霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第三章 軟文学(なんぶんがく)〔一三六六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻 篇:第1篇 毘丘取颪 よみ(新仮名遣い):びくとりおろし
章:第3章 軟文学 よみ(新仮名遣い):なんぶんがく 通し章番号:1366
口述日:1923(大正12)年02月12日(旧12月27日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月8日
概要: 舞台:左守キュービットの館 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ビク国では左守は政務を、右守は軍馬を司っていた。左守のキュービットは、家令のエクスと密談を凝らしていた。二人は、右守が軍馬の権を握っているのをいいことに、わざと国内の治安を悪化させ、民心をビクトリヤ王からそむかせていると頭を痛めていた。
また二人は、キュービットの嫡子・ハルナが、文学に熱を上げて国家の事には少しも関心を示さないことにも頭を痛めていた。
しかし息子が政敵である右守の妹・カルナ姫と想いあっているということを耳にはさんでいたキュービットは、なんとかこの結婚を成就させて左守家と右守家を統合し、国内を治められないかと考えた。
エクスはキュービットに頼まれて、ハルナ本人の意向を確認することになった。エクスはハルナに問いかけて、ハルナの思い人が確かに右守の妹・カルナ姫であることを聞きだした。エクスから、父のキュービットもこの結婚には前向きであることを聞かされたハルナは、ひとり舞い上がっていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5303
愛善世界社版:35頁 八幡書店版:第9輯 516頁 修補版: 校定版:38頁 普及版:19頁 初版: ページ備考:
001 ビク王国(わうこく)制度(せいど)は、002左守司(さもりのかみ)(わう)師範役(しはんやく)となり、003国内(こくない)一切(いつさい)枢要(すうえう)なる事務(じむ)取扱(とりあつか)ふこととなつてゐた。004そして右守司(うもりのかみ)軍馬(ぐんば)(けん)(にぎ)り、005内寇(ないこう)外敵(ぐわいてき)鎮圧(ちんあつ)(つと)むる職掌(しよくしやう)であつた。006左守司(さもりのかみ)のキユービツトは、007家令(かれい)のヱクスと(とも)密談(みつだん)()らしてゐる。
008左守(さもり)『ヱクス、009どうも今日(こんにち)国情(こくじやう)()(つき)悪化(あくくわ)し、010国民(こくみん)怨嗟(えんさ)(こゑ)四方(しはう)()ち、011各所(かくしよ)動乱(どうらん)(おこ)り、012暴徒(ばうと)(その)(すき)(じやう)じて民家(みんか)()(はな)ち、013白昼(はくちう)強盗(がうたう)往来(わうらい)し、014(ひと)()り、015婦女(ふぢよ)(はづかし)め、016天下(てんか)(あさ)(ごと)(みだ)れて()たではないか。017ビクトリヤ(わう)(さま)()老齢(らうれい)()(もつ)て、018日夜(にちや)宸慮(しんりよ)(なや)ませ(たま)ひ、019()(むか)つて種々(いろいろ)鎮圧(ちんあつ)(みち)をお(たづ)(あそ)ばすけれ(ども)020(なに)()うても()かる(とき)には兵馬(へいば)(けん)(にぎ)つてゐない(ため)に、021強圧(きやうあつ)(てき)(いち)()なり(とも)鎮圧(ちんあつ)することが出来(でき)ない。022(なん)とかして右守司(うもりのかみ)職権(しよくけん)左守(さもり)(うつ)さなくては仕方(しかた)がない。023(なん)とか妙案(めうあん)があるまいかな』
024ヱクス『(なん)(まを)しましても、025右守司(うもりのかみ)026奸侫(かんねい)邪智(じやち)にして、027ヒルナ(ひめ)(さま)取入(とりい)り、028(けん)(ほしいまま)(いた)して()りますれば、029刹帝利(せつていり)(さま)も、030左守司(さもりのかみ)(さま)も、031(ほとん)有名(いうめい)無実(むじつ)有様(ありさま)032(じつ)残念(ざんねん)(ござ)います。033(くは)ふるに右守司(うもりのかみ)034野心(やしん)包蔵(はうざう)し、035国内(こくない)動乱(どうらん)煽動(せんどう)し、036紛擾(ふんぜう)をして益々(ますます)(だい)ならしめむとするの傾向(けいかう)(ござ)いまする。037(すこ)(はや)軍隊(ぐんたい)(うご)かし、038鎮撫(ちんぶ)にかかつたならば、039斯様(かやう)(こと)にはならないのですが、040右守司(うもりのかみ)(むね)一物(いちもつ)ある(こと)とて、041(この)紛擾(ふんぜう)傍観(ばうかん)し、042軍隊(ぐんたい)(もつ)(たみ)(むか)ふは、043政治(せいぢ)本義(ほんぎ)ではない、044民心(みんしん)(いか)らしむるは危険(きけん)至極(しごく)だと主張(しゆちやう)し、045(かげ)から暴動(ばうどう)煽動(せんどう)し、046自発(じはつ)(てき)貴方(あなた)退位(たいゐ)余儀(よぎ)なくせしめ、047(みづか)()つて(かは)らむとの野心(やしん)仄見(ほのみ)えて()ります。048(なん)とか(いま)(うち)用意(ようい)(いた)さねば、049取返(とりかへ)しのつかぬ大事(だいじ)(おこ)るだらうと、050(わたし)昼夜(ちうや)心胆(しんたん)(くだ)いて()ります。051(くは)ふるに、052(はなはだ)申上(まをしあ)(にく)(こと)(なが)ら、053左守司(さもりのかみ)(あと)をお()(あそ)ばすべき()賢息(けんそく)(さま)は、054耽美(たんび)生活(せいくわつ)だとか、055軟文学(なんぶんがく)だとか()つて、056(しきり)(めう)議論(ぎろん)をまくし()て、057国家(こくか)(こと)などはチツトも念頭(ねんとう)において(ござ)らぬのだから、058(こま)つた(こと)(ござ)います』
059左守(さもり)如何(いか)にも、060(おや)()にも、061彼奴(あいつ)(こま)つた(やつ)だと(おも)つてゐるのだ。062(なん)とか(かれ)(うま)改心(かいしん)させ、063(わう)(さま)(ため)舎身(しやしん)(てき)忠勤(ちうきん)(はげ)むやうにさせたいものだなア。064(しか)(ほの)かに()けば(せがれ)のハルナは右守(うもり)(いもうと)065カルナに(たい)しラブ・レタースを取交(とりかは)してゐるとやら()いたが、066それが(はた)して(まこと)なら、067(なん)とかして(この)結婚(けつこん)成立(せいりつ)させ、068(わざはひ)未発(みはつ)(ふせ)手段(しゆだん)(めぐ)らさねばならぬ。069国内(こくない)紛擾(ふんぜう)(をさ)めむとすれば、070()城内(じやうない)暗闘(あんとう)(ふせ)ぎ、071一致(いつち)団結(だんけつ)しておかねば右守司(うもりのかみ)術中(じゆつちう)(おちい)るやうな(こと)があつては(じつ)(こま)るからなア』
072ヱクス『如何(いか)にも御尤(ごもつと)もな()(せつ)073ハルナ(さま)とカルナ(ひめ)との(あひだ)に、074左様(さやう)消息(せうそく)があるとすれば、075(ひと)つハルナ(さま)此処(ここ)()(もら)つて、076()意見(いけん)(うけたま)はつた(うへ)077(なん)とか工夫(くふう)(いた)さうだありませぬか』
078左守(さもり)『それも(ひと)つの方法(はうはふ)だ。079ヱクス、080(まへ)一寸(ちよつと)(せがれ)()うて、081意見(いけん)(たた)いて()てくれまいかな』
082ヱクス『ハイ(かしこ)まりました。083直様(すぐさま)ハルナ(さま)()面会(めんくわい)(ねが)ひ、084()意見(いけん)(うけたま)はつた(うへ)085詳細(しやうさい)なる復命(ふくめい)(いた)しませう』
086左守(さもり)(しつ)(あと)にしてハルナの居間(ゐま)(おとづ)れた。087ハルナは一生(いつしやう)懸命(けんめい)(つくゑ)(もた)れて、088(すこ)青白(あをじろ)(かほ)をし(なが)ら、089マトリモーニアル・インスティチューシャンズを(ひもと)き、090()(ふけ)つてゐた。091そこへ頑強(ぐわんきやう)無粋(ぶすゐ)忠義(ちうぎ)一途(いちづ)のヱクスが、092(ふる)(あたま)をニユツと突出(つきだ)して、093(のり)つけ(もの)のバチバチを()たやうな四角張(しかくば)つたスタイルで、094ソツと(ふすま)(ひき)あけ、
095ヱクス『ハイ、096御免(ごめん)(くだ)さいませ。097ヱクスで(ござ)います』
098 ハルナは(この)(こゑ)(みみ)這入(はい)らぬとみえて、099一生(いつしやう)懸命(けんめい)結婚(けつこん)制度史(せいどし)(うへ)()(そそ)ぎ、100ゲツティング・マリドだとか、101フヰジオロヂー・オブ・ラブなどと(くび)をかたげて(かんが)へて()る。102ヱクスは頓狂(とんきやう)(こゑ)()して、
103ヱクス『モーシ、104ハルナ(さま)
105(よば)はる(こゑ)にハツと()がつき、106(あわ)てて結婚(けつこん)制度史(せいどし)(つくゑ)引出(ひきだ)しにしまひこみ、107素知(そし)らぬ(かほ)をして、108(ひざ)(うへ)両手(りやうて)をキチンとおき、
109ハルナ『ヤ、110(まへ)はヱクスだないか、111(ぼく)勉強(べんきやう)してる(ところ)突然(とつぜん)やつて()たものだから、112(めん)くらつて(しま)つたよ』
113ヱクス『(また)軟派(なんぱ)文学(ぶんがく)でも耽読(たんどく)してゐられましたのでせう』
114 ハルナはハツとし(なが)ら、115(くび)左右(さいう)()り、
116ハルナ『アアイヤイヤ、117軟派(なんぱ)文学(ぶんがく)などは青年(せいねん)()むべきものでない、118(おれ)硬派(かうは)文学(ぶんがく)耽読(たんどく)してゐるのだ』
119ヱクス『それでも、120貴方(あなた)121(つくゑ)(うへ)にマトリモーニアル・インスティチューシャンズがチヨコチヨコおいてあるだありませぬか』
122ハルナ『ウンあれか、123あれは結婚(けつこん)制度史(せいどし)だから、124(まへ)のやうな既婚者(きこんしや)必要(ひつえう)はないが、125吾々(われわれ)には(あなが)不必要(ふひつえう)(だん)ずることは出来(でき)ない。126(しか)(なが)(すこ)(ばか)軟派(なんぱ)でも硬派(かうは)研究(けんきう)比較(ひかく)(じやう)127一度(いちど)()んでおかなくちやならないからなア』
128ヱクス『もし、129ハルナ(さま)130(わたし)軟文学(なんぶんがく)大好物(だいかうぶつ)(ござ)いますよ。131貴方(あなた)不在中(ふざいちう)にも、132チヨコチヨコ拝借(はいしやく)しまして、133(のぞ)()みをさして(いただ)きましたが、134随分(ずいぶん)面白(おもしろ)いものですな』
135ハルナ『吾々(われわれ)参考書(さんかうしよ)無断(むだん)で、136(まへ)()んだのか、137()しからぬだないか』
138 ヱクスは(あたま)()(なが)ら、
139ヱクス『ヘー、140(まこと)()みませぬ、141(あま)面白(おもしろ)いものですから、142父上(ちちうへ)に、143ソツとお()(まを)しました(ところ)144(この)(やう)軟文学(なんぶんがく)(けが)らはしい、145雪隠壺(せつちんつぼ)へでも()()んで(しま)へ……とお目玉(めだま)(いただ)くかと(おも)ひの(ほか)146流石(さすが)はハルナ(さま)のお(とう)さま(だけ)あつて、147ヘヘヘヘヘ、148(ひら)けたお(かた)ですよ。149(うち)(せがれ)もここ(まで)徹底(てつてい)したか、150流石(さすが)(わし)息子(むすこ)だ。151これならば左守(さもり)(あと)()がしても大丈夫(だいぢやうぶ)だ……と(もつ)ての(ほか)のお(よろこ)び、152(くち)(きは)めて()讃嘆(さんたん)153イヤもう(この)頑固爺(ぐわんこおやぢ)意外(いぐわい)(かん)()たれ、154それから(のち)といふものは、155スツカリ軟派(なんぱ)改悪(かいあく)……(いな)改良(かいりやう)(いた)しまして、156(この)(ふる)(あたま)もチツと(ばか)(あたら)しくなりました。157(この)書籍(しよせき)のお(かげ)(まつた)くヰータ・ヌーバの気分(きぶん)になり、158どこともなしに(こころ)(わか)やいで()ましたがな、159アハハハハ』
160とうまくハルナの精神(せいしん)にバツを(あは)さうとしてゐる(その)老獪(らうくわい)さ。161ハルナはヱクスの心中(しんちう)()らず、162(おほい)(よろこ)んで、
163ハルナ『成程(なるほど)父上(ちちうへ)(さま)も、164時代(じだい)目覚(めざ)(あそ)ばしたと()えるなア、165イヤ有難(ありがた)有難(ありがた)い。166(もと)より左守家(さもりけ)殺伐(さつばつ)軍馬(ぐんば)(けん)(あつか)(いへ)だない、167文学(ぶんがく)(いへ)だから、168(とう)さまがさうなられるのも当然(たうぜん)だ。169(まへ)(いま)(まで)(やう)拙者(せつしや)恋愛論(れんあいろん)(つい)て、170(この)(うへ)ゴテゴテ苦情(くじやう)()はないだらうなア』
171ヱクス『ハイ、172(おほ)(まで)(ござ)いませぬ、173(あたま)禿()げても、174()はヤツパリ十七八(じふしちはち)175貴方(あなた)()主義(しゆぎ)全部(ぜんぶ)共鳴(きようめい)して()ります。176アハハハハ』
177ハルナ『父上(ちちうへ)(さま)はそこ(まで)人間味(にんげんみ)がお(わか)りになつた以上(いじやう)は、178(ぼく)主義(しゆぎ)にキツト賛成(さんせい)して(くだ)さるだらうかな。179レター・ライタの(なか)普通(ふつう)一般(いつぱん)往復文(わうふくぶん)(なか)にラブ・レターズが混入(こんにふ)してゐる今日(こんにち)教育法(けういくはふ)だから、180ラブ・イズ・ベストの真理(しんり)(わか)つてゐるだらうなア。181コーエデュケーシヤンの(おこな)はれてゐる今日(こんにち)182(ふる)道徳(だうとく)(とら)はれて、183夫婦別(ふうふべつ)あり、184男女(だんぢよ)(せき)(おなじ)うせずなどと、185旧套語(きうたうご)をふり(まは)したり、186門閥(もんばつ)結婚(けつこん)187強圧(きやうあつ)結婚(けつこん)188無情(むじやう)結婚(けつこん)189自分(じぶん)以外(いぐわい)(もの)(さだ)める結婚(けつこん)などの迷夢(めいむ)()まされたであらうなア』
190ヱクス『(けつ)して()心配(しんぱい)なさいますな。191(とう)さまはジュネス・アンテレック・テーエルですよ。192キヨロキヨロしてゐると、193貴方(あなた)よりも(はる)かに(あたら)しうなられますからな』
194ハルナ『さうすると、195(ぼく)のゲツティング・マリドに(つい)ては(けつ)して干渉(かんせう)せないと()()方針(はうしん)だな。196(いま)(まで)(まへ)(たち)()つて()つた、197アメージング・マリーヂな(こと)(しひ)られると、198(おれ)のやうな文明(ぶんめい)人士(じんし)はサイキツク・トラウマを(きた)何時(いつ)()にか、199ヒステリックになつて(しま)ふ。200今日(こんにち)(おや)はすべてを(その)()自由(じいう)意志(いし)(まか)すのが賢明(けんめい)なる(おや)たるの(みち)だからなア』
201ヱクス『(じつ)貴方(あなた)明敏(めいびん)頭脳(づなう)持主(もちぬし)ですな、202(この)(おや)にして(この)()あり、203イヤ(はや)204(この)頑固(ぐわんこ)なヱクスも(おそ)()りました。205()いては貴方(あなた)理想(りさう)(つま)となさる()(かた)はきまつて()りますか』
206ハルナ『きまつたでもなし、207きまらぬでもなし、208(いま)熟考中(じゆくかうちう)だ。209(なん)()機会(きくわい)があつたらお(まへ)相談(さうだん)してみたいと(おも)つてゐたのだが、210何分(なにぶん)(いま)(まで)のお(まへ)(おれ)とは思想(しさう)(じやう)距離(きより)(あま)(はなはだ)しいので、211つい()()しかね、212今日(こんにち)(まで)煩悶(はんもん)苦悩(くなう)(つづ)けて()たのだよ』
213ヱクス『ハハハ、214そんな()心配(しんぱい)がいりますか、215(むすめ)乳母(うば)(うち)あけるやうに、216(わたし)左守家(さもりけ)家令(かれい)(ござ)いますから、217万一(まんいち)(とう)さまが()くなられた(あと)は、218貴方(あなた)直接(ちよくせつ)()家来(けらい)219どんな(こと)でも、220腹蔵(ふくざう)なく仰有(おつしや)つて(いただ)きたう(ござ)います。221(こころ)秘密(ひみつ)家令(かれい)(わたし)にお打明(うちあ)けなさらぬとは、222(じつ)にお水臭(みづくさ)()心根(こころね)223ヱクスはお(うら)(いた)します』
224とワザとに(そで)空涙(からなみだ)(ぬぐ)ふ。225ハルナは得意(とくい)になり、
226ハルナ『ヤア、227そんなら打明(うちあ)かすが、228(じつ)(ところ)右守司(うもりのかみ)(いもうと)カルナ(ひめ)とゲッティング・マリドの予約(よやく)出来(でき)てゐるのだ』
229ヱクス『エツ、230(なん)(おほ)せられます、231あのカルナ(さま)情約(じやうやく)締結(ていけつ)(ととの)うたと仰有(おつしや)るのですか……ヘーエ……(なん)貴方(あなた)辣腕家(らつわんか)ですな。232(この)ヱクスもゾツコンから感服(かんぷく)(いた)しました。233ヤ、234(おほい)におやりなさいませ、235双手(もろて)をあげて家令(かれい)のヱクス賛成(さんせい)(いた)します』
236ハルナ『お(まへ)賛成(さんせい)してくれても、237肝心要(かんじんかなめ)父上(ちちうへ)()意思(いし)(うかが)はねば、238まだ安心(あんしん)する(ところ)へは()けない、239よく(かんが)へて()よ。240右守(うもり)左守(さもり)両家(りやうけ)暗闘(あんとう)時々(じじ)刻々(こくこく)激烈(げきれつ)になつて()てゐるのだからなア』
241ヱクス『貴方(あなた)にも似合(にあは)(こと)仰有(おつしや)いますなア。242両家(りやうけ)暗闘(あんとう)暗闘(あんとう)だありませぬか。243人生(じんせい)()つて肝心要(かんじんかなめ)の、244それが(ため)に、245結婚(けつこん)問題(もんだい)までも犠牲(ぎせい)にするといふ(こと)がありますか、246ソレヤ問題(もんだい)(ちが)ひますよ。247キツトお父上(ちちうへ)(この)問題(もんだい)()いては賛成(さんせい)(あそ)ばすことは受合(うけあひ)です。248貴方(あなた)決心(けつしん)()まれば、249(いち)()(はや)く、250(およ)ばず(なが)(この)ヱクスが斡旋(あつせん)(らう)をとらして(いただ)きます。251()安心(あんしん)なされませ』
252 ハルナはさも(うれ)しげに、253(つつ)みきれぬやうな(ゑみ)(ほほ)(うか)べて、254(はづ)かしげに(うつむ)いた。255ヱクスはしてやつたりと、256心中(しんちう)(うなづ)(なが)ら、
257ヱクス『ハルナ(さま)258(ぜん)(いそ)げで(ござ)いますから、259直様(すぐさま)父上(ちちうへ)申上(まをしあ)げ、260先方(せんぱう)掛合(かけあ)(こと)(いた)しませう』
261とイソイソとして、262(この)()立出(たちい)左守司(さもりのかみ)居間(ゐま)一伍(いちぶ)一什(しじふ)報告(はうこく)すべく(すす)()く。
263 (あと)にハルナは(てん)にも(のぼ)心地(ここち)して、
264ハルナ『あああ、265時節(じせつ)()たかなア、266よく(ひら)けた父上(ちちうへ)だ。267盤古(ばんこ)神王(しんのう)(さま)268何卒(どうぞ)(この)(こひ)完全(くわんぜん)成就(じやうじゆ)(いた)します(やう)に、269(まも)らせ(たま)へ、270(さきは)(たま)へ、271惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)ませ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)ませ』
272合掌(がつしやう)し、273結婚(けつこん)成立(せいりつ)祈願(きぐわん)した。274天井(てんじやう)から(ねづみ)がクウクウクウ チウチウチウ チーチー ドドドドド、275バタバタバタと()(なが)(はし)(こゑ)(きこ)えて()る。
276大正一二・二・一二 旧一一・一二・二七 於竜宮館 松村真澄録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki