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第15巻(寅の巻)
序
凡例
総説歌
第1篇 正邪奮戦
01 破羅門
〔568〕
02 途上の変
〔569〕
03 十六花
〔570〕
04 神の栄光
〔571〕
05 五天狗
〔572〕
06 北山川
〔573〕
07 釣瓶攻
〔574〕
08 ウラナイ教
〔575〕
09 薯蕷汁
〔576〕
10 神楽舞
〔577〕
第2篇 古事記言霊解
11 大蛇退治の段
〔578〕
第3篇 神山霊水
12 一人旅
〔579〕
13 神女出現
〔580〕
14 奇の岩窟
〔581〕
15 山の神
〔582〕
16 水上の影
〔583〕
17 窟の酒宴
〔584〕
18 婆々勇
〔585〕
第4篇 神行霊歩
19 第一天国
〔586〕
20 五十世紀
〔587〕
21 帰顕
〔588〕
22 和と戦
〔589〕
23 八日の月
〔590〕
跋文
余白歌
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第一八章
婆々勇
(
ばばいさみ
)
〔五八五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
篇:
第3篇 神山霊水
よみ(新仮名遣い):
しんざんれいすい
章:
第18章 婆々勇
よみ(新仮名遣い):
ばばいさみ
通し章番号:
585
口述日:
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
苦しみながらも黒姫は気を取り直して立ち上がり、ウラナイ教の一同を正気づけようと演説を行う。
それによると、変性女子の霊や肉体を散り散りばらばらにして血をすすり、骨を粉となし、再びこの世に出てこないように封じるのがウラナイ教の宗旨である、とする。そして神素盞嗚大神を罵倒するのであった。
しかしますます激しく響いてくる宣伝歌に逆上して、高姫や蠑螈別は同士討ちを始めてしまう。
黒姫は一人、懐剣を持って門前に走り出た。しかし宣伝使たちの勇姿を見ると、肝をつぶしてその場に泡を吹いて立ち止まってしまった。
その様子のおかしさに、宣伝使たちは思わず吹きだした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-16 02:17:23
OBC :
rm1518
愛善世界社版:
230頁
八幡書店版:
第3輯 365頁
修補版:
校定版:
229頁
普及版:
105頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
、
002
黒姫
(
くろひめ
)
、
003
蠑螈別
(
いもりわけ
)
を
始
(
はじ
)
め、
004
一座
(
いちざ
)
の
者共
(
ものども
)
は
折
(
をり
)
から
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
に
頭
(
あたま
)
を
痛
(
いた
)
め、
005
胸
(
むね
)
を
苦
(
くる
)
しめ、
006
七転
(
しちてん
)
八倒
(
ばつたう
)
、
007
中
(
なか
)
には
黒血
(
くろち
)
を
吐
(
は
)
いて
悶
(
もだ
)
え
苦
(
くる
)
しむ
者
(
もの
)
もあつた。
008
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
館
(
やかた
)
の
四隅
(
しぐう
)
より
刻一刻
(
こくいつこく
)
と
峻烈
(
しゆんれつ
)
に
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たる。
009
黒姫
(
くろひめ
)
『コレコレ
蠑螈別
(
いもりわけ
)
サン、
010
高姫
(
たかひめ
)
サン、
011
静
(
しづか
)
になさらぬか、
012
丁
(
ちよ
)
ン
助
(
すけ
)
、
013
久助
(
きうすけ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
面々
(
めんめん
)
、
014
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
015
気
(
き
)
を
確
(
しつか
)
り
持
(
も
)
ち
直
(
なほ
)
し、
016
力限
(
ちからかぎ
)
りに
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
為
(
た
)
め
活動
(
くわつどう
)
をするのだよ、
017
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
キヨロキヨロ
間誤
(
まご
)
々々
(
まご
)
するのだい。
018
これ
位
(
くらゐ
)
の
事
(
こと
)
が
苦
(
くる
)
しいやうなことで、
019
何
(
ど
)
うして、
020
ウラナイ
教
(
けう
)
が
拡
(
ひろ
)
まるか、
021
転
(
こ
)
けても
砂
(
すな
)
なりと
掴
(
つか
)
むのだ、
022
只
(
ただ
)
では
起
(
お
)
きぬと
云
(
い
)
ふ
執着心
(
しふちやくしん
)
が
無
(
な
)
くては、
023
何
(
ど
)
うして
何
(
ど
)
うして
此
(
この
)
大望
(
たいもう
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
するものか。
024
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
霊
(
たま
)
や
肉体
(
にくたい
)
を
散
(
ち
)
り
散
(
ち
)
り
ばら
ばらに
致
(
いた
)
して
血
(
ち
)
を
啜
(
すす
)
り、
025
骨
(
ほね
)
を
臼
(
うす
)
に
搗
(
つ
)
いて
粉
(
こな
)
となし、
026
筋
(
すぢ
)
を
集
(
あつ
)
めて
衣物
(
きもの
)
に
織
(
お
)
り、
027
血
(
ち
)
は
酒
(
さけ
)
にして
呑
(
の
)
み、
028
毛
(
け
)
は
縄
(
なは
)
に
綯
(
な
)
ひ、
029
再
(
ふたた
)
び
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ぬやうに
致
(
いた
)
すのがウラナイ
教
(
けう
)
の
御
(
ご
)
宗旨
(
しうし
)
だ。
030
折角
(
せつかく
)
今迄
(
いままで
)
骨
(
ほね
)
を
折
(
お
)
つて
天
(
あま
)
の
磐戸
(
いはと
)
隠
(
がく
)
れの
騒動
(
さうだう
)
がおつ
始
(
はじ
)
まる
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
旨
(
うま
)
く
漕
(
こ
)
ぎつけ、
031
心地
(
ここち
)
よや
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
は
罪
(
つみ
)
もないのに
高天原
(
たかあまはら
)
を
放逐
(
はうちく
)
され、
032
今
(
いま
)
は
淋
(
さび
)
しき
漂浪
(
さすらひ
)
の
一人旅
(
ひとりたび
)
、
033
奴乞食
(
どこじき
)
のやうになつて、
034
翼
(
つばさ
)
剥
(
は
)
がれし
裸鳥
(
はだかどり
)
、
035
これから
吾々
(
われわれ
)
の
天下
(
てんか
)
だ。
036
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
及
(
およ
)
んで
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
メソメソ
騒
(
さわ
)
ぐのだ。
037
高姫
(
たかひめ
)
さま
貴女
(
あなた
)
も
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
名乗
(
なの
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
038
何処迄
(
どこまで
)
も
邪
(
じや
)
が
非
(
ひ
)
でも
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
で
通
(
とほ
)
さにやなるまい。
039
憚
(
はばか
)
りながら
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
は
何処
(
どこ
)
々々
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
でやり
通
(
とほ
)
すのだ。
040
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
飽
(
あく
)
までも
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
で
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
迄
(
まで
)
遣
(
や
)
り
通
(
とほ
)
し、
041
万々一
(
まんまんいち
)
中途
(
ちうと
)
で
肉体
(
にくたい
)
が
斃
(
たふ
)
れても、
042
百遍
(
ひやつぺん
)
でも
千遍
(
せんべん
)
でも
生
(
うま
)
れ
替
(
か
)
はつて
此
(
この
)
大望
(
たいもう
)
を
成就
(
じやうじゆ
)
させねばなりませぬぞ。
043
エーエー
腰
(
こし
)
の
弱
(
よわ
)
い
方々
(
かたがた
)
だ。
044
この
黒姫
(
くろひめ
)
も
気
(
き
)
の
揉
(
も
)
める
事
(
こと
)
だワイ、
045
サアサア、
046
シヤンと
気
(
き
)
を
持
(
も
)
ち
直
(
なほ
)
し、
047
大望
(
たいもう
)
一途
(
いちづ
)
に
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
す
覚悟
(
かくご
)
が
肝腎
(
かんじん
)
ぢや。
048
中途
(
ちうと
)
で
屁古垂
(
へこた
)
れる
位
(
くらゐ
)
なら、
049
初
(
はじめ
)
からコンナ
謀反
(
むほん
)
は
起
(
おこ
)
さぬがよい。
050
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
が
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
妙術
(
めうじゆつ
)
をもつて、
051
瑞
(
みづ
)
の
霊
(
みたま
)
の
素盞嗚
(
すさのを
)
の
神
(
かみ
)
がもしも
此処
(
ここ
)
へやつて
来
(
き
)
たなら、
052
乞食
(
こじき
)
の
虱
(
しらみ
)
だ、
053
口
(
くち
)
で
殺
(
ころ
)
して
仕舞
(
しま
)
ふ。
054
海
(
うみ
)
に
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
、
055
山
(
やま
)
に
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
、
056
河
(
かは
)
に
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
の
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
した
黒姫
(
くろひめ
)
ぢや。
057
高姫
(
たかひめ
)
さま、
058
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
059
お
前
(
まへ
)
は
未
(
ま
)
だ
未
(
ま
)
だ
苦労
(
くらう
)
が
足
(
た
)
らぬ、
060
苦労
(
くらう
)
なしに
誠
(
まこと
)
の
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
かぬぞや。
061
これこれ
丁
(
ちよ
)
ン
助
(
すけ
)
、
062
久助
(
きうすけ
)
何
(
なに
)
をベソベソ
吠面
(
ほえづら
)
かわくのだ、
063
些
(
ちつ
)
と
確
(
しつか
)
り
致
(
いた
)
さぬと
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
拳骨
(
げんこつ
)
がお
見舞
(
みまひ
)
申
(
まを
)
すぞ。
064
何
(
なん
)
だ
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
恐
(
おそ
)
ろしいやうな
事
(
こと
)
で、
065
何
(
ど
)
うならうかい、
066
女
(
をんな
)
の
一心
(
いつしん
)
岩
(
いは
)
でも
突
(
つ
)
き
貫
(
ぬ
)
く、
067
無茶
(
むちや
)
でも
突
(
つ
)
き
貫
(
ぬ
)
かねば
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
たぬ、
068
何
(
ど
)
うしてウラル
彦
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
が
立
(
た
)
つか、
069
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
に
合
(
あ
)
はす
顔
(
かほ
)
があるまいぞ。
070
エーエー、
071
腰抜
(
こしぬけ
)
ばかりだなア。
072
コレコレ
高姫
(
たかひめ
)
さま
確
(
しつか
)
りせぬかいなア、
073
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
がお
前
(
まへ
)
の
傍
(
そば
)
について
居
(
ゐ
)
なかつたら、
074
お
前
(
まへ
)
さまは
とう
の
昔
(
むかし
)
に
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
に
骨
(
ほね
)
も
筋
(
すぢ
)
も
抜
(
ぬ
)
かれて
仕舞
(
しま
)
ひ、
075
今頃
(
いまごろ
)
は
茹蛸
(
ゆでだこ
)
のやうになつて
居
(
ゐ
)
るお
方
(
かた
)
だ。
076
大将
(
たいしやう
)
は
看板
(
かんばん
)
とは
云
(
い
)
ふものの、
077
これや
又
(
また
)
滅相
(
めつさう
)
弱
(
よわ
)
い
看板
(
かんばん
)
ぢやナア』
078
此
(
この
)
時
(
とき
)
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
益々
(
ますます
)
激
(
はげ
)
しく、
079
館
(
やかた
)
の
四辺
(
しへん
)
より
響
(
ひび
)
いて
来
(
く
)
る。
080
高姫
(
たかひめ
)
と
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
逆上
(
ぎやくじやう
)
したか、
081
互
(
たがひ
)
に
目
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らし
牙
(
きば
)
を
剥
(
む
)
き
猿
(
さる
)
の
喧嘩
(
けんくわ
)
のやうに、
082
噛
(
か
)
むやら
掻
(
か
)
くやら
むし
るやら、
083
キヤツ、
084
キヤツと
キン
キリ
声
(
ごゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
085
上
(
うへ
)
になり
下
(
した
)
になり、
086
組
(
く
)
んづ
組
(
く
)
まれつ
黒姫
(
くろひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
も
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
らぬ
体
(
てい
)
にて
掴
(
つか
)
み
合
(
あひ
)
を
始
(
はじ
)
めて
居
(
を
)
る。
087
並居
(
なみゐ
)
る
数多
(
あまた
)
の
者共
(
ものども
)
は
互
(
たがひ
)
に
鉄拳
(
てつけん
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げ、
088
彼我
(
ひが
)
の
区別
(
くべつ
)
なく
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れて
打
(
う
)
つ、
089
蹴
(
け
)
る、
090
擲
(
なぐ
)
る、
091
呶鳴
(
どな
)
る、
092
泣
(
な
)
く、
093
喚
(
わめ
)
く、
094
忽
(
たちま
)
ち
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
修羅
(
しゆら
)
の
衢
(
ちまた
)
と
化
(
くわ
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
095
黒姫
(
くろひめ
)
は
懐剣
(
くわいけん
)
を
逆手
(
さかて
)
に
持
(
も
)
ち
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
り、
096
表門
(
おもてもん
)
を
開
(
ひら
)
くや
否
(
いな
)
や、
097
高国別
(
たかくにわけ
)
以下
(
いか
)
勇士
(
ゆうし
)
一行
(
いつかう
)
の
姿
(
すがた
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
098
アツと
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
099
蟹
(
かに
)
のやうな
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き、
100
目玉
(
めだま
)
を
二三寸
(
にさんずん
)
ばかり
前
(
まへ
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
させ、
101
口
(
くち
)
を
ポカン
と
開
(
あ
)
けたまま、
102
一言
(
いちごん
)
も
発
(
はつ
)
し
得
(
え
)
ず、
103
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
が
閉
(
すぼ
)
まらぬ
其
(
その
)
為体
(
ていたらく
)
の
可笑
(
おか
)
しさ、
104
一同
(
いちどう
)
は
思
(
おも
)
はず
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
105
一同
『ワハヽヽヽ、
106
オホヽヽヽ』
107
(
大正一一・四・三
旧三・七
加藤明子
録)
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