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第15巻(寅の巻)
序
凡例
総説歌
第1篇 正邪奮戦
01 破羅門
〔568〕
02 途上の変
〔569〕
03 十六花
〔570〕
04 神の栄光
〔571〕
05 五天狗
〔572〕
06 北山川
〔573〕
07 釣瓶攻
〔574〕
08 ウラナイ教
〔575〕
09 薯蕷汁
〔576〕
10 神楽舞
〔577〕
第2篇 古事記言霊解
11 大蛇退治の段
〔578〕
第3篇 神山霊水
12 一人旅
〔579〕
13 神女出現
〔580〕
14 奇の岩窟
〔581〕
15 山の神
〔582〕
16 水上の影
〔583〕
17 窟の酒宴
〔584〕
18 婆々勇
〔585〕
第4篇 神行霊歩
19 第一天国
〔586〕
20 五十世紀
〔587〕
21 帰顕
〔588〕
22 和と戦
〔589〕
23 八日の月
〔590〕
跋文
余白歌
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第六章
北山川
(
きたやまがは
)
〔五七三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
篇:
第1篇 正邪奮戦
よみ(新仮名遣い):
せいじゃふんせん
章:
第6章 北山川
よみ(新仮名遣い):
きたやまがわ
通し章番号:
573
口述日:
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
川のほとりで目が覚めた五人は、まだ幽界にいるのではないかといぶかる。百舌彦は、幽界の木の実には苦味があるはずだと言って、木に登って木の実を食べ出した。
百舌彦は田加彦をからかい、怒った田加彦は百舌彦に石を投げつけて、木から落としてしまう。一同の祝詞によって気がついた百舌彦は、象のような化け物に変身して、田加彦を木の上に置き去りにする。
木から下りてきた田加彦は、またしても百舌彦と喧嘩を始め、追いかけ合いながら走って行ってしまう。安彦、国彦、道彦らは二人を追って走り出す。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-16 01:28:21
OBC :
rm1506
愛善世界社版:
71頁
八幡書店版:
第3輯 306頁
修補版:
校定版:
71頁
普及版:
32頁
初版:
ページ備考:
001
誠
(
まこと
)
を
教
(
をし
)
ふる
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
002
広道別
(
ひろみちわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
003
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
に
従
(
したが
)
ひて
004
ハムの
一族
(
いちぞく
)
婆羅門
(
ばらもん
)
の
005
教
(
をしへ
)
を
築
(
きづ
)
き
立
(
た
)
て
籠
(
こも
)
る
006
顕恩城
(
けんおんじやう
)
に
向
(
むか
)
はむと
007
エデンの
河
(
かは
)
の
渡
(
わた
)
し
場
(
ば
)
に
008
来
(
きた
)
る
折
(
をり
)
しも
枉神
(
まがかみ
)
の
009
篠
(
しの
)
つく
征矢
(
そや
)
に
悩
(
なや
)
まされ
010
或
(
あるひ
)
は
倒
(
たふ
)
れ
又
(
また
)
溺
(
おぼ
)
れ
011
木葉
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
に
船
(
ふね
)
は
割
(
わ
)
れ
012
一同
(
いちどう
)
エデンの
河底
(
かはぞこ
)
に
013
沈
(
しづ
)
みつ
浮
(
う
)
きつ
河下
(
かはしも
)
の
014
巌
(
いはほ
)
の
間
(
あひだ
)
に
挟
(
はさ
)
まれて
015
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
縡
(
ことぎ
)
れし
016
其
(
その
)
折柄
(
をりから
)
に
何処
(
どこ
)
よりか
017
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
えきて
018
救
(
すく
)
ひの
網
(
あみ
)
を
下
(
おろ
)
しつつ
019
妙音
(
めうおん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
の
御守
(
みまも
)
りに
020
生命
(
いのち
)
拾
(
ひろ
)
ひし
五人
(
ごにん
)
連
(
づ
)
れ
021
忽
(
たちま
)
ち
来
(
きた
)
るコーカス
山
(
ざん
)
の
022
神
(
かみ
)
の
使
(
つか
)
ひの
鷹津
(
たかつ
)
神
(
かみ
)
023
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へ
中空
(
ちうくう
)
を
024
東
(
ひがし
)
を
指
(
さ
)
して
翔
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く
025
安彦
(
やすひこ
)
、
国彦
(
くにひこ
)
、
道彦
(
みちひこ
)
や
026
百舌彦
(
もずひこ
)
田加彦
(
たかひこ
)
五人
(
ごにん
)
連
(
づ
)
れ
027
神
(
かみ
)
に
救
(
すく
)
はれ
北山
(
きたやま
)
の
028
千尋
(
ちひろ
)
の
谷間
(
たにま
)
の
砂原
(
すなはら
)
に
029
投
(
な
)
げ
下
(
おろ
)
されて
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし
030
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
に
向
(
むか
)
ひたる
031
夢
(
ゆめ
)
の
思
(
おも
)
ひ
出
(
で
)
恐
(
おそ
)
ろしく
032
身慄
(
みぶる
)
ひし
乍
(
なが
)
ら
起上
(
おきあが
)
り
033
四方
(
よも
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
むれば
034
此
(
こ
)
はそも
如何
(
いか
)
に
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に
035
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
とに
包
(
つつ
)
まれし
036
細谷川
(
ほそたにがは
)
の
川
(
かは
)
の
辺
(
べ
)
に
037
枕
(
まくら
)
を
並
(
なら
)
べて
睡
(
ねむ
)
るこそ
038
実
(
げ
)
に
訝
(
いぶ
)
かしの
限
(
かぎ
)
りなり
039
実
(
げ
)
にも
不思議
(
ふしぎ
)
の
極
(
きは
)
みなり。
040
国彦
(
くにひこ
)
『アーア
恐
(
おそ
)
ろしい
事
(
こと
)
だつた。
041
胆玉
(
きもたま
)
がすつての
事
(
こと
)
で
洋行
(
やうかう
)
する
処
(
ところ
)
だつたよ。
042
マアマア
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
様
(
さま
)
で
何
(
ど
)
うやら
無事
(
ぶじ
)
着陸
(
ちやくりく
)
した
様
(
やう
)
な
塩梅
(
あんばい
)
だ。
043
能
(
よ
)
う
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
があればあるもの、
044
エデンの
河
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
に
肝腎
(
かんじん
)
のスクリウを
押
(
お
)
し
流
(
なが
)
し、
045
乗
(
の
)
つたる
船
(
ふね
)
は
波
(
なみ
)
にまかせ、
046
生
(
いき
)
た
心地
(
ここち
)
も
無
(
な
)
く
生命
(
いのち
)
からがら
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する
間
(
ま
)
もなく、
047
無残
(
むざん
)
や
吾船
(
わがふね
)
は
激流
(
げきりう
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
てる
大岩石
(
だいがんせき
)
に
向
(
むか
)
つて
大衝突
(
だいしようとつ
)
を
試
(
こころ
)
み
脆
(
もろ
)
くも
木
(
こ
)
つ
葉
(
ぱ
)
微塵
(
みじん
)
の
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
ひ、
048
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
始
(
はじ
)
め
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
は
水
(
みづ
)
の
藻屑
(
もくづ
)
となつたと
思
(
おも
)
へば
際涯
(
はてし
)
もなき
草野
(
くさの
)
の
原
(
はら
)
を
五人
(
ごにん
)
連
(
づ
)
れ、
049
テクテク
彷徨
(
さまよ
)
ひつつ
濁流
(
だくりう
)
漲
(
みなぎ
)
る
辺
(
ほとり
)
にやつと
到着
(
たうちやく
)
し、
050
怪
(
あや
)
しき
婆
(
ばば
)
の
妙
(
めう
)
な
器械
(
きかい
)
に
操
(
あやつ
)
られ、
051
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
如
(
ごと
)
く
天上
(
てんじやう
)
高
(
たか
)
く
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げられ、
052
生命
(
いのち
)
も
今
(
いま
)
や
絶
(
た
)
えむとする
折
(
をり
)
しも
大空
(
たいくう
)
に
轟
(
とどろ
)
く
雷
(
いかづち
)
の
声
(
こゑ
)
、
053
稲妻
(
いなづま
)
の
光
(
ひかり
)
に
打
(
う
)
たれて
地上
(
ちじやう
)
に
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
墜落
(
つゐらく
)
し、
054
骨
(
ほね
)
も
身
(
み
)
も
木
(
こ
)
つ
葉
(
ぱ
)
微塵
(
みじん
)
になつたかと
思
(
おも
)
ひきや、
055
不思議
(
ふしぎ
)
にも
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
かつたは
全
(
まつた
)
く
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
だ。
056
何
(
なに
)
しても
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
だ、
057
吾々
(
われわれ
)
は
飽迄
(
あくまで
)
も
生命
(
いのち
)
のつづく
限
(
かぎ
)
りお
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
に
驀進
(
ばくしん
)
せなくてはならないなア』
058
安彦
(
やすひこ
)
『
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
吾々
(
われわれ
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
、
059
夢
(
ゆめ
)
に
夢見
(
ゆめみ
)
る
心地
(
ここち
)
がして
現界
(
げんかい
)
に
居
(
を
)
るのか、
060
幽界
(
いうかい
)
に
居
(
を
)
るのかまだ
判然
(
はつきり
)
と
確信
(
かくしん
)
がつかぬ
哩
(
わい
)
、
061
ヤイ
道彦
(
みちひこ
)
サン、
062
お
前
(
まへ
)
は
如何
(
どう
)
思
(
おも
)
ふか、
063
矢張
(
やつぱり
)
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をやつて
居
(
を
)
るのではあるまいかなア』
064
道彦
(
みちひこ
)
『サア
斯
(
こ
)
うなつて
来
(
き
)
ては
薩張
(
さつぱ
)
り
見当
(
けんたう
)
が
付
(
つ
)
かない。
065
現幽
(
げんいう
)
混淆
(
こんかう
)
、
066
判然
(
はんぜん
)
と
区劃
(
くくわく
)
がついてゐないのだからお
前
(
まへ
)
の
考
(
かんが
)
へも
決
(
けつ
)
して
馬鹿
(
ばか
)
げた
事
(
こと
)
とは
断定
(
だんてい
)
出来
(
でき
)
ないなア』
067
百舌彦
(
もずひこ
)
『モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
068
彼処
(
あすこ
)
に
生
(
な
)
つて
居
(
を
)
る
香具
(
かぐ
)
の
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
一
(
ひと
)
つ
採
(
と
)
つて
食
(
く
)
つて
見
(
み
)
ませう。
069
幽界
(
いうかい
)
の
果実
(
このみ
)
は
総
(
すべ
)
て
苦味
(
にがみ
)
があると
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
ですから、
070
若
(
も
)
しも
苦
(
にが
)
かつたら
矢張
(
やつぱ
)
り
幽界
(
いうかい
)
でせうし、
071
酢
(
す
)
つぱかつたら
矢張
(
やつぱ
)
り
現界
(
げんかい
)
でせう。
072
私
(
わたくし
)
が
一
(
ひと
)
つ
木登
(
きのぼ
)
りをして
採
(
と
)
つて
来
(
き
)
ませうか』
073
国彦
(
くにひこ
)
『それは
良
(
い
)
い
考
(
かんが
)
へだ、
074
早
(
はや
)
く
登
(
のぼ
)
つて
採
(
と
)
つて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れ。
075
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
大木
(
たいぼく
)
だ。
076
枝
(
えだ
)
も
高
(
たか
)
いなり
用心
(
ようじん
)
して
登
(
のぼ
)
らないと、
077
今
(
いま
)
の
夢
(
ゆめ
)
の
様
(
やう
)
に
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
を
演
(
えん
)
じて
樹下
(
じゆか
)
の
岩石
(
がんせき
)
に
頭蓋骨
(
づがいこつ
)
を
衝突
(
しようとつ
)
させ、
078
又
(
また
)
もや
幽界
(
いうかい
)
の
行脚
(
あんぎや
)
をする
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
ではつまらないから
十分
(
じふぶん
)
に
気
(
き
)
をつけて
呉
(
く
)
れ
給
(
たま
)
へ』
079
百舌彦
(
もずひこ
)
『
私
(
わたくし
)
は
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
に
於
(
おい
)
ても
猿
(
さる
)
の
百舌公
(
もずこう
)
と
言
(
い
)
はれた
位
(
くらゐ
)
木登
(
きのぼ
)
りの
名人
(
めいじん
)
ですから、
080
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
はして
下
(
くだ
)
さいますな』
081
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
猿
(
さる
)
の
如
(
ごと
)
くに
大木
(
たいぼく
)
の
枝
(
えだ
)
高
(
たか
)
く
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
082
田加彦
(
たかひこ
)
は
樹下
(
じゆか
)
に
立寄
(
たちよ
)
り、
083
田加彦
『オーイ、
084
百舌彦
(
もずひこ
)
、
085
どうだ。
086
酸
(
す
)
つぱいか、
087
苦
(
にが
)
いか、
088
甘
(
あま
)
いか、
089
どちらだ』
090
百舌彦
(
もずひこ
)
は
むし
つて
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
き、
091
グツと
頬張
(
ほほば
)
り
又
(
また
)
むし
つては
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
き、
092
咽喉
(
のど
)
をならせ
乍
(
なが
)
ら
眼
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
くして
肩
(
かた
)
をすくめて
食
(
く
)
つて
居
(
を
)
る。
093
さうして
皮
(
かは
)
を
掴
(
つか
)
んでは、
094
樹下
(
じゆか
)
に
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けてポカンとして
見上
(
みあ
)
げてゐる
田加彦
(
たかひこ
)
の
顔
(
かほ
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
打
(
う
)
ちつける。
095
田加彦
(
たかひこ
)
『オーイ、
096
百舌公
(
もずこう
)
、
097
どうだ、
098
味
(
あぢ
)
は、
099
……
早
(
はや
)
く
返答
(
へんたふ
)
せぬかい』
100
百舌彦
(
もずひこ
)
『
八釜
(
やかま
)
しい
哩
(
わい
)
、
101
二十
(
にじふ
)
や
三十
(
さんじふ
)
食
(
く
)
つたつて
味
(
あぢ
)
が
分
(
わか
)
るかい。
102
酸
(
す
)
いか、
103
甘
(
あま
)
いか、
104
苦
(
にが
)
いか、
105
三
(
み
)
つの
中
(
うち
)
だ。
106
坂
(
さか
)
の
下
(
した
)
の
子供
(
こども
)
ぢやないが、
107
お
上
(
あが
)
り
遊
(
あそ
)
ばすのを
悠然
(
ゆつくり
)
と
見
(
み
)
て
御座
(
ござ
)
れ。
108
アヽ
酸
(
す
)
い
事
(
こと
)
も
無
(
な
)
い、
109
甘
(
あま
)
い
事
(
こと
)
もない、
110
苦
(
にが
)
い
事
(
こと
)
もない
哩
(
わい
)
。
111
何
(
なん
)
だか
言
(
い
)
ふに
言
(
い
)
はれぬ
味
(
あぢ
)
がする、
112
アヽ
生
(
いき
)
とればこそコンナ
美味
(
おい
)
しい
物
(
もの
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
頂
(
いただ
)
けるのだ。
113
オイ
田加公
(
たかこう
)
、
114
貴様
(
きさま
)
も
一
(
ひと
)
つ
登
(
のぼ
)
つて
食
(
く
)
つたら
如何
(
どう
)
だ』
115
田加彦
(
たかひこ
)
『
俺
(
おれ
)
は
貴様
(
きさま
)
の
知
(
し
)
る
如
(
ごと
)
く
身
(
み
)
が
重
(
おも
)
くつて
木登
(
きのぼ
)
りは
出来
(
でき
)
ないのだ。
116
屋根
(
やね
)
葺
(
ふ
)
きの
手伝
(
てつだひ
)
と
木登
(
きのぼ
)
りする
奴
(
やつ
)
は
馬鹿
(
ばか
)
の
中
(
なか
)
の
大関
(
おほぜき
)
と
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
117
オイ
馬鹿
(
ばか
)
の
大関
(
おほぜき
)
、
118
一
(
ひと
)
つ
美味相
(
うまさう
)
な
奴
(
やつ
)
を
落
(
おと
)
さぬかい』
119
百舌彦
(
もずひこ
)
『
仲々
(
なかなか
)
一寸
(
ちよつと
)
落
(
おと
)
さぬ
哩
(
わい
)
、
120
落
(
おと
)
したら
最後
(
さいご
)
、
121
貴様
(
きさま
)
が
皆
(
みな
)
拾
(
ひろ
)
つて
食
(
く
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふから
落
(
おと
)
し
損
(
ぞん
)
だ。
122
それ
程
(
ほど
)
欲
(
ほ
)
しけりや
猿蟹
(
さるかに
)
合戦
(
がつせん
)
ぢやないが、
123
瘡蓋
(
かさぶた
)
のカンカンの
石
(
いし
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
を
落
(
おと
)
して
与
(
や
)
らうか』
124
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
田加彦
(
たかひこ
)
の
頭
(
かしら
)
を
目蒐
(
めが
)
けてピシヤツと
打
(
う
)
ちつける。
125
田加彦
(
たかひこ
)
は
烈火
(
れつくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
憤
(
いきどほ
)
り
手頃
(
てごろ
)
の
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
つて
樹上
(
じゆじやう
)
目蒐
(
めが
)
けて
速射砲
(
そくしやはう
)
的
(
てき
)
に
打
(
う
)
ちつける。
126
百舌彦
(
もずひこ
)
は
青
(
あを
)
き
果実
(
このみ
)
を
むし
つて
田加彦
(
たかひこ
)
目蒐
(
めが
)
けて
打
(
う
)
ちつける、
127
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
一場
(
いちぢやう
)
の
戦闘
(
せんとう
)
は
開始
(
かいし
)
された。
128
百舌彦
(
もずひこ
)
は
飛
(
と
)
び
来
(
く
)
る
石
(
いし
)
を
右
(
みぎ
)
に
賺
(
す
)
かし
左
(
ひだり
)
に
賺
(
す
)
かし、
129
樹上
(
じゆじやう
)
を
猿
(
ましら
)
の
如
(
ごと
)
く
駆廻
(
かけまは
)
り
足
(
あし
)
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
しスツテンドウ…………、
130
田加彦
(
たかひこ
)
が
頭
(
かしら
)
の
上
(
うへ
)
に
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
唸
(
うな
)
りを
立
(
た
)
てて
落下
(
らくか
)
した。
131
田加彦
(
たかひこ
)
はヤツと
一声
(
いつせい
)
、
132
体
(
たい
)
を
躱
(
かは
)
した
途端
(
とたん
)
に
蛙
(
かへる
)
をぶつつけた
様
(
やう
)
に
百舌彦
(
もずひこ
)
は
大地
(
だいち
)
に
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
になつてウンと
一声
(
ひとこゑ
)
、
133
手足
(
てあし
)
を
伸
(
の
)
ばしビリビリビリ、
134
眼
(
め
)
の
玉
(
たま
)
はくるくるくる、
135
一言
(
ひとこと
)
も
発
(
はつ
)
せず、
136
フンのびて
仕舞
(
しま
)
つた。
137
安彦
(
やすひこ
)
『ヤア
大変
(
たいへん
)
だ、
138
酸
(
す
)
いとも
苦
(
にが
)
いとも
判断
(
はんだん
)
のつかぬ
中
(
うち
)
に
落命
(
らくめい
)
されては
吾々
(
われわれ
)
も
益々
(
ますます
)
方向
(
はうかう
)
に
苦
(
くる
)
しむ
訳
(
わけ
)
だ。
139
何
(
なん
)
とかして
甦
(
よみがへ
)
らせ
確
(
たしか
)
な
答
(
こたへ
)
を
聞
(
き
)
き
度
(
た
)
いものだ。
140
オイ
田加彦
(
たかひこ
)
、
141
百舌彦
(
もずひこ
)
は
貴様
(
きさま
)
が
殺
(
ころ
)
した
様
(
やう
)
なものだ、
142
此
(
この
)
責任
(
せきにん
)
は
貴様
(
きさま
)
にあるぞ。
143
何
(
なん
)
とか
工夫
(
くふう
)
を
致
(
いた
)
さぬかい』
144
田加彦
(
たかひこ
)
『
鷹
(
たか
)
も
百舌
(
もず
)
も
一所
(
いつしよ
)
には
寄
(
よ
)
せぬぞよと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
ります。
145
私
(
わたくし
)
は
田加彦
(
たかひこ
)
、
146
到底
(
たうてい
)
百舌
(
もず
)
の
世話
(
せわ
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ』
147
安彦
(
やすひこ
)
『
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
言
(
い
)
つてるのだ、
148
早
(
はや
)
く
水
(
みづ
)
でも
呑
(
の
)
まして
与
(
や
)
れ、
149
死
(
し
)
んだら
如何
(
どう
)
致
(
いた
)
すか』
150
田加彦
(
たかひこ
)
『
一旦
(
いつたん
)
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
は
死
(
し
)
んだのですから
滅多
(
めつた
)
に
死
(
し
)
ぬ
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
はありますまい。
151
死
(
し
)
んだ
奴
(
やつ
)
の
昼寝
(
ひるね
)
でせう、
152
マア
悠然
(
ゆつくり
)
目
(
め
)
の
醒
(
さ
)
める
処
(
ところ
)
まで
放
(
ほ
)
つといたら
如何
(
どう
)
でせうか。
153
大分
(
だいぶん
)
に
百舌公
(
もずこう
)
も
空中
(
くうちう
)
飛行
(
ひかう
)
の
疲労
(
くたびれ
)
が
出
(
で
)
て
居
(
を
)
るから、
154
マアマア
大目
(
おほめ
)
に
見
(
み
)
てやつて
下
(
くだ
)
さいな』
155
道彦
(
みちひこ
)
『ヤア
国彦
(
くにひこ
)
サン、
156
安彦
(
やすひこ
)
サン、
157
どうも
吾々
(
われわれ
)
は
未
(
ま
)
だ
現界
(
げんかい
)
の
人間
(
にんげん
)
らしい、
158
百舌公
(
もずこう
)
を
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にして
置
(
お
)
けば
本当
(
ほんたう
)
に
死
(
し
)
んで
仕舞
(
しま
)
ひます。
159
何卒
(
どうか
)
一同
(
いちどう
)
揃
(
そろ
)
うて
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
してやつて
下
(
くだ
)
さいな』
160
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
異口
(
いく
)
同音
(
どうおん
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
始
(
はじ
)
めた。
161
百舌彦
(
もずひこ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
身体
(
しんたい
)
振動
(
しんどう
)
し、
162
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて、
163
百舌彦
『アヽヽ』
164
と
声
(
こゑ
)
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ、
165
中風
(
ちうぶう
)
病
(
や
)
みの
様
(
やう
)
に
涎
(
よだれ
)
をダラダラ
流
(
なが
)
しかけムクムクと
身体
(
からだ
)
を
動
(
うご
)
かし
始
(
はじ
)
めた。
166
安彦
(
やすひこ
)
『ヤアヤアもう
此方
(
こつち
)
の
者
(
もの
)
だ、
167
生命
(
いのち
)
丈
(
だけ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ』
168
百舌彦
(
もずひこ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
四
(
よ
)
つ
這
(
ば
)
ひになり、
169
ヒン ヒン ヒンと
馬
(
うま
)
の
様
(
やう
)
な
嘶
(
いなな
)
きを
連発
(
れんぱつ
)
し
乍
(
なが
)
ら
足
(
あし
)
を
以
(
もつ
)
て
河砂
(
かはすな
)
を
足掻
(
あしがき
)
し、
170
ムクムクと
這
(
は
)
ひ
出
(
だ
)
した。
171
田加彦
(
たかひこ
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
一旦
(
いつたん
)
死
(
し
)
によつて
馬
(
うま
)
に
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
よつたナ。
172
大善
(
だいぜん
)
大悪
(
だいあく
)
に
中有
(
ちうう
)
は
無
(
な
)
いと
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だが
如何
(
いか
)
にも
此奴
(
こいつ
)
は
常
(
つね
)
から
大悪人
(
だいあくにん
)
だつた。
173
中有
(
ちうう
)
なしに
忽
(
たちま
)
ち
畜生道
(
ちくしやうだう
)
へ
早変
(
はやがは
)
り、
174
否
(
いな
)
生
(
うま
)
れ
代
(
かは
)
り、
175
俺
(
おれ
)
も
今迄
(
いままで
)
永
(
なが
)
らく
交際
(
つきあ
)
つた
誼
(
よしみ
)
で
此奴
(
こいつ
)
の
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
つて
与
(
や
)
れば
因業
(
いんごう
)
が
満
(
み
)
ちて
再
(
ふたた
)
び
人間
(
にんげん
)
に
生
(
うま
)
れて
来
(
く
)
るだらう。
176
サア
百舌彦
(
もずひこ
)
の
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
、
177
貴様
(
きさま
)
は
余
(
よ
)
つ
程
(
ぽど
)
幸福者
(
しあわせもの
)
だ。
178
労役
(
らうえき
)
に
服
(
ふく
)
する
畜生
(
ちくしやう
)
も
沢山
(
たくさん
)
あるのに、
179
勿体
(
もつたい
)
なくも
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
御
(
おん
)
供
(
とも
)
、
180
田加彦
(
たかひこ
)
サンを
乗
(
の
)
せて
歩
(
ある
)
くとは
何
(
なん
)
たる
幸福者
(
しあわせもの
)
ぞ、
181
サア
駆出
(
かけだ
)
せ
駆出
(
かけだ
)
せ』
182
百舌彦
(
もずひこ
)
『ヒンヒンヒン』
183
田加彦
(
たかひこ
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
本式
(
ほんしき
)
だ、
184
馬
(
うま
)
にしては
少
(
すこ
)
し
背
(
せ
)
が
低
(
ひく
)
いから
乗
(
の
)
り
心地
(
ここち
)
が
悪
(
わる
)
い。
185
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
資金
(
もとで
)
要
(
い
)
らずの
小馬
(
こうま
)
だから
辛抱
(
しんばう
)
するかい』
186
と
云
(
い
)
ひつつ
百舌彦
(
もずひこ
)
の
背
(
せ
)
に
跨
(
またが
)
つたまま、
187
有
(
あ
)
りあふ
木片
(
きぎれ
)
を
以
(
もつ
)
て
鞭
(
むち
)
に
代
(
か
)
へ
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
鞭
(
むちう
)
つた。
188
忽
(
たちま
)
ち
百舌彦
(
もずひこ
)
は
身体
(
しんたい
)
膨張
(
ばうちよう
)
し、
189
象
(
ざう
)
の
如
(
ごと
)
き
巨大
(
きよだい
)
なる
人面
(
じんめん
)
獣体
(
じうたい
)
の
怪
(
あや
)
しき
獣
(
けだもの
)
となつて
仕舞
(
しま
)
つた。
190
田加彦
(
たかひこ
)
『ヤア
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
191
御覧
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
り
顔
(
かほ
)
は
人間
(
にんげん
)
、
192
胴体
(
どうたい
)
は
象
(
ざう
)
の
様
(
やう
)
な
大
(
おほ
)
きな
脚
(
あし
)
の
太
(
ふと
)
い
馬
(
うま
)
が
出来
(
でき
)
ました、
193
皆
(
みな
)
サン
御
(
ご
)
一緒
(
いつしよ
)
にお
乗
(
の
)
りになつては
如何
(
いかが
)
ですか。
194
昔
(
むかし
)
エデンの
園
(
その
)
で
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
造物主
(
つくりぬし
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
がアダムとエバとの
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
にこの
果物
(
このみ
)
を
食
(
く
)
ふなと
警
(
いまし
)
められた。
195
それも
聞
(
き
)
かずにエバの
奴
(
やつ
)
、
196
餓虎
(
がこ
)
の
勢
(
いきほひ
)
でムシヤムシヤと
採
(
と
)
つて
食
(
く
)
ひ、
197
ハズバンドのアダムに
迄
(
まで
)
勧
(
すす
)
め
食
(
くら
)
はして
遂
(
つひ
)
に
神罰
(
しんばつ
)
に
触
(
ふ
)
れ、
198
其
(
その
)
邪気
(
じやき
)
は
凝
(
こ
)
つて
八頭
(
やつがしら
)
八尾
(
やつを
)
の
大蛇
(
をろち
)
となり、
199
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
となり
天下
(
てんか
)
に
横行
(
わうかう
)
する
様
(
やう
)
になつたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
200
罰
(
ばつ
)
は
覿面
(
てきめん
)
、
201
百舌公
(
もずこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
202
此
(
この
)
結構
(
けつこう
)
な
果実
(
このみ
)
を
唯一人
(
ただひとり
)
吾物顔
(
わがものがほ
)
に
人
(
ひと
)
にも
呉
(
く
)
れず
食
(
くら
)
つた
酬
(
むく
)
い、
203
樹上
(
じゆじやう
)
より
顛落
(
てんらく
)
して
生命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
204
忽
(
たちま
)
ち
畜生道
(
ちくしやうだう
)
に
陥
(
おちい
)
りコンナ
怪体
(
けたい
)
な
人獣
(
にんじう
)
となつて
仕舞
(
しま
)
つた。
205
皆
(
みな
)
サン、
206
袖
(
そで
)
振
(
ふ
)
り
合
(
あ
)
ふも
他生
(
たしやう
)
の
縁
(
えん
)
だ、
207
此奴
(
こいつ
)
の
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしの
為
(
た
)
めに
乗
(
の
)
つてやつて
下
(
くだ
)
さいな』
208
百舌彦
(
もずひこ
)
の
身体
(
からだ
)
は
忽
(
たちま
)
ちウ、
209
ウ、
210
ウと
唸
(
うな
)
り
始
(
はじ
)
めた。
211
田加彦
(
たかひこ
)
『エー
静
(
しづ
)
かにせぬかい、
212
あまり
唸
(
うな
)
りよるので
貴様
(
きさま
)
の
身体中
(
からだぢう
)
がビリビリ
震
(
ふる
)
うて、
213
俺
(
おれ
)
の
尻
(
しり
)
まで
擽
(
こそば
)
ゆくなつて
来
(
き
)
た。
214
八釜
(
やかま
)
しう
吐
(
ぬか
)
すと
尻
(
しり
)
を
叩
(
たた
)
くぞ』
215
と
木片
(
きぎれ
)
を
以
(
もつ
)
てピシヤリピシヤリと
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
く。
216
人象
(
にんざう
)
は
上下
(
じやうげ
)
に
運動
(
うんどう
)
を
始
(
はじ
)
めた。
217
初
(
はじ
)
めの
間
(
あひだ
)
は
四五
(
しご
)
尺
(
しやく
)
の
間
(
あひだ
)
を
上下
(
じやうげ
)
しつつあつたが
遂
(
つひ
)
には
七八間
(
しちはつけん
)
の
中空
(
ちうくう
)
を
昇降
(
しやうかう
)
し、
218
上下
(
じやうげ
)
左右
(
さいう
)
に
躍
(
をど
)
り
始
(
はじ
)
めた。
219
其
(
その
)
震動
(
しんどう
)
に
跳飛
(
はねと
)
ばされて
田加彦
(
たかひこ
)
は
以前
(
いぜん
)
の
香具
(
かぐ
)
の
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
噬
(
しが
)
み
付
(
つ
)
き
顛落
(
てんらく
)
を
免
(
まぬが
)
れた。
220
人象
(
にんざう
)
の
姿
(
すがた
)
は
忽
(
たちま
)
ち
容積
(
ようせき
)
を
減
(
げん
)
じ
以前
(
いぜん
)
の
百舌彦
(
もずひこ
)
の
姿
(
すがた
)
に
還元
(
くわんげん
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
221
百舌彦
(
もずひこ
)
『アハヽヽヽ、
222
オイ
田加彦
(
たかひこ
)
、
223
どうだ、
224
酸
(
す
)
いか、
225
甘
(
あま
)
いか、
226
苦
(
にが
)
いか、
227
返答
(
へんたふ
)
せぬかい』
228
田加彦
(
たかひこ
)
『ナヽヽヽ、
229
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ。
230
酸
(
す
)
いも、
231
甘
(
あま
)
いも
苦
(
にが
)
いもあつたものかい。
232
俺
(
おれ
)
をコンナ
甚
(
ひど
)
い
辛
(
つら
)
い
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はせよつて、
233
こら、
234
俺
(
おれ
)
が
死
(
し
)
んだら
化
(
ば
)
けて
出
(
で
)
てやるからさう
思
(
おも
)
へ、
235
ヒユー、
236
ドロ ドロ ドロぢやぞ』
237
百舌彦
(
もずひこ
)
は
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
舌
(
した
)
をペロリと
出
(
だ
)
して、
238
百舌彦
『
御縁
(
ごえん
)
があつたら
又
(
また
)
お
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します、
239
サア サア サア
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
240
彼奴
(
あいつ
)
をああして
香具
(
かぐ
)
の
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
に
預
(
あづか
)
けて
置
(
お
)
けば
死
(
し
)
ぬ
迄
(
まで
)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。
241
皆
(
みな
)
サン
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
り
宣伝
(
せんでん
)
に
向
(
むか
)
ひませう』
242
安彦
(
やすひこ
)
『アハヽヽヽ』
243
国彦
(
くにひこ
)
『オホヽヽヽ』
244
道彦
(
みちひこ
)
『ヤア
百舌彦
(
もずひこ
)
、
245
貴様
(
きさま
)
は
化物
(
ばけもの
)
だ、
246
妙
(
めう
)
な
病気
(
びやうき
)
を
持
(
も
)
つてるな。
247
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
田加彦
(
たかひこ
)
をあの
儘
(
まま
)
に
放擲
(
うつちやつ
)
て
置
(
お
)
く
訳
(
わけ
)
にはゆくまい、
248
之
(
これ
)
は
貴様
(
きさま
)
の
責任
(
せきにん
)
だからソツと
樹下
(
じゆか
)
に
下
(
おろ
)
して
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
くが
宜
(
よ
)
からう』
249
田加彦
(
たかひこ
)
『モシモシ
道彦
(
みちひこ
)
サン
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
う
御座
(
ござ
)
います、
250
能
(
よ
)
う
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいました。
251
人情
(
にんじやう
)
知
(
し
)
らずの
安彦
(
やすひこ
)
、
252
国彦
(
くにひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
253
百舌彦
(
もずひこ
)
の
馬鹿
(
ばか
)
野郎
(
やらう
)
、
254
永
(
なが
)
らく
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
を
掛
(
か
)
けました、
255
大
(
おほ
)
きに
憚
(
はばか
)
り
様
(
さま
)
』
256
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
猿
(
さる
)
の
如
(
ごと
)
く
樹上
(
じゆじやう
)
よりスラスラスラと
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
た。
257
四
(
よ
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に、
258
一同
(
いちどう
)
『アハヽヽヽ』
259
と
転
(
こ
)
けて
笑
(
わら
)
ふ。
260
田加彦
(
たかひこ
)
は
百舌彦
(
もずひこ
)
の
尻
(
しり
)
をクレリと
引
(
ひ
)
ん
捲
(
まく
)
り、
261
田加彦
『コラ、
262
屁放
(
へこ
)
き
馬
(
うま
)
、
263
能
(
よ
)
く
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にしよつたな』
264
百舌彦
(
もずひこ
)
は『
何
(
なに
)
ツ』と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
矢庭
(
やには
)
に
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
田加彦
(
たかひこ
)
の
頭
(
あたま
)
を
続
(
つづ
)
け
打
(
う
)
ちにポカポカとやつた。
265
田加彦
(
たかひこ
)
は
烈火
(
れつくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
又
(
また
)
もや
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
骨
(
ほね
)
も
挫
(
くだ
)
けと
打下
(
うちおろ
)
す。
266
此
(
この
)
時
(
とき
)
遅
(
おそ
)
く
彼時
(
かのとき
)
早
(
はや
)
く、
267
百舌彦
(
もずひこ
)
は
細
(
ほそ
)
くなつて
雑草
(
ざつさう
)
茂
(
しげ
)
れる
田圃道
(
たんぼみち
)
を
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
す。
268
田加彦
(
たかひこ
)
は、
269
田加彦
『おのれ
百舌彦
(
もずひこ
)
、
270
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な、
271
逃
(
に
)
がしてならうか』
272
と
尻
(
しり
)
ひつからげ
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つかけ、
273
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
彼方
(
かなた
)
を
指
(
さ
)
して
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
つた。
274
安彦
(
やすひこ
)
『ヤア、
275
面白
(
おもしろ
)
き
活劇
(
くわつげき
)
を
見物
(
けんぶつ
)
した。
276
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にして
居
(
を
)
れば
二人
(
ふたり
)
の
奴
(
やつ
)
、
277
如何
(
どん
)
な
事
(
こと
)
をするかも
知
(
し
)
れない。
278
国彦
(
くにひこ
)
、
279
道彦
(
みちひこ
)
殿
(
どの
)
、
280
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけて
彼
(
かれ
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
しませう』
281
と
安彦
(
やすひこ
)
は
慌
(
あはただ
)
しく
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
駆出
(
かけだ
)
せば、
282
二人
(
ふたり
)
も
続
(
つづ
)
いて
跡
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
行
(
ゆ
)
く。
283
(
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旧三・五
北村隆光
録)
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