霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 二教(にけう)聯合(れんがふ)〔一七七七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第2篇 千種蛮態 よみ(新仮名遣い):せんしゅばんたい
章:第10章 二教聯合 よみ(新仮名遣い):にきょうれんごう 通し章番号:1777
口述日:1925(大正14)年08月24日(旧07月5日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
千草姫は、キューバーを差置いて照国別が斎主に選ばれたことに腹を立て、祭典に出席せず、自室に閉じこもっていた。
祭典を終えて王、太子、重臣たちが城に戻ってきて、玉座の次の間で直会を開き、今日のありさまを語り合っている。
千草姫は潜んで聞き耳を立てている。そして、キューバーが投獄されたと聞いて、照国別を排除し投獄して仇をうとうと、内に激しい怒りを宿す。
王は祝歌を歌う。
遠き昔より、ウラル教を奉じて治めて来たトルマン国も、バラモン教やスコブツエン宗らの邪教が入り来たり、敬神・尊祖・愛国といった心も消え失せてきた。
強いもの勝ちの世に、コミュニズム(共産主義)、アナーキムズム(無政府主義)、ソシャリズム(社会主義)等の悪思想がはびこり始めた。
そこへ、スコブツエン宗が大足別の武力をもって、トルマン国を脅かしたのが、今回の戦争であった。
ところが、千草姫に丸め込まれるや、一転大足別を裏切って身を転じる変わり身は、何としたことだろう、油断のならないやつだ。
それだから、バラモン軍を退けトルマン国を助けてくれた照国別に斎主をお願いしたのだ。
祭典では、ウラル神と三五教の大国治立大御神・神素盞嗚大神が納まったことを見て、キューバーは怒り、乱暴狼藉を働いた。
彼が前非を悔いるまでは、決して牢獄から出しはしない。
そして今日からトルマン国は、三五教とウラル教、二つの教えをいただき、世の大本の神を祭って国民を導いていくのだ。
また、照国別は歌う。
自分、照国別も、昔は梅彦という、ウラル教の宣伝使であった。竜宮島へ渡り、またペルシャの海に来たり、終には暴風に遭って九死一生の時、三五教の宣伝使・日の出別の言霊によって三五教となった。そして照国別という名前を頂いたのであった。
ここ、ウラル教を頂くトルマン国の救国軍に加わったのも、大神がお引き合わせになったことでしょう。
人間界では、ウラルと三五の教えは二つであるけれども、世界を作った大本の誠の神は一柱である。だから、何れも同じ神の道として、祭典を司り参加できない理由はないのである。
これからは万教を一つになして、愛善の神の御徳を遍く宣伝し、神政成就に使える覚悟です。
ここに自分の抱負を述べると共に、王室の永遠の栄えをお祈り申し上げます。
チウイン太子は歌う。
富み栄えたるトルマン国を奪い取ろうと画策したのが大黒主であり、その手先がキューバーである以上、キューバーの悪行は天地も許さない大罪である。
実は、キューバーをどうしたらよいかと照国別・照公と計り、神に祈ったところ、夢のお告げに、必ず明日キューバーを縛れ、と現れた。
もうこうなった以上、母・千草姫の怒りを買うは火を見るよりも明らか、しかしながら国家を救うためには如何ともしがたかったのである。
父王、照国別よ、キューバーの処遇の理由をこの通り、今ここに陳謝いたします。
さて、三五教とウラル教はここに連合して、トルマン国はもちろん、七千余国のインド全土に神の教えを伝え、一日も早く神国成就の業に仕えるべきである。
かく、神の前に自分の赤心を明かし、誓います。
するとその場へ千草姫が現れ、王の隣に座を占めた。千草姫は夜叉のごとき勢いで、怒りで顔を真っ赤にし、目は血走っていた。この突然の出現に、座は異様な空気に包まれてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-28 01:15:37 OBC :rm7010
愛善世界社版:124頁 八幡書店版:第12輯 435頁 修補版: 校定版:127頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 千草姫(ちぐさひめ)は、002最愛(さいあい)のキユーバーがハリマの(もり)祭典(さいてん)(おい)て、003祭官(さいくわん)列外(れつぐわい)()たせられ、004照国別(てるくにわけ)をして斎主(さいしゆ)となした(その)処置(しよち)憤慨(ふんがい)し、005(やまひ)(しよう)して城内(じやうない)(ふか)()(こも)り、006刹帝利(せつていり)007チウイン太子(たいし)参拝(さんぱい)あるにも(かかは)らず、008(わが)居間(ゐま)にだだをこねて寝込(ねこ)んで仕舞(しま)つた。009一方(いつぱう)キユーバーは何気(なにげ)なく祭典(さいてん)()むとて刹帝利(せつていり)(したが)ひ、010ハリマの(もり)()()れば、011新調(しんてう)盛装(せいさう)()(まと)ふて、012照国別(てるくにわけ)斎主(さいしゆ)をやつて()る。013一般(いつぱん)群集(ぐんしふ)は、
014(なん)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)だ、015ウラル(けう)(なか)にもあんな神徳(しんとく)(たか)宣伝使(せんでんし)()からう。016今度(こんど)国難(こくなん)(すく)ふて(くだ)さつたのもあの宣伝使(せんでんし)ださうだ。017それだから、018今度(こんど)のお(まつり)(わう)(さま)(さき)()つて斎主(さいしゆ)(つと)めて()られるのだ。019ほんとに(えら)生神(いきがみ)ぢやないか。020(また)スコブツエンのキユーバーなんて、021(いま)(まで)(えら)さうに威張(ゐば)つて()やがつたが、022今日(けふ)(ざま)つたら()いぢやないか。023あの見窄(みすぼ)らしい(ざま)()い。024祭官(さいくわん)(はし)にも(くは)へて(もら)はず、025玉串(たまぐし)献上(けんじやう)もさしてよう(もら)ひやがらぬぢやないか』
026などと(ささや)(こゑ)耳敏(みみざと)きキユーバーの皷膜(こまく)(ひび)いたので、027キユーバーは立腹(りつぷく)(あま)(にはか)逆上(ぎやくじやう)し、028荘重(さうちよう)なる儀式(ぎしき)蹂躙(じうりん)し、029斎主(さいしゆ)(かんむり)(たた)きおとしたのである。030それがチウイン太子(たいし)英断(えいだん)によつて、031(かれ)即座(そくざ)にふん(じば)られ、032(たちま)牢獄(らうごく)(つな)がれて(しま)つた。033こんな(こと)とは(ゆめ)にも()らぬ千草姫(ちぐさひめ)は、034キユーバーの一刻(いつこく)(はや)(かへ)れかしと、035(いち)()千秋(せんしう)(おも)ひをして()(こが)れて()た。036そこへガーデン(わう)037照国別(てるくにわけ)038照公(てるこう)039勇将(ゆうしやう)ジヤンク、040チンレイ、041ハリス(その)()面々(めんめん)(とも)万歳(ばんざい)三唱(さんしやう)(なが)ら、042玉座(ぎよくざ)(つぎ)()(かへ)つて()た。043さうして今日(けふ)祭典(さいてん)状況(じやうきやう)につき種々(いろいろ)(だん)()ひ、044(とく)にキユーバーが聖場(せいぢやう)(みだ)し、045(たちま)(ばく)につき牢獄(らうごく)(とう)ぜられた(こと)なぞ(まで)046刹帝利(せつていり)(まへ)にて興味(きようみ)(わか)しつつ(はな)(なが)ら、047直会(なほらひ)(えん)(ひら)かれて()た。048(うたが)(ぶか)千草姫(ちぐさひめ)玉座(ぎよくざ)(つぎ)()()(ひそ)め、049(みみ)()まして()いて()たが、050キユーバーが乱暴(らんばう)(はたら)牢獄(らうごく)(とう)ぜられたと()くより()()でならず、051どうとかして照国別(てるくにわけ)排除(はいじよ)し、052出来得(できう)べくんば(かれ)難癖(なんくせ)をつけ牢獄(らうごく)(とう)じ、053キユーバーの(あだ)()たむと瞋恚(しんに)(ほのほ)(こが)して()る。054刹帝利(せつていり)上機嫌(じやうきげん)で、055照国別(てるくにわけ)再生(さいせい)(おん)(しや)し、056トルマン(ごく)救世主(きうせいしゆ)(まで)称揚(しようやう)した。057(わう)()(さかづき)()にし(なが)祝歌(しゆくか)(うた)ふ。
058『トルマン(ごく)(かみ)(くに)
059(とほ)神代(かみよ)(むかし)より
060ウラルの(ひこ)神霊(しんれい)
061(いつ)(まつ)りて()(をさ)
062(きた)りし(こと)(たふと)さよ
063さはさり(なが)()(なか)
064八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
065(あら)ぶる(おに)身魂(みたま)()
066(やうや)(かうべ)をもたげつつ
067バラモン(けう)やスコ(けう)
068(その)(ほか)(もも)邪宗教(じやしうけう)
069(わが)神国(しんこく)(おそ)()
070国人(くにびと)(たち)(たましひ)
071支離(しり)滅裂(めつれつ)(みだ)しつつ
072敬神(けいしん)尊祖(そんそ)愛国(あいこく)
073誠心(まことごころ)()()てて
074(ただ)国人(くにびと)我利(がり)我欲(がよく)
075(かたち)(うへ)(たから)のみ
076豺狼(さいらう)爪牙(さうが)(みが)きつつ
077あさり()るこそ(かな)しけれ
078富者(ふうじや)益々(ますます)()(さか)
079貧者(ひんじや)益々(ますます)窮乏(きうばふ)
080怨嗟(ゑんさ)(こゑ)国内(こくない)
081(みなぎ)()てて………………
082……や……………御校正本・普及版・愛世版いずれもここは伏せ字だが、校定版では「漲り果ててコンミュニズム アナアキズムやソシヤリズム」になっている。
083その(ほか)所在(あらゆる)悪思想(あくしさう)
084(くに)(そと)より(おそ)()
085(ひと)(こころ)はまちまちに
086野獣(やじう)(ごと)くなりにけり
087かかる(ところ)へつけ()んで
088大黒主(おほくろぬし)(ひら)きたる
089バラモン(けう)別派(べつぱ)なる
090スコブツエン(しう)()邪教(じやけう)
091燎原(れうげん)()()(ごと)
092蔓延(まんえん)したるぞ是非(ぜひ)なけれ
093スコブツエン(しう)のキユーバーは
094大黒主(おほくろぬし)(めい)()
095(わが)国内(こくない)根拠(こんきよ)をば
096(さだ)めて()()活躍(くわつやく)
097(わが)官民(くわんみん)睥睨(へいげい)
098暴威(ばうゐ)(ふる)()たりしが
099()()()らずバラモンの
100大足別(おほだるわけ)結託(けつたく)
101トルマン(ごく)()()れて
102七千(しちせん)余国(よこく)(つき)(くに)
103(かた)(ぱし)から蹂躙(じうりん)
104野望(やばう)達成(たつせい)せむものと
105(たく)らみ()たる(にく)らしさ
106大足別(おほだるわけ)軍隊(ぐんたい)
107(ひき)ゐて王家(わうけ)威喝(ゐかつ)なし
108(おも)ひもかけぬ(この)(たび)
109(いくさ)(ひら)国民(こくみん)
110(くるし)(なや)ませヅウヅウしくも
111(わが)城内(じやうない)(しの)()
112千草(ちぐさ)(ひめ)弁舌(べんぜつ)
113()()まれては急激(きふげき)
114進路(しんろ)(てん)城内(じやうない)
115味方(みかた)とかはりし早業(はやわざ)
116(じつ)不思議(ふしぎ)手品師(てじなし)
117へぐれのへぐれのへぐれむしや
118へぐれ神社(じんじや)身霊(みたま)だろ
119(かれ)城内(じやうない)(あら)はれて
120表面(へうめん)忠義(ちうぎ)をよそほへど
121仲々(なかなか)油断(ゆだん)のならぬ(やつ)
122それゆへ此度(こたび)祭典(さいてん)
123(かれ)をば退(しりぞ)(わが)(くに)
124(たす)(たま)ひし三五(あななひ)
125照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
126()苦労(くらう)(なが)斎主(さいしゆ)をば
127(ねが)(まつ)りし次第(しだい)なり
128あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
129ウラルの(かみ)()神力(しんりき)
130三五教(あななひけう)(まも)ります
131大国治立(おほくにはるたち)大御神(おほみかみ)
132(かむ)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
133(たか)御稜威(みいづ)(まも)られて
134左守(さもり)右守(うもり)二柱(ふたはしら)
135いよいよ(くに)(まも)(がみ)
136千代(ちよ)八千代(やちよ)永久(とこしへ)
137(をさ)まりますぞ(たふと)けれ
138キユーバーの(つかさ)はこの(てい)
139()るより(いた)(はら)()
140乱暴(らんばう)至極(しごく)祭壇(さいだん)
141かけ(のぼ)りつつ()(きみ)
142(かむり)矢庭(やには)突落(つきおと)とし
143()ほも悪言(あくげん)暴語(ばうご)をば
144()()らすこそ(にく)らしき
145チウイン太子(たいし)命令(めいれい)
146ジヤンクの(つかさ)(あら)はれて
147()妖僧(えうそう)(しば)()
148一先(ひとま)牢獄(らう)()()みて
149キユーバーが(こころ)のどん(ぞこ)
150前非(ぜんぴ)()ゆるそれ(まで)
151()()めおかむ(わが)(こころ)
152あゝ(いさ)ましや(いさ)ましや
153トルマン(ごく)今日(けふ)よりは
154三五教(あななひけう)とウラル(けう)
155(ふた)つの(をしへ)遵奉(じゆんぽう)
156()大本(おほもと)大神(おほかみ)
157(いつ)(まつ)りて国民(こくみん)
158(みちび)()かむ頼母(たのも)しさ
159あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
160(かみ)御徳(みとく)有難(ありがた)
161(かみ)(めぐみ)(たふと)けれ』
162 照国別(てるくにわけ)言葉(ことば)(しづか)(うた)ふ。
163三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
164照国別(てるくにわけ)(その)(むかし)
165ウラルの(かみ)御教(みをしへ)
166(ほう)じて(をしへ)(つた)へむと
167()梅彦(うめひこ)(たま)はりて
168竜宮洲(りうぐうじま)(うち)(わた)
169三年(みとせ)辛苦(しんく)(みづ)(あわ)
170()むを()ずして(ろく)(にん)
171(たな)なし(ぶね)()(まか)
172大海原(おほうなばら)(わた)りつつ
173ペルシヤの(うみ)()()れば
174暴風(ばうふう)怒濤(どたう)(なや)まされ
175九死(きうし)一生(いつしやう)(その)場合(ばあひ)
176三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
177()()(わけ)言霊(ことたま)
178(あやふ)(いのち)(たす)けられ
179いよいよ(ここ)三五(あななひ)
180(かみ)(をしへ)(つか)へつつ
181(かみ)御言(みこと)(かうむ)りて
182照国別(てるくにわけ)()(たま)
183産土山(うぶすなやま)斎苑(いそ)(やかた)
184(うづ)聖地(せいち)(あと)にして
185(をしへ)(つた)(いま)(ここ)
186トルマン(ごく)危急(ききふ)をば
187(すく)はむ(ため)御軍(みいくさ)
188(くは)はりたるもウラル(けう)
189(まも)らせ(たま)大神(おほかみ)
190(きよ)(えにし)()(あは)
191人間界(にんげんかい)より(なが)むれば
192ウラルの(みち)三五(あななひ)
193(をしへ)(ふた)つに()ゆれども
194世界(せかい)(つく)りし大元(おほもと)
195(まこと)(かみ)一柱(ひとはしら)
196(いづ)れもおなじ(かみ)(みち)
197それ(ゆゑ)(われ)三五(あななひ)
198(かみ)(をしへ)にあればとて
199ウラルの(みや)祭典(さいてん)
200(あづか)()ざる理由(りいう)なし
201キユーバーの(つかさ)言霊(ことたま)
202偏狭(へんけふ)至極(しごく)世迷(よま)(ごと)
203いざこれよりは万教(ばんけう)
204(ひと)つになして愛善(あいぜん)
205(かみ)御徳(みとく)(あめ)(した)
206四方(よも)国々(くにぐに)宣伝(せんでん)
207神政(しんせい)成就(じやうじゆ)神業(しんげふ)
208(つか)(まつ)らむ(わが)覚悟(かくご)
209(うべ)なひ(たま)刹帝利(せつていり)
210チウイン太子(たいし)(おん)(まへ)
211(わが)誠心(まごころ)のありたけを
212(あか)して言挙(ことあ)(たてまつ)
213トルマン(ごく)永久(とこしへ)
214この王室(わうしつ)万世(ばんせい)
215(わた)りて(たみ)(おや)となり
216(かみ)(つく)りし(この)(くに)
217常磐(ときは)堅磐(かきは)(さか)ゆべく
218(まも)らせ(たま)へと()(まつ)
219(ひら)かせ(たま)へと()(まつ)る』
220 チウイン太子(たいし)(また)(うた)ふ。
221(この)神国(かみくに)永久(とこしへ)
222(さか)(さか)えて(かぎ)りなく
223天津(あまつ)御空(みそら)(ほし)(ごと)
224(はま)真砂(まさご)(かず)()れず
225()()国民(くにたみ)繁殖(はんしよく)
226(いね)(むぎ)(まめ)(あは)よく(みの)
227トルマン(ごく)中心(ちうしん)
228(きよ)(なが)るる清川(せいせん)
229魚類(うろくず)(おほ)繁殖(はんしよく)
230()にも(やま)にも(とり)(けもの)
231数多(あまた)(すま)ひて(くに)(とみ)
232世界(せかい)(くわん)たる目出度(めでた)さよ
233(しか)るに大黒主(おほくろぬし)(かみ)
234瑞穂(みづほ)(あき)(とよ)(くに)
235トルマン(ごく)(うば)()
236第二(だいに)根拠(こんきよ)(つく)らむと
237スコブツエン(しう)()()みて
238(わが)国内(こくない)(みだ)さむと
239大陰謀(だいいんぼう)(たく)らみて
240妖僧(えうそう)キユーバーを派遣(はけん)なし
241此度(こたび)騒動(さうだう)端緒(たんちよ)をば
242(ひら)きたるこそ由々(ゆゆ)しけれ
243(かれ)キユーバーの悪業(あくごふ)
244天地(てんち)(ゆる)さぬ大罪(だいざい)
245()りとは()へど吾々(われわれ)
246(かみ)(をしへ)にある(うへ)
247(かれ)(こころ)改慎(かいしん)
248(みと)めた(うへ)解放(かいはう)
249(ふたた)(かみ)御使(みつかひ)
250(まか)せむものと(おも)へども
251(わが)母君(ははぎみ)(たぶら)かし
252大御心(おほみこころ)(うば)ひたる
253(その)曲業(まがわざ)(ゆる)されじ
254照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
255照公司(てるこうつかさ)(はか)らひて
256(かれ)(からだ)処決(しよけつ)をば
257如何(いかが)はせむと大神(おほかみ)
258(いの)れば(ゆめ)(あら)はれて
259(かなら)明日(あす)はキユーバーを
260(しば)れと(めい)(たま)ひけり
261()くする(うへ)母上(ははうへ)
262(こころ)(いか)らせ(まつ)らむは
263()()るよりも(あきら)けし
264されども(かみ)(みことのり)
265国家(こくか)(ため)(おも)(とき)
266(ゆる)()かれぬ(わが)立場(たちば)
267(うべな)(たま)父君(ちちぎみ)
268照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
269(ここ)にキユーバーを(しば)りたる
270理由(りいう)陳謝(ちんしや)(たてまつ)
271三五教(あななひけう)やウラル(けう)
272(ここ)両教(りやうけう)聯合(れんがふ)
273トルマン(ごく)()ふも(さら)
274七千(しちせん)余国(よこく)(つき)(くに)
275()らさず(おと)さず国民(こくみん)
276(たふと)(かみ)御教(みをしへ)
277(をし)(つた)へて(いち)(にち)
278(はや)神国(しんこく)成就(じやうじゆ)
279大神業(だいしんげふ)(つか)ふべし
280あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
281(かみ)御前(みまへ)赤心(まごころ)
282()かして(ちか)(たてまつ)
283赤心(まごころ)()めて()(まつ)る』
284 ()(うた)(をり)しも、285夜叉(やしや)(ごと)(いきほひ)286満面(まんめん)(しゆ)(そそ)ぎ、287血眼(ちまなこ)になつて(あら)はれ(きた)り、288刹帝利(せつていり)(みぎ)憤然(ふんぜん)()()めたのは王妃(わうひ)千草姫(ちぐさひめ)であつた。289一座(いちざ)千草姫(ちぐさひめ)突然(とつぜん)出現(しゆつげん)によつて一種(いつしゆ)異様(いやう)空気(くうき)(つつ)まれて(しま)つた。
290大正一四・八・二四 旧七・五 於由良海岸秋田別荘 加藤明子録)
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