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第60巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天仁和楽
01 清浄車
〔1526〕
02 神森
〔1527〕
03 瑞祥
〔1528〕
04 木遣
〔1529〕
05 鎮祭
〔1530〕
06 満悦
〔1531〕
第2篇 東山霊地
07 方便
〔1532〕
08 土蜘蛛
〔1533〕
09 夜光玉
〔1534〕
10 玉国
〔1535〕
11 法螺貝
〔1536〕
第3篇 神の栄光
12 三美歌(その一)
〔1537〕
13 三美歌(その二)
〔1538〕
第4篇 善言美詞
14 神言
〔1539〕
15 祝詞
〔1540〕
16 祈言
〔1541〕
17 崇詞
〔1542〕
18 復祭
〔1543〕
19 復活
〔1544〕
第5篇 金言玉辞
20 三五神諭(その一)
〔1545〕
21 三五神諭(その二)
〔1546〕
22 三五神諭(その三)
〔1547〕
23 三五神諭(その四)
〔1548〕
24 三五神諭(その五)
〔1549〕
25 三五神諭(その六)
〔1550〕
余白歌
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第五章
鎮祭
(
ちんさい
)
〔一五三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻
篇:
第1篇 天仁和楽
よみ(新仮名遣い):
てんじんわらく
章:
第5章 鎮祭
よみ(新仮名遣い):
ちんさい
通し章番号:
1530
口述日:
1923(大正12)年04月07日(旧02月22日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年8月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
真善美を尽くした二棟の宮殿は、玉国別以下一同の丹精によってようやく完成した。東の宮には大国常立大神を祀り、西の宮には大国彦命を鎮祭することになった。
玉国別は斎主となり、荘厳な遷宮式を挙行した。大国常立尊の御神体としてはバーチルの家に古くから伝わる直径三尺三寸の瑪瑙の宝玉に神霊をとりかけた。大国彦命の御神体としては、直径三寸ばかりの水晶の玉に神霊をとりかけた。
バーチルは東の宮の、サーベル姫は西の宮の神主となり、朝夕心身を清めて奉仕することになった。
祭典は無事に終了し、直会の宴が開かれた。おのおの神酒をいただきながら、思い思いに今日の盛事を祝した。バーチルは祝歌を歌い、サーベル姫は花を手に取り音楽に和して歌いながら舞った。
サーベル姫は歌い終わると一同に拝礼し、里人への財産提供の準備をなすべく、数多の猩々に前後を守られて館に引き換えした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6005
愛善世界社版:
54頁
八幡書店版:
第10輯 615頁
修補版:
校定版:
58頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
真善美
(
しんぜんび
)
を
尽
(
つく
)
したる
二棟
(
ふたむね
)
の
宮殿
(
きうでん
)
は
002
玉国別
(
たまくにわけ
)
以下
(
いか
)
一同
(
いちどう
)
の
丹精
(
たんせい
)
によつて
漸
(
やうや
)
く
完成
(
くわんせい
)
し、
003
東側
(
ひがしがは
)
の
宮
(
みや
)
には
大国常立
(
おほくにとこたちの
)
大神
(
おほかみ
)
を
祀
(
まつ
)
り、
004
西
(
にし
)
の
宮
(
みや
)
には
大国彦
(
おほくにひこの
)
命
(
みこと
)
を
鎮祭
(
ちんさい
)
する
事
(
こと
)
となつた。
005
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
斎主
(
さいしゆ
)
として
新調
(
しんてう
)
の
祭服
(
さいふく
)
を
身
(
み
)
に
着
(
つ
)
け、
006
真純彦
(
ますみひこ
)
以下
(
いか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
及
(
およ
)
び
主人側
(
しゆじんがは
)
のバーチル
夫婦
(
ふうふ
)
007
並
(
ならび
)
にバラモンのチルテル
以下
(
いか
)
里人
(
さとびと
)
一同
(
いちどう
)
と
共
(
とも
)
に
008
荘厳
(
さうごん
)
なる
遷宮式
(
せんぐうしき
)
を
挙行
(
きよかう
)
した。
009
大国常立
(
おほくにとこたちの
)
尊
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
としては
010
バーチルの
家
(
いへ
)
に
古
(
ふる
)
くより
伝
(
つた
)
はりし
直径
(
ちよくけい
)
三尺
(
さんじやく
)
三寸
(
さんずん
)
の
瑪瑙
(
めなう
)
の
宝玉
(
はうぎよく
)
に
神霊
(
しんれい
)
をとりかけ、
011
大国彦
(
おほくにひこの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
としては
012
チルテルが
大切
(
たいせつ
)
に
保存
(
ほぞん
)
せる
直径
(
ちよくけい
)
三寸
(
さんずん
)
許
(
ばか
)
りの
水晶
(
すいしやう
)
の
玉
(
たま
)
に
神霊
(
しんれい
)
をとりかけ、
013
これを
奉斎
(
ほうさい
)
する
事
(
こと
)
となつた。
014
さうしてバーチルは
東
(
ひがし
)
の
宮
(
みや
)
の
神主
(
かむぬし
)
となり、
015
サーベル
姫
(
ひめ
)
は
西
(
にし
)
の
宮
(
みや
)
の
神主
(
かむぬし
)
となり、
016
朝夕
(
てうせき
)
心身
(
しんしん
)
を
清
(
きよ
)
めて
之
(
これ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
事
(
こと
)
となつた。
017
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
遷宮式
(
せんぐうしき
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
歌
(
うた
)
に
代
(
か
)
へて
歌
(
うた
)
ふ。
018
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
朝日
(
あさひ
)
輝
(
かがや
)
くアヅモスの
019
テーヷラージャーの
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
020
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
をがひ
)
の
木
(
き
)
を
伐
(
き
)
りて
021
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
の
里人
(
さとびと
)
が
022
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
に
宮柱
(
みやばしら
)
023
太
(
ふと
)
しく
造
(
つく
)
り
高天原
(
たかあまはら
)
に
024
千木
(
ちぎ
)
高
(
たか
)
知
(
し
)
りて
三五
(
あななひ
)
の
025
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
やバラモンの
026
教司
(
をしへつかさ
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
を
027
斎
(
いつき
)
まつらむ
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
は
028
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
の
開
(
ひら
)
くなる
029
生日
(
いくひ
)
足日
(
たるひ
)
の
生時
(
いくとき
)
ぞ
030
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めたる
031
大国常立
(
おほくにとこたち
)
大御神
(
おほみかみ
)
032
天王星
(
てんわうせい
)
より
下
(
くだ
)
ります
033
梵天
(
ぼんてん
)
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
034
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
035
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐ
)
みを
蒙
(
かかぶ
)
りて
036
漸
(
やうや
)
くここに
宮柱
(
みやばしら
)
037
建
(
た
)
て
了
(
をは
)
りたる
目出度
(
めでた
)
さよ
038
高天原
(
たかあまはら
)
の
霊国
(
れいごく
)
の
039
姿
(
すがた
)
を
移
(
うつ
)
すスメールの
040
山
(
やま
)
は
世界
(
せかい
)
の
救
(
すく
)
ひ
主
(
ぬし
)
041
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
も
寄
(
よ
)
り
集
(
つど
)
ひ
042
世
(
よ
)
を
常久
(
とこしへ
)
に
守
(
まも
)
らむと
043
寄
(
よ
)
り
来
(
き
)
仕
(
つか
)
ふる
目出度
(
めでた
)
さよ
044
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
045
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
046
仮令
(
たとへ
)
天地
(
てんち
)
は
覆
(
かへ
)
るとも
047
元津
(
もとつ
)
御祖
(
みおや
)
の
大神
(
おほかみ
)
が
048
此
(
この
)
地
(
ち
)
に
鎮
(
しづ
)
まります
限
(
かぎ
)
り
049
如何
(
いか
)
なる
枉
(
まが
)
も
来
(
きた
)
るべき
050
大三災
(
だいさんさい
)
の
風水火
(
ふうすいくわ
)
051
小三災
(
せうさんさい
)
の
饑病戦
(
きびやうせん
)
052
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
霧
(
きり
)
の
如
(
ごと
)
053
朝
(
あした
)
の
風
(
かぜ
)
や
夕風
(
ゆふかぜ
)
の
054
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ふ
如
(
ごと
)
影
(
かげ
)
もなく
055
安全
(
あんぜん
)
無事
(
ぶじ
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
と
056
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
鎮
(
しづ
)
まりて
057
世人
(
よびと
)
を
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
へかし
058
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
059
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
060
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
061
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
062
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
063
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
神嘉言
(
かむよごと
)
064
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて
065
総
(
すべ
)
ての
邪気
(
じやき
)
を
拭
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
066
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
の
歓楽
(
くわんらく
)
を
067
この
国人
(
くにびと
)
は
永久
(
とこしへ
)
に
068
味
(
あぢ
)
はひまつる
有難
(
ありがた
)
さ
069
アヽ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
070
此
(
この
)
神床
(
かむどこ
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
071
鎮
(
しづ
)
まりまして
常暗
(
とこやみ
)
の
072
世界
(
せかい
)
を
救
(
すく
)
ひ
玉
(
たま
)
ひつつ
073
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
はラシューズダ
074
サハスラバリ・ブールナドヷヂャ
075
サルワサットワブリヤダルシャナと
076
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
ひて
永久
(
とこしへ
)
に
077
鎮
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ませと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
078
この
里人
(
さとびと
)
の
誠心
(
まごころ
)
ゆ
079
捧
(
ささ
)
げまつりし
海河
(
うみかは
)
や
080
山野
(
やまぬ
)
の
種々
(
くさぐさ
)
珍味物
(
うましもの
)
081
八足
(
やたり
)
の
机
(
つくゑ
)
に
弥広
(
いやひろ
)
く
082
弥高
(
いやたか
)
らかに
横山
(
よこやま
)
の
083
姿
(
すがた
)
の
如
(
ごと
)
く
置
(
お
)
き
足
(
た
)
らし
084
真心
(
まごころ
)
こめて
大神酒
(
おほみき
)
や
085
大神饌
(
おほみけ
)
御水
(
みもひ
)
奉
(
たてまつ
)
る
086
此
(
この
)
二柱
(
ふたはしら
)
大御神
(
おほみかみ
)
087
青人草
(
あをひとぐさ
)
の
真心
(
まごころ
)
を
088
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
し
089
今日
(
けふ
)
の
喜
(
よろこ
)
び
永久
(
とこしへ
)
に
090
続
(
つづ
)
かせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
091
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
092
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
093
玉国別
(
たまくにわけ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
094
籠
(
こ
)
めて
一同
(
いちどう
)
になり
代
(
か
)
はり
095
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
096
アヽ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
097
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
098
祭典
(
さいてん
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
終了
(
しうれう
)
し、
099
各
(
おのおの
)
聖地
(
せいち
)
に
処
(
ところ
)
狭
(
せ
)
き
迄
(
まで
)
群集
(
うごなは
)
り
居
(
ゐ
)
て
100
撤饌
(
てつせん
)
の
供物
(
くもつ
)
により
直会
(
なほらひ
)
の
宴
(
えん
)
を
開
(
ひら
)
き、
101
神酒
(
みき
)
を
頂
(
いただ
)
き
乍
(
なが
)
ら
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひに
今日
(
けふ
)
の
盛事
(
せいじ
)
を
祝
(
しゆく
)
した。
102
其
(
その
)
中
(
うち
)
重
(
おも
)
なる
人
(
ひと
)
の
歌
(
うた
)
を
一
(
いち
)
、
103
二
(
に
)
左
(
さ
)
に
述
(
の
)
べて
置
(
お
)
く。
104
バーチル『アヽ
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
し
105
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
は
開
(
ひら
)
きけり
106
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
上
(
あが
)
りけり
107
四辺
(
あたり
)
の
空気
(
くうき
)
は
何
(
なん
)
となく
108
いと
爽
(
さはや
)
かに
風
(
かぜ
)
そよぐ
109
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
は
淑
(
しとや
)
かに
110
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
相奏
(
あひかな
)
で
111
梢
(
こずゑ
)
は
舞踏
(
ぶたふ
)
を
演
(
えん
)
じつつ
112
今日
(
けふ
)
の
盛事
(
せいじ
)
を
祝
(
いは
)
ふなり
113
野辺
(
のべ
)
に
咲
(
さ
)
きぬる
蓮花
(
はちすばな
)
114
香
(
かを
)
りも
高
(
たか
)
く
吹
(
ふ
)
き
送
(
おく
)
る
115
牡丹
(
ぼたん
)
芍薬
(
しやくやく
)
ダリヤ
迄
(
まで
)
116
艶
(
えん
)
をば
競
(
きそ
)
ひ
香
(
か
)
を
送
(
おく
)
る
117
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
も
目
(
ま
)
のあたり
118
眺
(
なが
)
むる
如
(
ごと
)
き
心地
(
ここち
)
なり
119
朽
(
く
)
ち
果
(
は
)
てたりし
宮殿
(
きうでん
)
も
120
今
(
いま
)
は
目出度
(
めでた
)
く
新
(
あらた
)
まり
121
木
(
き
)
の
香
(
か
)
新
(
あらた
)
に
鼻
(
はな
)
をつく
122
見
(
み
)
るもの
聞
(
き
)
くもの
一
(
いつ
)
として
123
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
の
124
籠
(
こも
)
らせ
玉
(
たま
)
はぬものはなし
125
父
(
ちち
)
の
犯
(
をか
)
せし
罪科
(
つみとが
)
の
126
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
巡
(
めぐ
)
り
来
(
きた
)
りてゆ
127
日夜
(
にちや
)
に
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
めつつ
128
清
(
きよ
)
めの
湖
(
うみ
)
に
浮
(
うか
)
び
出
(
い
)
で
129
百
(
もも
)
の
鱗族
(
うろくづ
)
漁
(
あさ
)
りつつ
130
心
(
こころ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
居
(
ゐ
)
たりしが
131
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
引
(
ひき
)
合
(
あは
)
せ
132
例
(
ためし
)
もあらぬ
颶風
(
しけ
)
に
遭
(
あ
)
ひ
133
猩々
(
しやうじやう
)
の
島
(
しま
)
に
助
(
たす
)
けられ
134
因縁
(
いんねん
)
因果
(
いんぐわ
)
の
巡
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ
135
猩々
(
しやうじやう
)
の
姫
(
ひめ
)
とゆくりなく
136
鴛鴦
(
をし
)
の
縁
(
えにし
)
を
契
(
ちぎ
)
りつつ
137
三年
(
みとせ
)
を
過
(
す
)
ぐる
暁
(
あかつき
)
に
138
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
の
来
(
きた
)
りまし
139
吾
(
われ
)
を
助
(
たす
)
けてイヅミなる
140
スマの
館
(
やかた
)
に
送
(
おく
)
りまし
141
今
(
いま
)
又
(
また
)
神
(
かみ
)
の
神勅
(
みことのり
)
142
忝
(
かたじけ
)
なみて
伊太彦
(
いたひこ
)
の
143
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
一族
(
いちぞく
)
を
144
これの
神山
(
みやま
)
に
迎
(
むか
)
へられ
145
霊魂
(
みたま
)
の
親子
(
おやこ
)
は
喜
(
よろこ
)
びて
146
スメール
山
(
ざん
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
147
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
仕
(
つか
)
へ
行
(
ゆ
)
く
148
嬉
(
うれ
)
しき
身
(
み
)
とはなりにけり
149
吾
(
われ
)
は
之
(
これ
)
より
比丘
(
びく
)
となり
150
神
(
かみ
)
の
柱
(
はしら
)
となる
上
(
うへ
)
は
151
父祖
(
ふそ
)
の
伝
(
つた
)
へし
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
152
その
外
(
ほか
)
山野
(
さんや
)
田畑
(
でんぱた
)
を
153
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
に
奉還
(
ほうくわん
)
し
154
里人
(
さとびと
)
各
(
おのおの
)
持場
(
もちば
)
をば
155
定
(
さだ
)
めて
自由
(
じいう
)
に
稲
(
いね
)
や
麦
(
むぎ
)
156
豆
(
まめ
)
粟
(
あは
)
黍
(
きび
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
157
羊
(
ひつじ
)
や
豚
(
ぶた
)
の
数
(
かず
)
限
(
かぎ
)
り
158
知
(
し
)
られぬ
許
(
ばか
)
りの
財産
(
ざいさん
)
を
159
皆
(
みな
)
里人
(
さとびと
)
の
有
(
いう
)
となし
160
この
儘
(
まま
)
地上
(
ちじやう
)
の
天国
(
てんごく
)
を
161
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
築
(
きづ
)
きつつ
162
その
神恩
(
しんおん
)
に
浴
(
よく
)
されよ
163
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へし
上
(
うへ
)
からは
164
物質
(
ぶつしつ
)
的
(
てき
)
の
宝
(
たから
)
をば
165
塵
(
ちり
)
もとどめず
放
(
ほ
)
り
出
(
いだ
)
し
166
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
与
(
あづか
)
りて
167
夫婦
(
ふうふ
)
親子
(
おやこ
)
は
聖場
(
せいぢやう
)
に
168
楽
(
たの
)
しく
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るべし
169
諾
(
うべな
)
ひ
玉
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
170
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
八百万
(
やほよろづ
)
171
その
生宮
(
いきみや
)
と
現
(
あ
)
れませる
172
バラモン
軍
(
ぐん
)
のキャプテンを
173
始
(
はじ
)
め
奉
(
まつ
)
りて
部下
(
ぶか
)
とます
174
百
(
もも
)
の
軍
(
いくさ
)
も
里人
(
さとびと
)
も
175
公平
(
こうへい
)
無私
(
むし
)
に
吾
(
わが
)
宝
(
たから
)
176
分配
(
ぶんぱい
)
なして
穏
(
おだや
)
かに
177
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
送
(
おく
)
り
玉
(
たま
)
へかし
178
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
179
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
180
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
181
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
のバーチルが
182
言葉
(
ことば
)
は
永久
(
とは
)
に
変
(
かは
)
らまじ
183
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
平
(
たひ
)
らけく
184
思召
(
おぼしめ
)
されよと
皇神
(
すめかみ
)
の
185
御前
(
みまへ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
宣
(
の
)
りまつる
186
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
187
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
188
里人
(
さとびと
)
が
原野
(
げんや
)
を
捜
(
あさ
)
つて
集
(
あつ
)
め
来
(
きた
)
りし
四種
(
ししゆ
)
の
曼陀羅華
(
まんだらげ
)
を
神殿
(
しんでん
)
処
(
ところ
)
狭
(
せ
)
きまで
供
(
そな
)
へまつり、
189
サーベル
姫
(
ひめ
)
はその
花
(
はな
)
の
中心
(
ちうしん
)
に
立
(
た
)
つて
曼陀羅華
(
まんだらげ
)
を
手
(
て
)
にし、
190
太鼓
(
たいこ
)
、
191
羯鼓
(
かつこ
)
、
192
笙
(
しやう
)
、
193
篳篥
(
ひちりき
)
、
194
翼琴
(
よくきん
)
等
(
など
)
の
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
の
音
(
ね
)
に
和
(
わ
)
して
195
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
うた。
196
因
(
ちなみ
)
に
四種
(
ししゆ
)
の
曼陀羅華
(
まんだらげ
)
とは、
197
一、
198
マーンダーラヷ
199
二、
200
マハーマンダーラヷ
201
三、
202
マンヂュシャカ
203
四、
204
マハーマンヂュシャカ
205
を
云
(
い
)
ふ。
206
さうして
曼陀羅
(
まんだら
)
は
適意花
(
てきいくわ
)
、
207
成意花
(
じやういくわ
)
、
208
円花
(
ゑんくわ
)
、
209
悦音花
(
えつおんくわ
)
、
210
雑色花
(
ざつしきくわ
)
、
211
天妙花
(
てんめうくわ
)
とも
翻訳
(
ほんやく
)
され、
212
その
色
(
いろ
)
は
赤
(
あか
)
に
似
(
に
)
て
黄色
(
くわうしよく
)
を
帯
(
お
)
びたり、
213
青
(
あを
)
に
似
(
に
)
て
紫
(
むらさき
)
、
214
紫
(
むらさき
)
に
似
(
に
)
て
黒
(
くろ
)
を
帯
(
お
)
びたり
種々
(
しゆじゆ
)
雑妙
(
ざつめう
)
の
色
(
いろ
)
がある。
215
マハーマンダーラヷは
白華
(
びやくげ
)
又
(
また
)
は
大白華
(
だいびやくげ
)
となすものがある。
216
マンジュシャカは
柔軟草
(
にうなんさう
)
、
217
如意草
(
によいさう
)
、
218
赤団華
(
あかだんげ
)
とするものもある。
219
サーベル
姫
(
ひめ
)
『
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すい
)
地
(
ち
)
と
結
(
むす
)
びたる
220
青
(
あお
)
赤
(
あか
)
白
(
しろ
)
黄
(
き
)
紫
(
むらさき
)
の
221
曼陀羅華
(
まんだらげ
)
をば
大前
(
おほまへ
)
に
222
処
(
ところ
)
狭
(
せ
)
き
迄
(
まで
)
奉
(
たてまつ
)
り
223
天地
(
てんち
)
の
水火
(
いき
)
に
叶
(
かな
)
ひたる
224
真善
(
しんぜん
)
美愛
(
びあい
)
の
花束
(
はなたば
)
を
225
里人
(
さとびと
)
等
(
たち
)
が
慎
(
つつし
)
みて
226
真心
(
まごころ
)
捧
(
ささ
)
げて
奉
(
たてまつ
)
る
227
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
は
言霊
(
ことたま
)
の
228
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すい
)
地
(
ち
)
を
結
(
むす
)
びまし
229
地上
(
ちじやう
)
の
人
(
ひと
)
は
曼陀羅華
(
まんだらげ
)
230
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すい
)
地
(
ち
)
と
結
(
むす
)
びたる
231
種々
(
しゆじゆ
)
雑妙
(
ざつめう
)
のこの
花
(
はな
)
を
232
大宮前
(
おほみやまへ
)
に
立
(
た
)
て
並
(
なら
)
べ
233
至誠
(
しせい
)
を
現
(
あら
)
はし
奉
(
たてまつ
)
る
234
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
よ
大神
(
おほかみ
)
よ
235
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
初
(
はじ
)
め
里人
(
さとびと
)
が
236
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
臠
(
みそなは
)
し
237
アヅモス
山
(
さん
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
に
238
大宮柱
(
おほみやばしら
)
太
(
ふと
)
しりて
239
鎮
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ます
珍宮
(
うづみや
)
の
240
司
(
つかさ
)
と
永遠
(
とは
)
に
仕
(
つか
)
へませ
241
バーチル
夫婦
(
ふうふ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
242
ここに
現
(
あら
)
はし
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
243
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
大神
(
おほかみ
)
の
244
恵
(
めぐ
)
みの
露
(
つゆ
)
に
霑
(
うるほ
)
ひて
245
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひたる
曼陀羅華
(
まんだらげ
)
246
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
花蓮
(
はなはちす
)
247
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
天界
(
てんかい
)
の
248
平和
(
へいわ
)
と
歓喜
(
くわんき
)
の
国
(
くに
)
を
建
(
た
)
て
249
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
250
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンの
251
一体
(
いつたい
)
不二
(
ふじ
)
の
神教
(
しんけう
)
を
252
普
(
あまね
)
く
四方
(
よも
)
に
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
へ
253
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
はせ
玉
(
たま
)
へかし
254
三百
(
さんびやく
)
三十三
(
さんじふさん
)
体
(
たい
)
の
255
此
(
この
)
愛
(
あい
)
らしき
猩々
(
しやうじやう
)
は
256
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
憑
(
うつ
)
りし
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
257
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
生
(
う
)
みませる
258
天地
(
てんち
)
の
愛
(
あい
)
の
珍
(
うづ
)
の
子
(
こ
)
と
259
憐
(
あは
)
れみ
玉
(
たま
)
ひて
永久
(
とこしへ
)
に
260
身魂
(
みたま
)
を
守
(
まも
)
り
平安
(
へいあん
)
に
261
この
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
らせ
玉
(
たま
)
へかし
262
執着心
(
しふちやくしん
)
や
世染
(
せぜん
)
をば
263
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
払拭
(
ふつしき
)
し
264
安
(
やす
)
の
河原
(
かはら
)
に
垢離
(
こり
)
をとり
265
清浄
(
しやうじやう
)
無垢
(
むく
)
の
魂
(
たま
)
となり
266
仕
(
つか
)
へまつらせ
玉
(
たま
)
へかし
267
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
268
御霊
(
みたま
)
の
恩頼
(
ふゆ
)
を
願
(
ね
)
ぎまつる』
269
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り
一同
(
いちどう
)
に
拝礼
(
はいれい
)
し、
270
数多
(
あまた
)
の
猩々
(
しやうじやう
)
に
前後
(
ぜんご
)
を
守
(
まも
)
られて、
271
一先
(
ひとま
)
づ
元
(
もと
)
の
館
(
やかた
)
へ
引
(
ひき
)
返
(
かへ
)
し
272
村人
(
むらびと
)
一般
(
いつぱん
)
に
対
(
たい
)
し
財産
(
ざいさん
)
全部
(
ぜんぶ
)
提供
(
ていきよう
)
の
準備
(
じゆんび
)
をなすべく
273
欣々
(
いそいそ
)
として
嬉
(
うれ
)
しげに
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
る。
274
(
大正一二・四・七
旧二・二二
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
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