仕事をやるには、自信をもつことがいちばん大切である。年が改まるとともに、だれも心機一転大事業をやろうと考える。ところが手をつけないさきから、大事業などと、大の字をつけるようでは成功おぼつかない。それはもう仕事に呑まれているからだ。仕事は呑んでかからねばならぬ。
他人がみて大事業だと思うことでも、ちよつと小さな仕事をはじめるくらいに思つてやることだ。それではじめて成功することができる。もつとも何事をなすにも、細心の注意は必要だ。しかし大胆であることは別である。元来、私には大事業というものがない。
(無題「人類愛善新聞」昭和5年1月3日)