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第53巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 毘丘取颪
01 春菜草
〔1364〕
02 蜉蝣
〔1365〕
03 軟文学
〔1366〕
04 蜜語
〔1367〕
05 愛縁
〔1368〕
06 気縁
〔1369〕
07 比翼
〔1370〕
08 連理
〔1371〕
09 蛙の腸
〔1372〕
第2篇 貞烈亀鑑
10 女丈夫
〔1373〕
11 艶兵
〔1374〕
12 鬼の恋
〔1375〕
13 醜嵐
〔1376〕
14 女の力
〔1377〕
15 白熱化
〔1378〕
第3篇 兵権執着
16 暗示
〔1379〕
17 奉還状
〔1380〕
18 八当狸
〔1381〕
19 刺客
〔1382〕
第4篇 神愛遍満
20 背進
〔1383〕
21 軍議
〔1384〕
22 天祐
〔1385〕
23 純潔
〔1386〕
余白歌
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第八章
連理
(
れんり
)
〔一三七一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
篇:
第1篇 毘丘取颪
よみ(新仮名遣い):
びくとりおろし
章:
第8章 連理
よみ(新仮名遣い):
れんり
通し章番号:
1371
口述日:
1923(大正12)年02月12日(旧12月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月8日
概要:
舞台:
左守キュービットの館
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
新郎のハルナは扇を片手に持って歌い舞い、この婚姻が対立する両家の融和となることを祈った。左守の家令エクス、右守の家令シエールもまた歌った。
左守、右守、タルマン、ハルナ、カルナ姫、エクス、シエールらはそれぞれ祝歌を披露した。左守と右守の両家は表面やや打ち解けたように見えたが、右守の心中は容易に和らがず、依然として左守を邪魔者扱いしていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-03-04 17:48:25
OBC :
rm5308
愛善世界社版:
76頁
八幡書店版:
第9輯 531頁
修補版:
校定版:
81頁
普及版:
39頁
初版:
ページ備考:
001
新郎
(
しんらう
)
のハルナは
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
扇
(
あふぎ
)
を
片手
(
かたて
)
に
持
(
も
)
ち、
002
歌
(
うた
)
ひ
舞
(
ま
)
ひ
初
(
はじ
)
めたり。
003
ハルナ
『
高天原
(
たかあまはら
)
に
現
(
あ
)
れませる
004
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
恵
(
めぐみ
)
005
塩長彦
(
しほながひこ
)
の
現
(
あ
)
れまして
006
今日
(
けふ
)
の
慶事
(
けいじ
)
を
恙
(
つつが
)
なく
007
結
(
むす
)
ばせ
給
(
たま
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさよ
008
そも
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
は
両人
(
りやうにん
)
が
009
父
(
ちち
)
と
父
(
ちち
)
とは
敵同士
(
てきどうし
)
010
何彼
(
なにか
)
につけてさまざまと
011
衝突
(
しようとつ
)
したる
浅
(
あさ
)
ましさ
012
此
(
この
)
惨状
(
さんじやう
)
を
治
(
をさ
)
めむと
013
年
(
とし
)
も
幼
(
をさな
)
き
時分
(
じぶん
)
より
014
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ひ
居
(
ゐ
)
たりしが
015
幸
(
さいはひ
)
なるかなカルナ
姫
(
ひめ
)
016
吾
(
われ
)
と
相思
(
さうし
)
の
恋
(
こひ
)
に
陥
(
お
)
ち
017
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
られぬ
身
(
み
)
の
因果
(
いんぐわ
)
018
如何
(
いか
)
なる
宿世
(
すぐせ
)
の
因縁
(
いんねん
)
か
019
父
(
ちち
)
と
父
(
ちち
)
とは
敵同士
(
てきどうし
)
020
到底
(
とて
)
も
恋路
(
こひぢ
)
は
遂
(
と
)
げざらむ
021
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
で
添
(
そ
)
へずとも
022
死
(
し
)
して
未来
(
みらい
)
で
睦
(
むつま
)
じく
023
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
まで
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
024
落
(
お
)
ちなむものと
思
(
おも
)
ひつめ
025
恋
(
こひ
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れけるが
026
父
(
ちち
)
と
兄
(
あに
)
との
理解力
(
りかいりよく
)
027
幸
(
さいは
)
ひなして
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
028
鴛鴦
(
をし
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
びたる
029
今宵
(
こよい
)
の
首尾
(
しゆび
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
030
天
(
てん
)
には
比翼
(
ひよく
)
の
鳥
(
とり
)
となり
031
地
(
ち
)
には
連理
(
れんり
)
の
枝
(
えだ
)
となり
032
夫婦
(
ふうふ
)
互
(
たがひ
)
に
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
033
親
(
おや
)
と
兄
(
あに
)
とは
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
034
畏
(
かしこ
)
き
君
(
きみ
)
に
赤心
(
まごころ
)
を
035
捧
(
ささ
)
げて
清
(
きよ
)
く
仕
(
つか
)
ふべし
036
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
037
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましまして
038
二人
(
ふたり
)
の
縁
(
えにし
)
をどこ
迄
(
まで
)
も
039
欠
(
か
)
ぐる
事
(
こと
)
なく
守
(
まも
)
りませ
040
天
(
あめ
)
の
御柱
(
みはしら
)
廻
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ
041
国
(
くに
)
の
御柱
(
みはしら
)
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
いて
042
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
経綸
(
けいりん
)
に
043
仕
(
つか
)
へて
御子
(
みこ
)
を
数多
(
あまた
)
生
(
う
)
み
044
左守
(
さもり
)
の
家
(
いへ
)
の
繁栄
(
はんえい
)
を
045
いや
永久
(
とこしへ
)
に
祈
(
いの
)
るべし
046
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
047
塩長彦
(
しほながひこ
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
048
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
祈
(
ね
)
ぎまつる』
049
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
る。
050
左守
(
さもり
)
の
家令
(
かれい
)
、
051
ヱクスは
雀躍
(
こをど
)
りしながら
其
(
その
)
尾
(
を
)
について
祝歌
(
しゆくか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
052
ヱクス
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
053
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
054
星
(
ほし
)
は
天
(
てん
)
より
落
(
お
)
つるとも
055
地震
(
ぢしん
)
雷
(
かみなり
)
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
056
仮令
(
たとへ
)
一度
(
いちど
)
に
来
(
きた
)
るとも
057
この
縁談
(
えんだん
)
が
恙
(
つつが
)
なく
058
調
(
ととの
)
つた
上
(
うへ
)
はこのヱクス
059
仮令
(
たとへ
)
死
(
し
)
んでも
構
(
かま
)
やせぬ
060
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
061
左守
(
さもり
)
右守
(
うもり
)
の
両宗家
(
りやうそうけ
)
062
和合
(
わがふ
)
なされた
其
(
その
)
上
(
うへ
)
は
063
ビクの
御国
(
みくに
)
は
穏
(
おだや
)
かに
064
治
(
をさ
)
まり
栄
(
さか
)
え
行
(
ゆ
)
くだらう
065
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
縺
(
もつ
)
れに
縺
(
もつ
)
れたる
066
犬
(
いぬ
)
と
猿
(
さる
)
との
間柄
(
あひだがら
)
067
今日
(
けふ
)
は
目出度
(
めでたく
)
和解
(
わかい
)
して
068
此
(
この
)
宴席
(
えんせき
)
に
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて
069
並
(
なら
)
ばせたまふ
嬉
(
うれ
)
しさよ
070
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
071
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
072
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
073
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
074
世
(
よ
)
の
過
(
あやまち
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
075
これぞ
全
(
まつた
)
く
三五
(
あななひ
)
の
076
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
の
歌
(
うた
)
なれど
077
斯
(
か
)
やうな
時
(
とき
)
に
応用
(
おうよう
)
して
078
今日
(
けふ
)
の
宴会
(
うたげ
)
を
祝
(
ことほ
)
ぎつ
079
幾久
(
いくひさ
)
しくも
御
(
ご
)
両所
(
りやうしよ
)
よ
080
上
(
かみ
)
は
御国
(
みくに
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
に
081
下
(
しも
)
はお
家
(
いへ
)
の
安泰
(
あんたい
)
を
082
守
(
まも
)
らむ
為
(
ため
)
に
睦
(
むつま
)
じく
083
暮
(
く
)
らさせたまへ
惟神
(
かむながら
)
084
今日
(
けふ
)
の
喜
(
よろこ
)
びいつ
迄
(
まで
)
も
085
忘
(
わす
)
れぬためにこのヱクス
086
舞
(
ま
)
ひつ
踊
(
をど
)
りつ
歌
(
うた
)
歌
(
うた
)
ひ
087
お
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
うて
後前
(
あとさき
)
も
088
分
(
わか
)
ぬばかりに
土堤
(
どて
)
切
(
き
)
らし
089
命
(
いのち
)
限
(
かぎ
)
りに
踊
(
をど
)
りませう
090
ああ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い
091
カルナの
姫
(
ひめ
)
やハルナさま
092
あなた
も
嘸
(
さぞ
)
や
嬉
(
うれ
)
しかろ
093
日頃
(
ひごろ
)
の
思
(
おも
)
ひが
相達
(
あひたつ
)
し
094
相思
(
さうし
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
が
睦
(
むつま
)
じく
095
新
(
あたら
)
しがつて
暮
(
くら
)
すのも
096
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
ぞや
097
夢
(
ゆめ
)
にも
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
恩徳
(
おんとく
)
098
忘
(
わす
)
れる
事
(
こと
)
があつたなら
099
この
結構
(
けつこう
)
な
良縁
(
りやうえん
)
も
100
中途
(
ちうと
)
に
破裂
(
はれつ
)
するだらう
101
そんな
憂
(
うれ
)
ひの
無
(
な
)
いやうに
102
今日
(
けふ
)
から
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めて
103
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
敬拝
(
けいはい
)
し
104
清
(
きよ
)
き
教
(
をしへ
)
をよく
守
(
まも
)
り
105
君
(
きみ
)
には
忠義
(
ちうぎ
)
親
(
おや
)
に
孝
(
かう
)
106
隣人
(
りんじん
)
迄
(
まで
)
も
憐
(
あはれ
)
みて
107
神
(
かみ
)
の
形
(
かたち
)
に
造
(
つく
)
られた
108
人
(
ひと
)
たるものの
本分
(
ほんぶん
)
を
109
お
尽
(
つく
)
しなされや
左守家
(
さもりけ
)
の
110
家令
(
かれい
)
ヱクスが
赤心
(
まごころ
)
を
111
籠
(
こ
)
めて
注意
(
ちうい
)
を
致
(
いた
)
します
112
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
113
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
114
シエールは
又
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
115
シエール
『
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
と
現
(
あ
)
れませる
116
ベルツの
司
(
つかさ
)
の
家令職
(
かれいしよく
)
117
シエールが
此処
(
ここ
)
に
赤心
(
まごころ
)
を
118
捧
(
ささ
)
げて
今日
(
けふ
)
の
結婚
(
けつこん
)
を
119
嬉
(
うれ
)
しく
祝
(
しゆく
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
120
兵馬
(
へいば
)
の
権
(
けん
)
を
握
(
にぎ
)
ります
121
ビクの
御国
(
みくに
)
の
権力者
(
けんりよくしや
)
122
ベルツの
君
(
きみ
)
の
其
(
その
)
威勢
(
ゐせい
)
123
朝日
(
あさひ
)
の
如
(
ごと
)
く
輝
(
かがや
)
きて
124
飛
(
と
)
ぶ
鳥
(
とり
)
さへも
落
(
おと
)
すよな
125
ベルツの
司
(
つかさ
)
の
妹君
(
いもうとぎみ
)
126
カルナの
姫
(
ひめ
)
を
貰
(
もら
)
ひうけ
127
女房
(
にようばう
)
となしたハルナさま
128
嘸
(
さぞ
)
やさぞさぞ
御
(
ご
)
満足
(
まんぞく
)
129
なさつた
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いませう
130
家令
(
かれい
)
のシエールはお
二人
(
ふたり
)
の
131
其
(
その
)
嬉
(
うれ
)
しげな
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
132
やつと
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
しました
133
さうして
何
(
なん
)
だか
羨
(
うらや
)
ましう
134
なつて
来
(
き
)
たよに
思
(
おも
)
はれる
135
これもやつぱり
人
(
ひと
)
の
云
(
い
)
ふ
136
法界
(
はふかい
)
悋気
(
りんき
)
ぢやあるまいか
137
世界
(
せかい
)
に
名高
(
なだか
)
き
美男
(
びなん
)
と
美人
(
びじん
)
138
こんな
配偶
(
はいぐう
)
がまたと
世
(
よ
)
に
139
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
にあるものか
140
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
顔
(
かんばせ
)
に
141
似
(
に
)
させたまへるカルナ
姫
(
ひめ
)
142
お
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
ても
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
み
143
後光
(
ごくわう
)
がさすよな
心地
(
ここち
)
する
144
私
(
わたし
)
ももちと
若
(
わか
)
ければ
145
こんな
美
(
うつく
)
し
女房
(
にようばう
)
が
146
貰
(
もら
)
へるだらうと
思
(
おも
)
うたら
147
何
(
なん
)
だか
浮世
(
うきよ
)
が
厭
(
いや
)
になる
148
蜥蜴
(
とかげ
)
が
欠伸
(
あくび
)
をしたやうな
149
アバタだらけの
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
150
無理
(
むり
)
に
持
(
も
)
たされ
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
151
餓鬼
(
がき
)
をゴロゴロ
拵
(
こしら
)
へて
152
生活難
(
せいくわつなん
)
に
追
(
お
)
はれつつ
153
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
の
為体
(
ていたらく
)
154
ほんに
人間
(
にんげん
)
の
運命
(
うんめい
)
は
155
これ
程
(
ほど
)
懸隔
(
けんかく
)
あるものか
156
折角
(
せつかく
)
人
(
ひと
)
と
生
(
うま
)
れ
来
(
き
)
て
157
天地
(
てんち
)
の
花
(
はな
)
よ
万物
(
ばんぶつ
)
の
158
霊長
(
れいちやう
)
なりと
誇
(
ほこ
)
るとも
159
同
(
おな
)
じ
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
るのに
160
これだけ
幸
(
かう
)
と
不幸
(
ふかう
)
とが
161
分
(
わか
)
ると
云
(
い
)
ふは
先
(
さき
)
の
世
(
よ
)
の
162
宿世
(
すぐせ
)
の
罪
(
つみ
)
が
報
(
むく
)
いしか
163
実
(
じつ
)
につまらぬシエールの
身
(
み
)
164
ハルナの
司
(
つかさ
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
165
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
相違
(
さうゐ
)
あり
166
さはさりながらこんな
事
(
こと
)
167
愚痴
(
ぐち
)
つて
見
(
み
)
たとて
仕様
(
しやう
)
がない
168
因縁
(
いんねん
)
づくぢやと
諦
(
あきら
)
めて
169
今日
(
けふ
)
の
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
結婚
(
けつこん
)
170
幾久
(
いくひさ
)
しくと
赤心
(
まごころ
)
を
171
籠
(
こ
)
めて
祝
(
ことほ
)
ぎ
奉
(
たてまつ
)
る
172
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
173
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
174
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り
座
(
ざ
)
につきぬ。
175
左守
(
さもり
)
『
昔
(
むかし
)
より
山
(
やま
)
と
積
(
つも
)
りし
塵埃
(
ちりあくた
)
176
散
(
ち
)
りにし
今日
(
けふ
)
の
吾
(
われ
)
ぞ
嬉
(
うれ
)
しき』
177
右守
(
うもり
)
『
何事
(
なにごと
)
も
唯
(
ただ
)
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
178
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
任
(
まか
)
すのみなり』
179
タルマン『
鴛鴦
(
をしどり
)
の
番
(
つがひ
)
離
(
はな
)
れぬ
睦
(
むつま
)
じさ
180
見
(
み
)
るにつけても
羨
(
うらや
)
ましきかな』
181
ハルナ『
惟神
(
かむながら
)
縁
(
えにし
)
の
糸
(
いと
)
に
結
(
むす
)
ばれて
182
この
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
る
吾
(
われ
)
ぞ
楽
(
たの
)
しき』
183
カルナ
姫
(
ひめ
)
『
天渡
(
あまわた
)
る
月
(
つき
)
の
御影
(
みかげ
)
を
眺
(
なが
)
むれば
184
笑
(
わら
)
はせたまひぬ
吾
(
わが
)
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て』
185
ヱクス『
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
娶
(
めと
)
りたまひしハルナの
君
(
きみ
)
186
春
(
はる
)
咲
(
さ
)
く
花
(
はな
)
と
栄
(
さか
)
えますらむ』
187
シエール『
類
(
たぐひ
)
なき
松
(
まつ
)
と
松
(
まつ
)
との
睦
(
むつ
)
み
合
(
あ
)
ひ
188
千代
(
ちよ
)
の
栄
(
さかえ
)
を
祝
(
いは
)
ふ
今日
(
けふ
)
かな』
189
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り
目出度
(
めでたく
)
結婚
(
けつこん
)
の
式
(
しき
)
を
終
(
を
)
へ、
190
左守
(
さもり
)
、
191
右守
(
うもり
)
の
両家
(
りやうけ
)
は
表面
(
へうめん
)
稍
(
やや
)
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けたる
如
(
ごと
)
く
見
(
み
)
えしが、
192
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
の
心中
(
しんちう
)
は
容易
(
ようい
)
に
和
(
やは
)
らがず、
193
依然
(
いぜん
)
として
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
を
邪魔者
(
じやまもの
)
扱
(
あつか
)
ひ
為
(
な
)
し
居
(
ゐ
)
たりけり。
194
(
大正一二・二・一二
旧一一・一二・二七
於竜宮館
加藤明子
録)
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