霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 (なみ)(おと)〔五二九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻 篇:第1篇 勝利光栄 よみ(新仮名遣い):しょうりこうえい
章:第3章 波の音 よみ(新仮名遣い):なみのおと 通し章番号:529
口述日:1922(大正11)年03月16日(旧02月18日) 口述場所: 筆録者:藤津久子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年10月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
またしても船が暴風に襲われ、岩彦は仲間から、お前が改心しないから神の戒めにあうのだ、と責められる。
しかしいよいよもうだめだというときに、一同は変な刹那心を発揮して逆に勇気を奮い、日の出別宣伝使に対抗しようと、しどろもどろにウラル教の宣伝歌を歌い始めた。
そうするうちに船は暴風に流されて波斯の海岸のタルの港に着いた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-26 16:44:15 OBC :rm1303
愛善世界社版:46頁 八幡書店版:第3輯 48頁 修補版: 校定版:47頁 普及版:18頁 初版: ページ備考:
001 颶風(ぐふう)(たちま)西北(せいほく)(へん)じ、002鶴山丸(つるやままる)逆流(ぎやくりう)して(ふたた)元来(もとき)海路(かいろ)(ただよ)ひにける。
003 (たけ)(くる)飛沫(ひまつ)に、004寿司詰(すしづめ)になつた船中(せんちう)人々(ひとびと)頭上(づじやう)より塩水(しほみづ)()び、005誕生(たんじやう)釈迦像(しやかざう)(やう)になつて(しま)つた。006ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)007音彦(おとひこ)(たけ)(くる)(うみ)(なが)めて、
008音彦『それ()ろ、009岩公(いはこう)(えら)さうに大将(たいしやう)(づら)()(まは)頑張(ぐわんば)るものだから、010(ふたた)天道(てんだう)(さま)()機嫌(きげん)(そこ)ねて二度(にど)驚愕(びつくり)しやつくり()()ふのだよ。011貴様(きさま)改心(かいしん)()らぬから(みな)(もの)()招伴(せうばん)をさされるのだ。012()馳走(ちそう)()招伴(せうばん)なら()いが(いのち)からがら(この)(とほ)り、013何時(なんどき)(ふね)奈落(ならく)(そこ)()()むか(わか)らない危急(ききふ)存亡(そんばう)のこの場合(ばあひ)だ。014はやく改心(かいしん)して()出別(でわけの)(みこと)にお(わび)をせい。015時化(しけ)景物(けいぶつ)(あたま)から塩水(しほみづ)()びせられて、016(から)()()つて(くる)しむのは貴様(きさま)(ばか)りぢやない、017一同(いちどう)迷惑(めいわく)だよ』
018岩彦(いはひこ)改心(かいしん)せいと()つた(ところ)でこの(ごろ)手元(てもと)不如意(ふによい)改心(かいしん)原料(げんれう)()いのだ。019()うなるも()うなるも(ふね)のまにまに()(ところ)まで()かな仕方(しかた)がないわ』
020音彦(おとひこ)(おと)名高(なだか)い、021波斯(フサ)荒海(あらうみ)だ。022都合(つがふ)よく(いづ)れの(みなと)かに漂着(へうちやく)すれば()いが、023海底(かいてい)竜宮(りうぐう)へでもやられて()よ、024()うする(こと)出来(でき)やしない』
025岩彦(いはひこ)『ソンナ取越(とりこし)苦労(くらう)はすな。026寸善(すんぜん)尺魔(しやくま)027この瞬間(しゆんかん)吾々(われわれ)自由(じいう)意志(いし)発揮(はつき)する(とき)だ。028一尺先(いつしやくさき)(こと)(わか)るものか。029それだからウラル(けう)宣伝歌(せんでんか)に「一寸先(いつすんさき)(やみ)よ」と()ふのだ。
030  「(なみ)(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、031(なみ)(なか)から(つき)()る」
032()ふのだ。033たとへ(ふね)沈没(ちんぼつ)して竜宮(りうぐう)()つた(ところ)淤縢山津見(おどやまづみ)(やう)(しば)らく雌伏(しふく)して()ると、034()てば海路(かいろ)(かぜ)()く、035そこへ()出神(でのかみ)(あら)はれて、036吾々(われわれ)(たす)けて()れると()段取(だんどり)だ。037莫迦(ばか)らしい、038()出別(でわけ)なんてソンナ偽者(にせがみ)にこの(たふと)(あたま)安売(やすうり)して(たま)るかい』
039梅彦(うめひこ)『オイオイ岩彦(いはひこ)040(まへ)がさう頑張(ぐわんば)(ため)一同(いちどう)迷惑(めいわく)だ。041現当(げんたう)利益(りやく)(あら)はした()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)(かぶと)()いで、042(いま)一度(いちど)(たす)けて(もら)つたら()うだ』
043岩彦(いはひこ)三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)ぢやないが、
044  「たとへ大地(だいち)(しづ)むとも (まこと)(ちから)()(すく)ふ」
045吾々(われわれ)はウラル(けう)宣伝使(せんでんし)となつて(まこと)(ひと)つを()(とほ)して()たものだ。046たとヘウラル(けう)(ぜん)にせよ(あく)にせよ、047白鷺(しらさぎ)()(しろ)い、048(からす)()(くろ)いと()まつて()る。049ウラル(けう)(からす)なら(からす)()い。050身魂(みたま)因縁(いんねん)()つて、051(からす)(うま)れた(もの)だから(にはか)白鷺(しらさぎ)にならうたつて、052なれさうな(こと)はない。053(くだ)らぬ心配(しんぱい)するよりも、054宣伝歌(せんでんか)でも(うた)つた(はう)がよからう』
055音彦(おとひこ)『いくら()つてもこの大将(たいしやう)駄目(だめ)だ。056エヽ仕方(しかた)がない。057一寸先(いつすんさき)(やみ)だから心残(こころのこ)りのない(やう)持合(もちあは)せの(さけ)でも()んだらどうだい』
058亀彦(かめひこ)下地(したぢ)()きなり、059御意(ぎよい)()し。060(なに)()(わす)れる()めに(さけ)でも沢山(どつさり)()んで新規(しんき)蒔直(まきなほ)しの(くだ)でも()かうかい』
061音彦(おとひこ)『アヽアヽ五月蝿(うるさい)(やつ)だナア。062(これ)()けものの(わか)らぬ宣伝使(せんでんし)では竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)でも言向(ことむ)(やは)せないのは道理(だうり)だ』
063岩彦(いはひこ)貴様(きさま)落着(おちつ)きのない(やつ)だ。064これ(くらゐ)時化(しけ)(こは)くてどうして天下(てんか)宣伝使(せんでんし)(つと)まらうかい』
065梅彦(うめひこ)貴様(きさま)でも(つと)まつたと(おも)ふか。066(しき)りに作戦(さくせん)領分(りやうぶん)拡張(くわくちやう)する(ばか)りで、067(あご)(さき)(ばか)りで吾々(われわれ)指揮(しき)したつて(ばち)()(まへ)068(かしら)(まは)らな()(まは)らぬと()(こと)がある。069よく(かんが)へて()よ。070(かへ)つて盤古(ばんこ)神王(しんわう)にお目玉(めだま)頂戴(ちやうだい)するより此処(ここ)(すぐ)に、071()出別(でわけの)(みこと)謝罪(あやま)つて(たす)かる(はう)利巧(りかう)なやり(かた)だぞ』
072とウラル(けう)宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)は、073(だい)恐怖(きようふ)落胆(らくたん)()面相(めんさう)074ザツト半打(はんダース)(ばか)りも陳列(ちんれつ)して()る。075(かぜ)益々(ますます)(はげ)しくなつて()た。076船頭(せんどう)(こゑ)()()げて、
077船頭(せんどう)『オイオイ(みな)のお(きやく)たち、078()駄目(だめ)だぞ。079用意(ようい)をなされ』
080岩彦(いはひこ)『オイ船頭(せんどう)081用意(ようい)をなされと()つたつて(なに)用意(ようい)するのだい』
082船頭(せんどう)(かな)はぬ(とき)神頼(かみだの)みだ。083この(かぜ)(むか)つて()けず(おと)らず言霊(ことたま)発射(はつしや)するのだよ。084サアサア(おれ)(あと)()いて(ちから)一杯(いつぱい)呶鳴(どな)るのだ』
085()ひながら、086船頭(せんどう)(かい)()()()めて、087臍下(せいか)丹田(たんでん)(いき)()め、
088船頭『アー、089オー、090ウー、091エー、092イー、093
094呶鳴(どな)()したれば、095船客(せんきやく)一同(いちどう)(こは)さに(ふる)ひながら(こゑ)(そろ)へてアヽオヽウヽエヽイヽと複数(ふくすう)(てき)言霊(ことたま)発射(はつしや)するのであつた。096岩彦(いはひこ)盥伏(たらひぶ)せに()つた泥棒猫(どろぼうねこ)(やう)狡猾(かうくわつ)(つら)薄暗(うすぐら)(やみ)(さら)して目玉(めだま)をギヨロギヨロさせ(なん)となく不安(ふあん)面色(おももち)にて手足(てあし)をヂタバタさせて()る。
097音彦(おとひこ)『オイ大将(たいしやう)098その狼狽(うろた)加減(かげん)(なん)だ。099(つよ)さうな(こと)()つても、100矢張(やつぱり)まさか(とき)になれば(よわ)(もの)だなア』
101岩彦(いはひこ)()うなつては吾々(われわれ)刹那(せつな)権利(けんり)()ふものは(ただ)煩悶(はんもん)苦悩(くなう)自由(じいう)(いう)するのみだ。102自分(じぶん)権利(けんり)充分(じうぶん)自由(じいう)発揮(はつき)して()るのに、103貴様(きさま)干渉(かんせふ)する権利(けんり)があるか。104オイ貴様(きさま)()モウ駄目(だめ)だ、105(おれ)覚悟(かくご)がある。106たとへ(うみ)藻屑(もくづ)になるとも三五教(あななひけう)には降伏(かうふく)せない。107よく(かんが)へて()よ、108鶴山丸(つるやままる)沈没(ちんぼつ)すれば、109三五教(あななひけう)()出別(でわけ)矢張(やつぱり)(とも)溺死(できし)する()けの可能性(かのうせい)充分(じうぶん)具備(ぐび)して()るのだよ。110()つとけ()つとけ。111自分(じぶん)(こは)かつたら(かみ)(さま)(ねが)つて波風(なみかぜ)()めるだらう。112吾々(われわれ)はその景物(けいぶつ)をソツト占領(せんりやう)すればよいのだ』
113梅彦(うめひこ)『さうだな。114(ふね)沈没(ちんぼつ)すれば三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)沈没(ちんぼつ)せずには()るまい。115貴様(きさま)(いま)()つた言葉(ことば)(しん)天来(てんらい)妙音(めうおん)だ』
116岩彦(いはひこ)(なに)()つた(ところ)仕方(しかた)()い。117(そら)(あふ)いで()よ、118真黒(まつくろ)けな(かほ)をして(いま)にも()()しさうな暗澹(あんたん)至極(しごく)()面相(めんさう)だ。119()(をは)りと()ふものは、120(てん)(ちから)如何共(いかんとも)する(こと)出来(でき)ないと()える。121船頭(せんどう)(やつ)122吾々(われわれ)にまで言霊(ことたま)発射(はつしや)強圧(きやうあつ)(てき)(すす)めよつて、123発言(はつげん)機関(きくわん)虐使(ぎやくし)するものだから言霊(ことたま)停電(ていでん)(きた)して(こゑ)(なに)かすれ(しま)つた。124折角(せつかく)()()格納(かくなふ)して()いた(さけ)(まで)逆流(ぎやくりう)して、125八百屋(やほや)(みせ)開店(かいてん)する。126本当(ほんたう)にこれくらゐ雑閙(ざつたう)(きは)めた(こと)はありやしない。127貴様(きさま)()ソレ(ふね)(しづ)むとか、128()ぬとか、129弱音(よわね)()きよつたが()うだい、130時節(じせつ)()ふものは(えら)いものだらう。131(かぜ)(かみ)132余程(よほど)(よわ)つたと()えて沈黙(ちんもく)しかけたぢやないか。133モウ心配(しんぱい)するな。134さしもに(たけ)(あれ)(かみ)も「ヤア長々(ながなが)()()ませました、135ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)(さま)136また御縁(ごえん)があつたら陸上(りくじやう)でお()(かか)りませう、137アリヨース」と()つて、138(しり)()かけて、139スタコラヨイヤサと、140アーメニヤの(みやこ)をさして予定(よてい)()退却(たいきやく)だ。141()うだ(おれ)刹那心(せつなしん)には閉口(へいこう)しただらう』
142亀彦(かめひこ)『さうだ、143(あんま)りの(えら)時化(しけ)咫尺(しせき)暗澹(あんたん)144吾身(わがみ)進路(しんろ)(あやま)つて()たが、145()()うなる(うへ)(なに)(くる)しむで三五教(あななひけう)降伏(かうふく)する必要(ひつえう)があるか。146すんで(こと)鶴山丸(つるやままる)(おほ)タンクになる(ところ)だつた。147サア(みな)(やつ)勇気(ゆうき)()して、148こちらは(ろく)(にん)(むか)ふは一人(ひとり)だ。149宣伝歌(せんでんか)(うた)つてやらうかい。150(いま)(かぜ)ぢやないが、151()いて()いて()(まは)し、152三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)胆玉(きもたま)転宅(てんたく)させるのだよ。153風力(ふうりよく)七十五(しちじふご)メートルの(いきほ)いでナ』
154一同(いちどう)は、
155一同面白(おもしろ)面白(おもしろ)い』
156喉元(のどもと)()ぐれば(あつ)(わす)れるとかや、157(めう)(ところ)刹那心(せつなしん)発揮(はつき)して声調(せいてう)(ととの)はぬ複数(ふくすう)(てき)のシドロモドロの宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めたり。
158一同(なみ)(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)
159(やみ)(あと)には(つき)()
160(つき)(つき)ぢやが(さかづき)ぢや
161()んで()()()うたら(をど)
162()へと()つても(ふね)には()ふな
163(をど)れと()つても(なみ)(やつ)
164(ふね)のかへる(やう)(をど)りをするな
165アンナ悪戯(いたづら)ちよこちよこやると
166(おい)()(むね)(まで)(をど)()
167()めよ()()心地(ここち)よく()めよ
168()めと()つても(ふね)ではないぞ
169()()(わけ)宣伝使(せんでんし)
170(なみ)(たてがみ)ふり()てて
171グツト一口(ひとくち)()んで(しま)
172(おれ)はウラル(けう)宣伝使(せんでんし)
173仮令(たとへ)大地(だいち)(くら)くとも
174(いのち)(おや)(さけ)()めば
175(かほ)(いろ)まで(あか)くなる
176(くも)つた(かほ)して天道(てんたう)(さん)
177(むづ)かし(かほ)して(にら)むより
178()めば(さか)えるこの(さけ)
179一寸(ちよつと)一杯(いつぱい)食召(きこしめ)
180(さけ)(をんな)()(たから)
181(さけ)でなければ()()けぬ
182(さけ)でなければ()()けぬ
183(さけ)から()()(つき)()
184(さけ)から()()(つき)()る』
185とシドロモドロの(うた)(うた)宣伝歌(せんでんか)(つぶ)して(しま)つた。
186 ()くする(うち)187(ふね)(やうや)波斯(フサ)海岸(かいがん)タルの(みなと)安着(あんちやく)したりける。
188大正一一・三・一六 旧二・一八 藤津久子録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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