兄弟姉妹よ、なんじら口をもっとも慎むべし。口の先より毒を吐き、刃を出す。世界のもろもろの罪けがれ、おおかたは口より出づるものなれば、もっとも口は慎まざるべからず。口ほど恐るべきものはなし。剣も口より出で、蛇も口より出で、悪魔もまた口より出づるなり。ゆえにわが身わが魂を地獄へ落とし入るるものは、多くはわが身の口なり、舌の禍いなり。人を罵る口をもちて人を誉めたたうべし。人は神の御子なれば、人を罵るものは神を罵るがごとし。禍いの酬いたちまちいたらん。恐れ慎むべきなり。
誠の道にある者、誠の道を学ばんとする者よ、かならず人を嫉むなかれ。罵るなかれ。しかしてまたみだりに人を裁くなかれ。人の身を悪しざまにいいなすものは、その身の悪しきと暗きとを、みずからあ人の前に自白するがごときものなり。
地上における善悪は、神の御国の善悪に比して、雲泥の相違あり。至善の道はただ神を愛し、神のために天国の発展を期するよりほかになし。神の道は人を偏り見るべからず。口にはいかなる善言を吐くといえども、その行ないに偏頗ある時は、これすなわち正しき誠の道にあらずして悪魔の行くべき道なり。心を広く胆を太くもつベし。小さきことにも心配なし、小言をならべ、あるいはみだりに人の過ちを責むることなかれ。
(「瑞祥新聞」大正15年6月1日)