三五教の宣伝歌にも、見直し聞き直しということはでているが、嗅ぎ直しということはでておらぬ。元来、鼻は素盞嗚尊であるから詔直しがないのである。匂いで嫌になったのはとりかえしがつかぬもので、どんな美人でも嫌な臭いを嗅がされたが最後、ふたたび逢う気はしないものである。容貌が悪いのや、声の悪いのはだんだんと見慣れ、聞き慣れてくると、またよくなってくるものである。すなわち見直し聞き直しはあるが、嗅ぎ直しということはないゆえんである。だから各自が人なかにでる時は、この点十分注意を要する。
(見直し聞き直しと嗅ぎ直し、「神の国」大正15年9月)