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第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
01 心転
〔1409〕
02 道謡
〔1410〕
03 万民
〔1411〕
04 真異
〔1412〕
05 飯の灰
〔1413〕
06 洗濯使
〔1414〕
第2篇 縁三寵望
07 朝餉
〔1415〕
08 放棄
〔1416〕
09 三婚
〔1417〕
10 鬼涙
〔1418〕
第3篇 玉置長蛇
11 経愕
〔1419〕
12 霊婚
〔1420〕
13 蘇歌
〔1421〕
14 春陽
〔1422〕
15 公盗
〔1423〕
16 幽貝
〔1424〕
第4篇 法念舞詩
17 万巌
〔1425〕
18 音頭
〔1426〕
19 清滝
〔1427〕
20 万面
〔1428〕
21 嬉涙
〔1429〕
22 比丘
〔1430〕
余白歌
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第一章
心転
(
しんてん
)
〔一四〇九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第1篇 奇縁万情
よみ(新仮名遣い):
きえんばんじょう
章:
第1章 心転
よみ(新仮名遣い):
しんてん
通し章番号:
1409
口述日:
1923(大正12)年02月26日(旧01月11日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鬼春別と久米彦は、女を争って競争の真っ最中に三五教の宣伝使・治国別一行に踏み込まれ、驚いて降参し、捕えていた四人の男女を背負って玉木村のテームス館まで謝罪を兼ねて送り届けることになった。
鬼春別は士官を呼んで、自分たちが前非を悔いて三五教に帰順し、普通の信者となって神のため世のために働く決意を固めたことを伝えた。この旨は軍隊全般に伝達され、兵士たちは各々本国に帰り、正道に付くよう勧告された。
兵士たちはこの通達に一様に驚いたが、元より上官の言いなりの集団であり、大黒主のために三五教に対してもう一戦しようという気概のある者は一人もいなかった。
治国別は数多の軍人たちが解散の命を受けて素直に帰ってゆくのを見て、三五教の大神、バラモン神、盤古神王の守護を感謝した。治国別一行は、鬼春別ら元将軍・副官四人と、囚われていたスミエル、スガール姉妹、シーナ、道晴別を加えて、玉木村への道を降って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5501
愛善世界社版:
9頁
八幡書店版:
第10輯 37頁
修補版:
校定版:
9頁
普及版:
3頁
初版:
ページ備考:
001
仰
(
あふ
)
げば
高
(
たか
)
し
久方
(
ひさかた
)
の
002
高天原
(
たかあまはら
)
に
現
(
あ
)
れませる
003
天地
(
てんち
)
の
造主
(
つくりぬし
)
とます
004
大国常立
(
おほくにとこたち
)
大御神
(
おほみかみ
)
005
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
を
分
(
わ
)
け
玉
(
たま
)
ひ
006
霊国
(
れいごく
)
にては
月
(
つき
)
の
神
(
かみ
)
007
天国
(
てんごく
)
にては
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
と
008
現
(
あら
)
はれまして
天地
(
あめつち
)
の
009
百
(
もも
)
の
霊
(
みたま
)
を
悉
(
ことごと
)
く
010
荘厳
(
さうごん
)
無比
(
むひ
)
の
天界
(
てんかい
)
に
011
助
(
たす
)
けむものと
御心
(
みこころ
)
を
012
配
(
くば
)
らせ
玉
(
たま
)
ひ
三五
(
あななひ
)
の
013
教
(
をしへ
)
を
天地
(
てんち
)
に
拡充
(
くわくじゆう
)
し
014
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
選
(
え
)
り
出
(
だ
)
して
015
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
016
代表神
(
だいへうしん
)
となし
玉
(
たま
)
ふ
017
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
を
統一
(
とういつ
)
し
018
黄金山
(
わうごんざん
)
や
四尾山
(
よつをやま
)
019
コーカス
山
(
ざん
)
やウブスナの
020
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
神柱
(
かむばしら
)
021
堅磐
(
かきは
)
に
常磐
(
ときは
)
に
立
(
た
)
て
玉
(
たま
)
ひ
022
世人
(
よびと
)
を
導
(
みちび
)
き
玉
(
たま
)
ひつつ
023
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
を
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
024
築
(
きづ
)
かせ
玉
(
たま
)
ふ
尊
(
たふと
)
さよ
025
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
026
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
常磐木
(
ときはぎ
)
の
027
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
もスクスクと
028
天
(
てん
)
に
向
(
むか
)
つて
伸
(
の
)
びて
行
(
ゆ
)
く
029
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
や
瑞御霊
(
みづみたま
)
030
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
は
大空
(
おほぞら
)
に
031
丸
(
まる
)
き
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はして
032
下界
(
げかい
)
を
覗
(
のぞ
)
き
玉
(
たま
)
ふ
夜半
(
よは
)
033
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
渓谷
(
けいこく
)
を
034
右
(
みぎ
)
へ
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え
左
(
ひだり
)
へ
渡
(
わた
)
り
035
バラモン
教
(
けう
)
の
曲軍
(
まがいくさ
)
036
三千
(
さんぜん
)
余
(
よ
)
騎
(
き
)
の
屯
(
たむろ
)
せる
037
岩窟
(
がんくつ
)
さして
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
038
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
039
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けて
040
醜
(
しこ
)
の
雲霧
(
くもきり
)
悉
(
ことごと
)
く
041
治国別
(
はるくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
が
042
昼
(
ひる
)
尚
(
なほ
)
暗
(
くら
)
き
松林
(
まつばやし
)
043
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
松彦
(
まつひこ
)
や
044
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
に
竜彦
(
たつひこ
)
の
045
司
(
つかさ
)
と
共
(
とも
)
にスタスタと
046
辿
(
たど
)
りて
登
(
のぼ
)
る
夜
(
よる
)
の
道
(
みち
)
047
万公司
(
まんこうつかさ
)
は
肩肱
(
かたひぢ
)
を
048
張
(
は
)
つて
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち
乍
(
なが
)
ら
049
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
を
渡
(
わた
)
る
風
(
かぜ
)
の
如
(
ごと
)
050
谷
(
たに
)
の
流
(
なが
)
れの
速
(
はや
)
き
如
(
ごと
)
051
習
(
なら
)
ひ
覚
(
おぼ
)
えし
宣伝歌
(
せんでんか
)
052
四辺
(
あたり
)
の
山彦
(
やまびこ
)
威喝
(
ゐかつ
)
して
053
勢込
(
いきほひこ
)
んで
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
054
鬼春別
(
おにはるわけ
)
や
久米彦
(
くめひこ
)
の
055
軍
(
いくさ
)
の
君
(
きみ
)
に
捉
(
とら
)
はれて
056
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
の
陥穽
(
おとしあな
)
057
聞
(
き
)
くも
悲惨
(
ひさん
)
な
境遇
(
きやうぐう
)
に
058
おかれし
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
059
救
(
すく
)
ひ
出
(
いだ
)
すは
此
(
この
)
時
(
とき
)
と
060
岩
(
いは
)
の
根
(
ね
)
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
踏
(
ふ
)
みさくみ
061
漸
(
やうや
)
く
岩窟
(
いはや
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
062
治国別
(
はるくにわけ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
063
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
に
守
(
まも
)
られて
064
軍
(
いくさ
)
の
君
(
きみ
)
を
言向
(
ことむ
)
けつ
065
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
救
(
すく
)
ひスタスタと
066
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
を
駆
(
か
)
け
下
(
くだ
)
り
067
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
のテームスが
068
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く
069
五十五
(
ごじふご
)
巻
(
くわん
)
の
物語
(
ものがたり
)
070
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
中空
(
ちうくう
)
に
071
輝
(
かがや
)
き
玉
(
たま
)
へど
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
き
072
竜宮館
(
りうぐうやかた
)
に
横
(
よこ
)
たはり
073
十一
(
じふいち
)
日
(
にち
)
の
四
(
よ
)
つ
時
(
どき
)
に
074
四角
(
しかく
)
な
火鉢
(
ひばち
)
を
横
(
よこ
)
におき
075
焜爐
(
こんろ
)
のゴトゴト
沸
(
たぎ
)
る
音
(
おと
)
076
いと
面白
(
おもしろ
)
く
聞
(
き
)
き
乍
(
なが
)
ら
077
四角
(
しかく
)
の
炬燵
(
こたつ
)
に
潜
(
もぐ
)
りこみ
078
四角
(
しかく
)
な
座布団
(
ざぶとん
)
積
(
つ
)
み
重
(
かさ
)
ね
079
枕
(
まくら
)
となして
述
(
の
)
べて
行
(
ゆ
)
く
080
吾
(
あが
)
言霊
(
ことたま
)
の
発射
(
はつしや
)
をば
081
万年筆
(
まんねんひつ
)
を
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
り
082
四角
(
しかく
)
な
机
(
つくゑ
)
に
寄
(
よ
)
りかかり
083
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
も
洩
(
も
)
らさじと
084
手具脛
(
てぐすね
)
ひいて
松村
(
まつむら
)
氏
(
し
)
085
心
(
こころ
)
真澄
(
ますみ
)
の
空
(
そら
)
清
(
きよ
)
く
086
いとスクスクと
記
(
しる
)
し
行
(
ゆ
)
く
087
五六七
(
みろく
)
の
神
(
かみ
)
の
物語
(
ものがたり
)
088
いよいよ
茲
(
ここ
)
につけとむる
089
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
090
御霊
(
みたま
)
の
恩頼
(
ふゆ
)
を
賜
(
たま
)
へかし
091
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
鳥
(
とり
)
は
君ケ代
(
きみがよ
)
の
092
栄
(
さか
)
えを
唄
(
うた
)
ふ
春
(
はる
)
過
(
す
)
ぎて
093
青葉
(
あをば
)
もそよぐ
初夏
(
しよか
)
の
風
(
かぜ
)
094
川
(
かは
)
の
流
(
なが
)
れも
泡
(
あわ
)
立
(
た
)
ちて
095
ライオン
河
(
がは
)
に
上
(
のぼ
)
る
鮎
(
あゆ
)
096
小鮒
(
こぶな
)
や
鰻
(
うなぎ
)
鯰
(
なまず
)
まで
097
ピンピンシヤンと
溌
(
は
)
ね
乍
(
なが
)
ら
098
一瀉
(
いつしや
)
千里
(
せんり
)
に
遡
(
さかのぼ
)
る
099
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
物語
(
ものがたり
)
100
今
(
いま
)
より
三十五万
(
さんじふごまん
)
年
(
ねん
)
101
三五教
(
あななひけう
)
の
神人
(
かみびと
)
の
102
舎身
(
しやしん
)
苦行
(
くぎやう
)
の
有様
(
ありさま
)
を
103
述
(
の
)
べゆく
今日
(
けふ
)
こそ
楽
(
たの
)
しけれ
104
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
105
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
106
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
107
吾
(
あが
)
言霊
(
ことたま
)
の
寿
(
ことぶき
)
は
108
幾万
(
いくまん
)
年
(
ねん
)
の
末
(
すゑ
)
までも
109
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
失
(
う
)
せざらむ
110
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
生神
(
いきがみ
)
の
111
貴
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
滔々
(
たうたう
)
と
112
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
流
(
なが
)
れゆく
113
其
(
その
)
水上
(
みなかみ
)
の
一滴
(
ひとしづく
)
114
万年筆
(
まんねんひつ
)
の
切先
(
きつさき
)
に
115
滴
(
したた
)
る
露
(
つゆ
)
の
御
(
おん
)
恵
(
めぐみ
)
116
渇
(
かわ
)
き
果
(
は
)
てたる
霊
(
みたま
)
をば
117
霑
(
うるほ
)
ひ
活
(
い
)
かす
物語
(
ものがたり
)
118
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
119
御稜威
(
みいづ
)
も
高
(
たか
)
き
大八洲
(
おほやしま
)
彦
(
ひこ
)
120
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
121
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる。
122
敗軍
(
はいぐん
)
の
大将
(
たいしやう
)
、
123
退却
(
たいきやく
)
の
名人
(
めいじん
)
、
124
色情狂
(
しきじやうきやう
)
に
等
(
ひと
)
しき
鬼春別
(
おにはるわけ
)
、
125
久米彦
(
くめひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は、
126
今度
(
こんど
)
こそは
如何
(
いか
)
なる
敵
(
てき
)
の
襲来
(
しふらい
)
も
恐
(
おそ
)
るる
事
(
こと
)
なき
金城
(
きんじやう
)
鉄壁
(
てつぺき
)
と、
127
心
(
こころ
)
を
許
(
ゆる
)
し、
128
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に、
129
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
の
豪農
(
がうのう
)
テームスの
娘
(
むすめ
)
、
130
スミエル、
131
スガールの
二女
(
にぢよ
)
を
誘拐
(
いうかい
)
し、
132
権威
(
けんゐ
)
に
任
(
まか
)
せ、
133
獣欲
(
じうよく
)
劣情
(
れつじやう
)
を
発揮
(
はつき
)
せむと
軍務
(
ぐんむ
)
を
打忘
(
うちわす
)
れ、
134
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は
互
(
たがひ
)
に
恋
(
こひ
)
を
争
(
あらそ
)
ひつつ、
135
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ませ、
136
競争
(
きやうそう
)
の
真最中
(
まつさいちう
)
、
137
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
道晴別
(
みちはるわけ
)
に
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
まれ、
138
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
の
結果
(
けつくわ
)
奇計
(
きけい
)
を
以
(
もつ
)
て
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男女
(
だんぢよ
)
を
深
(
ふか
)
き
陥穽
(
おとしあな
)
に
投込
(
なげこ
)
み、
139
又
(
また
)
もや
何
(
いづ
)
れかの
婦女
(
ふぢよ
)
を
誘拐
(
いうかい
)
し、
140
恋
(
こひ
)
の
欲望
(
よくばう
)
を
達
(
たつ
)
せむと、
141
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ます
折
(
をり
)
もあれ、
142
治国別
(
はるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
に、
143
夜中
(
やちう
)
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
まれ、
144
二度
(
にど
)
ビツクリの
結果
(
けつくわ
)
、
145
いよいよ
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
い
丸腰
(
まるごし
)
となつて、
146
治国別
(
はるくにわけ
)
に
謝罪
(
しやざい
)
をなし、
147
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
にも
山寨
(
さんさい
)
を
捨
(
す
)
てて、
148
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男女
(
だんぢよ
)
を
負
(
お
)
ひ、
149
玉木村
(
たまきむら
)
のテームスが
館
(
やかた
)
に、
150
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
謝罪
(
しやざい
)
を
兼
(
かね
)
て
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
となつた。
151
治国別
(
はるくにわけ
)
は
鬼春別
(
おにはるわけ
)
久米彦
(
くめひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
152
治国
(
はるくに
)
『ゼネラルの
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
、
153
御
(
ご
)
芳名
(
はうめい
)
は
予
(
かね
)
て
承
(
うけたま
)
はつて
居
(
を
)
りましたが、
154
親
(
した
)
しくお
目
(
め
)
にかかるのは
今日
(
けふ
)
が
初
(
はじ
)
めてで
厶
(
ござ
)
います。
155
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
両所
(
りやうしよ
)
共
(
とも
)
、
156
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
にてお
目出度
(
めでた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
157
斯
(
か
)
くなる
上
(
うへ
)
は
四海
(
しかい
)
同胞
(
どうはう
)
、
158
元
(
もと
)
より
拙者
(
せつしや
)
とゼネラルとの
間
(
あひだ
)
に
於
(
おい
)
て、
159
何
(
なん
)
の
怨恨
(
えんこん
)
もなければ
面倒
(
めんだう
)
なる
経緯
(
いきさつ
)
もありませぬ。
160
同
(
おな
)
じ
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
生
(
せい
)
を
享
(
う
)
けたる
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
、
161
どうか、
162
今後
(
こんご
)
は
宜
(
よろ
)
しく
互
(
たがひ
)
に
御
(
ご
)
懇親
(
こんしん
)
を
願
(
ねが
)
ひたう
厶
(
ござ
)
います。
163
敵
(
てき
)
なきに
軍隊
(
ぐんたい
)
を
動
(
うご
)
かし、
164
或
(
あるひ
)
は
小
(
ちひ
)
さき
欲望
(
よくばう
)
の
為
(
ため
)
、
165
一人
(
ひとり
)
の
暴虐者
(
ぼうぎやくしや
)
の
為
(
ため
)
に
従僕
(
じゆうぼく
)
となつて、
166
豺狼
(
さいらう
)
に
等
(
ひと
)
しき
戦
(
たたかひ
)
に
従
(
したが
)
ふは、
167
人間
(
にんげん
)
として
之
(
これ
)
以上
(
いじやう
)
の
悲惨事
(
ひさんじ
)
はありますまい。
168
人生
(
じんせい
)
僅
(
わづ
)
か
三百
(
さんびやく
)
年
(
ねん
)
、
169
此
(
この
)
短
(
みじか
)
き
生命
(
せいめい
)
の
間
(
うち
)
に、
170
不老
(
ふらう
)
不死
(
ふし
)
なる
第二
(
だいに
)
の
霊界
(
れいかい
)
に
於
(
お
)
ける
生涯
(
しやうがい
)
の
為
(
ため
)
に、
171
遺憾
(
ゐかん
)
なき
準備
(
じゆんび
)
をしておかねば、
172
人間
(
にんげん
)
として
現世
(
げんせ
)
に
生
(
うま
)
れ
来
(
きた
)
りし
本分
(
ほんぶん
)
を
永遠
(
ゑいゑん
)
に
保持
(
ほぢ
)
する
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
173
人
(
ひと
)
は
遷善
(
せんぜん
)
改過
(
かいくわ
)
の
神性
(
しんしやう
)
を
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
に、
174
神
(
かみ
)
より
賦与
(
ふよ
)
されて
居
(
を
)
りますから、
175
今
(
いま
)
此
(
この
)
時
(
とき
)
に
於
(
おい
)
て
懺悔
(
ざんげ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
に
入
(
い
)
り、
176
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
本分
(
ほんぶん
)
を
発揮
(
はつき
)
されむ
事
(
こと
)
を
希望
(
きばう
)
致
(
いた
)
します』
177
鬼春
(
おにはる
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
178
今日
(
こんにち
)
となつて
吾々
(
われわれ
)
も
始
(
はじ
)
めて
天地
(
てんち
)
開明
(
かいめい
)
の
気分
(
きぶん
)
になりました。
179
尊
(
たふと
)
き
有難
(
ありがた
)
き
神
(
かみ
)
の
慈光
(
じくわう
)
に
照
(
て
)
らされて、
180
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
為
(
な
)
し
来
(
きた
)
りし
暴虐
(
ばうぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
行動
(
かうどう
)
が、
181
俄
(
にはか
)
に
恐
(
おそ
)
ろしくなり、
182
広
(
ひろ
)
い
天地
(
てんち
)
に
身
(
み
)
の
置
(
お
)
き
所
(
どころ
)
なき
苦
(
くるし
)
みに
悶
(
もだ
)
えて
居
(
を
)
ります。
183
一日
(
いちじつ
)
も
早
(
はや
)
く
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
め、
184
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
立帰
(
たちかへ
)
りたう
厶
(
ござ
)
ります。
185
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します』
186
久米
(
くめ
)
『
治国別
(
はるくにわけ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
様
(
さま
)
を
始
(
はじ
)
め、
187
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
に
謹
(
つつし
)
んで、
188
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
同様
(
どうやう
)
に、
189
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
下
(
くだ
)
さらむ
事
(
こと
)
を
懇願
(
こんぐわん
)
致
(
いた
)
します。
190
実
(
じつ
)
に
只今
(
ただいま
)
の
拙者
(
せつしや
)
の
心
(
こころ
)
は
闇
(
やみ
)
を
離
(
はな
)
れて
旭
(
あさひ
)
に
向
(
むか
)
つた
様
(
やう
)
な
気分
(
きぶん
)
になりました。
191
そして
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
神力
(
しんりき
)
に
打
(
う
)
たれて、
192
身
(
み
)
の
置
(
お
)
き
所
(
どころ
)
もなき
程
(
ほど
)
恥
(
はづか
)
しく
苦
(
くる
)
しくなつてきました。
193
何卒
(
なにとぞ
)
三五
(
あななひ
)
の
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
を
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
あらむ
事
(
こと
)
を、
194
謹
(
つつし
)
んでお
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します』
195
万公
(
まんこう
)
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
196
眉毛
(
まゆげ
)
に
唾
(
つば
)
をつけてお
聞
(
き
)
きなさいませや、
197
第二
(
だいに
)
の
高姫
(
たかひめ
)
かも
知
(
し
)
れませぬぞや。
198
……
怖
(
こは
)
さ
苦
(
くる
)
しさの
改心
(
かいしん
)
は
何
(
なん
)
にもならぬぞよ。
199
心
(
こころ
)
から
発根
(
ほつこん
)
の
改心
(
かいしん
)
でなければ、
200
すぐに
後
(
あと
)
へ
戻
(
もど
)
るから、
201
何程
(
なにほど
)
うまい
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
しても、
202
メツタに
乗
(
の
)
るではないぞよ……とお
筆先
(
ふでさき
)
に
出
(
で
)
て
居
(
を
)
りますぞや。
203
万公
(
まんこう
)
が
一寸
(
ちよつと
)
御
(
ご
)
注意
(
ちゆうい
)
を
致
(
いた
)
します』
204
竜公
(
たつこう
)
『コリヤ
万公
(
まんこう
)
、
205
お
前
(
まへ
)
の
分
(
わか
)
る
事
(
こと
)
ぢやない。
206
黙
(
だま
)
つて
控
(
ひか
)
えて
居
(
ゐ
)
なさい』
207
万公
(
まんこう
)
『ヘン、
208
偉相
(
えらさう
)
に
仰有
(
おつしや
)
いますなア。
209
夢
(
ゆめ
)
の
内
(
うち
)
に
第一
(
だいいち
)
天国
(
てんごく
)
を
探険
(
たんけん
)
したと
思
(
おも
)
うて、
210
さう
威張
(
ゐば
)
るものぢやありませぬぞや』
211
治国
(
はるくに
)
『ゼネラル
様
(
さま
)
、
212
然
(
しか
)
らば
之
(
これ
)
より
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男女
(
だんぢよ
)
が
少
(
すこ
)
し
許
(
ばか
)
り
負傷
(
ふしやう
)
して
居
(
を
)
りますれば、
213
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
玉木村
(
たまきむら
)
のテームス
館
(
やかた
)
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
らねばなりますまい、
214
貴方
(
あなた
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
参
(
まゐ
)
りませう』
215
鬼春
(
おにはる
)
『ハイ、
216
是非
(
ぜひ
)
お
供
(
とも
)
をさして
頂
(
いただ
)
きませう。
217
付
(
つ
)
いては
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
負傷
(
ふしやう
)
さしましたのも、
218
全
(
まつた
)
く
吾々
(
われわれ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
219
此
(
この
)
山阪
(
やまさか
)
を
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ひ
申
(
まを
)
して
送
(
おく
)
らして
貰
(
もら
)
ひませう』
220
治国
(
はるくに
)
『
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
をなさらいでも、
221
貴方
(
あなた
)
の
家来
(
けらい
)
も
沢山
(
たくさん
)
あるでせう』
222
鬼春
(
おにはる
)
『イエイエ
何程
(
なにほど
)
家来
(
けらい
)
があつても、
223
家来
(
けらい
)
の
知
(
し
)
つた
事
(
こと
)
ではありませぬ。
224
又
(
また
)
今日
(
こんにち
)
只
(
ただ
)
今
(
いま
)
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
しました
上
(
うへ
)
は、
225
一
(
いち
)
人
(
にん
)
の
家来
(
けらい
)
も
持
(
も
)
ちませぬ。
226
何卒
(
どうぞ
)
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしに、
227
道晴別
(
みちはるわけ
)
様
(
さま
)
の
馬
(
うま
)
となつて
背
(
せ
)
に
乗
(
の
)
せ、
228
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けさして
貰
(
もら
)
ひませう。
229
之
(
これ
)
がせめてもの
拙者
(
せつしや
)
の
罪亡
(
つみほろ
)
ぼし、
230
枉
(
ま
)
げてお
許
(
ゆる
)
しを
願
(
ねが
)
ひます』
231
治国
(
はるくに
)
『
然
(
しか
)
らばお
望
(
のぞ
)
みに
任
(
まか
)
しませう』
232
久米
(
くめ
)
『
拙者
(
せつしや
)
はシーナさまを
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ひ、
233
お
供
(
とも
)
を
致
(
いた
)
しませう』
234
万公
(
まんこう
)
『
拙者
(
せつしや
)
はスガールさまを
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
うてお
送
(
おく
)
り
致
(
いた
)
しませう』
235
久米
(
くめ
)
『ヤ、
236
滅相
(
めつさう
)
な、
237
スガールさまはエミシに
負
(
お
)
はせませう』
238
鬼春
(
おにはる
)
『オイ、
239
スパール、
240
お
前
(
まへ
)
も
責任
(
せきにん
)
がないとは
言
(
い
)
へぬ。
241
何卒
(
どうぞ
)
スミエルさまを
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
うてお
送
(
おく
)
り
申
(
まを
)
すやうにしてくれ』
242
万公
(
まんこう
)
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
243
何程
(
なにほど
)
改心
(
かいしん
)
したと
云
(
い
)
つても、
244
こんな
半獣
(
はんじう
)
的
(
てき
)
豪傑
(
がうけつ
)
に
女
(
をんな
)
を
渡
(
わた
)
すのは
剣呑
(
けんのん
)
です。
245
一人
(
ひとり
)
は
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ひ、
246
一人
(
ひとり
)
は
拙者
(
せつしや
)
が
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
247
送
(
おく
)
りますから、
248
婦人部
(
ふじんぶ
)
は
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
に
御
(
ご
)
委任
(
ゐにん
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
249
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
男
(
をとこ
)
許
(
ばか
)
りですからなア』
250
治国
(
はるくに
)
『アハハハ、
251
万公
(
まんこう
)
なら、
252
尚
(
なほ
)
剣呑
(
けんのん
)
だ。
253
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
鬼春別
(
おにはるわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
に
任
(
まか
)
す
事
(
こと
)
にする』
254
万公
(
まんこう
)
『ヘーエ、
255
さうですかなア、
256
……コレ
松彦
(
まつひこ
)
さま、
257
貴方
(
あなた
)
何
(
ど
)
う
考
(
かんが
)
へますか、
258
どうもマ
一
(
ひと
)
つ
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
は
油断
(
ゆだん
)
がならないやうな
気
(
き
)
がしますがなア』
259
松彦
(
まつひこ
)
『さうだ、
260
万公
(
まんこう
)
位
(
くらゐ
)
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
男
(
をとこ
)
はないだらう、
261
アハハハ』
262
鬼春別
(
おにはるわけ
)
はシヤム、
263
マルタのカーネルを
招
(
よ
)
んで
自分
(
じぶん
)
が
愈
(
いよいよ
)
前非
(
ぜんぴ
)
を
後悔
(
こうくわい
)
し、
264
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
し、
265
普通
(
ふつう
)
の
信者
(
しんじや
)
となつて、
266
神
(
かみ
)
の
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
相当
(
さうたう
)
の
働
(
はたら
)
きをなし、
267
世
(
よ
)
に
隠
(
かく
)
るる
事
(
こと
)
を
告
(
つ
)
げ、
268
軍隊
(
ぐんたい
)
一般
(
いつぱん
)
に
向
(
むか
)
つて
其
(
その
)
由
(
よし
)
を
伝達
(
でんたつ
)
せしめ、
269
且
(
か
)
つ
何
(
いづ
)
れも
本国
(
ほんごく
)
に
帰
(
かへ
)
つて、
270
正道
(
せいだう
)
につき
各
(
おのおの
)
其
(
その
)
家業
(
かげふ
)
を
励
(
はげ
)
むべき
事
(
こと
)
を
伝達
(
でんたつ
)
せしめた。
271
三千
(
さんぜん
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
は
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
の
命令
(
めいれい
)
に
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
て、
272
喜
(
よろこ
)
んで
帰
(
かへ
)
るものもあり、
273
又
(
また
)
ブツブツ
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
つて
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
本国
(
ほんごく
)
へは
帰
(
かへ
)
らず、
274
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひの
事業
(
じげふ
)
を
考
(
かんが
)
へ、
275
身
(
み
)
の
振方
(
ふりかた
)
を
定
(
さだ
)
むるもあり、
276
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
方向
(
はうかう
)
に
向
(
むか
)
つて
別
(
わか
)
れ
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
となつた。
277
されど
素
(
もと
)
より
烏合
(
うがふ
)
の
衆
(
しう
)
のみなれば
残党
(
ざんたう
)
を
集
(
あつ
)
めて、
278
今
(
いま
)
一戦
(
ひといくさ
)
を
起
(
おこ
)
し、
279
バラモンの
教主
(
けうしゆ
)
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
為
(
ため
)
に
一肌
(
ひとはだ
)
脱
(
ぬ
)
がむとする
勇者
(
ゆうしや
)
も
出
(
で
)
なかつたのは、
280
天下
(
てんか
)
の
為
(
ため
)
に
幸
(
さいはひ
)
である。
281
治国別
(
はるくにわけ
)
は
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
岩窟
(
がんくつ
)
を
出
(
い
)
で、
282
数多
(
あまた
)
の
軍人
(
ぐんじん
)
が
各
(
かく
)
解散
(
かいさん
)
の
命
(
めい
)
を
受
(
う
)
けて、
283
一言
(
ひとこと
)
も
呟
(
つぶや
)
かず
抵抗
(
ていかう
)
もせず
素直
(
すなほ
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
くを
見
(
み
)
て、
284
全
(
まつた
)
く
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
と、
285
大地
(
だいち
)
に
静座
(
せいざ
)
し、
286
三五教
(
あななひけう
)
を
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
ふ
大神
(
おほかみ
)
を
始
(
はじ
)
め、
287
バラモン
神
(
しん
)
及
(
および
)
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
の
厚
(
あつ
)
き
守護
(
しゆご
)
を
感謝
(
かんしや
)
し、
288
愈
(
いよいよ
)
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
を
一行
(
いつかう
)
十二
(
じふに
)
人
(
にん
)
降
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
289
(
大正一二・二・二六
旧一・一一
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