霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第31巻(午の巻)
序歌
総説
第1篇 千状万態
01 主一無適
〔867〕
02 大地震
〔868〕
03 救世神
〔869〕
04 不知恋
〔870〕
05 秋鹿の叫
〔871〕
06 女弟子
〔872〕
第2篇 紅裙隊
07 妻の選挙
〔873〕
08 人獣
〔874〕
09 誤神託
〔875〕
10 噂の影
〔876〕
11 売言買辞
〔877〕
12 冷い親切
〔878〕
13 姉妹教
〔879〕
第3篇 千里万行
14 樹下の宿
〔880〕
15 丸木橋
〔881〕
16 天狂坊
〔882〕
17 新しき女
〔883〕
18 シーズンの流
〔884〕
19 怪原野
〔885〕
20 脱皮婆
〔886〕
21 白毫の光
〔887〕
第4篇 言霊将軍
22 神の試
〔888〕
23 化老爺
〔889〕
24 魔違
〔890〕
25 会合
〔891〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第31巻
> 第3篇 千里万行 > 第20章 脱皮婆
<<< 怪原野
(B)
(N)
白毫の光 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第二〇章
脱皮婆
(
だつぴばば
)
〔八八六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻
篇:
第3篇 千里万行
よみ(新仮名遣い):
せんりばんこう
章:
第20章 脱皮婆
よみ(新仮名遣い):
だっぴばば
通し章番号:
886
口述日:
1922(大正11)年08月20日(旧06月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
秋山別とモリスは、炎を避けて川辺にやってきたが、川幅が広く急流で渡ることができない。炎に追われて地団太を踏んでいると、おぞましいガリガリ亡者がやってきた。
秋山別はぞっとしたが、わけのわからないところへ来てしまって気を弱くしてはつけこまれると思い直し、強い口調で亡者にお前は誰かと問いかけた。
亡者たちは、現世では色と金にはまってこのような姿となり、河にはまった秋山別とモリスの命を奪ったのも自分たちだと答えた。秋山別とモリスは亡者たちと押し問答していたが、亡者たちは、二人が冥途へ来てまで二枚舌を使うと言って、やにわにくぎ抜きを持って二人に襲いかかってきた。
秋山別とモリスは命からがら河に飛び込んで急流を渡り、なんとか亡者たちの襲撃を免れた。二人はかやぶきの粗末な小屋を見つけ、中の婆に声をかけた。婆は、ここは焦熱地獄で自分は二人が来るのを閻魔大王の命で待っていたのだ、と告げた。
焼け野が原の脱皮婆と名乗る婆は、焦熱地獄はよほど罪の重い者がやってくる場所だと言い、鬼が火の車で二人を迎えに来ると告げた。そんな大罪を犯した覚えはないと訴える二人に対して、婆はあきらめるようにと諭す。
そこへガラガラと大きな音を立てて赤鬼と青鬼が二台の火の車を引き連れてやってきた。秋山別とモリスはあっと驚いてその場に倒れ伏した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-04-14 18:22:50
OBC :
rm3120
愛善世界社版:
231頁
八幡書店版:
第6輯 127頁
修補版:
校定版:
238頁
普及版:
109頁
初版:
ページ備考:
001
二人
(
ふたり
)
は
漸
(
やうや
)
く
広
(
ひろ
)
き
河
(
かは
)
の
辺
(
ふち
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
002
見
(
み
)
れば
非常
(
ひじやう
)
な
広
(
ひろ
)
い
河
(
かは
)
で
而
(
しか
)
も
急流
(
きふりう
)
である。
003
橋
(
はし
)
もなければ
容易
(
ようい
)
に
渡
(
わた
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない。
004
後
(
あと
)
へ
引返
(
ひきかへ
)
さむとすれば、
005
岩石
(
がんせき
)
の
炎
(
ほのほ
)
は
盛
(
さかん
)
に
燃
(
も
)
えひろがり、
006
道
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
007
グヅグヅしてゐると、
008
煙
(
けぶり
)
に
包
(
つつ
)
まれさうな
勢
(
いきほひ
)
である。
009
『アヽ
如何
(
いか
)
にせむ』と
川端
(
かはばた
)
に
二人
(
ふたり
)
は
地団駄
(
ぢだんだ
)
をふみ、
010
遂
(
つひ
)
には
泣声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
藻掻
(
もが
)
き
出
(
だ
)
した。
011
どこともなしに
厭
(
いや
)
らしき
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る。
012
フツと
見
(
み
)
れば、
013
渋紙
(
しぶかみ
)
の
様
(
やう
)
な
肌
(
はだ
)
をした
赤裸
(
まつぱだか
)
の
人間
(
にんげん
)
が
肋骨
(
あばらぼね
)
を
一枚
(
いちまい
)
々々
(
いちまい
)
表
(
あら
)
はしたガリガリ
亡者
(
もうじや
)
である。
014
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
てもゾツとする
様
(
やう
)
な、
015
厭
(
いや
)
な
姿
(
すがた
)
であつた。
016
此
(
この
)
亡者
(
もうじや
)
は
赤裸
(
まつぱだか
)
ではあるが、
017
男
(
をとこ
)
とも
女
(
をんな
)
とも
少
(
すこ
)
しも
見分
(
みわ
)
けがつかなかつた。
018
只
(
ただ
)
骸骨
(
がいこつ
)
の
上
(
うへ
)
に
渋紙
(
しぶかみ
)
の
様
(
やう
)
な
色
(
いろ
)
した
薄
(
うす
)
ツペらな
皮
(
かは
)
が、
019
義理
(
ぎり
)
か
役
(
やく
)
かの
様
(
やう
)
に
包
(
つつ
)
むでゐるのみである。
020
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
……どうせ、
021
こンな
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
たのだから、
022
ロクな
奴
(
やつ
)
は
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
はない。
023
余
(
あま
)
り
気
(
き
)
を
弱
(
よわ
)
く
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
たならば、
024
先繰
(
せんぐ
)
り
先繰
(
せんぐ
)
りいろいろな
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
025
何
(
なに
)
をするか
分
(
わか
)
らない、
026
強
(
つよ
)
くなくては……と
俄
(
にはか
)
に
決心
(
けつしん
)
の
臍
(
ほぞ
)
を
固
(
かた
)
め、
027
声
(
こゑ
)
も
高
(
たか
)
らかに、
028
秋山別
『オイ
我利
(
がり
)
坊子
(
ばうし
)
、
029
貴様
(
きさま
)
は
現世
(
げんせ
)
の
奴
(
やつ
)
か
幽界
(
いうかい
)
の
奴
(
やつ
)
か、
030
返答
(
へんたふ
)
をせい。
031
現世
(
げんせ
)
には
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
はメツタに
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
はないが、
032
大方
(
おほかた
)
娑婆
(
しやば
)
に
居
(
を
)
つて
吾
(
わ
)
れよしの
有
(
あ
)
り
丈
(
たけ
)
を
尽
(
つく
)
した
我利
(
がり
)
我利
(
がり
)
亡者
(
もうじや
)
の
連中
(
れんぢう
)
が、
033
欲
(
よく
)
の
川
(
かは
)
へ
落込
(
おちこ
)
み
濁流
(
だくりう
)
を
呑
(
の
)
ンで、
034
こンな
態
(
ざま
)
になつたのだらう。
035
一
(
ひと
)
つ
旅
(
たび
)
の
慰
(
なぐさ
)
みに
貴様
(
きさま
)
の
来歴
(
らいれき
)
を
聞
(
き
)
かしてくれないか』
036
亡者(欲皮)
『
俺
(
おれ
)
は
剛欲
(
がうよく
)
ハルの
国
(
くに
)
、
037
身勝手
(
みかつて
)
郡
(
ぐん
)
、
038
吾
(
わ
)
れよし
村
(
むら
)
の
欲皮
(
よくかは
)
剥右衛門
(
はぎうゑもん
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
だよ。
039
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
は
同国
(
どうこく
)
同郡
(
どうぐん
)
同村
(
どうそん
)
の
金借
(
かねかり
)
踏倒
(
ふみたふ
)
しといふ
亡者
(
もうじや
)
だよ。
040
今
(
いま
)
冥途
(
めいど
)
へ
来
(
き
)
てから、
041
名
(
な
)
を
替
(
か
)
へて、
042
骨皮
(
ほねかは
)
痩右衛門
(
やせうゑもん
)
、
043
墓原
(
はかはら
)
の
骨左衛門
(
こつざゑもん
)
となつたのだ。
044
お
前
(
まへ
)
はアノ
自称
(
じしよう
)
色男
(
いろをとこ
)
の
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
045
モリスの
両人
(
りやうにん
)
に
違
(
ちが
)
いあるまいがな』
046
秋山別
『
貴様
(
きさま
)
どうして
俺
(
おれ
)
の
素性
(
すじやう
)
を
知
(
し
)
つてゐるのだ』
047
欲皮
『きまつた
事
(
こと
)
よ。
048
余
(
あま
)
り
貴様
(
きさま
)
が
此
(
この
)
川上
(
かはかみ
)
で
立派
(
りつぱ
)
なナイスの
様
(
やう
)
な
化者
(
ばけもの
)
を
捉
(
つか
)
まへて、
049
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かしてゐるから、
050
俺
(
おれ
)
も
金
(
かね
)
と
色
(
いろ
)
とにかけては、
051
現界
(
げんかい
)
に
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
から、
052
天下
(
てんか
)
無双
(
むさう
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
だつたが、
053
俺
(
おれ
)
の
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
で、
054
余
(
あま
)
り
巫山戯
(
ふざけ
)
たことをしよるものだから、
055
チツと
計
(
ばか
)
り
癪
(
しやく
)
にさはり、
056
ナイスが
川
(
かは
)
の
中
(
なか
)
へとつて
放
(
ほ
)
つたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
057
河童
(
がたらう
)
となつて、
058
貴様
(
きさま
)
の
睾丸
(
きんたま
)
を
引
(
ひき
)
ちぎり、
059
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をさしてやつたのだ。
060
アツハヽヽヽ』
061
秋山別
『オイ、
062
モリス、
063
此奴
(
こいつ
)
が
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
つた
餓鬼
(
がき
)
だと
見
(
み
)
えるワイ。
064
サウもう
斯
(
こ
)
う
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
065
了見
(
れうけん
)
ならぬ。
066
バツチヨ
笠
(
かさ
)
のやうな、
067
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
との
体
(
からだ
)
をしよつて、
068
洒落
(
しやれ
)
たことを
致
(
いた
)
す
亡者
(
もうじや
)
だナア。
069
これから
両人
(
りやうにん
)
が
踏
(
ふ
)
みにじつて
呉
(
く
)
れるから
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
070
欲皮
『アツハヽヽヽ、
071
女
(
をんな
)
に
捨
(
すて
)
られ、
072
命
(
いのち
)
迄
(
まで
)
棄
(
す
)
てた
腰抜
(
こしぬけ
)
亡者
(
もうじや
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
073
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだイ。
074
コリヤ
此
(
この
)
欲皮
(
よくかは
)
は
貴様
(
きさま
)
の
見
(
み
)
る
通
(
とほ
)
り、
075
壁下地
(
かべしたぢ
)
が
表
(
あら
)
はれて、
076
ニク
もない
可愛
(
かあい
)
い
男
(
をとこ
)
だが、
077
併
(
しか
)
し
俺
(
おれ
)
の
体
(
からだ
)
は
満身
(
まんしん
)
骨
(
ほね
)
を
以
(
もつ
)
て
固
(
かた
)
めてあるのだぞ。
078
亡者
(
もうじや
)
なぶりの
骨
(
ほね
)
なぶり、
079
見事
(
みごと
)
相手
(
あひて
)
になるなら、
080
なつて
見
(
み
)
よ』
081
モリス
始
(
はじ
)
めて
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
き、
082
モリス
『コリヤ、
083
我利
(
がり
)
々々
(
がり
)
亡者
(
もうじや
)
、
084
欲皮
(
よくかは
)
剥右衛門
(
はぎうゑもん
)
とやら、
085
俺
(
おれ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐるか』
086
欲皮
『
何
(
なん
)
とも
心得
(
こころえ
)
て
居
(
を
)
らぬワイ。
087
失恋狂
(
しつれんきやう
)
の
川
(
かは
)
はまり、
088
土左衛門
(
どざゑもん
)
の
成
(
な
)
れの
果
(
は
)
て、
089
恋
(
こひ
)
の
焔
(
ほのほ
)
におひかけられて、
090
其
(
その
)
情熱
(
じやうねつ
)
を
消
(
け
)
すべく、
091
此
(
この
)
川辺
(
かはべ
)
迄
(
まで
)
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
よつたモリスぢやない、
092
亡者
(
まうじや
)
だらう。
093
亡者
(
もじや
)
々々
(
もじや
)
致
(
いた
)
して
居
(
ゐ
)
ると、
094
此
(
この
)
欲川
(
よくかは
)
はモウ
容赦
(
ようしや
)
はならぬぞ。
095
女
(
をんな
)
の
手
(
て
)
を
引張
(
ひつぱ
)
つて、
096
都
(
みやこ
)
見物
(
けんぶつ
)
の
亡者引
(
もさひき
)
の
様
(
やう
)
に、
097
見
(
み
)
つともない
何
(
なん
)
の
態
(
ざま
)
だイ。
098
チツとは
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
つたが
良
(
よ
)
からうぞ』
099
モリス
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだイ。
100
貴様
(
きさま
)
は
欲
(
よく
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
いで、
101
現界
(
げんかい
)
に
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
は、
102
人鬼
(
ひとおに
)
と
云
(
い
)
はれて
来
(
き
)
た
代物
(
しろもの
)
ぢやないか。
103
其
(
その
)
天罰
(
てんばつ
)
が
廻
(
めぐ
)
つて
来
(
き
)
て、
104
河鹿
(
かじか
)
か
何
(
なん
)
ぞの
様
(
やう
)
に、
105
川住居
(
かはずまゐ
)
をしよつて、
106
ガアガア
吐
(
ぬか
)
すと、
107
本当
(
ほんたう
)
の
蛙
(
かわづ
)
になつて
了
(
しま
)
うぞ。
108
蛙
(
かわず
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
向
(
むか
)
う
見
(
み
)
ずと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるぢやないか。
109
蒸
(
む
)
せ
損
(
ぞこな
)
ひの
饅頭
(
まんぢう
)
の
様
(
やう
)
に、
110
かは
許
(
ばか
)
りにへばりつきよつて、
111
現界
(
げんかい
)
でも
喰
(
く
)
へぬ
奴
(
やつ
)
だつたが、
112
ヤツパリ
茲
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
ても
骨
(
ほね
)
だらけで、
113
味
(
あぢ
)
もシヤシヤリもない
喰
(
く
)
へぬ
代物
(
しろもの
)
だなア。
114
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
貴様
(
きさま
)
も
何時迄
(
いつまで
)
もこンな
所
(
ところ
)
に
居
(
を
)
つても
仕方
(
しかた
)
がないぢやないか。
115
モリスさまに
従
(
つ
)
いて
来
(
こ
)
ないか。
116
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
針
(
はり
)
の
山
(
やま
)
か、
117
血
(
ち
)
の
池
(
いけ
)
か、
118
茨
(
いばら
)
の
林
(
はやし
)
へ
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて、
119
蜥蜴
(
とかげ
)
の
丸焼
(
まるやき
)
でも
振
(
ふ
)
れ
舞
(
ま
)
うてやるからのウ』
120
金借
『そんならこの
金借
(
かねかり
)
も
伴
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つてくれないか。
121
只
(
ただ
)
で
貰
(
もら
)
う
事
(
こと
)
なら
蜥蜴
(
とかげ
)
だつて、
122
蛙
(
かへる
)
だつて
構
(
かま
)
うものか、
123
又
(
また
)
只
(
ただ
)
で
案内
(
あんない
)
してくれるのなら、
124
仮令
(
たとへ
)
針
(
はり
)
の
山
(
やま
)
でも
血
(
ち
)
の
池
(
いけ
)
地獄
(
ぢごく
)
でも
構
(
かま
)
やせぬワイ。
125
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
俺
(
おれ
)
は
貰
(
もら
)
ふ
事
(
こと
)
が
好
(
す
)
きな
性分
(
しやうぶん
)
だい。
126
出
(
だ
)
す
事
(
こと
)
なら
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
すのも
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
すのも
嫌
(
きら
)
ひな
亡者
(
もうじや
)
さまだよ。
127
サア
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
かう』
128
モリス
『こりや
嘘
(
うそ
)
だ、
129
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
を
道伴
(
みちづ
)
れにして
如何
(
どう
)
なるものかい。
130
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
がシーズン
河
(
がは
)
へ
飛込
(
とびこ
)
ンで、
131
冥途
(
めいど
)
の
道
(
みち
)
に
待
(
ま
)
つてゐるのだから、
132
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
を
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
かうものなら、
133
それこそモリスの
男前
(
をとこまへ
)
が
下
(
さ
)
がつて
了
(
しま
)
うワイ』
134
金借
『
貴様
(
きさま
)
は
冥途
(
めいど
)
へ
来
(
き
)
て
迄
(
まで
)
二枚舌
(
にまいじた
)
を
使
(
つか
)
うのだな。
135
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
な
大悪人
(
だいあくにん
)
だ。
136
ヨシ
今
(
いま
)
金借
(
かねかり
)
さまが
其
(
その
)
二枚舌
(
にまいじた
)
を
抜
(
ぬ
)
いてやらう』
137
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
138
川縁
(
かはべり
)
の
手頃
(
てごろ
)
の
石
(
いし
)
をクレツとめくると、
139
其
(
その
)
下
(
した
)
から、
140
沢山
(
たくさん
)
の
釘抜
(
くぎぬき
)
がガチヤガチヤする
程
(
ほど
)
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
141
金借
(
かねかり
)
亡者
(
もうじや
)
は、
142
矢庭
(
やには
)
に
之
(
これ
)
を
手
(
て
)
に
取
(
と
)
り、
143
モリスに
向
(
むか
)
つて
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
きた
)
る
猛烈
(
まうれつ
)
な
勢
(
いきほひ
)
に、
144
流石
(
さすが
)
のモリスも
堪
(
たま
)
りかね、
145
忽
(
たちま
)
ちザンブと
激流
(
げきりう
)
に
飛込
(
とびこ
)
み、
146
モリス
『
秋山別
(
あきやまわけ
)
早
(
はや
)
く
来
(
きた
)
れ』
147
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
148
抜手
(
ぬきで
)
を
切
(
き
)
つて、
149
流
(
なが
)
れ
渡
(
わた
)
りに
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
へヤツと
取
(
と
)
りつき、
150
着物
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
て、
151
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
圧搾
(
あつさく
)
し
始
(
はじ
)
めた。
152
秋山別
(
あきやまわけ
)
も
辛
(
から
)
うじて
泳
(
およ
)
ぎ
着
(
つ
)
き、
153
之
(
こ
)
れ
亦
(
また
)
衣類
(
いるゐ
)
を
絞
(
しぼ
)
り、
154
二人
(
ふたり
)
は
川向
(
かはむか
)
うの
二人
(
ふたり
)
の
亡者
(
もうじや
)
に、
155
腮
(
あご
)
をつき
出
(
だ
)
し
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
空
(
くう
)
をなぐり、
156
十分
(
じふぶん
)
に
嘲弄
(
てうろう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
157
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
何者
(
なにもの
)
にか
引
(
ひ
)
かるる
様
(
やう
)
な
心地
(
ここち
)
して、
158
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
159
何
(
なん
)
とも
譬
(
たと
)
へ
様
(
やう
)
のない
不快
(
ふくわい
)
な
血腥
(
ちなまぐさ
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
来
(
く
)
る。
160
油
(
あぶら
)
で
煮
(
に
)
られる
様
(
やう
)
な
熱
(
あつ
)
さを
感
(
かん
)
じて
来
(
き
)
た。
161
二人
(
ふたり
)
はヘタヘタになつて、
162
どつか
木
(
き
)
の
蔭
(
かげ
)
があれば、
163
休
(
やす
)
まうと、
164
目
(
め
)
をキヨロつかせ、
165
そこらあたりを
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
ると、
166
何
(
なん
)
とも
形容
(
けいよう
)
の
出来
(
でき
)
ない
一本
(
いつぽん
)
の
木
(
き
)
が
枯葉
(
かれは
)
を
淋
(
さび
)
しげに
宿
(
やど
)
して
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
る。
167
せめては
此
(
この
)
木蔭
(
こかげ
)
にと
立寄
(
たちよ
)
つて
見
(
み
)
れば、
168
厭
(
いや
)
らしい
種々
(
いろいろ
)
の
毛虫
(
けむし
)
がウジヤつてゐる。
169
二人
(
ふたり
)
は
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
170
又
(
また
)
もや
焼
(
や
)
きつく
様
(
やう
)
な
大地
(
だいち
)
の
上
(
うへ
)
を
歩
(
あゆ
)
み
出
(
だ
)
した。
171
少
(
すこ
)
しく
前方
(
ぜんぱう
)
に
萱
(
かや
)
を
以
(
もつ
)
て
葺
(
ふ
)
いた
小
(
ちい
)
さい
家
(
いへ
)
が、
172
珍
(
めづら
)
しくも
只
(
ただ
)
一軒
(
いつけん
)
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
173
これ
幸
(
さいは
)
ひと
立寄
(
たちよ
)
つてソツと
草
(
くさ
)
で
編
(
あ
)
ンだ
戸
(
と
)
の
隙間
(
すきま
)
から、
174
中
(
なか
)
を
覗
(
のぞ
)
くと、
175
爺
(
ぢい
)
とも
婆
(
ばば
)
とも
見当
(
けんたう
)
のつかぬ
老人
(
らうじん
)
が
唯一人
(
ただひとり
)
、
176
水涕
(
みづばな
)
をズーズーと
垂
(
た
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
177
切
(
しき
)
りに
草鞋
(
わらぢ
)
を
作
(
つく
)
つてゐる。
178
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
外
(
そと
)
から、
179
秋山別
『モシモシお
爺
(
ぢ
)
イさまかお
婆
(
ば
)
アさまか、
180
どちらかは
知
(
し
)
りませぬが、
181
吾々
(
われわれ
)
は
旅人
(
たびびと
)
で
御座
(
ござ
)
います。
182
余
(
あま
)
り
暑
(
あつ
)
いので、
183
最早
(
もはや
)
やり
切
(
き
)
れなくなりました。
184
どうぞあなたの
涼
(
すず
)
しい
御
(
お
)
宅
(
うち
)
で、
185
暫
(
しばら
)
く
休
(
やす
)
まして
下
(
くだ
)
さいな』
186
小屋
(
ごや
)
の
中
(
なか
)
より
皺枯
(
しわが
)
れた
声
(
こゑ
)
で、
187
(脱皮婆)
『ここは
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
の
八丁目
(
はつちやうめ
)
だ。
188
能
(
よ
)
うマア
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
うて
御座
(
ござ
)
つた。
189
閻魔
(
えんま
)
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
から、
190
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
が
茲
(
ここ
)
へ
来
(
く
)
るから、
191
茲
(
ここ
)
に
待伏
(
まちぶ
)
せして
居
(
を
)
れと
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
を
受
(
う
)
けて、
192
二三
(
にさん
)
日前
(
にちまへ
)
から
待
(
ま
)
つてゐたのだよ。
193
好
(
よ
)
い
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた。
194
サアゆつくりと
這入
(
はい
)
つて
休息
(
きうそく
)
さつしやい。
195
やがて
赤鬼
(
あかおに
)
や
黒鬼
(
くろおに
)
が
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
を
持
(
も
)
つて、
196
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
を
迎
(
むか
)
へに
来
(
く
)
るから、
197
マア
楽
(
たのし
)
みて
待
(
ま
)
つてゐるがよからう。
198
一度
(
いちど
)
は
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
に
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
るのも
面白
(
おもしろ
)
からうぞや』
199
秋山別
『モシモシそりやちつと
困
(
こま
)
るぢやありませぬか。
200
如何
(
どう
)
して
吾々
(
われわれ
)
がそンな
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
に
乗
(
の
)
らねばならぬ
様
(
やう
)
な
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しましたか。
201
そりや
大方
(
おほかた
)
人違
(
ひとちが
)
ひぢや
御座
(
ござ
)
いますまいかなア』
202
(脱皮婆)
『
儂
(
わし
)
は
焼野
(
やけの
)
ケ
原
(
はら
)
の
脱皮婆
(
だつぴばば
)
アと
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
だ。
203
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
には
脱衣婆
(
だついばば
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
が
居
(
を
)
つて
着物
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
がすが、
204
そこを
通
(
とほ
)
る
奴
(
やつ
)
は
罪
(
つみ
)
の
軽
(
かる
)
い
連中
(
れんぢう
)
だよ。
205
この
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
の
旅行
(
りよかう
)
する
奴
(
やつ
)
は
最
(
もつと
)
も
悪
(
わる
)
い
罪人
(
つみびと
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
所
(
ところ
)
だ。
206
それだから、
207
お
前
(
まへ
)
の
肉
(
にく
)
の
皮
(
かは
)
をスツカリ
剥
(
は
)
ぎ
取
(
と
)
つて、
208
剥製
(
はくせい
)
にして
黄泉
(
よみぢ
)
の
都
(
みやこ
)
の
博物館
(
はくぶつくわん
)
に
陳列
(
ちんれつ
)
し、
209
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
いだ
後
(
あと
)
の
肉体
(
にくたい
)
は
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
に
乗
(
の
)
せて、
210
閻魔
(
えんま
)
の
庁
(
ちやう
)
へ
送
(
おく
)
り、
211
鬼
(
おに
)
共
(
ども
)
が
喜
(
よろこ
)
びて、
212
塩焼
(
しほやき
)
にして
食
(
く
)
て
了
(
しま
)
うのだから、
213
心配
(
しんぱい
)
することはない。
214
今
(
いま
)
となつて
心配
(
しんぱい
)
した
所
(
ところ
)
で
駄目
(
だめ
)
だよ。
215
チヤンときまり
切
(
き
)
つた
運命
(
うんめい
)
だから……』
216
モリス
『お
婆
(
ば
)
アさま、
217
そりや
本当
(
ほんたう
)
ですかい。
218
チツとモリスには
合点
(
がてん
)
が
往
(
ゆ
)
きませぬがなア』
219
脱皮婆
『
合点
(
がてん
)
が
往
(
ゆ
)
かぬ
筈
(
はず
)
だよ。
220
合点
(
がてん
)
の
往
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
りやつて
来
(
き
)
たのだから、
221
無理
(
むり
)
はなけね
共
(
ども
)
、
222
もういい
加減
(
かげん
)
に
因縁
(
いんねん
)
づくぢやと
合点
(
がてん
)
をせなきやならなくなつて
来
(
き
)
たよ。
223
お
前
(
まへ
)
を
迎
(
むか
)
へに
来
(
く
)
る
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
は
自惚車
(
うぬぼれぐるま
)
といふ
妙
(
めう
)
な
脱線
(
だつせん
)
し
転覆
(
てんぷく
)
する
車
(
くるま
)
で
危
(
あぶ
)
ないものだが、
224
紅井
(
くれなゐ
)
の
様
(
やう
)
な
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
をして、
225
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いた
女
(
をんな
)
の
鬼
(
おに
)
が
一人
(
ひとり
)
、
226
又
(
また
)
少
(
すこ
)
し
年増
(
としま
)
のエリナと
云
(
い
)
ふ
女鬼
(
めおに
)
が
一人
(
ひとり
)
、
227
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
を
二
(
ふた
)
つ
持
(
も
)
つて、
228
お
前
(
まへ
)
を
迎
(
むか
)
へに
来
(
く
)
る
段取
(
だんどり
)
がチヤンと
出来
(
でき
)
てゐるのだから、
229
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
なりと
気楽
(
きらく
)
に
歌
(
うた
)
でも
唄
(
うた
)
つておかつしやい。
230
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
が
来
(
き
)
たが
最後
(
さいご
)
、
231
お
前
(
まへ
)
の
体
(
からだ
)
は
不動
(
ふどう
)
さまのように、
232
恋
(
こひ
)
の
情火
(
じやうくわ
)
が
燃
(
も
)
え
立
(
た
)
つて、
233
熱
(
あつ
)
い
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はねばならぬのだからな。
234
あゝ
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
不愍
(
ふびん
)
なものだワイ。
235
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
別
(
べつ
)
に
地獄
(
ぢごく
)
にやなけれ
共
(
ども
)
236
己
(
おの
)
が
作
(
つく
)
つて
己
(
おの
)
が
乗
(
の
)
り
行
(
ゆ
)
く
237
とか
云
(
い
)
つて、
238
お
前
(
まへ
)
が
作
(
つく
)
つた
完全
(
くわんぜん
)
無欠
(
むけつ
)
な
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
だから、
239
誰
(
たれ
)
に
遠慮
(
ゑんりよ
)
も
要
(
い
)
らぬ。
240
ドンドンと
乗
(
の
)
つて
行
(
ゆ
)
かつしやれや。
241
何事
(
なにごと
)
も
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
自業
(
じごう
)
自得
(
じとく
)
だ。
242
善因
(
ぜんいん
)
善果
(
ぜんぐわ
)
、
243
悪因
(
あくいん
)
悪果
(
あくくわ
)
、
244
蒔
(
ま
)
かぬ
種
(
たね
)
は
生
(
は
)
えぬとやら、
245
自分
(
じぶん
)
が
蒔
(
ま
)
いた
種
(
たね
)
が
成長
(
せいちやう
)
して、
246
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
実
(
み
)
がのり、
247
又
(
また
)
自分
(
じぶん
)
が
収穫
(
しうくわく
)
をせなくちやならぬ
天地
(
てんち
)
自然
(
しぜん
)
の
法則
(
はふそく
)
だからなア』
248
秋山別
『エー、
249
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
別
(
べつ
)
に
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
し、
250
恋慕
(
れんぼ
)
は
致
(
いた
)
しましたが、
251
まだ
生
(
うま
)
れてから、
252
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
犯
(
をか
)
したことは
御座
(
ござ
)
りませぬ。
253
何
(
なに
)
が
為
(
ため
)
にそれ
程
(
ほど
)
重
(
おも
)
い
罪
(
つみ
)
を
科
(
くわ
)
せられるのでせうか。
254
是
(
こ
)
れ
位
(
くらゐ
)
な
微罪
(
びざい
)
を、
255
さう
喧
(
や
)
かましく
詮議
(
せんぎ
)
立
(
た
)
てをし、
256
処罰
(
しよばつ
)
をして
居
(
を
)
つたならば、
257
地獄
(
ぢごく
)
の
牢屋
(
らうや
)
もやり
切
(
き
)
れますまい』
258
脱皮婆
『
軽
(
かる
)
い
罪
(
つみ
)
は
皆
(
みな
)
見
(
み
)
のがして、
259
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
で
衣
(
ころも
)
を
脱
(
ぬ
)
がし、
260
それから
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
の
赤裸
(
まつぱだか
)
にして、
261
霊
(
みたま
)
の
故郷
(
こきやう
)
へ
帰
(
かへ
)
してやるのだが、
262
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
罪人
(
ざいにん
)
は
何
(
ど
)
うしても
帰
(
かへ
)
す
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないよ。
263
又
(
また
)
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
な
審判
(
さには
)
の
鬼
(
おに
)
だとて、
264
中
(
なか
)
には
盲
(
めくら
)
もあるから、
265
お
前
(
まへ
)
の
罪
(
つみ
)
は
俺
(
おれ
)
が
聞
(
き
)
いても、
266
ホンの
軽
(
かる
)
い
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ふが、
267
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
に
乗
(
の
)
せられて、
268
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
へ
落
(
おと
)
してやらうと
判決
(
はんけつ
)
されたのだから、
269
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
アの
力
(
ちから
)
ぢや
如何
(
どう
)
する
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ない。
270
閻魔
(
えんま
)
さまだつて
直接
(
ちよくせつ
)
に
調
(
しら
)
べるのぢやないから、
271
疎漏
(
そろう
)
もあるだらうし、
272
無実
(
むじつ
)
の
罪
(
つみ
)
で
来
(
き
)
て
居
(
を
)
る
憐
(
あは
)
れな
人間
(
にんげん
)
もチヨイチヨイあるやうだ。
273
何程
(
なにほど
)
冥途
(
めいど
)
の
規則
(
きそく
)
が
立派
(
りつぱ
)
に
出来上
(
できあが
)
つて
居
(
を
)
つても、
274
それを
運用
(
うんよう
)
する
審判
(
さには
)
の
鬼
(
おに
)
が
盲
(
めくら
)
だつたら
駄目
(
だめ
)
だからな。
275
マア
諦
(
あきら
)
めるより
仕方
(
しかた
)
があるまいぞよ。
276
上
(
うへ
)
の
大将
(
たいしやう
)
からして、
277
盲
(
めくら
)
の
幽霊
(
いうれい
)
計
(
ばか
)
りだから
困
(
こま
)
つたものだよ。
278
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
アもお
前
(
まへ
)
には
満腔
(
まんくう
)
の
同情
(
どうじやう
)
を
表
(
へう
)
してゐるけれど、
279
上
(
うへ
)
から
押
(
おさ
)
へられるのだから、
280
どうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
やしない。
281
お
前
(
まへ
)
の
言訳
(
いひわけ
)
を
一
(
ひと
)
つでもせうものなら、
282
それこそ
大変
(
たいへん
)
だ。
283
下
(
した
)
の
役
(
やく
)
の
癖
(
くせ
)
に
上役
(
うはやく
)
の
裁
(
さば
)
いた
事
(
こと
)
を、
284
何
(
なに
)
ゴテゴテ
言
(
い
)
ふかと
云
(
い
)
つて、
285
一遍
(
いつぺん
)
に
免職
(
めんしよく
)
さされて
了
(
しま
)
うのだ。
286
さうすればお
前
(
まへ
)
が
今
(
いま
)
渡
(
わた
)
つて
来
(
き
)
た
欲
(
よく
)
の
川
(
かは
)
に
居
(
を
)
つた
我利
(
がり
)
々々
(
がり
)
亡者
(
もうじや
)
の
様
(
やう
)
に
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
とになつて
了
(
しま
)
はねばならぬ。
287
アーア
暗
(
くら
)
がりの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
と
云
(
い
)
ふものは
情
(
なさけ
)
ないものだわい』
288
と
婆
(
ば
)
アさまは
鼻
(
はな
)
をすすり、
289
そろそろと
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
した。
290
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へガラガラガラとけたたましき
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
て、
291
いかめしき
面
(
つら
)
した
赤鬼
(
あかおに
)
、
292
青鬼
(
あをおに
)
、
293
金平糖
(
こんぺいたう
)
を
長
(
なが
)
うした
様
(
やう
)
な
金棒
(
かなぼう
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
294
二台
(
にだい
)
の
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
を
引
(
ひき
)
つれて、
295
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
向
(
むか
)
つて
勢
(
いきほひ
)
よく
駆
(
か
)
けつけ
来
(
きた
)
る。
296
二人
(
ふたり
)
は『アツ』と
驚
(
おどろ
)
き
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふ
)
しける。
297
(
大正一一・八・二〇
旧六・二八
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 怪原野
(B)
(N)
白毫の光 >>>
霊界物語
>
第31巻
> 第3篇 千里万行 > 第20章 脱皮婆
Tweet
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【20 脱皮婆|第31巻(午の巻)|霊界物語/rm3120】
合言葉「みろく」を入力して下さい→