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霊界物語
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第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
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第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
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第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
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第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
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第37巻(子の巻)
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第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
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第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
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第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
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第53巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 毘丘取颪
01 春菜草
〔1364〕
02 蜉蝣
〔1365〕
03 軟文学
〔1366〕
04 蜜語
〔1367〕
05 愛縁
〔1368〕
06 気縁
〔1369〕
07 比翼
〔1370〕
08 連理
〔1371〕
09 蛙の腸
〔1372〕
第2篇 貞烈亀鑑
10 女丈夫
〔1373〕
11 艶兵
〔1374〕
12 鬼の恋
〔1375〕
13 醜嵐
〔1376〕
14 女の力
〔1377〕
15 白熱化
〔1378〕
第3篇 兵権執着
16 暗示
〔1379〕
17 奉還状
〔1380〕
18 八当狸
〔1381〕
19 刺客
〔1382〕
第4篇 神愛遍満
20 背進
〔1383〕
21 軍議
〔1384〕
22 天祐
〔1385〕
23 純潔
〔1386〕
余白歌
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(B)
(N)
春菜草 >>>
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総説
(
そうせつ
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
篇:
前付
よみ(新仮名遣い):
章:
総説
よみ(新仮名遣い):
そうせつ
通し章番号:
口述日:
1923(大正12)年02月12日(旧12月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月8日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
回顧すれば、今から三年前(満二年)の今月今日(二月十二日)は大本にとってもっとも深刻な記念日である。大阪梅田の大正日日新聞の本社社長として大活躍を試みていた折りしも、突然二三の冥使にさらわれて、牢獄の中に収容された日である。
裏の筆先にも、大正十年は変性女子の身魂にとって後にも先にもないエライ事ができる年であるが、節分祭が済んだら女子の肉体を神が連れ参る、と示されてあった。
それから世界は御神示のごとく時々刻々と変転し、満二年を経た今日、新聞に取り上げられている主な事実を挙げても、実に今昔の感に打たれざるを得ないのである。
普通選挙の実施を求める運動、労働運動、浄土宗内の内紛、ローマ法王庁使節交換への仏教界の反発、フランスによるバーデン地方占領とドイツとの対立、メソポタミヤにおける欧米諸国とトルコの対立、アメリカでの排日運動の高まり等、いまわしき報道が全紙面を埋め、世界はさながら地獄餓鬼畜生修羅の光景を暴露している有様である。
吾人は大神の神示によって前途の暗澹たる光景を洞察し、世界のために憂慮に堪えざるものである。ゆえに一日も早く世界の人類に対し五六七神政の福音を伝達せんと昼夜寝食を忘れてこれに従事しつつある。
されど、地獄道に霊の籍を置ける当局者をはじめ、現代人は自然愛と世間愛のみに惑溺し、神の光明にそむき、智慧証覚を曇らせている。いかなる大声叱呼の喊声も、雷霆の響きも、継承乱打の声も、とうてい耳には透らない悲しむべき世態である。
記してもって後日の参考に供する。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-03-03 08:07:17
OBC :
rm530002
愛善世界社版:
3頁
八幡書店版:
第9輯 501頁
修補版:
校定版:
3頁
普及版:
1頁
初版:
ページ備考:
001
回顧
(
くわいこ
)
すれば
今
(
いま
)
より
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
(
満
(
まん
)
二
(
に
)
年
(
ねん
)
)の
今月
(
こんげつ
)
今日
(
こんにち
)
は
我
(
わが
)
大本
(
おほもと
)
に
取
(
と
)
りて、
002
最
(
もつと
)
も
深刻
(
しんこく
)
なる
記念日
(
きねんび
)
である。
003
都鄙
(
とひ
)
十万
(
じふまん
)
の
読者
(
どくしや
)
に
対
(
たい
)
して、
004
大責任
(
だいせきにん
)
を
負
(
お
)
ひ、
005
大大阪
(
だいおほさか
)
の
玄関口
(
げんくわんぐち
)
、
006
梅田
(
うめだ
)
の
大正
(
たいしやう
)
日々
(
にちにち
)
新聞
(
しんぶん
)
本社
(
ほんしや
)
に
於
(
おい
)
て、
007
社長
(
しやちやう
)
として
大活躍
(
だいくわつやく
)
を
試
(
こころ
)
みて
居
(
ゐ
)
た
折
(
をり
)
しも、
008
突然
(
とつぜん
)
二三
(
にさん
)
の
冥使
(
めいし
)
の
為
(
ため
)
に
攫
(
さら
)
はれて、
009
インフアナル
[
※
英語 infernal 「地獄のような」とか「悪魔のような」という意味の形容詞。ただしここでは名詞の inferno(インフェルノ)=地獄のことだと思われる。
]
に
等
(
ひと
)
しき
牢獄
(
ひとや
)
の
中
(
なか
)
に
収容
(
しうよう
)
された
日
(
ひ
)
である。
010
裏
(
うら
)
の
筆先
(
ふでさき
)
に……
大正
(
たいしやう
)
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
は
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
身魂
(
みたま
)
に
取
(
と
)
りて、
011
後
(
あと
)
にも
先
(
さき
)
にもないエライ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
る
年
(
とし
)
であるぞよ。
012
節分祭
(
せつぶんさい
)
が
済
(
す
)
みたら、
013
女子
(
によし
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
神
(
かみ
)
が
連
(
つ
)
れ
参
(
まゐ
)
るから、
014
心配
(
しんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さるなよ。
015
誰
(
たれ
)
もお
供
(
とも
)
は
許
(
ゆる
)
さんぞよ。
016
後
(
あと
)
には
金勝要
(
きんかつかねの
)
神
(
かみ
)
、
017
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
の
御魂
(
みたま
)
が
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
あるに
仍
(
よ
)
つて、
018
役員
(
やくゐん
)
は
安心
(
あんしん
)
して
御用
(
ごよう
)
をして
下
(
くだ
)
されよ……と
示
(
しめ
)
されてあつた。
019
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
過去
(
くわこ
)
を
繰返
(
くりかへ
)
すは
余
(
あま
)
り
気分
(
きぶん
)
の
好
(
よ
)
いものでないから、
020
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
事情
(
じじやう
)
は
省略
(
しやうりやく
)
する。
021
世界
(
せかい
)
は
御
(
ご
)
神示
(
しんじ
)
の
如
(
ごと
)
く、
022
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
変転
(
へんてん
)
し、
023
満
(
まん
)
二箇
(
にか
)
年
(
ねん
)
を
経
(
へ
)
たる
今日
(
こんにち
)
、
024
新聞紙
(
しんぶんし
)
に
依
(
よ
)
つて
紀元節
(
きげんせつ
)
当日
(
たうじつ
)
の
内外
(
ないぐわい
)
の
出来事
(
できごと
)
中
(
ちう
)
、
025
其
(
その
)
主
(
おも
)
なるものを
挙
(
あ
)
ぐれば、
026
実
(
じつ
)
に
今昔
(
こんじやく
)
の
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれざるを
得
(
え
)
ないのである。
027
首相
(
しゆしやう
)
枢府
(
すうふ
)
の
容易
(
ようい
)
ならざる
会見
(
くわいけん
)
問題
(
もんだい
)
、
028
及
(
および
)
貴族院
(
きぞくゐん
)
の
外交
(
ぐわいかう
)
問題
(
もんだい
)
追及
(
つゐきふ
)
に
付
(
つ
)
いて、
029
政府側
(
せいふがは
)
大
(
おほい
)
に
狼狽
(
らうばい
)
し、
030
研究会
(
けんきうくわい
)
に
泣付
(
なきつ
)
いて、
031
此
(
この
)
難関
(
なんくわん
)
を
切抜
(
きりぬ
)
けんとしてゐる。
032
幸無
(
かうむ
)
両派
(
りやうは
)
又
(
また
)
密々
(
みつみつ
)
に
凝議
(
ぎようぎ
)
して
外交
(
ぐわいかう
)
振粛
(
しんしゆく
)
の
道
(
みち
)
を
講
(
かう
)
ずるあり。
033
全国
(
ぜんこく
)
の
普選
(
ふせん
)
論者
(
ろんしや
)
は、
034
普選
(
ふせん
)
即行
(
そくかう
)
の
宣言
(
せんげん
)
決行
(
けつかう
)
をなして、
035
東京
(
とうきやう
)
での
普選
(
ふせん
)
聯合
(
れんがふ
)
大
(
だい
)
懇親会
(
こんしんくわい
)
の
席上
(
せきじやう
)
にて
火
(
ひ
)
の
如
(
ごと
)
き
熱弁
(
ねつべん
)
を
揮
(
ふる
)
ひ、
036
満場
(
まんぢやう
)
を
白熱化
(
はくねつくわ
)
するあり、
037
東京
(
とうきやう
)
、
038
名古屋
(
なごや
)
、
039
岡山
(
をかやま
)
、
040
福岡
(
ふくをか
)
、
041
八幡
(
やはた
)
などにては、
042
大
(
おほい
)
に
気勢
(
きせい
)
を
挙
(
あ
)
げ、
043
事態
(
じたい
)
容易
(
ようい
)
ならざる
形勢
(
けいせい
)
を
示
(
しめ
)
して
居
(
を
)
る。
044
労働
(
らうどう
)
総同盟
(
そうどうめい
)
と
向上会
(
かうじやうくわい
)
一派
(
いつぱ
)
四千
(
よんせん
)
名
(
めい
)
、
045
朝鮮人
(
てうせんじん
)
二百
(
にひやく
)
名
(
めい
)
を
先頭
(
せんとう
)
に、
046
警戒線
(
けいかいせん
)
を
破
(
やぶ
)
つて
警官隊
(
けいくわんたい
)
と
争
(
あらそ
)
ふあり。
047
社会
(
しやくわい
)
主義者
(
しゆぎしや
)
の
検束
(
けんそく
)
東京
(
とうきやう
)
丈
(
だけ
)
にて
三千
(
さんぜん
)
名
(
めい
)
の
大衆
(
たいしう
)
に
及
(
およ
)
び、
048
又
(
また
)
八幡
(
やはた
)
の
官労
(
くわんらう
)
示威
(
じゐ
)
行列
(
ぎやうれつ
)
三千
(
さんぜん
)
名
(
めい
)
、
049
待伏
(
まちぶ
)
せに
社会
(
しやくわい
)
主義者
(
しゆぎしや
)
現
(
あら
)
はれ、
050
ビラを
撒布
(
さんぷ
)
し
数名
(
すうめい
)
引致
(
いんち
)
され、
051
もと
労友会
(
らういうくわい
)
長
(
ちやう
)
の
浅原
(
あさはら
)
健三
(
けんざう
)
は
八幡市
(
やはたし
)
で
暴漢
(
ばうかん
)
に
襲撃
(
しふげき
)
され、
052
瀕死
(
ひんし
)
の
重傷
(
ぢうしやう
)
を
負
(
お
)
ふあり。
053
農民
(
のうみん
)
大会
(
たいくわい
)
にては…
土地
(
とち
)
を
国有
(
こくいう
)
にせよ、
054
而
(
しか
)
して
管理権
(
くわんりけん
)
を
小作人
(
こさくにん
)
に
与
(
あた
)
へよ、
055
医術
(
いじゆつ
)
を
国有
(
こくいう
)
にせよ…と
決議
(
けつぎ
)
をなし、
056
全国
(
ぜんこく
)
百五十
(
ひやくごじふ
)
万
(
まん
)
の
所謂
(
いはゆる
)
部落民
(
ぶらくみん
)
は…
自分
(
じぶん
)
たちも
水平線
(
すいへいせん
)
上
(
じやう
)
に
浮
(
うか
)
び
出
(
で
)
たいもの…と
主張
(
しゆちやう
)
し、
057
其
(
その
)
運動
(
うんどう
)
愈
(
いよいよ
)
熾烈
(
しれつ
)
となつたが、
058
折角
(
せつかく
)
の
努力
(
どりよく
)
も
相互
(
さうご
)
の
意思
(
いし
)
疎通
(
そつう
)
せず
却
(
かへつ
)
て
反感
(
はんかん
)
を
増
(
ま
)
すのみにて、
059
収拾
(
しうしふ
)
す
可
(
べか
)
らざる
破目
(
はめ
)
になり、
060
内務省
(
ないむしやう
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
まして
居
(
を
)
る。
061
性
(
たち
)
の
悪
(
わる
)
い
流行性
(
りうかうせい
)
感冒
(
かんばう
)
猖獗
(
しやうけつ
)
を
極
(
きは
)
め、
062
内務省
(
ないむしやう
)
からは
各府県
(
かくふけん
)
に
通牒
(
つうてふ
)
を
発
(
はつ
)
し、
063
其
(
その
)
予防
(
よばう
)
に
苦心
(
くしん
)
してゐる。
064
浄土宗
(
じやうどしう
)
の
内訌
(
ないこう
)
爆発
(
ばくはつ
)
し、
065
宗会
(
しうかい
)
選挙
(
せんきよ
)
の
紛擾
(
ふんぜう
)
、
066
愈
(
いよいよ
)
大袈裟
(
おほげさ
)
となつてゐる。
067
返咲
(
かへりざき
)
の
農村
(
のうそん
)
振興策
(
しんこうさく
)
は
又
(
また
)
一頓挫
(
いちとんざ
)
し、
068
陸縮
(
りくしゆく
)
の
憲政案
(
けんせいあん
)
は
遂
(
つひ
)
に
延期
(
えんき
)
となつて
了
(
しま
)
つた。
069
普選
(
ふせん
)
聯合
(
れんがふ
)
大
(
だい
)
懇親会
(
こんしんくわい
)
では、
070
襷
(
たすき
)
がけの
暴漢
(
ばうかん
)
が、
071
木剣
(
ぼくけん
)
や
鶴嘴
(
つるばし
)
を
振
(
ふ
)
つて、
072
会場
(
くわいぢやう
)
に
突入
(
とつにふ
)
し、
073
大乱闘
(
だいらんとう
)
を
始
(
はじ
)
め、
074
負傷者
(
ふしやうしや
)
を
出
(
いだ
)
し、
075
阿鼻
(
あび
)
叫喚場
(
けうくわんぢやう
)
と
化
(
くわ
)
した。
076
労働団
(
らうどうだん
)
の
気勢
(
きせい
)
は
益々
(
ますます
)
烈
(
はげ
)
しく、
077
示威
(
じゐ
)
運動
(
うんどう
)
各地
(
かくち
)
に
起
(
おこ
)
り、
078
在野党
(
ざいやたう
)
からは
警視庁
(
けいしちやう
)
に
向
(
むか
)
つて、
079
会場
(
くわいぢやう
)
不法
(
ふはふ
)
取締
(
とりしまり
)
の
難詰
(
なんきつ
)
問題
(
もんだい
)
を
持出
(
もちだ
)
すあり。
080
羅馬
(
ローマ
)
法王庁
(
はふわうちやう
)
使節
(
しせつ
)
派遣
(
はけん
)
問題
(
もんだい
)
に
付
(
つ
)
き、
081
外務省
(
がいむしやう
)
の
弁明
(
べんめい
)
の
妄
(
まう
)
を
破
(
やぶ
)
らんとし、
082
姉崎
(
あねざき
)
、
083
吉村
(
よしむら
)
両
(
りやう
)
博士
(
はかせ
)
が
弁護論
(
べんごろん
)
の
矛盾
(
むじゆん
)
を
駁撃
(
ばくげき
)
するあり、
084
京都
(
きやうと
)
の
無産者
(
むさんしや
)
大会
(
たいくわい
)
にては、
085
時代
(
じだい
)
に
反
(
はん
)
する
悪法
(
あくはふ
)
たる、
086
過激
(
くわげき
)
社会
(
しやくわい
)
運動
(
うんどう
)
取締法案
(
とりしまりはふあん
)
、
087
労働
(
らうどう
)
組合
(
くみあひ
)
法案
(
はふあん
)
、
088
小作
(
こさく
)
争議
(
さうぎ
)
調停
(
てうてい
)
法案
(
はふあん
)
反対
(
はんたい
)
の
狼火
(
のろし
)
をあぐべく、
089
岡崎市
(
をかざきし
)
公会堂
(
こうくわいだう
)
で、
090
京都
(
きやうと
)
無産者
(
むさんしや
)
大会
(
たいくわい
)
と
銘打
(
めいう
)
つて、
091
激烈
(
げきれつ
)
なる
演説会
(
えんぜつくわい
)
を
開
(
ひら
)
いた。
092
西陣
(
にしぢん
)
織友会
(
しよくいうくわい
)
、
093
京都
(
きやうと
)
印刷工
(
いんさつこう
)
組合
(
くみあひ
)
有志
(
いうし
)
、
094
京都
(
きやうと
)
水平社
(
すいへいしや
)
有志
(
いうし
)
、
095
日本
(
にほん
)
労働
(
らうどう
)
同盟
(
どうめい
)
、
096
其
(
その
)
他
(
た
)
参加
(
さんか
)
の
数団体
(
すうだんたい
)
では、
097
当日
(
たうじつ
)
大会
(
たいくわい
)
の
気勢
(
きせい
)
を
煽
(
あふ
)
るべく、
098
午前中
(
ごぜんちう
)
八台
(
はちだい
)
の
自動車
(
じどうしや
)
を
飛
(
と
)
ばして、
099
市内
(
しない
)
の
要所
(
えうしよ
)
々々
(
えうしよ
)
に、
100
数万
(
すうまん
)
枚
(
まい
)
の
宣伝
(
せんでん
)
ビラを
撒布
(
さんぷ
)
し、
101
時間
(
じかん
)
と
共
(
とも
)
に
喊声
(
かんせい
)
を
揚
(
あ
)
げつつ
大会
(
たいくわい
)
会場
(
くわいぢやう
)
へ
繰込
(
くりこ
)
んだ。
102
一方
(
いつぱう
)
警察部
(
けいさつぶ
)
ではそれが
為
(
ため
)
異常
(
いじやう
)
の
狼狽
(
らうばい
)
を
来
(
きた
)
し、
103
府
(
ふ
)
高等課
(
かうとうくわ
)
では、
104
早朝
(
さうてう
)
から
所轄
(
しよかつ
)
川端署
(
かはばたしよ
)
に
陣取
(
ぢんど
)
つて、
105
凄
(
すご
)
い
目
(
め
)
をギヨロつかせてる
外
(
ほか
)
、
106
別室
(
べつしつ
)
には
市内
(
しない
)
各署
(
かくしよ
)
の
高等
(
かうとう
)
刑事
(
けいじ
)
連
(
れん
)
が
額
(
ひたひ
)
を
鳩
(
あつ
)
めて、
107
重大
(
ぢゆうだい
)
らしく
構
(
かま
)
へ
込
(
こ
)
み、
108
久家
(
きうか
)
別室
(
べつしつ
)
主任
(
しゆにん
)
の
机
(
つくゑ
)
の
上
(
うへ
)
には
各方面
(
かくはうめん
)
から
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
集
(
あつ
)
まつて
来
(
く
)
る
報告
(
はうこく
)
書類
(
しよるゐ
)
が
堆
(
うづだか
)
く
積
(
つ
)
まれ、
109
主任者
(
しゆにんしや
)
が
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
をして
頭
(
あたま
)
をひねくるなど、
110
市内
(
しない
)
高等
(
かうとう
)
警察
(
けいさつ
)
総出
(
そうで
)
の
大
(
だい
)
警戒
(
けいかい
)
振
(
ぶり
)
は
実
(
じつ
)
に
仰々
(
ぎやうぎやう
)
しい
事
(
こと
)
である。
111
十一
(
じふいち
)
日
(
にち
)
正午
(
しやうご
)
から
岡崎
(
をかざき
)
公園
(
こうゑん
)
市
(
し
)
公会堂
(
こうくわいだう
)
に
開
(
ひら
)
かれた
無産者
(
むさんしや
)
大会
(
たいくわい
)
は、
112
朝来
(
てうらい
)
自動車
(
じどうしや
)
を
以
(
もつ
)
て、
113
市中
(
しちう
)
に
宣伝
(
せんでん
)
ビラを
配布
(
はいふ
)
したのと、
114
祭日
(
さいじつ
)
日曜
(
にちえう
)
の
事
(
こと
)
とて、
115
十一
(
じふいち
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
から
早
(
はや
)
昼飯
(
ひるめし
)
をすまして、
116
電車
(
でんしや
)
や
徒歩
(
とほ
)
で
押寄
(
おしよ
)
せる
群衆
(
ぐんしう
)
は
引
(
ひき
)
も
切
(
き
)
らず、
117
十二
(
じふに
)
時
(
じ
)
には
既
(
すで
)
に
会堂
(
くわいだう
)
の
大半
(
たいはん
)
を
埋
(
うづ
)
むる
盛況
(
せいきやう
)
を
呈
(
てい
)
してゐたが、
118
万一
(
まんいち
)
を
慮
(
おもんぱか
)
つてゐる
府
(
ふ
)
警察部
(
けいさつぶ
)
では、
119
其
(
その
)
警戒
(
けいかい
)
の
為
(
ため
)
、
120
市内
(
しない
)
の
非番
(
ひばん
)
巡査
(
じゆんさ
)
全部
(
ぜんぶ
)
を
召集
(
せうしふ
)
し、
121
場
(
ぢやう
)
の
内外
(
ないぐわい
)
を
警戒
(
けいかい
)
する、
122
其
(
その
)
物々
(
ものもの
)
しさ、
123
仮
(
かり
)
川端署
(
かはばたしよ
)
たる
妙伝寺
(
めうでんじ
)
境内
(
けいだい
)
では
焚火
(
たきび
)
をなして、
124
サーベル
連
(
れん
)
が
之
(
これ
)
を
囲
(
かこ
)
んでゐる
有様
(
ありさま
)
は、
125
宛然
(
さながら
)
戦場
(
せんぢやう
)
を
思
(
おも
)
はしめるものがあつたと
報告
(
はうこく
)
してゐる。
126
大正
(
たいしやう
)
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
の
今月
(
こんげつ
)
今日
(
こんにち
)
は
二百
(
にひやく
)
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
のサーベル
連
(
れん
)
が
火
(
ひ
)
を
囲
(
かこ
)
み
慄
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
127
どこかの
境内
(
けいだい
)
で
要
(
い
)
らざる
おせつかい
をやつてゐた
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すと、
128
実
(
じつ
)
に
面白
(
おもしろ
)
き
対象
(
たいしやう
)
であると
思
(
おも
)
ふ。
129
東
(
ひがし
)
本願寺
(
ほんぐわんじ
)
の
大谷
(
おほたに
)
光瑩
(
くわうえい
)
伯
(
はく
)
の
遺骸
(
ゐがい
)
愈
(
いよいよ
)
東京
(
とうきやう
)
から
本山
(
ほんざん
)
に
着
(
ちやく
)
し、
130
京都駅
(
きやうとえき
)
に
迎
(
むか
)
へた
三百余
(
さんびやくよ
)
の
坊主
(
ばうず
)
に
前後
(
ぜんご
)
を
守
(
まも
)
られて、
131
手輿
(
てごし
)
に
移乗
(
いじやう
)
され、
132
黄色
(
きいろ
)
の
水干
(
すゐかん
)
を
纏
(
まと
)
つた
十二
(
じふに
)
名
(
めい
)
の
力者
(
りきしや
)
に
担
(
かつ
)
ぎ
上
(
あ
)
げられると、
133
直
(
ただち
)
に
列
(
れつ
)
を
整
(
ととの
)
へて
本山
(
ほんざん
)
に
向
(
むか
)
ふ、
134
駅頭
(
えきとう
)
からは
七条署
(
しちでうしよ
)
の
前田
(
まへだ
)
警部
(
けいぶ
)
が
恭
(
うやうや
)
しく
御
(
ご
)
先頭
(
せんとう
)
を
勤
(
つと
)
めた。
135
次
(
つぎ
)
に
全国
(
ぜんこく
)
仏教
(
ぶつけう
)
の
管長
(
くわんちやう
)
が
東京
(
とうきやう
)
に
集
(
あつ
)
まり、
136
羅馬
(
ローマ
)
法王庁
(
はふわうちやう
)
使節
(
しせつ
)
交換
(
かうくわん
)
反対
(
はんたい
)
運動
(
うんどう
)
も
漸
(
やうや
)
く
効
(
かう
)
を
奏
(
そう
)
し、
137
十二
(
じふに
)
日
(
にち
)
の
下院
(
かゐん
)
予算
(
よさん
)
委員
(
ゐゐん
)
総会
(
そうくわい
)
に
於
(
おい
)
て、
138
該案
(
がいあん
)
は
削除
(
さくぢよ
)
され、
139
愈
(
いよいよ
)
十三
(
じふさん
)
日
(
にち
)
から
本会議
(
ほんくわいぎ
)
にかかる
筈
(
はず
)
であるが、
140
之
(
これ
)
も
大多数
(
だいたすう
)
にて
削除
(
さくぢよ
)
さるる
事
(
こと
)
に
確定
(
かくてい
)
し、
141
貴族院
(
きぞくゐん
)
に
於
(
おい
)
て
該
(
がい
)
予算案
(
よさんあん
)
は
復活
(
ふくくわつ
)
する
様
(
やう
)
なことはなからうと
思
(
おも
)
はれる。
142
右
(
みぎ
)
の
次第
(
しだい
)
により、
143
仏教
(
ぶつけう
)
聯合会
(
れんがふくわい
)
にては、
144
十四日
(
じふよつか
)
の
伏見
(
ふしみ
)
元帥宮
(
げんすゐのみや
)
国葬
(
こくさう
)
には
各宗教
(
かくしうけう
)
管長
(
くわんちやう
)
の
参列
(
さんれつ
)
を
促
(
うなが
)
し、
145
之
(
これ
)
も
同時
(
どうじ
)
に
十五
(
じふご
)
日
(
にち
)
午前
(
ごぜん
)
十
(
じふ
)
時
(
じ
)
より、
146
芝
(
しば
)
の
増上寺
(
ぞうじやうじ
)
にて、
147
各宗
(
かくしう
)
管長
(
くわんちやう
)
会議
(
くわいぎ
)
を
開
(
ひら
)
き、
148
本問題
(
ほんもんだい
)
の
経過
(
けいくわ
)
を
報告
(
はうこく
)
すると
同時
(
どうじ
)
に、
149
将来
(
しやうらい
)
の
聯盟
(
れんめい
)
を
益々
(
ますます
)
鞏固
(
きようこ
)
にせむものと
協議
(
けふぎ
)
を
重
(
かさ
)
ね、
150
僧参
(
そうさん
)
問題
(
もんだい
)
は
下院
(
かゐん
)
請願
(
せいぐわん
)
委員会
(
いいんくわい
)
に
於
(
おい
)
て、
151
参考
(
さんかう
)
として
本会議
(
ほんくわいぎ
)
に
送附
(
そうふ
)
することとなり、
152
境内
(
けいだい
)
還附
(
くわんぷ
)
問題
(
もんだい
)
も
本会議
(
ほんくわいぎ
)
で
片付
(
かたづ
)
けようと
意気巻
(
いきま
)
いてゐる。
153
又
(
また
)
海外
(
かいぐわい
)
にては
独逸
(
ドイツ
)
政府
(
せいふ
)
はバーデン
地方
(
ちはう
)
の
占領
(
せんりやう
)
に
対
(
たい
)
し、
154
仏国
(
ふつこく
)
に
抗議
(
かうぎ
)
した。
155
独逸
(
ドイツ
)
食糧
(
しよくりやう
)
大臣
(
だいじん
)
ルーテル
氏
(
し
)
は
仏国
(
ふつこく
)
の
行動
(
かうどう
)
により、
156
ルール
地方
(
ちはう
)
の
鉄道
(
てつだう
)
交通
(
かうつう
)
中止
(
ちゆうし
)
とならば、
157
同地方
(
どうちはう
)
住民
(
ぢうみん
)
に
食糧
(
しよくりやう
)
の
定期
(
ていき
)
供給
(
きようきふ
)
をする
為
(
ため
)
自動車
(
じどうしや
)
の
用意
(
ようい
)
をした。
158
一方
(
いつぱう
)
仏軍
(
ふつぐん
)
はエルベルフエルド
地方
(
ちはう
)
に
対
(
たい
)
し、
159
侵入
(
しんにふ
)
を
継続
(
けいぞく
)
し、
160
独逸人
(
ドイツじん
)
は
食糧
(
しよくりやう
)
殊
(
こと
)
に
馬糧
(
ばりやう
)
及
(
および
)
家具
(
かぐ
)
の
徴発
(
ちようはつ
)
益々
(
ますます
)
急
(
きふ
)
なる
為
(
ため
)
、
161
甚
(
はなはだ
)
しく
困窮
(
こんきう
)
してゐる。
162
生活
(
せいくわつ
)
必要品
(
ひつえうひん
)
の
価格
(
かかく
)
は
絶
(
た
)
えず
騰貴
(
とうき
)
してゐる。
163
又
(
また
)
英国
(
えいこく
)
政府
(
せいふ
)
は
巴里
(
パリー
)
当局
(
たうきよく
)
に
対
(
たい
)
し、
164
土耳古
(
トルコ
)
に
対
(
たい
)
する
一定
(
いつてい
)
の
定案
(
ていあん
)
は
之
(
こ
)
れある
事
(
こと
)
を
諷刺
(
ふうし
)
した。
165
併
(
しか
)
しローザンヌ
会議
(
くわいぎ
)
は
此
(
この
)
上
(
うへ
)
継続
(
けいぞく
)
する
事
(
こと
)
は
拒絶
(
きよぜつ
)
した。
166
印度
(
いんど
)
より
派遣
(
はけん
)
された
英国
(
えいこく
)
の
数個
(
すうこ
)
大隊
(
だいたい
)
は、
167
モスール
油田
(
ゆでん
)
に
向
(
むか
)
ふ
様
(
やう
)
命令
(
めいれい
)
に
接
(
せつ
)
した。
168
併
(
しか
)
しバリマタン
紙
(
し
)
はかかる
手段
(
しゆだん
)
で
英国
(
えいこく
)
が
土耳古
(
トルコ
)
を
能
(
よ
)
く
脅迫
(
けふはく
)
し
得
(
う
)
るやを
疑
(
うたが
)
つてゐる。
169
一方
(
いつぱう
)
土耳古
(
トルコ
)
が
種々
(
しゆじゆ
)
威喝
(
ゐかつ
)
した
試
(
こころ
)
みを
意
(
い
)
とせず、
170
英国
(
えいこく
)
海軍
(
かいぐん
)
は
十分
(
じふぶん
)
なる
着弾
(
ちやくだん
)
距離
(
きより
)
を
備
(
そな
)
へた
軍艦
(
ぐんかん
)
二隻
(
にせき
)
をスミルナに
派遣
(
はけん
)
した。
171
英国
(
えいこく
)
商議院
(
しやうぎゐん
)
総裁
(
そうさい
)
ロイドブリーム
其
(
その
)
他
(
た
)
ロンドンの
主
(
おも
)
なる
政客中
(
せいきやくちう
)
、
172
英国
(
えいこく
)
がメソポタミヤより
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
く
事
(
こと
)
を
主張
(
しゆちやう
)
し、
173
同地
(
どうち
)
に
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
す
事
(
こと
)
は
性質
(
せいしつ
)
不良
(
ふりやう
)
にして
危険
(
きけん
)
であると
云
(
い
)
つてゐる。
174
尤
(
もつと
)
も
英
(
えい
)
、
175
仏
(
ふつ
)
、
176
米
(
べい
)
三国
(
さんこく
)
とも、
177
土耳古
(
トルコ
)
がスミルナより
外国
(
ぐわいこく
)
軍艦
(
ぐんかん
)
の
退去
(
たいきよ
)
を
要求
(
えうきう
)
したるには
反対
(
はんたい
)
してゐると、
178
電通
(
でんつう
)
ロンドン
特電
(
とくでん
)
九日
(
ここのか
)
発
(
はつ
)
にて、
179
新聞紙
(
しんぶんし
)
に
記載
(
きさい
)
されてある。
180
又
(
また
)
米国
(
べいこく
)
下院
(
かゐん
)
の
移民
(
いみん
)
委員会
(
ゐゐんくわい
)
は、
181
市民権
(
しみんけん
)
獲得
(
くわくとく
)
の
資格
(
しかく
)
なき
者
(
もの
)
の
米国
(
べいこく
)
入国
(
にふこく
)
禁止
(
きんし
)
法案
(
はふあん
)
に
関
(
くわん
)
する
報告
(
はうこく
)
をした。
182
因
(
ちなみ
)
に
米国
(
べいこく
)
大審院
(
だいしんゐん
)
は
最近
(
さいきん
)
日本人
(
にほんじん
)
は
米国
(
べいこく
)
人民
(
じんみん
)
たるを
得
(
え
)
ずといふ
判決
(
はんけつ
)
を
下
(
くだ
)
した。
183
右
(
みぎ
)
の
排日
(
はいにち
)
法案
(
はふあん
)
は
千八百
(
せんはつぴやく
)
九十
(
きうじふ
)
年
(
ねん
)
に
母国
(
ぼこく
)
を
離
(
はな
)
れて
米国
(
べいこく
)
に
移住
(
いぢう
)
せる
国民
(
こくみん
)
の
未亡人
(
みばうじん
)
等
(
とう
)
を
除
(
のぞ
)
く
外
(
ほか
)
、
184
すべての
者
(
もの
)
に
制限
(
せいげん
)
を
加
(
くは
)
ふるものであると、
185
合同
(
がふどう
)
ワシントン
十日
(
とをか
)
発電
(
はつでん
)
に
現
(
あら
)
はれてゐる。
186
仏軍
(
ふつぐん
)
は
更
(
さら
)
に
独逸
(
ドイツ
)
の
西南
(
せいなん
)
及
(
および
)
西北
(
せいほく
)
に
亘
(
わた
)
る
各地点
(
かくちてん
)
を
占領
(
せんりやう
)
し、
187
オツフエンベルヒ
及
(
および
)
アンテムワイアールに
来
(
き
)
た。
188
此
(
これ
)
等
(
ら
)
地方
(
ちはう
)
住民
(
ぢうみん
)
代表者
(
だいへうしや
)
や
市長
(
しちやう
)
等
(
ら
)
はバーデインに
会合
(
くわいがふ
)
し、
189
協議
(
けふぎ
)
する
所
(
ところ
)
があつた。
190
独逸
(
ドイツ
)
大統領
(
だいとうりやう
)
エベルト
氏
(
し
)
は
外国
(
ぐわいこく
)
の
暴戻
(
ばうれい
)
なる
圧迫
(
あつぱく
)
の
下
(
もと
)
には
少
(
すこ
)
しも
屈
(
くつ
)
する
所
(
ところ
)
なく
守勢
(
しゆせい
)
的
(
てき
)
反抗
(
はんかう
)
を
継続
(
けいぞく
)
する
手筈
(
てはず
)
を
整
(
ととの
)
へた。
191
尤
(
もつと
)
も
仏国
(
ふつこく
)
の
占領
(
せんりやう
)
地域
(
ちゐき
)
に
於
(
おい
)
ては、
192
追放
(
つゐはう
)
逮捕
(
たいほ
)
相次
(
あひつ
)
ぎ
旅客
(
りよきやく
)
列車
(
れつしや
)
は
閉鎖
(
へいさ
)
され、
193
郵便物
(
ゆうびんぶつ
)
の
押収
(
おうしう
)
も
頻々
(
ひんぴん
)
と
起
(
おこ
)
つてゐる。
194
生活費
(
せいくわつひ
)
、
195
必要品
(
ひつえうひん
)
の
価格
(
かかく
)
は
仏軍
(
ふつぐん
)
が
未
(
いま
)
だ
占領
(
せんりやう
)
しなかつた
一箇月
(
いつかげつ
)
前
(
ぜん
)
に
比
(
ひ
)
し
四百倍
(
しひやくばい
)
に
昂騰
(
かうとう
)
した。
196
而
(
しか
)
して
仏軍
(
ふつぐん
)
は
去
(
さ
)
る
八日
(
やうか
)
初
(
はじ
)
めて
白耳義
(
ベルギー
)
に
向
(
む
)
け、
197
石炭
(
せきたん
)
を
三列車
(
さんれつしや
)
輸送
(
ゆそう
)
するを
得
(
え
)
たと、
198
電通
(
でんつう
)
ロンドン
特電
(
とくでん
)
十日
(
とをか
)
発
(
はつ
)
にて
報告
(
はうこく
)
されてゐる。
199
又
(
また
)
電通
(
でんつう
)
巴里
(
パリー
)
特電
(
とくでん
)
十日
(
とをか
)
発
(
はつ
)
に
依
(
よ
)
れば、
200
ルール
地方
(
ちはう
)
に
於
(
お
)
ける
形勢
(
けいせい
)
に
関
(
くわん
)
し、
201
仏国
(
ふつこく
)
首相
(
しゆしやう
)
ポアンカレーは、
202
代議院
(
だいぎゐん
)
外交
(
ぐわいかう
)
委員会
(
ゐゐんくわい
)
の
要求
(
えうきう
)
にかかる
報道
(
ほうだう
)
を
拒絶
(
きよぜつ
)
した
為
(
ため
)
に、
203
巴里
(
パリー
)
にては
人心
(
じんしん
)
震動
(
しんどう
)
したと
伝
(
つた
)
へてゐる。
204
其
(
その
)
他
(
た
)
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
のいまはしき
報道
(
ほうだう
)
は
全紙面
(
ぜんしめん
)
を
埋
(
うづ
)
め、
205
世界
(
せかい
)
は
宛然
(
さながら
)
地獄
(
ぢごく
)
餓鬼
(
がき
)
畜生
(
ちくしやう
)
修羅
(
しゆら
)
の
光景
(
くわうけい
)
を
暴露
(
ばくろ
)
してゐる
有様
(
ありさま
)
である。
206
今後
(
こんご
)
忌
(
いま
)
はしき
諸種
(
しよしゆ
)
の
出来事
(
できごと
)
は
何処
(
どこ
)
まで
発展
(
はつてん
)
するか
測
(
はか
)
り
知
(
し
)
る
可
(
べか
)
らざるものがある。
207
吾人
(
ごじん
)
は
大神
(
おほかみ
)
の
神示
(
しんじ
)
に
仍
(
よ
)
つて、
208
前途
(
ぜんと
)
の
暗澹
(
あんたん
)
たる
光景
(
くわうけい
)
を
洞察
(
どうさつ
)
し、
209
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
に
憂慮
(
いうりよ
)
に
堪
(
た
)
へざるものである。
210
故
(
ゆゑ
)
に
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
世界
(
せかい
)
の
人類
(
じんるゐ
)
に
対
(
たい
)
し、
211
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
の
福音
(
ふくいん
)
を
伝達
(
でんたつ
)
し、
212
無明
(
むみやう
)
暗黒
(
あんこく
)
の
現代
(
げんだい
)
をして、
213
神慮
(
しんりよ
)
に
叶
(
かな
)
へる
黄金
(
わうごん
)
時代
(
じだい
)
に
化
(
くわ
)
せしめんと、
214
昼夜
(
ちうや
)
寝食
(
しんしよく
)
を
忘
(
わす
)
れて、
215
之
(
こ
)
れに
従事
(
じゆうじ
)
しつつあるのである。
216
ああされど、
217
地獄道
(
ぢごくだう
)
に
霊
(
みたま
)
の
籍
(
せき
)
を
置
(
お
)
ける
当局者
(
たうきよくしや
)
を
始
(
はじ
)
め、
218
現代人
(
げんだいじん
)
は
自然愛
(
しぜんあい
)
と
世間愛
(
せけんあい
)
のみに
惑溺
(
わくでき
)
し、
219
神
(
かみ
)
の
光明
(
くわうみやう
)
に
反
(
そむ
)
き、
220
智慧
(
ちゑ
)
証覚
(
しようかく
)
を
曇
(
くも
)
らせ
居
(
を
)
れば、
221
如何
(
いか
)
なる
大声
(
たいせい
)
叱呼
(
しつこ
)
の
喊声
(
かんせい
)
も、
222
雷霆
(
らいてい
)
の
響
(
ひびき
)
も、
223
警鐘
(
けいしよう
)
乱打
(
らんだ
)
の
声
(
こゑ
)
も、
224
到底
(
たうてい
)
耳
(
みみ
)
には
透
(
とほ
)
らない
悲
(
かな
)
しむべき
世態
(
せたい
)
である。
225
記
(
しる
)
して
以
(
もつ
)
て
後日
(
ごじつ
)
の
参考
(
さんかう
)
に
供
(
きよう
)
するのみ。
226
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
227
大正十二年二月十二日(旧十一年十二月廿七日)
228
於竜宮館 王仁識
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