霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 大地震(だいぢしん)〔八六八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻 篇:第1篇 千状万態 よみ(新仮名遣い):せんじょうばんたい
章:第2章 大地震 よみ(新仮名遣い):だいじしん 通し章番号:868
口述日:1922(大正11)年08月18日(旧06月26日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-03-06 19:01:31 OBC :rm3102
愛善世界社版:19頁 八幡書店版:第6輯 47頁 修補版: 校定版:19頁 普及版:7頁 初版: ページ備考:
001 国依別(くによりわけ)立去(たちさ)つた(あと)のエリナは、002掌中(しやうちう)(たま)何者(なにもの)にか(うば)はれたるが(ごと)心地(ここち)(なが)ら、003(かど)立出(たちい)でて、004宣伝使(せんでんし)姿(すがた)(ひろ)原野(げんや)()えなくなる(まで)打見(うちみ)まもり、
005エリナ『アヽ()親切(しんせつ)()(かた)であつたナ。006どうぞモウ(しばら)()(くだ)さればよかつたのに……(にはか)()機嫌(きげん)(そこ)ねたと()えて、007とうとう(かへ)つて(しま)はれた。008最早(もはや)(この)(うへ)三五(あななひ)(かみ)(さま)見放(みはな)されたに(ちがひ)ない。009ヤツパリ(むかし)から信仰(しんかう)して()常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)を、010一心(いつしん)不乱(ふらん)信仰(しんかう)(いた)しませう。011(とう)さまが日暮(ひぐら)(やま)牢獄(らうごく)(とら)はれて、012あるにあられぬ責苦(せめく)()ひ、013(くる)しみ(あそ)ばすのも、014(その)(もと)(たづ)ぬれば、015ウラル(けう)神司(かむづかさ)であり(なが)ら、016ブールの教主(けうしゆ)(さま)(つね)異端(いたん)とし、017外道(げだう)としてお(きら)(あそ)ばす三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)吾家(わがや)()めたり、018(また)ウラル(けう)信者(しんじや)(たい)し、019異端(いたん)外道(げだう)(をしへ)()(すす)(あそ)ばした天罰(てんばつ)(むく)うたのであらう。020何程(なにほど)(まこと)(をしへ)でも、021常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)(つか)へて()以上(いじやう)は、022二心(ふたごころ)()して()(かみ)(さま)信仰(しんかう)すれば、023神罰(しんばつ)(あた)るのは当然(たうぜん)だ。024アヽ(これ)から(こころ)(あらた)めて、025常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)(たい)し、026(こころ)(そこ)よりお()びを(いた)し、027主一(しゆいつ)無適(むてき)信仰(しんかう)(ささ)げませう。028……あゝ常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)029吾々(われわれ)教子(をしへご)重々(ぢうぢう)(つみ)030何卒(なにとぞ)()(ゆる)(くだ)さいませ』
031()(なが)ら、032(いへ)()り、033母親(ははおや)枕許(まくらもと)(すす)()()れば、034母親(ははおや)(すこ)しく(あたま)(もた)げ、035ニコニコと(わら)(はじ)めた。
036エリナ『アヽお()アさま! 大変(たいへん)()気分(きぶん)がよささうに御座(ござ)いますなア。037こんな(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませぬ』
038母(テール)『お(まへ)(あま)両親(りやうしん)大切(たいせつ)(おも)真心(まごころ)より、039(つひ)にウラル(けう)有難(ありがた)(こと)(わす)(また)(とう)さまの(やう)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)吾家(わがや)()(かへ)り、040外道(げだう)(かみ)(さま)信仰(しんかう)なさるものだから、041(わたし)(また)もやブールの大将(たいしやう)(にら)まれ、042(まへ)(わし)とが、043(ふたた)びお()うさまの(やう)に、044水牢(みづろう)責苦(せめく)()はねばならぬかと、045それが心配(しんぱい)になつて、046病気(びやうき)はだんだん(おも)(ばか)り、047(こころ)(なか)で……常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)048どうぞ(いち)()(はや)宣伝使(せんでんし)(かへ)つて()れます(やう)……と、049祈願(きぐわん)をこらして()りました。050おかげに()つて外道(げだう)宣伝使(せんでんし)051吾家(わがや)立出(たちい)で、052姿(すがた)()せなくなつたので、053ヤツと安心(あんしん)し、054(にはか)気分(きぶん)()くなつて()たのよ。055モウ(これ)からどんな(こと)があつても、056外道(げだう)宣伝使(せんでんし)吾家(わがや)()れて(かへ)ることはなりませぬぞや。057(まへ)(おや)(たす)けようと(おも)うて(あせ)り、058(かへつ)て、059外道(げだう)(まよ)ひ、060(おや)(くる)しめる(やう)(こと)になるから、061どうしても()うしても常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)(をしへ)疎外(そぐわい)し、062外道(げだう)(まよ)はぬ(やう)心得(こころえ)(くだ)されや。063おかげは(たちま)(この)(とほ)りだから、064(かみ)(さま)種々(いろいろ)として、065吾々(われわれ)親子(おやこ)信仰(しんかう)厚薄(こうはく)()(ため)(あそ)ばすのだから、066チツとも油断(ゆだん)はなりませぬぞえ』
067エリナ『ハイ、068現当(げんたう)利益(りやく)()ひ、069()アさまのお言葉(ことば)といひ、070只今(ただいま)(かぎ)りスツパリと(こころ)(あらた)め、071(けつ)して(ほか)(みち)へは(まよ)ひませぬから、072()安心(あんしん)(くだ)さいませ』
073『あゝそれを()いて(はは)安心(あんしん)しました。074サア(はや)常世(とこよ)神王(しんわう)(さま)()(れい)申上(まをしあ)げてお()れ!』
075エリナ『ハイ、076只今(ただいま)(すぐ)感謝(かんしや)(ことば)(ささ)げませう』
077(ただ)ちに、078庭先(にはさき)(なが)るる細谷川(ほそたにがは)()(きよ)め、079衣類(いるゐ)着替(きか)へ、080(うやうや)しく感謝(かんしや)祈願(きぐわん)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)()る。
081 かかる(ところ)日暮(ひぐら)(やま)のブールの使(つかい)として、082アナンは四五(しご)(にん)部下(ぶか)(ひき)つれ、083(この)()荒々(あらあら)しく入来(いりきた)り、084いとも声高(こわだか)にエリナに(むか)ひ、
085アナン『オイ、086エリナとやら、087貴様(きさま)(また)しても、088三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)吾家(わがや)引入(ひきい)れ、089朝夕(あさゆふ)……(おや)病気(びやうき)(なほ)さうとか、090(ちち)危難(きなん)(のが)れさせ(たま)へとか()つて、091(いの)らして()つたではないか? 近所(きんじよ)(もの)注進(ちうしん)によつて、092(なに)()もスツカリと教主(けうしゆ)(みみ)這入(はい)つてゐるぞ! それにも(かか)はらず、093三五教(あななひけう)乱暴者(らんばうもの)キジ、094マチの両人(りやうにん)差向(さしむ)け、095聖場(せいぢやう)蹂躙(じうりん)せむと(いた)した図太(づぶと)代物(しろもの)……サア教主(けうしゆ)命令(めいれい)だ、096尋常(じんじやう)()(まは)せ。097日暮(ひぐら)(やま)(やかた)()(かへ)り、098(その)(はう)もエスの(やう)水牢(みづろう)投込(なげこ)み、099(いまし)めてやらねばならぬ』
100鼻息(はないき)(あら)呶鳴(どな)りつける。101母親(ははおや)はアナンの(こゑ)()いて(また)もや(こころ)(いた)め、102猛烈(まうれつ)なる癪気(しやくき)(おこ)し、103(その)()に『ウン』と(たふ)れて人事(じんじ)不詳(ふしよう)(てい)なり。104エリナは()()もあられぬ心地(ここち)(なが)ら、105こわごわ()(つか)へ、
106エリナ『これはこれはアナンの大将(たいしやう)(さま)107()くこそ()入来(じゆらい)(くだ)さいました。108御存(ごぞん)じの(とほ)り、109(ちち)(やかた)(とら)はれ、110(あと)(のこ)つた一人(ひとり)(はは)(この)(とほ)りの大病(たいびやう)111(いま)(わたし)()()てられて(まゐ)りますれば、112あとに(たれ)(はは)世話(せわ)(いた)(もの)御座(ござ)いませう。113是非(ぜひ)()かねばならぬ(もの)なれば(いさぎよ)(まゐ)りますが、114どうぞ(この)(はは)病気(びやうき)(なほ)りますまで、115()猶予(いうよ)(ねが)ひます』
116 アナンは(はげ)しく(くび)左右(さいう)()り、
117アナン『あゝイヤイヤ、118(その)(こと)(ばか)りは(まか)()らぬ。119一時(いつとき)(はや)(なんぢ)召捕(めしとり)(きた)れよとの厳命(げんめい)120到底(たうてい)吾々(われわれ)独断(どくだん)にて(その)(はう)猶予(いうよ)(あた)へる(こと)出来(でき)ない。121(なん)()つても引捉(ひつとら)へて(かへ)らねば、122(この)(はう)役目(やくめ)()まぬ。123そうして三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)何時(いつ)此処(ここ)()つたか?』
124エリナ只今(ただいま)()()ちになりました』
125アナン『さうだらう。126最前(さいぜん)(うた)(うた)つて()きよつたのが、127神力(しんりき)無双(むそう)国依別(くによりわけ)だらう。128彼奴(あいつ)()やがると、129チツと此方(こつち)都合(つがふ)()くないのだ。130二三(にさん)日前(にちまへ)から、131(この)(いへ)遠巻(とほまき)()いてゐたのだ。132サアもう()うなる(うへ)は、133()いても(くや)むでもおつつかぬ。134キリキリと()をまはさぬか』
135 エリナは自棄(やけ)気味(ぎみ)になり、136(かたち)(あらた)め、137悪胴(わるどう)()ゑ、
138エリナ『コレ、139アナンさま! お(まへ)さまも余程(よほど)()腰抜(こしぬけ)だなア。140日暮(ひぐら)(がは)では(もろ)くも一人(ひとり)宣伝使(せんでんし)()ひまくられ、141(また)たつた一人(ひとり)国依別(くによりわけ)(おそ)ろしうて、142二晩(ふたばん)三晩(みばん)も、143(この)(あつ)い、144()()うのに、145(たの)みもせぬ(わたし)(うち)夜警(やけい)をして(くだ)され、146渋茶(しぶちや)一杯(いつぱい)(しん)ぜるのが(みち)かは()りませぬが、147餓鬼(がき)にやる(ちや)があつても、148(まへ)さま()()ます(ちや)はありませぬワ。149そこに谷川(たにがは)(みづ)(なが)れてゐるから、150それなつと()むで、151モウ(ひと)きり()講演(かうえん)(ねが)ひます。152ラツパ(ぶし)でも法螺貝(ほらがい)(ぶし)でも(かま)ひませぬワ。153()アさまの冥途(めいど)土産(みやげ)に、154(ひと)(ちから)一杯(いつぱい)()(たて)(くだ)さい』
155 アナンはクワツと(いか)り、156巨眼(きよがん)見開(みひら)き、
157アナン『コリヤ(をんな)! (たと)へがたなき(なんぢ)雑言(ざふごん)無礼(ぶれい)158最早(もはや)聞捨(ききすて)はならぬぞ』
159エリナ『お()うさまはお(まへ)(たち)悪人(あくにん)(ため)(とら)へられ、160()アさまは(この)(とほ)りの重病(ぢうびやう)161たつた(いま)(さき)162余程(よほど)快方(くわいはう)にお(むか)(あそ)ばし、163ヤツと安心(あんしん)する()もなく、164(まへ)がここへふみ()んで大声(おほごゑ)()し、165()アさまを最早(もはや)取返(とりかへ)しのならぬ(やう)重態(ぢうたい)におとして(しま)ひよつた以上(いじやう)は、166()アさまの()寿命(じゆめう)今日(けふ)(いち)(にち)(たも)ちかねる。167さうならば(この)エリナは最早(もはや)自棄(やけ)くそだ。168たかが(をとこ)五匹(ごひき)十匹(じつぴき)169(なに)(おそ)ろしい……国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)より神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)神力(しんりき)(さづ)かり、170最早(もはや)立派(りつぱ)三五教(あななひけう)(をんな)宣伝使(せんでんし)だ。171(ゆび)一本(いつぽん)でも()へるなら、172見事(みごと)()へて()よ』
173呶鳴(どな)()て、174(にら)()けたる。175(その)権幕(けんまく)流石(さすが)剛情(がうじやう)我慢(がまん)のアナンも辟易(へきえき)し、176エリナの(かほ)()つめて(やや)不安(ふあん)(ねん)(しづ)みゐる。177母親(ははおや)は『キヤツ』と一声(ひとこゑ)悲鳴(ひめい)をあげた(まま)178縡切(ことぎ)れにける。179エリナは(おどろ)いて、
180エリナ『お()アさま!モ一度(いちど)(もの)()うて(くだ)さいませ……エリナで御座(ござ)います』
181死骸(しがい)取付(とりつ)き、182あたり(かま)はず()(さけ)ぶ。183アナンは(いま)こそと、184手早(てばや)捕縄(とりなは)取出(とりだ)し、185エリナの(くび)にひつかけようとする一刹那(いつせつな)186(にはか)轟々(ぐわうぐわう)ガタガタと(すさま)じき物音(ものおと)(きこ)()たりければ、187アナンを(はじ)一同(いちどう)(おどろ)戸外(こぐわい)駆出(かけだ)刹那(せつな)強烈(きやうれつ)なる大地震(おほぢしん)(おこ)り、188アナンを(はじ)一同(いちどう)生命(いのち)カラガラ、189()けつまろびつ、190常世(とこよ)神王(しんのう)(ほこら)(まへ)()して、191四這(よつばい)となり()げて()く。
192 地震(ぢしん)益々(ますます)(はげ)しさの()(くは)()たる。193エリナは母親(ははおや)死体(したい)(かか)へて(そと)飛出(とびだ)さうとする途端(とたん)194(いへ)はメキメキメキと(おと)()て、195バサリと()(たふ)れける。196エリナは()むを()ず、197()(もつ)(のが)れたるが、198(たちま)()(うしな)ひ、199エリナの(いへ)火煙(くわえん)濛々(もうもう)として立上(たちのぼ)り、200母親(ははおや)死体(したい)惟神(かむながら)(てき)火葬(くわさう)()せられ(おは)りぬ。201上下動(じやうげどう)激震(げきしん)刻々(こくこく)(はげ)しく、202エリナは(まつ)()(かぶ)にシカと抱付(だきつ)き、203()(ふさ)ぎ、204地震(ぢしん)()むのを()(なが)ら、205一心(いつしん)不乱(ふらん)に『国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)(まも)(たま)(さち)はひ(たま)へ……』と祈念(きねん)をこらしける。206……(やうや)くにして地震(ぢしん)()まり、207エリナはホツと一息(ひといき)(なが)ら、208ここに()つては(また)何時(いつ)捕手(とりて)(おそ)()るやも(はか)られずと、209(にはか)国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)(こひ)しくなり、210ヒルの(みやこ)()して一目散(いちもくさん)(はし)()く。
211 ヒルの(みやこ)(とほ)見下(みお)ろせば、212大激震(だいげきしん)(ため)火災(くわさい)(おこ)り、213()(てん)(ちう)し、214(そら)(くも)(まで)真赤(まつか)()まり、215所謂(いはゆる)雲焼(くもやけ)()()たりける。
216大正一一・八・一八 旧六・二六 松村真澄録)
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