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第31巻(午の巻)
序歌
総説
第1篇 千状万態
01 主一無適
〔867〕
02 大地震
〔868〕
03 救世神
〔869〕
04 不知恋
〔870〕
05 秋鹿の叫
〔871〕
06 女弟子
〔872〕
第2篇 紅裙隊
07 妻の選挙
〔873〕
08 人獣
〔874〕
09 誤神託
〔875〕
10 噂の影
〔876〕
11 売言買辞
〔877〕
12 冷い親切
〔878〕
13 姉妹教
〔879〕
第3篇 千里万行
14 樹下の宿
〔880〕
15 丸木橋
〔881〕
16 天狂坊
〔882〕
17 新しき女
〔883〕
18 シーズンの流
〔884〕
19 怪原野
〔885〕
20 脱皮婆
〔886〕
21 白毫の光
〔887〕
第4篇 言霊将軍
22 神の試
〔888〕
23 化老爺
〔889〕
24 魔違
〔890〕
25 会合
〔891〕
余白歌
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> 第1篇 千状万態 > 第5章 秋鹿の叫
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第五章
秋鹿
(
あきしか
)
の
叫
(
さけび
)
〔八七一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻
篇:
第1篇 千状万態
よみ(新仮名遣い):
せんじょうばんたい
章:
第5章 秋鹿の叫
よみ(新仮名遣い):
あきしかのさけび
通し章番号:
871
口述日:
1922(大正11)年08月18日(旧06月26日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-03-11 21:19:00
OBC :
rm3105
愛善世界社版:
49頁
八幡書店版:
第6輯 59頁
修補版:
校定版:
51頁
普及版:
22頁
初版:
ページ備考:
001
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は
命
(
いのち
)
にも
代
(
か
)
へて
恋
(
こ
)
ひ
慕
(
した
)
つて
居
(
ゐ
)
た
初恋
(
はつこひ
)
の
国依別
(
くによりわけ
)
に
介抱
(
かいほう
)
され、
002
其
(
その
)
嬉
(
うれ
)
しさに
病気
(
びやうき
)
は
段々
(
だんだん
)
と
軽
(
かる
)
くなり、
003
殆
(
ほとん
)
ど
全快
(
ぜんくわい
)
に
近付
(
ちかづ
)
いた。
004
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
はまだ
十九
(
じふく
)
才
(
さい
)
の
花盛
(
はなざか
)
り、
005
国依別
(
くによりわけ
)
は
早
(
はや
)
くも
四十
(
しじふ
)
の
坂
(
さか
)
を
三
(
みつ
)
つ
四
(
よ
)
つ
越
(
こ
)
してゐた。
006
されど
球
(
きう
)
の
玉
(
たま
)
の
神徳
(
しんとく
)
にてらされて、
007
元気
(
げんき
)
益々
(
ますます
)
加
(
くは
)
はり、
008
血色
(
けつしよく
)
よく、
009
一見
(
いつけん
)
して
三十
(
さんじふ
)
前後
(
ぜんご
)
の
若者
(
わかもの
)
とより
見
(
み
)
えなかつた。
010
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は
侍女
(
じぢよ
)
を
遠
(
とほ
)
ざけ
只一人
(
ただひとり
)
、
011
心
(
こころ
)
淋
(
さび
)
しげに
一絃琴
(
いちげんきん
)
を
弾
(
だん
)
じ、
012
心
(
こころ
)
の
丈
(
たけ
)
を
歌
(
うた
)
ひ
居
(
ゐ
)
る。
013
紅井姫
『
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
水火
(
いき
)
をもて
014
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
015
如何
(
いか
)
でか
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
恵
(
めぐ
)
み
016
蒙
(
かうむ
)
らずしてあるべきや
017
秋野
(
あきの
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
も
018
木々
(
きぎ
)
に
囀
(
さへづ
)
る
百鳥
(
ももとり
)
の
019
長閑
(
のどか
)
な
声
(
こゑ
)
もをし
並
(
な
)
べて
020
恋
(
こひ
)
を
語
(
かた
)
らぬものぞなき
021
恋路
(
こひぢ
)
に
迷
(
まよ
)
はぬ
者
(
もの
)
あらむ
022
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
の
奥山
(
おくやま
)
に
023
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
りはふ
紅井
(
くれなゐ
)
の
024
紅葉
(
もみぢ
)
の
色
(
いろ
)
に
憧
(
あこ
)
がれて
025
妻
(
つま
)
恋
(
こ
)
ふ
鹿
(
しか
)
もある
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
026
国依別
(
くによりわけ
)
の
神
(
かみ
)
さまは
027
どうして
斯
(
か
)
くも
情
(
つれ
)
ないぞ
028
此方
(
こちら
)
が
思
(
おも
)
へば
先方
(
さき
)
の
方
(
ほ
)
で
029
思
(
おも
)
ひ
返
(
かへ
)
さぬ
恋
(
こひ
)
の
暗
(
やみ
)
030
迷
(
まよ
)
ふ
吾
(
われ
)
らの
苦
(
くる
)
しみを
031
折
(
を
)
りある
毎
(
ごと
)
に
打明
(
うちあ
)
けて
032
語
(
かた
)
らむものと
思
(
おも
)
へ
共
(
ども
)
033
女心
(
をんなごころ
)
の
恥
(
はづ
)
かしく
034
汝
(
なれ
)
が
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
思
(
おも
)
ふとは
035
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
には
思
(
おも
)
はれじと
036
思
(
おも
)
ふは
誰
(
たれ
)
を
思
(
おも
)
ふなるらむ
037
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
038
結
(
むす
)
ぶの
神
(
かみ
)
の
幸
(
さち
)
はひに
039
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
040
国依別
(
くによりわけ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
041
夢
(
ゆめ
)
になり
共
(
とも
)
知
(
し
)
らせたい
042
目
(
め
)
ひき
袖
(
そで
)
ひきいろいろと
043
遠
(
とほ
)
くまはして
知
(
し
)
らせ
共
(
ども
)
044
野山
(
のやま
)
の
諸木
(
もろき
)
か
川
(
かは
)
の
石
(
いし
)
か
045
巌
(
いはほ
)
の
如
(
ごと
)
く
頑
(
ぐわん
)
として
046
歯節
(
はぶし
)
も
立
(
た
)
たぬ
国依別
(
くによりわけ
)
の
047
犯
(
をか
)
しがたなき
其
(
その
)
心
(
こころ
)
048
益々
(
ますます
)
募
(
つの
)
るは
恋
(
こひ
)
の
意地
(
いぢ
)
049
汝
(
な
)
が
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
には
吾
(
わが
)
命
(
いのち
)
050
仮令
(
たとへ
)
野
(
の
)
の
末
(
すゑ
)
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
051
屍
(
かばね
)
を
曝
(
さら
)
す
世
(
よ
)
あり
共
(
とも
)
052
などか
厭
(
いと
)
はむ
一
(
ひと
)
ことの
053
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
御口
(
みくち
)
より
054
優
(
やさ
)
しき
言葉
(
ことば
)
の
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
055
うつさせ
玉
(
たま
)
へ
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
が
056
このいじらしき
真心
(
まごころ
)
を
057
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
なる
恨
(
うら
)
めしさ
058
それに
引替
(
ひきか
)
へ
朝夕
(
あさゆふ
)
に
059
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
附
(
つ
)
け
狙
(
ねら
)
ふ
060
厭
(
いや
)
な
男
(
をとこ
)
の
秋山別
(
あきやまわけ
)
や
061
内事司
(
ないじつかさ
)
のモリスまで
062
言葉
(
ことば
)
巧
(
たくみ
)
に
言
(
い
)
ひ
寄
(
よ
)
りて
063
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
る
厭
(
いや
)
らしさ
064
恋
(
こひ
)
しき
人
(
ひと
)
は
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
065
生命
(
いのち
)
かけての
紅井
(
くれなゐ
)
の
066
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
も
木耳
(
きくらげ
)
の
067
少
(
すこ
)
しも
響
(
ひび
)
かぬつれなさよ
068
金勝要
(
きんかつかねの
)
大神
(
おほかみ
)
の
069
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
070
添
(
そ
)
ひたく
思
(
おも
)
ふ
国依別
(
くによりわけ
)
の
071
縁
(
えにし
)
を
結
(
むす
)
ばせ
玉
(
たま
)
へかし
072
うるさき
二人
(
ふたり
)
の
恋心
(
こひごころ
)
073
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
皇神
(
すめかみ
)
の
074
尊
(
たふと
)
き
御稜威
(
みいづ
)
を
現
(
あら
)
はして
075
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
らせて
玉
(
たま
)
へかし
076
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
077
男
(
をとこ
)
と
生
(
うま
)
れ
女子
(
をみなご
)
と
078
生
(
うま
)
れ
来
(
きた
)
るも
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
の
079
深
(
ふか
)
きえにしのあるものぞ
080
今
(
いま
)
に
妻
(
つま
)
なき
国依別
(
くによりわけ
)
の
081
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
が
082
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
の
初恋
(
はつごひ
)
を
083
叶
(
かな
)
へて
汝
(
なれ
)
と
吾
(
あ
)
と
二人
(
ふたり
)
084
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
085
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
潔
(
いさぎよ
)
く
086
鴛鴦
(
をし
)
の
契
(
ちぎり
)
の
礼
(
れい
)
参
(
まゐ
)
り
087
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
片時
(
かたとき
)
も
088
思
(
おも
)
ひを
叶
(
かな
)
へ
玉
(
たま
)
へかし
089
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
090
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
091
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
092
一絃琴
(
いちげんきん
)
を
横
(
よこ
)
に
置
(
お
)
き、
093
木茄子
(
きなすび
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
き、
094
一口
(
ひとくち
)
喉
(
のど
)
をうるほし
乍
(
なが
)
ら、
095
又
(
また
)
もや
恋
(
こひ
)
に
悩
(
なや
)
みつつ、
096
双手
(
もろで
)
を
組
(
く
)
みて
溜息
(
ためいき
)
をつき
居
(
ゐ
)
たり。
097
斯
(
かか
)
る
所
(
ところ
)
へ、
098
国依別
(
くによりわけ
)
は
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
鎮魂
(
ちんこん
)
を
施
(
ほどこ
)
し、
099
稍
(
やや
)
手
(
て
)
すきになつたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
100
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
休息
(
きうそく
)
がてら
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
101
国依別
『
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
、
102
確
(
たしか
)
に
一絃琴
(
いちげんきん
)
の
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えて
居
(
を
)
りましたが、
103
随分
(
ずいぶん
)
お
上手
(
じやうづ
)
で
御座
(
ござ
)
いますなア。
104
どうぞ
私
(
わたくし
)
にも
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいませぬか?』
105
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
に
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は、
106
最前
(
さいぜん
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
かれたのではあるまいかと
胸
(
むね
)
を
轟
(
とどろ
)
かせ、
107
忽
(
たちま
)
ち
面部
(
かほ
)
をパツと
紅
(
くれなゐ
)
の
色
(
いろ
)
に
染乍
(
そめなが
)
ら、
108
紅井姫
『ハイ
妾
(
わらは
)
の
手慰
(
てすさ
)
びを
残
(
のこ
)
らずお
聞
(
き
)
きになりましたか?』
109
と
恥
(
はづ
)
かしげに
俯
(
うつ
)
むく。
110
国依別
(
くによりわけ
)
は
何
(
なに
)
げなう、
111
無雑作
(
むざふさ
)
に、
112
国依別
『イヽエ
承
(
うけたま
)
はりませぬ。
113
少
(
すこ
)
しく
手
(
て
)
すきになりましたので、
114
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
伺
(
うかが
)
はふと
思
(
おも
)
つて、
115
長廊下
(
ながらうか
)
を
参
(
まゐ
)
りますと、
116
あなたの
御
(
お
)
居間
(
ゐま
)
に
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
が
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
ますので、
117
どうぞ
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
きたいと
思
(
おも
)
ひ、
118
そこ
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りますと、
119
早
(
はや
)
くもお
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
は
止
(
と
)
まりました。
120
残念
(
ざんねん
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しましたよ。
121
モ
一息
(
ひといき
)
早
(
はや
)
く
伺
(
うかが
)
へば、
122
妙音
(
めうおん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
の
音楽
(
おんがく
)
が
聞
(
き
)
かれる
所
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
いましたに』
123
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は、
124
紅井姫
『ホヽヽヽヽ』
125
と
袖
(
そで
)
に
顔
(
かほ
)
を
当
(
あ
)
て、
126
恥
(
はづ
)
かしげに
笑
(
わら
)
ふ。
127
国依別
『
姫
(
ひめ
)
さま、
128
永
(
なが
)
らく
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
に
預
(
あづか
)
りましたが、
129
明日
(
みやうにち
)
は、
130
お
暇
(
ひま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して
帰
(
かへ
)
らうと
存
(
ぞん
)
じます。
131
就
(
つい
)
ては
明朝
(
みやうてう
)
早
(
はや
)
くなりますから、
132
あなたの
御
(
お
)
休眠中
(
やすみちう
)
にお
目
(
め
)
をさましてもなりませぬから、
133
是
(
これ
)
きりで
暫
(
しばら
)
くお
目
(
め
)
にかからないとも
分
(
わか
)
りませぬ。
134
ここで
明日
(
あす
)
の
御
(
お
)
別
(
わか
)
れの
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
致
(
いた
)
しておかうと
存
(
ぞん
)
じます』
135
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は
俄
(
にはか
)
に
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へ、
136
紅井姫
『エヽ
何
(
なん
)
と
仰
(
あふ
)
せられます。
137
明日
(
あす
)
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りとは、
138
そりや
又
(
また
)
余
(
あま
)
りぢや
御座
(
ござ
)
りませぬか。
139
妾
(
わらは
)
がこれ
丈
(
だけ
)
……』
140
国依別
『
永
(
なが
)
らく
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
預
(
あづか
)
りましたが、
141
是
(
これ
)
から、
142
ハルの
国
(
くに
)
を
渡
(
わた
)
りウヅの
国
(
くに
)
へ
参
(
まゐ
)
り、
143
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
に
会
(
あ
)
はなくてはなりませぬ。
144
それ
迄
(
まで
)
に
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
を
助
(
たす
)
けねばならぬ
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いますので、
145
非常
(
ひじやう
)
に
心
(
こころ
)
が
急
(
いそ
)
ぎますから、
146
是非
(
ぜひ
)
々々
(
ぜひ
)
明日
(
みやうにち
)
は
出立
(
しゆつたつ
)
を
致
(
いた
)
さねばなりませぬ。
147
永
(
なが
)
らく
懇意
(
こんい
)
に
預
(
あづか
)
りましたが、
148
生者
(
せいじや
)
必滅
(
ひつめつ
)
会者
(
ゑしや
)
定離
(
ぢやうり
)
、
149
会
(
あ
)
ふは
別
(
わか
)
れの
始
(
はじ
)
めとやら、
150
どうぞ
是迄
(
これまで
)
の
御縁
(
ごえん
)
と
思召
(
おぼしめ
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
151
貴女
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
健全
(
けんぜん
)
な
様
(
やう
)
に
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
御
(
お
)
祈
(
いの
)
りを
致
(
いた
)
しますから、
152
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
の
事
(
こと
)
なぞ、
153
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさらない
様
(
やう
)
に
頼
(
たの
)
みます』
154
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は『エヽ』と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
155
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
倒
(
たふ
)
れむとし、
156
忽
(
たちま
)
ち
目
(
め
)
は
眩
(
くら
)
み、
157
耳
(
みみ
)
は
早鐘
(
はやがね
)
をつき
心臓
(
しんざう
)
の
鼓動
(
こどう
)
烈
(
はげ
)
しく、
158
不安
(
ふあん
)
の
状態
(
じやうたい
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
たる。
159
国依別
(
くによりわけ
)
は……ハテ
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たわい……と
稍
(
やや
)
心配
(
しんぱい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
160
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は
怺
(
こら
)
へ
切
(
き
)
れなくなつたと
見
(
み
)
え『ウン……』と
一声
(
ひとこゑ
)
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
悶絶
(
もんぜつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
161
国依別
(
くによりわけ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
162
直
(
ただち
)
に、
163
姫
(
ひめ
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り、
164
指先
(
ゆびさき
)
より
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
きこみ、
165
いろいろと
介抱
(
かいほう
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
166
漸
(
やうや
)
く
姫
(
ひめ
)
は
正気
(
しやうき
)
づきぬ。
167
国依別
『お
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
168
お
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
きましたか。
169
マア
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
170
私
(
わたくし
)
も
大変
(
たいへん
)
に
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
しましたよ。
171
何事
(
なにごと
)
の
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
がお
有
(
あ
)
りなさるか
知
(
し
)
りませぬが、
172
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
如何
(
どう
)
しても、
173
人間
(
にんげん
)
の
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
には
行
(
ゆ
)
くものではありませぬ。
174
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
の
儘
(
まま
)
によりならないものです。
175
例
(
たと
)
へば
夫婦
(
ふうふ
)
の
道
(
みち
)
だつて、
176
添
(
そ
)
ひたひ
添
(
そ
)
ひたひと
思
(
おも
)
うてゐる
女
(
をんな
)
があつても、
177
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
しがなければ
添
(
そ
)
う
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ず、
178
嫌
(
きら
)
いでならない
女房
(
にようばう
)
を
持
(
も
)
つて、
179
一生
(
いつしやう
)
を
不愉快
(
ふゆくわい
)
に
暮
(
くら
)
す
者
(
もの
)
もあり、
180
又
(
また
)
好
(
す
)
きな
者
(
もの
)
同志
(
どうし
)
が
夫婦
(
ふうふ
)
になり、
181
一
(
いち
)
時
(
じ
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
楽
(
たの
)
しく
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
た
者
(
もの
)
が
中途
(
ちうと
)
に
邪魔
(
じやま
)
が
這入
(
はい
)
り、
182
障害
(
しやうがい
)
が
出来
(
でき
)
などして、
183
破鏡
(
はきやう
)
の
歎
(
なげ
)
きを
味
(
あぢ
)
はふ
者
(
もの
)
も
御座
(
ござ
)
います。
184
それだから
人間
(
にんげん
)
は
到底
(
たうてい
)
自分
(
じぶん
)
の
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
にならないものだと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
れば、
185
何事
(
なにごと
)
も
諦
(
あきら
)
めが
付
(
つ
)
くもので
御座
(
ござ
)
います』
186
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は
恨
(
うら
)
めしげに
国依別
(
くによりわけ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
つめ、
187
何
(
なに
)
か
云
(
い
)
はむとして
口籠
(
くちごも
)
るものの
如
(
ごと
)
く、
188
上下
(
うへした
)
の
唇
(
くちびる
)
をビリビリと
震
(
ふる
)
はせゐる。
189
国依別
(
くによりわけ
)
は
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
の
背
(
せ
)
を
撫
(
な
)
でさすり、
190
いろいろと
慰
(
なぐさ
)
めゐる
折
(
をり
)
しも、
191
俄
(
にはか
)
に
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
く、
192
隔
(
へだ
)
ての
襖
(
ふすま
)
を
静
(
しづか
)
に
荒
(
あら
)
く
引
(
ひき
)
あけて、
193
ヌツと
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
した
秋山別
(
あきやまわけ
)
は、
194
秋山別
『ヤアお
楽
(
たのし
)
みの
所
(
ところ
)
へ、
195
行儀
(
ぎやうぎ
)
も
知
(
し
)
らぬ
不作法
(
ぶさはふ
)
者
(
もの
)
がやつて
参
(
まゐ
)
りまして、
196
何
(
なん
)
とも
早
(
はや
)
面目
(
めんぼく
)
次第
(
しだい
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬ。
197
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
国依別
(
くによりわけ
)
さま、
198
お
前
(
まへ
)
さまは
誰
(
たれ
)
に
断
(
ことわ
)
つて
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
居間
(
ゐま
)
へお
越
(
こ
)
しになつたのですか。
199
御
(
ご
)
病気
(
べうき
)
なれば
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
200
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
最早
(
もはや
)
全快
(
ぜんくわい
)
遊
(
あそ
)
ばし、
201
お
前
(
まへ
)
さまの
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
を
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
する
必要
(
ひつえう
)
もなくなつた
今日
(
こんにち
)
、
202
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
、
203
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
一人
(
ひとり
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
御
(
お
)
出
(
い
)
でになり、
204
其
(
その
)
上
(
うへ
)
お
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り、
205
背
(
せな
)
を
撫
(
な
)
で、
206
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
不作法
(
ぶさはふ
)
な
事
(
こと
)
をなさいますか。
207
不義
(
ふぎ
)
は
御
(
お
)
家
(
いへ
)
の
御
(
ご
)
禁制
(
はつと
)
、
208
サアサア、
209
此
(
この
)
秋山別
(
あきやまわけ
)
が
現場
(
げんぢやう
)
を
見着
(
みつ
)
けた
上
(
うへ
)
は、
210
如何
(
いか
)
に
御
(
ご
)
弁解
(
べんかい
)
をなさらうとも、
211
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
らぬ。
212
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り
此
(
この
)
館
(
やかた
)
をトツトと
退去
(
たいきよ
)
なされ。
213
ヒルの
館
(
やかた
)
の
総取締
(
そうとりしまり
)
秋山別
(
あきやまわけ
)
が、
214
職名
(
しよくめい
)
に
依
(
よ
)
つて
申付
(
まをしつ
)
けまするぞ』
215
国依別
『これは
心得
(
こころえ
)
ぬあなたの
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
。
216
国依別
(
くによりわけ
)
があなたの
目
(
め
)
からは
不義者
(
ふぎもの
)
と
見
(
み
)
えますかナ』
217
秋山別
『
見
(
み
)
えるも
見
(
み
)
えぬもない、
218
現
(
げん
)
に
今
(
いま
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
体
(
からだ
)
に
手
(
て
)
をさへたぢやないか』
219
紅井姫
『コレ
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
220
人様
(
ひとさま
)
に
向
(
むか
)
つて、
221
さうズケズケと
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
でない。
222
妾
(
わらは
)
が
今
(
いま
)
急病
(
きふべう
)
を
発
(
はつ
)
し、
223
苦
(
くるし
)
みて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
を
通
(
とほ
)
りかかつて
苦悶
(
くもん
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
き、
224
助
(
たす
)
けに
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつたのだよ。
225
どうぞお
前
(
まへ
)
も
疑
(
うたがひ
)
を
晴
(
は
)
らして
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さい』
226
秋山別
『
何
(
なん
)
とお
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
227
あなたも
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
随分
(
ずいぶん
)
旅
(
たび
)
の
方
(
かた
)
[
※
「旅の方」「足袋の型」いずれも意味不明。
]
になられましたねえ。
228
国依別
(
くによりわけ
)
さまのお
仕込
(
しこみ
)
で、
229
イヤもう
秋山別
(
あきやまわけ
)
もあなたの
言霊
(
ことたま
)
には、
230
ヘヽ
閉口
(
へいこう
)
致
(
いた
)
しますワイ』
231
紅井姫
『コレ
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
232
お
前
(
まへ
)
は
妾
(
わらは
)
を
足袋
(
たび
)
の
型
(
かた
)
と
今
(
いま
)
言
(
い
)
つたが、
233
そりや
又
(
また
)
如何
(
どう
)
いふ
訳
(
わけ
)
だい。
234
知
(
し
)
らしてお
呉
(
く
)
れ』
235
秋山別
『
中々
(
なかなか
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
はお
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
もお
口
(
くち
)
が
上手
(
じやうづ
)
にお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
236
御
(
ご
)
弁解
(
べんかい
)
が
甘
(
うま
)
くて
足袋
(
たび
)
の
型
(
かた
)
で
中々
(
なかなか
)
手
(
て
)
に
合
(
あ
)
はぬと
言
(
い
)
つたのですよ。
237
アハヽヽヽ』
238
国依別
『
秋山別
(
あきやまわけ
)
さま、
239
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
240
国依別
(
くによりわけ
)
もいよいよ
明日
(
あす
)
より
出立
(
しゆつたつ
)
致
(
いた
)
しますから、
241
何分
(
なにぶん
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
もお
弱
(
よわ
)
い
体
(
からだ
)
、
242
どうぞ
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さいませ』
243
秋山別
『
仰
(
あふ
)
せ
迄
(
まで
)
もなく、
244
昼夜
(
ちうや
)
の
区別
(
くべつ
)
なく、
245
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
体
(
からだ
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
保護
(
ほご
)
を
致
(
いた
)
す
此
(
この
)
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
246
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
は
御
(
ご
)
無用
(
むよう
)
で
御座
(
ござ
)
います』
247
と
憎々
(
にくにく
)
しげに
言
(
い
)
ふ。
248
紅井姫
『いよいよ
明日
(
あす
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
様
(
さま
)
、
249
お
立
(
た
)
ちで
御座
(
ござ
)
いますか。
250
余
(
あんま
)
り
意地
(
いぢ
)
くねの
悪
(
わる
)
い
秋山別
(
あきやまわけ
)
が、
251
いつもあなたの
御心
(
みこころ
)
を
損
(
そこ
)
ねまして、
252
実
(
じつ
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で
申訳
(
まをしわけ
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ。
253
是
(
これ
)
もヤツパリ
妾
(
わらは
)
の
罪
(
つみ
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
254
どうぞ
秋山別
(
あきやまわけ
)
が
悪
(
わる
)
いとは
思召
(
おぼしめ
)
さず、
255
妾
(
わらは
)
をお
叱
(
しか
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
256
秋山別
『これはしたり、
257
お
姫
(
ひめ
)
さま、
258
これ
程
(
ほど
)
親切
(
しんせつ
)
に、
259
身命
(
しんめい
)
を
賭
(
と
)
して
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
り
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
る
秋山別
(
あきやまわけ
)
を、
260
意地苦根
(
いぢくね
)
悪
(
わる
)
い
男
(
をとこ
)
とは、
261
チと
聞
(
きこ
)
えぬぢやありませぬか。
262
大方
(
おほかた
)
国依別
(
くによりわけ
)
さまに
入
(
い
)
れ
智慧
(
ぢゑ
)
をして
貰
(
もら
)
ひなさつたのでせう』
263
紅井姫
『
其様
(
そん
)
な
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてはなりませぬ。
264
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
265
妾
(
わらは
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
さまが
命
(
いのち
)
がけの
好
(
す
)
きなお
方
(
かた
)
、
266
お
前
(
まへ
)
はゲヂよりも
嫌
(
きら
)
ひだよ。
267
総取締
(
そうとりしまり
)
の
役
(
やく
)
であり
乍
(
なが
)
ら、
268
お
道
(
みち
)
の
方
(
はう
)
はそつち
除
(
の
)
けにして、
269
妾
(
わらは
)
の
側
(
そば
)
計
(
ばか
)
り、
270
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がな、
271
厭
(
いや
)
らしい
目附
(
めつき
)
をしてお
出
(
い
)
でだから、
272
妾
(
わらは
)
も
穴
(
あな
)
でもあれば、
273
お
前
(
まへ
)
が
来
(
く
)
る
度
(
たび
)
に、
274
這入
(
はい
)
りたい
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
がして、
275
病気
(
びやうき
)
が
段々
(
だんだん
)
重
(
おも
)
くなる
計
(
ばか
)
りだよ。
276
それで
兄
(
にい
)
さまに
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げたら、
277
今
(
いま
)
に
秋山別
(
あきやまわけ
)
を
放
(
はう
)
り
出
(
だ
)
して、
278
外
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
と
入
(
い
)
れ
替
(
か
)
へするから、
279
暫
(
しばら
)
く
辛抱
(
しんばう
)
せよと
仰有
(
おつしや
)
つたよ。
280
モウ
斯
(
こ
)
うなつては
仕方
(
しかた
)
がないから、
281
包
(
つつ
)
まず
隠
(
かく
)
さず、
282
露骨
(
ろこつ
)
に
言
(
い
)
つて
上
(
あ
)
げるからお
前
(
まへ
)
も
良
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
諦
(
あきら
)
めたが
良
(
よ
)
からう。
283
女
(
をんな
)
の
部屋
(
へや
)
へ
男
(
をとこ
)
の
来
(
く
)
るものではない。
284
サア
早
(
はや
)
く
彼方
(
あちら
)
へお
行
(
ゆ
)
き、
285
御用
(
ごよう
)
が
支
(
つかへ
)
て
居
(
ゐ
)
るぢやないか』
286
秋山別
『チヨツ、
287
エヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
288
何程
(
なにほど
)
親切
(
しんせつ
)
を
尽
(
つく
)
しても、
289
私
(
わたくし
)
の
心
(
こころ
)
は
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
つて
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
かなア。
290
ナニ
此処
(
ここ
)
を
追出
(
おひだ
)
されるのなら、
291
モウ
破
(
やぶ
)
れかぶれだ、
292
恋
(
こひ
)
の
叶
(
かな
)
はぬ
意趣
(
いしゆ
)
返
(
がへ
)
しに、
293
一
(
ひと
)
つ
国依別
(
くによりわけ
)
のドタマをかちわつて、
294
恨
(
うらみ
)
を
晴
(
は
)
らしてやらう』
295
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
296
傍
(
かたはら
)
の
火鉢
(
ひばち
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
297
国依別
(
くによりわけ
)
目
(
め
)
がけて
打
(
うち
)
つける。
298
国依別
(
くによりわけ
)
はヒラリと
体
(
たい
)
をかはし、
299
国依別
『アハヽヽヽ、
300
危
(
あぶ
)
ない
危
(
あぶ
)
ない、
301
秋山別
(
あきやまわけ
)
さま、
302
姫
(
ひめ
)
さまのお
言葉
(
ことば
)
を
真
(
ま
)
に
受
(
う
)
けては
可
(
い
)
けないよ。
303
口
(
くち
)
で
悪
(
わる
)
言
(
い
)
うて
心
(
こころ
)
でほめて、
304
蔭
(
かげ
)
の
惚気
(
のろけ
)
がきかしたい……と
云
(
い
)
ふ
筆法
(
ひつばふ
)
だから、
305
安心
(
あんしん
)
なされませ。
306
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
国依別
(
くによりわけ
)
は
明早朝
(
みやうさうてう
)
ここをお
暇
(
いとま
)
せなくてはならないのだからなア』
307
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうに、
308
秋山別
『
国依別
(
くによりわけ
)
様
(
さま
)
、
309
失礼
(
しつれい
)
を
致
(
いた
)
しました。
310
是
(
これ
)
も
一
(
いち
)
時
(
じ
)
の
狂言
(
きやうげん
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
311
必
(
かなら
)
ず
悪
(
わる
)
く
取
(
と
)
つて
下
(
くだ
)
さいますな。
312
どうぞウーンとやられちや
大変
(
たいへん
)
ですから、
313
お
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ちませうが、
314
どうぞそこは
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し、
315
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
316
国依別
『
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
で
腹
(
はら
)
の
立
(
た
)
つ
様
(
やう
)
な
国依別
(
くによりわけ
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬ』
317
紅井姫
『どうしても、
318
あなたは
可憐
(
かれん
)
な
私
(
わたし
)
を
捨
(
す
)
て、
319
明日
(
あす
)
お
立
(
た
)
ちで
御座
(
ござ
)
いますか?』
320
国依別
『ハイ、
321
折角
(
せつかく
)
お
馴染
(
なじみ
)
になつて、
322
実
(
じつ
)
に
残
(
のこ
)
り
多
(
おほ
)
う
御座
(
ござ
)
いますが、
323
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
が
急
(
いそ
)
ぎますから、
324
今晩
(
こんばん
)
は
楓別
(
かへでわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
にトツクリと
事情
(
じじやう
)
を
申上
(
まをしあ
)
げ、
325
お
暇
(
ひま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
す
考
(
かんが
)
へで
御座
(
ござ
)
います』
326
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は『アツ』と
叫
(
さけ
)
んで
又
(
また
)
もや
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
打倒
(
うちたふ
)
れ、
327
前後
(
ぜんご
)
不覚
(
ふかく
)
に
陥
(
おちい
)
りにける。
328
(
大正一一・八・一八
旧六・二六
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 不知恋
(B)
(N)
女弟子 >>>
霊界物語
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第31巻
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10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
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【
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飯塚弘明著『
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』発刊!
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【霊界物語ネット】
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【05 秋鹿の叫|第31巻(午の巻)|霊界物語/rm3105】
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