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第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
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第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
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第69巻(申の巻)
巻頭言
第1篇 清風涼雨
01 大評定
〔1746〕
02 老断
〔1747〕
03 喬育
〔1748〕
04 国の光
〔1749〕
05 性明
〔1750〕
06 背水会
〔1751〕
第2篇 愛国の至情
07 聖子
〔1752〕
08 春乃愛
〔1753〕
09 迎酒
〔1754〕
10 宣両
〔1755〕
11 気転使
〔1756〕
12 悪原眠衆
〔1757〕
第3篇 神柱国礎
13 国別
〔1758〕
14 暗枕
〔1759〕
15 四天王
〔1760〕
16 波動
〔1761〕
第4篇 新政復興
17 琴玉
〔1762〕
18 老狽
〔1763〕
19 老水
〔1764〕
20 声援
〔1765〕
21 貴遇
〔1766〕
22 有終
〔1767〕
余白歌
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第一六章
波動
(
はどう
)
〔一七六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻
篇:
第3篇 神柱国礎
よみ(新仮名遣い):
しんちゅうこくそ
章:
第16章 波動
よみ(新仮名遣い):
はどう
通し章番号:
1761
口述日:
1924(大正13)年01月24日(旧12月19日)
口述場所:
伊予 山口氏邸
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1927(昭和2)年10月26日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
国照別一行は三日三晩禊を修し、鏡の池の霊場に参拝し、宣伝歌を奏上した。その歌、
珍の国にはびこる曲がった道を根本的に改良し、
清き太祝詞を世界の為に宣り上げて、
迷った身魂を救い上げ、常世の国まで救い行く。
珍の国をまこと一つの三五の神代に立て替えて、
諸々の神人らが勇み立ち、安く楽しくいつまでも栄えしめ給へ、永遠無窮の命をよさし給えと願い奉ります。
一行の中で、まず浅公が鏡の池に言霊を発し、託宣を祈った。浅公は、子分の中の上下を問う。すると鏡の池は「実力のある者が上になるべし」と託宣し、駒治を一の子分と定めた。
浅公は不満を訴えるが、ここに駒治と浅公は角力を取り、結果、駒治が一の子分と定まった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-11-20 15:00:36
OBC :
rm6916
愛善世界社版:
226頁
八幡書店版:
第12輯 356頁
修補版:
校定版:
237頁
普及版:
66頁
初版:
ページ備考:
001
国照別
(
くにてるわけ
)
一行
(
いつかう
)
は
四辺
(
あたり
)
の
果実
(
このみ
)
をむしり
乍
(
なが
)
ら、
002
飢
(
うゑ
)
を
凌
(
しの
)
ぎ
三日
(
みつか
)
三夜
(
みよさ
)
の
身禊
(
みそぎ
)
を
修
(
しう
)
し、
003
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
由緒
(
ゆいしよ
)
深
(
ふか
)
き
霊場
(
れいぢやう
)
に
参拝
(
さんぱい
)
し
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
004
国照別
(
くにてるわけ
)
『アさ
日
(
ひ
)
は
清
(
きよ
)
く
明
(
あき
)
らけく
005
イてり
通
(
とほ
)
らすテルの
国
(
くに
)
006
ウき
世
(
よ
)
の
悩
(
なや
)
みを
他所
(
よそ
)
にして
007
エらまれ
切
(
き
)
つた
身魂
(
みたま
)
等
(
ら
)
が
008
オさまりゐます
懸橋
(
かけはし
)
御殿
(
ごてん
)
009
カみも
平
(
たひ
)
らに
安
(
やす
)
らかに
010
キこしめすらむ
真心
(
まごころ
)
の
011
クに
照別
(
てるわけ
)
の
御
(
おん
)
願
(
ねがひ
)
012
ケしきいやしき
曲道
(
まがみち
)
を
013
コん
本的
(
ぽんてき
)
に
改良
(
かいりやう
)
し
014
サかえ
尽
(
つ
)
きせぬ
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
015
シきます
国魂
(
くにたま
)
大御神
(
おほみかみ
)
016
スずしき
聖
(
きよ
)
き
太祝詞
(
ふとのりと
)
017
セかいの
為
(
ため
)
に
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて
018
ソぐりし
身魂
(
みたま
)
を
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ
019
タすけて
生
(
い
)
かす
高砂
(
たかさご
)
の
020
チとせ
栄
(
さか
)
ゆる
松
(
まつ
)
の
教
(
のり
)
021
ツきは
御空
(
みそら
)
を
隈
(
くま
)
もなく
022
テらして
暗
(
やみ
)
を
晴
(
は
)
らしつつ
023
トこ
世
(
よ
)
の
国
(
くに
)
まで
救
(
すく
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
024
ナみに
漂
(
ただよ
)
ふ
高砂
(
たかさご
)
の
025
ニしと
東
(
ひがし
)
の
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
026
ヌしとなるべき
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
も
027
ネそこの
国
(
くに
)
の
悩
(
なや
)
みをば
028
ノぞかぬうちは
是非
(
ぜひ
)
もなし
029
ハやく
身魂
(
みたま
)
をあらためて
030
ヒろく
尊
(
たふと
)
き
御恵
(
みめぐみ
)
の
031
フゆを
世界
(
せかい
)
に
現
(
あら
)
はして
032
ヘい
和
(
わ
)
に
民
(
たみ
)
を
治
(
おさ
)
め
行
(
ゆ
)
く
033
ホまれも
高
(
たか
)
き
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
034
マこと
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
035
ミちの
光
(
ひかり
)
に
陰
(
かげ
)
もなし
036
ムかしの
神代
(
かみよ
)
に
立替
(
たてか
)
へて
037
メぐみ
洽
(
あまね
)
き
草
(
くさ
)
の
露
(
つゆ
)
038
モもの
神人
(
しんじん
)
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
039
ヤすく
楽
(
たの
)
しく
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
040
イのち
栄
(
さか
)
えて
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
041
ユう
冥界
(
めいかい
)
を
救
(
すく
)
ふ
為
(
ため
)
042
エい
遠
(
ゑん
)
無窮
(
むきう
)
の
生命
(
せいめい
)
を
043
ヨさし
玉
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
044
ワが
言霊
(
ことたま
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
045
ヰてり
通
(
とほ
)
らい
奉
(
まつ
)
りなば
046
ウき
世
(
よ
)
の
雲
(
くも
)
をかきわけて
047
ヱがほに
充
(
み
)
てる
神
(
かみ
)
の
顔
(
かほ
)
048
ヲがませ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
049
国照別
(
くにてるわけ
)
が
善悪
(
よしあし
)
の
050
世
(
よ
)
のさまうつす
鏡池
(
かがみいけ
)
051
玉
(
たま
)
の
宮居
(
みやゐ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
052
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
053
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
054
拍手
(
はくしゆ
)
し、
055
傍
(
かたはら
)
の
巌
(
いはほ
)
に
腰
(
こし
)
を
打
(
うち
)
かけ、
056
昔
(
むかし
)
の
歴史話
(
れきしばなし
)
に
移
(
うつ
)
りける。
057
国
(
くに
)
『オイ、
058
乾児
(
こぶん
)
共
(
ども
)
、
059
此
(
この
)
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
は
一名
(
いちめい
)
言霊
(
ことたま
)
の
池
(
いけ
)
と
云
(
い
)
つて
高砂島
(
たかさごじま
)
第一
(
だいいち
)
の
神秘
(
しんぴ
)
的
(
てき
)
な
霊場
(
れいぢやう
)
だ。
060
真心
(
まごころ
)
を
以
(
もつ
)
てこちらから
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
すれば、
061
キツト
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
答
(
こた
)
へて
下
(
くだ
)
さるさうだが、
062
どうだ
一
(
ひと
)
つ
滝
(
たき
)
で
身
(
み
)
を
浄
(
きよ
)
めて
来
(
き
)
たのを
幸
(
さいは
)
ひ、
063
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
ようかい』
064
浅
(
あさ
)
『
如何
(
いか
)
にもソラ
面白
(
おもしろ
)
う
厶
(
ござ
)
いませう。
065
此処
(
ここ
)
で
乾児
(
こぶん
)
の
順序
(
じゆんじよ
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
聞
(
き
)
いて
定
(
きめ
)
さして
貰
(
もら
)
ひませう。
066
それが
公平
(
こうへい
)
で
互
(
たがひ
)
に
怨恨
(
うらみ
)
が
残
(
のこ
)
らいで
宜
(
よろ
)
しいからなア』
067
国
(
くに
)
『それも
結構
(
けつこう
)
だ。
068
そんなら
浅公
(
あさこう
)
、
069
お
前
(
まへ
)
から
一
(
ひと
)
つ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
願
(
ねが
)
つて
見
(
み
)
よ』
070
浅
(
あさ
)
『ハイ、
071
承知
(
しようち
)
しました』
072
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
拍手
(
はくしゆ
)
再拝
(
さいはい
)
し、
073
浅公
(
あさこう
)
『
惟神
(
かむながら
)
昔
(
むかし
)
の
神
(
かみ
)
の
坐
(
ま
)
しまさば
074
示
(
しめ
)
させ
給
(
たま
)
へ
吾
(
わが
)
願言
(
ねぎごと
)
を。
075
言霊
(
ことたま
)
の
池
(
いけ
)
と
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
斎場
(
ゆには
)
なれば
076
答
(
こた
)
へ
給
(
たま
)
はむ
吾
(
わが
)
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に』
077
忽
(
たちま
)
ち
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
はブクブクブクと
異様
(
いやう
)
な
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
した。
078
国照別
(
くにてるわけ
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
は
早速
(
さつそく
)
の
感応
(
かんのう
)
に
襟
(
えり
)
を
正
(
ただ
)
し、
079
片唾
(
かたづ
)
を
呑
(
の
)
んで
畏
(
かしこ
)
まつて
居
(
ゐ
)
る。
080
浅公
(
あさこう
)
も
小気味
(
こぎみ
)
が
悪
(
わる
)
くなつたが、
081
後
(
あと
)
へ
退
(
ひ
)
く
訳
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
かず、
082
額
(
ひたひ
)
から
冷汗
(
ひやあせ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
083
『アヽ
有難
(
ありがた
)
や
辱
(
かたじけ
)
なや、
084
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
、
085
侠客
(
けふかく
)
の
浅公
(
あさこう
)
が
朝間
(
あさま
)
も
早
(
はや
)
うから、
086
阿呆
(
あはう
)
が
足
(
た
)
らいで、
087
あられもない
事
(
こと
)
を
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
しますが、
088
どうぞ、
089
あら
立
(
だ
)
てずに、
090
あらましで
宜
(
よろ
)
しいから、
091
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
をあらはして
下
(
くだ
)
さいませ』
092
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
から、
093
『アツハヽヽヽ、
094
浅公
(
あさこう
)
の
浅智慧
(
あさぢゑ
)
の
阿呆
(
あはう
)
奴
(
め
)
、
095
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
が
塞
(
ふさ
)
がらぬワイ』
096
浅
(
あさ
)
『イヽヽいけ
好
(
す
)
かない、
097
イヽヽの
一番
(
いちばん
)
から
人
(
ひと
)
を
罵倒
(
ばたう
)
する
神
(
かみ
)
が
何処
(
どこ
)
にありますか、
098
ウヽヽうるさいと
思
(
おも
)
はずに、
099
どうぞ
真面目
(
まじめ
)
に
私
(
わたし
)
の
願
(
ねがひ
)
を
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい、
100
国
(
くに
)
さまの
乾児
(
こぶん
)
の
中
(
なか
)
に
於
(
おい
)
て
誰
(
たれ
)
が
上
(
うへ
)
になるか
下
(
した
)
になるかと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
へばそれで
良
(
い
)
いのです』
101
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
から、
102
『エヽヽえらい
奴
(
やつ
)
が、
103
上
(
うへ
)
になるのだ、
104
オヽヽ
劣
(
おと
)
つた
奴
(
やつ
)
が
下
(
した
)
になるのだ。
105
そんな
事
(
こと
)
をカヽヽ
神
(
かみ
)
に
聞
(
き
)
かずとも、
106
キヽヽ
気
(
き
)
がつき
相
(
さう
)
なものぢやないか。
107
クヽヽ
国照別
(
くにてるわけ
)
の
国公
(
くにこう
)
の
乾児
(
こぶん
)
になつた
以上
(
いじやう
)
は、
108
汝
(
きさま
)
も
侠客
(
けふかく
)
だ。
109
一
(
ひと
)
つケヽヽ
喧嘩
(
けんくわ
)
でもして
力比
(
ちからくら
)
べを
致
(
いた
)
し、
110
コヽヽこつかれた
奴
(
やつ
)
が
乾児
(
こぶん
)
になるのだ。
111
サヽヽ
騒
(
さわ
)
ぐには
及
(
およ
)
ばぬ、
112
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
は
言論
(
げんろん
)
よりも
実力
(
じつりよく
)
だ。
113
シヽヽ
主義
(
しゆぎ
)
も
糸瓜
(
へちま
)
もあつたものぢやないぞ。
114
スヽヽ
速
(
すみやか
)
に
実行
(
じつかう
)
する
奴
(
やつ
)
が
数多
(
あまた
)
の
人気
(
にんき
)
を、
115
セヽヽ
制
(
せい
)
するのだ。
116
今
(
いま
)
に
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
にはソヽヽ
騒動
(
さうだう
)
が
起
(
おこ
)
るから、
117
タヽヽ
互
(
たがひ
)
に
霊
(
たま
)
を
練
(
ね
)
つて、
118
生死
(
せいし
)
のチヽヽ
巷
(
ちまた
)
にかけまはり、
119
体
(
からだ
)
も
魂
(
たましひ
)
も
人
(
ひと
)
に
秀
(
すぐ
)
れて、
120
ツヽヽ
強
(
つよ
)
くなつておかねば、
121
テヽヽ
天下
(
てんか
)
は
取
(
と
)
れぬぞよ。
122
トヽヽ
遠
(
とほ
)
い
国
(
くに
)
へ
駆落
(
かけおち
)
致
(
いた
)
し、
123
ナヽヽ
何
(
なに
)
かの
事
(
こと
)
を
研究
(
けんきう
)
し、
124
天晴
(
あつぱれ
)
立派
(
りつぱ
)
な
男伊達
(
をとこだて
)
となつて、
125
故郷
(
ふるさと
)
へ、
126
ニヽヽ
錦
(
にしき
)
を
飾
(
かざ
)
り、
127
親
(
おや
)
に
反
(
そむ
)
いて
国許
(
くにもと
)
を、
128
ヌヽヽぬけて
出
(
で
)
た
贖
(
あがな
)
ひを
致
(
いた
)
し、
129
ネヽヽ
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
の
国民
(
こくみん
)
の
苦
(
く
)
を
救
(
すく
)
ひ、
130
ノヽヽ
長閑
(
のどか
)
な、
131
神代
(
かみよ
)
に
立直
(
たてなほ
)
さねばならぬぞよ。
132
ハヽヽ
早
(
はや
)
く
霊
(
たま
)
を
研
(
みが
)
き、
133
ヒヽヽ
一人
(
ひとり
)
でも
霊
(
たま
)
の
研
(
みが
)
けた
者
(
もの
)
を
集
(
あつ
)
め、
134
勢力
(
せいりよく
)
をフヽヽふやして、
135
ヘヽヽ
平和
(
へいわ
)
と
人道
(
じんだう
)
の
為
(
ため
)
に
社会
(
しやくわい
)
に
貢献
(
こうけん
)
する、
136
ホヽヽ
方策
(
はうさく
)
を
定
(
さだ
)
めたが
良
(
よ
)
からう。
137
マヽヽ
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つが
世
(
よ
)
の
宝
(
たから
)
だ。
138
ミヽヽ
身
(
み
)
を
粉
(
こな
)
に
致
(
いた
)
し、
139
ムヽヽ
昔
(
むかし
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
遵奉
(
じゆんぽう
)
し、
140
メヽヽ
名利
(
めいり
)
に
耽
(
ふけ
)
らず、
141
モヽヽ
諸々
(
もろもろ
)
の
欲
(
よく
)
に
離
(
はな
)
れ、
142
ヤヽヽ
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
を
研
(
みが
)
き
上
(
あ
)
げ、
143
イヽヽ
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
ふて、
144
ユヽヽ
勇敢
(
ゆうかん
)
に
大胆
(
だいたん
)
に、
145
エヽヽ
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく、
146
ヨヽヽヨウ
言
(
い
)
はぬワ、
147
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
活動
(
くわつどう
)
するのだぞ。
148
ラヽヽ
乱世
(
らんせい
)
の
今日
(
こんにち
)
、
149
リヽヽ
倫常
(
りんじやう
)
は
地
(
ち
)
に
落
(
お
)
ち、
150
ルヽヽ
累卵
(
るゐらん
)
の
危
(
あやふ
)
き
各階級
(
かくかいきふ
)
の
状態
(
じやうたい
)
、
151
レヽヽ
連年
(
れんねん
)
の
不景気
(
ふけいき
)
に
人心
(
じんしん
)
は
悪化
(
あくくわ
)
し、
152
ロヽヽ
老骨
(
らうこつ
)
は
上
(
かみ
)
に
立
(
た
)
つて
国政
(
こくせい
)
を
料理
(
れうり
)
し、
153
最早
(
もはや
)
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
の
人心
(
じんしん
)
は
収拾
(
しうしふ
)
す
可
(
べか
)
らざるに
立至
(
たちいた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
154
ワヽヽ
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
出世
(
しゆつせ
)
許
(
ばか
)
り
考
(
かんが
)
へて
他人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
は、
155
ヰヽヽ
指
(
ゐび
)
一本
(
いつぽん
)
そへてやらんと
云
(
い
)
ふ
悪党
(
あくたう
)
な
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ。
156
ウヽヽ
有為
(
うゐ
)
転変
(
てんぺん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は、
157
何時
(
なんどき
)
変
(
かは
)
るか
知
(
し
)
れないぞ。
158
ヱヽヽ
遠国
(
ゑんごく
)
へ
行
(
い
)
つて、
159
魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
き、
160
天晴
(
あつぱ
)
れ、
161
ヲヽヽ
男
(
をとこ
)
となつて、
162
ここ
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
の
内
(
うち
)
には
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
よ。
163
浅公
(
あさこう
)
許
(
ばか
)
りでない、
164
親分
(
おやぶん
)
の
国州
(
くにしう
)
、
165
其
(
その
)
他
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
の
者
(
もの
)
に
気
(
き
)
をつけておく。
166
さうして
駒治
(
こまはる
)
は
国州
(
くにしう
)
の
一
(
いち
)
の
乾児
(
こぶん
)
と
神
(
かみ
)
が
定
(
さだ
)
めるぞよ、
167
ブルブルブルブル ウーツ』
168
と
唸
(
うな
)
つたきり、
169
後
(
あと
)
はコトツとも
言葉
(
ことば
)
は
無
(
な
)
くなつて
了
(
しま
)
つた。
170
駒治
(
こまはる
)
『
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
171
どうも
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります。
172
貴神
(
あなた
)
の
仰有
(
おつしや
)
ることは
良
(
よ
)
く
合
(
あ
)
ひました。
173
私
(
わたし
)
の
思
(
おも
)
ふ
通
(
とほ
)
り
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいました。
174
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
175
浅
(
あさ
)
『オイ
駒州
(
こましう
)
、
176
此
(
この
)
神
(
かみ
)
はチツト
審神
(
さには
)
の
必要
(
ひつえう
)
があるぞ。
177
大方
(
おほかた
)
汝
(
きさま
)
の
副守
(
ふくしゆ
)
か
何
(
なに
)
かが
飛出
(
とびだ
)
しやがつて、
178
あんなこと
吐
(
ほざ
)
いたのだらう。
179
エー、
180
ケツタクソの
悪
(
わる
)
い、
181
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
俺
(
おれ
)
が
一
(
いち
)
の
枝
(
えだ
)
だからのう』
182
駒治
(
こまはる
)
『
一
(
いち
)
の
枝
(
えだ
)
だから
駄目
(
だめ
)
だと
云
(
い
)
ふのだよ。
183
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
でも
見
(
み
)
よ、
184
一
(
いち
)
の
枝
(
えだ
)
が
枯
(
か
)
れて
二
(
に
)
の
枝
(
えだ
)
、
185
二
(
に
)
の
枝
(
えだ
)
が
枯
(
か
)
れて
三
(
さん
)
の
枝
(
えだ
)
が
出来
(
でき
)
、
186
後
(
あと
)
から
後
(
あと
)
から
立派
(
りつぱ
)
な
枝
(
えだ
)
がより
以上
(
いじやう
)
大
(
おほ
)
きく
出
(
で
)
るぢやないか。
187
マア
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
りに
任
(
まか
)
しておくのだなア』
188
国
(
くに
)
『ハヽヽヽ
先
(
ま
)
づ
此処
(
ここ
)
で、
189
それ
程
(
ほど
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
疑
(
うたが
)
ふのなら、
190
力比
(
ちからくら
)
べをやつて
見
(
み
)
よ。
191
喧嘩
(
けんくわ
)
さすと
互
(
たがひ
)
に
疵
(
きず
)
がついて
可
(
い
)
かぬから、
192
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
で
角力
(
すまう
)
でもとつて、
193
勝
(
か
)
つ
奴
(
やつ
)
を
一
(
いち
)
の
乾児
(
こぶん
)
にすることにせう。
194
浅公
(
あさこう
)
195
お
前
(
まへ
)
も
得心
(
とくしん
)
だらうなア。
196
お
前
(
まへ
)
も
先夜
(
せんや
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば
余
(
あま
)
り
威張
(
ゐば
)
れぬぢやないか』
197
ここに
二人
(
ふたり
)
は
一番
(
いちばん
)
勝負
(
しようぶ
)
の
角力
(
すまう
)
を
取
(
と
)
り、
198
いよいよ
駒治
(
こまはる
)
が
国州
(
くにしう
)
の
一
(
いち
)
の
枝
(
えだ
)
と
定
(
さだ
)
まり、
199
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
山
(
やま
)
を
降
(
くだ
)
り
蛸取村
(
たことりむら
)
の
海岸
(
かいがん
)
に
出
(
で
)
た。
200
国照別
(
くにてるわけ
)
一行
(
いつかう
)
は
蛸取村
(
たことりむら
)
の
海岸
(
かいがん
)
に
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
め
乍
(
なが
)
ら
渺茫
(
べうばう
)
たる
海原
(
うなばら
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
め、
201
愉快
(
ゆくわい
)
げに
歌
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
202
国州
(
くにしう
)
『
雲
(
くも
)
か
山
(
やま
)
かはた
波
(
なみ
)
か
203
渺茫
(
べうばう
)
千里
(
せんり
)
の
塩
(
しほ
)
の
波
(
なみ
)
204
浅
(
あさ
)
ましき
人間
(
にんげん
)
の
眼
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
205
大西
(
たいせい
)
の
洋
(
うみ
)
に
臨
(
のぞ
)
む
206
十
(
じふ
)
里
(
り
)
二十
(
にじふ
)
里
(
り
)
三十
(
さんじふ
)
里
(
り
)
207
僅
(
わづ
)
かに
視線
(
しせん
)
は
働
(
はたら
)
けども
208
いかにせむ
海
(
うみ
)
の
彼方
(
あなた
)
に
209
漂
(
ただよ
)
へる
国
(
くに
)
の
姿
(
すがた
)
の
210
目
(
め
)
に
入
(
い
)
らぬ
悲
(
かな
)
しさ
211
行交
(
ゆきか
)
ふ
白帆
(
しらほ
)
は
212
花弁
(
はなびら
)
の
如
(
ごと
)
く
213
波
(
なみ
)
のまにまに
214
清
(
きよ
)
く
輝
(
かがや
)
く
215
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
216
磯辺
(
いそべ
)
に
立
(
た
)
ちて
217
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
の
218
天地
(
てんち
)
に
跼蹐
(
きよくせき
)
し
219
人間
(
にんげん
)
の
身
(
み
)
の
220
いと
腋甲斐
(
ふがひ
)
なきを
221
深
(
ふか
)
く
深
(
ふか
)
く
歎
(
なげ
)
く
222
あゝ
吾
(
われ
)
今
(
いま
)
223
住
(
す
)
みなれし
故国
(
ここく
)
を
捨
(
す
)
てて
224
始
(
はじ
)
めて
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
き
海洋
(
かいやう
)
の
波
(
なみ
)
に
接
(
せつ
)
す
225
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
は
広
(
ひろ
)
しと
雖
(
いへど
)
226
此
(
この
)
海原
(
うなばら
)
に
及
(
およ
)
ばむや
227
大空
(
おほぞら
)
の
雲
(
くも
)
と
228
海原
(
うなばら
)
の
波
(
なみ
)
と
229
相接
(
あひせつ
)
する
所
(
ところ
)
230
定
(
さだ
)
めて
麗
(
うるは
)
しき
宝国
(
はうこく
)
あらむ
231
あゝ
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
232
微弱
(
びじやく
)
なる
人間
(
にんげん
)
の
身
(
み
)
よ
233
いとも
雄大
(
ゆうだい
)
なる
234
天地
(
てんち
)
の
現象
(
げんしやう
)
235
宇宙
(
うちう
)
の
摂理
(
せつり
)
236
今更
(
いまさら
)
乍
(
なが
)
ら
237
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
は
轟
(
とどろ
)
き
始
(
はじ
)
めぬ
238
吾
(
わが
)
志
(
こころざ
)
すヒルの
都
(
みやこ
)
は
239
果
(
はた
)
して
何処
(
いづこ
)
ぞ
240
かの
遠
(
とほ
)
き
紅
(
くれない
)
の
雲
(
くも
)
の
241
真下
(
ました
)
ならむか
242
はた
又
(
また
)
それよりもズツと
秀
(
すぐ
)
れて
243
遠
(
とほ
)
き
遠
(
とほ
)
き
低
(
ひく
)
き
雲
(
くも
)
の
244
真下
(
ました
)
に
在
(
あ
)
るか
245
思
(
おも
)
へば
246
わが
前途
(
ぜんと
)
は
247
極
(
きは
)
めて
遼遠
(
れうゑん
)
なり
248
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
供人
(
ともびと
)
を
引
(
ひき
)
つれて
249
際限
(
さいげん
)
もなき
250
原野
(
げんや
)
を
行
(
ゆ
)
く
251
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
の
波
(
なみ
)
の
高
(
たか
)
さよ
252
否
(
いな
)
胸
(
むね
)
の
騒
(
さわ
)
ぎよ
253
沈静
(
ちんせい
)
せしめ
給
(
たま
)
へ
254
天地
(
てんち
)
の
司宰
(
しさい
)
とあれまする
255
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
256
荒金
(
あらがね
)
の
地
(
つち
)
を
領有
(
うしはぎ
)
給
(
たま
)
ふ
257
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
よ
258
帆
(
ほ
)
は
白
(
しろ
)
し
波
(
なみ
)
は
高
(
たか
)
し
259
空
(
そら
)
は
広
(
ひろ
)
く
雲
(
くも
)
は
低
(
ひく
)
し
260
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
前途
(
ぜんと
)
を
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ』
261
と
詠
(
えい
)
じ
終
(
をは
)
り、
262
国照別
(
くにてるわけ
)
は
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ちて、
263
伝来
(
でんらい
)
の
古
(
ふる
)
き
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
高唱
(
かうしやう
)
し
乍
(
なが
)
ら
264
テル
国
(
くに
)
街道
(
かいだう
)
を
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
265
(
大正一三・一・二四
旧一二・一二・一九
伊予 於山口氏邸、
松村真澄
録)
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