霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一〇章 巌窟(がんくつ)〔五三六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻 篇:第3篇 探険奇聞 よみ(新仮名遣い):たんけんきぶん
章:第10章 巌窟 よみ(新仮名遣い):がんくつ 通し章番号:536
口述日:1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年10月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一同は矢を探して原野に出たが、広い野原に萱の矢一本を探すことに文句を言うものもあった。鷹彦は戒めていたが、火が燃え広がってくるのが見えた。一同は邪神の計略にかかったかと疑った。
近づいてくる火に、一同はひとところに固まって地団駄を踏んでいる。すると一同の足元が抜けて、土中に陥った。火はその上を咆哮しながら燃え進んでいってしまった。
岩彦は、赤い鼠とは原野に放たれた火のことだ、と悟った。九分九厘かなわぬというところで、神様が助けてくれる実地を身をもって知ったのであった。
すると、鼠が鳴く声が聞こえてくるので、一同は声の方に向かっていくと、緋色の毛をした鼠が、萱の矢をくわえて現れ、そして姿を消した。一同は足踏みをするとたんに、さらに深い穴に落ち込んだ。見ると、六個の岩窟が開いていた。
六人はめいめい、一個ずつの岩窟に進み入っていった。しかし進んで行くと、六個の穴の先は広い場所で一同はまたひとところに集まった。そこは大きな岩戸が行方を閉ざしていた。
亀彦が岩戸を思い切り押すと、暖簾に腕押しで、勢い余って向こう側に落ち込んだ。そして、落とし穴の井戸に落ち込んでしまった。亀彦は助けを求めている。
一同は亀彦を助けるかどうか会議をする、といってじらし、おかしな問答をして亀彦をなぶっている。しかし井戸にも石段が刻んであって、亀彦は苦もなく井戸から上がってくる。
馬鹿な一幕に一同は笑い合っていると、突然異声怪音が耳を打ち、一行の体は麻痺してきた。これはたいへんだと、皆声を揃えて天津祝詞を奏上する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-12-04 12:39:30 OBC :rm1310
愛善世界社版:121頁 八幡書店版:第3輯 75頁 修補版: 校定版:121頁 普及版:51頁 初版: ページ備考:
001 ()出別(でわけ)射放(いはな)ちたる()(ひろ)ふべく、002鷹彦(たかひこ)003岩彦(いはひこ)一行(いつかう)は、004(さき)(あらそ)うて我一(われいち)功名(こうみやう)せむと、005萱野(かやの)()けて(すす)()く。
006岩彦(いはひこ)『この萱野原(かやのはら)萱製(かやせい)()をたつた一本(いつぽん)(ぐらゐ)射放(いはな)つて、007それを(ひろ)つて()いと()うたつて、008天然坊(てんねんばう)(ほし)あたり、009(どれ)だけ(さが)しても()ければもう駄目(だめ)だ。010失望(しつばう)落胆(らくたん)(ふち)(しづ)むとは、011コンナことを()ふのだらうかい』
012亀彦(かめひこ)際限(さいげん)もなきこの萱野原(かやのはら)を、013(わづか)一本(いつぽん)萱製(かやせい)()(さが)すと()つたつて、014到底(たうてい)不可能(ふかのう)(てき)大事業(だいじげふ)だ、015竿竹(さをだけ)をもつて(そら)(ほし)をがらつよりも(たよ)りない(はなし)ぢやないか』
016鷹彦(たかひこ)『また弱音(よわね)()きよる。017これが身魂(みたま)(あらた)めだ。018(なん)でも(かま)はない、019()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)のおつしやる(とほ)り、020唯々(ゐゐ)諾々(だくだく)として遵奉(じゆんぽう)するのだよ』
021駒彦(こまひこ)『あまり無理(むり)ぢやないか』
022鷹彦(たかひこ)(おや)主人(しゆじん)師匠(ししやう)無理(むり)()ふものだと(おも)うて()れば()いのだ。023滅多(めつた)吾々(われわれ)(おや)師匠(ししやう)窮地(きうち)陥没(かんぼつ)さして、024痛快(つうくわい)(さけ)ぶと()ふやうな(こと)はなさる気遣(きづか)ひがない。025何処(どこ)までも徹頭(てつとう)徹尾(てつび)(めい)のまにまに矢探(やさが)しをするのだよ』
026駒彦(こまひこ)『ヤヤコシイ、027矢探(やさが)しだナ。028()()(しばら)思案(しあん)()れにけりの為体(ていたらく)だ。029オイオイ大変(たいへん)だ、030()()えて()るぞ。031これだけ()(しげ)つた野原(のはら)()をつけられ、032吾々(われわれ)(たま)つたものぢやないワ、033本当(ほんたう)()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)無茶(むちや)ぢやないか、034矢張(やつぱ)彼奴(あいつ)(あや)しいと(おも)つて()たよ』
035鷹彦(たかひこ)吾々(われわれ)奈落(ならく)(そこ)陥穽(かんせい)すると()悪神(あくがみ)(たく)みに()つたのだ。036エヽもう自棄糞(やけくそ)だ、037()(じに)する(ところ)まで()れて、038()れて、039(あば)(まは)してやらうかい』
040 ()くいふ(をり)しも、041()四方(しはう)八方(はつぱう)より()(たけ)り、042黒煙(こくえん)濛々(もうもう)として一同(いちどう)(つつ)んで(しま)つた。043梅公(うめこう)044音公(おとこう)両人(りやうにん)は、
045梅彦、音彦(あつ)いワイ、046(けむ)たいワイ、047(くる)しい。048如何(どう)しよう』
049鷹彦(たかひこ)『また弱音(よわね)()くな、050心頭(しんとう)(めつ)すれば()もまた(すず)しと()(こと)があるわ。051()ういふ(とき)に、052()(たい)する(みづ)だ。053(かわ)(こと)なく(つく)(こと)なき(かみ)(たふと)(みづ)をもつて、054猛火(まうくわ)()すのだ。055これが吾々(われわれ)身魂(みたま)試錬(しれん)だよ』
056 かく()(をり)しも()足許(あしもと)()えて()た。057進退(しんたい)(きは)まつた一同(いちどう)一処(ひとところ)(あつ)まり(たがひ)()きついて地団駄(ぢだんだ)()んで()る。058(たちま)()バサリ陥落(かんらく)し、059土中(どちう)一行(いつかう)(おちい)つた。060()はその(うへ)(なに)容赦(ようしや)もなく咆哮(ほうこう)しながら()()ぎにけり。
061岩彦(いはひこ)『アヽこれで(わか)つた。062九分(くぶ)九厘(くりん)(かな)はぬと()(ところ)(かみ)(さま)(たす)けてやると仰有(おつしや)るのは(ここ)(こと)だ。063火鼠(ひねずみ)(あら)はして(をし)へてやるなぞと、064本当(ほんたう)(あか)(ねずみ)()るのかと(おも)つて()たれば途方(とはう)途徹(とてつ)もない(おほ)きな火鼠(ひねずみ)だつた。065()(とほ)つた(あと)()(がら)(みな)(くろ)くなつて、066(すみ)になりよる。067それで火鼠(ひねずみ)仰有(おつしや)つたのだな』
068鷹彦(たかひこ)『ホー中々(なかなか)貴様(きさま)(さと)りがよいワイ。069(なん)()だブクブクするぢやないか。070地獄(ぢごく)(そこ)まで陥没(かんぼつ)しても(こま)る、071好加減(いいかげん)()めて(もら)はぬと、072()ぎたるは(なほ)(およ)ばざるが(ごと)しだ』
073 何処(いづく)ともなく、074『ククヽヽヽ』
075一同(いちどう)『ヤア、076あれは(ねずみ)()(ごゑ)ぢやないか。077彼方(あつち)(はう)()つて()ようぢやないか』
078(こゑ)(たづ)ねて一同(いちどう)(すす)んで()く。079(はた)して()緋色(ひいろ)()びた古鼠(ふるねずみ)(かや)()()はへてこの(ところ)(あら)はれ、
080古鼠(うち)はホラホラ、081()はスブスブ』
082()いたきり姿(すがた)()して(しま)つた。083一同(いちどう)ドン足踏(あしふみ)する途端(とたん)084ズドンと(おと)がして(ふか)(あな)()()んだ。085()れば其処(そこ)には六個(ろくこ)巌窟(がんくつ)()いて()る。
086鷹彦(たかひこ)『ヤア此処(ここ)此処(ここ)だ、087()出別(でわけの)(みこと)もなかなか(えら)いワイ、088()()ちた(ところ)矢張(やつぱり)この巌窟(いはや)()(ぐち)だつた。089悪魔(あくま)()ふものは、090本当(ほんたう)注意(ちうい)周到(しうたう)なものだ、091コンナ(ところ)入口(いりぐち)(こしら)へておけば(たれ)()()(はず)はない、092(いた)れり(つく)せりだ。093サアこれから約束(やくそく)(とほ)各自(めいめい)分担(ぶんたん)して探険(たんけん)()かけるのだ』
094 (ろく)(にん)(おのおの)一個(いつこ)(あな)姿(すがた)(かく)した。095比較(ひかく)(てき)(たか)横巾(よこはば)(ひろ)巌穴(いはあな)である。096どうしたものかこの巌窟(がんくつ)(なか)地中(ちちう)にも(かか)はらず非常(ひじやう)(あかる)い。097(ろく)(にん)(おのおの)(ひと)つの(あな)目蒐(めが)けて(すす)()く。
 
098 ()出別(でわけ)火鼠(ひねずみ)荒野(あらの)(あら)はれて  (まよ)へる(ひと)(こころ)(てら)せり
 
099 時々(ときどき)(あな)(あな)との巌壁(がんぺき)風通(かざとほ)しが()けてある。100(ろく)(にん)六個(ろくこ)(あな)二三町(にさんちやう)(すす)むと其処(そこ)非常(ひじやう)(ひろ)場所(ばしよ)がある。101(これ)より(さき)堅固(けんご)なる(いは)()(とざ)されて(すす)(こと)出来(でき)ない。102(ろく)(にん)()せずして一処(ひとところ)(あつ)まり、
103鷹彦(たかひこ)『ヤア(みな)連中(れんちう)104如何(どう)だつた。105(べつ)(かは)つた(こと)()かつたか』
106亀彦(かめひこ)『あつた、107あつた、108(おほい)にあつた』
109鷹彦(たかひこ)(なに)があつたのだ』
110亀彦(かめひこ)巌壁(がんぺき)両方(りやうはう)(のぞ)(あな)沢山(たくさん)あつたのだ』
111鷹彦(たかひこ)(なに)()ふのだ、112大層(たいそう)らしい。113どの(あな)にも共通(きようつう)(てき)空気穴(くうきあな)()いて()るのだよ』
114岩彦(いはひこ)(これ)では(つま)らぬぢやないか、115相手(あひて)なしの(たたか)ひは出来(でき)やしない。116(なん)だ、117(しこ)厳窟(いはや)化物(ばけもの)()るナンテ(ひと)馬鹿(ばか)にして()る。118それだから世間(せけん)(うはさ)(あて)にならぬといふのだ』
119鷹彦(たかひこ)『イヤ、120これからが正念場(しやうねんば)だよ。121ここはホンの序幕(じよまく)だ。122何十(なんじふ)()とも()れぬ(ほど)あると()ふぢやないか、123どこぞこの岩壁(がんぺき)(ちから)一杯(いつぱい)()して()ようか。124(なん)でも沢山(たくさん)()があると()(こと)だから、125アヽさうだ、126(ひと)()してやらう。127オイ(みな)一度(いちど)総攻撃(そうこうげき)だ』
128と。129(ちから)一杯(いつぱい)ウン()した。130亀公(かめこう)()した(いは)は、131暖簾(のれん)()すやうに()もなく()いて、132(かめ)(いきほひ)あまつて巌穴(いはあな)(なか)()()んだ途端(とたん)幾丈(いくぢやう)とも()れぬ陥穽(おとしあな)にザブンと(おと)()てて()()んだ。
133亀彦(かめひこ)『ヤヤ大変(たいへん)だ。134(みな)(やつ)(おれ)(たす)けて()れぬかい』
135 ()(にん)(あな)(かたはら)一足(ひとあし)136一足(ひとあし)137(ゆび)(ちから)()れながらソツと(むか)ふに(わた)り、
138一同『アヽ、139(おも)はぬ不覚(ふかく)()つた。140これだから気許(きゆる)しは一寸(ちよつと)出来(でき)ないと()ふのだ』
141鷹彦(たかひこ)(なん)とかして(かめ)サンを(すく)うて()げて()らねばなるまい』
142 (かめ)143井戸(ゐど)(そこ)より、
144亀彦『オイ、145オイ、146(なん)とかして()れないか』
147音彦(おとひこ)『お(まへ)()から(かめ)サン、148(みづ)(なか)得意(とくい)だらう、149マア悠乎(ゆつくり)(みづ)でも()んで(くつろ)ぎたまへ。150突差(とつさ)場合(ばあひ)よい智慧(ちゑ)()ないから(この)井戸(ゐど)(はた)(やま)(かみ)ぢやないが、151井戸端(ゐどばた)会議(くわいぎ)開会(かいくわい)してお(まへ)(たす)けるか、152(たす)けないかといふ決議(けつぎ)をやるのだ。153マアマア、154閉会(へいくわい)になる(まで)辛抱(しんばう)して()れ』
155亀彦(かめひこ)『ソンナ気楽(きらく)(こと)()うて()れるかい、156(いち)()(はや)(すく)()げて()れ』
157岩彦(いはひこ)『エヽ、158矢釜敷(やかまし)()うな、159()()けやうが()いぢやないか』
160亀彦(かめひこ)()つけやうどころか、161(あし)(あたま)体中(からだぢう)162()()るぢやないか』
163鷹彦(たかひこ)『サアサア、164臨時(りんじ)議会(ぎくわい)開会(かいくわい)だ、165これから議長(ぎちやう)選挙(せんきよ)だ。166院内(いんない)総務(そうむ)(たれ)にしようかな』
167亀彦(かめひこ)『アヽ辛気(しんき)(くさ)い、168洒落(しやれ)どころぢやないわ、169(つめ)たくなつて仕方(しかた)がない、170(からだ)(なに)氷結(ひようけつ)して(しま)ふわ』
171岩彦(いはひこ)氷結(ひようけつ)したつて仕方(しかた)がない、172此方(こちら)多数決(たすうけつ)だ。173()(にん)両派(りやうは)()けて、174(さん)(にん)二人(ふたり)だ。175(たか)サンは議長(ぎちやう)といふ(かく)だ』
176鷹彦(たかひこ)『エヽ諸君(しよくん)177遠路(ゑんろ)(ところ)よく出席(しゆつせき)(くだ)さいました。178今回(こんくわい)臨時(りんじ)議会(ぎくわい)開会(かいくわい)いたしましたに(つい)ては、179(もつと)(きふ)(えう)する事件(じけん)御座(ござ)いまして、180国家(こくか)危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)181何卒(なにとぞ)諸君(しよくん)慎重(しんちよう)なる()審議(しんぎ)(ねが)()いのです。182抑々(そもそも)今回(こんくわい)議案(ぎあん)提出(ていしゆつ)要件(えうけん)は、183御存(ごぞん)じの(とほ)り、184(もと)ウラル(けう)のヘボ宣伝使(せんでんし)185亀公(かめこう)()(をとこ)186(しこ)巌窟(いはや)探険(たんけん)()かけ、187(じつ)短見(たんけん)浅慮(せんりよ)にも(おも)はぬ不覚(ふかく)()り、188(ふか)井中(ゐちう)陥没(かんぼつ)(いた)し、189生命(いのち)旦夕(たんせき)(せま)る、190()場合(ばあひ)でございます。191何卒(どうぞ)諸君(しよくん)箱入(はこいり)知識(ちしき)(しぼ)()されて、192(かれ)救済(きうさい)(さく)(かう)最善(さいぜん)努力(どりよく)(つく)されむ(こと)希望(きばう)いたします』
193四人『ヤア賛成(さんせい)々々(さんせい)
194と、195()(にん)一度(いちど)拍手(はくしゆ)をもつて(むか)へる。196亀公(かめこう)井戸(ゐど)(そこ)より、
197亀彦(かめひこ)『ヤーイ、198(はや)(たす)けぬかい。199()んでからなら(たす)けても(やく)()たぬぞ』
200鷹彦(たかひこ)(なん)だ。201井戸(ゐど)(そこ)から矢釜敷(やかましう)()ふな、202議会(ぎくわい)神聖(しんせい)(けが)すでないか。203如何(どう)でせう、204諸君(しよくん)205先決(せんけつ)問題(もんだい)として亀公(かめこう)救済(きうさい)すべきものなりや、206将又(はたまた)このままに見殺(みごろし)にすべきものなりや、207起立(きりつ)をもつてお(しめ)(くだ)さい』
208音彦(おとひこ)(みな)すでに起立(きりつ)して()るぢやありませぬか』
209鷹彦(たかひこ)『ヤア、210これは間違(まちが)つた。211議員(ぎゐん)一同(いちどう)そこにお(すわ)(くだ)さい。212賛成者(さんせいしや)起立(きりつ)(ねが)ひます。213亀彦(かめひこ)(たす)けると()ふお(こころ)(かた)起立(きりつ)して(くだ)さい、214(すく)はないと()()意見(いけん)(かた)はそのまま(すわ)つて()てもらひませう。215(いち)()(さん)
216鷹彦(たかひこ)『ヤア起立(きりつ)される(かた)(こま)サン一人(ひとり)ですか、217これは()しからぬ。218(しか)らば議長(ぎちやう)起立(きりつ)いたしませう』
219岩彦(いはひこ)議長(ぎちやう)横暴(わうばう)だ。220多数決(たすうけつ)多数決(たすうけつ)221()とする(もの)二人(ふたり)222()とする(もの)(さん)(にん)
223鷹彦(たかひこ)多数党(たすうたう)横暴(わうばう)(きは)まる。224議会(ぎくわい)解散(かいさん)(めい)じませうか』
225 (かめ)226井戸(ゐど)(そこ)より()(ごゑ)()して、
227亀彦『ヤイ、228馬鹿(ばか)にするない、229洒落(しやれ)どころかい。230(はや)(たす)けて()れないか』
231岩彦(いはひこ)『この井戸(ゐど)周囲(まはり)(みな)この(いは)サンで(かた)めてあるのだ。232(いは)()をかけ(あし)をかけ(のぼ)つて()ればよいのだよ』
233亀彦(かめひこ)(のぼ)れと()つたつて、234()(あし)()つかかる(ところ)がないのだよ』
235岩彦(いはひこ)『さうだらう、236手足(てあし)(みじか)くて()甲羅(かふら)がつかへて(のぼ)れぬのだらう。237モシモシ(かめ)(かめ)サンよ、238世界(せかい)(うち)にお(まへ)ほど、239(からだ)不自由(ふじゆう)なものは()い、240アハヽヽ』
241亀彦(かめひこ)(なん)とおつしやる(うさぎ)サン』
242鷹彦(たかひこ)危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)243(いのち)瀬戸際(せとぎは)になつて、244洒落(しやれ)るだけの余裕(よゆう)があるものなら、245サツサと(のぼ)つて()い』
246亀彦(かめひこ)(みな)サン(おほ)きに(はばか)りさま。247(うへ)から(くら)くて()よまいが、248立派(りつぱ)段梯子(だんばしご)(きざ)んであるわ、249アハヽヽヽ』
250(わら)ひながら悠々(いういう)として井戸(ゐど)から(のぼ)つて()た。
251岩彦(いはひこ)『こいつ一杯(いつぱい)(くは)された。252イヤ此方(こちら)臨時(りんじ)議会(ぎくわい)まで(ひら)いて大騒動(おほさうどう)をやつて、253沢山(たくさん)機密費(きみつひ)使(つか)つたのは、254吾々(われわれ)(はう)陥穽(おとしあな)()()まれたやうなものだ。255(あり)もせぬ脳味噌(なうみそ)から機密費(きみつひ)(しぼ)()して馬鹿(ばか)らしい。256この(たび)議会(ぎくわい)歳費(さいひ)五割増(ごわりまし)だ。257アハヽヽヽ』
258 ()(わら)さざめく(をり)しも、259前方(ぜんぱう)(あた)つて(なん)とも形容(けいよう)出来(でき)ないやうな異声(いせい)怪音(くわいおん)(しき)りに一同(いちどう)耳朶(じだ)()つ。
260 不思議(ふしぎ)一行(いつかう)身体(からだ)はその(ひびき)(とも)に、261電気(でんき)にでも(かん)じたやうに、262身体(からだ)各部(かくぶ)震動(しんどう)(かん)じ、263やや痳痺(まひ)気味(ぎみ)になつて()た。
264鷹彦(たかひこ)『ヤア、265此奴(こいつ)大変(たいへん)だぞ、266オイオイ(みな)(もの)267緊褌(きんこん)一番(いちばん)268(おほい)活動(くわつどう)すべき時期(じき)切迫(せつぱく)した。269(なに)はともあれ、270神言(かみごと)神言(かみごと)だ』
271 一同(いちどう)(こゑ)をそろへて、272天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)する。
273大正一一・三・一七 旧二・一九 加藤明子録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki