霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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生活難

インフォメーション
題名:生活難 著者:出口王仁三郎
ページ:346 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-31 17:23:28 OBC :B195303c609
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正8年11月15日号(第98号) > 随筆
 世界を通じ上下混乱の惨状を連続しつゝ在る、不祥不安の現状を救ふは、最早今日の軍備や、政治や、宗教や教育の力では、如何ともする事は出来ぬのである。天人共に怒る今日の世状、瀕死の社会をして蘇生せしむるには、何しても皇道大本の教を、天下に宣伝せなくては、到底治国安民の実を挙ぐる事は不可能である。今後焼ゲ嶽、浅間其他諸山の活動に徴して、天下の前途を洞察すれば好い。
 古来裸体の儘厳寒の候、神仏に日参したり、跣足詣りなどを為して、信仰の強固なるを誇り、且つ私利私慾の為に祈願を為し、願望の成就せざるに至つて、此神は神力がないとか、又は仏力が無いとか、小言八百を並べ、遂には神仏の存在を否定する迷妄信者が、随分沢山に在つたが、人文の開けたと謂ふ大正の今日にても、矢張り迷信の跡は絶ぬものと見えて、伏見の稲荷山、能勢の妙見、鞍馬山などへ登て見ると、裸体参詣(夜中)跣足参りは愚か、裸体の儘神前や仏前に於て、天津祝詞を幾度となく妙な声を搾り出して唱へるかと思へば、直ぐ其口で心経を唱へる。法華経を誦む。実に奇怪至極である。中には自分の腕に燭を点し、肌がヂリく焦げて居るのを我慢して、油汗をかいて、一生懸命に慾望満足の祈願を凝らして暑るのも沢山にある。又た天から与へられたる食物を喰はずに断食をして、神仏に無理難題を強請したり、火の物絶ちを為て、身体を砕いたり、色々の芸当を行る事を以て、信仰の奥秘を体得したやうに思つて居る迷信者も沢山にある。斯んな事をして居る行者を見て、歓こんで願望を叶へ、福徳を与へる如うな神ならそれこそ、全く悪神である。神は人民に衣食の満足を与へたいのが御精神である。仮令一日でも半時でも、天地経綸の司宰者として、斯世に生しめ給ひし人間に、饉餓い目を為せたり、寒い目を為る事は、大変に御嫌い遊ばすのである。
 然るに其の至仁至愛なる神様の大御心も弁まへず只々自分の肉体さへ苦しめたら、大神の御歓こびに預り、其代償として無理な願ひでも聞いて呉れられるものと誤解して居るのは、実に気の毒といふより外に弁ずべき辞が無いのである。人間同志が互に訪問する時でさへ、裸体や跣足で行つては、大なる不礼になる。況して主人や目上の人に、何事にもせよ、依頼に出て行く時に於て右の様な無礼な風姿をして行く事は、出来ぬでは無いか。人間同志の交際上から見ても、裸体や跣足で人の家に頼み事に行く事は実に不都合千万である。況や至尊至貴なる大神に祈願する場合に於てをやである。衣冠束帯にて心身を清め整のえ、拍手再拝畏こみ畏こみ申上ぐべき神言を、裸体の儘にて奏上するなぞは、不敬の最も甚だしきもので在ります。
 外務大臣邸に於る天長祝日大夜会は、内外の縉紳(しんしん)淑女「縉紳」とは「官位の高い人。身分ある人」〔広辞苑〕を集め、昼よりも猶明るい電飾の下に、世界大戦争第一次の平和祝の準備が成つた夕方、邸外の爆発騒ぎで、内外人の心胆を寒からしめた大椿事は、果して何の前兆ぞ。幸にして三名の負傷者を出した丈けで、他は無事であつたなれど、二百名の○○○○○は何をして居られたのだらう。国民の多くは生活難に迫られ、惨な状態に在るに拘はらず、何等の政策も見るべき無く、物価は日々に昂騰して、益々悲惨なる状態に陥りつ瓦ある時であるから、高位高官等の綺羅を飾つての気楽そうな大夜会、それを憤慨しての暴挙では在るまいかと云ふ憶測説もあるやうだ。此際官民ともに時勢に鑑み、十分の注意を望む次第であります。

----------------------著作集(3)-----------------------
著作集 第三巻はこの部分だけをとりあげている
 現今の物価は殆ど殺人的狂騰を示し、中産中流階級者の生活難の叫びは、モハヤ絶頂に達せんとしつゝあるが今其の職業別の方面から、之れら生活難の声を聞いて見ると、各々多少の理窟があるやうである。○家主の曰ふには、地代は際限なく暴騰する、保険料の率も引上げられる。
 大工の手間賃は無茶苦茶に高く取られるので、家賃の値上げも止むを得ないのだ。不当な家賃を貪つて借家人を虐める訳では無い。家主の身にもチツトは成つて見て欲しい。
地主の小言には地租税や所得税が段々と高く成る斗りであるから、止むを得ずして地代を値上げするのである、何も世界一般の景気が良いからと云つて、地代を上げるのでは無いと。然るに家主の方では、地代の値上げを口実にして、利廻りの良いやうに家賃を上げるから、家賃は段々高く成る斗りである。家主たるもの少しは血や涙が有りさうなものじやと思ふ。○株主の小言には、配当が十割も在つたからと言つて何も不思議では無いじやないか。諸物価の安い時代の一割の方が遙に割合が良いなぞと、トボケテ居る。○巡査の小言に、我々は官吏として相当の威信も保たねば成らぬから、妻だとて勤めは出来ず、内職に通ふ事も出来ないから、惨めさは一通りでは無い。其処で警視庁も家族へ対して、内職を奨励する事にした。此を見ても我々の生活難が判るであらう。
 車夫の小言に梶棒さへ上げたら五十銭は手に入れるが、何しろ物価は一から十まで上つて居ると云ふものだから、這入る銭は殖えても、出る銭の方が多いから、結局収入が減つたと同じことだと。社会の内面を調べて見れば、誰一人として安楽なものは無い。「憂さ事の品こそ変はれ世の中に、心安くて住む人は無し」と云へる古人の歌を、思ひ出さずには居られないのである。アゝ行詰れる現状を一日も早く救ひ助け、五六七の神政が成就する時を待たるゝ次第である。
----------------------著作集(3)ここまで---------------

 いよいよ言霊閣の落成と共に、神軍の活動は益々激烈の度を加へて来た。神の生宮なる大本の信者は、神軍の活動に後れない様、言論戦の大活動を始めねば成らぬ場合である。其為か、神意の発顕か知ね共、綾部町に於ける大本言霊戦の武者振りは、古今その類例を見ざる大奮闘である。弥々日本国中を言向和はす可く時機到来したれば、王仁を始め役員信者の活動を開始すべきは今である。天津御祖の神の伝へ玉へる敏心の日本心を振起し厳の雄猛び踏猛び、伊都の嘖譲を起して、海行かば水潜屍、山往かば草むす屍、大君の辺にこそ死なめ、閑には死なじ顧みはせじと、弥進みに進み、弥迫りに迫り、山の尾毎に追伏せ、河の瀬毎に追払ひ、言向和す我等の活動舞台が展開されたる事を感謝する次第であります。
(随筆、「神霊界」 大正8年11月15日)
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