霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第六章 野人(やじん)(ゆめ)〔一一三一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻 篇:第2篇 恋海慕湖 よみ(新仮名遣い):れんかいぼこ
章:第6章 野人の夢 よみ(新仮名遣い):やじんのゆめ 通し章番号:1131
口述日:1922(大正11)年11月14日(旧09月26日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
カールチンは自宅に帰り、奥の間に一人悦に入っている。そこへユーフテスとセーリス姫が訪ねてきた。セーリス姫は、姉のヤスダラ姫に代わってカールチンの気持ちを確かめに来たのだという。
カールチンがヤスダラ姫(清照姫)に執心であることを見届けると、ユーフテスとセーリス姫は帰って行った。
テーナ姫が帰ってきたが、カールチンはそっけなく出迎えた。テーナ姫は、カールチンが数日前からそわそわして様子が違うことから、早速若い女と浮気したことに気づいてカールチンに掴みかかった。
テーナ姫は荒れ狂い修羅場が展開したが、カールチンはあくまで落ち着いてあしらっていた。テーナ姫はとうとう、自分を送ってきたマンモスを連れて右守の館を出て行ってしまった。
後に右守は、テーナ姫を追い出す手間が省けたとほくそ笑んでいる。するとやにわに戸を開けてテーナ姫が入ってきてカールチンに襲い掛かってきた。
と見るや、これは夢であった。カールチンはテーナ姫に揺り起こされて目を覚ました。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-21 15:14:20 OBC :rm4206
愛善世界社版:81頁 八幡書店版:第7輯 671頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:30頁 初版: ページ備考:
001 カールチンは(わが)(やかた)(おく)()(ただ)一人(ひとり)ニコニコしながら(こひ)瞑想(めいさう)(ふけ)つてゐる。002そこへやつて()たのはユーフテス、003セーリス(ひめ)二人(ふたり)であつた。
004セーリス姫右守(うもり)さま、005最前(さいぜん)はようこそ()登城(とじやう)(うへ)006(あね)にお()(くだ)さいまして、007(まこと)有難(ありがた)御座(ござ)ります。008貴方(あなた)がお(かへ)(あそ)ばしたその(あと)(あね)非常(ひじやう)気分(きぶん)がよくなつたと(まを)し、009それはそれは(えら)()機嫌(きげん)(ござ)ります。010()いては(あね)(まを)しますのには、011男心(をとこごころ)(あき)(そら)012如何(どう)(かは)るやら心許(こころもと)ない。013右守(うもり)司様(かみさま)に、014一度(いちど)()にかかる(まで)安心(あんしん)ならない。015もしや奥様(おくさま)(かん)づかれ(あそ)ばして、016種々(いろいろ)()(いさか)ひの結果(けつくわ)017心変(こころがは)りをなされはすまいかと(まを)しまして、018(わたし)一遍(いつぺん)()様子(やうす)(うかが)つて()てくれと、019まるで狂人(きちがひ)(やう)(まを)しますの。020貴方(あなた)(かぎ)つてそんな水臭(みづくさ)(かた)ぢやないから()安心(あんしん)(あそ)ばせと何度(なんど)()つても()きませぬ。021それ(ゆゑ)夜中(やちう)にも(かかは)らず、022()邪魔(じやま)をいたした(やう)次第(しだい)(ござ)ります。023夜中(やちう)()門前(もんぜん)(とほ)れないと(ぞん)じまして、024ユーフテス(さま)について()(いただ)きました』
025 カールチンは小声(こごゑ)で、
026カールチン『あゝさうでしたか、027それは()苦労(くらう)でした。028屹度(きつと)心変(こころがは)りするなと(ひめ)()つてやつて(くだ)さい。029さうすりや安心(あんしん)するでせう』
030(はや)くも女房扱(にようばうあつかひ)にしてゐる。031セーリス(ひめ)可笑(をか)しさを(こら)へ、032故意(わざ)湿(しめ)つぽい(こゑ)()して、
033セーリス姫『ハイ有難(ありがた)(その)言葉(ことば)034(わたし)(をつと)になつて(くだ)さつた(やう)(うれ)しう(ござ)りますわ、035ホヽヽヽヽ』
036カールチン『これこれセーリス(ひめ)殿(どの)037()(おほ)(こと)()つちやなりませぬぞ。038貴女(あなた)最愛(さいあい)のユーフテスが其処(そこ)()るぢやありませぬか。039大変(たいへん)()()んで、040(かほ)(いろ)まで()へて()りますよ。041アハヽヽヽヽ』
042セーリス姫『ホヽヽヽヽこんな(くち)()れた、043(もの)(ろく)()へぬ(やう)(をとこ)044(わたし)(にはか)(いや)になつちまつたのですよ…………と()ふのは表向(おもてむ)き、045ねえユーフテスさま、046貴方(あなた)047(わたし)(こころ)(うち)はよく()つてゐますね。048(ひと)(まへ)でさう惚気(のろけ)()へませぬからな』
049 ユーフテスは(うれ)しさうな(かほ)して、
050ユーフテス『ウフヽヽヽ』
051(わら)ふ。
052セーリス姫『あのマア()かぬたらしい(わら)(やう)わいな。053本当(ほんたう)(いや)になつてしまふワ。054如何(どう)して、055こんな()かぬたらしい(をとこ)()きになつたのだらう。056(われ)(わが)(こころ)判断(はんだん)がつかぬワ』
057カールチン『これこれセーリスさま、058あまりぢやありませぬか。059(なに)(ひと)(おご)つて(もら)ひませう。060たつぷりとお惚気(のろけ)()かされまして』
061セーリス姫『お惚気(のろけ)はお(たがひ)(さま)ですわ。062(おご)るだけは倹約(けんやく)(いた)しまして、063為替(かはせ)(ねが)ひませうか。064(とき)にカールチンさま、065奥様(おくさま)処置(しよち)如何(どう)なさいましたの。066それを(うけたま)はらねば、067(あね)矢張(やつぱ)()()みますから、068なあユーフテスさま、069さうでしたね』
070ユーフテス『そ……それが肝腎要(かんじんかなめ)只今(ただいま)御用(ごよう)ですわ。071もし旦那(だんな)(さま)072如何(どう)なりましたか。073屹度(きつと)直様(すぐさま)074(なん)とか()処置(しよち)()られたでせうな』
075カールチン(じつ)(ところ)076今日(けふ)はマンモス、077サモア(ひめ)(まね)かれて、078テーナは()(かへ)つて()ないのだ。079(しか)しながら()()けにそんな(こと)()つたら、080(この)(さい)一悶錯(ひともんさく)(おこ)るから、081(しば)らく執行(しつかう)猶予(いうよ)(ねが)ひたいものだ。082(いづ)(をり)()(うま)くやる(つも)りだから、083ヤスダラ(ひめ)にもカールチンの(こころ)(だい)磐石心(ばんじやくしん)だから安心(あんしん)せよと(つた)へて(くだ)さい。084それよりも(ひめ)(はう)心変(こころがは)りのせないやうと(この)(はう)から(かへつ)()()んでゐる(くらゐ)だ。085アハヽヽヽヽ』
086セーリス姫()(をとこ)さまに(うま)れると()()める(こと)ですな。087(わたし)(やう)なお多福(たふく)(はう)(かへつ)(さいは)ひかも()れませぬわ。088それでも世間(せけん)(ひろ)いもので、089干瓢(かんぺう)目鼻(めはな)をつけた(やう)なユーフテスさまが秋波(しうは)(おく)つて(くだ)さいますもの、090多福(たふく)だつて、091さう悲観(ひくわん)したものぢや(ござ)りませぬな』
092カールチン『あゝ(なん)だか(めう)気分(きぶん)になつて()ましたわい。093貴女(あなた)()()きませぬな。094ユーフテスの(やう)(をとこ)をつれずに、095何故(なぜ)(ねえ)さまをソツと()れて()ないのですか。096さうすれば何事(なにごと)(すぐ)氷解(ひようかい)出来(でき)ますがね。097矢張(やはり)(ねえ)さまよりもユーフテスの(はう)()いと()えますな』
098セーリス姫『そりやさうでせうとも。099何程(なにほど)(ねえ)さまが綺麗(きれい)だと()つても、100(をんな)同士(どうし)世帯(しよたい)()(わけ)には()かぬぢやありませぬか。101何程(なにほど)ヒヨツトコでも瓢箪(へうたん)でも干瓢(かんぺう)さまでも蜥蜴(とかげ)欠伸(あくび)した(やう)(をとこ)でも、102(をつと)とすれば、103ヤツパリ贔屓(ひいき)がつきますわ。104オホヽヽヽヽ』
105カールチン(とき)にセーリス(ひめ)(さま)106()()てる(やう)()みませぬが、107(いま)女房(にようばう)(かへ)つて()(かん)づかれては大変(たいへん)ですから、108何卒(どうぞ)ユーフテスと(とも)此処(ここ)立退(たちの)いて(くだ)さいますまいか』
109セーリス姫『はい、110承知(しようち)(いた)しました。111()()かぬ(をんな)だと思召(おぼしめ)すでせう。112これが(あね)だつたら、113そんな(こと)滅多(めつた)仰有(おつしや)いますまいに。114多福(たふく)はヤツパリ仕方(しかた)がありませぬわ。115奥様(おくさま)がお()()ねでせう。116何卒(どうぞ)()夫婦(ふうふ)(むつ)まじうお(くら)しなさいませ。117(あね)()親密(しんみつ)()夫婦(ふうふ)だと()いたら、118(さぞ)()()みませう、119いや(よろこ)びませう。120(まこと)にいけすかない(をんな)(まゐ)りまして()みませぬでした。121何卒(なにとぞ)神直日(かむなほひ)122大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)して(くだ)さいまして、123永当(えいたう)々々(えいたう)()贔屓(ひいき)(ねが)ひまアす』
124ユーフテス『(東西屋(とうざいや)口調(くてう))チヨン チヨン チヨン、125えー今晩(こんばん)はこれで大切(おほぎ)りと(いた)しまして、126(また)明晩(みやうばん)新手(あらて)()()へ、127大序(だいじよ)より大切(おほぎ)りまで御覧(ごらん)()れます。128芸題(げだい)入那(いるな)(しろ)入那(いるな)(しろ)129登場(とうぢやう)役者(やくしや)右守(うもり)(かみ)カールチン殿(どの)130ヤスダラ(ひめ)のローマンスの情味(じやうみ)津々(しんしん)たる艶場(つやば)をお()にかけますれば、131近所(きんじよ)合壁(がつぺき)(さそ)(あは)せ、132賑々(にぎにぎ)しく()観覧(くわんらん)(ほど)(ひとへ)()(ねが)ひあげよこ(まつ)ります。133アハヽヽヽヽ』
134セーリス『ウツフヽヽヽヽ』
135ユーフテス『(義太夫(ぎだいふ))「右守(うもり)悠然(いうぜん)として立上(たちあが)り、136テーナ(ひめ)(やかた)をさして、137()りにける。138(あと)(のこ)りし両人(りやうにん)は、139四辺(あたり)をキツと打見(うちみ)やり、140(たがひ)()()()()はし、141ヤイノ ヤイノと意茶(いちや)つく()もなく、142(おもて)(きこ)ゆる(ひと)足音(あしおと)143コリヤ(かな)はぬと、144(やみ)(まぎ)れて()()せたりチヨン」と()(ところ)ですな。145イヒヽヽヽヽ』
146カールチン『セーリス(ひめ)殿(どの)147(また)(あらた)めてお()にかかりませう』
148()ひすて足早(あしばや)(おく)()()して姿(すがた)をかくした。149二人(ふたり)是非(ぜひ)なく(やみ)(まぎ)れて(やかた)()で、150木枯(こがらし)(はげ)しき野道(のみち)をよぎり、151城内(じやうない)()して(かへ)()く。
152 カールチンは二人(ふたり)(わか)れ、153(おく)大広間(おほひろま)座蒲団(ざぶとん)幾枚(いくまい)()(かさ)ね、154ばい化物然(ばけものぜん)とすまし()み、155(しき)りに(くび)をかたげて時々(ときどき)(こら)へきれぬ(やう)(ゑみ)(もら)し、156鼻糞(はなくそ)をほぜくつたり、157()(かふ)歯糞(はくそ)()つたり、158眉毛(まゆげ)(くせ)(なほ)したり、159首筋(くびすぢ)()()げたり(など)して、160(にはか)(わか)やいだ気分(きぶん)になつて上機嫌(じやうきげん)(をさ)まり(かへ)つてゐる。161そこへマンモスに(おく)られて(かへ)つて()たのはテーナ(ひめ)であつた。
162マンモス旦那(だんな)(さま)163今日(けふ)奥様(おくさま)(むさくる)しい(ところ)()入来(いで)(ねが)ひまして(じつ)光栄(くわうえい)御座(ござ)いました。164サモア(ひめ)大変(たいへん)満足(まんぞく)(いた)しましたと、165旦那(だんな)(さま)へお(れい)申上(まをしあ)げて()れよと(まを)しました。166今日(けふ)はツイにない()機嫌(きげん)なお(かほ)(はい)し、167マンモスに(おい)ても恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)じます』
168カールチン『マンモス、169よう(おく)つて()てくれた。170(すこ)(おそ)くても(かま)はなかつたになあ』
171 テーナ(ひめ)不機嫌(ふきげん)(かほ)をして一杯(いつぱい)機嫌(きげん)(さいは)ひ、172カールチンの(まへ)(すす)()矢庭(やには)胸倉(むなぐら)をグツと()り、
173テーナ姫『これ、174旦那(だんな)さま、175薬鑵(やくわん)老爺(おやぢ)さま、176もちつと(なが)くともよいとは、177そりや(なん)()(こと)仰有(おつしや)いますか。178大方(おほかた)貴方(あなた)(わたし)(かへ)つて()るのがお()()らぬのでせう。179二三(にさん)日前(にちぜん)から、180(なん)だかソワソワして落着(おちつ)かぬ(ふう)ぢやと(おも)つてゐましたが、181到頭(たうとう)本音(ほんね)()いたぢやありませぬか。182ツイ二三(にさん)日前(にちぜん)まで(わたし)一息(ひといき)()()らなくても八釜(やかま)しく仰有(おつしや)つたぢやありませぬか。183貴方(あなた)(なに)(ほか)()(はな)出来(でき)たのでせう。184いやもの()(はな)手折(たお)つて()たのでせう。185サア今日(けふ)何処迄(どこまで)調(しら)()げねばおきませぬぞ。186女房(にようばう)()(した)罪人(ざいにん)だと(おも)つて何時(いつ)馬鹿(ばか)にしてゐなさるが、187もう(わたし)今日(けふ)了簡(れうけん)しませぬ。188さあ白状(はくじやう)しなさい、189(をとこ)らしう』
190()ひながら力限(ちからかぎ)襟髪(えりがみ)をとつて前後(ぜんご)にシヤクリまはす。
191カールチン『アハヽヽヽ、192悋気(りんき)()加減(かげん)にしたが()からうぞ。193十九(つづ)二十(はたち)()ぢやあるまいし、194四十(しじふ)(をんな)姥桜(うばざくら)分際(ぶんざい)として、195その(ざま)(なん)だ。196あまり()つともよくないぢやないか』
197テーナ姫(すずめ)(ひやく)まで雄鳥(をんどり)(わす)れぬと()ふぢやありませぬか。198四十(しじふ)(をんな)がいやなら、199(もと)十七(じふしち)にして(かへ)しなさい。200(まへ)さまに(かし)づいて(とし)をとらされたのだから、201(もと)のスタイルにさへして(もら)へば何時(いつ)にても(かへ)りますわ。202サア何処(どこ)何奴(どいつ)意茶(いちや)ついて()た。203白状(はくじやう)しなさい。204(じつ)(ところ)今日(けふ)マンモスに(まね)かれて()つたのも、205(まへ)さまの秘密(ひみつ)(さぐ)()めだつた。206(かく)しても駄目(だめ)ですよ。207(なに)もかも(みな)ユーフテスやセーリス(ひめ)のドスベタの取持(とりも)ちでやつて()(こと)はチヤンとマンモスに探偵(たんてい)がさしてあるのですよ。208あまり(ひと)盲目(めくら)にしなさるな。209サア(これ)でもお(まへ)さまは()らぬと()ひますか』
210カールチン(なん)(えら)権幕(けんまく)だな。211まるで狂人(きちがひ)(やう)ぢやないか』
212テーナ姫良妻(りやうさい)賢母(けんぼ)(をつと)仕打(しうち)(わる)いと、213こんなになるのですよ。214権幕(けんまく)(あら)くなつたのも狂人(きちがひ)になつたのも、215(なに)かの素因(そいん)がなくてはなりますまい。216あゝ残念(ざんねん)や、217くゝゝゝ口惜(くや)しやな。218こんな(こと)()つたなら、219何故(なぜ)二十(にじふ)(ねん)(むかし)(いのち)までかけて恋慕(こひした)うて()つたキユールさまに、220()はなかつたのだらう』
221焼糞(やけくそ)になつて悋気(りんき)(つの)()やし、222(ふすま)(たたみ)其処辺(そこら)道具(だうぐ)にあたり()らす。223(たちま)箪笥(たんす)顛覆(てんぷく)する、224(ふすま)(たふ)れる、225土瓶(どびん)(はら)(やぶ)つて小便(せうべん)()れる、226火鉢(ひばち)(ちう)()ふ。227座敷(ざしき)一面(いちめん)灰煙(はひけむり)濛々(もうもう)(つつ)む。228()(あし)もつけられなくなつて(しま)つた。
229マンモス『マンマンマン モスモスモスもすこし()つて(くだ)さい。230(おく)さま、231さう(はら)()てちやお身体(からだ)(さは)ります。232まだ(たしか)なことは見届(みとど)けてないのですから、233さう(はや)くから予行(よかう)演習(えんしふ)をやられちや、234旦那(だんな)(さま)(まを)すに(およ)ばず、235マンモスまでが(たちま)迷惑(めいわく)(いた)します。236()()づお(しづ)まりを(ねが)ひます』
237 カールチンはマンモスをハツタと()めつけ、238(こゑ)(ふる)はせて、
239カールチン『こりや、240マヽヽヽマン、241左様(さやう)不届(ふとど)きな(こと)(まを)して右守(うもり)(やかた)攪乱(かくらん)せむとするのか。242不忠(ふちう)不義(ふぎ)()(もの)()243今日(けふ)(かぎ)(ひま)(つか)はす。244トツトと()()かう』
245テーナ姫『これカールチンさま、246マンモスが()ると大変(たいへん)()都合(つがふ)がお(わる)いでせう。247(ついで)(わたし)此処(ここ)()りますと貴方(あなた)()都合(つがふ)(さぞ)(わる)御座(ござ)いませう。248(わたし)はこれから御免(ごめん)(かうむ)ります。249何程(なにほど)貴方(あなた)()てられても、250(けつ)して難儀(なんぎ)(いた)しませぬ。251(ひろ)世界(せかい)(をんな)(すた)(もの)はありませぬぞや。252(をんな)やもめ初版・三版・愛世版では「男やもめ」だが、校定版では「女やもめ」に直している。文脈上は「女やもめ」が妥当。(うぢ)()きませぬぞえ。253(おほ)きに永々(ながなが)()世話(せわ)になりました。254何卒(どうぞ)鬼薊(おにあざみ)(やう)なお(かた)末永(すえなが)うお()ひなさいませ。255これマンモス、256()てる(かみ)があれば(ひろ)(かみ)もある。257(わたし)財産(ざいさん)だつて、258()ふと()まぬが、259旦那(だんな)(さま)より(ばい)以上(いじやう)もあるから心配(しんぱい)なさるな、260屹度(きつと)(やしな)うて()げますぞや。261えーえー、262こんな(ところ)にようも二十(にじふ)(ねん)()つた(こと)だ』
263(あし)(たたみ)()()(かみ)ふり(みだ)し、264(はぢ)外聞(ぐわいぶん)(かま)はばこそ、265オンオンと狼泣(おほかみな)きしながら(やかた)(あと)何処(いづこ)ともなく姿(すがた)(かく)した。
266 (あと)見送(みおく)つてカールチンは、267さも(うれ)()(かた)(そび)やかし、268(あご)をしやくり独言(ひとりごと)()つてゐる。
269カールチン『アハヽヽヽヽ、270都合(つがふ)()(とき)には何処(どこ)までも都合(つがふ)()いものだな。271如何(どう)して追放(おつぽ)()さうかと、272そればかり思案(しあん)してゐたのに、273自分(じぶん)(はう)から()()すと()ふのは、274()したマア都合(つがふ)のいい(こと)だらう。275あれ(だけ)乱暴(らんばう)して()つた以上(いじやう)は、276よもやテーナも(かへ)つて()(かんが)へぢやあるまいし、277(おれ)だつてあれだけ()みつけられた(をんな)を、278(また)ノメノメと(うち)において()(やう)(こと)では、279右守(うもり)(かみ)威勢(ゐせい)(から)つきり駄目(だめ)になつて(しま)ふ。280もう何人(なんぴと)仲裁(ちうさい)這入(はい)つても()必要(ひつえう)はない。281エヘヽヽヽヽ(ふく)(かみ)()入来(じゆらい)282貧乏神(びんばふがみ)()退却(たいきやく)283(じつ)(おそ)入谷(いりや)鬼子(きし)母神(ぼじん)284そこへヤスダラ(ひめ)弁財天(べんざいてん)()降臨(かうりん)(あそ)ばし、285(しばら)天之(あめの)御柱(みはしら)286国之(くにの)御柱(みはしら)(めぐ)()ふうち、287(たちま)布袋(ほてい)さまと早変(はやがは)り、288大黒天(だいこくてん)さまもお(うらや)(あそ)ばすやうな円満(ゑんまん)家庭(かてい)(つく)り、289仮令(たとへ)女房(にようばう)素性(すじやう)毘舎門天(びしやもんてん)でも美人(びじん)でさへあれば、290それで本能(ほんのう)満足(まんぞく)するのだ。291それさへあるにヤスダラ(ひめ)刹帝利(せつていり)(おん)(たね)292こんな結構(けつこう)(こと)が、293ようマア如何(どう)して勃発(ぼつぱつ)したのだらうかな。294南無(なむ)大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこの)大神(おほかみ)295(つつし)(うやま)感謝(かんしや)(たてまつ)ります。296あゝあ今日(けふ)(くらゐ)()(うへ)(こぶ)がとれて愉快(ゆくわい)(こと)があらうか。297エヘヽヽヽヽもう(たれ)遠慮(ゑんりよ)()らぬ、298天下(てんか)()れての夫婦(ふうふ)だ』
299独言(ひとりごと)(ひと)(よろこ)んでゐる。300そこへ(となり)(ふすま)をガラリと()()け、301(かみ)ふり(みだ)し、302馮河(ひようが)暴虎(ばうこ)(いきほひ)(あら)はれたのはテーナ(ひめ)であつた。303矢庭(やには)首筋(くびすぢ)剛力(がうりき)(まか)せてグツと(おさ)へ、
304テーナ姫『えーえ、305(なに)もかも()らぬかと(おも)うて(かへる)(くち)から白状(はくじやう)(いた)したな。306もう(この)(うへ)はテーナ(ひめ)死物狂(しにものぐるひ)307生首(なまくび)()()地獄(ぢごく)八丁目(はつちやうめ)まで(かた)げて()つて(おに)()はしてやるから左様(さう)(おも)へ、308如何(どう)ぢや如何(どう)ぢや』
309(あたま)めしやげる(ほど)(たたみ)(おさ)へつける。310カールチンは(くる)しさに()へかね、311キヤツと悲鳴(ひめい)をあげる途端(とたん)に、
312テーナ姫『これこれ旦那(だんな)(さま)
313()(おこ)したのはテーナ(ひめ)であつた。
314テーナ姫旦那(だんな)(さま)315えらう(うな)されてゐましたな。316しつかりなさいませ。317えらい冷汗(ひやあせ)()てゐますよ』
318カールチン『あゝあ、319(ゆめ)だつたか、320ま、321(ゆめ)でよかつた。322貴様(きさま)余程(よほど)ひどい(やつ)だな』
323テーナ姫(なん)ですか、324(わたし)(ゆめ)御覧(ごらん)になりましたの。325へー、326(なに)(わたし)(おこ)られるやうな(こと)をなさつてゐられるので、327そんな(ゆめ)御覧(ごらん)になつたのでせう』
328カールチン(なに)329(まへ)武者振(むしやぶり)(ゆめ)()たのだ。330それはなア随分(ずゐぶん)331白馬(はくば)(うへ)(また)がつて軍隊(ぐんたい)指揮(しき)する(いきほひ)目覚(めざま)しいものだつたよ。332あれが(わし)女房(にようばう)かと驚嘆(きやうたん)のあまり()()めたのだよ、333アハヽヽヽ』
334テーナ姫『オホヽヽヽ』
335大正一一・一一・一四 旧九・二六 北村隆光録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki