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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
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第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
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第73巻(子の巻)
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第75巻(寅の巻)
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第69巻(申の巻)
巻頭言
第1篇 清風涼雨
01 大評定
〔1746〕
02 老断
〔1747〕
03 喬育
〔1748〕
04 国の光
〔1749〕
05 性明
〔1750〕
06 背水会
〔1751〕
第2篇 愛国の至情
07 聖子
〔1752〕
08 春乃愛
〔1753〕
09 迎酒
〔1754〕
10 宣両
〔1755〕
11 気転使
〔1756〕
12 悪原眠衆
〔1757〕
第3篇 神柱国礎
13 国別
〔1758〕
14 暗枕
〔1759〕
15 四天王
〔1760〕
16 波動
〔1761〕
第4篇 新政復興
17 琴玉
〔1762〕
18 老狽
〔1763〕
19 老水
〔1764〕
20 声援
〔1765〕
21 貴遇
〔1766〕
22 有終
〔1767〕
余白歌
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第六章
背水会
(
はいすいくわい
)
〔一七五一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻
篇:
第1篇 清風涼雨
よみ(新仮名遣い):
せいふうりょうう
章:
第6章 背水会
よみ(新仮名遣い):
はいすいかい
通し章番号:
1751
口述日:
1924(大正13)年01月22日(旧12月17日)
口述場所:
伊予 山口氏邸
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1927(昭和2)年10月26日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
珍の城下に愛州(国愛別)は数百人の子分を集め、賭場を開帳しています。賭場の表看板には、世の風潮・施政を風刺した文句を金文字で大きく掲げてあります。
その看板を見て、一人の取締りが親分に会いたいとやってきます。取締りは、役頭の命令で風刺看板を取り下げさせにやってきたのでした。
応対に出た愛州の子分、照公は逆に、今の政治を批判し、取締り(佐吉)を仲間にしようと口説きます。佐吉は照公の言霊に打たれ、看板を取り下げさせに来たのがあべこべに侠客になってしまいます。
一方、大親分の愛州は二三人の幹部と共に、都の街頭に立って大演説を始めます。偽善・虚偽の生活を捨て、新しい思想に目覚めよ、と呼びかける愛州を、数十人の取締りが取り囲み、しょっ引かれます。愛州は城の牢獄に投げ込まれてしまいました。
大親分が囚われたと聞いた子分たちは手に手に武器を持って牢獄へ押しかけ、付近はたいへんな混乱・闘争が繰り広げられます。
そこへ現れたのは、馬に乗った春乃姫でした。春乃姫はまず、取締りたちを退散させ、侠客たちにも声をかけます。
子分の源州は、親分・愛州を返して欲しいと自分たちの願いを申し上げます。春乃姫は、十日の間にきっと愛州を開放すると約束します。子分たちはそれを聞いて春乃姫に感謝し、帰っていきますが、果たしてこの結果はどうなるでしょうか。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-11-07 09:11:56
OBC :
rm6906
愛善世界社版:
91頁
八幡書店版:
第12輯 305頁
修補版:
校定版:
94頁
普及版:
66頁
初版:
ページ備考:
001
珍
(
うづ
)
の
城下
(
じやうか
)
深溝町
(
ふかみぞちやう
)
の
俥帳場
(
くるまちやうば
)
に、
002
車夫
(
しやふ
)
と
化
(
ば
)
け
込
(
こ
)
んでゐた
国愛別
(
くにちかわけ
)
の
愛州
(
あいしう
)
は、
003
取締
(
とりしまり
)
上
(
あが
)
りの
幾公
(
いくこう
)
と
共
(
とも
)
に、
004
横小路
(
よここうぢ
)
に
可
(
か
)
なり
広
(
ひろ
)
い
邸宅
(
ていたく
)
を
借
(
かり
)
受
(
う
)
け、
005
賭場
(
とば
)
を
開帳
(
かいちやう
)
してゐた。
006
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
乾児
(
こぶん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
007
親分
(
おやぶん
)
々々
(
おやぶん
)
と
尊敬
(
そんけい
)
し、
008
親分
(
おやぶん
)
の
命令
(
めいれい
)
とあらば
生命
(
せいめい
)
を
鴻毛
(
こうまう
)
よりも
軽
(
かろ
)
んじ、
009
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
にも
善悪
(
ぜんあく
)
共
(
とも
)
に
其
(
その
)
頤使
(
いし
)
に
甘
(
あま
)
んじ、
010
難
(
なん
)
に
殉
(
じゆん
)
ずるを
以
(
もつ
)
て、
011
乾児
(
こぶん
)
たる
者
(
もの
)
の
光栄
(
くわうえい
)
としてゐた。
012
愛州
(
あいしう
)
は
普通
(
ふつう
)
の
侠客
(
けふかく
)
とは
違
(
ちが
)
つて、
013
元
(
もと
)
がヒルの
国
(
くに
)
楓別
(
かへでわけ
)
の
国司
(
こくし
)
の
悴
(
せがれ
)
丈
(
だけ
)
あつて、
014
何処
(
どこ
)
とも
無
(
な
)
く
気品
(
きひん
)
が
高
(
たか
)
く、
015
且
(
かつ
)
豪胆
(
がうたん
)
にして
少
(
すこ
)
しも
物
(
もの
)
に
動
(
どう
)
ぜず、
016
一旦
(
いつたん
)
頼
(
たの
)
まれた
事
(
こと
)
は
決
(
けつ
)
して
厭
(
いや
)
と
云
(
い
)
はなかつた
侠客
(
をとこだて
)
である。
017
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
一般
(
いつぱん
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
が
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
つて
堪
(
たま
)
らぬので、
018
遙々
(
はるばる
)
遠
(
とほ
)
き
山阪
(
やまさか
)
を
越
(
こ
)
え、
019
尊貴
(
そんき
)
の
身
(
み
)
を
捨
(
す
)
てて、
020
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
たのである。
021
生
(
うま
)
れついての
皮肉家
(
ひにくや
)
で、
022
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
革正
(
かくせい
)
する
為
(
ため
)
とて、
023
内面
(
ないめん
)
には
博奕
(
ばくち
)
を
渡世
(
とせい
)
となし、
024
表看板
(
おもてかんばん
)
には
万
(
よろづ
)
案内所
(
あんないしよ
)
と
云
(
い
)
ふ
看板
(
かんばん
)
を
金文字
(
きんもじ
)
で
現
(
あら
)
はしてゐた。
025
『一、
026
因循
(
いんじゆん
)
姑息
(
こそく
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
027
最寄
(
もより
)
の
取締所
(
とりしまりしよ
)
へお
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
028
一、
029
頑迷
(
ぐわんめい
)
無恥
(
むち
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は、
030
世
(
よ
)
悉
(
ことごと
)
く
濁
(
にご
)
る
吾
(
われ
)
独
(
ひと
)
り
澄
(
す
)
むと
自惚
(
うぬぼ
)
れてゐる
梨田
(
なしだ
)
ドラック
氏
(
し
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
031
一、
032
喧嘩
(
けんくわ
)
乱暴
(
らんぼう
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
033
惑酔会
(
わくすゐくわい
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
。
034
又
(
また
)
口先
(
くちさき
)
計
(
ばか
)
りの
自称
(
じしよう
)
対命舎
(
たいめいしや
)
及
(
および
)
政党屋
(
せいたうや
)
をお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
035
一、
036
不親切
(
ふしんせつ
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
037
口実
(
こうじつ
)
職業
(
しよくげふ
)
紹介所
(
せうかいしよ
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
038
一、
039
多角
(
たかく
)
関係
(
くわんけい
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
040
妃向国
(
ひむかのくに
)
の
新
(
あたら
)
しき
村
(
むら
)
へお
出
(
い
)
で
相成
(
あひなり
)
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
041
一、
042
偽善
(
ぎぜん
)
生活
(
せいくわつ
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
043
一度
(
いちど
)
花
(
はな
)
の
都
(
みやこ
)
の
一灯園
(
いつとうゑん
)
東田
(
ひがしだ
)
地香
(
ちかう
)
氏
(
し
)
方
(
かた
)
をお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
。
044
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
同氏
(
どうし
)
に
対
(
たい
)
し、
045
少
(
すこ
)
しにても
利益
(
りえき
)
を
与
(
あた
)
ふる
掛合
(
かけあひ
)
ならば
極
(
きは
)
めて
親切
(
しんせつ
)
に
取扱
(
とりあつか
)
ひくれ
候
(
さふらふ
)
046
一、
047
山子
(
やまこ
)
欺
(
だまし
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
048
変態
(
へんたい
)
愛国者
(
あいこくしや
)
苦糟
(
にがかす
)
大異
(
たいい
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
。
049
但
(
ただ
)
し
畸形
(
きけい
)
的
(
てき
)
愛国者
(
あいこくしや
)
に
限
(
かぎ
)
り
申候事
(
まうしさふらふこと
)
050
一、
051
没常識
(
ぼつじやうしき
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
052
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
四
(
よ
)
ツ
辻
(
つじ
)
便所
(
べんじよ
)
へお
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
053
一、
054
金儲
(
かねまうけ
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
055
富人
(
ふじん
)
世界
(
せかい
)
雑誌社
(
ざつししや
)
並
(
ならび
)
に
心零
(
しんれい
)
犬灸会
(
けんきうくわい
)
同人
(
どうにん
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
056
一、
057
厚顔
(
こうがん
)
無恥
(
むち
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
058
新聞
(
しんぶん
)
ゴロ
及
(
および
)
労働
(
らうどう
)
ブローカーへお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
059
一、
060
時代
(
じだい
)
錯誤
(
さくご
)
お
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
061
石火
(
せきくわ
)
暴死団
(
ばうしだん
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
有之
(
これあり
)
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
062
一、
063
其
(
その
)
他
(
た
)
何事
(
なにごと
)
に
仍
(
よ
)
らず
矛盾
(
むじゆん
)
と
誤解
(
ごかい
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
と
偽善
(
ぎぜん
)
とお
望
(
のぞみ
)
の
方
(
かた
)
は
064
嘔吐
(
へど
)
白住持社
(
はくぢうぢしや
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
065
一、
066
公平社
(
こうへいしや
)
と
争論
(
さうろん
)
希望
(
きばう
)
の
方
(
かた
)
は
067
惑酔会
(
わくすゐくわい
)
へお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
され
度
(
たく
)
候
(
さふらふ
)
』
068
と
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
な
大
(
おほ
)
きな
看板
(
かんばん
)
を
掲
(
かか
)
げて、
069
往来
(
わうらい
)
の
人
(
ひと
)
の
足
(
あし
)
を
止
(
と
)
めてゐた。
070
其処
(
そこ
)
へ
面
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
めて、
071
十手
(
じつて
)
を
下
(
さ
)
げてやつて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
取締
(
とりしまり
)
がある。
072
取締
(
とりしまり
)
『コリヤコリヤ
073
当家
(
たうけ
)
の
主人
(
しゆじん
)
は
居
(
を
)
るか』
074
門口
(
かどぐち
)
を
掃
(
は
)
いて
居
(
ゐ
)
た
乾児
(
こぶん
)
の
八公
(
はちこう
)
は
取締
(
とりしまり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
075
『ハイ、
076
親分
(
おやぶん
)
は
奥
(
おく
)
に
居
(
を
)
られますが、
077
滅多
(
めつた
)
に
博奕
(
ばくち
)
は
打
(
う
)
つて
居
(
を
)
りやせぬから、
078
何卒
(
どうぞ
)
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
つせい』
079
取締
(
とりしまり
)
『イヤ、
080
博奕
(
ばくち
)
は
今
(
いま
)
打
(
う
)
つて
居
(
ゐ
)
なくても、
081
拘引
(
こういん
)
せうと
思
(
おも
)
へば
何時
(
いつ
)
でも
拘引
(
こういん
)
出来
(
でき
)
るのだ。
082
新刑法
(
しんけいはふ
)
に
仍
(
よ
)
つて
賭博
(
とばく
)
常習
(
じやうしふ
)
犯人
(
はんにん
)
とブラツクリストについて
居
(
ゐ
)
るのだから、
083
非
(
ひ
)
現行犯
(
げんかうはん
)
で
引張
(
ひつぱ
)
つてやらうかな』
084
『ヘーン、
085
そんな
細
(
ほそ
)
い
体
(
からだ
)
をして、
086
キラキラ
光
(
ひか
)
る
物
(
もの
)
をブラつかせ
威喝
(
ゐかつ
)
したつて
駄目
(
だめ
)
でい。
087
そんなことに
驚
(
おどろ
)
く
親分
(
おやぶん
)
だ
厶
(
ござ
)
いやせぬ
哩
(
わい
)
。
088
わつち
達
(
たち
)
の
仲間
(
なかま
)
は
一遍
(
いつぺん
)
でも
余計
(
よけい
)
芸務所
(
げいむしよ
)
の
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
つたら
顔
(
かほ
)
が
好
(
よ
)
う
成
(
な
)
るのでげすから、
089
マア
奥
(
おく
)
へ
這入
(
はい
)
りなさい。
090
卑怯
(
ひけう
)
未練
(
みれん
)
に
逃
(
に
)
げる
様
(
やう
)
な
侠客
(
けふかく
)
ア
一人
(
ひとり
)
も
居
(
を
)
りませぬよ。
091
横町
(
よこちやう
)
の
蜈蚣
(
むかで
)
の
権太
(
ごんた
)
の
親分
(
おやぶん
)
の
様
(
やう
)
に、
092
取締
(
とりしまり
)
が
来
(
き
)
たと
云
(
い
)
ふて
二階
(
にかい
)
から
飛
(
とび
)
出
(
だ
)
し、
093
脛
(
すね
)
を
折
(
を
)
つたり、
094
腕
(
うで
)
を
折
(
を
)
つたりして、
095
取
(
と
)
つ
捉
(
つか
)
まる
様
(
やう
)
なヘマなこたア
致
(
いた
)
しやせぬ』
096
取締
(
とりしまり
)
『
汝
(
きさま
)
では
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬ、
097
親分
(
おやぶん
)
を
此処
(
ここ
)
へ
呼
(
よ
)
んで
来
(
こ
)
い』
098
八
(
はち
)
『ヘン、
099
吾々
(
われわれ
)
に
取
(
と
)
つては
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
同様
(
どうやう
)
に、
100
命
(
いのち
)
迄
(
まで
)
捧
(
ささ
)
げて
仕
(
つか
)
へてる
親分
(
おやぶん
)
、
101
さう
易々
(
やすやす
)
動
(
うご
)
かす
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きやせぬ
哩
(
わい
)
。
102
愚図
(
ぐづ
)
ぐづして
居
(
ゐ
)
ると、
103
お
前
(
まへ
)
さま、
104
笠
(
かさ
)
の
台
(
だい
)
が
無
(
な
)
くなりますよ。
105
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りなさい』
106
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
して
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ、
107
奥
(
おく
)
から
兄貴分
(
あにきぶん
)
の
照公
(
てるこう
)
が
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
兄弟分
(
きやうだいぶん
)
と
共
(
とも
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
108
照
(
てる
)
『ナヽ
何
(
なん
)
だ
何
(
なん
)
だ』
109
八
(
はち
)
『
兄貴
(
あにき
)
、
110
今
(
いま
)
此
(
この
)
取締
(
とりしまり
)
先生
(
せんせい
)
が、
111
ゲン
糞
(
くそ
)
の
悪
(
わる
)
い
112
朝
(
あさ
)
つぱらからやつて
来
(
き
)
て、
113
グヅグヅ
云
(
い
)
つてるのだ。
114
俺
(
おら
)
昨晩
(
ゆうべ
)
負
(
ま
)
けて
来
(
き
)
て、
115
今日
(
けふ
)
はムカついて
堪
(
たま
)
らないのに、
116
グヅグヅ
吐
(
ぬ
)
かすんだもの、
117
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
つて
仕方
(
しかた
)
がねいんだ。
118
早
(
はや
)
くボツ
帰
(
かへ
)
して
呉
(
く
)
れないかね』
119
照
(
てる
)
『ヘー、
120
わつちや、
121
愛州
(
あいしう
)
の
乾児
(
こぶん
)
でげして、
122
照公
(
てるこう
)
と
申
(
まを
)
し、
123
チツタア、
124
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
で
名
(
な
)
を
知
(
し
)
られた、
125
ケチな
野郎
(
やらう
)
でげす。
126
どうかお
見知
(
みし
)
りおかれまして、
127
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
せい。
128
侠客
(
けふかく
)
渡世
(
とせい
)
はして
居
(
を
)
りましても、
129
面
(
つら
)
にも
似合
(
にあ
)
はねえ
優
(
やさ
)
しい
男
(
をとこ
)
でげすよ。
130
八公
(
はちこう
)
がどんな
無礼
(
ぶれい
)
なことを
申
(
まを
)
しやしたか
知
(
し
)
りやせぬが、
131
如何
(
どう
)
かわつちの
面
(
つら
)
に
免
(
めん
)
じて
許
(
ゆる
)
してやつて
下
(
くだ
)
つせえ。
132
そして
今日
(
けふ
)
お
出
(
いで
)
になつたのは
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
でげすかなア』
133
取締
(
とりしまり
)
『
外
(
ほか
)
でもない、
134
役頭
(
やくがしら
)
の
命令
(
めいれい
)
に
依
(
よ
)
つて、
135
当家
(
たうけ
)
の
看板
(
かんばん
)
を
撤回
(
てつくわい
)
させに
来
(
き
)
たのだ。
136
不穏
(
ふおん
)
文書
(
ぶんしよ
)
を
張出
(
はりだ
)
し、
137
怪
(
け
)
しからぬと
云
(
い
)
ふので、
138
誰
(
たれ
)
か
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
る
男
(
をとこ
)
に
屯所
(
とんしよ
)
迄
(
まで
)
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
ひたいのだ。
139
そして
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
本漢
(
ほんかん
)
の
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
で
引落
(
ひきおと
)
し、
140
片付
(
かたづ
)
けて
了
(
しま
)
ひ、
141
人心
(
じんしん
)
悪化
(
あくくわ
)
の
極
(
きよく
)
に
達
(
たつ
)
した
今日
(
こんにち
)
、
142
斯様
(
かやう
)
な
看板
(
かんばん
)
を
掲載
(
けいさい
)
されたら、
143
取締所
(
とりしまりしよ
)
として
黙過
(
もくくわ
)
する
訳
(
わけ
)
にや
行
(
ゆ
)
かない。
144
サ、
145
早
(
はや
)
くお
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
だ、
146
撤回
(
てつくわい
)
しろ』
147
照
(
てる
)
『
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
かと
思
(
おも
)
へば、
148
わつちの
商売
(
しやうばい
)
の
看板
(
かんばん
)
を
除
(
と
)
れと
仰有
(
おつしや
)
るのですか、
149
ソリヤなりませぬ』
150
取締
(
とりしまり
)
『お
神
(
かみ
)
の
許可
(
きよか
)
を
受
(
う
)
けた
上
(
うへ
)
で、
151
掲揚
(
けいやう
)
するならしても
可
(
よ
)
からう。
152
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
速
(
すみやか
)
に
下
(
お
)
ろしたが
可
(
よ
)
からう』
153
照
(
てる
)
『あゝ、
154
コリヤわつちんとこの
親分
(
おやぶん
)
の
商売
(
しやうばい
)
でげすから、
155
商売
(
しやうばい
)
の
妨害
(
ばうがい
)
迄
(
まで
)
は、
156
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
取締権
(
とりしまりけん
)
が
絶対
(
ぜつたい
)
だと
云
(
い
)
つても、
157
其処
(
そこ
)
迄
(
まで
)
の
干渉
(
かんせう
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
158
断
(
だん
)
じて
撤廃
(
てつぱい
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
159
抑
(
そもそ
)
も
此
(
この
)
案内
(
あんない
)
の
看板
(
かんばん
)
に
書
(
か
)
いてあることは
少
(
すこ
)
しも
虚偽
(
きよぎ
)
はありませぬ。
160
事実
(
じじつ
)
有
(
あ
)
りの
儘
(
まま
)
の
事
(
こと
)
が
記
(
しる
)
してあるのですから、
161
別
(
べつ
)
に
詐欺
(
さぎ
)
でもなければ
悪事
(
あくじ
)
でもありますまい。
162
事実
(
じじつ
)
のことをやつて
居
(
を
)
るのが
悪
(
わる
)
いのですか。
163
こんな
小
(
ちひ
)
さいことを
咎
(
とが
)
めるよりも、
164
モツト
大
(
おほ
)
きい
泥棒
(
どろばう
)
をお
調
(
しら
)
べなさいやせ。
165
何十万
(
なんじふまん
)
円
(
ゑん
)
166
何百万
(
なんびやくまん
)
円
(
ゑん
)
と
云
(
い
)
ふ
大泥棒
(
おほどろばう
)
が、
167
玩具
(
おもちや
)
をピカつかせて、
168
都大路
(
みやこおほぢ
)
を
横行
(
わうかう
)
濶歩
(
くわつぽ
)
してるのが、
169
貴方
(
あなた
)
達
(
がた
)
のお
目
(
め
)
につきませぬか。
170
自分
(
じぶん
)
の
金
(
かね
)
で
自分
(
じぶん
)
が
勝負
(
しようぶ
)
してるのに、
171
賭博犯
(
とばくはん
)
だと
云
(
い
)
つて、
172
拘引
(
こういん
)
したり、
173
牢
(
らう
)
へ
打
(
ぶ
)
ち
込
(
こ
)
んだり、
174
そんな
末
(
すゑ
)
の
末
(
すゑ
)
の
問題
(
もんだい
)
に
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
ますより、
175
法
(
はふ
)
の
権威
(
けんゐ
)
を
極端
(
きよくたん
)
に
発揮
(
はつき
)
し、
176
天下
(
てんか
)
の
大道
(
だいだう
)
を
白昼
(
はくちう
)
に
横行
(
わうかう
)
してる
大泥棒
(
おほどろばう
)
を
挙
(
あ
)
げなさい。
177
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
其
(
その
)
方
(
はう
)
が
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
だか
知
(
し
)
れやせぬよ。
178
お
前
(
まへ
)
さまも
僅
(
わづ
)
かな
月給
(
げつきふ
)
でチボの
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひかけたり、
179
門
(
かど
)
で
片肌
(
かたはだ
)
脱
(
ぬ
)
いだり
小便
(
せうべん
)
こい
てる
人間
(
にんげん
)
を
叱
(
しか
)
り
飛
(
と
)
ばしてるよりも、
180
どうだい、
181
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
仲間
(
なかま
)
へ
這入
(
はい
)
つて、
182
一生
(
いつしやう
)
を
面白
(
おもしろ
)
う
可笑
(
をか
)
しく
快活
(
くわいくわつ
)
に
暮
(
くら
)
したら、
183
可
(
い
)
いでせう、
184
どうでげす』
185
取締
(
とりしまり
)
『
生活
(
せいくわつ
)
の
道
(
みち
)
は
保証
(
ほしよう
)
して
呉
(
く
)
れるだらうな』
186
照
(
てる
)
『
宅
(
うち
)
の
親分
(
おやぶん
)
は
頼
(
たの
)
むと
云
(
い
)
はれて、
187
後
(
あと
)
へ
引
(
ひ
)
く
様
(
やう
)
な
安
(
やす
)
つぽい
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
とは
違
(
ちが
)
ひやす。
188
サアサア
合羽
(
かつぱ
)
を
脱
(
ぬ
)
いだり
脱
(
ぬ
)
いだり、
189
ヤ、
190
男
(
をとこ
)
は
決心
(
けつしん
)
が
第一
(
だいいち
)
だ。
191
斯
(
か
)
うやつて
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
取締
(
とりしまり
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
乾児
(
こぶん
)
にし、
192
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
に
取締
(
とりしまり
)
が
一人
(
ひとり
)
も
無
(
な
)
い
所
(
とこ
)
迄
(
まで
)
やつてやらうと
云
(
い
)
ふ、
193
背水会
(
はいすいくわい
)
の
主義
(
しゆぎ
)
綱領
(
かうりやう
)
だ』
194
取締
(
とりしまり
)
『イヤ、
195
モウ
君
(
きみ
)
等
(
たち
)
に
掛
(
かか
)
つたら
命武者
(
いのちむしや
)
だから
仕方
(
しかた
)
がない。
196
そんなら
僕
(
ぼく
)
も、
197
女房
(
にようばう
)
があるでなし、
198
何時
(
いつ
)
雄
(
おん
)
とか
雌
(
めん
)
とかを
貰
(
もら
)
ふか
分
(
わか
)
らぬのだから、
199
安全
(
あんぜん
)
地帯
(
ちたい
)
の
親分
(
おやぶん
)
の
膝下
(
しつか
)
に
跪
(
ひざまづ
)
くことにせうかな』
200
照
(
てる
)
『ヨーシ、
201
呑
(
のみ
)
込
(
こ
)
んだ。
202
直接
(
ちよくせつ
)
の
親分
(
おやぶん
)
の
乾児
(
こぶん
)
にはなれぬぞ。
203
俺
(
おれ
)
の
直参
(
ぢきさん
)
だ。
204
俺
(
おれ
)
の
上
(
うへ
)
には
又
(
また
)
兄貴
(
あにき
)
がある。
205
其
(
その
)
兄貴
(
あにき
)
の
兄貴
(
あにき
)
の
兄貴
(
あにき
)
の
親分
(
おやぶん
)
が
大親分
(
おほおやぶん
)
だ。
206
先
(
ま
)
づ
軍隊
(
ぐんたい
)
で
云
(
い
)
へば、
207
俺
(
おれ
)
は
少佐
(
せうさ
)
位
(
ぐらゐ
)
な
者
(
もの
)
だから、
208
さう
思
(
おも
)
うて
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
くのだぞ。
209
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
三日
(
みつか
)
も
飯
(
めし
)
を
食
(
く
)
はぬと
居
(
を
)
らうとママだし、
210
寒
(
かん
)
の
中
(
うち
)
裸
(
はだか
)
で
慄
(
ふる
)
はうとママだし、
211
アイサに
拳骨
(
げんこつ
)
を
二
(
ふた
)
つや
三
(
み
)
つ
喰
(
く
)
はされようとママだから、
212
マアさうして
胆力
(
たんりよく
)
を
練
(
ね
)
るのだなア、
213
アツハヽヽヽ』
214
取締
(
とりしまり
)
『ウツフツフヽ』
215
取締
(
とりしまり
)
の
名
(
な
)
は
佐吉
(
さきち
)
と
云
(
い
)
つた。
216
到頭
(
たうとう
)
照公
(
てるこう
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
打
(
うち
)
捲
(
まく
)
られて、
217
取締
(
とりしまり
)
から
侠客
(
けふかく
)
社会
(
しやくわい
)
へ
背進
(
はいしん
)
して
了
(
しま
)
つた。
218
大親分
(
おほおやぶん
)
の
愛州
(
あいしう
)
は
二三
(
にさん
)
の
幹部
(
かんぶ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
219
裏口
(
うらぐち
)
からソツと
脱
(
ぬ
)
け
出
(
い
)
で
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
に
立
(
た
)
ちつつ
呶鳴
(
どな
)
り
始
(
はじ
)
めた。
220
群衆
(
ぐんしう
)
は
喧嘩
(
けんくわ
)
だ、
221
狂人
(
きやうじん
)
だ、
222
大事件
(
だいじけん
)
の
突発
(
とつぱつ
)
だと
口々
(
くちぐち
)
に
呼
(
よば
)
はり
乍
(
なが
)
ら、
223
蟻
(
あり
)
の
如
(
ごと
)
くに
愛州
(
あいしう
)
の
周囲
(
しうゐ
)
を
取捲
(
とりま
)
いた。
224
愛州
(
あいしう
)
は
手近
(
てぢか
)
にあつた
饂飩屋
(
うどんや
)
の
牀几
(
しやうぎ
)
を
無断
(
むだん
)
で
道路
(
だうろ
)
の
真中
(
まんなか
)
に
引
(
ひ
)
つ
張
(
ぱり
)
出
(
だ
)
し、
225
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
直立
(
ちよくりつ
)
して
雷声
(
らいせい
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ、
226
『
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
を
守
(
まも
)
ると
云
(
い
)
ふ
武士
(
ぶし
)
達
(
たち
)
よ。
227
汝
(
なんぢ
)
の
自己愛
(
じこあい
)
的
(
てき
)
なる
厳
(
いか
)
めしき
鎧甲
(
よろひかぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
げ。
228
排他
(
はいた
)
と
猜疑
(
さいぎ
)
と
狡猾
(
かうくわつ
)
と
無恥
(
むち
)
とに
飾
(
かざ
)
られた
宗教家
(
しうけうか
)
よ、
229
汝
(
なんぢ
)
の
着
(
ちやく
)
する
法衣
(
はふい
)
を
脱
(
ぬ
)
げ。
230
政治家
(
せいぢか
)
も
教育家
(
けういくか
)
も
一般
(
いつぱん
)
衆生
(
しゆじやう
)
も、
231
汝
(
なんぢ
)
が
朝夕
(
てうせき
)
身
(
み
)
に
纏
(
まと
)
へる
虚偽
(
きよぎ
)
と
虚礼
(
きよれい
)
と
虚飾
(
きよしよく
)
の
衣服
(
いふく
)
を
脱
(
ぬ
)
げ。
232
更始
(
かうし
)
革新
(
かくしん
)
の
今日
(
こんにち
)
、
233
一切
(
いつさい
)
の
旧衣
(
きうい
)
を
捨
(
す
)
て、
234
新
(
あた
)
らしき
愛
(
あい
)
と
真
(
しん
)
との
浄衣
(
じやうい
)
と
着替
(
きか
)
へよ。
235
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
の
纏
(
まと
)
へる
旧衣
(
きうい
)
に、
236
旧
(
ふる
)
き
思想
(
しさう
)
と
矛盾
(
むじゆん
)
の
蚤
(
のみ
)
が
巣
(
す
)
ぐつて
居
(
ゐ
)
る。
237
偽善
(
ぎぜん
)
的
(
てき
)
精神
(
せいしん
)
や
奴隷
(
どれい
)
的
(
てき
)
根性
(
こんじやう
)
の
蛆虫
(
うじむし
)
が
蔓
(
はびこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るぞ。
238
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
は
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
弊衣
(
へいい
)
を
脱
(
ぬ
)
がない
限
(
かぎ
)
り、
239
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
の
生活
(
せいくわつ
)
は
虚偽
(
きよぎ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
だ、
240
真
(
まこと
)
の
人間
(
にんげん
)
生活
(
せいくわつ
)
では
無
(
な
)
いぞ。
241
人間
(
にんげん
)
として
242
人間
(
にんげん
)
の
生活
(
せいくわつ
)
の
出来
(
でき
)
ない
位
(
くらゐ
)
詰
(
つま
)
らぬものは
無
(
な
)
からうぞ。
243
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
眼
(
め
)
を
覚
(
さま
)
せよ。
244
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
新
(
あた
)
らしき
浄衣
(
じやうい
)
と
着
(
き
)
かへて
真実
(
しんじつ
)
の
人間
(
にんげん
)
生活
(
せいくわつ
)
に
入
(
い
)
れよ。
245
この
浄衣
(
じやうい
)
には
人間
(
にんげん
)
生活
(
せいくわつ
)
に
必要
(
ひつえう
)
なる
新思想
(
しんしさう
)
の
光明
(
くわうみやう
)
が
燦然
(
さんぜん
)
として
輝
(
かがや
)
いて
居
(
ゐ
)
るぞ。
246
芳
(
かん
)
ばしき
蘭麝
(
らんじや
)
の
香
(
か
)
が
充
(
み
)
ちて
居
(
ゐ
)
るぞ。
247
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
躊躇
(
ちうちよ
)
するか。
248
万々一
(
まんまんいち
)
この
更衣
(
かうい
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
妨害
(
ばうがい
)
するものあらば、
249
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
の
仇敵
(
きうてき
)
として
其奴
(
そいつ
)
を
倒
(
たふ
)
せ。
250
然
(
しか
)
らずんば
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
は
自
(
みづか
)
ら
着
(
ちやく
)
せる
旧衣
(
きうい
)
の
為
(
ため
)
に
自滅
(
じめつ
)
の
厄難
(
やくなん
)
に
遭
(
あ
)
ふであらう。
251
此
(
この
)
目的
(
もくてき
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
するには、
252
何人
(
なにびと
)
も
背水
(
はいすい
)
の
陣
(
ぢん
)
を
張
(
は
)
つてかかれ。
253
是
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
の
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬ
様
(
やう
)
では、
254
人間
(
にんげん
)
としての
価値
(
かち
)
は
絶無
(
ぜつむ
)
だ。
255
体
(
てい
)
能
(
よ
)
く
人間
(
にんげん
)
を
廃業
(
はいげふ
)
したが
良
(
よ
)
からう。
256
僕
(
ぼく
)
は
背水会
(
はいすいくわい
)
の
会長
(
くわいちやう
)
泥池
(
どろいけ
)
の
蓮公
(
はすこう
)
さまだ。
257
権門
(
けんもん
)
勢家
(
せいか
)
に
尾
(
を
)
を
掉
(
ふ
)
るな。
258
金銀
(
きんぎん
)
に
腰
(
こし
)
を
屈
(
くつ
)
するな。
259
時代
(
じだい
)
は
浸々乎
(
しんしんこ
)
として
潮
(
うしほ
)
の
如
(
ごと
)
く
急速
(
きふそく
)
に
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
るぞ。
260
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
の
衆生
(
しゆじやう
)
は
文明
(
ぶんめい
)
の
世界
(
せかい
)
に
於
(
お
)
ける
落伍者
(
らくごしや
)
を
以
(
もつ
)
て
甘
(
あま
)
んずるものでは
無
(
な
)
からう。
261
畏
(
かしこ
)
くも
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
子孫
(
しそん
)
の
神臨
(
しんりん
)
し
玉
(
たま
)
ふ
光輝
(
くわうき
)
ある
歴史
(
れきし
)
を
持
(
も
)
つた
国民
(
こくみん
)
では
無
(
な
)
いか。
262
豪毅
(
がうき
)
と
果断
(
くわだん
)
とは
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
祖先
(
そせん
)
以来
(
いらい
)
の
特性
(
とくせい
)
ではないか。
263
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
なり、
264
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
なり、
265
三千万
(
さんぜんまん
)
の
同胞
(
どうはう
)
266
背水会
(
はいすいくわい
)
の
宣言
(
せんげん
)
綱領
(
かうりやう
)
に
眼
(
め
)
を
覚
(
さ
)
ませ』
267
と
滔々
(
たうたう
)
として
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
的
(
てき
)
に
演説
(
えんぜつ
)
する
時
(
とき
)
しも、
268
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
取締
(
とりしまり
)
は
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
襲来
(
しふらい
)
して
愛州
(
あいしう
)
を
引摺
(
ひきず
)
り
落
(
お
)
とした。
269
群衆
(
ぐんしう
)
はワアイワアイと
動揺
(
どよ
)
めき
立
(
た
)
ち、
270
衆生
(
しゆじやう
)
と
取締
(
とりしまり
)
との
血迷
(
ちまよ
)
ひ
騒
(
さわ
)
ぎが
各所
(
かくしよ
)
に
演
(
えん
)
ぜられた。
271
愛州
(
あいしう
)
は
幸
(
かう
)
か
不幸
(
ふかう
)
か、
272
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
取締
(
とりしまり
)
に
取巻
(
とりま
)
かれ、
273
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げられ、
274
ボロ
自動車
(
じどうしや
)
に
乗
(
の
)
せられて、
275
珍
(
うづ
)
の
城下
(
じやうか
)
の
暗
(
くら
)
い
牢獄
(
らうごく
)
へ
投込
(
なげこ
)
まれて
了
(
しま
)
つた。
276
数多
(
あまた
)
の
乾児
(
こぶん
)
共
(
ども
)
は
此
(
この
)
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くより、
277
躍気
(
やくき
)
となり、
278
列
(
れつ
)
を
作
(
つく
)
つて
赤襷
(
あかだすき
)
に
赤鉢巻
(
あかはちまき
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
279
棍棒
(
こんぼう
)
、
280
竹槍
(
たけやり
)
、
281
薙刀
(
なぎなた
)
、
282
水鉄砲
(
みづてつぱう
)
等
(
など
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
283
牢獄
(
らうごく
)
めがけて
潮
(
うしほ
)
の
如
(
ごと
)
く
押
(
おし
)
寄
(
よ
)
せ、
284
忽
(
たちま
)
ち
附近
(
ふきん
)
は
修羅
(
しゆら
)
の
巷
(
ちまた
)
と
化
(
くわ
)
して
了
(
しま
)
つた。
285
取締
(
とりしまり
)
は
逐々
(
おひおひ
)
繰出
(
くりだ
)
す。
286
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
侠客
(
けふかく
)
の
連中
(
れんちう
)
は
得物
(
えもの
)
を
持
(
も
)
つて
蝟集
(
ゐしふ
)
し
来
(
きた
)
る。
287
一方
(
いつぱう
)
に
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
殖
(
ふ
)
ゆれば
一方
(
いつぱう
)
に
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
殖
(
ふ
)
ゆるといふ
有様
(
ありさま
)
で、
288
人
(
ひと
)
を
以
(
もつ
)
て
附近
(
ふきん
)
の
広場
(
ひろば
)
は
埋
(
うづ
)
められた。
289
そこへ
弥次馬
(
やじうま
)
が
侠客
(
けふかく
)
の
声援
(
せいゑん
)
をなすべく、
290
面白
(
おもしろ
)
半分
(
はんぶん
)
にやつて
来
(
き
)
て、
291
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
から
石
(
いし
)
を
投
(
な
)
げる。
292
忽
(
たちま
)
ち
大混乱
(
だいこんらん
)
大争闘
(
だいそうとう
)
の
幕
(
まく
)
がおりた。
293
そこへ
兄
(
あに
)
の
在所
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねてゐた
春乃姫
(
はるのひめ
)
は、
294
葦毛
(
あしげ
)
の
馬
(
うま
)
に
鞭
(
むちう
)
ち、
295
此
(
この
)
場
(
ば
)
にかけ
来
(
きた
)
り
群集
(
ぐんしふ
)
の
騒
(
さわ
)
ぐのを
見
(
み
)
て、
296
まつしぐらにかけ
入
(
い
)
り、
297
馬上
(
ばじやう
)
につつ
立
(
た
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
298
春乃
(
はるの
)
『
双方
(
さうはう
)
共
(
とも
)
、
299
解散
(
かいさん
)
せよ』
300
と
優
(
やさ
)
しい
涼
(
すず
)
しいカン
声
(
ごゑ
)
で
呼
(
よば
)
はつた。
301
数多
(
あまた
)
の
取締
(
とりしまり
)
は
春乃姫
(
はるのひめ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
302
抗弁
(
かうべん
)
する
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
303
唯々
(
いい
)
諾々
(
だくだく
)
として
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
根拠地
(
こんきよち
)
へ
引上
(
ひきあ
)
げて
了
(
しま
)
つた。
304
跡
(
あと
)
にワイワイと
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
をあげて、
305
侠客
(
けふかく
)
の
乾児
(
こぶん
)
連
(
れん
)
や
弥次馬
(
やじうま
)
がドヨメキ
立
(
た
)
つてゐる。
306
春乃姫
(
はるのひめ
)
は
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
307
『
如何
(
いか
)
なる
間違
(
まちがひ
)
か
知
(
し
)
らぬが、
308
妾
(
わらは
)
がキツとあとを
聞
(
き
)
いてあげるから、
309
一先
(
ひとま
)
づお
退
(
ひ
)
きなさい』
310
乾児
(
こぶん
)
の
源州
(
げんしう
)
は
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
311
『
今日
(
こんにち
)
の
場合
(
ばあひ
)
となつては、
312
後
(
あと
)
へひくことは
出来
(
でき
)
ませぬが、
313
国司
(
こくし
)
様
(
さま
)
のお
姫
(
ひ
)
い
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
を
畏
(
かしこ
)
み、
314
一先
(
ひとま
)
づ
此
(
こ
)
の
場
(
ば
)
は
退却
(
たいきやく
)
致
(
いた
)
します。
315
私
(
わたし
)
は
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
侠客
(
けふかく
)
愛州
(
あいしう
)
の
身内
(
みうち
)
の
者
(
もの
)
、
316
親分
(
おやぶん
)
愛州
(
あいしう
)
が
取締
(
とりしまり
)
の
為
(
ため
)
に
捕
(
とら
)
へられ
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
とう
)
ぜられましたので、
317
之
(
これ
)
を
取返
(
とりかへ
)
さむと
乾児
(
こぶん
)
共
(
ども
)
が
押寄
(
おしよ
)
せました
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
318
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しくお
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
しやす』
319
春乃
(
はるの
)
『あゝさうであつたか。
320
親分
(
おやぶん
)
一人
(
ひとり
)
の
為
(
ため
)
に、
321
数多
(
あまた
)
の
乾児
(
こぶん
)
が
命
(
いのち
)
をすてて
救
(
すくひ
)
に
来
(
き
)
たのか、
322
ヤ
感心
(
かんしん
)
だ。
323
人間
(
にんげん
)
はさうなくてはならぬ。
324
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
窮屈
(
きうくつ
)
な
法規
(
はふき
)
が
布
(
し
)
かれてある
法治国
(
はふちこく
)
だから、
325
妾
(
わらは
)
の
自由
(
じいう
)
にさう
着々
(
ちやくちやく
)
と
解放
(
かいはう
)
する
訳
(
わけ
)
にはゆかぬ。
326
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
妾
(
わらは
)
が
仲裁
(
ちうさい
)
に
這入
(
はい
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
327
キツト
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
の
親分
(
おやぶん
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
し
無事
(
ぶじ
)
に
渡
(
わた
)
すであらう。
328
先
(
ま
)
づ
安心
(
あんしん
)
して
引取
(
ひきと
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
329
今
(
いま
)
すぐといふ
訳
(
わけ
)
にもゆくまいが、
330
今後
(
こんご
)
十日
(
とをか
)
の
間
(
あひだ
)
にはキツト
助
(
たす
)
けてやる
程
(
ほど
)
に、
331
妾
(
わらは
)
の
言葉
(
ことば
)
を
信用
(
しんよう
)
して
早
(
はや
)
くお
退
(
ひ
)
きなさい』
332
源州
(
げんしう
)
は
有難涙
(
ありがたなみだ
)
にくれ
乍
(
なが
)
ら、
333
『
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しくお
願
(
ねがひ
)
申
(
まをし
)
ます』
334
と
幾度
(
いくど
)
も
頭
(
あたま
)
も
下
(
さ
)
げ、
335
数多
(
あまた
)
の
乾児
(
こぶん
)
を
引
(
ひき
)
つれて、
336
横小路
(
よここうぢ
)
の
親分館
(
おやぶんやかた
)
へと
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
337
あゝ
此
(
この
)
結果
(
けつくわ
)
は
如何
(
いか
)
に
落着
(
らくちやく
)
するであらうか。
338
(
大正一三・一・二二
旧一二・一二・一七
伊予 於山口氏邸、
松村真澄
録)
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