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第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第53巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 毘丘取颪
01 春菜草
〔1364〕
02 蜉蝣
〔1365〕
03 軟文学
〔1366〕
04 蜜語
〔1367〕
05 愛縁
〔1368〕
06 気縁
〔1369〕
07 比翼
〔1370〕
08 連理
〔1371〕
09 蛙の腸
〔1372〕
第2篇 貞烈亀鑑
10 女丈夫
〔1373〕
11 艶兵
〔1374〕
12 鬼の恋
〔1375〕
13 醜嵐
〔1376〕
14 女の力
〔1377〕
15 白熱化
〔1378〕
第3篇 兵権執着
16 暗示
〔1379〕
17 奉還状
〔1380〕
18 八当狸
〔1381〕
19 刺客
〔1382〕
第4篇 神愛遍満
20 背進
〔1383〕
21 軍議
〔1384〕
22 天祐
〔1385〕
23 純潔
〔1386〕
余白歌
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第六章
気縁
(
きえん
)
〔一三六九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
篇:
第1篇 毘丘取颪
よみ(新仮名遣い):
びくとりおろし
章:
第6章 気縁
よみ(新仮名遣い):
きえん
通し章番号:
1369
口述日:
1923(大正12)年02月12日(旧12月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月8日
概要:
舞台:
ビクトリヤ城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ヒルナ姫はビクトリヤ王の居間に進み入った。王は一心不乱にコーランをひもといている。ヒルナ姫は、城内の内紛を収めるために、左守家と右守家の婚姻を持ち出した。
王は、不仲な両家が婚姻を承諾するかを心配するが、姫は、すでに左守の息子と右守の妹は相愛の仲であり、両家ともこの婚姻に前向きであることを王に伝えた。
ヒルナ姫の提案と報告を聞いてビクトリヤ王は賛同し、王自ら左守を呼び出してこの件を進めることを約束した。
そこへ折よく左守が伺候し、ビクトリヤ王から直接婚姻の件を承り、承諾した。婚姻の準備についてはヒルナ姫が仲人の手配をすることとなり、左守は王と王妃に厚く礼を述べて我が家へ帰って行った。
ビクトリヤ王とヒルナ姫は、神前に向かって感謝の祝詞を奏上した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5306
愛善世界社版:
63頁
八幡書店版:
第9輯 526頁
修補版:
校定版:
67頁
普及版:
33頁
初版:
ページ備考:
001
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
としてビクトリヤ
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進入
(
すすみい
)
つた。
002
ビクトリヤ
王
(
わう
)
は
経机
(
きやうづくゑ
)
にもたれ、
003
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
にコーランを
繙
(
ひもと
)
いてゐた。
004
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
御免
(
ごめん
)
下
(
くだ
)
さいませ。
005
ヒルナで
厶
(
ござ
)
います』
006
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
にビクトリヤ
王
(
わう
)
は
老眼
(
らうがん
)
の
眼鏡越
(
めがねご
)
しに
覗
(
のぞ
)
く
様
(
やう
)
にして、
007
刹帝利
(
せつていり
)
『ヒルナ
姫
(
ひめ
)
、
008
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
とはなしに
元気
(
げんき
)
のよい
顔
(
かほ
)
だな。
009
何
(
なに
)
か
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
がありましたかな』
010
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『はい、
011
エー、
012
早速
(
さつそく
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
013
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
にお
願
(
ねがひ
)
が
厶
(
ござ
)
いましてお
伺
(
うかが
)
ひを
致
(
いた
)
しました、
014
コーランを
御
(
ご
)
研究
(
けんきう
)
の
最中
(
さいちう
)
にも
拘
(
かかは
)
らず
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
しまして
済
(
す
)
みませぬ』
015
刹帝利
(
せつていり
)
『ア、
016
いやいや
別
(
べつ
)
に
邪魔
(
じやま
)
でもない。
017
さうして
願
(
ねが
)
ひとは
何事
(
なにごと
)
だ。
018
早
(
はや
)
く
云
(
い
)
つて
見
(
み
)
たが
宜
(
よ
)
からう』
019
ヒルナはモジモジし
乍
(
なが
)
ら、
020
満面
(
まんめん
)
に
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へ、
021
媚
(
こび
)
を
呈
(
てい
)
し、
022
言葉
(
ことば
)
淑
(
しとや
)
かに、
023
なめつく
様
(
やう
)
な
声
(
こゑ
)
で
視線
(
しせん
)
を
斜
(
ななめ
)
に
向
(
む
)
け
乍
(
なが
)
ら、
024
少
(
すこ
)
しく
体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆす
)
りシヨナ シヨナとして
両手
(
りやうて
)
を
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
に
揉
(
も
)
みつつ、
025
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
026
今日
(
こんにち
)
の
国家
(
こくか
)
の
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
ふのには
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
着手
(
ちやくしゆ
)
として
城内
(
じやうない
)
の
内紛
(
ないふん
)
を
鎮定
(
ちんてい
)
せなくてはなりませぬ。
027
それについて
妾
(
わらは
)
は
日夜
(
にちや
)
心胆
(
しんたん
)
を
練
(
ね
)
つてゐました。
028
漸
(
やうや
)
く
今日
(
こんにち
)
其
(
その
)
曙光
(
しよくわう
)
を
認
(
みと
)
めましたので
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
に
参
(
まゐ
)
りました』
029
刹帝利
(
せつていり
)
『
成程
(
なるほど
)
、
030
先
(
ま
)
づ
国民
(
こくみん
)
を
治
(
をさ
)
めむとすれば、
031
右守
(
うもり
)
、
032
左守司
(
さもりのかみ
)
の
暗闘
(
あんとう
)
を
何
(
なん
)
とかして
鎮
(
しづ
)
めねばなるまい。
033
然
(
しか
)
し
如何
(
どう
)
しても
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
思想
(
しさう
)
が
合
(
あは
)
ない
犬猿
(
けんゑん
)
啻
(
ただ
)
ならぬ
仲
(
なか
)
だから
此
(
この
)
際
(
さい
)
如何
(
どん
)
な
手段
(
しゆだん
)
を
用
(
もち
)
ふるも
何
(
なん
)
の
効
(
かう
)
もあるまい。
034
正直
(
しやうぢき
)
一途
(
いちづ
)
の
左守司
(
さもりのかみ
)
に
対
(
たい
)
し
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
至
(
いた
)
らざるなき
奸黠
(
かんきつ
)
の
右守司
(
うもりのかみ
)
は、
035
刹帝利
(
せつていり
)
としても、
036
如何
(
いかん
)
ともすべからざるものだ。
037
彼
(
かれ
)
の
家
(
いへ
)
は
祖先
(
そせん
)
から
兵馬
(
へいば
)
の
権
(
けん
)
を
握
(
にぎ
)
つて
居
(
を
)
るのだから、
038
何時
(
なんどき
)
反旗
(
はんき
)
を
掲
(
かか
)
げるかも
分
(
わか
)
らない。
039
如何
(
いか
)
に
左守司
(
さもりのかみ
)
忠勇
(
ちうゆう
)
義烈
(
ぎれつ
)
なりとて
兵馬
(
へいば
)
の
権
(
けん
)
を
握
(
にぎ
)
らぬ
中
(
うち
)
は、
040
国家
(
こくか
)
の
禍害
(
くわがい
)
を
除
(
のぞ
)
く
事
(
こと
)
は
到底
(
たうてい
)
不可能
(
ふかのう
)
だ。
041
何
(
なに
)
か
其方
(
そなた
)
は
妙案
(
めうあん
)
を
考
(
かんが
)
へ
出
(
だ
)
したのか、
042
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
云
(
い
)
つて
見
(
み
)
やれ』
043
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
仰
(
おほ
)
せの
如
(
ごと
)
く
左守司
(
さもりのかみ
)
は
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
人格者
(
じんかくしや
)
で
厶
(
ござ
)
います。
044
それについて
右守司
(
うもりのかみ
)
は
才子肌
(
さいしはだ
)
の
男
(
をとこ
)
で、
045
年
(
とし
)
も
若
(
わか
)
く
且
(
か
)
つデモクラシーの
思想
(
しさう
)
にかぶれて
居
(
を
)
りますれば、
046
保守
(
ほしゆ
)
主義
(
しゆぎ
)
と
革新
(
かくしん
)
主義
(
しゆぎ
)
との
両人
(
りやうにん
)
の
争
(
あらそ
)
ひ、
047
如何
(
いか
)
にして
之
(
これ
)
を
調停
(
てうてい
)
せむかと
苦心
(
くしん
)
惨憺
(
さんたん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
048
思
(
おも
)
ひつきましたのは
左守司
(
さもりのかみ
)
の
伜
(
せがれ
)
ハルナと
右守司
(
うもりのかみ
)
の
妹
(
いもうと
)
カルナ
姫
(
ひめ
)
との
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
で
厶
(
ござ
)
います』
049
刹帝利
(
せつていり
)
『
成程
(
なるほど
)
、
050
それは
至極
(
しごく
)
妙案
(
めうあん
)
だらう。
051
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
如何
(
どう
)
しても
此
(
この
)
結合
(
けつがふ
)
は
至難事
(
しなんじ
)
であらう。
052
一
(
いち
)
時
(
じ
)
は
刹帝利
(
せつていり
)
の
命
(
めい
)
に
服従
(
ふくじゆう
)
して
仮令
(
たとへ
)
結婚
(
けつこん
)
を
致
(
いた
)
すとも
忽
(
たちま
)
ち
破鏡
(
はきやう
)
の
悲
(
かな
)
しみを
見
(
み
)
るは
目
(
ま
)
の
前
(
あたり
)
だ。
053
さうなつた
上
(
うへ
)
は
両家
(
りやうけ
)
は
益々
(
ますます
)
、
054
嫉視
(
しつし
)
反目
(
はんもく
)
の
度
(
ど
)
を
高
(
たか
)
め、
055
遂
(
つひ
)
には
累
(
るゐ
)
をビクトリヤ
家
(
け
)
に
及
(
およ
)
ぼす
様
(
やう
)
になつては
大変
(
たいへん
)
だから
余程
(
よほど
)
考
(
かんが
)
へねばなるまいぞ。
056
一利
(
いちり
)
あれば
一害
(
いちがい
)
の
伴
(
ともな
)
ふものだ。
057
それにつけても
頑強
(
ぐわんきやう
)
なる
律義
(
りつぎ
)
一方
(
いつぱう
)
の
左守司
(
さもりのかみ
)
は
容易
(
ようい
)
に
承諾
(
しようだく
)
は
致
(
いた
)
すまい』
058
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『それは
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
遊
(
あそ
)
ばしますな。
059
最前
(
さいぜん
)
も
左守司
(
さもりのかみ
)
を
呼
(
よ
)
んで
其
(
その
)
意見
(
いけん
)
を
叩
(
たた
)
きました
処
(
ところ
)
、
060
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
打解
(
うちと
)
けお
国
(
くに
)
のためとなればお
受
(
う
)
け
致
(
いた
)
します、
061
嘸
(
さぞ
)
伜
(
せがれ
)
も
満足
(
まんぞく
)
致
(
いた
)
しませうと
云
(
い
)
つて
帰
(
かへ
)
りました』
062
刹帝利
(
せつていり
)
『
何
(
なん
)
と、
063
あの
左守司
(
さもりのかみ
)
がそんな
開
(
ひら
)
けた
事
(
こと
)
をいつたかな。
064
ウーン、
065
之
(
これ
)
も
時勢
(
じせい
)
の
力
(
ちから
)
だ。
066
忠義
(
ちうぎ
)
な
家来
(
けらい
)
は
融通
(
ゆうづう
)
が
利
(
き
)
かず、
067
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
く
奴
(
やつ
)
は
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
むなり、
068
真
(
しん
)
に
股肱
(
ここう
)
と
頼
(
たの
)
む
家来
(
けらい
)
がないので
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
つたが、
069
左守
(
さもり
)
もそこ
迄
(
まで
)
開
(
ひら
)
けたかな。
070
それは
実
(
じつ
)
に
結構
(
けつこう
)
だ。
071
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
右守司
(
うもりのかみ
)
は
如何
(
どう
)
だらうか。
072
彼
(
かれ
)
は
亦
(
また
)
頭
(
あたま
)
の
古
(
ふる
)
い
老耄
(
おいぼ
)
れ
爺
(
おやぢ
)
と
何時
(
いつ
)
も
排斥
(
はいせき
)
してる
様
(
やう
)
だが、
073
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
を
承諾
(
しようだく
)
するであらうかな』
074
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『それは
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
に
及
(
およ
)
びますまい。
075
実際
(
じつさい
)
の
処
(
ところ
)
は
左守
(
さもり
)
の
伜
(
せがれ
)
ハルナと
右守
(
うもり
)
の
妹
(
いもうと
)
カルナの
間
(
あひだ
)
には、
076
已
(
すで
)
に
既
(
すで
)
に
情約
(
じやうやく
)
の
締結
(
ていけつ
)
が
内々
(
ないない
)
結
(
むす
)
ばれたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
077
右守
(
うもり
)
は
元
(
もと
)
より
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
は
余
(
あま
)
り
好
(
この
)
まない
様
(
やう
)
でしたが、
078
肝腎
(
かんじん
)
の
妹
(
いもうと
)
が
諾
(
き
)
かないものですから、
079
到頭
(
たうとう
)
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて
賛成
(
さんせい
)
をする
事
(
こと
)
になりました』
080
刹帝利
(
せつていり
)
『さうなれば
左守
(
さもり
)
、
081
右守
(
うもり
)
相並
(
あひなら
)
んで
国政
(
こくせい
)
に
鞅掌
(
おうしやう
)
し、
082
ビクトリヤ
家
(
け
)
の
政治
(
せいぢ
)
は
万世
(
ばんせ
)
不易
(
ふえき
)
だ、
083
ああ
実
(
じつ
)
に
嬉
(
うれ
)
しい
時節
(
じせつ
)
が
来
(
き
)
たものだな』
084
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
085
こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
086
此
(
この
)
儘
(
まま
)
両家
(
りやうけ
)
暗闘
(
あんとう
)
を
続
(
つづ
)
けてゐませうものなら
兵馬
(
へいば
)
の
権
(
けん
)
を
握
(
にぎ
)
つた
右守司
(
うもりのかみ
)
は
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
を
仕出
(
しで
)
かすか
知
(
し
)
れませぬ。
087
遂
(
つひ
)
には
左守
(
さもり
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼし、
088
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くも
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
を
退隠
(
たいいん
)
させ、
089
自分
(
じぶん
)
がとつて
代
(
かは
)
らむとする
野心
(
やしん
)
を
包蔵
(
はうざう
)
して
居
(
を
)
るかも
分
(
わか
)
りませぬ。
090
否
(
いな
)
確
(
たしか
)
に
其
(
その
)
形勢
(
けいせい
)
が
現
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
ります。
091
かかる
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
のビクトリヤ
家
(
け
)
を
救
(
すく
)
ふのは、
092
此
(
この
)
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
に
越
(
こ
)
したものは
厶
(
ござ
)
いますまい。
093
妾
(
わらは
)
はホツト
息
(
いき
)
をついた
様
(
やう
)
な
次第
(
しだい
)
で
厶
(
ござ
)
います』
094
刹帝利
(
せつていり
)
『
成程
(
なるほど
)
、
095
お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りだ。
096
然
(
しか
)
らば
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
左守司
(
さもりのかみ
)
を
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
し、
097
彼
(
かれ
)
に
改
(
あらた
)
めて
申渡
(
まをしわた
)
すであらう』
098
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
早速
(
さつそく
)
その
運
(
はこ
)
びを
致
(
いた
)
しませう。
099
妾
(
わらは
)
も
此
(
この
)
事
(
こと
)
が
成功
(
せいこう
)
致
(
いた
)
しますれば、
100
仮令
(
たとへ
)
死
(
し
)
しても
心残
(
こころのこ
)
りは
厶
(
ござ
)
いませぬ』
101
刹帝利
(
せつていり
)
『アハハハハ、
102
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
には
死
(
し
)
ぬのなんのと、
103
左様
(
さやう
)
な
心細
(
こころぼそ
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふものではない。
104
七十
(
しちじふ
)
の
老躯
(
らうく
)
をさげたビクトリヤも
未
(
ま
)
だ
二十
(
にじふ
)
年
(
ねん
)
や
三十
(
さんじふ
)
年
(
ねん
)
は
社会
(
しやくわい
)
に
活躍
(
くわつやく
)
するつもりだ。
105
お
前
(
まへ
)
は
若
(
わか
)
い
身
(
み
)
を
持
(
も
)
つて、
106
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
つたり、
107
云
(
い
)
つたりするものではない。
108
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから、
109
不吉
(
ふきつ
)
の
言葉
(
ことば
)
は
云
(
い
)
はない
様
(
やう
)
にして
呉
(
く
)
れ』
110
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『はい
不調法
(
ぶてうはふ
)
申
(
まを
)
しました。
111
屹度
(
きつと
)
心得
(
こころえ
)
ます。
112
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
塩長彦
(
しほながひこの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
113
見直
(
みなほ
)
し
給
(
たま
)
へ
聞直
(
ききなほ
)
し
玉
(
たま
)
へ』
114
と
合掌
(
がつしやう
)
する。
115
そこへ
恭
(
うやうや
)
しく
衣紋
(
えもん
)
を
整
(
ととの
)
へ
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
たのは
左守司
(
さもりのかみ
)
であつた。
116
左守司
(
さもりのかみ
)
は
末座
(
まつざ
)
に
平伏
(
へいふく
)
して
言葉
(
ことば
)
もつつましやかに、
117
左守
(
さもり
)
『
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
118
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
119
私
(
わたし
)
は
左守
(
さもり
)
で
厶
(
ござ
)
います』
120
刹帝利
(
せつていり
)
『いや
左守殿
(
さもりどの
)
、
121
いい
処
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた。
122
さア
近
(
ちか
)
う
近
(
ちか
)
う。
123
其方
(
そなた
)
に
折入
(
をりい
)
つて
申入
(
まをしい
)
れたい
事
(
こと
)
がある』
124
左守
(
さもり
)
『はい、
125
然
(
しか
)
らば
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りませう』
126
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
一間
(
いつけん
)
ばかり
間近
(
まぢか
)
まで
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り
平伏
(
へいふく
)
した。
127
刹帝利
(
せつていり
)
『
左守殿
(
さもりどの
)
、
128
其方
(
そなた
)
はヒルナに
聞
(
き
)
いてゐるだらうが、
129
気
(
き
)
に
入
(
い
)
るまいけれど、
130
ビクトリヤ
家
(
け
)
の
為
(
た
)
め、
131
国家
(
こくか
)
の
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
ふために、
132
汝
(
なんぢ
)
の
伜
(
せがれ
)
ハルナと
右守
(
うもり
)
の
妹
(
いもうと
)
カルナ
姫
(
ひめ
)
との
結婚
(
けつこん
)
を
申付
(
まをしつ
)
けるから、
133
承諾
(
しようだく
)
して
呉
(
く
)
れるだらうな』
134
左守
(
さもり
)
『はい、
135
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くも
斯様
(
かやう
)
な
事
(
こと
)
までお
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
まし
奉
(
まつ
)
り、
136
実
(
じつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
に
堪
(
た
)
へませぬ。
137
仰
(
おほ
)
せ
畏
(
かしこ
)
み
慎
(
つつし
)
んでお
受
(
うけ
)
を
致
(
いた
)
します』
138
刹帝利
(
せつていり
)
『
流石
(
さすが
)
は
左守殿
(
さもりどの
)
、
139
満足
(
まんぞく
)
々々
(
まんぞく
)
。
140
さア
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
に
取
(
とり
)
かかつて
呉
(
く
)
れ』
141
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
『
左守殿
(
さもりどの
)
、
142
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
143
有難
(
ありがた
)
くお
受
(
う
)
け
致
(
いた
)
し、
144
円満
(
ゑんまん
)
に
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
を
解決
(
かいけつ
)
する
様
(
やう
)
取計
(
とりはか
)
らつて
下
(
くだ
)
さい。
145
それに
就
(
つ
)
いては
内事
(
ないじ
)
の
司
(
つかさ
)
、
146
タルマンを
媒介
(
なかうど
)
として、
147
此
(
この
)
方
(
はう
)
より
差遣
(
さしつか
)
はすによつて、
148
其
(
その
)
心算
(
つもり
)
で
居
(
を
)
つたが
宜
(
よか
)
らうぞ』
149
左守
(
さもり
)
『はい、
150
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで、
151
お
心
(
こころ
)
をつけられまして
痛
(
いた
)
み
入
(
い
)
りまする。
152
左様
(
さやう
)
ならば
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
153
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
154
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
り、
155
準備
(
じゆんび
)
にとりかかりませう』
156
と
厚
(
あつ
)
く
礼
(
れい
)
を
述
(
の
)
べイソイソとして
吾
(
わが
)
家
(
や
)
へと
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
157
後
(
あと
)
にビクトリヤ
王
(
わう
)
とヒルナ
姫
(
ひめ
)
は、
158
直
(
ただ
)
ちに
神前
(
しんぜん
)
に
向
(
むか
)
ひ
感謝
(
かんしや
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
159
姫
(
ひめ
)
は
慇懃
(
いんぎん
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
を
述
(
の
)
べて、
160
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
161
(
大正一二・二・一二
旧一一・一二・二七
於竜宮館
北村隆光
録)
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