一行は出雲姫の案内で、タカオ山脈のコシの峠に着いた。日の出別命、岩彦、鷹彦、梅彦らが岩石の上に体を伸ばして寝ている。
出雲姫は、日の出別らは休息中なので、一同はここで日の出別らが起きるまで待っているように、と言って素早くどこかへ行ってしまった。
三人は寝ている宣伝使らに、何とかしていたずらしてやろう、と相談を始めた。岩彦にいたずらしようと足を引っ張ると、岩彦も鷹彦も起きていて、三人を叱り付ける。
鷹彦が三人の前に立って、霧水を吹きかけた。すると不思議にも、またしても三人は岩窟の中で、臥竜姫の館に居るのであった。
琵琶を抱えた美人が現れ、三人に蛇や虫や蛙の料理を勧める。そして美人は、自分はうわばみの野呂公の妻である、と告げた。
音彦は女を化け物と思い、退治しようといきり立つが、逆に身魂が磨けていないことを女に指摘されて、馬鹿にされてしまう。
亀彦は怒って剣を抜いて立ち上がろうとするが、体の自由がきかない。駒彦も音彦も動けなくなってしまっていた。祝詞を唱えようとするが、脱線してまともに唱えることができなくなっている。
女は、三人が宣伝使の証である被面布を紛失していることを指摘した。ここに至って音彦はついに観念し、すべてを相手に任せる気持ちになった。
すると女は、ようやく三人の心の岩戸が開けたことを告げた。そして、ここは岩窟の中心点であり、この岩窟は木花咲耶姫命の経綸の聖場にして、高照姫神が鎮まる御舎であることを明かした。
そして執着心を捨てた心であれば、岩窟の探検を無事に終えられるであろうことを告げ、姿を隠した。
音彦、亀彦、駒彦は今まで自分の心の中に迷い・曇りがあったことを悟り、神言を奏上した。三人は打って変わって野卑な言葉使いを改め、探検を続けることとなった。