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第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
01 心転
〔1409〕
02 道謡
〔1410〕
03 万民
〔1411〕
04 真異
〔1412〕
05 飯の灰
〔1413〕
06 洗濯使
〔1414〕
第2篇 縁三寵望
07 朝餉
〔1415〕
08 放棄
〔1416〕
09 三婚
〔1417〕
10 鬼涙
〔1418〕
第3篇 玉置長蛇
11 経愕
〔1419〕
12 霊婚
〔1420〕
13 蘇歌
〔1421〕
14 春陽
〔1422〕
15 公盗
〔1423〕
16 幽貝
〔1424〕
第4篇 法念舞詩
17 万巌
〔1425〕
18 音頭
〔1426〕
19 清滝
〔1427〕
20 万面
〔1428〕
21 嬉涙
〔1429〕
22 比丘
〔1430〕
余白歌
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<<< 心転
(B)
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第二章
道謡
(
だうえう
)
〔一四一〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第1篇 奇縁万情
よみ(新仮名遣い):
きえんばんじょう
章:
第2章 道謡
よみ(新仮名遣い):
どうよう
通し章番号:
1410
口述日:
1923(大正12)年02月26日(旧01月11日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鬼春別はバラモンの経文を一心に唱えながら下って行く。久米彦はなぜか三五教の歌が口からほとばしり、述懐を歌いながら下って行く。
松彦は先頭に立ち、小声で猪倉山の顛末の述懐と神への感謝を歌いながら進んで行く。万公は一行の最後について述懐を歌いながら下って行く。
万公は、自分の活躍によって里庄の娘スガールの婿となりたいと勝手な脱線歌を歌いだした。手前勝手な滑稽歌に、負傷していたスミエル、スガール、シーナ、道晴別も思わず吹き出してしばし苦痛を忘れた。
万公はこの他にもいろいろ面白い歌を歌い、一同は笑いにまぎれていつとはなしに玉木村のテームス宅門前まで無事に帰ることができた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-05-04 08:16:51
OBC :
rm5502
愛善世界社版:
20頁
八幡書店版:
第10輯 41頁
修補版:
校定版:
20頁
普及版:
8頁
初版:
ページ備考:
001
鬼春別
(
おにはるわけ
)
ほか
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はチェニェク
[
※
「チェニェク」は英語で軍服・制服のこと。チューニック(tunic)。
]
もホーレージ・キャップ
[
※
「ホーレージ・キャップ」は英語のforage cap(フォーレージキャップ)で、兵士が被る略帽のこと。
]
も
取外
(
とりはづ
)
し、
002
クリーケース
[
※
「クリーケース」とは英語のcliquish(クリーキシュ)で「排他的」とか「党派根性」という意味。
]
気分
(
きぶん
)
に
離
(
はな
)
れて、
003
性来
(
しやうらい
)
の
本心
(
ほんしん
)
にシンブリ・フヰケーシャン
[
※
「シンブリ・フヰケーシャン」とは英語simplification(スィムプリフィーケィション)で、「単純化」「簡略化」という意味。
]
し
乍
(
なが
)
ら、
004
生
(
うま
)
れ
赤児
(
あかご
)
の
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
になつて、
005
治国別
(
はるくにわけ
)
と
共
(
とも
)
にゴロゴロした
岩
(
いは
)
と
岩
(
いは
)
との
間
(
あひだ
)
を
伝
(
つた
)
うて、
006
重
(
おも
)
い
男
(
をとこ
)
を
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひ、
007
一歩
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
、
008
三五教
(
あななひけう
)
の
祝詞
(
のりと
)
は
分
(
わか
)
らぬ
為
(
ため
)
、
009
バラモンの
御
(
お
)
経
(
きやう
)
を
唱
(
とな
)
へ
乍
(
なが
)
ら、
010
汗
(
あせ
)
をタラタラ
流
(
なが
)
して
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
011
鬼春別
(
おにはるわけ
)
は
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
のゼネラル
生活
(
せいくわつ
)
に
似
(
に
)
もやらず、
012
苦力
(
クーリー
)
の
様
(
やう
)
な
御用
(
ごよう
)
を
志願
(
しぐわん
)
し、
013
せめてもの
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしと
覚悟
(
かくご
)
をきわめ、
014
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに、
015
鬼春別
『
東方
(
とうはう
)
には
降三世
(
ごうさんぜ
)
明王
(
みやうわう
)
。
016
南方
(
なんぱう
)
には
軍荼利
(
ぐんだり
)
夜叉
(
やしや
)
明王
(
みやうわう
)
。
017
西方
(
さいはう
)
には
大威徳
(
だいゐとく
)
明王
(
みやうわう
)
。
018
北方
(
ほつぱう
)
には
金剛
(
こんがう
)
夜叉
(
やしや
)
明王
(
みやうわう
)
。
019
中央
(
ちうあう
)
には
大日
(
だいにち
)
大聖
(
だいしやう
)
不動
(
ふどう
)
明王
(
みやうわう
)
。
020
唵
(
おん
)
呼嚕
(
ころ
)
々々
(
ころ
)
、
021
旋荼利
(
せんだり
)
摩登枳
(
まとうぎ
)
、
022
唵
(
おん
)
阿毘羅
(
あびら
)
吽見
(
うんけん
)
娑婆呵
(
そはか
)
、
023
吽多羅屯
(
うんたらた
)
干𤚥
(
かんまん
)
、
024
見我
(
けんが
)
身者
(
しんじや
)
、
025
発
(
ほつ
)
菩提心
(
ぼだいしん
)
、
026
見我
(
けんが
)
身者
(
しんじや
)
、
027
発
(
ほつ
)
菩提心
(
ぼだいしん
)
、
028
聞我
(
もんが
)
名者
(
みやうじや
)
、
029
断悪
(
だんあく
)
修善
(
しうぜん
)
、
030
聴我
(
ちやうが
)
説者
(
せつしや
)
、
031
得大
(
とくだい
)
智慧
(
ちゑ
)
、
032
知我
(
ちが
)
心者
(
しんしや
)
、
033
即身
(
そくしん
)
成仏
(
じやうぶつ
)
、
034
知我
(
ちが
)
心者
(
しんしや
)
、
035
即身
(
そくしん
)
成仏
(
じやうぶつ
)
、
036
阿褥多羅
(
あのくたら
)
三貘
(
さんみやく
)
三菩提心
(
さんぼだいしん
)
、
037
帰命
(
きめう
)
頂礼
(
ちやうらい
)
、
038
修法
(
しうほふ
)
加持
(
かぢ
)
、
039
南無
(
なむ
)
波羅門
(
ばらもん
)
大尊天
(
だいそんてん
)
』
040
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈
(
いの
)
つてゐる。
041
久米彦
(
くめひこ
)
も
負
(
まけ
)
ず
劣
(
おと
)
らず、
042
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
顰
(
ひん
)
に
傚
(
なら
)
うて、
043
経文
(
きやうもん
)
を
称
(
とな
)
へむとしたが、
044
余
(
あま
)
りの
苦
(
くる
)
しさに
言句
(
げんく
)
つまり、
045
一生
(
いつしやう
)
の
肝玉
(
きもだま
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して、
046
三五教
(
あななひけう
)
の
讃美歌
(
さんびか
)
を
捻
(
ひね
)
り
出
(
だ
)
し
歌
(
うた
)
つて
見
(
み
)
た。
047
不思議
(
ふしぎ
)
にも
三五教
(
あななひけう
)
の
歌
(
うた
)
なれば、
048
水
(
みづ
)
の
流
(
なが
)
るる
如
(
ごと
)
く、
049
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
にほとばしり、
050
身体
(
からだ
)
の
苦痛
(
くつう
)
も
何時
(
いつ
)
しか
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
つた。
051
久米
(
くめ
)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あらは
)
れて
052
善神
(
ぜんしん
)
邪神
(
じやしん
)
を
立別
(
たてわ
)
ける
053
何
(
なに
)
猪口才
(
ちよこざい
)
な
三五
(
あななひ
)
の
054
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
が
如何
(
いか
)
にして
055
神力
(
しんりき
)
無限
(
むげん
)
の
自在天
(
じざいてん
)
056
大国彦
(
おほくにひこ
)
に
敵
(
てき
)
し
得
(
え
)
む
057
馬鹿
(
ばか
)
を
尽
(
つく
)
すも
程
(
ほど
)
がある
058
只
(
ただ
)
一息
(
ひといき
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せて
059
三五教
(
あななひけう
)
の
神柱
(
かむばしら
)
060
一泡
(
ひとあわ
)
吹
(
ふ
)
かしくれむずと
061
はるばるハルナを
立出
(
たちい
)
でて
062
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで
大野原
(
おほのはら
)
063
険
(
けは
)
しき
山
(
やま
)
を
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
り
064
沼河
(
ぬまかは
)
数多
(
あまた
)
打渡
(
うちわた
)
り
065
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
に
屯
(
たむろ
)
して
066
吾
(
わ
)
れは
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
と
067
馮河
(
ひようが
)
暴虎
(
ばうこ
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
068
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
069
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りし
此
(
この
)
軍
(
いくさ
)
070
いかでか
敵
(
てき
)
に
破
(
やぶ
)
れむや
071
進
(
すす
)
め
進
(
すす
)
めと
下知
(
げち
)
しつつ
072
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
八合目
(
はちがふめ
)
073
進
(
すす
)
む
折
(
をり
)
しも
宣伝使
(
せんでんし
)
074
治国別
(
はるくにわけ
)
が
現
(
あらは
)
れて
075
生言霊
(
いくことたま
)
を
打出
(
うちいだ
)
し
076
其
(
その
)
神力
(
しんりき
)
に
圧倒
(
あつたう
)
され
077
全体
(
ぜんたい
)
くづれ
逃出
(
にげいだ
)
す
078
其
(
その
)
光景
(
くわうけい
)
の
惨
(
みぢ
)
めさよ
079
おぢけついたる
吾々
(
われわれ
)
は
080
進
(
すす
)
みもならず
退
(
しりぞ
)
くも
081
吾
(
わが
)
神軍
(
しんぐん
)
の
体面
(
たいめん
)
に
082
拘
(
かかは
)
り
来
(
きた
)
る
一大事
(
いちだいじ
)
083
暫
(
しばら
)
くここで
痩我慢
(
やせがまん
)
084
張
(
は
)
つて
時節
(
じせつ
)
を
待
(
ま
)
つべしと
085
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
将軍
(
しやうぐん
)
に
086
謀
(
はか
)
りて
来
(
きた
)
るビクトリヤ
087
渠
(
かれ
)
が
居城
(
きよじやう
)
を
襲撃
(
しふげき
)
し
088
凱
(
かちどき
)
挙
(
あ
)
げたる
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
089
天津
(
あまつ
)
乙女
(
おとめ
)
か
天人
(
てんにん
)
か
090
但
(
ただし
)
は
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
化身
(
けしん
)
か
091
譬方
(
たとへがた
)
なきヒルナ
姫
(
ひめ
)
092
カルナの
姫
(
ひめ
)
の
両
(
りやう
)
ナイス
093
駕籠
(
かご
)
に
舁
(
かつ
)
がれ
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り
094
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
をいろいろと
095
恋
(
こひ
)
の
魔
(
ま
)
の
手
(
て
)
にあやなして
096
吾
(
わが
)
全軍
(
ぜんぐん
)
を
紊
(
みだ
)
しけり
097
神
(
かみ
)
ならぬ
身
(
み
)
の
吾々
(
われわれ
)
は
098
女
(
をんな
)
と
思
(
おも
)
ひ
気
(
き
)
を
許
(
ゆる
)
し
099
いと
残酷
(
ざんこく
)
な
恥
(
はぢ
)
をかき
100
男
(
をとこ
)
の
面
(
かほ
)
に
泥
(
どろ
)
を
塗
(
ぬ
)
り
101
悔
(
くや
)
しまぎれに
猪倉
(
ゐのくら
)
の
102
山
(
やま
)
の
岩窟
(
いはや
)
に
立籠
(
たてこも
)
り
103
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
のテームスが
104
館
(
やかた
)
に
美人
(
びじん
)
ありと
聞
(
き
)
き
105
部下
(
ぶか
)
の
兵士
(
つはもの
)
遣
(
つか
)
はして
106
苦
(
く
)
もなく
奪
(
うば
)
ひ
帰
(
かへ
)
らせつ
107
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
秘術
(
ひじゆつ
)
をば
108
尽
(
つく
)
して
挑
(
いど
)
み
戦
(
たたか
)
へど
109
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
かない
110
意想外
(
いさうぐわい
)
なるスガール
姫
(
ひめ
)
の
111
清
(
きよ
)
き
誠
(
まこと
)
の
剛情
(
がうじやう
)
に
112
流石
(
さすが
)
の
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
辟易
(
へきえき
)
し
113
持
(
もち
)
あぐみたる
時
(
とき
)
もあれ
114
道晴別
(
みちはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
115
シーナと
共
(
とも
)
に
現
(
あらは
)
れて
116
言霊車
(
ことたまくるま
)
押出
(
おしだ
)
せば
117
味方
(
みかた
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
118
一時
(
ひととき
)
のがれの
窮策
(
きうさく
)
に
119
前後
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずにふん
縛
(
じば
)
り
120
千尋
(
ちひろ
)
の
深
(
ふか
)
き
陥穽
(
かんせい
)
に
121
押込
(
おしこ
)
みたるぞ
浅
(
あさ
)
ましき
122
又
(
また
)
もや
第二
(
だいに
)
の
候補者
(
こうほしや
)
を
123
あさりて
軍
(
いくさ
)
の
無聊
(
ぶれう
)
をば
124
慰
(
なぐさ
)
めやらむと
謀
(
はか
)
る
内
(
うち
)
125
再
(
ふたた
)
び
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
126
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
くに
響
(
ひび
)
き
来
(
く
)
る
127
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
巣
(
す
)
ぐふ
曲神
(
まがかみ
)
は
128
驚
(
おどろ
)
き
慌
(
あわ
)
てふためきて
129
肉体
(
にくたい
)
見
(
み
)
すてて
逃
(
に
)
げ
出
(
いだ
)
す
130
それより
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
夢
(
ゆめ
)
も
醒
(
さ
)
め
131
曇
(
くも
)
り
切
(
き
)
つたる
魂
(
たましひ
)
に
132
忽
(
たちま
)
ち
日月
(
じつげつ
)
輝
(
かがや
)
きて
133
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
愚眛
(
ぐまい
)
を
自覚
(
じかく
)
しぬ
134
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
135
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
は
吾々
(
われわれ
)
を
136
未
(
いま
)
だ
棄
(
す
)
てさせ
玉
(
たま
)
はぬと
137
悟
(
さと
)
つた
時
(
とき
)
の
有難
(
ありがた
)
さ
138
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
139
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
140
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
141
一旦
(
いつたん
)
神
(
かみ
)
に
従
(
したが
)
ひし
142
此
(
この
)
久米彦
(
くめひこ
)
はどこ
迄
(
まで
)
も
143
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
いて
三五
(
あななひ
)
の
144
教
(
をしへ
)
の
為
(
ため
)
に
身
(
み
)
をつくし
145
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
き
只管
(
ひたすら
)
に
146
真
(
まこと
)
の
務
(
つと
)
めに
仕
(
つか
)
ふべし
147
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
吾々
(
われわれ
)
は
148
神
(
かみ
)
に
帰順
(
きじゆん
)
の
首途
(
かどいで
)
と
149
シーナの
司
(
つかさ
)
を
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひ
150
此
(
この
)
急阪
(
きふはん
)
を
下
(
くだ
)
りつつ
151
行
(
ゆ
)
かれる
道
(
みち
)
ぢやなけれ
共
(
ども
)
152
鍋
(
なべ
)
をかぶつてテームスの
153
館
(
やかた
)
に
進
(
すす
)
み
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
154
百
(
もも
)
の
罪
(
つみ
)
をば
謝罪
(
しやざい
)
して
155
三五教
(
あななひけう
)
の
信徒
(
まめひと
)
と
156
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ
惟神
(
かむながら
)
157
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ
大御神
(
おほみかみ
)
158
国治立
(
くにはるたち
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
159
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる』
160
と
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
161
松彦
(
まつひこ
)
は
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち、
162
心
(
こころ
)
静
(
しづか
)
に
小声
(
こごゑ
)
で
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
降
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
163
松彦
(
まつひこ
)
『
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
猪倉
(
ゐのくら
)
の
164
山
(
やま
)
の
砦
(
とりで
)
に
三五
(
あななひ
)
の
165
教
(
をしへ
)
の
司
(
つかさ
)
四人
(
よにん
)
連
(
づれ
)
166
スミエル、スガール
両人
(
りやうにん
)
を
167
救
(
すく
)
はむ
為
(
ため
)
に
出
(
い
)
でませし
168
道晴別
(
みちはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
169
シーナの
司
(
つかさ
)
を
救
(
すく
)
はむと
170
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
のテームスが
171
依頼
(
いらい
)
を
受
(
う
)
けて
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
172
バラモン
教
(
けう
)
の
軍人
(
いくさびと
)
173
三千
(
さんぜん
)
余
(
よ
)
騎
(
き
)
が
立籠
(
たてこも
)
り
174
天地
(
てんち
)
も
震
(
ふる
)
ふ
勢
(
いきほひ
)
に
175
おめず
恐
(
おそ
)
れず
惟神
(
かむながら
)
176
神
(
かみ
)
のまにまに
出
(
い
)
でゆけば
177
無人
(
むじん
)
の
野辺
(
のべ
)
をゆく
如
(
ごと
)
く
178
足
(
あし
)
も
安々
(
やすやす
)
気
(
き
)
も
軽
(
かる
)
く
179
事
(
こと
)
なく
岩窟
(
いはや
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
180
思
(
おも
)
ひもよらぬゼネラルが
181
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
の
御光
(
みひかり
)
に
182
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
胸
(
むね
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
183
敵
(
てき
)
と
味方
(
みかた
)
の
隔
(
へだ
)
てをば
184
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹払
(
ふきはら
)
ひ
185
恨
(
うらみ
)
も
夏
(
なつ
)
の
山路
(
やまみち
)
を
186
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
に
濡
(
ぬ
)
れ
187
下
(
くだ
)
りて
来
(
きた
)
る
勇
(
いさ
)
ましさ
188
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
189
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
谷水
(
たにみづ
)
は
190
いや
永久
(
とこしへ
)
に
淙々
(
そうそう
)
と
191
飛沫
(
ひまつ
)
をとばし
水晶
(
すいしやう
)
の
192
玉
(
たま
)
を
岩間
(
いはま
)
にかざしつつ
193
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
相奏
(
あひかな
)
で
194
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
の
凱旋
(
がいせん
)
を
195
宛然
(
さながら
)
祝
(
しゆく
)
する
如
(
ごと
)
くなり
196
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
は
青々
(
あをあを
)
と
197
天津
(
あまつ
)
御風
(
みかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれつつ
198
清
(
きよ
)
き
音楽
(
おんがく
)
合唱
(
がつしやう
)
し
199
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
に
鳴
(
な
)
き
渡
(
わた
)
る
200
山時鳥
(
やまほととぎす
)
声
(
こゑ
)
清
(
きよ
)
く
201
名
(
な
)
さへも
知
(
し
)
れぬ
諸鳥
(
もろどり
)
が
202
歓喜
(
くわんき
)
の
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
203
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
204
楽
(
がく
)
を
奏上
(
そうじやう
)
したる
如
(
ごと
)
205
勇
(
いさ
)
みの
声
(
こゑ
)
は
遠近
(
をちこち
)
に
206
耳
(
みみ
)
をすまして
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
207
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
真相
(
しんさう
)
を
208
今
(
いま
)
目
(
ま
)
のあたりみる
心地
(
ここち
)
209
げにも
楽
(
たの
)
しき
次第
(
しだい
)
なり
210
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
211
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
包
(
つつ
)
まれて
212
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
難
(
なん
)
を
救
(
すく
)
ひつつ
213
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
を
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く
214
今日
(
けふ
)
の
旅路
(
たびぢ
)
の
楽
(
たの
)
しさよ
215
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
216
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
成功
(
せいこう
)
を
217
慎
(
つつし
)
み
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る』
218
万公
(
まんこう
)
は
一行
(
いつかう
)
の
最後
(
さいご
)
より、
219
山道
(
やまみち
)
を
下
(
くだ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
220
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したり。
221
万公
(
まんこう
)
『
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
は
222
世
(
よ
)
に
聞
(
きこ
)
えたる
大魔窟
(
だいまくつ
)
223
鬼
(
おに
)
が
棲
(
す
)
みしと
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
の
224
怖
(
おそ
)
れてよらぬも
無理
(
むり
)
ならず
225
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
大棟梁
(
だいとうりやう
)
226
大黒主
(
おほくろぬし
)
に
仕
(
つか
)
へたる
227
鬼将軍
(
おにしやうぐん
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
228
鬼春別
(
おにはるわけ
)
が
陣取
(
ぢんど
)
つて
229
鬼
(
おに
)
か
大蛇
(
をろち
)
か
曲津見
(
まがつみ
)
か
230
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
のする
様
(
やう
)
な
231
人
(
ひと
)
の
娘
(
むすめ
)
を
誘拐
(
かどわか
)
し
232
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
に
朝夕
(
あさゆふ
)
に
233
供
(
そな
)
へむものと
企
(
たく
)
みたる
234
其
(
その
)
計略
(
けいりやく
)
も
曝露
(
ばくろ
)
して
235
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
236
治国別
(
はるくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
が
237
案内
(
あない
)
もなしに
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
238
穴面白
(
あなおもしろ
)
や
面白
(
おもしろ
)
や
239
あんな
を
狙
(
ねら
)
うた
蛇蛙
(
へびがへる
)
240
今
(
いま
)
や
呑
(
の
)
まむとする
時
(
とき
)
に
241
ヌツと
現
(
あら
)
はれ
万公司
(
まんこうし
)
242
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
もいかめしく
243
ドンドンドンとつめよつて
244
鬼春別
(
おにはるわけ
)
のゼネラルの
245
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
した
健気
(
けなげ
)
さよ
246
ああ
勇
(
いさ
)
ましや
勇
(
いさ
)
ましや
247
これから
万公
(
まんこう
)
神司
(
かむつかさ
)
248
玉木
(
たまき
)
の
里
(
さと
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
249
手柄話
(
てがらばなし
)
を
打明
(
うちあ
)
けて
250
テームス
夫婦
(
ふうふ
)
を
驚
(
おどろ
)
かせ
251
其
(
その
)
軍功
(
ぐんこう
)
を
誇
(
ほこ
)
りつつ
252
金鵄
(
きんし
)
勲章
(
くんしやう
)
の
代用
(
だいよう
)
に
253
スガール
姫
(
ひめ
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
し
254
夫婦
(
ふうふ
)
が
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
とり
)
かはし
255
御伴
(
みとも
)
の
役
(
やく
)
を
辞職
(
じしよく
)
して
256
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
の
里庄
(
りしやう
)
とし
257
傍
(
かたはら
)
神
(
かみ
)
を
念
(
ねん
)
じつつ
258
安
(
やす
)
く
一生
(
いつしやう
)
を
送
(
おく
)
らむと
259
期待
(
きたい
)
したりし
吾
(
わが
)
願
(
ねがひ
)
260
漸
(
やうや
)
く
成就
(
じやうじゆ
)
の
暁
(
あかつき
)
に
261
向
(
むか
)
つて
来
(
き
)
たか
有難
(
ありがた
)
や
262
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
263
お
菊
(
きく
)
の
奴
(
やつ
)
を
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
り
264
又
(
また
)
もやダイヤを
諦
(
あきら
)
めて
265
三遍
(
さんべん
)
蛇
(
じや
)
の
子
(
こ
)
のスガール
姫
(
ひめ
)
266
如何
(
いか
)
に
無情
(
むじやう
)
な
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
も
267
今度
(
こんど
)
は
聞
(
き
)
いてくれるだろ
268
万公
(
まんこう
)
の
様
(
やう
)
な
人格者
(
じんかくしや
)
269
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
は
荷
(
に
)
が
重
(
おも
)
い
270
霊相応
(
みたまさうおう
)
といふことを
271
考
(
かんが
)
へ
遊
(
あそ
)
ばし
治国
(
はるくに
)
の
272
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
よ
改
(
あらた
)
めて
273
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
の
斡旋
(
あつせん
)
を
274
すすめて
下
(
くだ
)
さい
頼
(
たの
)
みます
275
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
276
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くるとも
277
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
278
此
(
この
)
事
(
こと
)
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さらば
279
霊相応
(
みたまさうおう
)
の
働
(
はたら
)
きを
280
致
(
いた
)
してお
目
(
め
)
にかけませう
281
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
282
キツと
願望
(
ぐわんまう
)
成就
(
じやうじゆ
)
して
283
里庄
(
りしやう
)
の
家
(
うち
)
の
婿
(
むこ
)
となり
284
名
(
な
)
を
末代
(
まつだい
)
に
輝
(
かがや
)
かし
285
村人
(
むらびと
)
達
(
たち
)
を
三五
(
あななひ
)
の
286
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
救
(
すく
)
ひやり
287
三五教
(
あななひけう
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
288
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
にあらはさむ
289
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
よ
290
金勝要
(
きんかつかね
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
291
イドムの
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
292
今
(
いま
)
から
願
(
ねが
)
ひおきまする』
293
と
自分
(
じぶん
)
勝手
(
かつて
)
な
脱線歌
(
だつせんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
294
山路
(
やまみち
)
を
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
295
道晴別
(
みちはるわけ
)
、
296
シーナ、
297
スミエル、
298
スガールは
万公
(
まんこう
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いて
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
299
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
はれ
乍
(
なが
)
ら
負傷
(
ふしやう
)
の
苦
(
く
)
を
忘
(
わす
)
れて、
300
『アハハハ、
301
オホホホ』と
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
した。
302
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
万公
(
まんこう
)
の
此
(
この
)
外
(
ほか
)
のいろいろ
面白
(
おもしろ
)
き、
303
間断
(
かんだん
)
なき
歌
(
うた
)
に、
304
一同
(
いちどう
)
は
面白
(
おもしろ
)
可笑
(
をか
)
しく
笑
(
わら
)
ひに
紛
(
まぎ
)
れ、
305
いつとはなしに
玉木
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
のテームスが
門前
(
もんぜん
)
に
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かへ
)
ることを
得
(
え
)
た。
306
(
大正一二・二・二六
旧一・一一
於竜宮館
松村真澄
録)
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『
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