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第66巻(巳の巻)
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第71巻(戌の巻)
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特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
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第70巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 花鳥山月
01 信人権
〔1768〕
02 折衝戦
〔1769〕
03 恋戦連笑
〔1770〕
04 共倒れ
〔1771〕
05 花鳥山
〔1772〕
06 鬼遊婆
〔1773〕
07 妻生
〔1774〕
08 大勝
〔1775〕
第2篇 千種蛮態
09 針魔の森
〔1776〕
10 二教聯合
〔1777〕
11 血臭姫
〔1778〕
12 大魅勒
〔1779〕
13 喃悶題
〔1780〕
14 賓民窟
〔1781〕
15 地位転変
〔1782〕
第3篇 理想新政
16 天降里
〔1783〕
17 春の光
〔1784〕
18 鳳恋
〔1785〕
19 梅花団
〔1786〕
20 千代の声
〔1787〕
21 三婚
〔1788〕
22 優秀美
〔1789〕
附 記念撮影
余白歌
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第九章
針魔
(
はりま
)
の
森
(
もり
)
〔一七七六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻
篇:
第2篇 千種蛮態
よみ(新仮名遣い):
せんしゅばんたい
章:
第9章 針魔の森
よみ(新仮名遣い):
はりまのもり
通し章番号:
1776
口述日:
1925(大正14)年08月24日(旧07月5日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年10月16日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ガーデン王は忠義の英霊、左守・右守のためにハリマの森の奥深くに社殿を造営する。そして、照国別を斎主として祭典を執り行った。
同席していたキューバーは、三五教の照国別が斎主を務めたことに怒り、祭りの最中に祭壇に駆け上がり、照国別を罵倒した上、冠を叩き落す。
皆は、キューバーのあまりの行いに驚きあきれ、照国別がどうキューバーに対処するかと注目するが、照国別は冠を落としたまま、何事もなかったかのように悠然と祭りを執り行う。
照国別は退場するが、キューバーはその進路に両手を広げて立ちはだかり、またもや罵倒する。ついにチウイン太子はがまんできず、ジャンクに命じてキューバーを縛り上げ、城の牢獄に入れてしまう。
祭典に出席していた市民・場内の重臣たち一同、このさまに大いに喜び、溜飲を下げた。
以前、キューバーに詰問された向上運動主義者たちは、キューバーの投獄を喜びつつも、このまま生かしておいては後の災いになるだろうと、早くもその後のことを心配している。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7009
愛善世界社版:
113頁
八幡書店版:
第12輯 431頁
修補版:
校定版:
115頁
普及版:
58頁
初版:
ページ備考:
001
東西南
(
とうざいなん
)
の
三方
(
さんぱう
)
に
002
大海原
(
おほうなばら
)
を
囲
(
めぐ
)
らして
003
突出
(
とつしゆつ
)
したる
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
004
世界
(
せかい
)
最古
(
さいこ
)
の
文明地
(
ぶんめいち
)
005
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
国王
(
こくわう
)
は
006
各
(
おのおの
)
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
りつつ
007
バラモン
教
(
けう
)
や
印度教
(
いんどけう
)
008
三五教
(
あななひけう
)
やウラル
教
(
けう
)
009
その
外
(
ほか
)
数百
(
すうひやく
)
の
宗教
(
しうけう
)
が
010
互
(
たがひ
)
に
覇
(
は
)
をば
争
(
あらそ
)
ひつ
011
解脱
(
げだつ
)
や
涅槃
(
ねはん
)
や
無
(
む
)
よ
空
(
くう
)
よ
012
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
、
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
013
弥勒
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
や
神政
(
しんせい
)
の
014
再現
(
さいげん
)
等
(
など
)
といろいろと
015
主義
(
しゆぎ
)
や
主張
(
しゆちやう
)
をふりまはし
016
思想
(
しさう
)
の
混乱
(
こんらん
)
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
なく
017
中
(
なか
)
にも
大黒主
(
おほくろぬしの
)
神
(
かみ
)
は
018
ハルナの
都
(
みやこ
)
に
割拠
(
かつきよ
)
して
019
右手
(
めて
)
に
剣
(
つるぎ
)
を
携
(
たづさ
)
へつ
020
左手
(
ゆんで
)
にコーラン
説
(
と
)
き
乍
(
なが
)
ら
021
難行
(
なんぎやう
)
苦行
(
くぎやう
)
のあり
丈
(
だ
)
けを
022
信者
(
しんじや
)
に
強
(
し
)
ゆる
暴状
(
ばうじやう
)
は
023
天地
(
てんち
)
も
許
(
ゆる
)
さぬ
悪邪教
(
あくじやうけう
)
024
改
(
あらた
)
めしめて
国民
(
くにたみ
)
の
025
苦痛
(
くつう
)
を
除
(
のぞ
)
き
助
(
たす
)
けむと
026
主
(
す
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
027
照国別
(
てるくにわけ
)
は
梅公
(
うめこう
)
や
028
照公司
(
てるこうつかさ
)
を
伴
(
ともな
)
ひて
029
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
打
(
うち
)
渡
(
わた
)
り
030
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
に
立
(
たち
)
向
(
むか
)
ひ
031
十五
(
じふご
)
の
月
(
つき
)
に
心胆
(
しんたん
)
を
032
洗
(
あら
)
ひ
清
(
きよ
)
めてデカタンの
033
大暴風
(
だいばうふう
)
に
襲
(
おそ
)
はれつ
034
大高原
(
だいかうげん
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
035
デカタン
高野
(
かうや
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
036
トルマン
国
(
ごく
)
は
昔
(
むかし
)
より
037
ウラルの
教
(
をしへ
)
を
信奉
(
しんぽう
)
し
038
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
のそのままの
039
政治
(
せいぢ
)
を
布
(
し
)
きて
来
(
きた
)
りしが
040
月
(
つき
)
行
(
ゆ
)
き
星
(
ほし
)
は
移
(
うつろ
)
ひて
041
思想
(
しさう
)
は
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
悪化
(
あくくわ
)
しつ
042
ウラルの
教
(
をしへ
)
は
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
043
衰
(
おとろ
)
へしより
虚
(
きよ
)
に
乗
(
じやう
)
じ
044
バラモン
教
(
けう
)
やスコ
教
(
けう
)
や
045
盛
(
さかん
)
に
跳梁
(
てうりやう
)
跋扈
(
ばつこ
)
して
046
国民性
(
こくみんせい
)
は
三分
(
さんぶん
)
し
047
国運
(
こくうん
)
危
(
あやふ
)
くなりければ
048
あまり
信仰
(
しんかう
)
強
(
つよ
)
からぬ
049
トルマン
王
(
わう
)
も
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし
050
漸
(
やうや
)
く
神
(
かみ
)
を
崇敬
(
すうけい
)
し
051
国人
(
くにびと
)
達
(
たち
)
に
模範
(
もはん
)
をば
052
示
(
しめ
)
さむものと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
053
スコブツエン
宗
(
しう
)
の
教祖
(
けうそ
)
と
054
自
(
みづか
)
ら
名乗
(
なの
)
る
妖僧
(
えうそう
)
が
055
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
派遣
(
はけん
)
せし
056
大足別
(
おほだるわけ
)
と
結託
(
けつたく
)
し
057
トルマン
城
(
じやう
)
を
粉砕
(
ふんさい
)
し
058
スコブツエンの
根拠
(
こんきよ
)
をば
059
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
に
固
(
かた
)
めむと
060
あらゆる
手段
(
しゆだん
)
を
回
(
めぐ
)
らして
061
警備
(
けいび
)
少
(
すくな
)
き
国情
(
こくじやう
)
に
062
つけ
入
(
い
)
り
暴威
(
ばうゐ
)
を
揮
(
ふる
)
ふこそ
063
実
(
げ
)
に
怖
(
おそ
)
ろしき
限
(
かぎ
)
りなり
064
ガーデン
王
(
わう
)
や
千草姫
(
ちぐさひめ
)
065
右守
(
うもり
)
左守
(
さもり
)
の
老臣
(
らうしん
)
も
066
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
めて
国防
(
こくばう
)
の
067
協議
(
けふぎ
)
に
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
めしが
068
左守
(
さもり
)
右守
(
うもり
)
の
忠臣
(
ちうしん
)
は
069
刃
(
やいば
)
の
錆
(
さび
)
となりはてて
070
トルマン
国
(
ごく
)
の
柱石
(
ちうせき
)
を
071
失
(
うしな
)
ひたるぞ
是非
(
ぜひ
)
なけれ
072
照国別
(
てるくにわけ
)
に
守
(
まも
)
られて
073
チウイン
太子
(
たいし
)
の
率
(
ひき
)
ゐたる
074
二千
(
にせん
)
と
五百
(
ごひやく
)
の
精兵
(
せいへい
)
は
075
トルマン
城
(
じやう
)
を
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
076
囲
(
かこ
)
みて
王城
(
わうじやう
)
威喝
(
ゐかつ
)
せし
077
大足別
(
おほだるわけ
)
の
全軍
(
ぜんぐん
)
の
078
背後
(
はいご
)
を
衝
(
つ
)
いて
一斉
(
いつせい
)
に
079
総攻撃
(
そうこうげき
)
を
初
(
はじ
)
めける
080
この
有様
(
ありさま
)
を
見
(
み
)
るよりも
081
ガーデン
王
(
わう
)
は
雀躍
(
こをどり
)
し
082
城兵
(
じやうへい
)
五百
(
ごひやく
)
を
指揮
(
しき
)
しつつ
083
大足別
(
おほだるわけ
)
の
大軍
(
たいぐん
)
を
084
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
打
(
う
)
ちまくる
085
驕
(
おごり
)
きつたる
敵軍
(
てきぐん
)
は
086
不意
(
ふい
)
の
援兵
(
ゑんぺい
)
の
襲来
(
しふらい
)
に
087
慌
(
あわ
)
てふためき
馬
(
うま
)
を
捨
(
す
)
て
088
武器
(
ぶき
)
をも
捨
(
す
)
てて
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
089
命
(
いのち
)
からがら
逃
(
に
)
げ
乍
(
なが
)
ら
090
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
の
家々
(
いへいへ
)
に
091
放火
(
はうくわ
)
し
乍
(
なが
)
ら
野良犬
(
のらいぬ
)
の
092
遠吠
(
とほぼえ
)
なして
隠
(
かく
)
れける
093
トルマン
城
(
じやう
)
を
包
(
つつ
)
みたる
094
醜
(
しこ
)
の
村雲
(
むらくも
)
漸
(
やうや
)
くに
095
晴
(
は
)
れて
天日
(
てんじつ
)
晃々
(
くわうくわう
)
と
096
輝
(
かがや
)
き
玉
(
たま
)
ふ
神世
(
みよ
)
となり
097
国民
(
こくみん
)
上下
(
じやうげ
)
の
歓声
(
くわんせい
)
は
098
一度
(
いちど
)
に
湧
(
わ
)
きて
天地
(
あめつち
)
も
099
揺
(
ゆる
)
がむ
許
(
ばか
)
りの
勇
(
いさま
)
しさ
100
風塵
(
ふうぢん
)
全
(
まつた
)
く
治
(
おさ
)
まりて
101
ここにガーデン
刹帝利
(
せつていり
)
102
忠義
(
ちうぎ
)
の
為
(
ため
)
に
斃
(
たふ
)
れたる
103
左守
(
さもり
)
右守
(
うもり
)
の
英霊
(
えいれい
)
を
104
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
慰
(
なぐさ
)
めて
105
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
をば
表
(
へう
)
せむと
106
ハリマの
森
(
もり
)
の
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
107
社殿
(
しやでん
)
を
造
(
つく
)
りて
祀
(
まつ
)
り
込
(
こ
)
み
108
ハリマの
宮
(
みや
)
と
名
(
な
)
づけける
109
抑
(
そも
)
此
(
この
)
清
(
きよ
)
き
森林
(
しんりん
)
は
110
幾千
(
いくせん
)
年
(
ねん
)
を
経
(
へ
)
たりてふ
111
苔
(
こけ
)
むす
老木
(
らうぼく
)
鬱蒼
(
うつさう
)
と
112
昼
(
ひる
)
尚
(
なほ
)
暗
(
くら
)
く
思
(
おも
)
ふまで
113
立並
(
たちなら
)
びつつ
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
に
114
ゴウゴウ
枝
(
えだ
)
を
鳴
(
な
)
らしつつ
115
世
(
よ
)
の
太平
(
たいへい
)
を
謳
(
うた
)
ひゐる。
116
ここに
照国別
(
てるくにわけ
)
司
(
つかさ
)
117
ガーデン
王
(
わう
)
や
太子
(
たいし
)
をば
118
率
(
ひき
)
ゐて
祭
(
まつり
)
の
長
(
をさ
)
となり
119
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
も
朗
(
ほがら
)
かに
120
唱
(
とな
)
へ
上
(
あ
)
げむとする
時
(
とき
)
に
121
千草
(
ちぐさ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
寵愛
(
ちようあい
)
を
122
独占
(
どくせん
)
したるキユーバーは
123
肩
(
かた
)
で
風
(
かぜ
)
きり
傲然
(
がうぜん
)
と
124
照国別
(
てるくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
い
)
で
125
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
祭礼
(
さいれい
)
の
126
儀式
(
ぎしき
)
に
欠点
(
けつてん
)
ありとなし
127
罵詈
(
ばり
)
嘲弄
(
てうろう
)
を
極
(
きは
)
むれば
128
チウイン
太子
(
たいし
)
は
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て
129
妖僧
(
えうそう
)
キユーバーを
引捕
(
ひきとら
)
へ
130
縛
(
ばく
)
して
籐丸籠
(
とうまるかご
)
に
乗
(
の
)
せ
131
城内
(
じやうない
)
さして
帰
(
かへ
)
りけり
132
千草
(
ちぐさ
)
の
姫
(
ひめ
)
はチウインが
133
この
行動
(
かうどう
)
を
聞
(
き
)
くよりも
134
髪
(
かみ
)
逆立
(
さかだ
)
てて
怒
(
いか
)
り
立
(
た
)
ち
135
一旦
(
いつたん
)
平和
(
へいわ
)
に
治
(
をさ
)
まりし
136
トルマン
城
(
じやう
)
はここに
又
(
また
)
137
再
(
ふたた
)
び
黒雲
(
こくうん
)
塞
(
ふさ
)
がりて
138
又
(
また
)
もやお
家
(
いへ
)
の
大騒動
(
おほさうどう
)
139
惹起
(
じやくき
)
したるぞ
是非
(
ぜひ
)
なけれ
140
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
141
神
(
かみ
)
のまにまに
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
142
口述台
(
こうじゆつだい
)
の
浮船
(
うきぶね
)
に
143
安臥
(
あんぐわ
)
し
乍
(
なが
)
ら
由良湊
(
ゆらみなと
)
144
日本海
(
につぽんかい
)
の
怒濤
(
どたう
)
をば
145
眺
(
なが
)
め
乍
(
なが
)
らに
述
(
の
)
べて
行
(
ゆ
)
く
146
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
の
物語
(
ものがたり
)
147
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へと
主
(
す
)
の
神
(
かみ
)
の
148
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
149
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
150
御霊
(
みたま
)
の
恩頼
(
ふゆ
)
を
賜
(
たま
)
へかし。
151
ガーデン
王
(
わう
)
は、
152
不意
(
ふい
)
に
起
(
おこ
)
つたバラモン
軍
(
ぐん
)
の
攻撃
(
こうげき
)
に
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
153
右守司
(
うもりのかみ
)
のスマンヂーを
誤
(
あやま
)
つて
手
(
て
)
にかけ、
154
忠義
(
ちうぎ
)
一途
(
いちづ
)
の
老臣
(
らうしん
)
左守司
(
さもりのかみ
)
は
陣中
(
ぢんちう
)
に
倒
(
たふ
)
れ、
155
幸
(
さいはひ
)
に
敵軍
(
てきぐん
)
を
撃退
(
げきたい
)
し、
156
ヤヽ
安堵
(
あんど
)
したりとは
云
(
い
)
へ、
157
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
この
報
(
はう
)
を
聞
(
き
)
かば、
158
又
(
また
)
もや
何時
(
いつ
)
捲土
(
けんど
)
重来
(
ぢうらい
)
、
159
吾
(
わが
)
都城
(
とじやう
)
を
屠
(
ほふ
)
らむも
図
(
はか
)
り
難
(
がた
)
し、
160
一旦
(
いつたん
)
は
照国別
(
てるくにわけ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
神護
(
しんご
)
とチウイン
太子
(
たいし
)
の
智謀
(
ちぼう
)
と、
161
勇将
(
ゆうしやう
)
ジヤンクの
活動
(
くわつどう
)
によつて、
162
大勝利
(
だいしようり
)
を
得
(
え
)
たるも、
163
かかる
戦国
(
せんごく
)
に
国
(
くに
)
を
立
(
た
)
つるは
到底
(
たうてい
)
武力
(
ぶりよく
)
のみにては
叶
(
かな
)
ひ
難
(
がた
)
し、
164
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
大神
(
おほかみ
)
を
祀
(
まつ
)
り、
165
次
(
つ
)
いで
忠臣
(
ちうしん
)
義士
(
ぎし
)
の
霊魂
(
れいこん
)
を
斎
(
いつ
)
き
166
国民
(
こくみん
)
に
信仰
(
しんかう
)
の
模範
(
もはん
)
を
示
(
しめ
)
さむ……と
照国別
(
てるくにわけ
)
に
乞
(
こ
)
ひ、
167
ハリマの
森
(
もり
)
のウラル
彦
(
ひこ
)
を
祀
(
まつ
)
りたるお
宮
(
みや
)
の
傍
(
かたはら
)
に「
国柱
(
きない
)
神社
(
じんしや
)
」と
云
(
い
)
ふ
祠
(
ほこら
)
を
建
(
た
)
て、
168
左守
(
さもり
)
右守
(
うもり
)
の
英霊
(
えいれい
)
を
鎮祭
(
ちんさい
)
する
事
(
こと
)
となつた。
169
ガーデン
王
(
わう
)
、
170
チウイン
太子
(
たいし
)
、
171
ジヤンクを
初
(
はじ
)
め
城内
(
じやうない
)
の
重臣
(
ぢうしん
)
は
各自
(
めいめい
)
玉串
(
たまぐし
)
を
献
(
けん
)
じ、
172
照国別
(
てるくにわけ
)
の
斎主
(
さいしゆ
)
のもとに
無事
(
ぶじ
)
祭典
(
さいてん
)
の
式
(
しき
)
を
終
(
をは
)
らむとするや、
173
キユーバーは
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
照国別
(
てるくにわけ
)
が
斎主
(
さいしゆ
)
となりし
事
(
こと
)
を
非常
(
ひじやう
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
し、
174
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
寵
(
ちよう
)
を
得
(
え
)
たるを
力
(
ちから
)
として
乱暴
(
らんばう
)
至極
(
しごく
)
にも
祭壇
(
さいだん
)
に
駆
(
か
)
け
上
(
のぼ
)
り、
175
照国別
(
てるくにわけ
)
の
冠
(
かむり
)
を
叩
(
たた
)
き
落
(
おと
)
し、
176
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ちはだかり、
177
大音声
(
だいおんじやう
)
、
178
『アツハヽヽヽヽ
179
トルマン
城
(
じやう
)
の
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
ひ、
180
神謀
(
しんぼう
)
鬼策
(
きさく
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
王家
(
わうけ
)
を
救
(
すく
)
ひたるは
181
バラモン
尊天
(
そんてん
)
の
神力
(
しんりき
)
を
充
(
みた
)
したるスコブツエン
宗
(
しう
)
の
教祖
(
けうそ
)
キユーバーで
御座
(
ござ
)
る。
182
抑々
(
そもそも
)
このお
宮
(
みや
)
はウラル
彦
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
、
183
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんのう
)
を
祀
(
まつ
)
りあり、
184
然
(
しか
)
るに
天下
(
てんか
)
を
乱
(
みだ
)
す
悪神
(
あくがみ
)
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
部下
(
ぶか
)
なるデモ
宣伝使
(
せんでんし
)
をして
斎主
(
さいしゆ
)
たらしむるとは
合点
(
がてん
)
行
(
ゆ
)
かず、
185
神明
(
しんめい
)
に
対
(
たい
)
し
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
からむ。
186
何者
(
なにもの
)
の
痴漢
(
ちかん
)
ぞ、
187
刹帝利
(
せつていり
)
の
聰明
(
そうめい
)
を
被
(
おほ
)
ひまつりたる、
188
ウラルの
宮
(
みや
)
はウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
以
(
もつ
)
て
斎主
(
さいしゆ
)
とすべし。
189
万一
(
まんいち
)
異教
(
いけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
以
(
もつ
)
て
斎主
(
さいしゆ
)
に
当
(
あた
)
らしむるを
得
(
う
)
るとすれば、
190
何
(
なに
)
故
(
ゆゑ
)
今回
(
こんくわい
)
の
殊勲者
(
しゆくんしや
)
たる
此
(
この
)
キユーバーを
除外
(
ぢよぐわい
)
し、
191
神意
(
しんい
)
に
反
(
そむ
)
いて
不法
(
ふはふ
)
の
祭事
(
さいじ
)
を
行
(
おこな
)
ひたるか。
192
祭典
(
さいてん
)
の
主任
(
しゆにん
)
は
何人
(
なにびと
)
ぞ。
193
今
(
いま
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれて
其
(
その
)
理由
(
りいう
)
を
説明
(
せつめい
)
せられよ。
194
照国別
(
てるくにわけ
)
の
冠
(
かむり
)
の
脆
(
もろ
)
くも
地上
(
ちじやう
)
に
落
(
おち
)
たるは、
195
神明
(
しんめい
)
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
はざる
象徴
(
しやうちやう
)
なり。
196
これを
霊的
(
れいてき
)
に
考
(
かんが
)
ふれば、
197
国王
(
こくわう
)
殿下
(
でんか
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
危険
(
きけん
)
を
意味
(
いみ
)
し、
198
国家
(
こくか
)
の
転覆
(
てんぷく
)
を
意味
(
いみ
)
するもので
御座
(
ござ
)
る。
199
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
照国別
(
てるくにわけ
)
一派
(
いつぱ
)
を
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げ、
200
彼
(
かれ
)
が
生血
(
いきち
)
を
大神
(
おほかみ
)
の
前
(
まへ
)
に
贄
(
いけにへ
)
となし、
201
ウラル
彦
(
ひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
謝罪
(
しやざい
)
致
(
いた
)
されよ。
202
天来
(
てんらい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
203
キユーバーここに
忠告
(
ちうこく
)
仕
(
つかまつ
)
る』
204
と
呼
(
よば
)
はつた。
205
ガーデン
王
(
わう
)
初
(
はじ
)
め
居並
(
ゐなら
)
ぶ
重臣
(
ぢうしん
)
等
(
たち
)
は、
206
あまり
大胆
(
だいたん
)
なるキユーバーの
宣言
(
せんげん
)
に
呆
(
あき
)
れはて、
207
照国別
(
てるくにわけ
)
の
返答
(
へんたふ
)
如何
(
いかに
)
と
固唾
(
かたづ
)
を
呑
(
の
)
んで
待
(
ま
)
つてゐる。
208
照国別
(
てるくにわけ
)
は
少
(
すこ
)
しも
騒
(
さわ
)
がず、
209
冠
(
かむり
)
を
打落
(
うちおと
)
されたるまま
悠々
(
いういう
)
として
玉串
(
たまぐし
)
を
献
(
けん
)
じ、
210
祭官
(
さいくわん
)
一同
(
いちどう
)
を
引
(
ひき
)
具
(
ぐ
)
し、
211
トルマン
城内
(
じやうない
)
さして
帰
(
かへ
)
らむとするや、
212
キユーバーは
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げてその
進路
(
しんろ
)
を
遮
(
さへぎ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
213
『こりやヤイ、
214
デモ
宣伝使
(
せんでんし
)
、
215
首
(
くび
)
がとんだ
以上
(
いじやう
)
は
最早
(
もは
)
や
城内
(
じやうない
)
へ
立入
(
たちい
)
る
事
(
こと
)
は
罷
(
まか
)
りならぬぞ。
216
ヤアヤア
城内
(
じやうない
)
の
兵卒
(
へいそつ
)
共
(
ども
)
、
217
彼
(
かれ
)
を
引捕
(
ひつとら
)
へて
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれよ。
218
彼
(
かれ
)
はトルマン
国
(
ごく
)
の
仇敵
(
きうてき
)
で
御座
(
ござ
)
るぞ。
219
神
(
かみ
)
の
言
(
げん
)
に
間違
(
まちが
)
ひは
御座
(
ござ
)
らぬ』
220
と
呼
(
よば
)
はれども、
221
ガーデン
王
(
わう
)
やチウイン
太子
(
たいし
)
の
一言
(
いちごん
)
の
命令
(
めいれい
)
もなければ、
222
誰一人
(
たれひとり
)
として
手
(
て
)
を
下
(
くだ
)
すものもなく、
223
照国別
(
てるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
はソロリソロリと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
224
キユーバーは
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ
乍
(
なが
)
ら
後
(
うしろ
)
向
(
む
)
けに
歩
(
ある
)
かねばならなくなつた。
225
此
(
この
)
時
(
とき
)
チウイン
太子
(
たいし
)
は
見
(
み
)
るに
見
(
み
)
かね、
226
『ヤアヤア、
227
ジヤンク
殿
(
どの
)
、
228
狼藉者
(
らうぜきもの
)
のキユーバーをフン
縛
(
じば
)
り
城外
(
じやうぐわい
)
の
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
めよ』
229
と
下知
(
げち
)
すれば、
230
ジヤンクの
部下
(
ぶか
)
は
寄
(
よ
)
り
集
(
たか
)
つてキユーバーを
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
め、
231
牢獄
(
らうごく
)
さして
引立
(
ひきた
)
てて
行
(
ゆ
)
く。
232
群集
(
ぐんしふ
)
の
痛快
(
つうくわい
)
を
叫
(
さけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
、
233
ハリマの
森
(
もり
)
も
裂
(
さ
)
くる
許
(
ばか
)
りに
高
(
たか
)
く
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
234
城内
(
じやうない
)
の
重臣
(
ぢうしん
)
を
初
(
はじ
)
めトルマン
市
(
し
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
も
此
(
この
)
祭典
(
さいてん
)
に
参拝
(
さんぱい
)
してゐたが、
235
妖僧
(
えうそう
)
キユーバーが、
236
チウイン
太子
(
たいし
)
の
命
(
めい
)
によつて
群集
(
ぐんしふ
)
の
前
(
まへ
)
にて
縛
(
いまし
)
めの
縄
(
なは
)
を
受
(
う
)
けたるを
見
(
み
)
て
大
(
おほい
)
に
喜
(
よろこ
)
び、
237
口々
(
くちぐち
)
に
罵
(
ののし
)
り
合
(
あ
)
つてゐる。
238
甲
(
かふ
)
『オイ、
239
何
(
なん
)
と
痛快
(
つうくわい
)
ぢやないか、
240
何時
(
いつ
)
やらお
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
と○○○の
話
(
はなし
)
をして
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
、
241
あの
妖僧
(
えうそう
)
奴
(
め
)
、
242
どこからともなく
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
243
「いや、
244
その
方
(
はう
)
は
今
(
いま
)
穏
(
おだや
)
かならぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うて
居
(
を
)
つたぢやないか。
245
姓名
(
せいめい
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ、
246
住所
(
ぢうしよ
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひたい」と
云
(
い
)
つた
糞坊主
(
くそばうず
)
だよ。
247
ホントに、
248
いいザマぢやのう』
249
乙
(
おつ
)
『ウン、
250
さうさうあの
時
(
とき
)
、
251
何
(
なん
)
だつたね、
252
「
俺
(
おれ
)
の
名
(
な
)
は
俺
(
おれ
)
だ、
253
友人
(
いうじん
)
の
名
(
な
)
は
友人
(
いうじん
)
だ、
254
坊主
(
ばうず
)
はヤツパリ
坊主
(
ばうず
)
だ」と
吐
(
かま
)
して
一目散
(
いちもくさん
)
に
畔道
(
あぜみち
)
さして
逃
(
に
)
げた
所
(
ところ
)
、
255
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
追跡
(
つゐせき
)
しやがつたぢやないか。
256
大黒主
(
おほくろぬし
)
を
傘
(
かさ
)
に
着
(
き
)
て、
257
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らして
居
(
を
)
つたが、
258
今日
(
けふ
)
のザマつたら、
259
ないぢやないか。
260
こんな
事
(
こと
)
でも
見
(
み
)
せて
貰
(
もら
)
はなくちや、
261
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
は
胸中
(
きようちう
)
に
鬱積
(
うつせき
)
して
居
(
ゐ
)
る
憤怒
(
ふんど
)
の
焔
(
ほのほ
)
が、
262
消
(
き
)
える
事
(
こと
)
がないぢやないか、
263
ハツハヽヽヽ』
264
甲
(
かふ
)
『そいつも
痛快
(
つうくわい
)
だが、
265
あの
妖僧
(
えうそう
)
奴
(
め
)
、
266
一寸
(
ちよつと
)
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
けば○○○に
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
寵愛
(
ちようあい
)
され、
267
刹帝利
(
せつていり
)
を
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みくだ
)
し、
268
大変
(
たいへん
)
な
威勢
(
ゐせい
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だよ。
269
戦争
(
せんそう
)
が
治
(
をさ
)
まつてから
十日
(
とをか
)
もならないのに、
270
最早
(
もはや
)
自分
(
じぶん
)
の
天下
(
てんか
)
のやうに
振舞
(
ふるま
)
ふんだから、
271
あんな
奴
(
やつ
)
を
助
(
たす
)
けておいたらどんな
事
(
こと
)
をさらすか
分
(
わか
)
つたものぢやない。
272
彼奴
(
あいつ
)
は
屹度
(
きつと
)
○○○の
保護
(
ほご
)
によつて
日
(
ひ
)
ならず
出獄
(
しゆつごく
)
し、
273
再
(
ふたた
)
び
城内
(
じやうない
)
に
暴威
(
ばうゐ
)
を
振
(
ふる
)
ひ、
274
吾々
(
われわれ
)
国民
(
こくみん
)
を
層一層
(
そういつそう
)
苦
(
くる
)
しめ、
275
生血
(
いきち
)
を
搾
(
しぼ
)
るやうな
事
(
こと
)
をさらすだらう。
276
吾々
(
われわれ
)
は
主義
(
しゆぎ
)
のため、
277
同胞
(
どうはう
)
の
生活
(
せいくわつ
)
安定
(
あんてい
)
のため、
278
このままに
見逃
(
みのが
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬぢやないか』
279
乙
(
おつ
)
『ウン、
280
そらさうぢや。
281
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
慌
(
あわ
)
てるには
及
(
およ
)
ばぬよ。
282
又
(
また
)
機会
(
きくわい
)
が
到来
(
たうらい
)
するから。
283
其
(
その
)
時
(
とき
)
はその
時
(
とき
)
の
手段
(
しゆだん
)
を
廻
(
めぐ
)
らしさへすればいいぢやないか、
284
イツヒヽヽヽ』
285
ハリマの
森
(
もり
)
の
社
(
やしろ
)
は
一直線
(
いつちよくせん
)
に
王城
(
わうじやう
)
に
続
(
つづ
)
いてゐる。
286
その
間
(
あひだ
)
の
距離
(
きより
)
二十五
(
にじふご
)
丁
(
ちやう
)
、
287
道
(
みち
)
の
両方
(
りやうはう
)
には
家屋
(
かをく
)
櫛比
(
しつぴ
)
し、
288
トルマン
市中
(
しちう
)
最
(
もつと
)
も
繁華
(
はんくわ
)
の
土地
(
とち
)
と
称
(
しよう
)
せられてゐる。
289
甲
(
かふ
)
乙
(
おつ
)
二人
(
ふたり
)
はいつも、
290
これより
此
(
この
)
市街
(
しがい
)
に
出没
(
しゆつぼつ
)
し、
291
何事
(
なにごと
)
か
計画
(
けいくわく
)
しつつあつた。
292
(
大正一四・八・二四
旧七・五
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