霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第31巻(午の巻)
序歌
総説
第1篇 千状万態
01 主一無適
〔867〕
02 大地震
〔868〕
03 救世神
〔869〕
04 不知恋
〔870〕
05 秋鹿の叫
〔871〕
06 女弟子
〔872〕
第2篇 紅裙隊
07 妻の選挙
〔873〕
08 人獣
〔874〕
09 誤神託
〔875〕
10 噂の影
〔876〕
11 売言買辞
〔877〕
12 冷い親切
〔878〕
13 姉妹教
〔879〕
第3篇 千里万行
14 樹下の宿
〔880〕
15 丸木橋
〔881〕
16 天狂坊
〔882〕
17 新しき女
〔883〕
18 シーズンの流
〔884〕
19 怪原野
〔885〕
20 脱皮婆
〔886〕
21 白毫の光
〔887〕
第4篇 言霊将軍
22 神の試
〔888〕
23 化老爺
〔889〕
24 魔違
〔890〕
25 会合
〔891〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第31巻
> 第3篇 千里万行 > 第18章 シーズンの流
<<< 新しき女
(B)
(N)
怪原野 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一八章 シーズンの
流
(
ながれ
)
〔八八四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻
篇:
第3篇 千里万行
よみ(新仮名遣い):
せんりばんこう
章:
第18章 シーズンの流
よみ(新仮名遣い):
しーずんのながれ
通し章番号:
884
口述日:
1922(大正11)年08月20日(旧06月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
エリナも突然口調を変えて、秋山別とモリスをからかいだした。そしてモリスを置いてどこかに行こうとする。二人の男は未練たらたらでエリナを留めようとするが、逆にエリナに心底を見透かされて恥をかかされてしまう。
秋山別とモリスは馬鹿にされて怒り、エリナに打ち掛かるが、逆に首筋を掴まれてシーズン河に投げ込まれてしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-04-12 18:52:19
OBC :
rm3118
愛善世界社版:
213頁
八幡書店版:
第6輯 121頁
修補版:
校定版:
219頁
普及版:
101頁
初版:
ページ備考:
001
エリナはモリスの
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
せる
姿
(
すがた
)
を
嘲笑
(
てうせう
)
的
(
てき
)
に
流
(
なが
)
し
目
(
め
)
に
見
(
み
)
やりつつ、
002
秋山別
(
あきやまわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
003
エリナ
『オイ
秋山
(
あきやま
)
君
(
くん
)
、
004
君
(
きみ
)
は
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
を
如何
(
どう
)
したのだイ。
005
まさか
君
(
きみ
)
の
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
に、
006
シーズン
河
(
がは
)
へ
投身
(
とうしん
)
する
様
(
やう
)
な
馬鹿
(
ばか
)
な
女
(
をんな
)
でもあるまいがねー。
007
もし
僕
(
ぼく
)
だつたら、
008
君
(
きみ
)
の
様
(
やう
)
な
蜥蜴
(
とかげ
)
君
(
くん
)
には
命
(
いのち
)
をすてる
様
(
やう
)
なこたア、
009
馬鹿
(
ばか
)
らしくて
出来
(
でき
)
ないね、
010
又
(
また
)
君
(
きみ
)
も
君
(
きみ
)
ぢやないか、
011
あれ
程
(
ほど
)
スヰートハートしてゐた
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
が
水中
(
すゐちう
)
に
陥没
(
かんぼつ
)
したのだから、
012
此
(
この
)
際
(
さい
)
対岸
(
たいがん
)
の
火災視
(
くわさいし
)
して
居
(
ゐ
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かぬぢやないか。
013
男子
(
だんし
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は
随分
(
ずいぶん
)
無情
(
むじやう
)
冷酷
(
れいこく
)
なものだね、
014
それだから
吾々
(
われわれ
)
目
(
め
)
ざめた
婦人
(
ふじん
)
達
(
たち
)
は、
015
婦人
(
ふじん
)
開放論
(
かいはうろん
)
を
唱
(
とな
)
へたり、
016
女権
(
ぢよけん
)
拡張
(
くわくちやう
)
を
高唱
(
かうしやう
)
したり、
017
婦主
(
ふしゆ
)
夫従
(
ふうじゆう
)
の
法律
(
はふりつ
)
を
制定
(
せいてい
)
せむと
躍起
(
やくき
)
運動
(
うんどう
)
をやらなくちやならないやうになつて
来
(
き
)
たのだ。
018
君
(
きみ
)
も
真
(
しん
)
に
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
に
同情
(
どうじやう
)
をよせてゐるのならば、
019
なぜ
身
(
み
)
を
挺
(
てい
)
して
水中
(
すゐちう
)
に
飛込
(
とびこ
)
み
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げないのかイ。
020
此
(
この
)
渓流
(
ながれ
)
を
眺
(
なが
)
めて
恐
(
おそ
)
ろしくなつたのだなア。
021
実
(
じつ
)
に
卑怯
(
ひけふ
)
な
男
(
をとこ
)
だね。
022
こンな
男
(
をとこ
)
に
狙
(
ねら
)
はれた
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
も
迷惑
(
めいわく
)
だ。
023
僕
(
ぼく
)
だつて、
024
こンな
男子
(
だんし
)
と
一
(
いち
)
日
(
にち
)
でも
添
(
そ
)
はねばならぬと
思
(
おも
)
や、
025
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
ぢやないが、
026
僕
(
ぼく
)
も
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
淵川
(
ふちがは
)
へ
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
死
(
し
)
の
神
(
かみ
)
の
手
(
て
)
にキツスをしたくなつて
来
(
く
)
るよ。
027
君
(
きみ
)
も
余程
(
よほど
)
デレ
助
(
すけ
)
の
割
(
わり
)
には、
028
物
(
もの
)
の
分
(
わか
)
らぬ
人物
(
じんぶつ
)
だね』
029
秋山別
『ヤア
又
(
また
)
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
口走
(
くちばし
)
り
出
(
だ
)
したぞ。
030
何
(
なん
)
でも
此
(
この
)
辺
(
へん
)
には
悪霊
(
あくれい
)
が
沢山
(
たくさん
)
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
031
可愛相
(
かあいさう
)
に、
032
憑依
(
ひようい
)
されたのだなア。
033
オイオイ モリス
君
(
くん
)
、
034
君
(
きみ
)
もちつと
心配
(
しんぱい
)
してやつたらどうだイ。
035
何程
(
なにほど
)
拝
(
をが
)
ンで
居
(
を
)
つたつて、
036
此
(
この
)
発動
(
はつどう
)
は
容易
(
ようい
)
に
停電
(
ていでん
)
する
気遣
(
きづか
)
ひはないよ。
037
君
(
きみ
)
と
僕
(
ぼく
)
と
相提携
(
あひていけい
)
してエリナ
君
(
くん
)
を
説服
(
せつぷく
)
し、
038
元
(
もと
)
のエリナの
精神
(
せいしん
)
に
立直
(
たてなほ
)
してやらうぢやないか』
039
モリス
『オイ、
040
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
041
お
前
(
まへ
)
もヤツパリ
感染
(
かんせん
)
して
居
(
ゐ
)
るようだぞ。
042
エリナさまと
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
に
君
(
きみ
)
だの
僕
(
ぼく
)
だのと、
043
そンな
言
(
ことば
)
を
使
(
つか
)
うない。
044
今迄
(
いままで
)
の
様
(
やう
)
に
俺
(
おれ
)
とか、
045
わしとか、
046
お
前
(
まへ
)
とか、
047
貴様
(
きさま
)
とか
云
(
い
)
つたら
如何
(
どう
)
だい。
048
そンな
言
(
ことば
)
を
使
(
つか
)
ふと、
049
俄
(
にはか
)
に
何
(
なん
)
だか
二十
(
にじつ
)
世紀
(
せいき
)
とか
云
(
い
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
されて
来
(
く
)
るワ』
050
秋山別
『あゝさうだつたなア。
051
ウツカリして
居
(
を
)
つて
類焼
(
るゐせう
)
の
厄
(
やく
)
に
会
(
あ
)
う
所
(
ところ
)
だつた。
052
幸
(
さいは
)
ひお
前
(
まへ
)
の
蒸気
(
じやうき
)
ポンプがあつた
為
(
ため
)
に
延焼
(
えんせう
)
の
害
(
がい
)
を
免
(
まぬが
)
れてマア
結構
(
けつこう
)
だ。
053
併
(
しか
)
しエリナさまの
此
(
この
)
発動
(
はつどう
)
は
困
(
こま
)
つたものだね』
054
エリナ
『
皆
(
みな
)
さま、
055
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さいますな。
056
妾
(
わたし
)
はおかげに
依
(
よ
)
つて、
057
精神
(
せいしん
)
快活
(
くわいくわつ
)
になりましたよ。
058
如何
(
どう
)
して
今
(
いま
)
の
様
(
やう
)
なハイカラな
御
(
お
)
転婆
(
てんば
)
になつたのでせうか。
059
わたし、
060
お
二人
(
ふたり
)
さまのお
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るのも
恥
(
はづ
)
かしうなつて
来
(
き
)
ましたワ。
061
ホヽヽヽヽ』
062
と
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
063
袖
(
そで
)
にてかくす
其
(
その
)
殊勝
(
しゆしよう
)
さ、
064
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
趣
(
おもむき
)
がある。
065
二人
(
ふたり
)
は
恍惚
(
くわうこつ
)
として、
066
エリナ
姫
(
ひめ
)
を
眺
(
なが
)
め
居
(
ゐ
)
る。
067
モリスは
秋山別
(
あきやまわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
068
一寸
(
ちよつと
)
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
069
いと
叮嚀
(
ていねい
)
な
言葉
(
ことば
)
で、
070
モリス
『
秋山
(
あきやま
)
さま、
071
今日
(
けふ
)
は
存
(
ぞん
)
じも
寄
(
よ
)
らぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
まして、
072
さぞさぞ
御
(
ご
)
愁歎
(
しうたん
)
で
御座
(
ござ
)
いませう、
073
御
(
お
)
察
(
さつ
)
し
申上
(
まをしあ
)
げます。
074
折角
(
せつかく
)
茲
(
ここ
)
まで
漕
(
こ
)
ぎつけて、
075
いよいよ
夫婦
(
ふうふ
)
結婚
(
けつこん
)
の
式
(
しき
)
をあげようと
云
(
い
)
ふ
間際
(
まきは
)
になり、
076
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
さまは
無情
(
むじやう
)
の
風
(
かぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて
遠
(
とほ
)
い
国
(
くに
)
へ
御
(
お
)
旅立
(
たびだち
)
、
077
さぞ
御
(
お
)
淋
(
さび
)
しう
御座
(
ござ
)
いませう。
078
身
(
み
)
につまされて
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
に
堪
(
た
)
へませぬ』
079
秋山別
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
080
紅井
(
くれなゐ
)
の
花
(
はな
)
も
半開
(
はんかい
)
にして
散
(
ち
)
りました。
081
無情
(
むじやう
)
の
嵐
(
あらし
)
に
吹
(
ふ
)
かれて、
082
手
(
て
)
もなく
打
(
うち
)
おとされ、
083
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
で
御座
(
ござ
)
います』
084
と
鼻
(
はな
)
をすする。
085
エリナ
『モシ
秋山
(
あきやま
)
さま、
086
あなた
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
を
本当
(
ほんたう
)
に
女房
(
にようばう
)
にする
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へでしたか』
087
秋山別
『ハイ
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても
吾
(
わが
)
目
(
め
)
にちらつき、
088
一刻
(
いつこく
)
も
忘
(
わす
)
れた
事
(
こと
)
のない
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
さま、
089
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
090
ヒルの
都
(
みやこ
)
の
楓別
(
かへでわけ
)
さまが
此
(
この
)
事
(
こと
)
をお
聞
(
き
)
き
遊
(
あそ
)
ばしたら、
091
嘸
(
さぞ
)
お
歎
(
なげ
)
き
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
092
エリナ
『あの
方
(
かた
)
を
本当
(
ほんたう
)
の
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
と
秋山
(
あきやま
)
さまは
思
(
おも
)
つてゐらつしやいますのですか。
093
あの
方
(
かた
)
は
旭
(
あさひ
)
……
否々
(
いないな
)
旭
(
あさひ
)
の
直刺
(
たださ
)
す、
094
夕日
(
ゆふひ
)
の
日
(
ひ
)
照
(
て
)
らすヒルの
国
(
くに
)
の
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
によく
似
(
に
)
た
御
(
お
)
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
095
妾
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へでは
少
(
すこ
)
しくお
背
(
せ
)
が
高
(
たか
)
い
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
が
致
(
いた
)
しまして、
096
どうも
合点
(
がてん
)
が
参
(
まゐ
)
りませぬワ』
097
秋山別
『ハイ
何分
(
なにぶん
)
十九
(
じふく
)
の
花盛
(
はなざか
)
り、
098
背
(
せ
)
の
伸
(
の
)
びる
最中
(
さいちう
)
ですからなア。
099
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は、
100
三日
(
みつか
)
見
(
み
)
ぬ
間
(
ま
)
に
桜
(
さくら
)
哉
(
かな
)
で、
101
見違
(
みちが
)
へるように
変
(
かは
)
るもので
御座
(
ござ
)
います。
102
私
(
わたし
)
は
決
(
けつ
)
して
外
(
ほか
)
の
方
(
かた
)
とは
思
(
おも
)
ひませぬワ』
103
エリナ
『そんならエリナの
私
(
わたし
)
はどう
見
(
み
)
えますか』
104
秋山別
『
秋山
(
あきやま
)
の
目
(
め
)
にはどうも
見
(
み
)
えませぬな。
105
別
(
べつ
)
に
変
(
かは
)
つた
所
(
ところ
)
もない
様
(
やう
)
です』
106
エリナ
『
折角
(
せつかく
)
此処
(
ここ
)
まで
御
(
お
)
伴
(
とも
)
願
(
ねが
)
ひましたが、
107
これで
妾
(
わらは
)
はお
暇
(
いとま
)
致
(
いた
)
します。
108
お
二人共
(
ふたりとも
)
、
109
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
よく
御
(
ご
)
修業
(
しうげふ
)
遊
(
あそ
)
ばし、
110
天晴
(
あつぱ
)
れ
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
となつて、
111
ヒルの
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
112
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
を
勤
(
つと
)
めて
下
(
くだ
)
さいませ、
113
左様
(
さやう
)
ならば……』
114
と
足早
(
あしばや
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
かうとするのを、
115
モリスは
周章
(
あわ
)
てて、
116
モリス
『モシモシ、
117
エリナさま、
118
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
119
私
(
わたし
)
が
此処迄
(
ここまで
)
はるばるやつて
来
(
き
)
たのは、
120
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
か、
121
貴女
(
あなた
)
御存
(
ごぞん
)
じでせうなア』
122
エリナ
『ハイよく
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
ります。
123
あなた
方
(
がた
)
御
(
お
)
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
は
恋
(
こひ
)
の
虜
(
とりこ
)
となつて、
124
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
を
女房
(
にようばう
)
にせうと、
125
昼
(
ひる
)
も
夜
(
よる
)
も
争
(
あらそ
)
ひ、
126
修羅
(
しうら
)
をもやして
御座
(
ござ
)
つたのぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか。
127
私
(
わたし
)
はホンのあなたの
目
(
め
)
から
副産物
(
ふくさんぶつ
)
位
(
くらゐ
)
に
見做
(
みな
)
されて
居
(
を
)
つた
はした
女
(
をんな
)
で
御座
(
ござ
)
いますよ。
128
あなた
方
(
がた
)
も
当
(
たう
)
の
目的物
(
もくてきぶつ
)
たる
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
が、
129
斯
(
こ
)
うお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばした
以上
(
いじやう
)
は、
130
最早
(
もはや
)
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
する
執着心
(
しふちやくしん
)
も
離
(
はな
)
れたでせう。
131
妾
(
わらは
)
はあなた
方
(
がた
)
に
対
(
たい
)
して
何
(
なん
)
の
関係
(
くわんけい
)
もない
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
132
お
先
(
さき
)
へ、
133
すまぬ
事
(
こと
)
乍
(
なが
)
ら、
134
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう。
135
男
(
をとこ
)
の
方
(
かた
)
と
伴
(
つ
)
らつて
歩
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
ると、
136
又
(
また
)
世間
(
せけん
)
が
何
(
なん
)
とかかとか
噂
(
うはさ
)
を
立
(
た
)
て、
137
うるさくて
堪
(
たま
)
りませぬから、
138
浮名
(
うきな
)
を
立
(
た
)
てられ
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を
着
(
き
)
せられない
中
(
うち
)
に、
139
茲
(
ここ
)
を
妾
(
わらは
)
が
立去
(
たちさ
)
つた
方
(
はう
)
が、
140
双方
(
さうはう
)
の
利益
(
りえき
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
141
秋山別
『エヽ
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
142
秋山別
(
あきやまわけ
)
も
茲
(
ここ
)
まで
斯
(
こ
)
うして
参
(
まゐ
)
りましたのも、
143
あなた
方
(
がた
)
のお
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひ、
144
夫婦
(
ふうふ
)
の
約束
(
やくそく
)
を
結
(
むす
)
び、
145
円満
(
ゑんまん
)
なる
家庭
(
かてい
)
を
作
(
つく
)
り、
146
神業
(
しんげふ
)
を
勤
(
つと
)
めようと
思
(
おも
)
つて、
147
参
(
まゐ
)
つたので
厶
(
ござ
)
いますから、
148
ここで
御
(
お
)
別
(
わか
)
れするのは、
149
実
(
じつ
)
に
本意
(
ほんい
)
なう
厶
(
ござ
)
います。
150
サア、
151
エリナさま
是
(
これ
)
からあなたは
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
宿
(
やど
)
の
妻
(
つま
)
、
152
余
(
あま
)
り
悪
(
わる
)
うも
厶
(
ござ
)
いますまいなア』
153
エリナ
『ホヽヽヽヽ、
154
おいて
下
(
くだ
)
さいませ。
155
あなたは
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
に
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
におなり
遊
(
あそ
)
ばし、
156
死
(
し
)
ねば
諸共
(
もろとも
)
死出
(
しで
)
の
山
(
やま
)
、
157
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
も
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いてなぞと、
158
仰有
(
おつしや
)
つて、
159
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
をお
口説
(
くど
)
き
遊
(
あそ
)
ばした
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いませう。
160
それ
丈
(
だけ
)
思
(
おも
)
ひ
込
(
こ
)
ンだ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
現在
(
げんざい
)
、
161
此
(
この
)
谷川
(
たにがは
)
に
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げてお
死
(
な
)
くなり
遊
(
あそ
)
ばしたのを、
162
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げるといふ
親切
(
しんせつ
)
も
無
(
な
)
ければ、
163
遺骸
(
なきがら
)
を
捜
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して
叮嚀
(
ていねい
)
に
葬
(
ほうむ
)
ると
云
(
い
)
ふ
誠
(
まこと
)
もなく、
164
今
(
いま
)
お
死
(
な
)
くなりになつた
計
(
ばか
)
りの
最中
(
さいちう
)
に、
165
私
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのですか。
166
それだから
男
(
をとこ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
仕方
(
しかた
)
のないものだ……と
云
(
い
)
つて
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
から
注意
(
ちうい
)
人物視
(
じんぶつし
)
されるのですよ。
167
ヘン
阿呆
(
あほ
)
らしい、
168
当座
(
たうざ
)
の
花
(
はな
)
にしておいて、
169
妾
(
わたし
)
を
玩弄物
(
おもちや
)
になさらうと、
170
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へになつても、
171
そンな
馬鹿
(
ばか
)
な
女
(
をんな
)
は
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
半人
(
はんにん
)
だつてありさうな
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬよ。
172
そンな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
は
言
(
い
)
はずにおきなさいませ。
173
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
してもお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ですワ』
174
秋山別
『
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
175
左様
(
さやう
)
な
水臭
(
みづくさ
)
い
心
(
こころ
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬが、
176
何程
(
なにほど
)
悔
(
くや
)
みたとて、
177
焦
(
あせ
)
つたとても、
178
一旦
(
いつたん
)
死
(
し
)
ンだ
人
(
ひと
)
は
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
道理
(
だうり
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬ。
179
私
(
わたし
)
が
涙
(
なみだ
)
をこぼして
泣
(
な
)
かうものなら、
180
それこそ
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
の
魂
(
たましひ
)
は
宙宇
(
ちうう
)
に
迷
(
まよ
)
うて、
181
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
へも
能
(
よ
)
う
行
(
ゆ
)
かず、
182
苦労
(
くらう
)
をなさるのが
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で
御座
(
ござ
)
います。
183
それ
故
(
ゆゑ
)
私
(
わたし
)
がフツツリと
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
上
(
あ
)
げた
方
(
はう
)
が、
184
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
執着
(
しふちやく
)
が
残
(
のこ
)
らないで、
185
早
(
はや
)
く
成仏
(
じやうぶつ
)
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
だらうと
思
(
おも
)
ひ
余
(
あま
)
つての
親切
(
しんせつ
)
、
186
腹
(
なか
)
の
中
(
なか
)
で
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
表面
(
うはべ
)
は
斯
(
こ
)
う
綺麗
(
きれい
)
に
賑
(
にぎ
)
やかさうに
言
(
い
)
つて
居
(
を
)
るのですよ。
187
どうぞ
恋
(
こひ
)
しい
女
(
をんな
)
に
別
(
わか
)
れた
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
、
188
推量
(
すいりやう
)
なさつて
下
(
くだ
)
さい』
189
と
涙
(
なみだ
)
をふき、
190
秋山別
『これ
程
(
ほど
)
心底
(
しんてい
)
の
深
(
ふか
)
い
男
(
をとこ
)
を
夫
(
をつと
)
に
持
(
も
)
つ
女房
(
にようばう
)
はさぞさぞ
幸福
(
かうふく
)
でせう。
191
エリナさま
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
が
分
(
わか
)
りましたら、
192
一滴
(
いつてき
)
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
を
注
(
そそ
)
いで
下
(
くだ
)
さい。
193
そして
私
(
わたし
)
の
此
(
この
)
悲
(
かな
)
しみを
慰
(
なぐさ
)
める
為
(
ため
)
に、
194
二世
(
にせ
)
も
三世
(
さんせ
)
も
変
(
かは
)
らぬ
夫婦
(
ふうふ
)
ぢやと、
195
一口
(
ひとくち
)
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
196
さうすれば
私
(
わたし
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
197
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
が
何程
(
なにほど
)
お
喜
(
よろこ
)
びなさるか
知
(
し
)
れませぬ。
198
エヽ
悲
(
かな
)
しくなつて
来
(
き
)
た。
199
あゝどうせうぞいなア』
200
とワザと
泣
(
な
)
いて
見
(
み
)
せる。
201
エリナは
冷
(
ひや
)
やかに
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
202
エリナ
『それだから
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
は
困
(
こま
)
るのですよ。
203
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
位
(
くらゐ
)
に
其
(
その
)
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
ですか。
204
本当
(
ほんたう
)
に
厭
(
いや
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
205
モリスさま、
206
お
前
(
まへ
)
さまも、
207
こンな
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
と
何時迄
(
いつまで
)
も
一所
(
いつしよ
)
に
歩
(
ある
)
いてゐると
馬鹿
(
ばか
)
にせられますよ。
208
いい
加減
(
かげん
)
に
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
大活動
(
だいくわつどう
)
をなされませ。
209
何
(
なん
)
ですか
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
210
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
が
恋
(
こひ
)
を
争
(
あらそ
)
ひ、
211
終局
(
しまひ
)
の
果
(
はて
)
には、
212
秋山別
(
あきやまわけ
)
に
甘
(
うま
)
く
丸
(
まる
)
めこまれ、
213
エヽそンなら
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
に
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
、
214
体
(
からだ
)
を
割
(
わ
)
つて
分
(
わ
)
ける
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かないから、
215
当座
(
たうざ
)
の
鼻塞
(
はなふさ
)
ぎに、
216
エリナ
でも
女房
(
にようばう
)
にせうか、
217
そして
暫
(
しばら
)
く
辛抱
(
しんばう
)
をするのだ、
218
などと
虫
(
むし
)
のよい
考
(
かんが
)
へを
以
(
もつ
)
て、
219
能
(
よ
)
うマアはるばると、
220
阿呆
(
あほ
)
らしうもない、
221
こンな
所迄
(
とこまで
)
お
出
(
い
)
でになりましたなア。
222
何程
(
なにほど
)
エリナが
馬鹿
(
ばか
)
な
女
(
をんな
)
だつて、
223
そンな
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひに
使
(
つか
)
はれてなりますか。
224
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にして
下
(
くだ
)
さるなや。
225
エリナだつて
矢張
(
やつぱり
)
性念
(
しやうねん
)
もありますよ。
226
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
とどれ
丈
(
だけ
)
、
227
どこが
違
(
ちが
)
つて
居
(
を
)
りますか。
228
只
(
ただ
)
人間
(
にんげん
)
のきめた
貴族
(
きぞく
)
とか
平民
(
へいみん
)
とかの
階級
(
かいきふ
)
に
高下
(
かうげ
)
がある
丈
(
だけ
)
ぢやありませぬか。
229
いい
加減
(
かげん
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まして、
230
こンな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
はおよしなさいませ。
231
まだ
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
して
云々
(
うんぬん
)
する
丈
(
だけ
)
の、
232
あなたの
体
(
からだ
)
に
資格
(
しかく
)
が
付
(
つ
)
いてゐませぬよ。
233
エリナが
別
(
わか
)
れに
臨
(
のぞ
)
ンで、
234
お
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
の
前途
(
ぜんと
)
の
為
(
ため
)
に
訓戒
(
くんかい
)
しておきますワ』
235
モリスはあはてて、
236
モリス
『モシモシあなた
俄
(
には
)
かに
御
(
お
)
心変
(
こころがは
)
はりがしたのですか。
237
そンな
筈
(
はず
)
ぢやなかつたになア』
238
エリナ
『モリスさまの
勝手
(
かつて
)
に
御
(
お
)
定
(
き
)
めになつた
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
のエリナは
女房
(
にようばう
)
だつたさうですねエ』
239
モリス
『イエ、
240
どうしてどうして
夢
(
ゆめ
)
所
(
どころ
)
か
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
ですよ。
241
さう
悪
(
わる
)
く
取
(
と
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
ります。
242
どうぞ
私
(
わたし
)
の
女房
(
にようばう
)
になつて
下
(
くだ
)
さいな』
243
エリナ
『
男
(
をとこ
)
の
方
(
はう
)
から
女房
(
にようばう
)
になつて
下
(
くだ
)
さいな……などと
頼
(
たの
)
む
様
(
やう
)
な
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
は、
244
頭
(
あたま
)
から
嫌
(
きら
)
ひですわいな』
245
秋山別
『コレコレ エリナ
殿
(
どの
)
、
246
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
眼鏡
(
めがね
)
にかなつた
女
(
をんな
)
だから、
247
秋山別
(
あきやまわけ
)
が
抜擢
(
ばつてき
)
して、
248
吾
(
わが
)
宿
(
やど
)
の
妻
(
つま
)
にして
遣
(
つか
)
はす。
249
一旦
(
いつたん
)
女房
(
にようばう
)
と
致
(
いた
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
250
少々
(
せうせう
)
の
瑕瑾
(
かきん
)
や
失敗
(
しつぱい
)
位
(
くらゐ
)
は、
251
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
位
(
くらゐ
)
の
雅量
(
がりやう
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
る
此
(
この
)
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
252
実
(
じつ
)
にエリナ
姫
(
ひめ
)
殿
(
どの
)
も
仕合
(
しあは
)
せで
御座
(
ござ
)
らうなア』
253
エリナ
『えゝおきなさいよ。
254
ヒヨツトコ
男
(
をとこ
)
の
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
計
(
ばか
)
りが、
255
二人
(
ふたり
)
も
斯
(
こ
)
ンな
処
(
ところ
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
ンで
来
(
き
)
て、
256
アタ
態
(
ざま
)
の
悪
(
わる
)
い、
257
いい
加減
(
かげん
)
に
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
りなさい、
258
馬鹿
(
ばか
)
だなア。
259
君
(
きみ
)
もモチと
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つてゐたのに、
260
余
(
あま
)
りの
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
で、
261
僕
(
ぼく
)
も
愛想
(
あいさう
)
がつきた。
262
川
(
かは
)
の
中
(
なか
)
へなと、
263
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
死
(
し
)
ンだ
方
(
はう
)
が、
264
社会
(
しやくわい
)
の
為
(
ため
)
だらうよ』
265
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
266
モリス
両人
(
りやうにん
)
はムツと
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て、
267
秋山別、モリス
『
言
(
い
)
はしておけば、
268
際限
(
さいげん
)
もなく、
269
裸一貫
(
はだかいつくわん
)
の
丈夫
(
ますらを
)
に
向
(
むか
)
つて、
270
罵詈
(
ばり
)
雑言
(
ざふごん
)
、
271
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
了見
(
れうけん
)
致
(
いた
)
さぬ。
272
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
に
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
だ。
273
サア
覚悟
(
かくご
)
せよ』
274
と
鉄拳
(
てつけん
)
を
固
(
かた
)
めて
左右
(
さいう
)
より
打
(
う
)
つてかかるを、
275
エリナは
右
(
みぎ
)
にすかし、
276
左
(
ひだり
)
に
避
(
さ
)
け、
277
遂
(
つひ
)
には
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
を
掴
(
つか
)
むでシーズン
河
(
がは
)
の
激流
(
げきりう
)
へザンブと
計
(
ばか
)
り
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
みにけり。
278
モリス
『
何
(
なに
)
、
279
猪口才
(
ちよこざい
)
な』
280
とモリスは
力限
(
ちからかぎ
)
りに
打
(
う
)
つてかかるを、
281
エリナは、
282
『エヽ
面倒
(
めんだう
)
なり』と
又
(
また
)
もや
首筋
(
くびすぢ
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み、
283
激流
(
げきりう
)
目
(
め
)
がけて、
284
ザンブと
計
(
ばか
)
り
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み、
285
煙
(
けぶり
)
となつて、
286
自分
(
じぶん
)
も
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
287
二人
(
ふたり
)
は
激流
(
げきりう
)
に
呑
(
の
)
まれ、
288
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
さへ
見
(
み
)
えず
只
(
ただ
)
激流
(
げきりう
)
の
音
(
おと
)
のみ
聞
(
きこ
)
へける。
289
(
大正一一・八・二〇
旧六・二八
松村真澄
録)
290
(昭和九・一二・一九 於富山市 王仁校正)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 新しき女
(B)
(N)
怪原野 >>>
霊界物語
>
第31巻
> 第3篇 千里万行 > 第18章 シーズンの流
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【18 シーズンの流|第31巻(午の巻)|霊界物語/rm3118】
合言葉「みろく」を入力して下さい→