森々と天に伸び行く鶴山の樹々の梢に栄ゆる我道
(昭和十年六月二十三日)〈第4章(再版)〉
五月雨晴れて涼しき風いたる鶴山神園に静かに筆持つ
(昭和十年六月二十三日)〈第6章(再版)〉
夕月を打ち仰ぎつつ鶴山の神苑に立てば仏法僧啼く〈第7章(再版)〉
フクローの声に交りて仏法僧啼く音を聴けば重たかりけり
(昭和十年六月二十三日 於鶴山)〈第7章(再版)〉
夏雨は降りみ降らずみ久方の御空くもらひ暑き今日なり〈第9章(再版)〉
山麓の樹々の梢を揺るがせて下りの汽車は辷り行くなり〈第9章(再版)〉
本宮山樹海の波を立たせつつ吠え猛り行く青嵐かな
(昭和十年六月二十三日)〈第9章(再版)〉
賤機を織れる乙女の姿見て涙ぐましくなりし入梅なり〈第10章(再版)〉
金竜の池のおもてに静やかに浮ける緋鯉の大いなるかも〈第10章(再版)〉
神苑に吾が植ゑ込みし常磐樹は茂り栄えて隠るる三重閣
(昭和十年六月二十三日)〈第10章(再版)〉
鶴山に帰りて見れば風清く神苑の樹々は茂り重なる〈第11章(再版)〉
吹きわたる風に若葉の打ちなびく状をし見れば浪に似たりき
(昭和十年六月二十三日)〈第3章(再版)〉
曲神に誑かされしまめ人の眼を覚ましたる話聴きけり〈第12章(再版)〉
父親の遺産残らず浪費して漸く気の付き正道に入れり〈第12章(再版)〉
四尾山尾ノ上に高くほととぎす啼く夕暮の静かなるかな〈第12章(再版)〉
ほととぎす五月の空に啼きながら遠方の山辺に飛び去りにけり〈第12章(初版)〉
どんよりと曇りし空に飛行機の音高々と聞こゆる鶴山
(昭和十年六月二十三日)〈第21章(再版)〉
青垣山四方に巡れる鶴山に夏を休らひ時鳥を聴く〈第13章(再版)〉
そよそよと椎の若葉をなめて来し風のすがしき高殿の朝なり
(昭和十年六月二十三日)〈第22章(再版)〉
アリナ山の懸橋御殿に辿りつき主従息を休めて語らふ〈第14章(再版)〉
砿泉染の水源深く掘り下げて鉄管布設せむと努むる〈第15章(再版)〉
鶴山の砿泉染の声望は高くなりつつ機場忙はしも
(昭和十年六月二十三日)〈第15章(再版)〉
高殿の窓明け放ちながむれば弥仙の神山雨煙るなり〈第18章(再版)〉
雨煙る何鹿平野の真ん中に清しく立てる本宮の山〈第18章(再版)〉
汽車の行く音を聴きつつ高殿に吾校正のペン持ちにけり
(昭和十年六月二十三日)〈第18章(再版)〉
和知川の水浅みつつ鮎あさる人影とみに多くなりけり〈第19章(再版)〉
小雲川に舟を浮べて遊びたる人かげ稀になりし今日かな
(昭和十年六月二十三日)〈第19章(再版)〉
朝日影見えつかくれつ梅雨の空
鶴山の朝啼きすがし家鶏の声
製糸場煙直ぐなり梅雨の晴れ(昭和十年六月二十三日)〈第21章(再版)〉
[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]