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天祥地瑞
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第60巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天仁和楽
01 清浄車
〔1526〕
02 神森
〔1527〕
03 瑞祥
〔1528〕
04 木遣
〔1529〕
05 鎮祭
〔1530〕
06 満悦
〔1531〕
第2篇 東山霊地
07 方便
〔1532〕
08 土蜘蛛
〔1533〕
09 夜光玉
〔1534〕
10 玉国
〔1535〕
11 法螺貝
〔1536〕
第3篇 神の栄光
12 三美歌(その一)
〔1537〕
13 三美歌(その二)
〔1538〕
第4篇 善言美詞
14 神言
〔1539〕
15 祝詞
〔1540〕
16 祈言
〔1541〕
17 崇詞
〔1542〕
18 復祭
〔1543〕
19 復活
〔1544〕
第5篇 金言玉辞
20 三五神諭(その一)
〔1545〕
21 三五神諭(その二)
〔1546〕
22 三五神諭(その三)
〔1547〕
23 三五神諭(その四)
〔1548〕
24 三五神諭(その五)
〔1549〕
25 三五神諭(その六)
〔1550〕
余白歌
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> 第2篇 東山霊地 > 第10章 玉国
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第一〇章
玉国
(
たまくに
)
〔一五三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻
篇:
第2篇 東山霊地
よみ(新仮名遣い):
あづもすれいち
章:
第10章 玉国
よみ(新仮名遣い):
たまくに
通し章番号:
1535
口述日:
1923(大正12)年04月07日(旧02月22日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年8月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
地上に戻ると、玉国別は伊太彦の功績をねぎらった。そしてタクシャカ竜王に向かい、歌で持って呼びかけ、竜王の改心と赦免を祝った。竜王は答えて改めて改心と感謝の情を表した。
一同がそれぞれ述懐の歌を交わしていると、大地はにわかに震動し、湖の波が立ち狂いパッと二つに開いた。湖中から恐ろしいサーガラ竜王が、七八才の乙女を背に乗せてスマの浜辺に浮かび出た。竜王はたちまち老媼の姿となり、幼児をかかえて中空を翔け、タクシャカ竜王の前に現れた。
サーガラ竜王は夫であるタクシャカ竜王の赦免を喜ぶ歌を歌った。そしてこの乙女は、自分の身魂から生まれた如意宝珠の化身であると明かした。
玉国別はこれより夫婦で世を守るようにと二人に命じた。サーガラ竜王が乙女に息を吹きかけると如意宝珠の玉と変じた。サーガラ竜王は玉を玉国別に奉じた。宣伝使たちはおのおの述懐の歌を交わした。
これよりタクシャカ竜王とサーガラ竜王はそれぞれ猩々翁、猩々媼となり、珍しい果物の酒を作って朝夕神前に献じて神慮をなぐさめ、罪を謝することとなった。
バーチル夫婦は二つの宮の宮司として仕え、子孫繁栄し神の柱と世に敬われた。元バラモン軍キャプテンのチルテルはスマの里の里庄となって村民を愛撫し、部下はいずれも里人の列に加えて美しく新しい村を造り余生を楽しく送り、その霊は天国に至って天人の列に加わり、アヅモス山の聖地を守ることとなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6010
愛善世界社版:
119頁
八幡書店版:
第10輯 637頁
修補版:
校定版:
126頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
に
導
(
みちび
)
かれ
002
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
幽閉
(
いうへい
)
を
003
ヤツと
免
(
のが
)
れて
千仭
(
せんじん
)
の
004
地底
(
ちてい
)
の
闇
(
やみ
)
より
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
005
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
は
人体
(
じんたい
)
と
006
変化
(
へんげ
)
の
術
(
じゆつ
)
を
使
(
つか
)
ひつつ
007
満面
(
まんめん
)
笑
(
ゑみ
)
を
相
(
あひ
)
湛
(
たた
)
へ
008
アヅモス
山
(
さん
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
の
009
神
(
かみ
)
の
祭
(
まつ
)
りし
其
(
その
)
前
(
まへ
)
に
010
岩戸
(
いはと
)
の
階段
(
かいだん
)
登
(
のぼ
)
りつつ
011
天
(
てん
)
にも
昇
(
のぼ
)
る
心地
(
ここち
)
して
012
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でし
尊
(
たふと
)
さよ
013
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
014
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
の
功績
(
いさをし
)
を
015
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
讃
(
ほ
)
め
乍
(
なが
)
ら
016
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
に
打
(
うち
)
向
(
むか
)
ひ
017
言葉
(
ことば
)
優
(
やさし
)
く
宣
(
の
)
らす
様
(
やう
)
。
018
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
国常立
(
くにとこたち
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
019
豊国姫
(
とよくにひめ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
020
開
(
ひら
)
かせ
玉
(
たま
)
ふ
三五
(
あななひ
)
の
021
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
022
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
023
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
024
ハルナの
都
(
みやこ
)
に
出
(
い
)
でてゆく
025
其
(
その
)
途
(
みち
)
すがら
皇神
(
すめかみ
)
の
026
仕組
(
しぐみ
)
の
糸
(
いと
)
に
操
(
あやつ
)
られ
027
心
(
こころ
)
も
身
(
み
)
をもスマの
里
(
さと
)
028
アヅモス
山
(
さん
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
029
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
030
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
が
031
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
安
(
やす
)
く
治
(
をさ
)
めむと
032
秘
(
ひ
)
めおかれたる
汝
(
な
)
が
霊
(
みたま
)
033
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむ
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
034
吾
(
わ
)
れも
汝
(
なんぢ
)
が
勇
(
いさ
)
ましく
035
深
(
ふか
)
き
罪
(
つみ
)
をば
赦
(
ゆる
)
されて
036
ここに
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はせる
037
其
(
その
)
光景
(
くわうけい
)
を
打
(
うち
)
ながめ
038
歓喜
(
くわんき
)
の
涙
(
なみだ
)
にたへかねつ
039
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
袖
(
そで
)
絞
(
しぼ
)
る
040
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
041
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
042
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
泥
(
どろ
)
をすすがむと
043
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
ひし
埴安
(
はにやす
)
の
044
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
や
埴安姫
(
はにやすひめ
)
は
045
厳
(
いづ
)
と
瑞
(
みづ
)
との
神柱
(
かむばしら
)
046
経
(
たて
)
と
緯
(
よこ
)
との
経綸
(
けいりん
)
を
047
始
(
はじ
)
め
玉
(
たま
)
ひし
上
(
うへ
)
からは
048
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
049
汝
(
なれ
)
も
今
(
いま
)
より
御心
(
みこころ
)
を
050
清
(
きよ
)
く
正
(
ただ
)
しく
持
(
も
)
ち
玉
(
たま
)
へ
051
元
(
もと
)
つ
御祖
(
みおや
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
052
大神業
(
だいしんげふ
)
に
仕
(
つか
)
へませ
053
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
054
地底
(
ちてい
)
に
潜
(
ひそ
)
み
玉
(
たま
)
ひたる
055
苦心
(
くしん
)
を
察
(
さつ
)
し
奉
(
たてまつ
)
る』
056
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
は
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶり
)
にて
地上
(
ちじやう
)
の
光明
(
くわうみやう
)
に
浴
(
よく
)
し、
057
又
(
また
)
珍
(
めづ
)
らしき
人
(
ひと
)
の
顔
(
かほ
)
や
四辺
(
あたり
)
の
樹木
(
じゆもく
)
の
青々
(
あをあを
)
として
茂
(
しげ
)
り
栄
(
さか
)
ゆる
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
め
歓喜
(
くわんき
)
に
堪
(
た
)
へず、
058
歌
(
うた
)
を
以
(
もつ
)
て
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
答
(
こた
)
へたり。
059
『
吾
(
わ
)
れは
八大
(
はちだい
)
竜王
(
りうわう
)
の
060
司
(
つかさ
)
と
聞
(
きこ
)
えしタクシャカの
061
九頭
(
くづ
)
両舌
(
りやうぜつ
)
の
悪神
(
あくがみ
)
ぞ
062
一度
(
ひとたび
)
眼
(
まなこ
)
を
光
(
ひか
)
らせば
063
万木
(
ばんもく
)
万草
(
ばんさう
)
皆
(
みな
)
萎
(
しぼ
)
み
064
一度
(
ひとたび
)
声
(
こゑ
)
を
発
(
はつ
)
すれば
065
山野
(
さんや
)
河海
(
かかい
)
も
動揺
(
どうえう
)
し
066
さすが
貴
(
たふと
)
き
大神
(
おほかみ
)
も
067
いとど
悩
(
なや
)
ませ
玉
(
たま
)
ひつつ
068
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
のエンゼルと
069
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
ひし
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
070
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
が
天降
(
あまくだ
)
り
071
有無
(
うむ
)
を
言
(
い
)
はせず
言霊
(
ことたま
)
の
072
伊吹
(
いぶき
)
に
吾
(
われ
)
を
霊縛
(
れいばく
)
し
073
アヅモス
山
(
さん
)
の
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
に
074
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
封
(
ふう
)
じ
玉
(
たま
)
ひけり
075
かくなる
上
(
うへ
)
は
吾
(
われ
)
とても
076
いかでか
悪
(
あく
)
を
好
(
この
)
まむや
077
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
078
大御心
(
おほみこころ
)
を
心
(
こころ
)
とし
079
蒼生
(
あをひとぐさ
)
や
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
の
080
片葉
(
かきは
)
の
露
(
つゆ
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
081
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
082
いと
懇
(
ねもごろ
)
に
守
(
まも
)
るべし
083
吾
(
われ
)
の
宝
(
たから
)
と
秘
(
ひ
)
めおきし
084
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
は
伊太彦
(
いたひこ
)
が
085
懐
(
ふところ
)
深
(
ふか
)
く
納
(
をさ
)
めまし
086
今
(
いま
)
や
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あ
)
れましぬ
087
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
が
改心
(
かいしん
)
の
088
至誠
(
しせい
)
を
顕
(
あらは
)
す
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
089
風水
(
ふうすい
)
火災
(
くわさい
)
を
自由
(
じいう
)
にせし
090
此
(
この
)
宝玉
(
はうぎよく
)
を
献
(
たてまつ
)
る
091
何卒
(
なにとぞ
)
受
(
う
)
けさせ
玉
(
たま
)
へかし
092
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
093
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
094
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
破
(
やぶ
)
るとも
095
一旦
(
いつたん
)
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひたる
096
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
は
動
(
うご
)
かまじ
097
諾
(
うべな
)
ひ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
098
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
099
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる』
100
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
世
(
よ
)
を
紊
(
みだ
)
す
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
祖神
(
おやがみ
)
と
101
聞
(
き
)
きたる
竜神
(
かみ
)
は
汝
(
なんぢ
)
なりしか。
102
面白
(
おもしろ
)
し
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
改
(
あらた
)
めて
103
玉
(
たま
)
を
還
(
かへ
)
せし
汝
(
なれ
)
は
神
(
かみ
)
なり。
104
つゆ
雫
(
しづく
)
偽
(
いつは
)
り
持
(
も
)
たぬ
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
105
吾
(
われ
)
も
嬉
(
うれ
)
しく
玉
(
たま
)
を
受
(
う
)
けなむ。
106
伊太彦
(
いたひこ
)
の
教司
(
をしへつかさ
)
は
大神
(
おほかみ
)
の
107
神業
(
みわざ
)
に
清
(
きよ
)
く
仕
(
つか
)
へ
了
(
お
)
へぬる』
108
伊太彦
(
いたひこ
)
『
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
弱
(
よわ
)
く
甲斐
(
かひ
)
なく
力
(
ちから
)
なく
109
神
(
かみ
)
のまにまに
勤
(
つと
)
め
了
(
おほ
)
せし』
110
ワックス『
伊太彦
(
いたひこ
)
の
司
(
つかさ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひて
111
さも
怖
(
おそ
)
ろしき
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
し
哉
(
かな
)
。
112
さり
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
の
喜
(
よろこ
)
び
見
(
み
)
るにつけ
113
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
みぬ』
114
エル『
思
(
おも
)
はざる
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
にさへられて
115
肝
(
きも
)
潰
(
つぶ
)
したる
事
(
こと
)
の
愚
(
おろか
)
さ。
116
さり
乍
(
なが
)
ら
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
117
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かへ
)
りし
事
(
こと
)
ぞ
嬉
(
うれ
)
しき』
118
真純彦
(
ますみひこ
)
『
伊太彦
(
いたひこ
)
は
心
(
こころ
)
おちゐぬ
人
(
ひと
)
とのみ
119
思
(
おも
)
ひし
事
(
こと
)
の
恥
(
はづか
)
しき
哉
(
かな
)
』
120
三千彦
(
みちひこ
)
『
鉋屑
(
かんなくづ
)
も
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふ
時
(
とき
)
のあるものと
121
聞
(
き
)
きし
言葉
(
ことば
)
の
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
されぬ。
122
言霊
(
ことたま
)
の
濁
(
にご
)
る
男
(
をとこ
)
とさげすむな
123
吾
(
われ
)
も
幾度
(
いくたび
)
揶揄
(
からかは
)
れたる
身
(
み
)
よ』
124
伊太彦
(
いたひこ
)
『
惟神
(
かむながら
)
とは
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
妹
(
いも
)
を
連
(
つ
)
れ
125
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
身
(
み
)
を
羨
(
うらや
)
ましく
思
(
おも
)
へば』
126
デビス
姫
(
ひめ
)
『
伊太彦
(
いたひこ
)
の
教司
(
をしへつかさ
)
の
功績
(
いさをし
)
は
127
岩戸
(
いはと
)
開
(
びら
)
きの
業
(
わざ
)
に
優
(
まさ
)
れる』
128
バーチル『
昔
(
むかし
)
より
魔
(
ま
)
の
隠
(
かく
)
れしと
伝
(
つた
)
へたる
129
此
(
この
)
神山
(
かみやま
)
の
岩戸
(
いはと
)
開
(
ひら
)
きぬ』
130
サーベル
姫
(
ひめ
)
『
斯
(
か
)
く
迄
(
まで
)
も
霊
(
みたま
)
の
清
(
きよ
)
き
神
(
かみ
)
ますと
131
吾
(
われ
)
は
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
はざりけり。
132
猩々
(
しやうじやう
)
の
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
に
教
(
をし
)
へられ
133
汝
(
なれ
)
を
迎
(
むか
)
へし
今日
(
けふ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ』
134
タクシャカ『
今
(
いま
)
よりは
猩々翁
(
しやうじやうおきな
)
と
名
(
な
)
をかへて
135
これの
神山
(
みやま
)
に
永
(
なが
)
く
仕
(
つか
)
へむ』
136
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
千代
(
ちよ
)
八千代
(
やちよ
)
万代
(
よろづよ
)
までも
此
(
この
)
宮
(
みや
)
に
137
いと
安
(
やす
)
らけく
仕
(
つか
)
へ
玉
(
たま
)
はれ』
138
チルテル『
訝
(
いぶ
)
かしや
猩々
(
しやうじやう
)
の
彦
(
ひこ
)
や
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
139
猩々翁
(
しやうじやうおきな
)
の
現
(
あら
)
はれむとは。
140
九頭竜
(
くづりう
)
の
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
と
聞
(
き
)
きぬれど
141
汝
(
なれ
)
の
姿
(
すがた
)
は
神
(
かみ
)
にましけり』
142
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
所
(
ところ
)
へ、
143
大地
(
だいち
)
俄
(
にはか
)
に
震動
(
しんどう
)
して、
1431
キヨメの
湖
(
うみ
)
の
波
(
なみ
)
立
(
たち
)
狂
(
くる
)
ひ、
144
湖
(
うみ
)
はパツと
二
(
ふた
)
つに
開
(
ひら
)
いて、
1441
中
(
なか
)
より、
145
さも
怖
(
おそ
)
ろしきサーガラ
竜王
(
りうわう
)
、
146
七八
(
しちはち
)
才
(
さい
)
の
乙女
(
をとめ
)
を
背
(
せ
)
に
乗
(
の
)
せ
乍
(
なが
)
ら、
147
スマの
浜辺
(
はまべ
)
に
浮
(
うか
)
み
出
(
い
)
で、
148
忽
(
たちま
)
ち
老媼
(
おうな
)
の
姿
(
すがた
)
となり、
149
愛
(
あい
)
らしき
幼児
(
えうじ
)
を
抱
(
かか
)
へ、
150
霧
(
きり
)
に
包
(
つつ
)
まれ
乍
(
なが
)
ら、
151
中空
(
ちうくう
)
を
翔
(
かけ
)
つて、
1511
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
が
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
152
サーガラ『
三千年
(
みちとせ
)
の
悩
(
なや
)
み
忍
(
しの
)
びて
目出度
(
めでた
)
くも
153
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
は
世
(
よ
)
に
出
(
い
)
でにけり。
154
此
(
この
)
御子
(
みこ
)
は
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
より
生
(
あ
)
れ
出
(
い
)
でし
155
如意
(
によい
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
化身
(
けしん
)
なりけり』
156
タクシャカ『
恋慕
(
こひした
)
ふ
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
に
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
157
嬉
(
うれ
)
しさ
胸
(
むね
)
に
三千年
(
みちとせ
)
の
今日
(
けふ
)
。
158
玉国
(
たまくに
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
や
諸人
(
もろびと
)
に
159
救
(
すく
)
はれ
神
(
かみ
)
の
許
(
ゆる
)
しうけけり』
160
サーガラ『
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
世
(
よ
)
に
出
(
い
)
でませば
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
161
人
(
ひと
)
の
姿
(
すがた
)
となりて
仕
(
つか
)
へむ。
162
玉国
(
たまくに
)
の
別
(
わけ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
諸人
(
もろびと
)
よ
163
憐
(
あは
)
れみ
玉
(
たま
)
へこれの
夫婦
(
ふうふ
)
を』
164
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
昔
(
むかし
)
より
縁
(
えにし
)
の
深
(
ふか
)
き
夫婦
(
めをと
)
づれ
165
いや
永久
(
とこしへ
)
に
世
(
よ
)
を
守
(
まも
)
りませ』
166
サーガラ
竜王
(
りうわう
)
は、
167
脇
(
わき
)
に
抱
(
かか
)
へし
七八
(
しちはち
)
才
(
さい
)
許
(
ばか
)
りの
乙女
(
をとめ
)
を
地
(
ち
)
に
下
(
おろ
)
し、
168
夫婦
(
ふうふ
)
が
互
(
たが
)
ひに
水火
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
きかけた。
169
忽
(
たちま
)
ち
乙女
(
をとめ
)
は
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
と
変
(
へん
)
じた。
170
サーガラ
竜王
(
りうわう
)
は
押
(
おし
)
戴
(
いただ
)
き、
171
サーガラ『
此
(
この
)
玉
(
たま
)
は
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
抱
(
いだ
)
きてし
172
如意
(
によい
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
よ
君
(
きみ
)
に
捧
(
ささ
)
げむ』
173
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
玉国別
(
たまくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
と
名
(
な
)
を
負
(
お
)
ひし
174
吾
(
われ
)
は
二
(
ふた
)
つの
玉
(
たま
)
を
得
(
え
)
にけり。
175
此
(
この
)
宝
(
たから
)
二
(
ふた
)
つ
揃
(
そろ
)
うて
手
(
て
)
に
入
(
い
)
らば
176
いかで
恐
(
おそ
)
れむ
大黒主
(
おほくろぬし
)
を』
177
真純彦
(
ますみひこ
)
『
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
御名
(
みな
)
は
今
(
いま
)
こそ
知
(
し
)
られけり
178
玉守別
(
たまもりわけ
)
と
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しませ』
179
三千彦
(
みちひこ
)
『
玉守別
(
たまもりわけ
)
ならで
玉取別
(
たまとりわけ
)
神
(
がみ
)
と
180
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しませ
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
よ』
181
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
国魂
(
くにたま
)
を
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
に
受
(
う
)
けし
身
(
み
)
は
182
玉国別
(
たまくにわけ
)
と
名乗
(
なの
)
るこそよき』
183
伊太彦
(
いたひこ
)
『
肝腎
(
かんじん
)
の
玉
(
たま
)
は
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
物
(
もの
)
となり
184
指
(
ゆび
)
かみ
切
(
き
)
つて
伊太彦
(
いたひこ
)
の
吾
(
われ
)
』
185
デビス
姫
(
ひめ
)
『
汝
(
なれ
)
はなぜ
玉取別
(
たまとりわけ
)
と
名乗
(
なの
)
らざる
186
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
の
名
(
な
)
こそ
悪
(
あ
)
しけれ』
187
伊太彦
(
いたひこ
)
『
今
(
いま
)
となり
名
(
な
)
を
宣直
(
のりなほ
)
す
術
(
すべ
)
もなし
188
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
称
(
とな
)
へなりせば』
189
真純彦
(
ますみひこ
)
『
因縁
(
いんねん
)
の
霊々
(
みたまみたま
)
の
御用
(
ごよう
)
をば
190
させると
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
なりけり。
191
言霊
(
ことたま
)
の
真純
(
ますみ
)
の
彦
(
ひこ
)
の
名
(
な
)
を
負
(
お
)
ふも
192
魂
(
たま
)
の
濁
(
にご
)
らばいかにとやせむ。
193
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
心
(
こころ
)
の
魂
(
たま
)
を
研
(
みが
)
き
上
(
あ
)
げ
194
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
にあやかりて
見
(
み
)
む』
195
これよりタクシャカ
竜王
(
りうわう
)
は、
196
人体
(
じんたい
)
に
変化
(
へんげ
)
し、
197
猩々翁
(
しやうじやうおきな
)
となり、
198
サーガラ
竜王
(
りうわう
)
は
猩々媼
(
しやうじやうおうな
)
となり、
199
珍
(
めづら
)
しき
果物
(
くだもの
)
の
酒
(
さけ
)
を
作
(
つく
)
り、
200
朝夕
(
あさゆふ
)
神前
(
しんぜん
)
に
献
(
けん
)
じて、
2001
神慮
(
しんりよ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め、
201
自分
(
じぶん
)
の
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
する
事
(
こと
)
となつた。
202
バーチル
夫婦
(
ふうふ
)
は
二
(
ふた
)
つの
宮
(
みや
)
の
宮司
(
ぐうじ
)
として、
2021
永久
(
えいきう
)
に
仕
(
つか
)
へ、
203
子孫
(
しそん
)
繁栄
(
はんゑい
)
し、
204
神
(
かみ
)
の
柱
(
はしら
)
と
世
(
よ
)
に
敬
(
うやま
)
はれた。
205
又
(
また
)
バラモンのチルテル
夫婦
(
ふうふ
)
はバーチルの
館
(
やかた
)
の
一隅
(
いちぐう
)
に
居
(
きよ
)
を
構
(
かま
)
へ、
206
スマの
里
(
さと
)
の
里庄
(
りしやう
)
となり
207
厚
(
あつ
)
く
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へて、
2071
村民
(
そんみん
)
を
愛撫
(
あいぶ
)
し、
208
部下
(
ぶか
)
はカンナ、
209
ヘールを
家僕
(
いへのこ
)
とし、
210
其
(
その
)
他
(
た
)
は
何
(
いづ
)
れも
里人
(
さとびと
)
の
列
(
れつ
)
に
加
(
くは
)
へ、
211
美
(
うる
)
はしく
新
(
あたら
)
しき
村
(
むら
)
を
造
(
つく
)
つて、
212
余生
(
よせい
)
を
楽
(
たの
)
しく
送
(
おく
)
り、
213
其
(
その
)
霊
(
みたま
)
は
天国
(
てんごく
)
に
至
(
いた
)
つて、
214
天人
(
てんにん
)
の
列
(
れつ
)
に
加
(
くは
)
はり、
215
アヅモス
山
(
さん
)
の
聖地
(
せいち
)
を
守
(
まも
)
る
事
(
こと
)
となつた。
216
(
大正一二・四・七
旧二・二二
於皆生温泉浜屋
松村真澄
録)
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