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第一八章 シーズンの(ながれ)〔八八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻 篇:第3篇 千里万行 よみ(新仮名遣い):せんりばんこう
章:第18章 シーズンの流 よみ(新仮名遣い):しーずんのながれ 通し章番号:884
口述日:1922(大正11)年08月20日(旧06月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
エリナも突然口調を変えて、秋山別とモリスをからかいだした。そしてモリスを置いてどこかに行こうとする。二人の男は未練たらたらでエリナを留めようとするが、逆にエリナに心底を見透かされて恥をかかされてしまう。
秋山別とモリスは馬鹿にされて怒り、エリナに打ち掛かるが、逆に首筋を掴まれてシーズン河に投げ込まれてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-04-12 18:52:19 OBC :rm3118
愛善世界社版:213頁 八幡書店版:第6輯 121頁 修補版: 校定版:219頁 普及版:101頁 初版: ページ備考:
001 エリナはモリスの暗祈(あんき)黙祷(もくたう)せる姿(すがた)嘲笑(てうせう)(てき)(なが)()()やりつつ、002秋山別(あきやまわけ)(むか)ひ、
003エリナ『オイ秋山(あきやま)(くん)004(きみ)紅井(くれなゐ)(くん)如何(どう)したのだイ。005まさか(きみ)()(やう)に、006シーズン(がは)投身(とうしん)する(やう)馬鹿(ばか)(をんな)でもあるまいがねー。007もし(ぼく)だつたら、008(きみ)(やう)蜥蜴(とかげ)(くん)には(いのち)をすてる(やう)なこたア、009馬鹿(ばか)らしくて出来(でき)ないね、010(また)(きみ)(きみ)ぢやないか、011あれ(ほど)スヰートハートしてゐた紅井(くれなゐ)(くん)水中(すゐちう)陥没(かんぼつ)したのだから、012(この)(さい)対岸(たいがん)火災視(くわさいし)して()(わけ)にも()かぬぢやないか。013男子(だんし)()(もの)随分(ずいぶん)無情(むじやう)冷酷(れいこく)なものだね、014それだから吾々(われわれ)()ざめた婦人(ふじん)(たち)は、015婦人(ふじん)開放論(かいはうろん)(とな)へたり、016女権(ぢよけん)拡張(くわくちやう)高唱(かうしやう)したり、017婦主(ふしゆ)夫従(ふうじゆう)法律(はふりつ)制定(せいてい)せむと躍起(やくき)運動(うんどう)をやらなくちやならないやうになつて()たのだ。018(きみ)(しん)紅井(くれなゐ)(くん)同情(どうじやう)をよせてゐるのならば、019なぜ()(てい)して水中(すゐちう)飛込(とびこ)(すく)()げないのかイ。020(この)渓流(ながれ)(なが)めて(おそ)ろしくなつたのだなア。021(じつ)卑怯(ひけふ)(をとこ)だね。022こンな(をとこ)(ねら)はれた紅井(くれなゐ)(くん)迷惑(めいわく)だ。023(ぼく)だつて、024こンな男子(だんし)(いち)(にち)でも()はねばならぬと(おも)や、025紅井(くれなゐ)(くん)ぢやないが、026(ぼく)一層(いつそう)(こと)淵川(ふちがは)()()げて()(かみ)()にキツスをしたくなつて()るよ。027(きみ)余程(よほど)デレ(すけ)(わり)には、028(もの)(わか)らぬ人物(じんぶつ)だね』
029秋山別『ヤア(また)(めう)(こと)口走(くちばし)()したぞ。030(なん)でも(この)(へん)には悪霊(あくれい)沢山(たくさん)()ると()(こと)だから、031可愛相(かあいさう)に、032憑依(ひようい)されたのだなア。033オイオイ モリス(くん)034(きみ)もちつと心配(しんぱい)してやつたらどうだイ。035何程(なにほど)(をが)ンで()つたつて、036(この)発動(はつどう)容易(ようい)停電(ていでん)する気遣(きづか)ひはないよ。037(きみ)(ぼく)相提携(あひていけい)してエリナ(くん)説服(せつぷく)し、038(もと)のエリナの精神(せいしん)立直(たてなほ)してやらうぢやないか』
039モリス『オイ、040秋山別(あきやまわけ)041(まへ)もヤツパリ感染(かんせん)して()るようだぞ。042エリナさまと(おな)(やう)(きみ)だの(ぼく)だのと、043そンな(ことば)使(つか)うない。044今迄(いままで)(やう)(おれ)とか、045わしとか、046(まへ)とか、047貴様(きさま)とか()つたら如何(どう)だい。048そンな(ことば)使(つか)ふと、049(にはか)(なん)だか二十(にじつ)世紀(せいき)とか()()(なか)(おも)()されて()るワ』
050秋山別『あゝさうだつたなア。051ウツカリして()つて類焼(るゐせう)(やく)()(ところ)だつた。052(さいは)ひお(まへ)蒸気(じやうき)ポンプがあつた(ため)延焼(えんせう)(がい)(まぬが)れてマア結構(けつこう)だ。053(しか)しエリナさまの(この)発動(はつどう)(こま)つたものだね』
054エリナ(みな)さま、055()心配(しんぱい)して(くだ)さいますな。056(わたし)はおかげに()つて、057精神(せいしん)快活(くわいくわつ)になりましたよ。058如何(どう)して(いま)(やう)なハイカラな()転婆(てんば)になつたのでせうか。059わたし、060二人(ふたり)さまのお(かほ)()るのも(はづ)かしうなつて()ましたワ。061ホヽヽヽヽ』
062(あか)(かほ)をし(なが)ら、063(そで)にてかくす(その)殊勝(しゆしよう)さ、064(なん)とも()へぬ(おもむき)がある。065二人(ふたり)恍惚(くわうこつ)として、066エリナ(ひめ)(なが)()る。
067 モリスは秋山別(あきやまわけ)(むか)ひ、068一寸(ちよつと)(こし)(かが)め、069いと叮嚀(ていねい)言葉(ことば)で、
070モリス秋山(あきやま)さま、071今日(けふ)(ぞん)じも()らぬ(こと)出来(でき)まして、072さぞさぞ()愁歎(しうたん)御座(ござ)いませう、073()(さつ)申上(まをしあ)げます。074折角(せつかく)(ここ)まで()ぎつけて、075いよいよ夫婦(ふうふ)結婚(けつこん)(しき)をあげようと()間際(まきは)になり、076紅井姫(くれなゐひめ)さまは無情(むじやう)(かぜ)(さそ)はれて(とほ)(くに)()旅立(たびだち)077さぞ()(さび)しう御座(ござ)いませう。078()につまされて同情(どうじやう)(なみだ)()へませぬ』
079秋山別『ハイ有難(ありがた)(ぞん)じます。080紅井(くれなゐ)(はな)半開(はんかい)にして()りました。081無情(むじやう)(あらし)()かれて、082()もなく(うち)おとされ、083(じつ)残念(ざんねん)御座(ござ)います』
084(はな)をすする。
085エリナ『モシ秋山(あきやま)さま、086あなた紅井姫(くれなゐひめ)(さま)本当(ほんたう)女房(にようばう)にする()(かんが)へでしたか』
087秋山別『ハイ()ても()めても(わが)()にちらつき、088一刻(いつこく)(わす)れた(こと)のない紅井姫(くれなゐひめ)さま、089(じつ)残念(ざんねん)(こと)(いた)しました。090ヒルの(みやこ)楓別(かへでわけ)さまが(この)(こと)をお()(あそ)ばしたら、091(さぞ)(なげ)(あそ)ばす(こと)御座(ござ)いませう』
092エリナ『あの(かた)本当(ほんたう)紅井姫(くれなゐひめ)(さま)秋山(あきやま)さまは(おも)つてゐらつしやいますのですか。093あの(かた)(あさひ)……否々(いないな)(あさひ)直刺(たださ)す、094夕日(ゆふひ)()()らすヒルの(くに)紅井姫(くれなゐひめ)によく()()(かた)御座(ござ)いますが、095(わたし)(かんが)へでは(すこ)しくお()(たか)(やう)()(いた)しまして、096どうも合点(がてん)(まゐ)りませぬワ』
097秋山別『ハイ何分(なにぶん)十九(じふく)花盛(はなざか)り、098()()びる最中(さいちう)ですからなア。099(わか)(をんな)()(もの)は、100三日(みつか)()()(さくら)(かな)で、101見違(みちが)へるように(かは)るもので御座(ござ)います。102(わたし)(けつ)して(ほか)(かた)とは(おも)ひませぬワ』
103エリナ『そんならエリナの(わたし)はどう()えますか』
104秋山別秋山(あきやま)()にはどうも()えませぬな。105(べつ)(かは)つた(ところ)もない(やう)です』
106エリナ折角(せつかく)此処(ここ)まで()(とも)(ねが)ひましたが、107これで(わらは)はお(いとま)(いた)します。108二人共(ふたりとも)109()機嫌(きげん)よく()修業(しうげふ)(あそ)ばし、110天晴(あつぱ)立派(りつぱ)(をとこ)となつて、111ヒルの(くに)(かへ)り、112(もと)(ごと)神界(しんかい)御用(ごよう)(つと)めて(くだ)さいませ、113左様(さやう)ならば……』
114足早(あしばや)()つて()かうとするのを、115モリスは周章(あわ)てて、
116モリス『モシモシ、117エリナさま、118一寸(ちよつと)()つて(くだ)さい。119(わたし)此処迄(ここまで)はるばるやつて()たのは、120(なん)(ため)か、121貴女(あなた)御存(ごぞん)じでせうなア』
122エリナ『ハイよく(ぞん)じて()ります。123あなた(がた)()二人(ふたり)(さま)(こひ)(とりこ)となつて、124紅井姫(くれなゐひめ)(さま)女房(にようばう)にせうと、125(ひる)(よる)(あらそ)ひ、126修羅(しうら)をもやして御座(ござ)つたのぢや御座(ござ)いませぬか。127(わたし)はホンのあなたの()から副産物(ふくさんぶつ)(くらゐ)見做(みな)されて()つたはした(をんな)御座(ござ)いますよ。128あなた(がた)(たう)目的物(もくてきぶつ)たる紅井姫(くれなゐひめ)(さま)が、129()うお()(あそ)ばした以上(いじやう)は、130最早(もはや)(をんな)(たい)する執着心(しふちやくしん)(はな)れたでせう。131(わらは)はあなた(がた)(たい)して(なん)関係(くわんけい)もない(もの)御座(ござ)いますから、132(さき)へ、133すまぬ(こと)(なが)ら、134御免(ごめん)(かうむ)りませう。135(をとこ)(かた)()らつて(ある)いて()ると、136(また)世間(せけん)(なん)とかかとか(うはさ)()て、137うるさくて(たま)りませぬから、138浮名(うきな)()てられ()(ぎぬ)()せられない(うち)に、139(ここ)(わらは)立去(たちさ)つた(はう)が、140双方(さうはう)利益(りえき)御座(ござ)いませう』
141秋山別『エヽ一寸(ちよつと)()つて(くだ)さい。142秋山別(あきやまわけ)(ここ)まで()うして(まゐ)りましたのも、143あなた(がた)のお(あと)(した)ひ、144夫婦(ふうふ)約束(やくそく)(むす)び、145円満(ゑんまん)なる家庭(かてい)(つく)り、146神業(しんげふ)(つと)めようと(おも)つて、147(まゐ)つたので(ござ)いますから、148ここで()(わか)れするのは、149(じつ)本意(ほんい)なう(ござ)います。150サア、151エリナさま(これ)からあなたは秋山別(あきやまわけ)宿(やど)(つま)152(あま)(わる)うも(ござ)いますまいなア』
153エリナ『ホヽヽヽヽ、154おいて(くだ)さいませ。155あなたは紅井姫(くれなゐひめ)(さま)一生(いつしやう)懸命(けんめい)におなり(あそ)ばし、156()ねば諸共(もろとも)死出(しで)(やま)157三途(さんづ)(かは)()()いてなぞと、158仰有(おつしや)つて、159(ひめ)(さま)をお口説(くど)(あそ)ばした(こと)御座(ござ)いませう。160それ(だけ)(おも)()ンだ(ひめ)(さま)現在(げんざい)161(この)谷川(たにがは)()()げてお()くなり(あそ)ばしたのを、162(すく)()げるといふ親切(しんせつ)()ければ、163遺骸(なきがら)(さが)()して叮嚀(ていねい)(ほうむ)ると()(まこと)もなく、164(いま)()くなりになつた(ばか)りの最中(さいちう)に、165(わたし)(むか)つて(なん)()(こと)仰有(おつしや)るのですか。166それだから(をとこ)()(やつ)仕方(しかた)のないものだ……と()つて(をんな)(はう)から注意(ちうい)人物視(じんぶつし)されるのですよ。167ヘン阿呆(あほ)らしい、168当座(たうざ)(はな)にしておいて、169(わたし)玩弄物(おもちや)になさらうと、170()(かんが)へになつても、171そンな馬鹿(ばか)(をんな)(ひろ)世界(せかい)半人(はんにん)だつてありさうな(こと)御座(ござ)いませぬよ。172そンな馬鹿(ばか)(こと)()はずにおきなさいませ。173紅井姫(くれなゐひめ)(さま)(たい)してもお()(どく)ですワ』
174秋山別(けつ)して(けつ)して、175左様(さやう)水臭(みづくさ)(こころ)では御座(ござ)いませぬが、176何程(なにほど)(くや)みたとて、177(あせ)つたとても、178一旦(いつたん)()ンだ(ひと)(かへ)つて()道理(だうり)御座(ござ)いませぬ。179(わたし)(なみだ)をこぼして()かうものなら、180それこそ紅井姫(くれなゐひめ)(たましひ)宙宇(ちうう)(まよ)うて、181()くべき(ところ)へも()()かず、182苦労(くらう)をなさるのが()(どく)御座(ござ)います。183それ(ゆゑ)(わたし)がフツツリと(おも)()つて()げた(はう)が、184(ひめ)(さま)執着(しふちやく)(のこ)らないで、185(はや)成仏(じやうぶつ)(あそ)ばす(こと)だらうと(おも)(あま)つての親切(しんせつ)186(なか)(なか)(なみだ)(なが)して表面(うはべ)()綺麗(きれい)(にぎ)やかさうに()つて()るのですよ。187どうぞ(こひ)しい(をんな)(わか)れた(わたし)(こころ)188推量(すいりやう)なさつて(くだ)さい』
189(なみだ)をふき、
190秋山別『これ(ほど)心底(しんてい)(ふか)(をとこ)(をつと)()女房(にようばう)はさぞさぞ幸福(かうふく)でせう。191エリナさま(わたし)(こころ)(わか)りましたら、192一滴(いつてき)同情(どうじやう)(なみだ)(そそ)いで(くだ)さい。193そして(わたし)(この)(かな)しみを(なぐさ)める(ため)に、194二世(にせ)三世(さんせ)(かは)らぬ夫婦(ふうふ)ぢやと、195一口(ひとくち)仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ。196さうすれば(わたし)(まを)すに(およ)ばず、197紅井姫(くれなゐひめ)(さま)何程(なにほど)(よろこ)びなさるか()れませぬ。198エヽ(かな)しくなつて()た。199あゝどうせうぞいなア』
200とワザと()いて()せる。
201 エリナは(ひや)やかに(わら)(なが)ら、
202エリナ『それだから腰抜(こしぬけ)(をとこ)(こま)るのですよ。203(をんな)一人(ひとり)(くらゐ)(その)(ざま)(なん)ですか。204本当(ほんたう)(いや)になつて(しま)つた。205モリスさま、206(まへ)さまも、207こンな腰抜(こしぬけ)(をとこ)何時迄(いつまで)一所(いつしよ)(ある)いてゐると馬鹿(ばか)にせられますよ。208いい加減(かげん)(おも)()つて大活動(だいくわつどう)をなされませ。209(なん)ですか紅井姫(くれなゐひめ)(さま)(うつつ)()かし、210二人(ふたり)(をとこ)(こひ)(あらそ)ひ、211終局(しまひ)(はて)には、212秋山別(あきやまわけ)(うま)(まる)めこまれ、213エヽそンなら一人(ひとり)(をんな)二人(ふたり)(をとこ)214(からだ)()つて()ける(わけ)にも()かないから、215当座(たうざ)鼻塞(はなふさ)ぎに、216エリナでも女房(にようばう)にせうか、217そして(しばら)辛抱(しんばう)をするのだ、218などと(むし)のよい(かんが)へを(もつ)て、219()うマアはるばると、220阿呆(あほ)らしうもない、221こンな所迄(とこまで)()でになりましたなア。222何程(なにほど)エリナが馬鹿(ばか)(をんな)だつて、223そンな()()ひに使(つか)はれてなりますか。224(あま)馬鹿(ばか)にして(くだ)さるなや。225エリナだつて矢張(やつぱり)性念(しやうねん)もありますよ。226紅井姫(くれなゐひめ)(さま)とどれ(だけ)227どこが(ちが)つて()りますか。228(ただ)人間(にんげん)のきめた貴族(きぞく)とか平民(へいみん)とかの階級(かいきふ)高下(かうげ)がある(だけ)ぢやありませぬか。229いい加減(かげん)()()まして、230こンな馬鹿(ばか)(こと)はおよしなさいませ。231まだ(をんな)(たい)して云々(うんぬん)する(だけ)の、232あなたの(からだ)資格(しかく)()いてゐませぬよ。233エリナが(わか)れに(のぞ)ンで、234(まへ)さま(たち)前途(ぜんと)(ため)訓戒(くんかい)しておきますワ』
235 モリスはあはてて、
236モリス『モシモシあなた(には)かに()心変(こころがは)はりがしたのですか。237そンな(はず)ぢやなかつたになア』
238エリナ『モリスさまの勝手(かつて)()()めになつた(ゆめ)(なか)のエリナは女房(にようばう)だつたさうですねエ』
239モリス『イエ、240どうしてどうして(ゆめ)(どころ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)ですよ。241さう(わる)()つて(もら)つちや(こま)ります。242どうぞ(わたし)女房(にようばう)になつて(くだ)さいな』
243エリナ(をとこ)(はう)から女房(にようばう)になつて(くだ)さいな……などと(たの)(やう)腰抜(こしぬけ)(をとこ)は、244(あたま)から(きら)ひですわいな』
245秋山別『コレコレ エリナ殿(どの)246(その)(はう)吾々(われわれ)眼鏡(めがね)にかなつた(をんな)だから、247秋山別(あきやまわけ)抜擢(ばつてき)して、248(わが)宿(やど)(つま)にして(つか)はす。249一旦(いつたん)女房(にようばう)(いた)した以上(いじやう)は、250少々(せうせう)瑕瑾(かきん)失敗(しつぱい)(くらゐ)は、251神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)()(なほ)(くらゐ)雅量(がりやう)()つて()(この)秋山別(あきやまわけ)252(じつ)にエリナ(ひめ)殿(どの)仕合(しあは)せで御座(ござ)らうなア』
253エリナ『えゝおきなさいよ。254ヒヨツトコ(をとこ)腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)(ばか)りが、255二人(ふたり)()ンな(ところ)(まよ)()ンで()て、256アタ(ざま)(わる)い、257いい加減(かげん)(はぢ)()りなさい、258馬鹿(ばか)だなア。259(きみ)もモチと()()いた(をとこ)だと(おも)つてゐたのに、260(あま)りの腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)で、261(ぼく)愛想(あいさう)がつきた。262(かは)(なか)へなと、263()()げて()ンだ(はう)が、264社会(しやくわい)(ため)だらうよ』
265 秋山別(あきやまわけ)266モリス両人(りやうにん)はムツと(はら)()て、
267秋山別、モリス()はしておけば、268際限(さいげん)もなく、269裸一貫(はだかいつくわん)丈夫(ますらを)(むか)つて、270罵詈(ばり)雑言(ざふごん)271モウ(この)(うへ)了見(れうけん)(いた)さぬ。272二人(ふたり)(をとこ)一人(ひとり)(をんな)だ。273サア覚悟(かくご)せよ』
274鉄拳(てつけん)(かた)めて左右(さいう)より()つてかかるを、275エリナは(みぎ)にすかし、276(ひだり)()け、277(つひ)には秋山別(あきやまわけ)首筋(くびすぢ)(つか)むでシーズン(がは)激流(げきりう)へザンブと(ばか)()()みにけり。
278モリス(なに)279猪口才(ちよこざい)な』
280とモリスは力限(ちからかぎ)りに()つてかかるを、281エリナは、282『エヽ面倒(めんだう)なり』と(また)もや首筋(くびすぢ)引掴(ひつつか)み、283激流(げきりう)()がけて、284ザンブと(ばか)()()み、285(けぶり)となつて、286自分(じぶん)(その)()()()せにけり。
287 二人(ふたり)激流(げきりう)()まれ、288(その)姿(すがた)さへ()えず(ただ)激流(げきりう)(おと)のみ(きこ)へける。
289大正一一・八・二〇 旧六・二八 松村真澄録)
290(昭和九・一二・一九 於富山市 王仁校正)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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