上り、
214セーラン王『重々の御親切に預かりました。215然らば、216是より三五教の言霊を以て、217悪人を善道に導く首途に際し、218神様に宣伝歌を奏上致しませう』
219と銀扇を開いて、220声も涼しく歌ひ始めた。221その歌、
222セーラン王『神が表に現はれて 223善神邪神を立別ける
224天地を造りし神直日 225霊魂も広き大直日
226只何事も人の世は 227神の御旨に任すのみ
228怪しき卑しき人の身の 229いかでか正邪を覚り得む
231八岐大蛇の表現と
233尊き神の摂理の下に
234弱き身魂を救はむと 235邪神と顕現ましまして
236試させ給ふも計られず 237他人を悪しと思はずに
238吾身の罪を省みて 239日に夜に感謝の生活を
242吾身の罪悪の有様が
245無抵抗主義の御教に
248大蛇も凡て他にあらず 249執着心の雲深き
250穢なき身魂に憑依して 251吾身の罪が自ら
252吾身を苦しめ攻むるなり
255心の駒を立直し
259吾等に与へし無礼をば
260直日に見直し聞き直し 261広き心に宣り直し
262入那の国の民草を 263安く楽しく神国の
264花咲く春の歓びに 265救ひて天津神国の
266貴の消息や福音を 267導き諭し麻柱の
268誠一つの御教に 269習はせ上下親しみて
270常世の春を楽しみつ 271地上に降りし天国の
273北光神よ竹野姫
275是よりお暇申し上げ
276入那の都へ堂々と 277轡を並べて立帰り
278国人等の心をば 279安んじ救ひ大神の
283と歌ひ了り、284用意の駒にヒラリと跨がり、285一行七人は北光神夫婦に別れを告げ、286手綱かいくり、287山路を狼の群に送られ、288ハイハイハイと駒を警しめながら高照山を降り、289入那の都をさして進み行く。
290(大正一一・一一・一四 旧九・二六 加藤明子録)