全自然界はこれを総体の上から見ても、分体の上から見ても、ことごとく霊界と相応がある。
ゆえに何事たりとも、自然界にあつてその存在の源泉を霊界にとるものは、これを名づけて、その相応者というのである。そして自然界の存在し永続するゆえんは霊界によること、なお結果が有力因によりて存するがごときを知るべきである。自然界とは太陽の下にありて、これより熱と光とをうくるいつさいの事物をいうものなるがゆえに、これによりて存在を継続するものは、一として自然界に属せないものはない。されど霊界とは天界のことであり、霊界に属するものはみな天界にあるものである。
人間は一小天界にして、また一小世界である。しかしてともにその至大なるものの形式を模して成るがゆえに、人間のなかに自然界もあり、霊界もあるのである。その心性に属して智と意とに関せる内分は霊界をつくり、その肉体に属して感覚と動作とに関する外分は自然界をなすのである。ゆえに自然界にあるもの、すなわちかの肉体およびその感覚と動作とに属するものにして、その存在の源泉を彼が霊界に有する時は、すなわち彼が心性およびその智力と意力とよりおこりきたるときは、これを名づけて相応者というのである。
(人間は一小天界、「瑞祥新聞」大正14年7月21日)