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第一七章 (いはや)酒宴(しゆえん)〔五八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻 篇:第3篇 神山霊水 よみ(新仮名遣い):しんざんれいすい
章:第17章 窟の酒宴 よみ(新仮名遣い):いわやのしゅえん 通し章番号:584
口述日: 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
岩窟の中に館があり、高姫、黒姫、蠑螈別を始めとするウラナイ教の信徒たちが酒宴を張っている。
黒姫は、池に投げ込んでおいた二人の女(岸子姫と岩子姫)を連れてきて、芸をさせて慰みものにしようと案を出す。丁ン助と久助は、二人を池から連れてこようとするが、池のほとりには三男六女の宣伝使たちが立っていた。
丁ン助と久助は恐れをなしてへたり込んでしまう。亀彦が二人を怒鳴りつけると、二人は逃げ出してしまった。
丁ン助と久助が、宣伝使たちがやってきたことを知らせると、館の門前に宣伝歌が響いてきた。高姫、黒姫、蠑螈別らウラナイ教の一同はたちまち苦しみを覚えてその場に倒れてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-01-16 02:16:46 OBC :rm1517
愛善世界社版:219頁 八幡書店版:第3輯 361頁 修補版: 校定版:208頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 四面(しめん)岩壁(がんぺき)(もつ)(つつ)まれたる(ひろ)(やかた)(うち)には糸竹(しちく)管絃(くわんげん)(ひびき)(さはや)かに、002()めよ、003(さわ)げの大乱舞(だいらんぶ)(おこな)はれて()る。004ずつと見渡(みわた)せば中央(ちうあう)黎牛(やく)(かは)幾枚(いくまい)とも()()(かさ)ね、005(その)(うへ)()るも(にく)さうなる面構(つらがま)への蠑螈別(いもりわけ)数多(あまた)男女(だんぢよ)(しやく)をさせ(なが)ら、006(すみ)(やう)(くろ)(さけ)をグビリグビリと(かたむ)けて()る。007数十(すうじふ)(にん)男女(だんぢよ)(いづ)れも一癖(ひとくせ)あるらしき面構(つらがま)へ、008けい(たた)く、009(ふえ)()く、010弓弦(ゆみづる)(だん)ずる、011(いし)(いし)とを()(なが)真裸(まつぱだか)(まま)(をど)(くる)うて()る、012(あたか)百鬼(ひやくき)昼行(ちうかう)有様(ありさま)である。
013蠑螈別(いもりわけ)『ヤア大変(たいへん)(ゑい)がまわつた。014如何(どう)だ、015(みな)者共(ものども)016(ひと)(なに)面白(おもしろ)芸当(げいたう)をやつて()れないか』
017黒姫(くろひめ)『さアさア(みな)サン、018これから須佐之男(すさのをの)(みこと)征伐(せいばつ)芝居(しばゐ)をやりませう。019(ちよ)(すけ)サン、020(まへ)須佐之男(すさのをの)(みこと)になるのだよ、021黒姫(くろひめ)がお(まへ)(ひげ)むし(やく)022高姫(たかひめ)さまは手足(てあし)(つめ)()(やく)だよ』
023(ちよ)(すけ)『エーエ、024滅相(めつさう)な、025(たれ)がソンナ(やく)になりませうか、026(つめ)()かれる(やう)(わる)(こと)()つからした(おぼ)えが御座(ござ)いませぬ』
027黒姫(くろひめ)(ぬか)すな(ぬか)すな、028貴様(きさま)(つめ)()(とぼ)して(けち)(こと)(ばか)(かんが)へ、029(ひと)(くる)しめる(やつ)だ、030(たか)(やう)(つめ)(なが)代物(しろもの)だ、031()ひつめ(もの)だ、032如何(どう)でも()うでも(この)(ばば)がつめかけて()いてやらねば()くものかいヤイ』
033(ちよ)(すけ)(つめ)(なが)いのは、034それやお(まへ)サンの(こと)だないか。035一途(いちづ)川辺(かはべ)往来(わうらい)旅人(たびびと)(おどか)して肝腎(かんじん)身魂(みたま)()きぬく欲婆(よくば)アサンだ。036(まへ)サンから(つめ)()きなさい』
037黒姫(くろひめ)()うツベコベと理窟(りくつ)()(ちよ)(すけ)だナア、038エーエ(にく)らしい、039頬辺(ほつぺた)なと()めつてやらうか』
040(たか)(やう)鋭利(えいり)(つめ)(ちよ)(すけ)(ほほ)をグツト(ねぢ)る。
041丁ン助『イヽヽヽ(いた)(わい)(いた)(わい)042(はな)サンかい』
043黒姫(くろひめ)(はな)さぬ(はな)さぬ、044(かみ)(つめ)(かけ)たら、045いつかないつかな(はな)しはせぬぞ。046(はな)すのは庚申(かうしん)()ちの(ばん)だ、047(ひと)難儀(なんぎ)()ざる、048()かざる、049()はざるの苦労人(くらうにん)黒姫(くろひめ)だ。050(けつ)なつと(くら)ふとけ、051苦労(くらう)()らずの真黒(まつくろ)々助(くろすけ)(ちよ)(すけ)()が』
052(ちよ)(すけ)『ヤアヤア、053()アサン、054ヒヽヽヽひどい(わい)055ソヽヽヽそれや(あんま)りぢや、056頬辺(ほうぺた)がチヽヽヽちぎれる(わい)
057黒姫(くろひめ)『チヽヽヽちつとは(いた)からう、058()()るとこ(まで)059いや(ほう)ぎれるとこ(まで)060いつかないつかな(はな)しやせぬぞや。061クリンのンピラ(やつこ)062つとは正念(しやうねん)()つたか、063貴様(きさま)(また)してもウラナイ(けう)(うら)をかく(やつ)ぢや。064(いま)にひよつとして三五教(あななひけう)(やつ)()()よつたならば、065(すぐ)(くろ)(くろ)(つばめ)(やう)燕返(つばめがへ)しの早業(はやわざ)をやる代物(しろもの)だ。066この黒姫(くろひめ)(くろ)()でグツと(にら)んだら(ちが)ひはせぬぞや』
067(ちよ)(すけ)『もしもし高姫(たかひめ)さま、068ちつと挨拶(あいさつ)して(くだ)さいな』
069高姫(たかひめ)『マアマア十万(じふまん)億土(おくど)成敗(せいばい)(こと)(おも)へば(いそ)(やう)なものだ。070(まへ)将来(しやうらい)のためだよ、071もつともつと黒姫(くろひめ)さま、072(くび)()ける(ところ)まで(ひね)つてやりなさい、073アーア一人(ひとり)(をとこ)(あく)(みち)()()(やう)(おも)へば(ほね)()れる(こと)だワイ。074もしもし大広木(おほひろき)正宗(まさむね)さま、075(なに)して御座(ござ)る、076(さけ)ばつかりあふつて()らずに、077ちつとお(まへ)さまも(この)(ちよ)(すけ)成敗(せいばい)をなさつたが()からうにナア』
078(ちよ)(すけ)『もうもうもう、079改心(かいしん)(いた)します、080(これ)からは(ぜん)()(まを)しませぬ、081飽迄(あくまで)(あく)()(とほ)します』
082高姫(たかひめ)『これこれ(ちよ)(すけ)083(なに)()ふのだ、084善一筋(ぜんひとすぢ)のウラナイ(けう)(をしへ)ぢやぞい』
085(ちよ)(すけ)『ソヽヽヽそのウラナイ(けう)だから(うら)()つて()るのだ。086(あく)()へば(ぜん)087(ぜん)()へば(あく)ぢやがなア』
088黒姫(くろひめ)『はて()合点(がてん)(わる)(をとこ)ぢや、089(そこ)には(そこ)がある、090(おく)には(おく)がある、091(うら)には(うら)がある。092エーエ、093もうもう()(だる)うなつて()た、094モウこれで(こら)へてやらう。095いやまだまだ(あぶら)をとらねばならぬが、096(ばば)()(つづ)かぬから一寸(ちよつと)一服(いつぷく)ぢや、097エヘヽヽヽ』
098(ちよ)(すけ)(なに)(なん)だか(みな)サンの仰有(おつしや)(こと)一寸(ちよつと)(わけ)(わか)りませぬワ。099(ぜん)をすればお()()るのやら、100(あく)がお()()るのやら、101薩張(さつぱ)(わけ)(わか)らなくなつて()た。102(ぜん)なら(ぜん)103(あく)なら(あく)と、104はつきり()つて(くだ)さい、105どちらへでも(わたし)はつきます』
106高姫(たかひめ)(ぜん)とも(あく)とも(わか)らぬのが(かみ)(をしへ)ぢや。107人間(にんげん)分際(ぶんざい)として、108さう善悪(ぜんあく)がはつきりと(わか)つて(たま)るものかい。109何事(なにごと)高姫(たかひめ)仰有(おつしや)(とほ)りに、110ヘイヘイ、111ハイハイと盲目(めくら)滅法(めつぱふ)盲従(まうじゆう)すれば()いのだよ』
112(ちよ)(すけ)『アーア(また)しても(また)しても、113(ひと)(かほ)(つめ)つたり(なぐ)つたり、114(つめ)()いたりせねば改心(かいしん)さす(こと)出来(でき)ぬのか、115そこになるとアナヽ、116アヽヽヽ、117(なん)ぢやつた、118(わす)れた(わす)れた。119ないでも、120なでもつたら(かく)()(やう)()がします(わい)121(おそ)ろしや、122有難(ありがた)や、123(くる)しや、124(いた)やなア』
125黒姫(くろひめ)()(ぱり)貴様(きさま)三五教(あななひけう)未練(みれん)があるな、126よしよしこれから須佐之男(すさのをの)(みこと)ぢやないが、127(あたま)()(ひげ)(つめ)一本(いつぽん)()(やう)()いてやらう。128これこれ久助(きうすけ)129釘抜(くぎぬき)()つて()い』
130久助(きうすけ)釘抜(くぎぬき)(この)(やかた)には(ひと)つも御座(ござ)いませぬ、131如何(いかが)(いた)しませう』
132黒姫(くろひめ)『アヽそうか、133釘抜(くぎぬき)()いか、134それでは仕方(しかた)がない。135これこれ(ちよ)(すけ)136貴様(きさま)()(ぽど)幸福者(しあわせもの)だ、137(これ)()ふも(かみ)(さま)()慈悲(じひ)ぢや、138ウラナイ(けう)(かみ)(さま)御恩(ごおん)(ゆめ)にも(わす)れてはならぬぞよ』
139 蠑螈別(いもりわけ)はグタグタに()(つぶ)れ、
140蠑螈別『オイオイ(みな)(やつ)141(なに)面白(おもしろ)芸当(げいたう)をして()せぬか、142折角(せつかく)()んだ(さけ)(しづ)んで仕舞(しま)ふ、143ちつと()かして()れ、144瓢箪(へうたん)ばかりが浮物(うきもの)ぢやあるまい、145(たま)には人間(にんげん)(こころ)()かさねばならぬ、146それだから(この)()浮世(うきよ)()ふのだ』
147黒姫(くろひめ)『アヽ(その)瓢箪(へうたん)(おも)()した、148(みづ)(なか)()かして()いた二人(ふたり)(をんな)149(たれ)()つて(さら)へて()い、150此処(ここ)(ひと)面白(おもしろ)芸当(げいたう)をさして(たの)しまう』
151蠑螈別(いもりわけ)『アハヽヽヽ、152妙案(めうあん)々々(めうあん)153面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、154サアサ(みな)者共(ものども)155二人(ふたり)(やつ)引摺(ひきずり)()げて(この)()()れて()い』
156黒姫(くろひめ)『こら(ちよ)(すけ)157(その)(はう)(つめ)()きの成敗(せいばい)(ゆる)してやる、158(その)(かは)りに二人(ふたり)(をんな)引摺(ひきずり)()げて(この)()()れて()い』
159(ちよ)(すけ)『はい、160(かしこ)まつて御座(ござ)います、161(しか)(なが)(わたし)一人(ひとり)では到底(たうてい)()にあひませぬ、162(たれ)助太刀(すけだち)()して(くだ)さいませ、163一人(ひとり)づつ(かつ)げて()れて(まゐ)ります』
164黒姫(くろひめ)久助(きうすけ)165貴様(きさま)(ちよ)(すけ)(あと)から()いて、166サア(はや)()()げて()い』
167久助(かしこ)まりました』
168二人(ふたり)(おもて)石門(いしもん)(ひら)くや(いな)(しり)端折(はしを)つて(いけ)(ほとり)()して一生(いつしやう)懸命(けんめい)(はし)つて()た。169()れば(いけ)(ほとり)三男(さんなん)六女(ろくぢよ)神人(しんじん)()つてゐる。
170(ちよ)(すけ)『オイオイ久公(きうこう)171貴様(きさま)(さき)()かぬかい』
172久助(きうすけ)(なに)173(おれ)貴様(きさま)助太刀(すけだち)だ、174()はば代理(だいり)ぢや。175貴様(きさま)(さき)()つて縮尻(しくじ)つたら(その)(ひか)へに(おれ)()るのだ、176先陣(せんぢん)貴様(きさま)だ、177(はや)()かぬかい』
178と、179(しり)をトンと()拍子(へうし)(ちよ)(すけ)はトンと尻餅(しりもち)()く、
180丁ン助『アイタヽ、181ナヽヽヽ(なに)をしやがるのだい、182アーア、183もう(こし)()けた。184貴様(きさま)弱腰(よわごし)無理(むり)()いたものだから、185(こし)蝶番(てふつがい)()れて仕舞(しま)つたよ、186貴様(きさま)代理(だいり)するのだ。187サアサ()()け』
188久助(きうすけ)(さわ)三百(さんびやく)とは貴様(きさま)(こと)だ、189なまくらな、190(おき)んかい。191一寸(ちよつと)()した(くらゐ)(こし)(くろろ)(はづ)れる(やつ)何処(どこ)にあるか』
192(ちよ)(すけ)『それでも()けたら仕方(しかた)()い、193(うそ)(おも)ふなら(おれ)(ある)かして()い、194一寸(ちよつと)(ある)けやせぬぞ』
195久助(きうすけ)『エーエ、196腰抜(こしぬ)野郎(やらう)だな』
197(ちよ)(すけ)『オヽヽヽ(おれ)腰抜(こしぬ)野郎(やらう)だ、198それだから貴様(きさま)()けと()ふのだ』
199久助(きうすけ)(おれ)(なん)だか(きふ)(あし)()けた(やう)だ、200膝坊主(ひざぼうず)()(あぶ)ない(あぶ)ないと(ぬか)しよる』
201(ちよ)(すけ)(なん)だ、202乞食(こじき)(しやう)(ぐわつ)(やう)に「(もち)()(もち)()い」ナンテ、203団子(だんご)理屈(りくつ)()れない、204サアサ()()け、205(おれ)絶対(ぜつたい)(こし)()けた。206もう一足(ひとあし)(ある)けぬ、207貴様(きさま)胆玉(きもだま)()()してあの(いけ)(のぞ)きなつとして()い、208(かへ)つて申訳(まをしわけ)()いぞ』
209 亀彦(かめひこ)二人(ふたり)姿(すがた)()てツカツカと間近(まぢか)(すす)み、
210亀彦『ヤア(その)(はう)悪神(あくがみ)眷属(けんぞく)211()くも(さん)(にん)(をんな)(くる)しめよつたナア、212サア返報(へんぱう)がへしだ。213(また)から引裂(ひきさ)(あたま)から(しほ)をつけて(かぶ)つて()つてやらうか』
214呶鳴(どな)りつけた。215二人(ふたり)はキアツと(こゑ)()(こし)()けたと()つた(ちよ)(すけ)真先(まつさき)韋駄天(ゐだてん)(ばし)りに、216(くも)(かすみ)()()つた。
217 (はなし)(かは)つて蠑螈別(いもりわけ)は、
218蠑螈別『アーア、219(なん)だか今日(けふ)(こころ)(しづ)()だ。220(みな)奴共(やつども)221何奴(どいつ)此奴(こいつ)(げい)()(ざる)唐変木(たうへんぼく)(ばか)りだな、222(ひと)面白(おもしろ)(こと)をやつて()せぬか、223アーア頭痛(づつう)がする』
224高姫(たかひめ)『これも(なに)かの()都合(つがふ)御座(ござ)いませう、225さう、226おなげき(あそ)ばすには(およ)びませぬ、227()()(かみ)生宮(いきみや)(ひと)(をど)つてお()()けませう』
228高姫(たかひめ)はお多福(たふく)(づら)をニユツと()し、229山車尻(だんじり)をプリツプリツと()(なが)ら、230(あや)しき腰付(こしつき)(をど)(はじ)めた。231(この)(とき)(あはただ)しく(いき)せききつて(ちよ)(すけ)232久助(きうすけ)(この)()(はし)(きた)り、
233丁ン助、久助『タヽヽヽ大変(たいへん)御座(ござ)います』
234()つたきり、235(ちよん)(きう)二人(ふたり)(いき)(はづ)ませて(この)()にドツと(たふ)れたり。
236黒姫(くろひめ)大変(たいへん)とは何事(なにごと)ぞ、237二人(ふたり)(をんな)如何(どう)(いた)した』
238久助(きうすけ)『ドヽヽヽ如何(どう)()うもありませぬ、239タヽヽヽ大変(たいへん)々々(たいへん)240大変(たいへん)()へば()()大変(たいへん)御座(ござ)います』
241黒姫(くろひめ)『こら、242久助(きうすけ)243(ちよ)(すけ)244しつかり(いた)さぬか、245(なに)大変(たいへん)だ』
246(ちよ)(すけ)『いやもう、247タヽヽヽ大変(たいへん)御座(ござ)います、248大変(たいへん)(まを)すより(まを)()げる言葉(ことば)()かりけり、249アーン、250アンアンアン、251オーン、252オンオンオン』
253黒姫(くろひめ)『エー腑甲斐(ふがひ)()(やつ)だ、254(また)(ある)きもつて(ゆめ)()よつたのだらう、255臆病(おくびやう)(やつ)だ、256しつかり(いた)さぬか』
257とキユーと(はな)(ねぢ)る。
258(ちよ)(すけ)『イヽヽヽ(いた)い、259勘忍(かんにん)勘忍(かんにん)
260黒姫(くろひめ)『サア、261しつかりと(まを)さぬか、262様子(やうす)如何(いか)に』
263(ちよ)(すけ)『ヨヽヽヽ様子(やうす)(なん)にもあつたものか、264ヨヽヽヽ用心(ようじん)なさいませ、265()つぱらつて()るどこの(さわ)ぎぢやありませぬぞ、266アヽヽヽ三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)267(おほ)きな(をとこ)(さん)(にん)とアルマの(やう)別嬪(べつぴん)(しか)(ろく)(にん)268どうで、269ロヽヽヽ(ろく)(こと)御座(ござ)いませぬ(わい)
270黒姫(くろひめ)貴様(きさま)()(こと)(なに)(なん)だか、271テン(わか)らぬ、272こらこら久助(きうすけ)273様子(やうす)如何(どう)だ。274(をんな)何処(どこ)()る。275
276久助(きうすけ)(をんな)どころの(さわ)ぎですかい、277たつた(いま)278貴方(あなた)(がた)(くび)(どう)(はな)れますよ、279何卒(どうぞ)しつかりと用意(ようい)をして(くだ)さい』
280高姫(たかひめ)『お(まへ)(たち)(なに)狼狽(うろた)(さわ)ぐのだ、281(むかし)(むかし)のさる(むかし)()(ぽん)天地(てんち)(はじ)まりから、282(なに)()調(しら)べて調(しら)べて調(しら)()げた(この)(はう)ぢや、283仮令(たとへ)百億万(ひやくおくまん)(てき)()()(きた)るとも、284(この)高姫(たかひめ)のあらむ(かぎ)りは大丈夫(だいぢやうぶ)だ、285しつかり(いた)さぬか。286してして(をんな)(なん)(いた)した』
287 (この)(とき)門前(もんぜん)勇壮(ゆうさう)なる宣伝歌(せんでんか)(こゑ)288四辺(あたり)(とどろ)かし(ひび)()たりぬ。
289 高姫(たかひめ)290黒姫(くろひめ)291蠑螈別(いもりわけ)(はじ)め、292一同(いちどう)(にはか)(かしら)(いた)(むね)引裂(ひきさ)(ばか)(くる)しくなつて、293(その)()にドツと(たふ)れたり。294アヽ(この)結末(けつまつ)如何(いかが)なり()くならむか。
295大正一一・四・三 旧三・七 北村隆光録)
296(昭和一〇・三・二四 於台湾蘇澳駅 王仁校正)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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