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第53巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 毘丘取颪
01 春菜草
〔1364〕
02 蜉蝣
〔1365〕
03 軟文学
〔1366〕
04 蜜語
〔1367〕
05 愛縁
〔1368〕
06 気縁
〔1369〕
07 比翼
〔1370〕
08 連理
〔1371〕
09 蛙の腸
〔1372〕
第2篇 貞烈亀鑑
10 女丈夫
〔1373〕
11 艶兵
〔1374〕
12 鬼の恋
〔1375〕
13 醜嵐
〔1376〕
14 女の力
〔1377〕
15 白熱化
〔1378〕
第3篇 兵権執着
16 暗示
〔1379〕
17 奉還状
〔1380〕
18 八当狸
〔1381〕
19 刺客
〔1382〕
第4篇 神愛遍満
20 背進
〔1383〕
21 軍議
〔1384〕
22 天祐
〔1385〕
23 純潔
〔1386〕
余白歌
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第四章
蜜語
(
みつご
)
〔一三六七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
篇:
第1篇 毘丘取颪
よみ(新仮名遣い):
びくとりおろし
章:
第4章 蜜語
よみ(新仮名遣い):
みつご
通し章番号:
1367
口述日:
1923(大正12)年02月12日(旧12月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月8日
概要:
舞台:
ビクトリヤ城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ビクトリヤ城の一室には、ヒルナ姫がひとり、琴を弾じながら述懐を歌っていた。ヒルナ姫は、新しい思想の右守と、旧弊な思想の左守が衝突して国内が割れていることを嘆いていた。歌の中には、姫が右守と道ならぬ仲となっていることもほのめかされていた。
そこへ右守のベルツがやってきた。ベルツは人払いをした。しかし属官の三人は、左守の内名を受けて右守の様子をうかがっており、立ち去ったふりをして次の間でベルツとヒルナ姫の密談を聞いていた。
右守は、ヒルナ姫に妹のカルナが左守のせがれに恋をして、すっかり左守家のひいきになってしまっている事を相談に来たのであった。ヒルナ姫は、これは左守家と右守家の内紛を収める願ってもない機会だと主張した。
ベルツも左守家が身内となることは、自分の計画にもかえっていいかもしれないと姫に賛同し、この縁談を進めるよう、ヒルナ姫に任せることになった。
右守はヒルナ姫の居間を退出し、城を出ると自分の館に帰って行った。密談を聞いていた三人の属官は、左守の館へ報告に行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5304
愛善世界社版:
45頁
八幡書店版:
第9輯 519頁
修補版:
校定版:
48頁
普及版:
25頁
初版:
ページ備考:
001
ビクトリヤ
城
(
じやう
)
の
一間
(
ひとま
)
にはヒルナ
姫
(
ひめ
)
が
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
002
琴
(
こと
)
を
弾
(
だん
)
じながら
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
つてゐる。
003
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
司
(
つかさ
)
と
現
(
あ
)
れませる
004
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんのう
)
塩長彦
(
しほながひこの
)
命
(
みこと
)
は
005
四方
(
よも
)
の
神々
(
かみがみ
)
民草
(
たみぐさ
)
を
006
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
の
神国
(
しんこく
)
に
007
救
(
すく
)
ひまさむと
御心
(
みこころ
)
を
008
悩
(
なや
)
ませ
玉
(
たま
)
ふぞ
有難
(
ありがた
)
き
009
妾
(
わらは
)
は
若
(
わか
)
き
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
010
ビクトリヤ
姫
(
ひめ
)
に
宮仕
(
みやつか
)
へ
011
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
赤心
(
まごころ
)
を
012
籠
(
こ
)
めて
誠
(
まこと
)
を
尽
(
つく
)
しつつ
013
楽
(
たの
)
しき
日
(
ひ
)
をば
送
(
おく
)
る
折
(
をり
)
014
王妃
(
わうひ
)
の
君
(
きみ
)
は
如何
(
いかが
)
しけむ
015
無常
(
むじやう
)
の
風
(
かぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて
016
あの
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
となりましぬ
017
妾
(
わらは
)
は
歎
(
なげ
)
き
悲
(
かな
)
しみて
018
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
大神
(
おほかみ
)
に
019
其
(
その
)
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
れども
020
逝
(
ゆ
)
きにし
人
(
ひと
)
は
帰
(
かへ
)
り
来
(
こ
)
ず
021
いとど
淋
(
さび
)
しき
秋
(
あき
)
の
夕
(
ゆふ
)
022
野辺
(
のべ
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
声
(
こゑ
)
023
いとど
晴
(
あは
)
れを
催
(
もよほ
)
して
024
生
(
い
)
くる
甲斐
(
かひ
)
なき
悩
(
なや
)
みに
沈
(
しづ
)
む
025
草葉
(
くさば
)
の
露
(
つゆ
)
に
照
(
て
)
る
月
(
つき
)
も
026
何処
(
いづく
)
ともなく
光
(
ひかり
)
褪
(
あ
)
せ
027
星
(
ほし
)
の
影
(
かげ
)
さへおぼろげに
028
見
(
み
)
ゆる
折
(
をり
)
しも
後
(
うしろ
)
より
029
ヒルナ ヒルナと
玉
(
たま
)
の
声
(
こゑ
)
030
乙女
(
をとめ
)
の
胸
(
むね
)
は
轟
(
とどろ
)
きつ
031
後振返
(
あとふりかへ
)
り
眺
(
なが
)
むれば
032
思
(
おも
)
ひもかけぬビクトリヤ
王
(
わう
)
の
君
(
きみ
)
033
此方
(
こなた
)
に
来
(
きた
)
れとさし
招
(
まね
)
き
034
妾
(
わらは
)
を
居間
(
ゐま
)
に
伴
(
ともな
)
ひて
035
いとも
優
(
やさ
)
しき
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
036
姫君
(
ひめぎみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
を
037
推
(
お
)
し
量
(
はか
)
らひて
一度
(
ひとたび
)
は
038
否
(
いな
)
みつれ
共
(
ども
)
なかなかに
039
許
(
ゆる
)
し
玉
(
たま
)
はぬ
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
の
040
厚
(
あつ
)
き
心
(
こころ
)
に
絆
(
ほだ
)
されて
041
女御
(
にようご
)
更衣
(
かうい
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えて
042
后
(
きさき
)
の
宮
(
みや
)
とのぼりける
043
さはさり
乍
(
なが
)
ら
何
(
なん
)
となく
044
心
(
こころ
)
おちゐぬ
思
(
おも
)
ひにて
045
三歳
(
みとせ
)
四歳
(
よとせ
)
を
越
(
こ
)
ゆる
内
(
うち
)
046
此上
(
こよ
)
なき
者
(
もの
)
と
妾
(
わらは
)
をば
047
慈
(
いつくしみ
)
まししあが
君
(
きみ
)
は
048
今
(
いま
)
は
冷
(
つめ
)
たき
あき
風
(
かぜ
)
の
049
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
むこそ
悲
(
かな
)
しけれ
050
せめて
妾
(
わらは
)
が
心
(
こころ
)
をば
051
慰
(
なぐさ
)
めくるる
者
(
もの
)
あらば
052
永
(
なが
)
き
一夜
(
ひとよ
)
を
語
(
かた
)
らひて
053
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
憂
(
うき
)
を
晴
(
は
)
らさむと
054
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
しも
顔容
(
かほかたち
)
055
いと
美
(
うる
)
はしき
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
056
ベルツ
司
(
つかさ
)
が
忠実
(
まめや
)
かに
057
何
(
なに
)
くれとなく
妾
(
わらは
)
が
身
(
み
)
を
058
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
へる
嬉
(
うれ
)
しさよ
059
誠
(
まこと
)
のこもる
彼
(
かれ
)
が
心
(
こころ
)
に
絆
(
ほだ
)
されて
060
割
(
わ
)
りなき
仲
(
なか
)
となりつれど
061
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
恋
(
こひ
)
の
仲
(
なか
)
062
女御
(
にようご
)
更衣
(
かうい
)
や
下女
(
しもをんな
)
063
下僕
(
しもをとこ
)
等
(
ら
)
に
二人
(
ふたり
)
が
仲
(
なか
)
を
064
悟
(
さと
)
られはせぬかと
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
な
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
き
065
身
(
み
)
を
苦
(
くる
)
しむることは
幾度
(
いくたび
)
か
066
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
積
(
つ
)
もる
恋
(
こひ
)
の
淵
(
ふち
)
067
深
(
ふか
)
くはまりし
二人
(
ふたり
)
が
仲
(
なか
)
068
もしや
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
御
(
おん
)
耳
(
みみ
)
に
069
響
(
ひび
)
きはせぬかと
070
心
(
こころ
)
を
千々
(
ちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
きつつ
071
悲
(
かな
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
る
身
(
み
)
の
072
何
(
なん
)
と
詮方
(
せんかた
)
なく
涙
(
なみだ
)
073
尽
(
つ
)
きせぬ
縁
(
えにし
)
を
永久
(
とこしへ
)
に
074
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へウラル
教
(
けう
)
の
075
教
(
をしへ
)
を
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
ふ
076
塩長彦
(
しほながひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
よ
077
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
は
七十路
(
ななそぢ
)
を
078
早
(
はや
)
くも
越
(
こ
)
えさせ
玉
(
たま
)
ひぬれど
079
いとど
頑固
(
かたくな
)
にましまして
080
妾
(
わらは
)
が
新
(
あたら
)
しき
思想
(
しさう
)
を
081
汲
(
く
)
ませ
玉
(
たま
)
はず
082
古
(
ふる
)
き
聖
(
ひじり
)
の
道
(
みち
)
をのみ
083
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
楯
(
たて
)
となし
084
世
(
よ
)
は
追
(
お
)
ひ
追
(
お
)
ひと
紊
(
みだ
)
れはて
085
社稷
(
しやしよく
)
危
(
あやふ
)
くなりつれど
086
左守司
(
さもりのかみ
)
のキユービツト
087
彼
(
かれ
)
が
頑迷
(
ぐわんめい
)
不霊
(
ふれい
)
より
088
時代
(
じだい
)
思想
(
しさう
)
に
逆行
(
ぎやくかう
)
し
089
益々
(
ますます
)
世
(
よ
)
をば
乱
(
みだ
)
し
行
(
ゆ
)
く
090
実
(
じつ
)
に
浅
(
あさ
)
ましの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
よ
091
時代
(
じだい
)
に
目醒
(
めざ
)
めし
右守司
(
うもりがみ
)
092
ベルツの
司
(
つかさ
)
は
逸早
(
いちはや
)
く
093
妾
(
わらは
)
が
心
(
こころ
)
を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
りて
094
古
(
ふる
)
き
尊
(
たふと
)
きビクの
国
(
くに
)
095
いや
永久
(
とこしへ
)
に
守
(
まも
)
らむと
096
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
の
限
(
かぎ
)
りをば
097
尽
(
つく
)
させ
玉
(
たま
)
へど
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
や
098
左守
(
さもり
)
の
君
(
きみ
)
は
一々
(
いちいち
)
に
099
右守
(
うもり
)
の
言葉
(
ことば
)
を
否
(
いな
)
みつつ
100
至治
(
しち
)
太平
(
たいへい
)
の
経綸
(
けいりん
)
を
101
申上
(
まをしあ
)
ぐれど
何時
(
いつ
)
とても
102
手
(
て
)
もなく
拒絶
(
きよぜつ
)
ましましぬ
103
ああ
如何
(
いか
)
にせむビクの
国
(
くに
)
104
柱
(
はしら
)
ともなり
杖
(
つゑ
)
となり
105
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
支
(
ささ
)
へむと
106
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
とてあらざるか
107
右守司
(
うもりのかみ
)
は
幸
(
さいはひ
)
に
108
兵馬
(
へいば
)
の
権
(
けん
)
を
握
(
にぎ
)
れ
共
(
ども
)
109
妄
(
みだり
)
に
兵
(
へい
)
を
動
(
うご
)
かすは
110
却
(
かへつ
)
て
世人
(
よびと
)
の
心
(
こころ
)
をば
111
悪化
(
あくくわ
)
せしむるものなりと
112
平和
(
へいわ
)
の
意見
(
いけん
)
を
主張
(
しゆちやう
)
して
113
防
(
ふせ
)
ぎもやらず
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
114
如何
(
いか
)
なる
奇策
(
きさく
)
のましますか
115
動
(
うご
)
かざるこそうたてけれ
116
さはさり
乍
(
なが
)
ら
妾
(
わらは
)
とて
117
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
を
振
(
ふ
)
り
棄
(
す
)
てて
118
道
(
みち
)
ならぬ
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
くべき
119
女
(
をんな
)
にあらねども
120
世
(
よ
)
の
成行
(
なりゆき
)
を
伺
(
うかが
)
へば
121
右守
(
うもり
)
に
依
(
よ
)
るより
外
(
ほか
)
はなし
122
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
123
神
(
かみ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
幸
(
さちは
)
ひて
124
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
や
125
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
の
頑迷
(
ぐわんめい
)
を
126
晴
(
は
)
らさせ
玉
(
たま
)
ひてビクの
国
(
くに
)
127
いや
永久
(
とこしへ
)
に
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へ
128
ヒルナの
姫
(
ひめ
)
が
大前
(
おほまへ
)
に
129
玉
(
たま
)
の
小琴
(
をごと
)
を
弾
(
だん
)
じつつ
130
神慮
(
しんりよ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
願
(
ね
)
ぎまつる』
131
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
恭
(
うやうや
)
しく
衣紋
(
えもん
)
を
繕
(
つくろ
)
ひ、
132
二三
(
にさん
)
の
城内
(
じやうない
)
の
役員
(
やくゐん
)
に
導
(
みちび
)
かれて、
133
参上
(
さんじやう
)
したのは
右守司
(
うもりのかみ
)
のベルツであつた。
134
ベルツは
主人
(
しゆじん
)
気取
(
きど
)
りで、
135
さも
横柄
(
わうへい
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
136
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
役員
(
やくゐん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
137
ベルツ『ヤア、
138
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
厶
(
ござ
)
つた。
139
少時
(
しばし
)
国政
(
こくせい
)
上
(
じやう
)
の
事
(
こと
)
に
就
(
つ
)
いて、
140
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
にお
伺
(
うかが
)
ひ
致
(
いた
)
したい
事
(
こと
)
あれば、
141
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
は
元
(
もと
)
の
席
(
せき
)
に
帰
(
かへ
)
つたがよからう』
142
『ハイ』と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
其
(
その
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
つた。
143
そして
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はソツと
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して、
144
二人
(
ふたり
)
の
談話
(
だんわ
)
を
一言
(
いちごん
)
も
洩
(
も
)
らさじと
聞耳
(
ききみみ
)
立
(
た
)
ててゐた。
145
之
(
これ
)
はラム、
146
リツト、
147
ベールといふ
城内
(
じやうない
)
の
属官
(
ぞくくわん
)
である。
148
そしてヒルナ
姫
(
ひめ
)
と
右守司
(
うもりのかみ
)
の
間柄
(
あひだがら
)
が
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
少
(
すこ
)
し
変
(
へん
)
なので、
149
左守司
(
さもりのかみ
)
の
内意
(
ないい
)
を
受
(
う
)
けて
常
(
つね
)
に
注意
(
ちうい
)
の
眼
(
まなこ
)
をみはつてゐたのである。
150
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
151
ベルツはラム、
152
リツト、
153
ベールの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
聞
(
き
)
いてゐるとは
少
(
すこ
)
しも
気付
(
きづ
)
かなかつた。
154
ベルツは
横柄
(
わうへい
)
に
姫
(
ひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
胡座
(
あぐら
)
をかき、
155
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
くゆ
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
156
ベルツ『
姫
(
ひめ
)
さま、
157
俄
(
にはか
)
に
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
申
(
まを
)
したい
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ましたので、
158
一寸
(
ちよつと
)
参
(
まゐ
)
りました』
159
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
貴方
(
あなた
)
は
何
(
なん
)
とか かんとか
云
(
い
)
つて、
160
妾
(
わらは
)
に
遠
(
とほ
)
ざかること
計
(
ばか
)
り
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
りますね。
161
今日
(
こんにち
)
の
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
と
云
(
い
)
ふのは、
162
又
(
また
)
、
163
例
(
れい
)
のお
惚気
(
のろけ
)
でせう。
164
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
は、
165
国家
(
こくか
)
多事
(
たじ
)
の
今日
(
こんにち
)
、
166
耳
(
みみ
)
を
藉
(
か
)
す
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませぬ。
167
貴方
(
あなた
)
はテーナさまの
所
(
ところ
)
へ
行
(
い
)
つて、
168
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
なさる
方
(
はう
)
が
可
(
い
)
いでせう、
169
チツと
方角違
(
はうがくちが
)
ひぢやありませぬか』
170
ベルツ『さう、
171
いきなり
攻撃
(
こうげき
)
の
矢
(
や
)
を
向
(
む
)
けられては
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ります。
172
八
(
はつ
)
尺
(
しやく
)
の
男子
(
だんし
)
も
到底
(
たうてい
)
太刀打
(
たちうち
)
が
出来
(
でき
)
ませぬ。
173
今日
(
こんにち
)
参
(
まゐ
)
りましたのは
左様
(
さやう
)
な
陽気
(
やうき
)
な
事
(
こと
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
174
小
(
せう
)
にしては
右守家
(
うもりけ
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
、
175
大
(
だい
)
にしてはビク
一国
(
いつこく
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
176
夫
(
そ
)
れ
故
(
ゆゑ
)
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
にトツクリと
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
を
申
(
まを
)
し、
177
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
承
(
うけたま
)
はつた
上
(
うへ
)
処決
(
しよけつ
)
しようと
思
(
おも
)
ひ、
178
罷出
(
まかりい
)
でました。
179
何卒
(
どうぞ
)
真面目
(
まじめ
)
にお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さい。
180
貴女
(
あなた
)
は
此
(
この
)
右守
(
うもり
)
を
薬籠中
(
やくろうちう
)
の
者
(
もの
)
となし、
181
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
い
時
(
とき
)
計
(
ばか
)
りうまく
利用
(
りよう
)
して、
182
用
(
よう
)
がなくなれば、
183
弊履
(
へいり
)
を
捨
(
す
)
つるが
如
(
ごと
)
き
残酷
(
ざんこく
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はす
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へでせう、
184
どうもマ
一
(
ひと
)
つ、
185
貴女
(
あなた
)
に
対
(
たい
)
して
気
(
き
)
のゆるせない
所
(
ところ
)
があるやうに
思
(
おも
)
はれてなりませぬワ』
186
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『ホホホホ、
187
ようそんな
事
(
こと
)
が、
188
どこを
押
(
おさ
)
へたら
仰有
(
おつしや
)
れますか、
189
貴方
(
あなた
)
と
私
(
わたし
)
の
仲
(
なか
)
は
切
(
き
)
つても
切
(
き
)
れぬ
関係
(
くわんけい
)
が
結
(
むす
)
ばれてゐるぢやありませぬか。
190
イターナルにユニオンして
此
(
この
)
国家
(
こくか
)
を
守
(
まも
)
らうと
御
(
お
)
約束
(
やくそく
)
されたでせう。
191
それに
就
(
つ
)
いても
貴方
(
あなた
)
の
要求
(
えうきう
)
を
入
(
い
)
れて、
192
女
(
をんな
)
の
行
(
ゆ
)
く
可
(
べか
)
らざる
道
(
みち
)
迄
(
まで
)
行
(
い
)
つたではありませぬか。
193
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るとは、
194
実
(
じつ
)
に
残酷
(
ざんこく
)
と
申
(
まを
)
すもの、
195
少
(
すこ
)
しは
妾
(
わらは
)
の
心
(
こころ
)
も
推量
(
すゐりやう
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
196
仮令
(
たとへ
)
二人
(
ふたり
)
がインフエルノの
底
(
そこ
)
へ
墜
(
お
)
ちても、
197
共々
(
ともども
)
に
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
さうと
誓
(
ちか
)
つた
仲
(
なか
)
だありませぬか』
198
ベルツ『イヤ、
199
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
200
それに
間違
(
まちが
)
ひは
厶
(
ござ
)
いませぬ。
201
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今日
(
こんにち
)
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
に
参
(
まゐ
)
つたといふのは
真剣
(
しんけん
)
です、
202
私
(
わたし
)
の
妹
(
いもうと
)
カルナ
姫
(
ひめ
)
、
203
人
(
ひと
)
もあらうに
左守司
(
さもりのかみ
)
の
馬鹿
(
ばか
)
息子
(
むすこ
)
ハルナに
恋着
(
れんちやく
)
致
(
いた
)
し、
204
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかラブ・レタースを
往復
(
わうふく
)
させ、
205
最早
(
もはや
)
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
かない
様
(
やう
)
になつて
了
(
しま
)
つたので
厶
(
ござ
)
います。
206
就
(
つ
)
いては
貴女
(
あなた
)
も
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り、
207
頑迷
(
ぐわんめい
)
不霊
(
ふれい
)
な
左守
(
さもり
)
の
伜
(
せがれ
)
ハルナの
如
(
ごと
)
き
柔弱漢
(
にうじやくかん
)
に、
208
妹
(
いもうと
)
をやるといふ
事
(
こと
)
は、
209
総
(
すべ
)
ての
計劃
(
けいくわく
)
上
(
じやう
)
に
於
(
おい
)
て、
210
大変
(
たいへん
)
な
番狂
(
ばんくる
)
はせを
来
(
きた
)
しはせまいかと、
211
家令
(
かれい
)
のシエールと
共
(
とも
)
に
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
めて
居
(
を
)
ります。
212
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へは
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
213
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
俯
(
うつ
)
むいて
少時
(
しばし
)
考
(
かんが
)
へてゐたが、
214
やがて
微笑
(
びせう
)
を
洩
(
も
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
215
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『コレ
右守
(
うもり
)
さま それは
願
(
ねが
)
うてもなき
出来事
(
できごと
)
だありませぬか、
216
此
(
この
)
結婚
(
けつこん
)
がうまく
行
(
ゆ
)
けば、
217
カルナさまは
貴方
(
あなた
)
の
妹
(
いもうと
)
、
218
何
(
なに
)
かにつけて
万事
(
ばんじ
)
都合
(
つがふ
)
が
宜
(
よろ
)
しいでせう、
219
言
(
い
)
はばスパイを
敵
(
てき
)
の
陣中
(
ぢんちう
)
に
放
(
はな
)
つた
様
(
やう
)
なもの、
220
こんな
好都合
(
かうつがふ
)
はありますまい』
221
ベルツ『
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らカルナといふ
奴
(
やつ
)
ア、
222
左様
(
さやう
)
な
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
く
女
(
をんな
)
とは、
223
どうしても
考
(
かんが
)
へられませぬ。
224
彼
(
かれ
)
は
只々
(
ただただ
)
ラブ・イズ・ベストだと
云
(
い
)
つて、
225
恋愛
(
れんあい
)
計
(
ばか
)
りに
心
(
こころ
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
226
且
(
かつ
)
又
(
また
)
拙者
(
せつしや
)
の
行動
(
かうどう
)
を
諫
(
いさ
)
め
様
(
やう
)
とする
傾向
(
けいかう
)
が
厶
(
ござ
)
いますから、
227
却
(
かへつ
)
て
左守司
(
さもりのかみ
)
の
家
(
いへ
)
に
遣
(
つか
)
はさうものなら、
228
なまじひ
道徳論
(
だうとくろん
)
に
惑溺
(
わくでき
)
して、
229
兄貴
(
あにき
)
に
弓
(
ゆみ
)
を
引
(
ひ
)
くやうな
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
さぬかと、
230
それ
計
(
ばか
)
りが
心配
(
しんぱい
)
に
堪
(
た
)
へませぬ。
231
願
(
ねが
)
はくば
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
より
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
に
言葉
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
して、
232
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
が
成功
(
せいこう
)
せない
様
(
やう
)
に
水
(
みづ
)
をさして
戴
(
いただ
)
きたいと
存
(
ぞん
)
じまして、
233
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
にあがりました。
234
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
言葉
(
ことば
)
ならば
鶴
(
つる
)
の
一声
(
ひとこゑ
)
いかに
熱烈
(
ねつれつ
)
な
恋
(
こひ
)
の
擒
(
とりこ
)
となつた
妹
(
いもうと
)
のカルナも、
235
之
(
これ
)
には
反
(
そむ
)
く
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りますまい。
236
何卒
(
どうぞ
)
一
(
ひと
)
つ
御
(
お
)
骨折
(
ほねをり
)
を
願
(
ねが
)
ひたいもので
厶
(
ござ
)
います。
237
家令
(
かれい
)
のシエールと
種々
(
しゆじゆ
)
協議
(
けふぎ
)
を
凝
(
こ
)
らしてみましたが、
238
どうしてもそれより
方法
(
はうはふ
)
はなきものと
考
(
かんが
)
へます。
239
一度
(
いちど
)
は
妹
(
いもうと
)
を
左守家
(
さもりけ
)
へ
遣
(
つか
)
はした
方
(
はう
)
が
目的
(
もくてき
)
遂行
(
すゐかう
)
上
(
じやう
)
、
240
都合
(
つがふ
)
が
好
(
よ
)
からうかと
存
(
ぞん
)
じ、
241
略
(
ほぼ
)
それに
内定
(
ないてい
)
して
居
(
を
)
りましたが、
242
翻
(
ひるがへ
)
つて
熟考
(
じゆくかう
)
すれば、
243
こんな
危険
(
きけん
)
なことはないと
考
(
かんが
)
へました。
244
何卒
(
どうぞ
)
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
に
就
(
つ
)
いては
到底
(
たうてい
)
兄
(
あに
)
の
力
(
ちから
)
では
破
(
やぶ
)
ることは
出来
(
でき
)
ませぬから、
245
貴方
(
あなた
)
の
御
(
お
)
力
(
ちから
)
を
借
(
かり
)
るより
道
(
みち
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ』
246
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな、
247
今日
(
こんにち
)
右守家
(
うもりけ
)
左守家
(
さもりけ
)
の
暗闘
(
あんとう
)
を
融和
(
ゆうわ
)
させるには、
248
これ
位
(
くらゐ
)
好
(
よ
)
い
機会
(
きくわい
)
はありませぬ。
249
如何
(
いか
)
にビクの
刹帝利
(
せつていり
)
家
(
け
)
が
古
(
ふる
)
くから
続
(
つづ
)
き、
250
権力
(
けんりよく
)
があるとは
云
(
い
)
へ、
251
肝心
(
かんじん
)
の
左守
(
さもり
)
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
たる
竜虎
(
りようこ
)
互
(
たがひ
)
に
争
(
あらそ
)
ふ
時
(
とき
)
は、
252
どちらも
勢
(
いきほひ
)
全
(
まつた
)
からず、
253
遂
(
つひ
)
には
内部
(
ないぶ
)
より
破綻
(
はたん
)
を
来
(
きた
)
し、
254
国家
(
こくか
)
の
滅亡
(
めつぼう
)
を
来
(
きた
)
すは
目
(
ま
)
のあたりで
厶
(
ござ
)
います。
255
実
(
じつ
)
に
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
、
256
刹帝利
(
せつていり
)
家
(
け
)
のために、
257
こんな
結構
(
けつこう
)
な
縁談
(
えんだん
)
はありますまい。
258
此
(
この
)
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
りはヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
259
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
も
熟考
(
じゆくかう
)
をして
貰
(
もら
)
ひたい
事
(
こと
)
を
主張
(
しゆちやう
)
致
(
いた
)
します』
260
ベルツ『
成程
(
なるほど
)
、
261
それも
却
(
かへつ
)
て
可
(
い
)
いかも
知
(
し
)
れませぬ。
262
然
(
しか
)
らば
何事
(
なにごと
)
も
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
にお
任
(
まか
)
せ
致
(
いた
)
します。
263
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
しませう』
264
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
左様
(
さやう
)
ならば、
265
これから
左守司
(
さもりのかみ
)
を
呼
(
よ
)
びよせ、
266
篤
(
とく
)
と
妾
(
わらは
)
より
申渡
(
まをしわた
)
すで
厶
(
ござ
)
いませう。
267
サア
又
(
また
)
壁
(
かべ
)
に
耳
(
みみ
)
あり、
268
天
(
てん
)
に
口
(
くち
)
あり、
269
或
(
ある
)
時機
(
じき
)
まで
此
(
この
)
秘密
(
ひみつ
)
が
洩
(
も
)
れないやう、
270
早
(
はや
)
くお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
271
ベルツ『
大変
(
たいへん
)
に
秋風
(
あきかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いたと
見
(
み
)
え、
272
箒
(
はうき
)
で
掃
(
は
)
くやうになさいますな。
273
マア
一服
(
いつぷく
)
して
帰
(
かへ
)
れと
仰有
(
おつしや
)
つても、
274
余
(
あま
)
り
罰
(
ばち
)
は
当
(
あた
)
りますまい。
275
又
(
また
)
私
(
わたし
)
は
一息
(
ひといき
)
や
二息
(
ふたいき
)
、
276
ここで
煙草
(
たばこ
)
位
(
ぐらゐ
)
頂
(
いただ
)
いても、
277
余
(
あま
)
り
差支
(
さしつか
)
へない
様
(
やう
)
に
考
(
かんが
)
へますがなア』
278
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
又
(
また
)
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて、
279
私
(
わたし
)
を
困
(
こま
)
らせるのですか、
280
そんなら
百
(
ひやく
)
年
(
ねん
)
なつと
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
なつと ここでお
煙草
(
たばこ
)
をあがつて
下
(
くだ
)
さい』
281
ベルツ『ハハハハ、
282
イヤ
真
(
まこと
)
に
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
283
左様
(
さやう
)
なれば
邪魔者
(
じやまもの
)
は
直様
(
すぐさま
)
、
284
御前
(
ごぜん
)
を
下
(
さが
)
りませう。
285
そこらに
箒
(
はうき
)
を
逆様
(
さかさま
)
にして
頬
(
ほほ
)
かぶりがさしてあれば、
286
どうぞ
元
(
もと
)
へ
直
(
なほ
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
287
エヘヘヘヘ』
288
と
厭
(
いや
)
らしい
笑
(
ゑみ
)
を
残
(
のこ
)
し、
289
スタスタと
廊下
(
らうか
)
に
足音
(
あしおと
)
をさせ
乍
(
なが
)
ら、
290
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
をさして
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
291
ラム、
292
リツト、
293
ベールの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せて
苦笑
(
くせう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
294
足
(
あし
)
を
忍
(
しの
)
ばせ
左守司
(
さもりのかみ
)
の
館
(
やかた
)
をさして
急
(
いそ
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く。
295
(
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