神素盞嗚大神は、言依別命とカールを連れて天の鳥舟に乗り込み、国依別夫婦一同に見送られてウヅの都を後にし、フサの国の斎苑の館への帰途についた。
大神は、高砂島は殊のほか神が選んだすばらしい場所であり、それゆえ日々固く神の教えを守って人々を導くように、という道歌を残した。
国依別は、大神の歌に応えて決意を歌い、また言葉に尽くせぬ感謝を歌って大神との別れを惜しんだ。末子姫も空を打ち仰ぎ、別れを惜しみ、父大神への感謝とこれからの高砂島の司としての決意を歌った。
末子姫の歌の中には、カールが木花姫命の化身であることが明かされていた。末子姫は歌いまた述懐を終わると、一同に会釈をして神殿に進み入った。
竜国別は歌の中に、大神との別れを惜しみ、自分は今後、母・鷹依姫とともに自転倒島へと帰るつもりであることを詠み込んだ。
高姫も大神との別れを惜しみ、大神への感謝を述べ、国依別と末子姫の前途を祝しまた高砂島での活動を任せつつ、高砂島一同への別れを歌に詠み込んだ。
鷹依姫も大神への思いを述べ、これまでの述懐を詠みつつ、自転倒島への帰還と、まだ果たせぬ玉探しの行く末を思う歌を歌った。
テーリスタンとカーリンスもそれぞれ述懐の歌を歌った。高姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンス、常彦の一行はウヅの都に別れを告げ、テル山峠を越えてハラの港に出て、自転倒島に向かって帰ることとなった。