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第70巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 花鳥山月
01 信人権
〔1768〕
02 折衝戦
〔1769〕
03 恋戦連笑
〔1770〕
04 共倒れ
〔1771〕
05 花鳥山
〔1772〕
06 鬼遊婆
〔1773〕
07 妻生
〔1774〕
08 大勝
〔1775〕
第2篇 千種蛮態
09 針魔の森
〔1776〕
10 二教聯合
〔1777〕
11 血臭姫
〔1778〕
12 大魅勒
〔1779〕
13 喃悶題
〔1780〕
14 賓民窟
〔1781〕
15 地位転変
〔1782〕
第3篇 理想新政
16 天降里
〔1783〕
17 春の光
〔1784〕
18 鳳恋
〔1785〕
19 梅花団
〔1786〕
20 千代の声
〔1787〕
21 三婚
〔1788〕
22 優秀美
〔1789〕
附 記念撮影
余白歌
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第70巻
> 第3篇 理想新政 > 第20章 千代の声
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第二〇章
千代
(
ちよ
)
の
声
(
こゑ
)
〔一七八七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻
篇:
第3篇 理想新政
よみ(新仮名遣い):
りそうしんせい
章:
第20章 千代の声
よみ(新仮名遣い):
ちよのこえ
通し章番号:
1787
口述日:
1925(大正14)年08月25日(旧07月6日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年10月16日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
太子は、レール、マークが千草姫襲撃に失敗して捕らわれたことを知り、自ら彼らを助けに行こうとするが、妹の王女に止められる。
そこへ、マーク、レールの妻が、マークとレールが入獄したと聞いて、離縁状を届けにやってくる。
妻たちが去っていくと、入れ違いに、釈放されたマークとレール、そして照国別、照公が帰ってくる。
一同は、いよいよ教政改革の時がきたと判断し、新内局組織の協議会を開いた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-12-28 16:16:51
OBC :
rm7020
愛善世界社版:
251頁
八幡書店版:
第12輯 482頁
修補版:
校定版:
258頁
普及版:
128頁
初版:
ページ備考:
001
シグレ
町
(
ちやう
)
のレール、
002
マークの
留守宅
(
るすたく
)
には
003
チウイン
太子
(
たいし
)
、
004
チンレイ、
005
テイラ、
006
ハリスの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
淋
(
さび
)
しく
頭
(
あたま
)
を
鳩
(
あつ
)
めて
密談
(
みつだん
)
をやつてゐる。
007
テイラ『もし
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
、
008
レールさまやマークさまは、
009
到頭
(
たうとう
)
やりそこなつて
捕
(
とら
)
はれたさうぢや
御座
(
ござ
)
りませぬか。
010
妾
(
わらは
)
は
水汲
(
みづく
)
みに
参
(
まゐ
)
りました
際
(
さい
)
、
011
そこに
落
(
お
)
ちてゐた
号外
(
がうぐわい
)
を
見
(
み
)
て
吃驚
(
びつくり
)
しましたよ』
012
チウ『ナニ、
013
やりそこなつたかな。
014
ヤアこいつア
困
(
こま
)
つたな。
015
かうしては
居
(
を
)
られまい。
016
ジヤンクの
処
(
ところ
)
へでも
行
(
い
)
つて
二人
(
ふたり
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
す
工夫
(
くふう
)
でもせなくちやなるまい』
017
テイ『およしなさいませ、
018
剣呑
(
けんのん
)
ですよ。
019
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
の
憑依
(
ひようい
)
した
千草姫
(
ちぐさひめ
)
ですもの、
020
どんな
難題
(
なんだい
)
をつけて、
021
又
(
また
)
もや
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
を
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み
命
(
いのち
)
をとるか
知
(
し
)
れませぬから』
022
チウ『それだと
云
(
い
)
つて、
023
国家
(
こくか
)
の
志士
(
しし
)
を
見殺
(
みごろ
)
しにする
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬぢやないか。
024
余
(
よ
)
は
之
(
これ
)
から、
025
どうなつても
構
(
かま
)
はぬ。
026
二人
(
ふたり
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
坐視
(
ざし
)
するには
忍
(
しの
)
びない。
027
一
(
ひと
)
つあらゆる
手段
(
しゆだん
)
を
尽
(
つく
)
して
助
(
たす
)
けて
見
(
み
)
ようと
思
(
おも
)
ふのだ。
028
どうか
君
(
きみ
)
等
(
たち
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
ぬやうにして
待
(
ま
)
つてゐてくれ』
029
チンレイ『お
兄様
(
あにさま
)
、
030
千金
(
せんきん
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
軽挙
(
けいきよ
)
妄動
(
まうどう
)
はお
止
(
よ
)
しなさいませ。
031
万一
(
まんいち
)
御
(
お
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
に
危険
(
きけん
)
が
迫
(
せま
)
り、
032
お
命
(
いのち
)
でも
失
(
うしな
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすやうな
事
(
こと
)
があつては、
033
それこそトルマン
国
(
ごく
)
は
常暗
(
とこやみ
)
になつて
了
(
しま
)
ひますわ。
034
これ
丈
(
だ
)
け
人心
(
じんしん
)
騒々
(
さうざう
)
しく、
035
豺狼
(
さいらう
)
虎竜
(
こりう
)
の
跋扈
(
ばつこ
)
跳梁
(
てうりやう
)
する
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
036
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
の
権威
(
けんゐ
)
だつて、
037
どうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ますまい。
038
今
(
いま
)
の
重僧
(
ぢうそう
)
共
(
ども
)
は
我利
(
がり
)
我欲
(
がよく
)
の
外
(
ほか
)
に
何
(
なに
)
も
念
(
ねん
)
は
御座
(
ござ
)
りませぬ。
039
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
化物
(
ばけもの
)
に
誑惑
(
きやうわく
)
され、
040
金
(
きん
)
の
轡
(
くつわ
)
をはまされてゐる
悪人
(
あくにん
)
許
(
ばか
)
りでありますから、
041
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
だとて、
042
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
栄達
(
えいたつ
)
の
為
(
ため
)
には
容赦
(
ようしや
)
は
致
(
いた
)
しませぬよ。
043
教務
(
けうむ
)
総監
(
そうかん
)
のジヤンクさまでも
動
(
うご
)
かさうとしてゐるのですもの。
044
そんな
剣呑
(
けんのん
)
な
処
(
ところ
)
へ、
045
お
越
(
こ
)
しになつてはいけませぬ。
046
これ
許
(
ばか
)
りは
思
(
おも
)
ひ
止
(
とま
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
047
と
太子
(
たいし
)
の
袖
(
そで
)
に
縋
(
すが
)
りつき
涕泣
(
ていきふ
)
する。
048
チウ『ヤ、
049
困
(
こま
)
つたな。
050
そんなら
暫
(
しばら
)
くお
前
(
まへ
)
の
意見
(
いけん
)
に
任
(
まか
)
して
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
としようかい』
051
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
へ
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
ドヤドヤと
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
052
ソツと
門口
(
かどぐち
)
を
覗
(
のぞ
)
き
乍
(
なが
)
ら、
053
男
(
をとこ
)
『ヤア、
054
誰
(
たれ
)
か
来
(
き
)
てゐるやうだ、
055
オイ
誰
(
たれ
)
だい。
056
レール、
057
マークの
大将
(
たいしやう
)
は
不幸
(
ふかう
)
にして
捕
(
つか
)
まつたやうだが、
058
お
前
(
まへ
)
は
誰
(
たれ
)
だい』
059
チウ『ヤア
兄弟
(
きやうだい
)
か、
060
マア
這入
(
はい
)
り
給
(
たま
)
へ。
061
実
(
じつ
)
は
俺
(
おれ
)
もなア、
062
親分
(
おやぶん
)
が
捕
(
つか
)
まつたと
聞
(
き
)
いて、
063
向上会
(
かうじやうくわい
)
員
(
ゐん
)
と
共
(
とも
)
に、
064
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へに
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
、
065
誰
(
たれ
)
も
連中
(
れんぢう
)
が
来
(
き
)
てゐないので、
066
留守
(
るす
)
師団長
(
しだんちやう
)
をやつてゐたのだ。
067
お
前
(
まへ
)
は
誰
(
たれ
)
だつたいな』
068
男
(
をとこ
)
『
俺
(
おれ
)
かい、
069
俺
(
おれ
)
やタールにハール、
070
ケースの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
だ。
071
号外
(
がうぐわい
)
を
見
(
み
)
てこいつは
大変
(
たいへん
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
072
誰
(
たれ
)
か
見舞
(
みま
)
ひに
来
(
き
)
てゐるに
違
(
ちが
)
ひないと、
073
取
(
と
)
るものも
取
(
と
)
り
敢
(
あへ
)
ず
駆
(
か
)
けつけて
来
(
き
)
たのだが、
074
お
前
(
まへ
)
は
一体
(
いつたい
)
誰
(
たれ
)
だつたいのう』
075
チウ『
俺
(
おれ
)
かい、
076
俺
(
おれ
)
はレールの
兄貴
(
あにき
)
の
秘蔵
(
ひざう
)
の
弟
(
おとうと
)
だ。
077
お
前
(
まへ
)
等
(
たち
)
の
名
(
な
)
は
常
(
つね
)
から
聞
(
き
)
いてゐたが、
078
俺
(
おれ
)
は
特別
(
とくべつ
)
の
任務
(
にんむ
)
を
預
(
あづか
)
つてゐたから、
079
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
に
隠
(
かく
)
してゐたのだ。
080
かうなれば
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬが、
081
何
(
なん
)
とか
運動
(
うんどう
)
をやつてるだらうね』
082
タール『ヤア
実
(
じつ
)
は
号外
(
がうぐわい
)
を
見
(
み
)
るより、
083
同志
(
どうし
)
がクルスの
森
(
もり
)
に
集
(
あつ
)
まり、
084
親分
(
おやぶん
)
を
何
(
なん
)
とかして
取返
(
とりかへ
)
さうと
相談
(
さうだん
)
してる
最中
(
さいちう
)
に、
085
数百
(
すうひやく
)
の
番僧隊
(
ばんそうたい
)
がうせやがつて、
086
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
に
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
んだものだから、
087
どうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ず、
088
同志
(
どうし
)
は
四方
(
しはう
)
に
散乱
(
さんらん
)
して
了
(
しま
)
つたのだ。
089
本当
(
ほんたう
)
に
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
の
運動
(
うんどう
)
に
対
(
たい
)
しては、
090
親分
(
おやぶん
)
の
入獄
(
にふごく
)
は
泣
(
な
)
き
面
(
づら
)
に
蜂
(
はち
)
だ。
091
痩児
(
やせご
)
に
蓮根
(
はすね
)
だ。
092
どうにもかうにも、
093
今
(
いま
)
の
処
(
ところ
)
手
(
て
)
のつけやうが
無
(
な
)
いわい。
094
オイ、
095
兄貴
(
あにき
)
、
096
何
(
なに
)
かいい
考
(
かんが
)
へはなからうかな』
097
チウ『
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て、
098
さう
慌
(
あわ
)
てた
処
(
ところ
)
で
仕方
(
しかた
)
がない。
099
今
(
いま
)
は
役僧
(
やくそう
)
共
(
ども
)
の
頭
(
あたま
)
が
非常
(
ひじやう
)
に
鋭敏
(
えいびん
)
になつてゐるから、
100
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
物
(
もの
)
一
(
ひと
)
つ
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ない。
101
暫
(
しばら
)
く
成行
(
なりゆき
)
に
任
(
まか
)
し、
102
時
(
とき
)
を
得
(
え
)
て
奪
(
うば
)
ひ
返
(
かへ
)
すより
外
(
ほか
)
に
方法
(
はうはふ
)
はなからうぞ。
103
マアゆつくりし
給
(
たま
)
へ』
104
タ『オイ、
105
ハール、
106
ケース、
107
兄貴
(
あにき
)
があゝ
云
(
い
)
ふから、
108
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
一服
(
いつぷく
)
しようぢやないか』
109
『ウン、
110
よからう』
111
と
二人
(
ふたり
)
はタールの
後
(
あと
)
について
狭
(
せま
)
い
床
(
とこ
)
かばち
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
した。
112
タ『ヤア、
113
然
(
しか
)
もナイスが
三
(
さん
)
人
(
にん
)
も
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
114
オイ
兄貴
(
あにき
)
、
115
うまい
事
(
こと
)
してやがるな。
116
一人
(
ひとり
)
寄
(
よ
)
つて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
も
占領
(
せんりやう
)
するとは、
117
本当
(
ほんたう
)
に
凄
(
すご
)
い
腕前
(
うでまへ
)
ぢやないか。
118
吾々
(
われわれ
)
の
主義
(
しゆぎ
)
から
云
(
い
)
つても、
119
こんな
不道理
(
ふだうり
)
の
事
(
こと
)
ア
出来
(
でき
)
ない。
120
どうだ
婦人
(
ふじん
)
国有論
(
こくいうろん
)
の
実行
(
じつかう
)
をやらうぢやないか』
121
チウ『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな。
122
この
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
皆
(
みな
)
婦人
(
ふじん
)
向上会
(
かうじやうくわい
)
員
(
ゐん
)
だ。
123
婦人
(
ふじん
)
参政権
(
さんせいけん
)
獲得
(
くわくとく
)
運動
(
うんどう
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
だよ。
124
レール、
125
マークの
両人
(
りやうにん
)
が
遭難
(
さうなん
)
を
聞
(
き
)
いて、
126
親切
(
しんせつ
)
に
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
てくれたのだ』
127
タ『
成程
(
なるほど
)
128
そらさうだらう。
129
これこれ
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
、
130
此
(
この
)
際
(
さい
)
しつかり
御
(
ご
)
活動
(
くわつどう
)
願
(
ねが
)
ひますぜ。
131
然
(
しか
)
し
何時
(
いつ
)
バラスパイが
追跡
(
ついせき
)
して
来
(
く
)
るかも
知
(
し
)
れぬから、
132
永居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れだ。
133
兄貴
(
あにき
)
又
(
また
)
ゆつくりお
目
(
め
)
にかからう。
134
左様
(
さやう
)
なら』
135
と
足早
(
あしばや
)
に
暗
(
やみ
)
の
路地
(
ろぢ
)
に
姿
(
すがた
)
を
消
(
け
)
した。
136
その
夜
(
よ
)
は
積
(
つ
)
んだり
崩
(
くづ
)
したり、
137
いろいろと
小声
(
こごゑ
)
で
話
(
はな
)
し
乍
(
なが
)
ら
眠
(
ねむ
)
つて
了
(
しま
)
ひ、
138
翌朝
(
よくてう
)
早
(
はや
)
うから
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
が
炊事
(
すゐじ
)
をしたり、
139
そこらを
掃
(
は
)
いたりやつて
居
(
ゐ
)
ると、
140
乳飲児
(
ちのみご
)
を
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
うた
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
が、
141
相当
(
さうたう
)
な
衣服
(
いふく
)
を
身
(
み
)
に
纏
(
まと
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
142
門口
(
かどぐち
)
に
立
(
た
)
ち、
143
女
(
をんな
)
『もし、
144
一寸
(
ちよつと
)
お
尋
(
たづ
)
ね
申
(
まを
)
しますが、
145
レール、
146
マークの
宅
(
たく
)
は
当家
(
たうけ
)
ぢや
御座
(
ござ
)
りませぬか』
147
テイラ『ハイ、
148
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
149
誰方
(
どなた
)
か
知
(
し
)
りませぬが、
150
先
(
ま
)
づ
御
(
お
)
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
151
女
(
をんな
)
『
妾
(
わたし
)
はクロイの
里
(
さと
)
のマサ
子
(
こ
)
、
152
カル
子
(
こ
)
と
申
(
まを
)
すもので
御座
(
ござ
)
ります。
153
レールさまやマークさまが、
154
小本山
(
せうほんざん
)
の
役僧
(
やくそう
)
に
捕
(
つかま
)
へられ、
155
入獄
(
にふごく
)
をなさつたと
聞
(
き
)
きまして、
156
取
(
と
)
るものも
取
(
と
)
り
敢
(
あへ
)
ず
遙々
(
はるばる
)
と
尋
(
たづ
)
ねて
参
(
まゐ
)
りました。
157
どうで
御座
(
ござ
)
りませうかな。
158
早速
(
さつそく
)
には
帰
(
かへ
)
つて
御座
(
ござ
)
るやうな
事
(
こと
)
はありますまいか』
159
テイ『
貴女
(
あなた
)
は、
160
さうすると、
161
マサ
子
(
こ
)
さま、
162
カル
子
(
こ
)
さまと
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
163
レールさま、
164
マークさまの
奥
(
おく
)
さまぢや
御座
(
ござ
)
りませぬか』
165
マサ
子
(
こ
)
『ハイ、
166
妾
(
わたし
)
はレールの
女房
(
にようばう
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
167
この
方
(
かた
)
はマークさまの
奥
(
おく
)
さまで
御座
(
ござ
)
りますよ。
168
向上
(
かうじやう
)
運動
(
うんどう
)
とか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つて
奇妙
(
きめう
)
な
事
(
こと
)
を
主人
(
しゆじん
)
がやるものですから、
169
妾
(
わたし
)
の
所
(
ところ
)
まで
番僧
(
ばんそう
)
が
張
(
は
)
つて
居
(
を
)
りますの。
170
本当
(
ほんたう
)
に
困
(
こま
)
つて
了
(
しま
)
ひますわ』
171
チウ『ヤー
奥
(
おく
)
さまで
御座
(
ござ
)
りますか。
172
サア、
173
どうか
此方
(
こちら
)
へお
掛
(
か
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
174
別
(
べつ
)
に、
175
さう
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
にも
及
(
およ
)
びますまい。
176
やがて
許
(
ゆる
)
されて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
られるでせう』
177
マサ
子
(
こ
)
『ハイ、
178
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
ります。
179
本当
(
ほんたう
)
に
妾
(
わたし
)
二人
(
ふたり
)
は
不運
(
ふうん
)
なもので
御座
(
ござ
)
ります。
180
何程
(
なにほど
)
意見
(
いけん
)
を
致
(
いた
)
しましても、
181
女
(
をんな
)
の
知
(
し
)
る
事
(
こと
)
でないと、
182
一言
(
ひとこと
)
にはねつけ、
183
一言
(
いちごん
)
も
女房
(
にようばう
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れないものですから、
184
たうとうこんな
災難
(
さいなん
)
にあつたので
御座
(
ござ
)
ります。
185
親類
(
しんるゐ
)
や
兄弟
(
きやうだい
)
からも
喧
(
やかま
)
しく
申
(
まを
)
しまして、
186
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
つて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
い
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
いと
勧
(
すす
)
めるのですけれど、
187
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
に、
188
切
(
き
)
つても
切
(
き
)
れぬ
鎹
(
かすがひ
)
が
出来
(
でき
)
ましたので、
189
可愛
(
かあい
)
い
子供
(
こども
)
を
継母
(
ままはは
)
の
手
(
て
)
に
渡
(
わた
)
すのもいぢらしいと
思
(
おも
)
ひ、
190
泣
(
な
)
きの
涙
(
なみだ
)
で
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
辛抱
(
しんばう
)
して
来
(
き
)
ましたが、
191
もう
堪
(
た
)
へ
切
(
き
)
れませぬ。
192
それでキツパリ
縁
(
えん
)
を
絶
(
き
)
つて
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
ひまして
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
たので
御座
(
ござ
)
ります』
193
チウ『
女房
(
にようばう
)
が
夫
(
をつと
)
に
離縁
(
りえん
)
を
請求
(
せいきう
)
するとは、
194
如何
(
いか
)
なる
事情
(
じじやう
)
があるにもせよ、
195
不貞
(
ふてい
)
の
甚
(
はなはだ
)
しきものだ。
196
今時
(
いまどき
)
の
女性
(
ぢよせい
)
は、
197
どれもこれも、
198
我利
(
われよ
)
しだから、
199
困
(
こま
)
つたものだな』
200
マサ
子
(
こ
)
『そりや
一応
(
いちおう
)
御尤
(
ごもつと
)
もで
御座
(
ござ
)
りますが、
201
こんな
夫
(
をつと
)
に
添
(
そ
)
うて
居
(
を
)
りましては、
202
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
で
安心
(
あんしん
)
して
暮
(
くら
)
すことが
出来
(
でき
)
ませぬわ。
203
貴方
(
あなた
)
は
矢張
(
やつぱり
)
レールのお
仲間
(
なかま
)
で
御座
(
ござ
)
りますか』
204
チウ『ハア、
205
さうです。
206
兄貴
(
あにき
)
が
かまつた
ものだから、
207
是非
(
ぜひ
)
なく
嬶
(
かか
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に、
208
この
牙城
(
がじやう
)
を
守
(
まも
)
つて
居
(
を
)
ります。
209
随分
(
ずいぶん
)
留守
(
るす
)
師団長
(
しだんちやう
)
も、
210
いい
加減
(
かげん
)
なものですよ』
211
カル
子
(
こ
)
『
綺麗
(
きれい
)
な
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
が、
212
しかも
三
(
さん
)
人
(
にん
)
居
(
ゐ
)
らつしやいますが、
213
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
はどうやら、
214
レールさまとマークの
愛
(
あい
)
してゐられる
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
でせう。
215
本当
(
ほんたう
)
に
妻子
(
さいし
)
に
対
(
たい
)
し、
216
あるにあられぬ
心配
(
しんぱい
)
をかけておき
乍
(
なが
)
ら、
217
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
酷
(
ひど
)
い
人
(
ひと
)
だらう。
218
マサ
子
(
こ
)
さま、
219
もう
駄目
(
だめ
)
ですよ。
220
スツパリと
断念
(
だんねん
)
しようぢや
御座
(
ござ
)
りませぬか』
221
マサ『
本当
(
ほんたう
)
にさうですな。
222
こんな
白首
(
しらくび
)
があるものですから
妻子
(
さいし
)
を
顧
(
かへり
)
みず、
223
こんな
所
(
ところ
)
に
好
(
す
)
きすつぽうな
暮
(
くら
)
しをやつてゐるのですよ。
224
エーもう
穢
(
けがらは
)
しうなつて
来
(
き
)
ました。
225
サア
帰
(
かへ
)
りませう』
226
と
早
(
はや
)
くも
立去
(
たちさ
)
らむとする。
227
チウ『もしもし
奥
(
おく
)
さま、
228
そら
違
(
ちが
)
ひますよ。
229
さう、
230
誤解
(
ごかい
)
されちやレールさまや、
231
マークさまに
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ですわ。
232
之
(
これ
)
には
深
(
ふか
)
い
訳
(
わけ
)
があります。
233
さう
怒
(
おこ
)
らずに
一応
(
いちおう
)
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さい』
234
マサ『エーエー
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても、
235
私
(
わたし
)
の
耳
(
みみ
)
には
這入
(
はい
)
りませぬ。
236
現在
(
げんざい
)
白首
(
しらくび
)
を
見
(
み
)
せつけ
乍
(
なが
)
ら
百万遍
(
ひやくまんべん
)
の
弁解
(
べんかい
)
をなさつても、
237
私
(
わたし
)
の
耳
(
みみ
)
へは
到底
(
たうてい
)
這入
(
はい
)
りませぬ。
238
こんな
事
(
こと
)
だらうと
思
(
おも
)
ひ、
239
マサカの
時
(
とき
)
の
用意
(
ようい
)
にと、
240
カル
子
(
こ
)
さまと
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
に、
241
親
(
おや
)
兄弟
(
きやうだい
)
の
承諾
(
しやうだく
)
を
得
(
え
)
て、
242
ここに
離縁状
(
りえんじやう
)
を
持
(
も
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
243
レール、
244
マークの
両人
(
りやうにん
)
は
囚
(
とら
)
はれの
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
ですから、
245
直接
(
ちよくせつ
)
に
渡
(
わた
)
すことは
出来
(
でき
)
ませぬから、
246
兄弟分
(
きやうだいぶん
)
の
貴方
(
あなた
)
に
確
(
たしか
)
に
渡
(
わた
)
しますから、
247
どうか
面会
(
めんくわい
)
においでになつても、
248
「マサ
子
(
こ
)
やカル
子
(
こ
)
の
事
(
こと
)
はフツツリ
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
249
以後
(
いご
)
関係
(
くわんけい
)
はありませぬから、
250
児
(
こ
)
は
貴方
(
あなた
)
の
出獄
(
しゆつごく
)
迄
(
まで
)
預
(
あづか
)
つておきます」と、
251
伝
(
つた
)
へて
下
(
くだ
)
さい。
252
エー
残念
(
ざんねん
)
やな
残念
(
ざんねん
)
やな』
253
と
二通
(
につう
)
の
離縁状
(
りえんじやう
)
を
投
(
な
)
げつけ
地団駄
(
ぢだんだ
)
踏
(
ふ
)
み
乍
(
なが
)
ら、
254
路地口
(
ろぢぐち
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
255
チウ『ハツハヽヽヽ、
256
テイラさま、
257
ハリスさま、
258
お
目出度
(
めでた
)
う。
259
到頭
(
たうとう
)
レール、
260
マークさまの
奥
(
おく
)
さまにして
了
(
しま
)
はれたぢやないか。
261
満足
(
まんぞく
)
でせうね』
262
二人
(
ふたり
)
は
顔
(
かほ
)
を
真赤
(
まつか
)
に
染
(
そ
)
め、
263
『
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
、
264
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い、
265
揶揄
(
からかい
)
もいい
加減
(
かげん
)
にして
下
(
くだ
)
さいな。
266
ホヽヽヽヽヽ』
267
チウ『ヤ、
268
此奴
(
こいつ
)
は
冗談
(
じようだん
)
だ。
269
ハヽヽヽヽヽ』
270
と
笑
(
わら
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
271
鈴
(
りん
)
の
音
(
ね
)
けたたましく
仁恵令
(
じんけいれい
)
の
行
(
おこな
)
はれ、
272
囚人
(
しうじん
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
解放
(
かいはう
)
されたと
云
(
い
)
ふ
一葉
(
いちえふ
)
の
号外
(
がうぐわい
)
が
舞
(
ま
)
ひ
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
た。
273
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
此
(
この
)
号外
(
がうぐわい
)
を
見
(
み
)
るより
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて、
274
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
した。
275
チウインにも
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
の
目
(
め
)
にも
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
が
滲
(
にぢ
)
んでゐた。
276
そこへイソイソとしてレール、
277
マークの
二人
(
ふたり
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
278
チウ『ヤア、
279
兄貴
(
あにき
)
、
280
よう
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
てくれた。
281
今
(
いま
)
も
今
(
いま
)
とて
大変
(
たいへん
)
に
心配
(
しんぱい
)
をしてゐた
処
(
ところ
)
だ。
282
随分
(
ずいぶん
)
困
(
こま
)
つただらうな』
283
レ『ヤア
有難
(
ありがた
)
う。
284
おかげで
解放
(
かいはう
)
されました』
285
マ『どうも
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をかけて
済
(
す
)
みませぬ。
286
ツイやり
損
(
そん
)
じたものですから、
287
あんな
失敗
(
しつぱい
)
をしたのですよ。
288
時
(
とき
)
に
珍
(
めづ
)
らしいお
方
(
かた
)
を
連
(
つら
)
つて
帰
(
かへ
)
りました。
289
お
目
(
め
)
にかけませうか。
290
路地
(
ろぢ
)
の
入口
(
いりぐち
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
られますから』
291
チウ『
珍
(
めづ
)
らしい
方
(
かた
)
とは、
292
オイ
君
(
きみ
)
、
293
誰
(
たれ
)
だい』
294
レ『
貴方
(
あなた
)
の
神軍
(
しんぐん
)
を
救
(
たす
)
けられたと
云
(
い
)
ふ、
295
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
ですよ。
296
不思議
(
ふしぎ
)
の
縁
(
えん
)
で
同
(
おな
)
じ
牢獄
(
らうや
)
へ
打込
(
うちこ
)
まれて
居
(
を
)
つたのです』
297
チウ『
何
(
なに
)
、
298
宣伝使
(
せんでんし
)
、
299
ヤアそりや、
300
かうしては
居
(
を
)
られぬ。
301
ドレ、
302
僕
(
ぼく
)
が
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
に
行
(
ゆ
)
かう』
303
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
304
レール、
305
マークに
案内
(
あんない
)
させ、
306
路地口
(
ろぢぐち
)
に
出
(
で
)
て
見
(
み
)
れば、
307
照国別
(
てるくにわけ
)
、
308
照公
(
てるこう
)
の
二人
(
ふたり
)
がニコニコとして
立
(
た
)
つてゐる。
309
チウ『ヤア、
310
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
311
誠
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
りました。
312
何分
(
なにぶん
)
継母
(
けいぼ
)
に
曲神
(
まががみ
)
が
憑依
(
ひようい
)
して
居
(
を
)
りますものですから、
313
清浄
(
しやうじやう
)
潔白
(
けつぱく
)
な
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
を、
3131
あのやうな
穢
(
むさくる
)
しい
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
なげ
)
込
(
こ
)
んだもので
御座
(
ござ
)
りませう。
314
どうぞ
私
(
わたし
)
に
免
(
めん
)
じ、
315
量見
(
りやうけん
)
してやつて
下
(
くだ
)
さいませ』
316
照国別
(
てるくにわけ
)
『イヤ、
317
貴方
(
あなた
)
はチウイン
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
、
318
国家
(
こくか
)
の
為
(
た
)
め、
319
尊貴
(
そんき
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
落
(
おと
)
し、
3191
御
(
ご
)
尽力
(
じんりよく
)
の
段
(
だん
)
、
320
実
(
じつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
に
堪
(
た
)
へませぬ。
321
何事
(
なにごと
)
も
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
ですから、
322
そんなお
気遣
(
きづか
)
ひは
御
(
ご
)
無用
(
むよう
)
にして
下
(
くだ
)
さい』
323
照公
(
てるこう
)
『
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
、
324
愈
(
いよいよ
)
教政
(
けうせい
)
改革
(
かいかく
)
の
機運
(
きうん
)
が
廻
(
めぐ
)
つて
来
(
き
)
たやうで
御座
(
ござ
)
りますわ。
325
お
喜
(
よろこ
)
び
下
(
くだ
)
さいませ。
326
最早
(
もはや
)
、
327
斯様
(
かやう
)
な
貧民窟
(
ひんみんくつ
)
にお
暮
(
くら
)
し
遊
(
あそ
)
ばす
時期
(
じき
)
は
済
(
す
)
みました。
328
どうか
堂々
(
だうだう
)
と
名乗
(
なの
)
りをあげ、
329
教政
(
けうせい
)
改革
(
かいかく
)
にお
当
(
あた
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
330
私
(
わたくし
)
は
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
共
(
とも
)
に、
331
有
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
りのお
助
(
たす
)
けを
致
(
いた
)
し
度
(
た
)
い
考
(
かんが
)
へで
御座
(
ござ
)
ります』
332
チウ『ヤ、
333
如何
(
いか
)
にも、
334
お
説
(
せつ
)
の
通
(
とほ
)
りいよいよ
時節
(
じせつ
)
が
到来
(
たうらい
)
したやうに
思
(
おも
)
ふ。
335
サア、
336
レール、
337
マーク
両人
(
りやうにん
)
、
338
ここで
一
(
ひと
)
つ
臨時
(
りんじ
)
会議
(
くわいぎ
)
でも
開
(
ひら
)
いて、
339
仮内局
(
かりないきよく
)
を
組織
(
そしき
)
しようぢやないか』
340
レ『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
341
ここでは
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
う
御座
(
ござ
)
りませう。
342
九尺
(
くしやく
)
二間
(
にけん
)
の
御殿
(
ごてん
)
まで
参
(
まゐ
)
りませう、
343
アハヽヽヽ』
344
と
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
345
ここに
男女
(
だんぢよ
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
[
※
六人ではなく八人のはず。次の章では八人と書いてある。チウイン太子、チンレイ、テイラ、ハリス、レール、マーク、照国別、照公の八人。
]
は
頭
(
かうべ
)
を
鳩
(
あつ
)
めて、
346
新内局
(
しんないきよく
)
組織
(
そしき
)
の
協議会
(
けふぎくわい
)
を
開
(
ひら
)
いた。
347
雀
(
すずめ
)
の
声
(
こゑ
)
も
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
となく
勇
(
いさ
)
ましく
千代
(
ちよ
)
々々
(
ちよ
)
と
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る。
348
(
大正一四・八・二五
旧七・六
於由良秋田別荘
北村隆光
録)
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