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第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
01 心転
〔1409〕
02 道謡
〔1410〕
03 万民
〔1411〕
04 真異
〔1412〕
05 飯の灰
〔1413〕
06 洗濯使
〔1414〕
第2篇 縁三寵望
07 朝餉
〔1415〕
08 放棄
〔1416〕
09 三婚
〔1417〕
10 鬼涙
〔1418〕
第3篇 玉置長蛇
11 経愕
〔1419〕
12 霊婚
〔1420〕
13 蘇歌
〔1421〕
14 春陽
〔1422〕
15 公盗
〔1423〕
16 幽貝
〔1424〕
第4篇 法念舞詩
17 万巌
〔1425〕
18 音頭
〔1426〕
19 清滝
〔1427〕
20 万面
〔1428〕
21 嬉涙
〔1429〕
22 比丘
〔1430〕
余白歌
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第一三章
蘇歌
(
そか
)
〔一四二一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第3篇 玉置長蛇
よみ(新仮名遣い):
たまきちょうだ
章:
第13章 蘇歌
よみ(新仮名遣い):
そか
通し章番号:
1421
口述日:
1923(大正12)年03月04日(旧01月17日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
テームスは気が付き、感謝の涙を流しながら、鬼春別たちバラモン軍の改心組や、娘と縁組をしようとする万公を、心の中で憎み遠ざけようとしていたことを懺悔し陳謝した。そしてもう財産への執着は無いから、村人のために使ってほしいと申し出た。
鬼春別らバラモン組は涙してテームスの謝罪を受け入れた。テームスはまた、万公は治国別の弟子なれども、たって娘スガールの婿として家を継がせたいと願い出た。
治国別は了承し、一同はそれぞれ述懐の歌を交わし合った。一同は和気あいあいとして神前に額づき、おのおの祝詞を奏上してテームス再生の神恩を感謝した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5513
愛善世界社版:
168頁
八幡書店版:
第10輯 95頁
修補版:
校定版:
172頁
普及版:
75頁
初版:
ページ備考:
001
青葉
(
あをば
)
もそよぐ
夏
(
なつ
)
の
風
(
かぜ
)
002
すき
通
(
とほ
)
りよき
一室
(
いつしつ
)
に
003
館
(
やかた
)
の
主
(
あるじ
)
テームスは
004
鬼春別
(
おにはるわけ
)
や
久米彦
(
くめひこ
)
の
005
心
(
こころ
)
を
疑
(
うたが
)
ひ
且
(
か
)
つ
憎
(
にく
)
み
006
ただ
一刻
(
いつこく
)
も
速
(
すみやか
)
に
007
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
出
(
いだ
)
し
呉
(
く
)
れんずと
008
心
(
こころ
)
は
千々
(
ちぢ
)
に
逸
(
はや
)
れども
009
大恩
(
だいおん
)
受
(
う
)
けし
三五
(
あななひ
)
の
010
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
011
治国別
(
はるくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
に
012
憚
(
はばか
)
りながら
胸
(
むね
)
押
(
おさ
)
へ
013
一間
(
ひとま
)
の
内
(
うち
)
に
駆
(
か
)
け
入
(
い
)
りて
014
棕櫚箒
(
しゆろばうき
)
に
頬被
(
ほほかむり
)
015
させて
並
(
なら
)
べた
四
(
よ
)
つ
箒
(
ばうき
)
016
未
(
ま
)
だ
帰
(
かへ
)
らねば
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
017
お
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
して
追
(
お
)
ひ
出
(
いだ
)
し
018
家
(
いへ
)
の
禍
(
わざはひ
)
除
(
のぞ
)
かむと
019
瞋恚
(
しんい
)
の
心
(
こころ
)
に
悩
(
なや
)
まされ
020
鬼春別
(
おにはるわけ
)
のゼネラルが
021
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
読経
(
どくきやう
)
する
022
隣
(
となり
)
の
居間
(
ゐま
)
に
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
び
023
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
陀羅尼
(
だらに
)
をば
024
腹
(
はら
)
に
唱
(
とな
)
へて
待
(
ま
)
ち
居
(
ゐ
)
たる
025
忽
(
たちま
)
ち
身体
(
しんたい
)
震動
(
しんどう
)
し
026
頭
(
かしら
)
は
痛
(
いた
)
み
胸
(
むね
)
つかへ
027
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
りて
028
其
(
その
)
精霊
(
せいれい
)
は
逸早
(
いちはや
)
く
029
身体内
(
しんたいない
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
いだ
)
し
030
限
(
かぎ
)
りも
知
(
し
)
れぬ
枯野原
(
かれのはら
)
031
寒風
(
かんぷう
)
荒
(
すさ
)
む
地獄道
(
ぢごくだう
)
032
杖
(
つゑ
)
を
力
(
ちから
)
によぼよぼと
033
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
034
道
(
みち
)
の
傍
(
かた
)
へに
立
(
た
)
ち
並
(
なら
)
ぶ
035
一
(
ひと
)
つ
家屋
(
かをく
)
を
見
(
み
)
つけ
出
(
だ
)
し
036
一夜
(
いちや
)
の
宿
(
やど
)
をからむとて
037
立寄
(
たちよ
)
り
見
(
み
)
ればこは
如何
(
いか
)
に
038
柱
(
はしら
)
は
腐
(
くさ
)
り
棟
(
むね
)
ゆがみ
039
悪獣
(
あくじう
)
悪虫
(
あくちう
)
往来
(
わうらい
)
し
040
吾
(
わが
)
身辺
(
しんぺん
)
を
目標
(
もくへう
)
に
041
群
(
むら
)
がり
来
(
きた
)
るいやらしさ
042
こりや
叶
(
かな
)
はぬとテームスは
043
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
せば
044
道
(
みち
)
の
左右
(
さいう
)
に
怖
(
おそ
)
ろしき
045
妖怪
(
えうくわい
)
変化
(
へんげ
)
の
現
(
あら
)
はれて
046
妖姿
(
えうし
)
怪体
(
くわいたい
)
現
(
げん
)
じつつ
047
獣
(
けもの
)
の
肉
(
にく
)
や
人
(
ひと
)
の
肉
(
にく
)
048
争
(
あらそ
)
ひいがみ
喰
(
くら
)
ひ
合
(
あ
)
ふ
049
其
(
その
)
光景
(
くわうけい
)
に
仰天
(
ぎやうてん
)
し
050
逃
(
に
)
げむとすれど
足
(
あし
)
重
(
おも
)
く
051
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
をぢたばたと
052
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
して
藻掻
(
もが
)
き
居
(
ゐ
)
る
053
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
中空
(
ちうくう
)
より
054
雷鳴
(
らいめい
)
轟
(
とどろ
)
く
怪声
(
くわいせい
)
が
055
耳
(
みみ
)
を
打
(
う
)
つよと
見
(
み
)
る
中
(
うち
)
に
056
悪鬼
(
あくき
)
羅刹
(
らせつ
)
が
現
(
あら
)
はれて
057
限
(
かぎ
)
り
知
(
し
)
られぬ
夜叉
(
やしや
)
悪鬼
(
あくき
)
058
従
(
したが
)
へ
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
る
怖
(
おそ
)
ろしさ
059
極暑
(
ごくしよ
)
の
風
(
かぜ
)
や
極寒
(
ごくかん
)
の
060
嵐
(
あらし
)
に
吹
(
ふ
)
かれ
何処
(
どこ
)
となく
061
身
(
み
)
は
中空
(
ちうくう
)
に
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
りて
062
遙
(
はるか
)
彼方
(
かなた
)
の
山
(
やま
)
の
上
(
へ
)
に
063
佇
(
たたず
)
み
居
(
ゐ
)
たる
訝
(
いぶ
)
かしさ
064
忽
(
たちま
)
ち
聞
(
きこ
)
ゆる
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
065
よくよく
見
(
み
)
れば
山麓
(
さんろく
)
の
066
谷間
(
たにま
)
々々
(
たにま
)
に
濛々
(
もうもう
)
と
067
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
りたる
大火焔
(
だいくわえん
)
068
黒煙
(
こくえん
)
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
みつつ
069
怪
(
あや
)
しき
姿
(
すがた
)
の
精霊
(
せいれい
)
や
070
黒蛇
(
くろへび
)
なぞが
火
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
に
071
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
ゆる
怖
(
おそ
)
ろしさ
072
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
もよだつ
計
(
ばか
)
りなり
073
再
(
ふたた
)
び
羅刹
(
らせつ
)
は
現
(
あら
)
はれて
074
妻
(
つま
)
のベリシナ
初
(
はじ
)
めとし
075
スミエル、スガール
両人
(
りやうにん
)
を
076
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
虐待
(
ぎやくたい
)
し
077
身
(
み
)
を
引
(
ひ
)
き
裂
(
さ
)
きて
血
(
ち
)
を
絞
(
しぼ
)
り
078
砕
(
くだ
)
いて
喰
(
くら
)
ふ
有様
(
ありさま
)
に
079
目
(
め
)
も
当
(
あて
)
られずテームスは
080
悔悟
(
くわいご
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れながら
081
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
大神
(
おほかみ
)
の
082
救
(
すく
)
ひを
祈
(
いの
)
り
奉
(
まつ
)
らむと
083
思
(
おも
)
ひし
事
(
こと
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
084
言霊車
(
ことたまぐるま
)
止
(
とど
)
まりて
085
唯
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
も
転
(
ころ
)
び
得
(
え
)
ず
086
途方
(
とはう
)
に
暮
(
く
)
れたる
時
(
とき
)
もあれ
087
天
(
てん
)
を
焦
(
こが
)
して
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る
088
一大
(
いちだい
)
火光
(
くわくわう
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
089
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
比類
(
たぐひ
)
なき
090
大神人
(
だいしんじん
)
となりにける
091
よくよく
見
(
み
)
れば
三五
(
あななひ
)
の
092
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
ふる
万公
(
まんこう
)
が
093
五色
(
ごしき
)
の
衣
(
きぬ
)
を
纒
(
まと
)
ひつつ
094
テームス
爺
(
おやぢ
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
095
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
霊界
(
れいかい
)
の
096
因縁話
(
いんねんばなし
)
を
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
し
097
親子
(
おやこ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
びつつ
098
背
(
せな
)
に
背負
(
せお
)
ひて
濛々
(
もうもう
)
と
099
燃
(
も
)
え
拡
(
ひろ
)
がりし
火焔
(
くわえん
)
をば
100
難
(
なん
)
なく
分
(
わ
)
けて
下
(
くだ
)
りつつ
101
青草
(
あをくさ
)
茂
(
しげ
)
る
大野原
(
おほのはら
)
102
一直線
(
いつちよくせん
)
に
東方
(
とうはう
)
に
103
向
(
むか
)
つて
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
す
勇
(
いさ
)
ましさ
104
万公別
(
まんこうわけ
)
はテームスを
105
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ぶつて
進
(
すす
)
む
中
(
うち
)
106
際限
(
さいげん
)
もなき
大沼
(
おほぬま
)
の
107
前
(
まへ
)
にピタリと
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
り
108
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
109
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
110
碧
(
あを
)
き
湖沼
(
こせう
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
111
いと
香
(
かん
)
ばしき
青畳
(
あをだたみ
)
112
テームス
館
(
やかた
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
と
113
変
(
かは
)
りたるこそ
不思議
(
ふしぎ
)
なれ
114
テームス、ハツと
気
(
き
)
がついて
115
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば
三五
(
あななひ
)
の
116
治国別
(
はるくにわけ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
117
松彦
(
まつひこ
)
竜彦
(
たつひこ
)
万公
(
まんこう
)
や
118
鬼春別
(
おにはるわけ
)
や
久米彦
(
くめひこ
)
の
119
軍
(
いくさ
)
の
司
(
つかさ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
120
妻
(
つま
)
のベリシナ、スミエルや
121
スガール、アーシス、アヅモスの
122
家
(
いへ
)
の
子
(
こ
)
迄
(
まで
)
が
枕頭
(
ちんとう
)
に
123
双手
(
もろて
)
を
合
(
あは
)
せ
三五
(
あななひ
)
の
124
神
(
かみ
)
の
助
(
たす
)
けを
祈
(
いの
)
り
居
(
ゐ
)
る
125
真最中
(
まつさいちう
)
と
見
(
み
)
るよりも
126
遉
(
さすが
)
のテームス
自我
(
じが
)
を
折
(
を
)
り
127
執着心
(
しふちやくしん
)
を
放棄
(
はうき
)
して
128
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
三五
(
あななひ
)
の
129
教
(
をしへ
)
に
任
(
まか
)
す
事
(
こと
)
としぬ
130
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
131
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ。
132
テームスは
四辺
(
あたり
)
をキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
し
乍
(
なが
)
ら、
133
一同
(
いちどう
)
の
吾
(
わが
)
枕頭
(
ちんとう
)
に
端坐
(
たんざ
)
し
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
めて
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
て、
134
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
135
テームス『ああ、
136
ベリシナお
前
(
まへ
)
は
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
たか、
137
スミエルもスガールも
無事
(
ぶじ
)
であつたか、
138
アア
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
139
もうお
前
(
まへ
)
は
悪鬼
(
あくき
)
羅刹
(
らせつ
)
に
引
(
ひ
)
き
裂
(
さ
)
かれ、
140
殺
(
ころ
)
されて
仕舞
(
しま
)
うたと
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
たに、
141
まア
結構
(
けつこう
)
であつた。
142
夢
(
ゆめ
)
ではあるまいかな』
143
ベリシナ『
爺殿
(
おやぢどの
)
確
(
しつか
)
りなさいませ。
144
貴方
(
あなた
)
は
今
(
いま
)
目
(
め
)
を
眩
(
ま
)
かして
殆
(
ほとん
)
ど
死
(
し
)
んで
居
(
ゐ
)
られたのですよ。
145
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
や
鬼春別
(
おにはるわけ
)
様
(
さま
)
、
146
万公
(
まんこう
)
さまを
始
(
はじ
)
め
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
の
丹精
(
たんせい
)
によつて
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
され、
147
再
(
ふたた
)
び
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
明
(
あか
)
りを
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たのです。
148
早
(
はや
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
初
(
はじ
)
め
皆様
(
みなさま
)
にお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しなさい』
149
テームス『ああこれはこれは
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
150
よくまア
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
151
私
(
わたくし
)
は
祖先
(
そせん
)
代々
(
だいだい
)
よりの
宿業
(
しゆくごふ
)
によつて
何
(
なん
)
とも
形容
(
けいよう
)
の
出来
(
でき
)
ぬやうな
地獄
(
ぢごく
)
に
堕
(
お
)
ちて
参
(
まゐ
)
りました。
152
罪
(
つみ
)
程
(
ほど
)
怖
(
おそ
)
ろしいものは
厶
(
ござ
)
いませぬ。
153
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
がお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さいませぬでしたら、
154
テームス
家
(
け
)
の
祖先
(
そせん
)
を
初
(
はじ
)
め、
155
子孫
(
しそん
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
八万
(
はちまん
)
地獄
(
ぢごく
)
に
堕
(
おと
)
されて
無限
(
むげん
)
の
責苦
(
せめく
)
に
遇
(
あ
)
はねばならぬ
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
156
娘
(
むすめ
)
のスミエルやスガールが
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
に
囚
(
とら
)
はれ
深
(
ふか
)
い
陥穽
(
おとしあな
)
に
堕
(
おと
)
し
入
(
い
)
れられ
苦
(
くる
)
しめられたと
聞
(
き
)
いてから、
157
鬼春別
(
おにはるわけ
)
様
(
さま
)
、
158
久米彦
(
くめひこ
)
様
(
さま
)
外
(
ほか
)
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
のお
方
(
かた
)
が
憎
(
にく
)
らしくなつて
表面
(
うはべ
)
では
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をして
居
(
ゐ
)
るものの、
159
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
は
鬼
(
おに
)
の
様
(
やう
)
に
殺気立
(
さつきだ
)
ち、
160
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
放逐
(
はうちく
)
したいと
我情
(
がじやう
)
を
張
(
は
)
つて
居
(
を
)
りました。
161
娘
(
むすめ
)
の
囚
(
とら
)
はれたのも
全
(
まつた
)
く
吾々
(
われわれ
)
の
祖先
(
そせん
)
や
子孫
(
しそん
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さるためのお
仕組
(
しぐみ
)
だつたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
深
(
ふか
)
く
悟
(
さと
)
りました。
162
鬼春別
(
おにはるわけ
)
様
(
さま
)
、
163
久米彦
(
くめひこ
)
様
(
さま
)
、
164
其
(
その
)
他
(
た
)
の
方々
(
かたがた
)
様
(
さま
)
、
165
私
(
わたくし
)
の
罪
(
つみ
)
を
何卒
(
どうぞ
)
お
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
166
私
(
わたし
)
は
霊界
(
れいかい
)
に
往
(
い
)
つて
貴方
(
あなた
)
の
清
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
御
(
ご
)
精霊
(
せいれい
)
に
助
(
たす
)
けられて
参
(
まゐ
)
りました。
167
又
(
また
)
万公
(
まんこう
)
さまも……
瓢軽
(
へうきん
)
な
落付
(
おちつき
)
のない
困
(
こま
)
つた
男
(
をとこ
)
だ、
168
何程
(
なにほど
)
娘
(
むすめ
)
スガールが
恋慕
(
れんぼ
)
して
居
(
を
)
つても、
169
こんな
男
(
をとこ
)
をテームス
家
(
け
)
の
養子
(
やうし
)
にする
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない、
170
ぢやと
云
(
い
)
つて
娘
(
むすめ
)
の
恋
(
こひ
)
の
醒
(
さ
)
めない
中
(
うち
)
はどうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ない。
171
一層
(
いつそう
)
のこと
毒害
(
どくがい
)
でもせうか……と
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
誰
(
たれ
)
しらず
悪
(
わる
)
い
考
(
かんが
)
へを
抱
(
いだ
)
いて
居
(
を
)
りました。
172
此
(
この
)
罪
(
つみ
)
も
万公
(
まんこう
)
さま
何卒
(
どうぞ
)
赦
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さい。
173
霊界
(
れいかい
)
に
於
(
おい
)
て
進退
(
しんたい
)
谷
(
きはま
)
り
苦悶
(
くもん
)
の
最中
(
さいちう
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さつたのは
貴方
(
あなた
)
の
精霊
(
せいれい
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
174
サアこれから
此
(
この
)
家
(
いへ
)
を
万公
(
まんこう
)
さまと
番頭
(
ばんとう
)
のシーナさまとに
任
(
まか
)
せますから
好
(
す
)
きな
様
(
やう
)
にして
村人
(
むらびと
)
を
助
(
たす
)
けてやつて
下
(
くだ
)
さい。
175
テームスは
財産
(
ざいさん
)
に
対
(
たい
)
してはもう
些
(
ちつと
)
の
執着
(
しふちやく
)
もありませぬ』
176
鬼春別
(
おにはるわけ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
177
鬼春
(
おにはる
)
『テームス
様
(
さま
)
、
178
よくも
其処
(
そこ
)
迄
(
まで
)
悟
(
さと
)
つて
下
(
くだ
)
さいました。
179
拙者
(
せつしや
)
も
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
教導
(
けうだう
)
によつて
生
(
いき
)
乍
(
なが
)
ら
地獄
(
ぢごく
)
を
逃
(
のが
)
れ
天国
(
てんごく
)
に
救
(
すく
)
はれ、
180
因縁
(
いんねん
)
あればこそ、
181
かうして
仮令
(
たとへ
)
一夜
(
いちや
)
なりとも
逗留
(
とうりう
)
さして
頂
(
いただ
)
いたので
厶
(
ござ
)
います。
182
又
(
また
)
二人
(
ふたり
)
のお
娘子
(
むすめご
)
を
困
(
こま
)
らしめたのも、
183
やつぱり
吾々
(
われわれ
)
が
責
(
せき
)
を
負
(
お
)
はねばなりませぬ。
184
娘
(
むすめ
)
の
親
(
おや
)
として
吾々
(
われわれ
)
をお
恨
(
うら
)
みなさるのも
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
無理
(
むり
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
185
貴方
(
あなた
)
が
箒
(
はうき
)
を
立
(
た
)
てて
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
れがしとお
祈
(
いの
)
りして
居
(
ゐ
)
られたのも
幽
(
かす
)
かに
私
(
わたくし
)
の
耳
(
みみ
)
に
響
(
ひび
)
いて
居
(
を
)
りました。
186
夫
(
それ
)
故
(
ゆゑ
)
態
(
わざ
)
と
貴方
(
あなた
)
の
耳
(
みみ
)
に
聞
(
きこ
)
ゆるやうに
聖経
(
しやうきやう
)
を
読誦
(
どくじゆ
)
し、
187
貴方
(
あなた
)
の
反省
(
はんせい
)
を
促
(
うなが
)
さむとして
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
、
188
貴方
(
あなた
)
は
経力
(
きやうりき
)
に
打
(
う
)
たれて
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
におなりなさつたのです。
189
……ああ
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
をした……と、
190
直様
(
すぐさま
)
霊界
(
れいかい
)
に
祈
(
いの
)
つて
居
(
を
)
りました
所
(
ところ
)
、
191
よくまア
蘇生
(
そせい
)
して
下
(
くだ
)
さいました。
192
何卒
(
どうぞ
)
これで
恨
(
うらみ
)
をスツカリと
晴
(
は
)
らして
下
(
くだ
)
さいませ』
193
テームス『ハイ
勿体
(
もつたい
)
ない、
194
そんなお
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
きましては
冥罰
(
めいばつ
)
が
当
(
あた
)
ります。
195
貴方
(
あなた
)
のお
蔭
(
かげ
)
で、
196
吾々
(
われわれ
)
一族
(
いちぞく
)
が
無間
(
むげん
)
地獄
(
ぢごく
)
の
苦
(
くる
)
しみを
受
(
う
)
けるのを
脱
(
のが
)
れる
端緒
(
たんちよ
)
が
開
(
ひら
)
けたので
厶
(
ござ
)
います。
197
実
(
じつ
)
に
人間
(
にんげん
)
の
怨恨
(
えんこん
)
程
(
ほど
)
怖
(
おそ
)
ろしいものは
厶
(
ござ
)
いませぬ。
198
何卒
(
どうぞ
)
これからは
足
(
た
)
らはぬ
吾々
(
われわれ
)
一族
(
いちぞく
)
を
可愛
(
かあい
)
がつて
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
下
(
くだ
)
さいませ』
199
と
熱涙
(
ねつるい
)
を
浮
(
うか
)
べて
合掌
(
がつしやう
)
する。
200
鬼春別
(
おにはるわけ
)
は
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
掻
(
か
)
き
暮
(
く
)
れ
物
(
もの
)
をもえ
言
(
い
)
はずしやくり
泣
(
な
)
きをして
居
(
ゐ
)
る。
201
エミシもスパールも
神恩
(
しんおん
)
の
有難
(
ありがた
)
きに
感謝
(
かんしや
)
し
言葉
(
ことば
)
塞
(
ふさ
)
がり
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
202
治国
(
はるくに
)
『テームス
殿
(
どの
)
、
203
今回
(
こんくわい
)
の
幽界
(
いうかい
)
旅行
(
りよかう
)
によつて、
204
因果
(
いんぐわ
)
転生
(
てんせい
)
の
道理
(
だうり
)
がお
分
(
わか
)
りになつたでせうなア』
205
テームス『ハイお
蔭
(
かげ
)
に
依
(
よ
)
りまして
後生
(
ごしやう
)
の
怖
(
おそ
)
ろしい
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
りました。
206
唯
(
ただ
)
人間
(
にんげん
)
は
惟神
(
かむながら
)
のお
道
(
みち
)
に
従
(
したが
)
つて、
207
世間愛
(
せけんあい
)
や
自然愛
(
しぜんあい
)
を
超越
(
てうゑつ
)
し、
208
神
(
かみ
)
の
愛
(
あい
)
に
生
(
い
)
き、
209
善徳
(
ぜんとく
)
を
積
(
つ
)
まねばならないものと
深
(
ふか
)
く
悔悟
(
くわいご
)
致
(
いた
)
しました。
210
さうして
貴方
(
あなた
)
のお
弟子
(
でし
)
と
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
た
万公
(
まんこう
)
さまは、
211
深
(
ふか
)
き
因縁
(
いんねん
)
によつてテームス
家
(
け
)
の
相続者
(
さうぞくしや
)
となり、
212
祖先
(
そせん
)
以来
(
いらい
)
の
罪悪
(
ざいあく
)
を
払拭
(
ふつしき
)
し
給
(
たま
)
ふ
御
(
おん
)
方
(
かた
)
と
深
(
ふか
)
く
悟
(
さと
)
りました。
213
何卒
(
どうぞ
)
、
214
結構
(
けつこう
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
の
随行者
(
ずいかうしや
)
なれ
共
(
ども
)
、
215
曲
(
まげ
)
てテームス
家
(
け
)
の
養子
(
やうし
)
に
与
(
あた
)
へて
下
(
くだ
)
さいますまいか。
216
折入
(
をりい
)
つてお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
したう
厶
(
ござ
)
います』
217
治国
(
はるくに
)
『
万公
(
まんこう
)
さまに
異存
(
いぞん
)
さへなくば、
218
私
(
わたし
)
は
些
(
ちつと
)
も
構
(
かま
)
ひませぬ。
219
道晴別
(
みちはるわけ
)
、
220
松彦
(
まつひこ
)
、
221
竜彦
(
たつひこ
)
、
222
貴方
(
あなた
)
の
意見
(
いけん
)
は
何
(
ど
)
うですかな』
223
道晴別
(
みちはるわけ
)
『
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
闇
(
やみ
)
を
晴
(
は
)
らしてわけ
上
(
のぼ
)
る
224
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
御旨
(
みむね
)
なるらむ』
225
松彦
(
まつひこ
)
『
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
の
小天国
(
せうてんごく
)
を
築
(
きづ
)
かむと
226
神
(
かみ
)
は
万公
(
まんこう
)
を
下
(
くだ
)
せしならむ』
227
竜彦
(
たつひこ
)
『
罪
(
つみ
)
汚
(
けが
)
れ
百
(
もも
)
の
悩
(
なや
)
みを
たつ
彦
(
ひこ
)
の
228
教
(
をしへ
)
の
開
(
ひら
)
く
基
(
もとゐ
)
なるらむ』
229
治国別
(
はるくにわけ
)
『
有難
(
ありがた
)
し
吾
(
わが
)
三柱
(
みはしら
)
の
珍
(
うづ
)
の
弟子
(
でし
)
230
諾
(
うべな
)
ひますも
神心
(
みこころ
)
ならむ。
231
いざさらばテームス
夫婦
(
ふうふ
)
スガール
姫
(
ひめ
)
232
万公
(
まんこう
)
を
君
(
きみ
)
が
家柱
(
やばしら
)
とせよ』
233
テームス『
有難
(
ありがた
)
し
治国別
(
はるくにわけ
)
の
御言葉
(
みことば
)
を
234
慎
(
つつし
)
み
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ』
235
ベリシナ『
罪
(
つみ
)
多
(
おほ
)
きテームスの
家
(
いへ
)
も
三五
(
あななひ
)
の
236
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
に
清
(
きよ
)
められける』
237
スガール『
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
愛
(
あい
)
したる
238
万公別
(
まんこうわけ
)
に
添
(
そ
)
ふぞ
嬉
(
うれ
)
しき』
239
シーナ『
大神
(
おほかみ
)
の
御言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
みテームスの
240
家
(
いへ
)
に
誠
(
まこと
)
の
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
くらむ』
241
スミエル『
惟神
(
かむながら
)
結
(
むす
)
び
給
(
たま
)
ひし
縁
(
えにし
)
なれば
242
吾
(
われ
)
も
仕
(
つか
)
へむシーナの
君
(
きみ
)
に』
243
アーシス『
治国別
(
はるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
口
(
くち
)
をもて
244
結
(
むす
)
びたまひし
縁
(
えにし
)
ぞ
尊
(
たふと
)
し』
245
お
民
(
たみ
)
『
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
は
御空
(
みそら
)
に
輝
(
かがや
)
きて
246
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
さへも
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りぬる』
247
鬼春別
(
おにはるわけ
)
『
大空
(
おほぞら
)
に
輝
(
かがや
)
く
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
見
(
み
)
れば
248
笑
(
ゑ
)
ませ
給
(
たま
)
ひぬテームス
家
(
け
)
の
棟
(
むね
)
』
249
久米彦
(
くめひこ
)
『
厳御魂
(
いづみたま
)
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
は
玉置
(
たまおき
)
の
250
テームス
館
(
やかた
)
に
輝
(
かがや
)
きたまふ』
251
スパール『
月
(
つき
)
清
(
きよ
)
く
大空
(
おほぞら
)
青
(
あを
)
き
今宵
(
こよひ
)
こそ
252
闇
(
やみ
)
の
晴
(
は
)
れたる
心地
(
ここち
)
こそすれ』
253
エミシ『バラモンの
軍
(
いくさ
)
の
司
(
つかさ
)
カーネルと
254
仕
(
つか
)
へし
吾
(
われ
)
も
心
(
こころ
)
嬉
(
うれ
)
しき』
255
治国別
(
はるくにわけ
)
『テームスの
家
(
いへ
)
の
誉
(
ほまれ
)
は
今日
(
けふ
)
よりぞ
256
月日
(
つきひ
)
の
如
(
ごと
)
く
輝
(
かがや
)
きまさむ』
257
テームス『
罪
(
つみ
)
多
(
おほ
)
き
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
をば
清
(
きよ
)
らけく
258
治
(
をさ
)
めたまひし
神
(
かみ
)
ぞ
尊
(
たふと
)
き』
259
斯
(
か
)
く
互
(
たがひ
)
に
述懐
(
じゆつくわい
)
を
述
(
の
)
べ、
260
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
として
神前
(
しんぜん
)
に
額
(
ぬか
)
づき、
261
各
(
おのおの
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
262
テームスが
再生
(
さいせい
)
の
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
したりける。
263
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
には
涼
(
すず
)
しき
夏
(
なつ
)
の
風
(
かぜ
)
ヒチリキ
を
吹
(
ふ
)
いて
穏
(
おだや
)
かに
通
(
かよ
)
ふ、
264
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
265
(
大正一二・三・四
旧一・一七
於竜宮館
加藤明子
録)
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