霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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総説(そうせつ)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻 篇:前付 よみ(新仮名遣い):
章:総説 よみ(新仮名遣い):そうせつ 通し章番号:
口述日:1923(大正12)年02月12日(旧12月27日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月8日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
回顧すれば、今から三年前(満二年)の今月今日(二月十二日)は大本にとってもっとも深刻な記念日である。大阪梅田の大正日日新聞の本社社長として大活躍を試みていた折りしも、突然二三の冥使にさらわれて、牢獄の中に収容された日である。
裏の筆先にも、大正十年は変性女子の身魂にとって後にも先にもないエライ事ができる年であるが、節分祭が済んだら女子の肉体を神が連れ参る、と示されてあった。
それから世界は御神示のごとく時々刻々と変転し、満二年を経た今日、新聞に取り上げられている主な事実を挙げても、実に今昔の感に打たれざるを得ないのである。
普通選挙の実施を求める運動、労働運動、浄土宗内の内紛、ローマ法王庁使節交換への仏教界の反発、フランスによるバーデン地方占領とドイツとの対立、メソポタミヤにおける欧米諸国とトルコの対立、アメリカでの排日運動の高まり等、いまわしき報道が全紙面を埋め、世界はさながら地獄餓鬼畜生修羅の光景を暴露している有様である。
吾人は大神の神示によって前途の暗澹たる光景を洞察し、世界のために憂慮に堪えざるものである。ゆえに一日も早く世界の人類に対し五六七神政の福音を伝達せんと昼夜寝食を忘れてこれに従事しつつある。
されど、地獄道に霊の籍を置ける当局者をはじめ、現代人は自然愛と世間愛のみに惑溺し、神の光明にそむき、智慧証覚を曇らせている。いかなる大声叱呼の喊声も、雷霆の響きも、継承乱打の声も、とうてい耳には透らない悲しむべき世態である。
記してもって後日の参考に供する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-03-03 08:07:17 OBC :rm530002
愛善世界社版:3頁 八幡書店版:第9輯 501頁 修補版: 校定版:3頁 普及版:1頁 初版: ページ備考:
001 回顧(くわいこ)すれば(いま)より(さん)(ねん)以前(いぜん)(まん)()(ねん))の今月(こんげつ)今日(こんにち)(わが)大本(おほもと)()りて、002(もつと)深刻(しんこく)なる記念日(きねんび)である。003都鄙(とひ)十万(じふまん)読者(どくしや)(たい)して、004大責任(だいせきにん)()ひ、005大大阪(だいおほさか)玄関口(げんくわんぐち)006梅田(うめだ)大正(たいしやう)日々(にちにち)新聞(しんぶん)本社(ほんしや)(おい)て、007社長(しやちやう)として大活躍(だいくわつやく)(こころ)みて()(をり)しも、008突然(とつぜん)二三(にさん)冥使(めいし)(ため)(さら)はれて、009インフアナル英語 infernal 「地獄のような」とか「悪魔のような」という意味の形容詞。ただしここでは名詞の inferno(インフェルノ)=地獄のことだと思われる。(ひと)しき牢獄(ひとや)(なか)収容(しうよう)された()である。010(うら)筆先(ふでさき)に……大正(たいしやう)(じふ)(ねん)変性(へんじやう)女子(によし)身魂(みたま)()りて、011(あと)にも(さき)にもないエライ(こと)出来(でき)(とし)であるぞよ。012節分祭(せつぶんさい)()みたら、013女子(によし)肉体(にくたい)(かみ)()(まゐ)るから、014心配(しんぱい)して(くだ)さるなよ。015(たれ)もお(とも)(ゆる)さんぞよ。016(あと)には金勝要(きんかつかねの)(かみ)017木花(このはな)咲耶姫(さくやひめ)御魂(みたま)()守護(しゆご)あるに()つて、018役員(やくゐん)安心(あんしん)して御用(ごよう)をして(くだ)されよ……と(しめ)されてあつた。019(しか)(なが)過去(くわこ)繰返(くりかへ)すは(あま)気分(きぶん)()いものでないから、020(その)(とき)事情(じじやう)省略(しやうりやく)する。
021 世界(せかい)()神示(しんじ)(ごと)く、022時々(じじ)刻々(こくこく)変転(へんてん)し、023(まん)二箇(にか)(ねん)()たる今日(こんにち)024新聞紙(しんぶんし)()つて紀元節(きげんせつ)当日(たうじつ)内外(ないぐわい)出来事(できごと)(ちう)025(その)(おも)なるものを()ぐれば、026(じつ)今昔(こんじやく)(かん)()たれざるを()ないのである。027首相(しゆしやう)枢府(すうふ)容易(ようい)ならざる会見(くわいけん)問題(もんだい)028(および)貴族院(きぞくゐん)外交(ぐわいかう)問題(もんだい)追及(つゐきふ)()いて、029政府側(せいふがは)(おほい)狼狽(らうばい)し、030研究会(けんきうくわい)泣付(なきつ)いて、031(この)難関(なんくわん)切抜(きりぬ)けんとしてゐる。032幸無(かうむ)両派(りやうは)(また)密々(みつみつ)凝議(ぎようぎ)して外交(ぐわいかう)振粛(しんしゆく)(みち)(かう)ずるあり。033全国(ぜんこく)普選(ふせん)論者(ろんしや)は、034普選(ふせん)即行(そくかう)宣言(せんげん)決行(けつかう)をなして、035東京(とうきやう)での普選(ふせん)聯合(れんがふ)(だい)懇親会(こんしんくわい)席上(せきじやう)にて()(ごと)熱弁(ねつべん)(ふる)ひ、036満場(まんぢやう)白熱化(はくねつくわ)するあり、037東京(とうきやう)038名古屋(なごや)039岡山(をかやま)040福岡(ふくをか)041八幡(やはた)などにては、042(おほい)気勢(きせい)()げ、043事態(じたい)容易(ようい)ならざる形勢(けいせい)(しめ)して()る。044労働(らうどう)総同盟(そうどうめい)向上会(かうじやうくわい)一派(いつぱ)四千(よんせん)(めい)045朝鮮人(てうせんじん)二百(にひやく)(めい)先頭(せんとう)に、046警戒線(けいかいせん)(やぶ)つて警官隊(けいくわんたい)(あらそ)ふあり。047社会(しやくわい)主義者(しゆぎしや)検束(けんそく)東京(とうきやう)(だけ)にて三千(さんぜん)(めい)大衆(たいしう)(およ)び、048(また)八幡(やはた)官労(くわんらう)示威(じゐ)行列(ぎやうれつ)三千(さんぜん)(めい)049待伏(まちぶ)せに社会(しやくわい)主義者(しゆぎしや)(あら)はれ、050ビラを撒布(さんぷ)数名(すうめい)引致(いんち)され、051もと労友会(らういうくわい)(ちやう)浅原(あさはら)健三(けんざう)八幡市(やはたし)暴漢(ばうかん)襲撃(しふげき)され、052瀕死(ひんし)重傷(ぢうしやう)()ふあり。053農民(のうみん)大会(たいくわい)にては…土地(とち)国有(こくいう)にせよ、054(しか)して管理権(くわんりけん)小作人(こさくにん)(あた)へよ、055医術(いじゆつ)国有(こくいう)にせよ…と決議(けつぎ)をなし、056全国(ぜんこく)百五十(ひやくごじふ)(まん)所謂(いはゆる)部落民(ぶらくみん)は…自分(じぶん)たちも水平線(すいへいせん)(じやう)(うか)()たいもの…と主張(しゆちやう)し、057(その)運動(うんどう)(いよいよ)熾烈(しれつ)となつたが、058折角(せつかく)努力(どりよく)相互(さうご)意思(いし)疎通(そつう)せず(かへつ)反感(はんかん)()すのみにて、059収拾(しうしふ)(べか)らざる破目(はめ)になり、060内務省(ないむしやう)非常(ひじやう)(あたま)(なや)まして()る。061(たち)(わる)流行性(りうかうせい)感冒(かんばう)猖獗(しやうけつ)(きは)め、062内務省(ないむしやう)からは各府県(かくふけん)通牒(つうてふ)(はつ)し、063(その)予防(よばう)苦心(くしん)してゐる。064浄土宗(じやうどしう)内訌(ないこう)爆発(ばくはつ)し、065宗会(しうかい)選挙(せんきよ)紛擾(ふんぜう)066(いよいよ)大袈裟(おほげさ)となつてゐる。067返咲(かへりざき)農村(のうそん)振興策(しんこうさく)(また)一頓挫(いちとんざ)し、068陸縮(りくしゆく)憲政案(けんせいあん)(つひ)延期(えんき)となつて(しま)つた。069普選(ふせん)聯合(れんがふ)(だい)懇親会(こんしんくわい)では、070(たすき)がけの暴漢(ばうかん)が、071木剣(ぼくけん)鶴嘴(つるばし)()つて、072会場(くわいぢやう)突入(とつにふ)し、073大乱闘(だいらんとう)(はじ)め、074負傷者(ふしやうしや)(いだ)し、075阿鼻(あび)叫喚場(けうくわんぢやう)(くわ)した。076労働団(らうどうだん)気勢(きせい)益々(ますます)(はげ)しく、077示威(じゐ)運動(うんどう)各地(かくち)(おこ)り、078在野党(ざいやたう)からは警視庁(けいしちやう)(むか)つて、079会場(くわいぢやう)不法(ふはふ)取締(とりしまり)難詰(なんきつ)問題(もんだい)持出(もちだ)すあり。080羅馬(ローマ)法王庁(はふわうちやう)使節(しせつ)派遣(はけん)問題(もんだい)()き、081外務省(がいむしやう)弁明(べんめい)(まう)(やぶ)らんとし、082姉崎(あねざき)083吉村(よしむら)(りやう)博士(はかせ)弁護論(べんごろん)矛盾(むじゆん)駁撃(ばくげき)するあり、084京都(きやうと)無産者(むさんしや)大会(たいくわい)にては、085時代(じだい)(はん)する悪法(あくはふ)たる、086過激(くわげき)社会(しやくわい)運動(うんどう)取締法案(とりしまりはふあん)087労働(らうどう)組合(くみあひ)法案(はふあん)088小作(こさく)争議(さうぎ)調停(てうてい)法案(はふあん)反対(はんたい)狼火(のろし)をあぐべく、089岡崎市(をかざきし)公会堂(こうくわいだう)で、090京都(きやうと)無産者(むさんしや)大会(たいくわい)銘打(めいう)つて、091激烈(げきれつ)なる演説会(えんぜつくわい)(ひら)いた。092西陣(にしぢん)織友会(しよくいうくわい)093京都(きやうと)印刷工(いんさつこう)組合(くみあひ)有志(いうし)094京都(きやうと)水平社(すいへいしや)有志(いうし)095日本(にほん)労働(らうどう)同盟(どうめい)096(その)()参加(さんか)数団体(すうだんたい)では、097当日(たうじつ)大会(たいくわい)気勢(きせい)(あふ)るべく、098午前中(ごぜんちう)八台(はちだい)自動車(じどうしや)()ばして、099市内(しない)要所(えうしよ)々々(えうしよ)に、100数万(すうまん)(まい)宣伝(せんでん)ビラを撒布(さんぷ)し、101時間(じかん)(とも)喊声(かんせい)()げつつ大会(たいくわい)会場(くわいぢやう)繰込(くりこ)んだ。102一方(いつぱう)警察部(けいさつぶ)ではそれが(ため)異常(いじやう)狼狽(らうばい)(きた)し、103()高等課(かうとうくわ)では、104早朝(さうてう)から所轄(しよかつ)川端署(かはばたしよ)陣取(ぢんど)つて、105(すご)()をギヨロつかせてる(ほか)106別室(べつしつ)には市内(しない)各署(かくしよ)高等(かうとう)刑事(けいじ)(れん)(ひたひ)(あつ)めて、107重大(ぢゆうだい)らしく(かま)()み、108久家(きうか)別室(べつしつ)主任(しゆにん)(つくゑ)(うへ)には各方面(かくはうめん)から時々(じじ)刻々(こくこく)(あつ)まつて()報告(はうこく)書類(しよるゐ)(うづだか)()まれ、109主任者(しゆにんしや)(あを)(かほ)をして(あたま)をひねくるなど、110市内(しない)高等(かうとう)警察(けいさつ)総出(そうで)(だい)警戒(けいかい)(ぶり)(じつ)仰々(ぎやうぎやう)しい(こと)である。111十一(じふいち)(にち)正午(しやうご)から岡崎(をかざき)公園(こうゑん)()公会堂(こうくわいだう)(ひら)かれた無産者(むさんしや)大会(たいくわい)は、112朝来(てうらい)自動車(じどうしや)(もつ)て、113市中(しちう)宣伝(せんでん)ビラを配布(はいふ)したのと、114祭日(さいじつ)日曜(にちえう)(こと)とて、115十一(じふいち)()(ごろ)から(はや)昼飯(ひるめし)をすまして、116電車(でんしや)徒歩(とほ)押寄(おしよ)せる群衆(ぐんしう)(ひき)()らず、117十二(じふに)()には(すで)会堂(くわいだう)大半(たいはん)(うづ)むる盛況(せいきやう)(てい)してゐたが、118万一(まんいち)(おもんぱか)つてゐる()警察部(けいさつぶ)では、119(その)警戒(けいかい)(ため)120市内(しない)非番(ひばん)巡査(じゆんさ)全部(ぜんぶ)召集(せうしふ)し、121(ぢやう)内外(ないぐわい)警戒(けいかい)する、122(その)物々(ものもの)しさ、123(かり)川端署(かはばたしよ)たる妙伝寺(めうでんじ)境内(けいだい)では焚火(たきび)をなして、124サーベル(れん)(これ)(かこ)んでゐる有様(ありさま)は、125宛然(さながら)戦場(せんぢやう)(おも)はしめるものがあつたと報告(はうこく)してゐる。126大正(たいしやう)(じふ)(ねん)今月(こんげつ)今日(こんにち)二百(にひやく)数十(すうじふ)(にん)のサーベル(れん)()(かこ)(ふる)(なが)ら、127どこかの境内(けいだい)()らざるおせつかいをやつてゐた(こと)(おも)()すと、128(じつ)面白(おもしろ)対象(たいしやう)であると(おも)ふ。129(ひがし)本願寺(ほんぐわんじ)大谷(おほたに)光瑩(くわうえい)(はく)遺骸(ゐがい)(いよいよ)東京(とうきやう)から本山(ほんざん)(ちやく)し、130京都駅(きやうとえき)(むか)へた三百余(さんびやくよ)坊主(ばうず)前後(ぜんご)(まも)られて、131手輿(てごし)移乗(いじやう)され、132黄色(きいろ)水干(すゐかん)(まと)つた十二(じふに)(めい)力者(りきしや)(かつ)()げられると、133(ただち)(れつ)(ととの)へて本山(ほんざん)(むか)ふ、134駅頭(えきとう)からは七条署(しちでうしよ)前田(まへだ)警部(けいぶ)(うやうや)しく()先頭(せんとう)(つと)めた。
135 (つぎ)全国(ぜんこく)仏教(ぶつけう)管長(くわんちやう)東京(とうきやう)(あつ)まり、136羅馬(ローマ)法王庁(はふわうちやう)使節(しせつ)交換(かうくわん)反対(はんたい)運動(うんどう)(やうや)(かう)(そう)し、137十二(じふに)(にち)下院(かゐん)予算(よさん)委員(ゐゐん)総会(そうくわい)(おい)て、138該案(がいあん)削除(さくぢよ)され、139(いよいよ)十三(じふさん)(にち)から本会議(ほんくわいぎ)にかかる(はず)であるが、140(これ)大多数(だいたすう)にて削除(さくぢよ)さるる(こと)確定(かくてい)し、141貴族院(きぞくゐん)(おい)(がい)予算案(よさんあん)復活(ふくくわつ)する(やう)なことはなからうと(おも)はれる。142(みぎ)次第(しだい)により、143仏教(ぶつけう)聯合会(れんがふくわい)にては、144十四日(じふよつか)伏見(ふしみ)元帥宮(げんすゐのみや)国葬(こくさう)には各宗教(かくしうけう)管長(くわんちやう)参列(さんれつ)(うなが)し、145(これ)同時(どうじ)十五(じふご)(にち)午前(ごぜん)(じふ)()より、146(しば)増上寺(ぞうじやうじ)にて、147各宗(かくしう)管長(くわんちやう)会議(くわいぎ)(ひら)き、148本問題(ほんもんだい)経過(けいくわ)報告(はうこく)すると同時(どうじ)に、149将来(しやうらい)聯盟(れんめい)益々(ますます)鞏固(きようこ)にせむものと協議(けふぎ)(かさ)ね、150僧参(そうさん)問題(もんだい)下院(かゐん)請願(せいぐわん)委員会(いいんくわい)(おい)て、151参考(さんかう)として本会議(ほんくわいぎ)送附(そうふ)することとなり、152境内(けいだい)還附(くわんぷ)問題(もんだい)本会議(ほんくわいぎ)片付(かたづ)けようと意気巻(いきま)いてゐる。153(また)海外(かいぐわい)にては独逸(ドイツ)政府(せいふ)はバーデン地方(ちはう)占領(せんりやう)(たい)し、154仏国(ふつこく)抗議(かうぎ)した。155独逸(ドイツ)食糧(しよくりやう)大臣(だいじん)ルーテル()仏国(ふつこく)行動(かうどう)により、156ルール地方(ちはう)鉄道(てつだう)交通(かうつう)中止(ちゆうし)とならば、157同地方(どうちはう)住民(ぢうみん)食糧(しよくりやう)定期(ていき)供給(きようきふ)をする(ため)自動車(じどうしや)用意(ようい)をした。158一方(いつぱう)仏軍(ふつぐん)はエルベルフエルド地方(ちはう)(たい)し、159侵入(しんにふ)継続(けいぞく)し、160独逸人(ドイツじん)食糧(しよくりやう)(こと)馬糧(ばりやう)(および)家具(かぐ)徴発(ちようはつ)益々(ますます)(きふ)なる(ため)161(はなはだ)しく困窮(こんきう)してゐる。162生活(せいくわつ)必要品(ひつえうひん)価格(かかく)()えず騰貴(とうき)してゐる。163(また)英国(えいこく)政府(せいふ)巴里(パリー)当局(たうきよく)(たい)し、164土耳古(トルコ)(たい)する一定(いつてい)定案(ていあん)()れある(こと)諷刺(ふうし)した。165(しか)しローザンヌ会議(くわいぎ)(この)(うへ)継続(けいぞく)する(こと)拒絶(きよぜつ)した。166印度(いんど)より派遣(はけん)された英国(えいこく)数個(すうこ)大隊(だいたい)は、167モスール油田(ゆでん)(むか)(やう)命令(めいれい)(せつ)した。168(しか)しバリマタン()はかかる手段(しゆだん)英国(えいこく)土耳古(トルコ)()脅迫(けふはく)()るやを(うたが)つてゐる。169一方(いつぱう)土耳古(トルコ)種々(しゆじゆ)威喝(ゐかつ)した(こころ)みを()とせず、170英国(えいこく)海軍(かいぐん)十分(じふぶん)なる着弾(ちやくだん)距離(きより)(そな)へた軍艦(ぐんかん)二隻(にせき)をスミルナに派遣(はけん)した。171英国(えいこく)商議院(しやうぎゐん)総裁(そうさい)ロイドブリーム(その)()ロンドンの(おも)なる政客中(せいきやくちう)172英国(えいこく)がメソポタミヤより()()(こと)主張(しゆちやう)し、173同地(どうち)()()(こと)性質(せいしつ)不良(ふりやう)にして危険(きけん)であると()つてゐる。174(もつと)(えい)175(ふつ)176(べい)三国(さんこく)とも、177土耳古(トルコ)がスミルナより外国(ぐわいこく)軍艦(ぐんかん)退去(たいきよ)要求(えうきう)したるには反対(はんたい)してゐると、178電通(でんつう)ロンドン特電(とくでん)九日(ここのか)(はつ)にて、179新聞紙(しんぶんし)記載(きさい)されてある。180(また)米国(べいこく)下院(かゐん)移民(いみん)委員会(ゐゐんくわい)は、181市民権(しみんけん)獲得(くわくとく)資格(しかく)なき(もの)米国(べいこく)入国(にふこく)禁止(きんし)法案(はふあん)(くわん)する報告(はうこく)をした。182(ちなみ)米国(べいこく)大審院(だいしんゐん)最近(さいきん)日本人(にほんじん)米国(べいこく)人民(じんみん)たるを()ずといふ判決(はんけつ)(くだ)した。183(みぎ)排日(はいにち)法案(はふあん)千八百(せんはつぴやく)九十(きうじふ)(ねん)母国(ぼこく)(はな)れて米国(べいこく)移住(いぢう)せる国民(こくみん)未亡人(みばうじん)(とう)(のぞ)(ほか)184すべての(もの)制限(せいげん)(くは)ふるものであると、185合同(がふどう)ワシントン十日(とをか)発電(はつでん)(あら)はれてゐる。
186 仏軍(ふつぐん)(さら)独逸(ドイツ)西南(せいなん)(および)西北(せいほく)(わた)各地点(かくちてん)占領(せんりやう)し、187オツフエンベルヒ(および)アンテムワイアールに()た。188(これ)()地方(ちはう)住民(ぢうみん)代表者(だいへうしや)市長(しちやう)()はバーデインに会合(くわいがふ)し、189協議(けふぎ)する(ところ)があつた。190独逸(ドイツ)大統領(だいとうりやう)エベルト()外国(ぐわいこく)暴戻(ばうれい)なる圧迫(あつぱく)(もと)には(すこ)しも(くつ)する(ところ)なく守勢(しゆせい)(てき)反抗(はんかう)継続(けいぞく)する手筈(てはず)(ととの)へた。191(もつと)仏国(ふつこく)占領(せんりやう)地域(ちゐき)(おい)ては、192追放(つゐはう)逮捕(たいほ)相次(あひつ)旅客(りよきやく)列車(れつしや)閉鎖(へいさ)され、193郵便物(ゆうびんぶつ)押収(おうしう)頻々(ひんぴん)(おこ)つてゐる。194生活費(せいくわつひ)195必要品(ひつえうひん)価格(かかく)仏軍(ふつぐん)(いま)占領(せんりやう)しなかつた一箇月(いつかげつ)(ぜん)()四百倍(しひやくばい)昂騰(かうとう)した。196(しか)して仏軍(ふつぐん)()八日(やうか)(はじ)めて白耳義(ベルギー)()け、197石炭(せきたん)三列車(さんれつしや)輸送(ゆそう)するを()たと、198電通(でんつう)ロンドン特電(とくでん)十日(とをか)(はつ)にて報告(はうこく)されてゐる。199(また)電通(でんつう)巴里(パリー)特電(とくでん)十日(とをか)(はつ)()れば、200ルール地方(ちはう)()ける形勢(けいせい)(くわん)し、201仏国(ふつこく)首相(しゆしやう)ポアンカレーは、202代議院(だいぎゐん)外交(ぐわいかう)委員会(ゐゐんくわい)要求(えうきう)にかかる報道(ほうだう)拒絶(きよぜつ)した(ため)に、203巴里(パリー)にては人心(じんしん)震動(しんどう)したと(つた)へてゐる。204(その)()種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)のいまはしき報道(ほうだう)全紙面(ぜんしめん)(うづ)め、205世界(せかい)宛然(さながら)地獄(ぢごく)餓鬼(がき)畜生(ちくしやう)修羅(しゆら)光景(くわうけい)暴露(ばくろ)してゐる有様(ありさま)である。206今後(こんご)(いま)はしき諸種(しよしゆ)出来事(できごと)何処(どこ)まで発展(はつてん)するか(はか)()(べか)らざるものがある。207吾人(ごじん)大神(おほかみ)神示(しんじ)()つて、208前途(ぜんと)暗澹(あんたん)たる光景(くわうけい)洞察(どうさつ)し、209世界(せかい)(ため)憂慮(いうりよ)()へざるものである。210(ゆゑ)(いち)(にち)(はや)世界(せかい)人類(じんるゐ)(たい)し、211五六七(みろく)神政(しんせい)福音(ふくいん)伝達(でんたつ)し、212無明(むみやう)暗黒(あんこく)現代(げんだい)をして、213神慮(しんりよ)(かな)へる黄金(わうごん)時代(じだい)(くわ)せしめんと、214昼夜(ちうや)寝食(しんしよく)(わす)れて、215()れに従事(じゆうじ)しつつあるのである。
216 ああされど、217地獄道(ぢごくだう)(みたま)(せき)()ける当局者(たうきよくしや)(はじ)め、218現代人(げんだいじん)自然愛(しぜんあい)世間愛(せけんあい)のみに惑溺(わくでき)し、219(かみ)光明(くわうみやう)(そむ)き、220智慧(ちゑ)証覚(しようかく)(くも)らせ()れば、221如何(いか)なる大声(たいせい)叱呼(しつこ)喊声(かんせい)も、222雷霆(らいてい)(ひびき)も、223警鐘(けいしよう)乱打(らんだ)(こゑ)も、224到底(たうてい)(みみ)には(とほ)らない(かな)しむべき世態(せたい)である。225(しる)して(もつ)後日(ごじつ)参考(さんかう)(きよう)するのみ。226ああ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
227   大正十二年二月十二日(旧十一年十二月廿七日)
228於竜宮館 王仁識
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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