霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 気転使(きてんし)〔一七五六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻 篇:第2篇 愛国の至情 よみ(新仮名遣い):あいこくのしじょう
章:第11章 気転使 よみ(新仮名遣い):きてんし 通し章番号:1756
口述日:1924(大正13)年01月23日(旧12月18日) 口述場所:伊予 山口氏邸 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1927(昭和2)年10月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一方、都大路の中心では、公園内で浮浪階級大演説会が始まった。出口・入り口は多数の取締りで固められ、警戒ものものしい様子である。
浮浪階級演説会の会長・ブルドックはたいへんな勢いで演説を始めた。
世の中がこうも乱れた原因は、松若彦・伊佐彦の老中が私欲を満たそうと、衆生から搾り取っているためである。
この難しい世を切り抜ける唯一の手段は、世を暗がりにしている張本人を打ち切って棄てるより他に手立てはない。
神や仏はなにもしてくれない。ただ自分の腕力のみが頼りだ。
取り締まりはこれを聞いて中止・解散を命ずるが、弁士たちは応じず、大乱闘の騒ぎとなり、町々には火の手があがった。
するとそこへ侠客たちが消防隊を組織してやって来て、たちまち火災を消し止め、引き上げてしまった。
火事の騒ぎが収まると、群集はまたもや公園に集まり来たり、内閣倒壊、金持ち階級の討滅、清家階級の打破を叫びだした。再び取締も集まり、第二の闘争が始まり、ほとんど戦場のようになってしまった。
そこへ、白馬にまたがり、被面布で顔を覆い隠した女が宣伝歌を歌いながら現れた。
自分はオリオン星座より降り立った神の使い、松代姫である。
汝ら一同は皆、皇神の珍の子、兄弟である。争いあうとは何事か。
神の目から見れば、上に立つ者も下にいる者も、どちらも名利物欲を第一にしている。
どちらも神を忘れ、自らの魂のありかを忘却している。
人は神の子神の宮、天津国の聖霊が、神の御心を謹んで承り、この世の人と生まれ来ているのである。
このことを知り、悔い改め、上下貴賎の区別なく、心を合わせて珍の国を守るべし。
女は馬に鞭打ち、駈け去っていく。これは実は、松若彦の娘、常盤姫であった。常盤姫は春乃姫と示し合わせ、騒動を治めるために天使と化けて現れたのであった。
憲兵、取締、群集、主義者らは麗しい天使の出現に肝をつぶし、闘争をやめてただ呆然と女天使の後を見送っていた。
そこへまた、蓑笠、草鞋、脚絆のいでたちで、布で顔を覆い隠した女が、宣伝歌を歌いながら進み来た。
女は自ら春乃姫であると名乗る。
世の人々は上下の区別なく互いに合い親しんで、神の宝を分かち合い、満遍なく分配するのが神の決まりである。
この神の教えにすがって世を開くより道はない。
今や天の時が来た。上下各階級の人々よ、目覚めるべし。
歌い終わると、春乃姫と名乗る女は煙のように姿を隠してしまった。人々は春乃姫と聞いて感嘆し、取締も群集も文句も言わずに各々家路に帰り行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:オリオン座(オレオン星座) データ凡例: データ最終更新日:2018-05-02 13:59:54 OBC :rm6911
愛善世界社版:157頁 八幡書店版:第12輯 331頁 修補版: 校定版:164頁 普及版:66頁 初版: ページ備考:
001 都大路(みやこおほぢ)中心(ちうしん)002赤切(あかぎれ)公園(こうゑん)真中(まんなか)浮浪(ふらう)階級(かいきふ)(だい)演説会(えんぜつくわい)(はじ)まつた。003数多(あまた)取締(とりしまり)出口(でぐち)入口(いりぐち)(かた)め、004角袖(かくそで)聴衆(ちやうしう)一人(ひとり)一人(ひとり)(ぐらゐ)割合(わりあひ)数千(すうせん)(にん)(くり)(いだ)し、005物々(ものもの)しき警戒(けいかい)(ぶり)(あら)はしてゐる。006浮浪(ふらう)階級(かいきふ)演説会(えんぜつくわい)会長(くわいちやう)ブルドックは獅子(しし)咆哮(はうかう)する(ごと)(こゑ)にて、
007取締(とりしまり)何者(なにもの)ぞ、008法規(はふき)何者(なにもの)ぞ』
009()はむ(ばか)りの(いきほひ)(もつ)て、010決死(けつし)(てき)(だい)演説会(えんぜつくわい)(はじ)めてゐる。
011ブルドック『諸君(しよくん)諸君(しよくん)よよつく()
012()常暗(とこやみ)となつて()
013日月(じつげつ)(そら)晃々(くわうくわう)
014(かがや)(わた)れど如何(いか)にせむ
015中空(ちうくう)村雲(むらくも)ふさがりて
016さも晃々(くわうくわう)(かがや)ける
017(ひかり)(つつ)(かく)しつつ
018()刈菰(かりごも)()てもなく
019(みだ)()くこそうたてけれ
020かくも(みだ)れし原因(げんいん)
021何処(いづく)にあるかと(たづ)ぬれば
022諸君(しよくん)もすでに()承知(しようち)
023(こと)とは(おも)へど(いま)(ここ)
024一口(ひとくち)火蓋(ひぶた)をきり(はな)
025四民(しみん)平等(べうどう)神国(しんこく)
026壅塞(ようそく)したる曲神(まがかみ)
027松若彦(まつわかひこ)伊佐彦(いさひこ)
028()先頭(せんとう)(その)(ほか)
029(もも)(つかさ)持丸(もちまる)
030(かれ)()地位(ちゐ)私欲(しよく)をば
031みたさむ(ため)衆生(しうじやう)
032迷惑(めいわく)などは(ゆめ)にだも
033(わきま)()らぬ(めくら)(ども)
034権威(けんゐ)(かさ)衆生(しうじやう)
035(あせ)(あぶら)(しぼ)りつつ
036倉廩(さうりん)()たす(にく)らしさ
037(われ)()衆生(しゆじやう)(うゑ)()
038(さむ)さに(こご)(まくら)する
039茅屋(あばらや)さへも()きままに
040路傍(ろばう)(たたず)(ねむ)りをれば
041さも横暴(わうばう)取締(とりしまり)
042法規(はふき)違反(ゐはん)(ほざ)きつつ
043(のこ)らず(われ)()牢獄(らうごく)
044投込(なげこ)無限(むげん)恥辱(ちじよく)をば
045(あた)へゆくこそ(にく)らしき
046(しも)ふり(ゆき)つむ(ふゆ)()
047(また)永久(えいきう)のものでない
048(かなら)(はな)()(かぜ)(かを)
049(みづ)(ぬく)みて草木(さうもく)
050百花(ももばな)千花(ちばな)()()づる
051(うれ)しき(はる)(きた)(ごと)
052(かなら)(われ)()()(うへ)
053(めぐみ)(あめ)()りぬべし
054さはさり(なが)(こがらし)
055(ふき)すさびたる荒野原(あれのはら)
056()えずばいかで(はる)()
057いと(うるは)しき温光(をんくわう)
058(よく)することを()べけむや
059(ふか)()ざせる喬木(けうぼく)
060(みき)をば(はら)(えだ)()
061月日(つきひ)(ひかり)()ひかくす
062(しこ)喬木(けうぼく)ある(ゆゑ)
063地上(ちじやう)にすだく諸草(もろぐさ)
064(めぐみ)(つゆ)(さへぎ)られ
065(かみ)(ひかり)をかくされて
066いや永久(とこしへ)日蔭者(ひかげもの)
067(おな)地上(ちじやう)()(なが)
068(ところ)()ざる吾々(われわれ)
069一生(いつしやう)つまらぬ(もの)ぞかし
070(この)難関(なんくわん)()りぬける
071唯一(ゆゐいつ)(のぞ)みは天空(てんくう)
072(ふう)じて()てる喬木(けうぼく)
073枝葉(えだは)(うち)()()つるより
074(ほか)手段(てだて)はなかるべし
075(ふる)へよ()てよ諸人(もろびと)
076いかなる圧迫(あつぱく)(きた)(とも)
077十手(じつて)(むち)(かず)(おほ)
078(すすき)(ごと)くに()()とも
079(いのち)(まと)()()した
080(われ)()はいかでか(おそ)れむや
081(てん)御声(みこゑ)(なんぢ)()
082伝達(でんたつ)(いた)すブルドック
083()()()へば救世主(きうせいしゆ)
084(わが)(こと)()(みみ)さらへ
085完全(うまら)委曲(つばら)()きおうせ
086(ねむ)れる(まなこ)()ませよや
087これ(ほど)(くも)つた()(なか)
088(かみ)(ほとけ)(なに)してる
089(さつ)する(ところ)(かみ)()
090(ほとけ)といふも道法衆(だうはふしう)
091(いち)()方便(はうべん)()ぎなかろ
092(おい)()最早(もはや)神仏(しんぶつ)
093(おもて)にかざして(のぞ)(とも)
094絶対(ぜつたい)(てき)無神論(むしんろん)
095(かみ)(ほとけ)(みと)めない
096(ただ)(わが)()てる腕力(わんりよく)
097唯一(ゆゐいつ)(ちから)とするのみぞ
098(いさ)めよ(いさ)諸人(もろびと)
099(わが)言霊(ことたま)(うべな)ひて
100(この)()(すく)(はたら)きに
101参加(さんか)(のぞ)(ひと)たちは
102()めず(おく)せず壇上(だんじやう)
103(のぼ)つて所信(しよしん)吐露(とろ)せよ
104(この)()(この)(まま)おいたなら
105(われ)()世界(せかい)弱者(じやくしや)()
106(ほろ)びゆくより(みち)はない
107すべて最後(さいご)解決(かいけつ)
108運根鈍(うんこんどん)(かぎ)るぞよ』
109()()てる。110取締(とりしまり)は「中止(ちうし)111解散(かいさん)(めい)ず」と大声(たいせい)叱呼(しつこ)する。112弁士(べんし)(つぎ)から(つぎ)へと取締(とりしまり)制止(せいし)()かず登壇(とうだん)して各自(かくじ)(ねつ)をふく。113取締(とりしまり)引摺(ひきず)(おと)さうとする。114(たちま)数千(すうせん)取締(とりしまり)数千(すうせん)聴衆(ちやうしう)との(あひだ)大格闘(だいかくとう)(えん)じ、115何者(なにもの)悪戯(いたづら)か、116彼方(あち)此方(こち)町々(まちまち)より、117黒煙(こくえん)濛々(もうもう)立上(たちのぼ)り、118チヤン チヤン チヤンと警鐘(けいしよう)乱打(らんだ)(こゑ)(きこ)(きた)る。119取締(とりしまり)群衆(ぐんしう)狼狽(らうばい)(きよく)(たつ)右往(うわう)左往(さわう)散乱(さんらん)して()(ところ)()らなかつた。120其処(そこ)(うま)(またが)つて、121愛州(あいしう)122源州(げんしう)123平州(へいしう)124藤州(とうしう)数多(あまた)部下(ぶか)指揮(しき)し、125消防隊(せうばうたい)組織(そしき)して、126()(あが)火災(くわさい)(のこ)らず()しとめ、127喇叭(らつぱ)()いて悠々(いういう)として(ひき)あげて(しま)つた。128火事(くわじ)もすみ、129騒動(さうだう)(やや)おさまつた(ところ)へ、130取締所(とりしまりしよ)のポンプが数多(あまた)取締(とりしまり)保護(ほご)されてやつて()た。131一旦(いつたん)()()つた群衆(ぐんしう)(また)もや赤切(あかぎれ)公園(こうゑん)(あつ)まり(きた)り、132(ふたた)演説会(えんぜつくわい)開催(かいさい)された。133弁士(べんし)(かは)(がは)熱弁(ねつべん)(ふる)ひ、134伊佐彦(いさひこ)内閣(ないかく)倒壊(たうくわい)135持丸(もちまる)階級(かいきふ)討滅(たうめつ)136清家(せいか)階級(かいきふ)打破(だは)せよなど勝手(かつて)(ねつ)()()てる。137群衆(ぐんしう)刻々(こくこく)(その)(すう)()し、138ワイワイとどよめき(わた)り、139弁士(べんし)(こゑ)(つひ)(みみ)()らなくなつて(しま)つた。140取締(とりしまり)(また)次第(しだい)々々(しだい)(その)(すう)()し、141十重(とへ)二十重(はたへ)(とり)まいて、142(ここ)第二(だいに)修羅場(しゆらぢやう)演出(えんしゆつ)した。143今回(こんくわい)闘争(とうさう)(もつと)激烈(げきれつ)(きは)め、144阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)(こゑ)四方(しはう)(おこ)り、145(ほとん)戦場(せんぢやう)(ごと)景況(けいきやう)(てい)し、146何時(いつ)()つべしとも見当(けんたう)がつかなかつた。147賢平(けんぺい)取締(とりしまり)武器(ぶき)衆生(しゆじやう)()られ進退(しんたい)()(きは)まり、148逃場(にげば)(うしな)(こま)つて()る。149そこへ白馬(はくば)(またが)り、150被面布(ひめんぷ)(かぶ)(なが)ら、151(こゑ)(すず)しく宣伝歌(せんでんか)(うた)つて()()女性(ぢよせい)がある。
152『オレオン星座(せいざ)()()でて
153豊葦原(とよあしはら)中津国(なかつくに)
154(うづ)(みやこ)天降(あも)りたる
155(かみ)使(つかひ)松代姫(まつよひめ)
156(この)()(すく)(その)(ため)
157白馬(はくば)(またが)(あら)はれて
158衆生(しゆじやう)一同(いちどう)にさとすなり
159(みな)(しづ)まれよ(しづ)まれよ
160(なんぢ)()一同(いちどう)皇神(すめかみ)
161(めぐみ)(つゆ)(つつ)まれし
162(たふと)(まこと)(うづ)()
163兄弟(きやうだい)(かき)(せめ)ぐとは
164(なん)たる心得(こころえ)(ちが)ひぞや
165(はるか)(てん)より(この)世界(せかい)
166(きよ)(まなこ)()わたせば
167(うへ)()(もの)(しも)にゐる
168民草(たみぐさ)どちらも()くはない
169(たがひ)意地(いぢ)(たて)(とほ)
170名利(めいり)物欲(ぶつよく)第一(だいいち)
171(おも)ひひがめて肝腎(かんじん)
172(わが)(たましひ)(かへり)みず
173いと(あさ)ましき修羅場(しゆらぢやう)
174ここに現出(げんしゆつ)したものぞ
175(いづ)れも一同(いちどう)(こころ)をば
176(しづ)めて(かみ)(のり)()
177天教山(てんけうざん)()れませる
178木花姫(このはなひめ)御言(みこと)もて
179(うづ)御国(みくに)衆生(しゆじやう)をば
180天国(てんごく)浄土(じやうど)(すく)はむと
181(いま)(あら)はれ(きた)りけり
182松若彦(まつわかひこ)(はじ)めとし
183伊佐彦(いさひこ)(つかさ)政策(せいさく)
184(まつた)時勢(じせい)(かへり)みぬ
185無謀(むぼう)至極(しごく)行方(やりかた)
186(しも)万衆(ばんしう)心根(こころね)
187(かみ)をば(わす)肝腎(かんじん)
188(わが)(たましひ)所在(ありか)をば
189忘却(ばうきやく)したる(むく)ひぞや
190(ひと)(かみ)()(かみ)(みや)
191天津国(あまつくに)より精霊(せいれい)
192(かみ)御心(みこころ)(かしこ)みて
193()()(ひと)(うま)()
194(その)肉体(にくたい)()(なが)
195(この)有様(ありさま)何事(なにごと)
196(ひと)たる(もの)所作(しよさ)でない
197(とら)(おほかみ)(くま)(しし)
198(ただ)しは八岐(やまた)大蛇(をろち)()
199(たとへ)がたなき醜体(しうたい)
200天地(てんち)にさらせし(あさ)ましさ
201()(あらた)めよ諸人(もろびと)
202(うへ)(した)との(へだて)なく
203(たか)(いやし)(わか)ちなく
204(こころ)(あは)(ちから)をば
205(ひと)つになして(うづ)(くに)
206(かみ)(たま)ひし霊国(れいごく)
207堅磐(かきは)常磐(ときは)(まも)れかし
208いざいざさらばいざさらば
209(われ)(これ)より八重雲(やへぐも)
210かきわけ(あめ)(のぼ)()
211万一(まんいち)(かみ)(こと)()
212(そむ)衆生(しゆじやう)のありとせば
213神罰(しんばつ)(たちま)(くだ)るべし
214あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
215(すめ)大神(おほかみ)御心(みこころ)
216(ここ)伝達(でんたつ)なし(をは)る』
217()(なが)ら、218(うま)(むちう)浅原山(あさはらやま)山頂(さんちやう)()がけて(くも)(かす)みと(かけ)()く。219(いま)(あら)はれた松代姫(まつよひめ)(しよう)する女武者(をんなむしや)220(その)(じつ)松若彦(まつわかひこ)(むすめ)常磐姫(ときはひめ)であつた。221常磐姫(ときはひめ)春乃姫(はるのひめ)(しめ)(あは)せ、222奇智(きち)(ろう)して天使(てんし)()()み、223(いち)()擾乱(ぜうらん)平定(へいてい)せしめむが(ため)(あら)はれたのである。
224 賢平(けんぺい)取締(とりしまり)群集(ぐんしふ)酒偽者(しゆぎしや)も、225(かみ)(しん)ずる(もの)(しん)()(もの)も、226(うるは)しき美人(びじん)出現(しゆつげん)(きも)(つぶ)し、227(たけ)()つたる(いきほひ)()がれ、228争闘(さうとう)()()めて、229(ただ)茫然(ばうぜん)浅原山(あさはらやま)()して()()(あや)しき(をんな)姿(すがた)見送(みおく)つて()た。
230 ()かる(ところ)蓑笠(みのかさ)草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)扮装(いでたち)にて、231被面布(ひめんぷ)(かぶ)(なが)ら、232(こゑ)(すず)しく宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつ(すす)(きた)(をんな)がある。
233(かみ)(おもて)(あら)はれて
234三千(さんぜん)世界(せかい)(ひき)ならす
235すべて(この)()天地(あめつち)
236(かみ)(つく)りし楽園(らくゑん)
237(この)()()ふる人草(ひとぐさ)
238(たか)(ひく)きの(へだ)てなく
239(たがひ)(むつ)(した)しみて
240(かみ)(たま)ひし(たから)をば
241(たがひ)(わか)万遍(まんべ)なく
242分配(ぶんぱい)すべき御律(みのり)ぞや
243一方(いつぱう)(たか)(たから)をば
244()(かさ)ぬれば一方(いつぱう)
245(かなら)()けて(ひく)くなり
246一方(いつばう)(たのし)(もの)あらば
247一方(いつばう)(くるし)(もの)出来(でき)
248(これ)では平和(へいわ)()はれない
249(いま)天運(てんうん)(めぐ)()
250高砂城(たかさごじやう)(おく)(ふか)
251(すく)ひの(かみ)(あら)はれぬ
252(われ)春乃(はるの)(ひめ)なるぞ
253この衆生(しゆじやう)難儀(なんぎ)をば
254(すく)ひやらむと朝夕(あさゆふ)
255(すべ)ての(たから)打捨(うちす)てて
256模範(もはん)(しめ)蓑笠(みのかさ)
257()(まと)ひつつ町々(まちまち)
258(めぐ)りて(まこと)(さと)(ども)
259清家(せいか)階級(かいきふ)持丸(もちまる)
260(よく)にからまれ()はさめず
261(みみ)(ふさ)ぎて衆生(しゆじやう)
262(この)号泣(がうきふ)悲鳴(ひめい)さへ
263(わか)らぬ(まで)になり()てぬ
264あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
265モウ(この)(うへ)(かみ)(さま)
266御手(みて)にすがりて黎明(れいめい)
267()(ひら)くより(みち)はない
268()ざめよ()ざめよ上下(うへした)
269各階級(かくかいきふ)人々(ひとびと)
270天津国(あまつくに)より皇神(すめかみ)
271御言(みこと)(かしこ)(くだ)()
272国依別(くによりわけ)御子(みこ)となり
273(いま)(まで)城中(じやうちう)(そだ)ちしが
274いよいよ(てん)(とき)(きた)
275(かみ)(はしら)(あら)はれて
276(なんぢ)衆生(しゆじやう)()(をし)
277あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
278(かみ)言葉(ことば)二言(にごん)なし
279(くひ)(あらた)めよ(いまし)めよ』
280()つたきり、281(けぶり)(ごと)何処(どこ)とも()姿(すがた)(かく)した。282群衆(ぐんしう)異口(いく)同音(どうおん)春乃姫(はるのひめ)()いて感歎(かんたん)言葉(ことば)()()かつた。283負傷(ふしやう)した役人(やくにん)衆生(しゆじやう)も、284一言(いちごん)叱言(こごと)()はず(おのおの)家路(いへぢ)(かへ)()く。285(はた)して今後(こんご)春乃姫(はるのひめ)出現(しゆつげん)()りて衆生(しゆじやう)(こころ)鎮静(ちんせい)し、286取締(とりしまり)衆生(しゆじやう)との争闘(さうとう)()()たれるであらうか。
287大正一三・一・二三 旧一二・一二・一八 伊予 於山口氏邸、松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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