霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
01 心転
〔1409〕
02 道謡
〔1410〕
03 万民
〔1411〕
04 真異
〔1412〕
05 飯の灰
〔1413〕
06 洗濯使
〔1414〕
第2篇 縁三寵望
07 朝餉
〔1415〕
08 放棄
〔1416〕
09 三婚
〔1417〕
10 鬼涙
〔1418〕
第3篇 玉置長蛇
11 経愕
〔1419〕
12 霊婚
〔1420〕
13 蘇歌
〔1421〕
14 春陽
〔1422〕
15 公盗
〔1423〕
16 幽貝
〔1424〕
第4篇 法念舞詩
17 万巌
〔1425〕
18 音頭
〔1426〕
19 清滝
〔1427〕
20 万面
〔1428〕
21 嬉涙
〔1429〕
22 比丘
〔1430〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第55巻
> 第1篇 奇縁万情 > 第6章 洗濯使
<<< 飯の灰
(B)
(N)
朝餉 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第六章
洗濯使
(
せんたくし
)
〔一四一四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第1篇 奇縁万情
よみ(新仮名遣い):
きえんばんじょう
章:
第6章 洗濯使
よみ(新仮名遣い):
せんたくし
通し章番号:
1414
口述日:
1923(大正12)年03月03日(旧01月16日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
フエルとアヅモスは、朝食のお膳を治国別の別宅に運んできた。元バラモン軍のエミシは、フエルの姿を認めて声をかけた。フエルは道晴別に霊縛されて、この家の蔵に放り込まれていたが、今朝この家の若主人が解放したことを話した。
鬼春別も、自分が三五教に改心したことをフエルに話した。治国別は朝飯を食べてみると、灰まみれでとても喰えたものでなく、目を白黒させている。
アヅモスとフエルは御膳を片付けて、もう一度朝飯を作り直しに炊事場に引き返してきた。すると万公がお民をつかまえて一生懸命に指図している。
アヅモスは、自分たちが飯を作るからと言って万公を治国別の別宅に戻らせた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-05-14 17:41:22
OBC :
rm5506
愛善世界社版:
70頁
八幡書店版:
第10輯 59頁
修補版:
校定版:
72頁
普及版:
29頁
初版:
ページ備考:
001
治国別
(
はるくにわけ
)
の
居間
(
ゐま
)
へはフエル、
002
アヅモスの
両人
(
りやうにん
)
が
膳部
(
ぜんぶ
)
を
運
(
はこ
)
び、
003
叮嚀
(
ていねい
)
に
辞儀
(
じぎ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
004
フエルの
方
(
はう
)
は
慄
(
ふる
)
うてゐる。
005
フエルは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
とアヅモスに
聞
(
き
)
いたので、
006
俄
(
にはか
)
に
恐
(
おそ
)
ろしくなつたのである。
007
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
治国別
(
はるくにわけ
)
、
008
松彦
(
まつひこ
)
、
009
竜彦
(
たつひこ
)
は
一面識
(
いちめんしき
)
もないので、
010
此
(
この
)
家
(
や
)
の
下男
(
げなん
)
とのみ
考
(
かんが
)
へてゐた。
011
フエルは
鬼春別
(
おにはるわけ
)
以下
(
いか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
012
様子
(
やうす
)
は
分
(
わか
)
らず、
013
不思議
(
ふしぎ
)
相
(
さう
)
に
俯
(
うつむ
)
いたまま
横目
(
よこめ
)
で
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
顔
(
かほ
)
を
見比
(
みくら
)
べてゐた。
014
エミシは
早
(
はや
)
くもフエルの
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
015
エミシ『オオお
前
(
まへ
)
はフエルぢやないか。
016
何
(
ど
)
うして
此処
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
たのだ』
017
フエル『
貴方
(
あなた
)
はカーネル
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
018
能
(
よ
)
うマア……
何
(
ど
)
うしてお
出
(
い
)
でになりました。
019
私
(
わたし
)
は
貴方
(
あなた
)
の
命令
(
めいれい
)
に
仍
(
よ
)
つて、
020
シメジ
峠
(
たうげ
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
閉塞隊
(
へいそくたい
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
矢先
(
やさき
)
、
021
道晴別
(
みちはるわけ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
に
霊縛
(
れいばく
)
をかけられ、
022
当家
(
たうけ
)
の
庫
(
くら
)
に
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれ、
023
ヤツと
今朝
(
けさ
)
ここの
若主人
(
わかしゆじん
)
に
解放
(
かいはう
)
され、
024
炊事
(
すゐじ
)
や
掃除
(
さうぢ
)
の
役
(
やく
)
を
仰
(
おほ
)
せ
付
(
つ
)
けられて
居
(
を
)
ります』
025
エミシ『お
前
(
まへ
)
一人
(
ひとり
)
か』
026
フエル『イエ、
027
ベツトと
二人
(
ふたり
)
で
厶
(
ござ
)
います。
028
ベツトも
私
(
わたし
)
と
同様
(
どうやう
)
に
早朝
(
さうてう
)
から
大活動
(
だいくわつどう
)
をやつて
居
(
を
)
ります』
029
エミシは
鬼春別
(
おにはるわけ
)
を
指
(
ゆび
)
ざし、
030
エミシ
『オイ、
031
此
(
この
)
お
方
(
かた
)
を
知
(
し
)
つてゐるか』
032
フエル『ハイ、
033
ゼネラル
様
(
さま
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか、
034
どうしてマア
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と、
035
かやうな
所
(
ところ
)
へお
出
(
いで
)
になりました。
036
又
(
また
)
霊縛
(
れいばく
)
にかかつてぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか』
037
鬼春
(
おにはる
)
『アハハハ、
038
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
霊縛
(
れいばく
)
にかけられ、
039
たうとうゼネラルを
棒
(
ぼう
)
にふつて、
040
今日
(
けふ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
一兵士
(
いちへいし
)
となつたのだよ』
041
フエル『
思
(
おも
)
ひきやゼネラル
様
(
さま
)
が
此
(
この
)
家
(
いへ
)
に
042
お
越
(
こ
)
しあるとは
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らず。
043
夢
(
ゆめ
)
の
世
(
よ
)
に
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
るてふ
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
044
はかなきものと
今
(
いま
)
や
悟
(
さと
)
りぬ』
045
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
されて
046
暗
(
やみ
)
は
晴
(
は
)
れけり
心
(
こころ
)
の
闇
(
やみ
)
も』
047
治国別
(
はるくにわけ
)
『テームスの
珍
(
うづ
)
の
館
(
やかた
)
に
落合
(
おちあ
)
ひて
048
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
味
(
あぢ
)
はふ
今日
(
けふ
)
かな』
049
アヅモス『
客人
(
まらうど
)
よいと
平
(
たひら
)
けく
聞召
(
きこしめ
)
せ
050
万公別
(
まんこうわけ
)
が
献立
(
こんだて
)
の
味
(
み
)
を』
051
竜彦
(
たつひこ
)
『
万公
(
まんこう
)
の
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
えぬと
思
(
おも
)
ひしに
052
早
(
はや
)
飯焚
(
めしたき
)
となりにけるかな』
053
松彦
(
まつひこ
)
は
飯
(
めし
)
の
少
(
すこ
)
しく
色
(
いろ
)
の
変
(
かは
)
つたのを
見
(
み
)
て、
054
松彦
(
まつひこ
)
『
此
(
この
)
飯
(
めし
)
は
何
(
なん
)
とはなしに
色
(
いろ
)
づきぬ
055
灰
(
はひ
)
カラ
女
(
をんな
)
のたきしものにや』
056
アヅモス『
色付
(
いろづ
)
きし
万公別
(
まんこうわけ
)
の
献立
(
こんだて
)
と
057
思
(
おも
)
へば
何
(
なん
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
かはある。
058
さり
乍
(
なが
)
ら
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
059
今日
(
けふ
)
一朝
(
ひとあさ
)
は
忍
(
しの
)
ばせ
玉
(
たま
)
へ』
060
松彦
(
まつひこ
)
『
何
(
なん
)
となくゲヂゲヂゲヂと
歯
(
は
)
はきしり
061
砂
(
すな
)
を
噛
(
か
)
むよな
飯
(
めし
)
の
味
(
あぢ
)
かな』
062
竜彦
(
たつひこ
)
『
万公
(
まんこう
)
が
主人
(
しゆじん
)
気取
(
きどり
)
となりよつて
063
灰
(
はひ
)
カラ
飯
(
めし
)
を
炊
(
たき
)
しなるらむ』
064
治国別
(
はるくにわけ
)
は、
065
治国別
『
皆
(
みな
)
さま、
066
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しませう。
067
お
先
(
さき
)
へ
御免
(
ごめん
)
』
068
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
069
一口
(
ひとくち
)
口
(
くち
)
に
含
(
ふく
)
んで
目
(
め
)
を
白黒
(
しろくろ
)
し、
070
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
す
訳
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
かず、
071
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
らグツと
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
072
白
(
しろ
)
い
飯
(
めし
)
の
上
(
うへ
)
に
所々
(
ところどころ
)
灰
(
はひ
)
が
黒
(
くろ
)
く
塊
(
かたま
)
つてゐた。
073
治国別
(
はるくにわけ
)
『
黒胡麻
(
くろごま
)
のふりかけ
飯
(
めし
)
と
思
(
おも
)
ひきや
074
目
(
め
)
も
白黒
(
しろくろ
)
と
麦粟
(
むぎあは
)
をふく』
075
松彦
(
まつひこ
)
『
麦飯
(
むぎめし
)
の
色
(
いろ
)
にもまがふ
灰飯
(
はひめし
)
に
076
黍悪
(
きびわる
)
相
(
さう
)
に
粟
(
あは
)
を
吹
(
ふ
)
くかな』
077
竜彦
(
たつひこ
)
『オイ
番頭
(
ばんとう
)
さま、
078
偶々
(
たまたま
)
のお
客
(
きやく
)
さまに、
079
こんな
飯
(
めし
)
を
食
(
く
)
はすといふ
事
(
こと
)
があるか、
080
余
(
あま
)
りヒドイぢやないか』
081
アヅモス『ハイ、
082
万公別
(
まんこうわけ
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
が
御
(
お
)
指図
(
さしづ
)
で、
083
お
炊
(
たき
)
になつたので
厶
(
ござ
)
いますから、
084
何卒
(
どうぞ
)
今朝
(
けさ
)
丈
(
だけ
)
は
御
(
ご
)
辛抱
(
しんばう
)
下
(
くだ
)
さいませ。
085
それはそれは
炊事場
(
すゐじば
)
は
偉
(
えら
)
い
灰埃
(
はひぼこり
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
086
飯
(
めし
)
の
奴
(
やつ
)
、
087
鍋山
(
なべやま
)
が
噴火
(
ふんくわ
)
して
灰
(
はひ
)
を
降
(
ふ
)
らし、
088
そこら
一面
(
いちめん
)
灰
(
はひ
)
の
山
(
やま
)
となりましたので、
089
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずの
間
(
あひだ
)
に
厚
(
あつ
)
い
鍋蓋
(
なべふた
)
を
潜
(
くぐ
)
つて、
090
灰
(
はひ
)
が
浸入
(
しんにふ
)
したので
厶
(
ござ
)
いませう。
091
何
(
なん
)
なら
鬼春別
(
おにはるわけ
)
さま、
092
久米彦
(
くめひこ
)
さまにあがつて
頂
(
いただ
)
きまして、
093
お
腹
(
なか
)
がすきませうが、
094
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さいませ。
095
更
(
あらた
)
めておいしい
御飯
(
ごはん
)
を
炊
(
た
)
いて
参
(
まゐ
)
りますから……』
096
治国
(
はるくに
)
『イヤ、
097
誰
(
たれ
)
だつて
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
だ。
098
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
折角
(
せつかく
)
の
志
(
こころざし
)
、
099
無
(
む
)
にするのも
済
(
す
)
まないから
一度
(
いちど
)
之
(
これ
)
をスツカリ
清水
(
せいすい
)
に
洗
(
あら
)
つて
日
(
ひ
)
に
乾
(
かわ
)
かし、
100
お
茶漬
(
ちやづけ
)
にしてよばれませう。
101
サ、
102
お
膳
(
ぜん
)
を
引
(
ひ
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
103
誰
(
たれ
)
だつて
此
(
この
)
御飯
(
ごはん
)
許
(
ばか
)
りは
勿体
(
もつたい
)
ない
事
(
こと
)
乍
(
なが
)
ら
喉
(
のど
)
へは
通
(
とほ
)
りませぬから……』
104
アヅモス『
左様
(
さやう
)
ならば
一先
(
ひとま
)
づ
膳
(
ぜん
)
をひきませう
105
待
(
ま
)
たせ
玉
(
たま
)
へよ
暫
(
しばら
)
くの
間
(
うち
)
。
106
フエルさまお
前
(
まへ
)
も
共
(
とも
)
に
炊事場
(
すゐじば
)
へ
107
急
(
いそ
)
ぎ
御飯
(
ごはん
)
を
炊
(
た
)
いてくるのよ』
108
フエル『
炊
(
た
)
き
様
(
やう
)
に
依
(
よ
)
つてお
米
(
こめ
)
はフエルさまだ
109
サア
是
(
これ
)
からが
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
。
110
生命
(
せいめい
)
の
綱
(
つな
)
と
聞
(
きこ
)
えし
此
(
この
)
飯
(
めし
)
を
111
灰
(
はひ
)
にまぶせし
吾
(
わ
)
れはハイカラ。
112
万公別
(
まんこうわけ
)
主人
(
あるじ
)
の
君
(
きみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
113
腕
(
うで
)
に
撚
(
より
)
かけむし
返
(
かへ
)
しみむ』
114
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
115
アヅモス、
116
フエルの
両人
(
りやうにん
)
は
急
(
いそ
)
いで
膳部
(
ぜんぶ
)
を
片付
(
かたづ
)
け、
117
幾度
(
いくたび
)
も
謝罪
(
しやざい
)
し
乍
(
なが
)
ら、
118
炊事場
(
すゐじば
)
に
引返
(
ひつかへ
)
して
来
(
き
)
た。
119
見
(
み
)
れば
万公
(
まんこう
)
はお
民
(
たみ
)
をつかまへて、
120
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
指図
(
さしづ
)
をしてゐる。
121
万公
(
まんこう
)
『オイお
民
(
たみ
)
、
122
火消壺
(
ひけしつぼ
)
の
蓋
(
ふた
)
は
何時
(
いつ
)
もキチンと
出来
(
でき
)
てるか、
123
底
(
そこ
)
の
方
(
はう
)
に
火
(
ひ
)
がまわりはせぬかと
能
(
よ
)
く
気
(
き
)
をつけるのだぞ。
124
コンロの
下
(
した
)
の
灰
(
はひ
)
を
一遍
(
いつぺん
)
々々
(
いつぺん
)
捨
(
す
)
てる
事
(
こと
)
を
忘
(
わす
)
れるな。
125
井戸
(
ゐど
)
の
水
(
みづ
)
はどんなとこへ
使
(
つか
)
へば
危険
(
きけん
)
でないか。
126
煮物
(
にもの
)
、
127
炊物
(
たきもの
)
、
128
沸
(
わ
)
かして
呑
(
の
)
む
水
(
みづ
)
等
(
など
)
の
外
(
ほか
)
、
129
決
(
けつ
)
して
生水
(
なまみづ
)
は
呑
(
の
)
んでは
可
(
い
)
かぬぞ。
130
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
梅雨
(
つゆ
)
だから、
131
水
(
みづ
)
に
塩気
(
しほけ
)
があつて、
132
妙
(
めう
)
な
黴菌
(
ばいきん
)
が
生
(
わ
)
いてゐるから
充分
(
じゆうぶん
)
に
沸
(
たぎ
)
らして、
133
水
(
みづ
)
が
呑
(
の
)
みたけりや
冷
(
ひや
)
して
呑
(
の
)
め、
134
生水
(
なまみづ
)
を
使
(
つか
)
ふのは
手洗水
(
てうづ
)
か
雑巾水
(
ざふきんみづ
)
より
外
(
ほか
)
にはならぬぞ』
135
お
民
(
たみ
)
『
流
(
なが
)
しを
洗
(
あら
)
うたり、
136
食器類
(
しよくきるゐ
)
や
爼板
(
まないた
)
を
洗
(
あら
)
ふのは
何
(
ど
)
うしたら
可
(
い
)
いのですか。
137
ヤツパリ
之
(
これ
)
も
湯
(
ゆ
)
を
沸
(
わ
)
かすのですか』
138
万公
(
まんこう
)
『エー、
139
そんな
事
(
こと
)
迄
(
まで
)
指図
(
さしづ
)
せなくちや
分
(
わか
)
らぬのかナ、
140
其奴
(
そいつ
)
ア
水
(
みづ
)
で
辛抱
(
しんばう
)
するのだ。
141
そして
水壺
(
みづつぼ
)
に
何時
(
いつ
)
も
水
(
みづ
)
を
用意
(
ようい
)
して、
142
非常
(
ひじやう
)
の
時
(
とき
)
の
用意
(
ようい
)
に
備
(
そな
)
へておくのだ。
143
そして
毎日
(
まいにち
)
新
(
あたら
)
しい
水
(
みづ
)
と
取
(
とり
)
かへるのだぞ。
144
柄杓
(
ひしやく
)
などを
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
へつけておくと、
145
水
(
みづ
)
の
味
(
あぢ
)
もかわるし、
146
杓
(
しやく
)
もホトびて
損
(
いた
)
むから、
147
一遍
(
いつぺん
)
々々
(
いつぺん
)
外
(
そと
)
へ
出
(
だ
)
して
乾
(
かわ
)
かしておくのだよ。
148
そして
井戸
(
ゐど
)
は
使
(
つか
)
つたあとは
蓋
(
ふた
)
をしておくのだ。
149
釣瓶縄
(
つるべなは
)
の
新
(
あたら
)
しいのを
使
(
つか
)
う
時
(
とき
)
は、
150
ようスゴいて
使
(
つか
)
はないと、
151
クロロを
脱線
(
だつせん
)
するから
気
(
き
)
をつけよ』
152
お
民
(
たみ
)
『
贋旦那
(
にせだんな
)
さま、
153
指図
(
さしづ
)
計
(
ばか
)
りして
居
(
を
)
らずと、
154
貴方
(
あなた
)
も
一
(
ひと
)
つ
手伝
(
てつだ
)
うて
下
(
くだ
)
さいナ。
155
ここは
井戸
(
ゐど
)
ぢやありませぬよ。
156
水道
(
すいだう
)
の
水
(
みづ
)
を
使
(
つか
)
つて
居
(
ゐ
)
るのですよ』
157
万公
(
まんこう
)
『
水道
(
すいだう
)
でも
井戸
(
ゐど
)
でも
同
(
おんな
)
じ
事
(
こと
)
だ。
158
痳病
(
りんびやう
)
やみが
小便
(
せうべん
)
をたれるやうに、
159
いつもジヨウジヨウと
洩
(
もら
)
しておいては
公徳
(
こうとく
)
上
(
じやう
)
すまないから、
160
水道
(
すいだう
)
の
栓
(
せん
)
は、
161
使
(
つか
)
つたら
固
(
かた
)
く
締
(
し
)
めておくのだ。
162
そして
朝
(
あさ
)
水道
(
すいだう
)
の
水
(
みづ
)
はバケツに
一杯
(
いつぱい
)
丈
(
だけ
)
は
使水
(
つかひみづ
)
とし、
163
余
(
あま
)
りは
滌
(
すす
)
ぎ
水
(
みづ
)
にして
外
(
ほか
)
へ
利用
(
りよう
)
するのだ。
164
お
水
(
みづ
)
を
粗末
(
そまつ
)
にすると、
165
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
さまの
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
るぞ』
166
お
民
(
たみ
)
『ハイハイ。
167
能
(
よ
)
うゴテゴテと
構
(
かま
)
ふ
人
(
ひと
)
ですな。
168
そんな
事
(
こと
)
位
(
ぐらひ
)
知
(
し
)
らいで、
169
大家
(
たいけ
)
の
下女
(
げぢよ
)
が
勤
(
つと
)
まりますか』
170
万公
(
まんこう
)
『コリヤ
主人
(
しゆじん
)
に
口答
(
くちごたへ
)
するといふ
事
(
こと
)
があるか。
171
何
(
なん
)
だ
灰
(
はひ
)
だらけの
飯
(
めし
)
を
炊
(
たき
)
やがつて、
172
おまけに
火
(
ひ
)
のいつた
黒
(
くろ
)
い
黒
(
くろ
)
い
飯
(
めし
)
を
沢山
(
たくさん
)
拵
(
こしら
)
へたぢやないか』
173
お
民
(
たみ
)
『あんたが
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て
喧
(
やか
)
ましう
差出
(
さしで
)
なさるものだから、
174
つい
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られてお
前
(
まへ
)
さまの
顔
(
かほ
)
計
(
ばか
)
り
見
(
み
)
て
居
(
を
)
つたら、
175
焦
(
こ
)
げついたのですよ』
176
万公
(
まんこう
)
『ヘヘヘヘ、
177
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られて
俺
(
おれ
)
の
顔
(
かほ
)
計
(
ばか
)
りみとつたといふのか、
178
其奴
(
そいつ
)
ア
駄目
(
だめ
)
だ。
179
諦
(
あきら
)
めたがよからう、
180
下女
(
げぢよ
)
を
女房
(
にようばう
)
にする
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
181
又
(
また
)
汝
(
きさま
)
の
赤
(
あか
)
い
頬
(
ほほ
)
ぺたでは、
182
如何
(
いか
)
に
物食
(
ものぐ
)
ひのよい
万公別
(
まんこうわけ
)
でも、
183
一寸
(
ちよつと
)
は
三舎
(
さんしや
)
を
避
(
さ
)
けるからのう』
184
お
民
(
たみ
)
『ホツホホホ、
185
誰
(
たれ
)
が
主人
(
しゆじん
)
だつて、
186
貴方
(
あなた
)
の
様
(
やう
)
なお
顔
(
かほ
)
に
惚
(
ほれ
)
ますか。
187
余
(
あま
)
り
奇妙
(
きめう
)
な
顔
(
かほ
)
だと
思
(
おも
)
つて、
188
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られてゐたのですよ。
189
モウ
可
(
い
)
いかげん
彼方
(
あちら
)
へ
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいな』
190
万公
(
まんこう
)
『
今日
(
けふ
)
はどうやら
日和
(
ひより
)
もよささうだから、
191
お
客
(
きやく
)
さまの
着物
(
きもの
)
が
大分
(
だいぶん
)
汗
(
あせ
)
じゆんでゐる。
192
着替
(
きがへ
)
を
出
(
だ
)
して
着
(
き
)
て
貰
(
もら
)
つて、
193
其
(
その
)
お
装束
(
しやうぞく
)
を
洗濯
(
せんたく
)
するのだな』
194
お
民
(
たみ
)
『ハイハイ
飯
(
めし
)
を
焚
(
た
)
かねばならず、
195
洗濯
(
せんたく
)
もせにやならず、
196
本当
(
ほんたう
)
に
忙
(
いそが
)
しい
事
(
こと
)
だ。
197
私
(
わたし
)
はここへ
飯焚
(
めした
)
き
女
(
をんな
)
に
雇
(
やと
)
はれて
来
(
き
)
たのだから、
198
洗濯
(
せんたく
)
は
約束
(
やくそく
)
以外
(
いぐわい
)
ですワ、
199
洗濯
(
せんたく
)
さすのなら
二人前
(
ににんまへ
)
の
給料
(
きふれう
)
をくれますか。
200
お
前
(
まへ
)
さまは
俄主人
(
にはかしゆじん
)
だから
私
(
わたし
)
の
約束
(
やくそく
)
を
知
(
し
)
らぬのだらう。
201
庭掃
(
にはは
)
きとも
座敷
(
ざしき
)
の
掃除番
(
さうぢばん
)
とも
云
(
い
)
つて、
202
雇
(
やと
)
はれて
来
(
き
)
たのぢや
厶
(
ござ
)
りませぬよ』
203
万公
(
まんこう
)
『
下女
(
げぢよ
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
一切
(
いつさい
)
を
構
(
かま
)
ふものだ。
204
飯焚
(
めした
)
きといへば
一切
(
いつさい
)
の
事
(
こと
)
が
含
(
ふく
)
んでをるのだ。
205
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
かぬ
奴
(
やつ
)
だなア』
206
お
民
(
たみ
)
『そんなこた
分
(
わか
)
つてをりますよ。
207
併
(
しか
)
し
余
(
あま
)
り
融通
(
ゆうづう
)
を
利
(
き
)
かすと、
208
忙
(
いそが
)
しい
計
(
ばか
)
りで
身体
(
からだ
)
が
疲
(
つか
)
れて
損
(
そん
)
ですワ。
209
目
(
め
)
のない
主人
(
しゆじん
)
に
使
(
つか
)
はれて
居
(
を
)
つては、
210
何程
(
なにほど
)
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つても
椽
(
えん
)
の
下
(
した
)
の
舞
(
まひ
)
だから、
211
マアやめておきませうかい。
212
お
前
(
まへ
)
さま
若主人
(
わかしゆじん
)
だなんて、
213
勝手
(
かつて
)
にきめてるのだらう、
214
そんなこたチヤンとお
民
(
たみ
)
の
目
(
め
)
に
映
(
うつ
)
つてをりますよ。
215
宣伝使
(
せんでんし
)
の
褌持
(
ふんどしもち
)
ぢやありませぬか、
216
オホホホホ、
217
チツと
何
(
ど
)
うかしてますねえ』
218
万公
(
まんこう
)
『エー、
219
お
上
(
かみ
)
の
事
(
こと
)
が
下
(
しも
)
に
分
(
わか
)
るものかい。
220
サア
是
(
これ
)
から
洗濯
(
せんたく
)
だ。
221
洗濯
(
せんたく
)
の
仕方
(
しかた
)
は
分
(
わか
)
つとるかなア』
222
お
民
(
たみ
)
『
洗濯
(
せんたく
)
と
云
(
い
)
つたら、
223
河
(
かは
)
へ
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
つて、
224
浅瀬
(
あさせ
)
に
石
(
いし
)
を
一々
(
いちいち
)
乗
(
の
)
せて、
225
漬
(
つ
)
けておけば
可
(
い
)
いのでせう。
226
そして
十日
(
とをか
)
程
(
ほど
)
して
行
(
ゆ
)
けば
自然
(
しぜん
)
に
垢
(
あか
)
が
除
(
と
)
れてますワ。
227
万公
(
まんこう
)
さま、
228
ここに
古
(
ふる
)
い
褌
(
まわし
)
や
湯巻
(
ゆまき
)
の
古手
(
ふるて
)
が
沢山
(
たくさん
)
つつ
込
(
こ
)
んであるから、
229
お
前
(
まへ
)
さま
抱
(
かか
)
えて
猪倉川
(
ゐのくらがは
)
迄
(
まで
)
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さらぬか』
230
万公
(
まんこう
)
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな、
231
主人
(
しゆじん
)
候補者
(
こうほしや
)
の
俺
(
おれ
)
に
向
(
むか
)
つて、
232
チツと
失礼
(
しつれい
)
ぢやないか。
233
ここの
背戸口
(
せとぐち
)
で
盥
(
たらひ
)
に
水
(
みづ
)
や
湯
(
ゆ
)
を
汲
(
く
)
んでバサバサとやれば
可
(
い
)
いのだ。
234
きめ
の
粗
(
あら
)
い
水
(
みづ
)
だとみた
時
(
とき
)
は、
235
始
(
はじ
)
めに
曹達
(
さうだ
)
を
能
(
よ
)
く
溶
(
と
)
かして
使
(
つか
)
へばキツト
美
(
うつく
)
しうおちる、
236
さうすると
石鹸
(
せつけん
)
と
時間
(
じかん
)
とが
経済
(
けいざい
)
になる。
237
そして
滌
(
すす
)
ぎ
水
(
みづ
)
は
奇麗
(
きれい
)
に
濁
(
にご
)
らなくなる
迄
(
まで
)
何遍
(
なんべん
)
も
変
(
か
)
へないといふと、
238
生地
(
きぢ
)
が
早
(
はや
)
くいたむぞ。
239
そして
水
(
みづ
)
で
洗
(
あら
)
うて
可
(
い
)
いものと、
240
湯
(
ゆ
)
で
洗
(
あら
)
うて
可
(
い
)
いものとある。
241
それを
第一
(
だいいち
)
心得
(
こころえ
)
ておかないと
洗濯婆
(
せんたくばば
)
にはなれぬぞ。
242
俺
(
おれ
)
は
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
の
霊
(
みたま
)
を
洗濯
(
せんたく
)
する
三五教
(
あななひけう
)
の
洗濯使
(
せんたくし
)
だ。
243
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今日
(
けふ
)
は
譲歩
(
じやうほ
)
して、
244
汝
(
おまへ
)
に
衣類
(
いるゐ
)
の
洗濯
(
せんたく
)
方法
(
はうはふ
)
を
教
(
をしへ
)
てやるのだから、
245
能
(
よ
)
く
忘
(
わす
)
れぬやうに
覚
(
おぼ
)
えておけ。
246
洗方
(
あらひかた
)
に
注意
(
ちゆうい
)
せないと、
247
折角
(
せつかく
)
の
結構
(
けつこう
)
な
衣類
(
いるゐ
)
が
台無
(
だいな
)
しになつて
了
(
しま
)
ふものだ。
248
絹物
(
きぬもの
)
や
毛織物
(
けおりもの
)
や
色物
(
いろもの
)
は
熱
(
あつ
)
い
湯
(
ゆ
)
につけて
洗
(
あら
)
うと
駄目
(
だめ
)
だ。
249
又
(
また
)
毛織物
(
けおりもの
)
は
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
に
漬
(
つ
)
けても
悪
(
わる
)
い。
250
そして
絹物
(
きぬもの
)
、
251
毛織物
(
けおりもの
)
、
252
麻織物
(
あさおりもの
)
は
強
(
つよ
)
く
揉
(
も
)
んでは
駄目
(
だめ
)
だぞ。
253
曹達
(
さうだ
)
(
灰汁
(
あく
)
)や
悪
(
わる
)
い
石鹸
(
せつけん
)
で、
254
絹物
(
きぬもの
)
はキツと
洗
(
あら
)
つてはならない、
255
色物
(
いろもの
)
は
猶更
(
なほさら
)
だ。
256
そして
色物
(
いろもの
)
は
皆
(
みな
)
陰干
(
かげぼし
)
にせなくては、
257
日向
(
ひなた
)
に
出
(
だ
)
したら
皆
(
みな
)
色
(
いろ
)
が
褪
(
あ
)
せて
了
(
しま
)
ふ。
258
干
(
ほ
)
す
時
(
とき
)
は
竿
(
さを
)
か
縄
(
なは
)
を
通
(
とほ
)
して、
259
木
(
き
)
から
木
(
き
)
へ
掛
(
か
)
けておくのだ。
260
白
(
しろ
)
い
物
(
もの
)
を
色物
(
いろもの
)
の
竿
(
さを
)
にかけると、
261
色
(
いろ
)
がついて
台
(
だい
)
なしになつて
了
(
しま
)
ふぞ。
262
あああ
宣伝使
(
せんでんし
)
も
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
迄
(
まで
)
知
(
し
)
つてをらねば
勤
(
つと
)
まらぬ、
263
本当
(
ほんたう
)
に
難
(
むつか
)
しい
職掌
(
しよくしやう
)
だなア』
264
お
民
(
たみ
)
『ハハア、
265
さうするとお
前
(
まへ
)
さまは
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
から
洗濯屋
(
せんたくや
)
の
番頭
(
ばんとう
)
をして
居
(
を
)
つたのだなア。
266
男
(
をとこ
)
の
癖
(
くせ
)
にそんな
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るものは、
267
首陀
(
しゆだ
)
の
内
(
うち
)
だつてありませぬワ。
268
モウ
余
(
あま
)
り
喋
(
しやべ
)
りなさるな、
269
お
里
(
さと
)
が
見
(
み
)
えると、
270
折角
(
せつかく
)
の
縁談
(
えんだん
)
もフイになりますよ。
271
ホツホホホホ』
272
万公
(
まんこう
)
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな、
273
女子
(
ぢよし
)
大学
(
だいがく
)
家政科
(
かせいくわ
)
の
卒業生
(
そつげふせい
)
だ。
274
それだから
何
(
なに
)
もかも
知
(
し
)
つてるのだ』
275
お
民
(
たみ
)
『ホホホホ、
276
女子
(
ぢよし
)
大学
(
だいがく
)
へ
男
(
をとこ
)
が
行
(
ゆ
)
くのですか。
277
さうするとお
前
(
まへ
)
さまは
男
(
をとこ
)
の
腐
(
くさ
)
つた
女
(
をんな
)
の
屑
(
くず
)
だな。
278
道理
(
だうり
)
でクヅクヅ
云
(
い
)
うと
思
(
おも
)
つてゐた』
279
万公
(
まんこう
)
『
女
(
をんな
)
は
口
(
くち
)
を
慎
(
つつし
)
むが
第一
(
だいいち
)
だ。
280
男子
(
だんし
)
に
抗弁
(
かうべん
)
するといふ
事
(
こと
)
が
何処
(
どこ
)
にあるか、
281
らしうせよといふ
言
(
こと
)
を
知
(
し
)
つてゐるか』
282
お
民
(
たみ
)
『
其
(
その
)
位
(
くらゐ
)
のこた、
283
とうの
昔
(
むかし
)
に
御存
(
ごぞん
)
じのお
民
(
たみ
)
ですよ。
284
主人
(
しゆじん
)
は
主人
(
しゆじん
)
らしう、
285
奴
(
やつこ
)
は
奴
(
やつこ
)
らしう、
286
下女
(
げぢよ
)
は
下女
(
げぢよ
)
らしう、
287
宣伝使
(
せんでんし
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
らしう、
288
居候
(
ゐさふらふ
)
は
居候
(
ゐさふらふ
)
らしうせよと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
でせうがな。
289
お
前
(
まへ
)
さまも
若主人
(
わかしゆじん
)
なら、
290
なぜ
若主人
(
わかしゆじん
)
らしうせぬのだい。
291
私
(
わたし
)
が
一寸
(
ちよつと
)
考
(
かんが
)
へてみると、
292
お
前
(
まへ
)
さまは、
293
馬鹿
(
ばか
)
らしう、
294
ケレ
又
(
また
)
らしう、
295
自惚
(
うぬぼれ
)
男
(
をとこ
)
らしう、
296
腰抜
(
こしぬけ
)
らしう、
297
デレ
助
(
すけ
)
らしう、
298
雲雀
(
ひばり
)
らしう、
299
九官鳥
(
きうくわんてう
)
らしう、
300
まだも
違
(
ちが
)
うたら
鸚鵡
(
おうむ
)
らしうみえますよ、
301
ホツホホホホ』
302
かかる
所
(
ところ
)
へアヅモス、
303
フエルの
両人
(
りやうにん
)
はツマらぬ
顔
(
かほ
)
をして、
304
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
305
アヅモス『オイ、
306
お
民
(
たみ
)
、
307
何
(
なん
)
といふ
飯
(
めし
)
を
炊
(
た
)
きやがるのだ。
308
偶々
(
たまたま
)
のお
客
(
きやく
)
さまに
灰飯
(
はひめし
)
を
食
(
く
)
はしやがつて、
309
マ
一遍
(
いつぺん
)
炊
(
た
)
き
直
(
なほ
)
さぬかい。
310
サ、
311
早
(
はや
)
う、
312
何
(
なに
)
をグズグズしてゐるのだ。
313
ハハア
此
(
この
)
お
客
(
きやく
)
さまにうつつをぬかしやがつて、
314
飯
(
めし
)
の
焦
(
こげ
)
たのも
知
(
し
)
らず、
315
灰
(
はひ
)
の
這入
(
はい
)
つたのも
気
(
き
)
がつかなかつたのだなア』
316
お
民
(
たみ
)
『モシ
二
(
に
)
の
番頭
(
ばんとう
)
さま、
317
此
(
この
)
人
(
ひと
)
、
318
どつかへ
伴
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
319
蕪
(
かぶら
)
から
大根
(
だいこん
)
菜種
(
なたね
)
のはしに
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
ゴテゴテ
云
(
い
)
つて
構
(
かま
)
ふのですもの、
320
骨折
(
ほねを
)
つて
炊事
(
すゐじ
)
も
出来
(
でき
)
やしませぬワ』
321
アヅモス『ヤア
貴方
(
あなた
)
は
夜前
(
やぜん
)
のお
客様
(
きやくさま
)
、
322
何卒
(
どうぞ
)
奥
(
おく
)
へお
入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
323
先生
(
せんせい
)
が
御
(
お
)
待
(
ま
)
ち
兼
(
かね
)
で
厶
(
ござ
)
います』
324
万公
(
まんこう
)
『ウン、
325
お
前
(
まへ
)
が
番頭
(
ばんとう
)
のアヅモスだなア。
326
スガールやシーナが
病気
(
びやうき
)
で
伏
(
ふ
)
せつて
居
(
を
)
るので、
327
お
前
(
まへ
)
も
忙
(
いそが
)
しい
事
(
こと
)
だらう。
328
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らここ
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
辛抱
(
しんばう
)
してくれ、
329
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
褒美
(
はうび
)
は
又
(
また
)
此
(
この
)
若主人
(
わかしゆじん
)
がドツサリ
使
(
つか
)
はすから』
330
アヅモス『ヘーエ、
331
妙
(
めう
)
ですな。
332
貴方
(
あなた
)
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にここの
主人
(
しゆじん
)
になられましたか』
333
万公
(
まんこう
)
『
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
から、
334
霊
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
でここの
主人
(
しゆじん
)
ときまつて
居
(
を
)
るのだ。
335
俺
(
おれ
)
は
今
(
いま
)
の
主人
(
しゆじん
)
の
父親
(
てておや
)
のテームスの
生
(
うま
)
れ
変
(
がは
)
りだぞ』
336
アヅモス『ヘーエ、
337
貴方
(
あなた
)
のお
年
(
とし
)
は、
338
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
で
四十
(
しじふ
)
近
(
ちか
)
いぢやありませぬか、
339
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
のお
父
(
とう
)
さまは
亡
(
な
)
くなつてから、
340
まだ
五六
(
ごろく
)
年
(
ねん
)
よりなりませぬがな』
341
万公
(
まんこう
)
『
其
(
その
)
モ
一
(
ひと
)
つ
親
(
おや
)
だ、
342
親
(
おや
)
と
云
(
い
)
つたら
先祖
(
せんぞ
)
をすべて
親
(
おや
)
といふのだ。
343
それで
遠津
(
とほつ
)
御祖
(
みおや
)
代々
(
よよ
)
の
親
(
おや
)
等
(
たち
)
と
祝詞
(
のりと
)
にもいうてあるぢやないか。
344
祖父
(
ぢい
)
さまだの、
345
曾祖父
(
ひぢい
)
さまだのと、
346
人間
(
にんげん
)
は
云
(
い
)
ふか
知
(
し
)
らぬが、
347
神
(
かみ
)
の
方
(
はう
)
では
一口
(
ひとくち
)
に
親
(
おや
)
と
云
(
い
)
へば、
348
それで
可
(
い
)
いのだ。
349
ゴテゴテ
言
(
い
)
はずに、
350
お
民
(
たみ
)
に
飯
(
めし
)
の
炊方
(
たきかた
)
から
洗濯
(
せんたく
)
の
方法
(
はうはふ
)
まで
教
(
をし
)
へてあるから、
351
能
(
よ
)
く
聞
(
き
)
いて
早
(
はや
)
く
膳部
(
ぜんぶ
)
を
拵
(
こしら
)
へ、
352
珍客
(
ちんきやく
)
さまを
待遇
(
もてな
)
すやうに
致
(
いた
)
さぬか』
353
アヅモス『モシ、
354
若旦那
(
わかだんな
)
の
候補生
(
こうほせい
)
様
(
さま
)
、
355
之
(
これ
)
から
吾々
(
われわれ
)
が
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つて
御飯
(
ごはん
)
を
拵
(
こしら
)
へますから、
356
何卒
(
どうぞ
)
治国別
(
はるくにわけ
)
さまのお
居間
(
ゐま
)
へいつて、
357
暫
(
しばら
)
くお
客
(
きやく
)
さまの
待遇
(
もてなし
)
をして
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
さいませぬか』
358
万公
(
まんこう
)
『
主人
(
しゆじん
)
が
番頭
(
ばんとう
)
の
言
(
い
)
ひ
付
(
つけ
)
を
聞
(
き
)
く
法
(
はふ
)
はないけれ
共
(
ども
)
、
359
暫
(
しばら
)
く
折角
(
せつかく
)
のお
客様
(
きやくさま
)
だから、
360
主人
(
しゆじん
)
が
出
(
で
)
ないのも
却
(
かへつ
)
て
失礼
(
しつれい
)
になる、
361
そんなら
能
(
よ
)
く
気
(
き
)
をつけて
万事
(
ばんじ
)
抜目
(
ぬけめ
)
のないやうにやつてくれ。
362
……お
民
(
たみ
)
、
363
汝
(
きさま
)
も、
364
今度
(
こんど
)
は
性念
(
しやうねん
)
入
(
い
)
れて
飯
(
めし
)
を
焚
(
た
)
くのだぞ』
365
と
言
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て、
366
広
(
ひろ
)
い
家
(
いへ
)
を
迷
(
まよ
)
ひさがし
乍
(
なが
)
ら、
367
漸
(
やうや
)
くにして
治国別
(
はるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
の
陣取
(
ぢんど
)
つてゐる
庭園内
(
ていゑんない
)
の
建物
(
たてもの
)
を
見
(
み
)
つけて
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
368
(
大正一二・三・三
旧一・一六
於竜宮館
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 飯の灰
(B)
(N)
朝餉 >>>
霊界物語
>
第55巻
> 第1篇 奇縁万情 > 第6章 洗濯使
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【06 洗濯使|第55巻(午の巻)|霊界物語/rm5506】
合言葉「みろく」を入力して下さい→