霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 気縁(きえん)〔一三六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻 篇:第1篇 毘丘取颪 よみ(新仮名遣い):びくとりおろし
章:第6章 気縁 よみ(新仮名遣い):きえん 通し章番号:1369
口述日:1923(大正12)年02月12日(旧12月27日) 口述場所:竜宮館 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月8日
概要: 舞台:ビクトリヤ城 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ヒルナ姫はビクトリヤ王の居間に進み入った。王は一心不乱にコーランをひもといている。ヒルナ姫は、城内の内紛を収めるために、左守家と右守家の婚姻を持ち出した。
王は、不仲な両家が婚姻を承諾するかを心配するが、姫は、すでに左守の息子と右守の妹は相愛の仲であり、両家ともこの婚姻に前向きであることを王に伝えた。
ヒルナ姫の提案と報告を聞いてビクトリヤ王は賛同し、王自ら左守を呼び出してこの件を進めることを約束した。
そこへ折よく左守が伺候し、ビクトリヤ王から直接婚姻の件を承り、承諾した。婚姻の準備についてはヒルナ姫が仲人の手配をすることとなり、左守は王と王妃に厚く礼を述べて我が家へ帰って行った。
ビクトリヤ王とヒルナ姫は、神前に向かって感謝の祝詞を奏上した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5306
愛善世界社版:63頁 八幡書店版:第9輯 526頁 修補版: 校定版:67頁 普及版:33頁 初版: ページ備考:
001 ヒルナ(ひめ)意気(いき)揚々(やうやう)としてビクトリヤ(わう)居間(ゐま)進入(すすみい)つた。002ビクトリヤ(わう)経机(きやうづくゑ)にもたれ、003一心(いつしん)不乱(ふらん)にコーランを(ひもと)いてゐた。
004ヒルナ(ひめ)御免(ごめん)(くだ)さいませ。005ヒルナで(ござ)います』
006 (この)(こゑ)にビクトリヤ(わう)老眼(らうがん)眼鏡越(めがねご)しに(のぞ)(やう)にして、
007刹帝利(せつていり)『ヒルナ(ひめ)008今日(けふ)(なん)とはなしに元気(げんき)のよい(かほ)だな。009(なに)面白(おもしろ)(こと)がありましたかな』
010ヒルナ(ひめ)『はい、011エー、012早速(さつそく)(ござ)いますが、013(わが)君様(きみさま)にお(ねがひ)(ござ)いましてお(うかが)ひを(いた)しました、014コーランを()研究(けんきう)最中(さいちう)にも(かかは)らず()邪魔(じやま)(いた)しまして()みませぬ』
015刹帝利(せつていり)『ア、016いやいや(べつ)邪魔(じやま)でもない。017さうして(ねが)ひとは何事(なにごと)だ。018(はや)()つて()たが()からう』
019 ヒルナはモジモジし(なが)ら、020満面(まんめん)(ゑみ)(たた)へ、021(こび)(てい)し、022言葉(ことば)(しとや)かに、023なめつく(やう)(こゑ)視線(しせん)(ななめ)()(なが)ら、024(すこ)しく(からだ)(ゆす)りシヨナ シヨナとして両手(りやうて)(ひざ)(うへ)()みつつ、
025ヒルナ(ひめ)(わが)君様(きみさま)026今日(こんにち)国家(こくか)危急(ききふ)(すく)ふのには()第一(だいいち)着手(ちやくしゆ)として城内(じやうない)内紛(ないふん)鎮定(ちんてい)せなくてはなりませぬ。027それについて(わらは)日夜(にちや)心胆(しんたん)()つてゐました。028(やうや)今日(こんにち)(その)曙光(しよくわう)(みと)めましたので()相談(さうだん)(まゐ)りました』
029刹帝利(せつていり)成程(なるほど)030()国民(こくみん)(をさ)めむとすれば、031右守(うもり)032左守司(さもりのかみ)暗闘(あんとう)(なん)とかして(しづ)めねばなるまい。033(しか)如何(どう)しても(かれ)()思想(しさう)(あは)ない犬猿(けんゑん)(ただ)ならぬ(なか)だから(この)(さい)如何(どん)手段(しゆだん)(もち)ふるも(なん)(かう)もあるまい。034正直(しやうぢき)一途(いちづ)左守司(さもりのかみ)(たい)権謀(けんぼう)術数(じゆつすう)(いた)らざるなき奸黠(かんきつ)右守司(うもりのかみ)は、035刹帝利(せつていり)としても、036如何(いかん)ともすべからざるものだ。037(かれ)(いへ)祖先(そせん)から兵馬(へいば)(けん)(にぎ)つて()るのだから、038何時(なんどき)反旗(はんき)(かか)げるかも(わか)らない。039如何(いか)左守司(さもりのかみ)忠勇(ちうゆう)義烈(ぎれつ)なりとて兵馬(へいば)(けん)(にぎ)らぬ(うち)は、040国家(こくか)禍害(くわがい)(のぞ)(こと)到底(たうてい)不可能(ふかのう)だ。041(なに)其方(そなた)妙案(めうあん)(かんが)()したのか、042()(かく)()つて()やれ』
043ヒルナ(ひめ)(おほ)せの(ごと)左守司(さもりのかみ)(じつ)立派(りつぱ)人格者(じんかくしや)(ござ)います。044それについて右守司(うもりのかみ)才子肌(さいしはだ)(をとこ)で、045(とし)(わか)()つデモクラシーの思想(しさう)にかぶれて()りますれば、046保守(ほしゆ)主義(しゆぎ)革新(かくしん)主義(しゆぎ)との両人(りやうにん)(あらそ)ひ、047如何(いか)にして(これ)調停(てうてい)せむかと苦心(くしん)惨憺(さんたん)結果(けつくわ)048(おも)ひつきましたのは左守司(さもりのかみ)(せがれ)ハルナと右守司(うもりのかみ)(いもうと)カルナ(ひめ)との結婚(けつこん)問題(もんだい)(ござ)います』
049刹帝利(せつていり)成程(なるほど)050それは至極(しごく)妙案(めうあん)だらう。051(しか)(なが)如何(どう)しても(この)結合(けつがふ)至難事(しなんじ)であらう。052(いち)()刹帝利(せつていり)(めい)服従(ふくじゆう)して仮令(たとへ)結婚(けつこん)(いた)すとも(たちま)破鏡(はきやう)(かな)しみを()るは()(あたり)だ。053さうなつた(うへ)両家(りやうけ)益々(ますます)054嫉視(しつし)反目(はんもく)()(たか)め、055(つひ)には(るゐ)をビクトリヤ()(およ)ぼす(やう)になつては大変(たいへん)だから余程(よほど)(かんが)へねばなるまいぞ。056一利(いちり)あれば一害(いちがい)(ともな)ふものだ。057それにつけても頑強(ぐわんきやう)なる律義(りつぎ)一方(いつぱう)左守司(さもりのかみ)容易(ようい)承諾(しようだく)(いた)すまい』
058ヒルナ(ひめ)『それは()心配(しんぱい)(あそ)ばしますな。059最前(さいぜん)左守司(さもりのかみ)()んで(その)意見(いけん)(たた)きました(ところ)060(おも)ひの(ほか)打解(うちと)けお(くに)のためとなればお()(いた)します、061(さぞ)(せがれ)満足(まんぞく)(いた)しませうと()つて(かへ)りました』
062刹帝利(せつていり)(なん)と、063あの左守司(さもりのかみ)がそんな(ひら)けた(こと)をいつたかな。064ウーン、065(これ)時勢(じせい)(ちから)だ。066忠義(ちうぎ)家来(けらい)融通(ゆうづう)()かず、067融通(ゆうづう)()(やつ)(わる)(こと)(たく)むなり、068(しん)股肱(ここう)(たの)家来(けらい)がないので心配(しんぱい)(いた)して()つたが、069左守(さもり)もそこ(まで)(ひら)けたかな。070それは(じつ)結構(けつこう)だ。071(しか)(なが)右守司(うもりのかみ)如何(どう)だらうか。072(かれ)(また)(あたま)(ふる)老耄(おいぼ)(おやぢ)何時(いつ)排斥(はいせき)してる(やう)だが、073(この)縁談(えんだん)承諾(しようだく)するであらうかな』
074ヒルナ(ひめ)『それは()心配(しんぱい)(およ)びますまい。075実際(じつさい)(ところ)左守(さもり)(せがれ)ハルナと右守(うもり)(いもうと)カルナの(あひだ)には、076(すで)(すで)情約(じやうやく)締結(ていけつ)内々(ないない)(むす)ばれたと()(こと)(ござ)います。077右守(うもり)(もと)より(この)縁談(えんだん)(あま)(この)まない(やう)でしたが、078肝腎(かんじん)(いもうと)()かないものですから、079到頭(たうとう)()()つて賛成(さんせい)をする(こと)になりました』
080刹帝利(せつていり)『さうなれば左守(さもり)081右守(うもり)相並(あひなら)んで国政(こくせい)鞅掌(おうしやう)し、082ビクトリヤ()政治(せいぢ)万世(ばんせ)不易(ふえき)だ、083ああ(じつ)(うれ)しい時節(じせつ)()たものだな』
084ヒルナ(ひめ)左様(さやう)(ござ)います。085こんな(うれ)しい(こと)(ござ)いませぬ。086(この)(まま)両家(りやうけ)暗闘(あんとう)(つづ)けてゐませうものなら兵馬(へいば)(けん)(にぎ)つた右守司(うもりのかみ)如何(いか)なる(こと)仕出(しで)かすか()れませぬ。087(つひ)には左守(さもり)(ほろ)ぼし、088(おそ)(おほ)くも刹帝利(せつていり)(さま)退隠(たいいん)させ、089自分(じぶん)がとつて(かは)らむとする野心(やしん)包蔵(はうざう)して()るかも(わか)りませぬ。090(いな)(たしか)(その)形勢(けいせい)(あら)はれて()ります。091かかる危急(ききふ)存亡(そんばう)のビクトリヤ()(すく)ふのは、092(この)結婚(けつこん)問題(もんだい)()したものは(ござ)いますまい。093(わらは)はホツト(いき)をついた(やう)次第(しだい)(ござ)います』
094刹帝利(せつていり)成程(なるほど)095(まへ)()(とほ)りだ。096(しか)らば(いち)()(はや)左守司(さもりのかみ)()()し、097(かれ)(あらた)めて申渡(まをしわた)すであらう』
098ヒルナ(ひめ)早速(さつそく)その(はこ)びを(いた)しませう。099(わらは)(この)(こと)成功(せいこう)(いた)しますれば、100仮令(たとへ)()しても心残(こころのこ)りは(ござ)いませぬ』
101刹帝利(せつていり)『アハハハハ、102(ふた)()には()ぬのなんのと、103左様(さやう)心細(こころぼそ)(こと)()ふものではない。104七十(しちじふ)老躯(らうく)をさげたビクトリヤも()二十(にじふ)(ねん)三十(さんじふ)(ねん)社会(しやくわい)活躍(くわつやく)するつもりだ。105(まへ)(わか)()()つて、106左様(さやう)(こと)(おも)つたり、107()つたりするものではない。108言霊(ことたま)(さち)はふ()(なか)だから、109不吉(ふきつ)言葉(ことば)()はない(やう)にして()れ』
110ヒルナ(ひめ)『はい不調法(ぶてうはふ)(まを)しました。111屹度(きつと)心得(こころえ)ます。112盤古(ばんこ)神王(しんわう)塩長彦(しほながひこの)(みこと)(さま)113見直(みなほ)(たま)聞直(ききなほ)(たま)へ』
114合掌(がつしやう)する。115そこへ(うやうや)しく衣紋(えもん)(ととの)(まゐ)つて()たのは左守司(さもりのかみ)であつた。116左守司(さもりのかみ)末座(まつざ)平伏(へいふく)して言葉(ことば)もつつましやかに、
117左守(さもり)(わが)君様(きみさま)118ヒルナ(ひめ)(さま)119(わたし)左守(さもり)(ござ)います』
120刹帝利(せつていり)『いや左守殿(さもりどの)121いい(ところ)()()れた。122さア(ちか)(ちか)う。123其方(そなた)折入(をりい)つて申入(まをしい)れたい(こと)がある』
124左守(さもり)『はい、125(しか)らば御免(ごめん)(かうむ)りませう』
126()(なが)(おそ)(おそ)一間(いつけん)ばかり間近(まぢか)まで(すす)()平伏(へいふく)した。
127刹帝利(せつていり)左守殿(さもりどの)128其方(そなた)はヒルナに()いてゐるだらうが、129()()るまいけれど、130ビクトリヤ()()め、131国家(こくか)危急(ききふ)(すく)ふために、132(なんぢ)(せがれ)ハルナと右守(うもり)(いもうと)カルナ(ひめ)との結婚(けつこん)申付(まをしつ)けるから、133承諾(しようだく)して()れるだらうな』
134左守(さもり)『はい、135(おそ)(おほ)くも斯様(かやう)(こと)までお(こころ)(なや)まし(まつ)り、136(じつ)感謝(かんしや)()へませぬ。137(おほ)(かしこ)(つつし)んでお(うけ)(いた)します』
138刹帝利(せつていり)流石(さすが)左守殿(さもりどの)139満足(まんぞく)々々(まんぞく)140さア(いち)()(はや)(この)縁談(えんだん)(とり)かかつて()れ』
141ヒルナ(ひめ)左守殿(さもりどの)142(わが)君様(きみさま)のお言葉(ことば)143有難(ありがた)くお()(いた)し、144円満(ゑんまん)(この)縁談(えんだん)解決(かいけつ)する(やう)取計(とりはか)らつて(くだ)さい。145それに()いては内事(ないじ)(つかさ)146タルマンを媒介(なかうど)として、147(この)(はう)より差遣(さしつか)はすによつて、148(その)心算(つもり)()つたが(よか)らうぞ』
149左守(さもり)『はい、150(なに)から(なに)まで、151(こころ)をつけられまして(いた)()りまする。152左様(さやう)ならば(わが)君様(きみさま)153ヒルナ(ひめ)(さま)154一時(いつとき)(はや)(やかた)(かへ)り、155準備(じゆんび)にとりかかりませう』
156(あつ)(れい)()べイソイソとして(わが)()へと(かへ)()く。157(あと)にビクトリヤ(わう)とヒルナ(ひめ)は、158(ただ)ちに神前(しんぜん)(むか)感謝(かんしや)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、159(ひめ)慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)()べて、160(わが)居間(ゐま)(かへ)()く。
161大正一二・二・一二 旧一一・一二・二七 於竜宮館 北村隆光録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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