霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一章 信人権(しんじんけん)〔一七六八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第1篇 花鳥山月 よみ(新仮名遣い):かちょうさんげつ
章:第1章 信人権 よみ(新仮名遣い):しんじんけん 通し章番号:1768
口述日:1925(大正14)年02月13日(旧01月21日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
物語の背景
バラモン教の根源地たるインドは、七千余国を一団となす地であり、浄行(僧侶階級?)、刹帝利(クシャトリア=武士)、首陀(シュードラ=隷属民)、毘舎(ヴァイシャ=商人)、その他の階級が設けられていた。
一方、ウラル教がデカタン高原の一角に勢力を築き、バラモン教の本拠ハルナの都に向かって教線を拡大しつつあった。
この状況に、バラモン教の大黒主は「宣伝将軍」を各地に遣わし、とくに大足別将軍に数千の兵を与え、討伐を主目的として出発せしめていた。
舞台となるトルマン国は、デカタン高原の最も土地の肥えた所にあり、国土は広くはないが、かなりの人口を持っている。そして、地理上、代々ウラル教を報じていた。
大黒主は、トルマン国にもバラモンの勢力を広めるため、寵臣キューバーに命じて、スコブツエン宗という、名前は違うが内容は同じ一派を立てさせ、トルマン国にて布教させた。しかし、王家・有力者の人々はスコブツエン宗に入信することはなかった。
キューバーは、大黒主の寵臣として、また密命を受けた身として、特殊の権利と地位を与えられていた。バラモン軍の将軍たちでさえも、キューバーに従わざるを得なかった。
キューバーのスコブツエン宗は、バラモン教に輪をかけて難行・苦行を重んじる残酷な宗旨である。
ある小さな山里の古ぼけた祠の前で、二人の三五教徒の首陀、レールとマークが、バラモンの批判をしている。その現世的なやり方、差別をあげつらい、首陀向上運動の進展、信仰の独立を目指している。
そこへ、スコブツエン宗のキューバーが現れた。首陀たちはにわかに話題を転じ、さっさと逃げてしまう。
キューバーは、耳さとく大黒主への反逆を聞き取って姿をあらわしたが、レールとマークもいち早く山林に姿を隠してしまった。レール、マークは再びキューバーの悪口に花を咲かせるが、またもやキューバーが追ってくるのを認めて、山林の奥へ逃げてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7001
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第12輯 391頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:2頁 初版: ページ備考:
001 往古(わうこ)文化(ぶんくわ)中心(ちうしん)002仏祖(ぶつそ)出現地(しゆつげんち)なる七千(しちせん)()(こく)をかためて一団(いちだん)となしたる印度(いんど)003浄行(じやうぎやう)004刹帝利(せつていり)005首陀(しゆだ)006毘舎(びしや)(その)()各種(かくしゆ)階級(かいきふ)(まう)けられて()た。007(こと)印度(いんど)はバラモン(けう)根元地(こんげんち)とも()ふべき(くに)である。008さうしてウラル(けう)はデカタン高原(かうげん)一角(いつかく)に、009相当(さうたう)勢力(せいりよく)(たも)ち、010バラモン(けう)本城(ほんじやう)ハルナの(みやこ)(むか)つて、011ややもすれば教線(けうせん)拡張(くわくちやう)し、012大黒主(おほくろぬし)根底(こんてい)(くつが)へさむとするの(がい)があつた。013(ここ)大黒主(おほくろぬし)宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)四方(しはう)(つかは)し、014(こと)にこの方面(はうめん)大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)数千(すうせん)(へい)(あた)へて015討伐(たうばつ)のみを(しゆ)たる目的(もくてき)にて出発(しゆつぱつ)せしめたのである。016()てデカタン高原内(かうげんない)(もつと)土地(とち)(こえ)たるトルマン(ごく)(あま)(だい)なる区域(くゐき)ではないが、017相当(さうたう)沢山(たくさん)(ひと)()んで()る。018さうして地理(ちり)(じやう)関係(くわんけい)からウラル(けう)(ほう)じて()た。019トルマン(ごく)(わう)()はガーデンと()ふ。020ガーデンはウラル(けう)(しん)ずるでもなく、021(また)排斥(はいせき)するでもなく、022祖先(そせん)伝来(でんらい)宗教(しうけう)として、023(とむら)ひの儀式(ぎしき)にのみ(もち)ふる(くらゐ)観念(くわんねん)()つて()た。024(しか)るに国民(こくみん)過半数(くわはんすう)はウラル(けう)(ほう)じ、025一部分(いちぶぶん)はバラモン(けう)()り、026二三分(にさんぶ)(どほ)りはスコブツエン(しう)(あらた)入信(にふしん)する(こと)となり、027(その)(いきほ)ひは燎原(れうげん)()()(ごと)くであつた。028ハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)はバラモン(けう)宣伝使(せんでんし)(つか)はして、029トルマン(ごく)全部(ぜんぶ)バラモンの勢力(せいりよく)範囲(はんゐ)になさむものと、030いろいろ苦心(くしん)結果(けつくわ)031到底(たうてい)バラモンの()にてはこの(くに)人心(じんしん)(とう)じない(こと)(さと)り、032狡猾(かうくわつ)にして万事(ばんじ)抜目(ぬけめ)のない大黒主(おほくろぬし)は、033日頃(ひごろ)手慣(てなづ)けおいた、034寵臣(ちようしん)のキユーバーに(めい)じ、035バラモン(けう)()()けて、036スコブツエン(しう)()ふ、037変名(へんめい)同主義(どうしゆぎ)宗教(しうけう)(きづ)かせ、038()第一(だいいち)にトルマン(わう)帰順(きじゆん)せしめむと百方(ひやくぱう)尽力(じんりよく)して()たのである。039トルマン(わう)のガーデンには千草姫(ちぐさひめ)()王妃(わうひ)があり、040太子(たいし)はチウイン、041王女(わうぢよ)はチンレイと()つた。042左守(さもり)(かみ)をフーランと()ひ、043(つま)モクレンとの(なか)にテイラと()一人娘(ひとりむすめ)があつた。044右守(うもり)(かみ)はスマンヂーと()(つま)(すで)(この)()()り、045ハリスと()一人(ひとり)(むすめ)をもつて()た。046(しか)るに(わう)(はじ)め、047左守(さもり)右守(うもり)はバラモン(けう)はもとより、048スコブツエン(しう)には(なに)(ほど)(すす)められても入信(にふしん)せず、049体的(たいてき)方面(はうめん)政治(せいぢ)のみに没頭(ぼつとう)して()たのである。050(ここ)にバラモン(ぐん)大足別(おほだるわけ)が、051(にはか)にトルマン(じやう)攻撃(こうげき)開始(かいし)した経緯(いきさつ)について、052(その)大略(たいりやく)()べて()ようと(おも)ふ。
053 トルマン(じやう)()十数(じふすう)()(へだ)てた、054(ある)(ちひ)さき山里(やまざと)(ふる)ぼけた(ほこら)(まへ)で、055二人(ふたり)首陀(しゆだ)何事(なにごと)(しきり)(ささや)()つて()た。056(はる)(はじめ)とは()へど、057()(かぜ)(さむ)青草(あをぐさ)()去年(きよねん)記念物(きねんぶつ)たる(なが)枯草(かれぐさ)(あひだ)から細長(ほそなが)(そら)(のぞ)いて()る。
058レール『信仰(しんかう)(てき)自覚(じかく)した吾々(われわれ)擡頭(たいとう)()て、059バラモン階級(かいきふ)鬼畜(きちく)どもは周章(しうしやう)狼狽(らうばい)し、060(すくな)からず戦慄(せんりつ)恐怖(きようふ)(かん)じたものと()える。061彼奴(あいつ)()自分(じぶん)()占有(せんいう)せる支配(しはい)地位(ちゐ)たる宗教(しうけう)(じやう)062経済(けいざい)(じやう)より顛覆(てんぷく)しつつある(おの)自身(じしん)(かい)し、063(あは)至極(しごく)にも()(づら)をかわき、064勃興(ぼつこう)せる三五(あななひ)運動(うんどう)大征伐(だいせいばつ)(むか)つて(いま)死物狂(しにものぐる)ひになつて()る。065(おぼ)れむとするものは毒蛇(どくじや)尻尾(しつぽ)でも生命(いのち)(かぎ)りに(つか)まむとするものである、066(ことわざ)(どほ)りの彼奴(あいつ)()狂態(きやうたい)は、067噴飯(ふんぱん)価値(かち)以外(いぐわい)には(まつた)くゼロだ』
068マーク『さうだねー、069浪速節(なにはぶし)(がたり)屁放爺(へひりぢい)……………に奏任(そうにん)待遇(たいぐう)(あた)へたり、070若衆(わかしう)僧服(そうふく)(まと)はせたり、071老衆(らうしう)民風(みんぷう)作興(さくこう)卸売(おろしう)りしたり、072糞造機(ふんざうき)似而非(えせ)宗教家(しうけうか)思想(しさう)善導(ぜんだう)元売捌(もとうりさば)きを(ゆる)したのを()ても、073(いよいよ)彼奴(あいつ)()境遇(きやうぐう)暴露(ばくろ)せるもので、074(おも)へば(じつ)(あは)れな次第(しだい)ではないか。075(これ)()ても(いま)(まで)(しひた)げられた吾々(われわれ)三五(あななひ)教徒(けうと)()つては溜飲(りういん)()がる(やう)だ、076痛快(つうくわい)千万(せんばん)だアハヽヽヽ。077(しか)(なが)今日(こんにち)場合(ばあひ)078吾々(われわれ)(がう)油断(ゆだん)出来(でき)ない。079()層一層(そういつそう)この運動(うんどう)大努力(だいどりよく)(えう)する天下(てんか)別目(わけめ)時期(じき)だ。080バラモン教徒(けうと)滅亡(めつぼう)自業(じごふ)自得(じとく)結果(けつくわ)として拱手(きようしゆ)傍観(ばうくわん)すべきでは()い。081自業(じごふ)自得(じとく)必然性(ひつぜんせい)(みと)むればこそ、082()(いたち)最期屁(さいごぺ)害毒(がいどく)甚大(じんだい)なるを(さと)ればこそ、083吾々(われわれ)最善(さいぜん)戦法(せんぱふ)(えら)んで一刻(いつこく)(はや)宗教戦(しうけうせん)勝利(しようり)()るやうに、084奮闘(ふんとう)努力(どりよく)せなければならぬ。085彼奴(あいつ)()のこの自業(じごふ)自得(じとく)収獲(しうくわく)こそ人類(じんるゐ)史上(しじやう)086最大(さいだい)罪悪(ざいあく)裁判(さいばん)結果(けつくわ)で、087一点(いつてん)(じよ)すべき(ところ)はないのだ。088(ただ)吾々(われわれ)彼奴(あいつ)らの滅亡(めつぼう)(いち)(にち)(はや)断行(だんかう)し、089促進(そくしん)することが(むし)彼奴(あいつ)()(たい)してせめてもの優遇(いうぐう)だ、090(とむら)ひだ、091ハナムケともなるべき慈善(じぜん)だ。092アハヽヽヽ』
093レ『(おれ)(たち)仲間(なかま)第一(だいいち)(しやく)(さわ)(こと)暴利(ばうり)権化(ごんげ)とも()ふべきブル(てき)宗教家(しうけうか)今日(こんにち)のやり(かた)だ。094好景気(かうけいき)時代(じだい)に、095(おの)()づシコタマ信徒(しんと)(あぶら)(しぼ)懐中(くわいちう)をふくらせやがつて、096最後(さいご)にお義理(ぎり)(てき)申訳(まうしわけ)(てき)に、097渋々(しぶしぶ)吾々(われわれ)三五教(あななひけう)信者(しんじや)へホンの鼻糞(はなくそ)ほどのお(まも)(ふだ)()れよつて、098恩情(おんじやう)主義(しゆぎ)だの(なん)のと臆面(おくめん)もなく誤託(ごたく)(ほざ)き、099(おれ)(たち)(あせ)(あぶら)(しぼ)つて妾宅(せふたく)(つく)り、100栄華(えいぐわ)(ゆめ)()(つぶ)れ、101一朝(いつてう)不景気(ふけいき)(かぜ)()(はじ)めると、102(なに)()()きイの一番(いちばん)にお(ふだ)値下(ねさ)げだの、103(はら)(ばこ)だのと大鉈(おほなた)()()げ、104人間(にんげん)生命(せいめい)(せい)し、105ミイラを製造(せいざう)しておき(なが)ら、106(おの)れは依然(いぜん)として(あま)(しる)をシコタマ吸収(きふしう)し、107そして(ぬか)すことを()けば………宗教界(しうけうかい)不景気(ふけいき)(かぜ)()(すさ)み、108真価(しんか)()()ふて暴落(ばうらく)として()た。109こんな悪現象(あくげんしやう)招来(せうらい)した原因(げんいん)信仰律(しんかうりつ)低下(ていか)と、110教義(けうぎ)(あま)りに高尚(かうしやう)()ぐるからだ………と(ほざ)きやがるのだ。111そして洒々(しやしや)として()まし()んで()やがる。112ブル宗教家(しうけうか)連中(れんぢう)矢張(やは)吾々(われわれ)同様(どうやう)(しろ)(こめ)()つて黄色(きいろ)(くそ)()れる人間(にんげん)片割(かたわ)れだ。113こんな(やつ)覇張(はば)つて()宗教界(しうけうかい)何時(いつ)になつても駄目(だめ)だないか』
114マ『そりや()(とほ)りだ、115(おれ)同感(どうかん)だ。116(しか)今日(こんにち)僧侶(そうりよ)(ども)(じつ)()しからぬ代物(しろもの)ではないか。117(おれ)(たち)仲間(なかま)(たい)して(ぬか)すことには、118「お(まへ)(たち)()うな悪信仰(あくしんかう)没分暁漢(わからずや)(れん)八釜敷(やかましく)()つて()(まは)るものだから、119宗教(しうけう)()(つき)悪化(あくくわ)混乱(こんらん)状態(じやうたい)(おちい)るのだ」と(ほざ)きやがる。120こんな僧侶(そうりよ)盲目(めくら)(ども)は、121梵鐘(ぼんしよう)()らしたから火事(くわじ)(おこ)つたと()かす没分暁漢(わからずや)だ。122(さら)(また)人間(にんげん)社会(しやくわい)貧乏(びんばふ)()怪物(くわいぶつ)(あら)はれるのは、123食物(しよくもつ)生産力(せいさんりよく)()して人口(じんこう)加増率(かぞうりつ)一層(いつそう)(おほ)(ため)だから、124(これ)救済(きうさい)する唯一(ゆゐいつ)良法(りやうはふ)貧乏人(びんばふにん)(たち)節制(せつせい)して、125(あま)沢山(たくさん)()()まない(やう)にするのが、126社会(しやくわい)救治策(きうぢさく)最善(さいぜん)なる方法(はうはふ)手段(しゆだん)だ」と主張(しゆちやう)する馬鹿(ばか)学者(がくしや)(あら)はれて()た。127さて(いづ)れも理窟(りくつ)()きにして、128(かく)(ごと)坊主(ばうず)社会(しやくわい)公然(こうぜん)として生存(せいぞん)()るのも、129畢竟(ひつきやう)宗教家(しうけうか)第一(だいいち)主義(しゆぎ)社会(しやくわい)なればこそだ、130(おも)へば(なみだ)(こぼ)れる(ほど)有難(ありがた)きお目出度(めでた)次第(しだい)だ。
131 バラモン主義(しゆぎ)現代(げんだい)社会(しやくわい)(おい)横綱(よこづな)たる、132ブル宗教家(しうけうか)力士(りきし)土俵入(どへうい)りに(したが)雑僧(ざつそう)太刀持(たちもち)や、133露払(つゆばら)ひを(つと)むる御用(ごよう)学者(がくしや)出場(しゆつぢやう)なぞは、134(じつ)見物人(けんぶつにん)吾々(われわれ)()つては立派(りつぱ)見事(みごと)である。135(この)土俵入(どへうい)りを拝見(はいけん)する(ため)には、136随分(ずいぶん)種々(しゆじゆ)(うる)はしい名目(めいもく)で、137過重(くわぢう)見料(けんれう)否応(いなおう)なしに徴集(ちようしふ)されるのだから、138吾々(われわれ)貧弱(ひんじやく)(ほね)(かは)との痩肉(やせにく)には139錦上(きんじやう)(さら)(はな)(かざ)ると()ふお目出度(めでた)状態(じやうたい)だ。140アヽ吾々(われわれ)信徒(しんと)はこのお目出度(めでた)(たい)して祝福(しゆくふく)(げん)()べねばならぬ。141一層(いつそう)(こゑ)(おほ)きくして、142横綱(よこづな)力士(りきし)(いま)土俵(どへう)(そと)(ころ)()て、143手足(てあし)(くじ)吠面(ほえづら)()らす幕切(まくぎ)りを()たいものだ、144アハヽヽヽ』
145レ『(いち)(にち)(はや)くその土俵入(どへうい)りの盛観(せいくわん)幕切(まくぎ)りを拝見(はいけん)したいものだ。146(うで)()固唾(かたず)()拳骨(げんこつ)でも(かた)めて………』
147マ『それはさうとして、148(ぼく)友人(いうじん)なる首陀(しゆだ)のバリー(くん)149大喇嘛(だいらま)が「貴様(きさま)首陀(しゆだ)分際(ぶんざい)であり(なが)ら、150浄行(じやうぎやう)言語(げんご)使用(しよう)し、151頭髪(とうはつ)(なが)くしやがつて()しからぬ(やつ)だ」と()罵詈(ばり)雑言(ざふごん)(すゑ)152如意棒(によいぼう)をブラ()げた(ひげ)のある立派(りつぱ)番僧(ばんそう)散々(さんざん)つぱら毒付(どくつ)かれたのだ、153首陀(しゆだ)のくせに浄行(じやうぎやう)()使(つか)ひくさる」とは、154首陀(しゆだ)浄行(じやうぎやう)とは別国人(べつこくじん)だ。155印度人(いんどじん)では()いと()以上(いじやう)軽蔑(けいべつ)意味(いみ)充分(じゆうぶん)(ふく)まれて()るのだ。156(この)番僧(ばんそう)大喇嘛(だいらま)から「浄行語(じやうぎやうご)使(つか)首陀(しゆだ)用捨(ようしや)なく()(たふ)せ、157(なぐ)()けよ」との命令(めいれい)()けて()たか(いな)かは別問題(べつもんだい)として、158首陀(しゆだ)向上(かうじやう)運動(うんどう)煽動者(せんどうしや)であることだけは(きみ)()つて()るだらう。159(ゆゑ)吾々(われわれ)不逞(ふてい)首陀団(しゆだだん)(もく)されて()(あは)れな運動者(うんどうしや)よりも、160()所謂(いはゆる)番僧(ばんそう)(れん)を、161信徒(しんと)安定(あんてい)(うへ)から()厳粛(げんしゆく)取締(とりしま)らねば()るまいと(おも)ふのだ。162(じつ)(おも)ふても馬鹿(ばか)々々(ばか)しい問題(もんだい)だが、163番僧(ばんそう)(れん)片手(かたて)浄首(じやうしゆ)融和会(ゆうわくわい)()魔酔薬(ますゐやく)(つき)()し、164片手(かたて)では「浄行語(じやうぎやうご)をエラソウに使(つか)ひくさるから」とて拳骨(げんこつ)(つき)()して()るのだ。165(しか)首陀(しゆだ)向上団(かうじやうだん)連中(れんぢう)から()いて()ると、166(かう)不幸(ふかう)魔酔薬(ますゐやく)拳骨(げんこつ)(あま)好感(かうかん)(もつ)(むか)へられて()ないさうだ』
167レ『(ぼく)はそれだから、168近頃(ちかごろ)途上(とじやう)では()るべく浄行(じやうぎやう)番僧(ばんそう)には()はない(やう)にと注意(ちうい)してゐるのだ。169貴様(きさま)首陀(しゆだ)階級(かいきふ)(くせ)(おれ)(かほ)()るとは生意気(なまいき)千万(せんばん)(やつ)だ」と()ぐに(なぐ)られるのが(いや)だからだ。170ホントに馬鹿(ばか)々々(ばか)しいぢや()いか』
171マ『馬鹿(ばか)らしい(こと)()つたら、172一夕(いつせき)(おれ)亡妻(ばうさい)追悼会(つゐたうゑ)(もよほ)した(こと)があつたが、173数日(すうじつ)(のち)婆羅門(ばらもん)総本山(そうほんざん)から、1731番僧(ばんそう)()出張(しゆつちやう)(あそ)ばされて174「お(たく)追悼会(つゐたうゑ)(すこ)しも()らなかつた(ところ)175今日(こんにち)本山(ほんざん)から散々(さんざん)小言(こごと)()はれ、176(おほい)目玉(めだま)()()(ほど)(しか)られた。177それでお宅様(たくさま)追悼会(つゐたうゑ)には誰々(だれだれ)(あつ)まつたか、178どんな弔辞(てうじ)があつたか()かして()れろ」との(おほ)せだ。179(ぼく)葬婚(さうこん)礼儀(れいぎ)さへ(わきま)()らぬ番僧(ばんそう)(れん)にはホトホト(あき)(かへ)つて、180()いた(くち)早速(さつそく)(すぼ)まらなかつた。181そこで(あま)業腹(ごふばら)()つので182(いく)番僧(ばんそう)だつて葬式(さうしき)婚儀(こんぎ)にまで干渉(かんせう)する権利(けんり)はありますまい。183宗権(しうけん)蹂躙(じうりん)するものだから、184そんな(こと)答弁(たふべん)(かぎ)りでは御座(ござ)らぬ」とキツパリ温順(をんじゆん)()つて退()けてやつた。185さうすると()頓馬(とんま)番僧(ばんそう)186(その)翌朝(よくてう)から毎日(まいにち)六ケ敷(むつかしき)()面相(めんさう)(あそ)ばして187(たく)(おもて)如意棒(によいぼう)をブラ()(なが)頑張(ぐわんば)つて御座(ござ)るが、188(いづ)れの目的(もくてき)がお()(あそ)ばすのか(おれ)には合点(がつてん)()かない。189(また)その番僧(ばんそう)非常識(ひじやうしき)なやり(かた)(あそ)ばすのは、190(なん)理由(りいう)だか()(よし)もないが、191大喇嘛(だいらま)から(しか)られた(とき)()ほ「一層(いつそう)(きび)しく首陀(しゆだ)向上会(かうじやうくわい)をヤツつけろ」と()約束(やくそく)番僧間(ばんそうかん)金科(きんくわ)玉条(ぎよくでう)とされて()るのか、192()にも(かく)にも不都合(ふつがふ)(はなし)だ。193(じつ)吾々(われわれ)には迷惑(めいわく)(いた)りだ。194ウラナイバラニズムの()見本(みほん)だ。195キヽヽヽだ』
196レ『()(かく)(いち)(にち)(はや)吾々(われわれ)向上(かうじやう)運動(うんどう)(すす)めて、197根本(こんぽん)(てき)大運動(だいうんどう)198(いな)荒料理(あられうり)のメスを(ふる)はなくては駄目(だめ)だ。199吾々(われわれ)首陀(しゆだ)信徒(しんと)自滅(じめつ)するより(ほか)(すす)むべき(みち)()いのだ。200(なん)()つても黴菌(ばいきん)(おそ)れ、201難病(なんびやう)()ける医学(いがく)博士(はかせ)202毒蛇(どくじや)毒草(どくさう)()けて(とほ)博物(はくぶつ)学者(がくしや)203テンデ貧乏人(びんばふにん)には接近(せつきん)しない活仏(くわつぶつ)や、204(よわ)(もの)(いぢ)める牧師(ぼくし)公々然(こうこうぜん)として(あたま)(もた)げる暗黒(あんこく)世界(せかい)だもの、205(いは)んや(ぞく)(ぞく)たる婆羅門(ばらもん)僧侶(そうりよ)(おい)てをやだ。206吾々(われわれ)()くまでも婆羅門(ばらもん)どもの根城(ねじろ)根本(こんぽん)土台(どだい)から転覆(てんぷく)させん(こと)には、207信仰(しんかう)独立権(どくりつけん)保持(ほぢ)することさへ六ケ(むつか)しからうよ』
208 二人(ふたり)三五(あななひ)信者(しんじや)なる首陀(しゆだ)209(さかん)森蔭(もりかげ)(こし)()ろして(だん)じて()(ところ)へ、210錫杖(しやくぢやう)をガチヤつかせて悠然(いうぜん)(あら)はれたのは、211婆羅門(ばらもん)(けう)宣伝使(せんでんし)キユーバーであつた。212二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)姿(すがた)()るより(また)もやバラスパイが()よつたなーと、213(にはか)話頭(わとう)(てん)じて、
214レール『この(あひだ)()んだ(おれ)(せがれ)から幽冥(いうめい)通信(つうしん)があつたが、215その音信(おとづれ)に「地獄界(ぢごくかい)僧侶(そうりよ)牧師(ぼくし)ばかりで満員(まんゐん)だ。216普通(ふつう)人間(にんげん)では殺人(さつじん)217放火(はうくわ)ぐらいなもので、218(あま)(つみ)(かる)すぎて滅多(めつた)地獄(ぢごく)()れては()れない。219(しか)坊主(ばうず)牧師(ぼくし)なら(その)名称(めいしよう)だけでも幾人(いくにん)でも()()(こと)出来(でき)る」とのことだつたよ』
220キユーバー『(きみ)たちは(いま)(なに)(はな)して()ましたか、221(おだや)かならぬ(こと)(しやべ)つて()(やう)だなア。222(まへ)姓名(せいめい)(なん)()ふか、223()かして(もら)ひたいものだ』
224レール『(おれ)()(おれ)だ、225友人(いうじん)()友人(いうじん)だ。226坊主(ばうず)何処(どこ)までも坊主(ばうず)だ。227オイ兄弟(きやうだい)228サア()かう』
229(しり)()かけて一目散(いちもくさん)()()した。230キユーバー(急場(きふば))に(せま)つた(とき)三十六(さんじふろく)(けい)(おく)()だと、231(あたま)(かか)へてトントントンと畔路(あぜみち)()けつ(まろ)びつ(はし)()く。
232 ()婆羅門(ばらもん)(けう)宣伝使(せんでんし)233スコブツエンと()一派(いつぱ)宗旨(しうし)(ひら)いた(しん)婆羅門(ばらもん)教祖(けうそ)であつて、234婆羅門(ばらもん)大棟梁(だいとうりやう)大黒主(おほくろぬし)()()け、235(ひそか)第二(だいに)準備(じゆんび)()りかかつたのである。236大黒主(おほくろぬし)万々一(まんまんいち)婆羅門(ばらもん)(けう)が、237ウラル(けう)(また)三五教(あななひけう)(つぶ)された(とき)は、238スコブツエン(けう)()(たく)すべく、239()れキユーバーに数多(あまた)機密費(きみつひ)(あた)へ、240()特殊(とくしゆ)権利(けんり)地位(ちゐ)(あた)へて、241隠密(おんみつ)役目(やくめ)申付(まをしつ)けて()たのである。242(ゆゑ)()れキユーバーは(なん)不自由(ふじゆう)(かん)ぜず、243傲然(がうぜん)として(たか)()まり、244官民(くわんみん)睥睨(へいげい)しつつ天下(てんか)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)して()たのである。245大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)も、246()れが特殊(とくしゆ)地位(ちゐ)()ることと、247絶大(ぜつだい)なる権威(けんゐ)大黒主(おほくろぬし)授与(じゆよ)されて()(こと)()つて()るので、248抜目(ぬけめ)()大足別(おほだるわけ)249キユーバーに(たい)しては色々(いろいろ)()びを(てい)し、250()(かれ)(まへ)()でては、251(ほとん)従僕(じゆうぼく)(ごと)態度(たいど)(もつ)(のぞ)み、252()(めい)()(したが)ふのみであつた。
253 ()てキユーバーが東地(ハルナ)(みやこ)大黒主(おほくろぬし)内命(ないめい)()けて(ひら)いて()婆羅門(ばらもん)(けう)別派(べつぱ)254スコブツエン(しう)255由来(ゆらい)難行(なんぎやう)苦行(くぎやう)(もつ)(かみ)奉仕(ほうし)(まこと)(ささ)ぐるものと()し、256()くだに(おそ)ろしき苦行(くぎやう)教団(けうだん)である。257百千(ひやくせん)苦行(くぎやう)信徒(しんと)(むか)つて(しひ)(てん)は、258婆羅門(ばらもん)(けう)(すこ)しも(ことな)りはないが、259(こと)(はなは)だしき苦行(くぎやう)260婦人(ふじん)がヱマスキユレート(すなは)男性化(だんせいくわ)修業(しうげふ)で、261変性(へんじやう)男子(なんし)(ぐわん)()てて女性(ぢよせい)たることを(だつ)せむとする(こと)が、262(もつと)重要(ぢうえう)とされて()る。263(その)方法(はうはふ)には卵巣(らんさう)除去法(ぢよきよはふ)乳房(ちぶさ)除却法(ぢよきやくはふ)とがあつて、264卵巣(らんさう)除去法(ぢよきよはふ)修業(しうげふ)になると、265(ひやく)(にん)(うち)九十九(くじふく)(にん)(まで)生命(いのち)(おと)すに(いた)る、266(じつ)惨酷(ざんこく)なる修業(しうげふ)であり、267乳房(ちぶさ)除却法(ぢよきやくはふ)(いた)つては、268白熱(はくねつ)せる火箸(ひばし)(もつ)婦人(ふじん)乳房(ちぶさ)()()るのである。269()くした(もの)(たい)して270教主(けうしゆ)(およ)重役人(ぢうやくにん)婆羅門(ばらもん)大神(おほかみ)奉仕(ほうし)標章(へうしやう)するため焼印(やきいん)()す。271(これ)熱火(ねつくわ)洗礼(せんれい)(とな)へて()る。272()くして()(おと)された乳房(ちぶさ)聖壇(せいだん)(そな)へられ、273(これ)(ささ)げたる犠牲者(ぎせいしや)聖座(せいざ)安置(あんち)されて、274(かみ)(ごと)くに崇敬(すうけい)されるのである。275そして聖晩餐(せいばんさん)食物中(しよくもつちう)には、276乳房(ちぶさ)断片(だんぺん)()ぜられ、277会衆(くわいしう)一同(いちどう)(これ)(きつ)(をは)るや、278犠牲者(ぎせいしや)周囲(しうゐ)熱狂(ねつきやう)せる舞踏(ぶたう)(えん)ぜられるのである。279その光景(くわうけい)(じつ)凄惨(せいさん)(きは)まるもので、280(ただ)しき神々(かみがみ)所為(しよゐ)でないことは(これ)()ても(わか)るのである。281(そもそ)乳房(ちぶさ)女性(ぢよせい)のシンボルであり、282()のシンボルであり、283(また)婦人(ふじん)生殖器(せいしよくき)一部(いちぶ)とさへ(かんが)へられて()た。284畢竟(つまり)285婦人(ふじん)代表(だいへう)さるものは乳房(ちぶさ)だと()観念(くわんねん)(もと)()てられた邪教(じやけう)なのである。286印度(いんど)(おこ)つた宗教(しうけう)(せつ)(がい)して、287自我(じが)世界(せかい)纒綿(てんめん)世界(せかい)であるとか、288出纒(しゆつてん)(ぎやう)()ひ、289無我(むが)()ひ、290(くう)()ひ、291解脱(げだつ)()ひ、292涅槃(ねはん)()つて293所謂(いはゆる)転迷(てんめい)開悟(かいご)(もつぱ)らなる諸々(もろもろ)宗教(しうけう)発生(はつせい)するだけあつて、294土地(とち)気温(きをん)関係(くわんけい)(しか)らしむる(ため)か、295印度(いんど)()(くに)(おそ)ろしく(うつく)しい、296()物凄(ものすご)壮大(さうだい)自然(しぜん)(つつ)まれた、297何百種(なんびやくしゆ)かの人間(にんげん)幾百種(いくひやくしゆ)階級(かいきふ)(つく)り、298幾百種(いくひやくしゆ)言語(げんご)使(つか)つて()(くに)だけあつて、299樹上(じゆじやう)(さん)(ねん)300(いし)(うへ)(じふ)(ねん)()つたり(すわ)つたりして()たり、301(あな)(なか)逆立(さかだち)(さん)月間(げつかん)(つづ)けて修行(しうぎやう)するとか、302(みづ)ばかり()んで()きるだけ()きるとか、303木乃伊(みゐら)となるために氷雪(ひようせつ)(うち)304岩角(いはかど)(うへ)飲食物(いんしよくぶつ)()つて(すわ)つて修行(しうぎやう)すると()ふやうな迷信(めいしん)305妄信(ばうしん)306愚信(ぐしん)307悪邪信(あくじやしん)醗酵地(はつかうち)であり、308持戒(ぢかい)309精進(しやうじん)310禅定(ぜんぢやう)311忍辱(にんにく)などと八釜敷(やかまし)(さけ)(なが)らも、312淫靡(いんび)313不浄(ふじやう)314惰弱(だじやく)始末(しまつ)()へない国民性(こくみんせい)である。315それ(ゆゑ)自然(しぜん)結果(けつくわ)としてスコブツエン(しう)(ごと)きものが発生(はつせい)()たのである。
316 ()教祖(けうそ)のキユーバーは(すご)()をギヨロつかしながら、317レール、318マークの二人(ふたり)談話(だんわ)耳敏(みみざと)くも()()つて、319大黒主(おほくろぬし)国家(こくか)(くつが)へすものと憂慮(いうりよ)し、320二人(ふたり)()()姿(すがた)追跡(つゐせき)せむと金剛杖(こんがうづゑ)(ちから)に、321一生(いつしやう)懸命(けんめい)焦慮(あせり)()したのである。322(しか)るに()二人(ふたり)逸早(いちはや)くも山林(さんりん)姿(すがた)(かく)し、323谷川(たにがは)(みづ)(すく)つて咽喉(のど)(うるほ)しながら、
324レール『オイ、325マーク大変(たいへん)(やつ)出会(でくは)したものだないか。326彼奴(あいつ)大黒主(おほくろぬし)邸内(ていない)数年前(すうねんぜん)まで出入(でいり)して、327大黒主(おほくろぬし)(おん)(おぼ)目出度(めでた)かつたと()ふスコブツエン(しう)親玉(おやだま)ぢやないか、328下手(へた)魔誤(まご)()いて()たら大黒主(おほくろぬし)より重罰(ぢうばつ)(しよ)せられる(あぶ)ない(ところ)だつた。329()んな坊主(ばうず)何故(なぜ)あれほど威張(ゐば)()らしよるのだらう。330何故(なぜ)あんな不完全(ふくわんぜん)(きは)まる宗教(しうけう)(ほろ)びないのだらうか』
331マーク『印度(いんど)七千(しちせん)余国(よこく)には幾百(いくひやく)(ちひ)さい宗教(しうけう)があるが、332(いづ)れの宗教(しうけう)完全(くわんぜん)なものは(ひと)つも()いにきまつて()るよ。333(こと)()宗教(しうけう)殊更(ことさら)不完全(ふくわんぜん)(きは)まる未成品(みせいひん)(しう)だから、334命脈(めいみやく)(たも)つて()るのだ。335(すべ)不完全(ふくわんぜん)なものには将来(しやうらい)発達(はつたつ)すべき余地(よち)があり、336未来(みらい)があるのだ。337完全(くわんぜん)行詰(ゆきづま)りを意味(いみ)し、338結局(けつきよく)滅亡(めつぼう)代名詞(だいめいし)(ほか)ならないのだ、339アハヽヽヽ』
340レ『さうすると吾々(われわれ)運動(うんどう)成功(せいこう)せない未完成(みくわんせい)(あひだ)が、341(はな)もあり、342(にほひ)もあり、343()もあり、344世人(せじん)からも注目(ちうもく)されるのだな。345アハヽヽヽ』
346マ『ナアニ(おれ)(たち)はブルジョア宗教(しうけう)やラマ階級(かいきふ)圧迫(あつぱく)され(くる)しめられ、347明敏(めいびん)頭脳(づなう)滅茶(めちや)苦茶(くちや)になつたので、348チツト(ばか)小理窟(こりくつ)(おぼ)えて()るのを利用(りよう)して、349(じつ)滅茶(めつちや)苦茶(くちや)革正(かくせい)運動(うんどう)をやるやうに()つたのだ。350(しか)()()頭悩(づなう)でなければ、351創意(さうい)創見(さうけん)(うま)れて()ないのだ。352復古(ふくこ)(さけ)人間(にんげん)(かなら)覚明家(かくめいか)だ。353石火(せきくわ)坊子団(ばうしだん)(すなは)石下(せきか)坊主団(ばうずだん)だ。354日露(にちろ)協約(けふやく)結果(けつくわ)白雪(はくせつ)までも赤化(せきくわ)したぢやないか、355アハヽヽヽ。356それだから吾々(われわれ)(てん)表示(へうじ)確信(かくしん)して驀地(まつしぐら)(すす)まむとするのだ。357アヽ(いち)(にち)(はや)吾々(われわれ)目的(もくてき)達成(たつせい)せなくては、358到底(たうてい)吾々(われわれ)三五(あななひ)信者(しんじや)(けん)首陀(しゆだ)向上(かうじやう)会員(くわいゐん)()()(どころ)がなくなつて(しま)ふわ。359白雪(はくせつ)日露(にちろ)協約(けふやく)(あか)(くわ)し」』
360 かくて両人(りやうにん)(また)もやキユーバーの悪口(あくこう)(はな)()かせ、361不平(ふへい)(ほのほ)()やす(をり)しも、362執念(しふねん)(ぶか)いキユーバーの(うかが)()姿(すがた)()()()かしてチラチラと()()したのに(きも)(つぶ)し、363(しり)はし()つて山林(さんりん)(ふか)()()して(しま)つた。
364大正一四・二・一三 旧一・二一 加藤明子録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki