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霊界物語
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第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
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第13巻(子の巻)
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第61巻(子の巻)
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第71巻(戌の巻)
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第31巻(午の巻)
序歌
総説
第1篇 千状万態
01 主一無適
〔867〕
02 大地震
〔868〕
03 救世神
〔869〕
04 不知恋
〔870〕
05 秋鹿の叫
〔871〕
06 女弟子
〔872〕
第2篇 紅裙隊
07 妻の選挙
〔873〕
08 人獣
〔874〕
09 誤神託
〔875〕
10 噂の影
〔876〕
11 売言買辞
〔877〕
12 冷い親切
〔878〕
13 姉妹教
〔879〕
第3篇 千里万行
14 樹下の宿
〔880〕
15 丸木橋
〔881〕
16 天狂坊
〔882〕
17 新しき女
〔883〕
18 シーズンの流
〔884〕
19 怪原野
〔885〕
20 脱皮婆
〔886〕
21 白毫の光
〔887〕
第4篇 言霊将軍
22 神の試
〔888〕
23 化老爺
〔889〕
24 魔違
〔890〕
25 会合
〔891〕
余白歌
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第二三章
化老爺
(
ばけおやぢ
)
〔八八九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻
篇:
第4篇 言霊将軍
よみ(新仮名遣い):
ことたましょうぐん
章:
第23章 化老爺
よみ(新仮名遣い):
ばけおやじ
通し章番号:
889
口述日:
1922(大正11)年08月20日(旧06月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
秋山別は烈風に吹き飛ばされ、モリスと別れてしまい、やむを得ずただ一人山頂に向けて歩き始めていた。満点の星光のもと、天を仰いで神徳を賛美しつつあった。
すると突如大音響がして、たちまち一天かき曇り大粒の雨がバラバラと降り出した。秋山別が老木の陰に雨を避けようとすると、突然白髪異様の怪物が現れて、秋山別に掴みかかろうとした。
秋山別はとっさに大神と諸神を念じた。怪物はアマゾン川に永住する八岐大蛇の化身であると名乗った。そしてここから引き返すようにと秋山別を脅しにかかった。秋山別が三五教の宣伝使として不退転の決意を示すと、怪物は言霊歌で三五教を威喝・罵倒した。
秋山別は臍下丹田に息を込めて天の数歌を歌った。すると怪物の顔が少しく和らいだ。怪物は誠の言霊に弱いとうっかり口をすべらせた。秋山別はそれを力に、怪物の言霊歌を受けて、返歌を歌った。
怪物は、これまでの秋山別の悪行を並べ立てたが、秋山別は動じずに怪物に応答し、さらに天の数歌を繰り返すと、怪物は次第に小さくなって、二三尺の童子の姿となってしまった。怪物は捨て台詞を吐くと、秋山別の前から消えてしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-07-14 04:53:04
OBC :
rm3123
愛善世界社版:
262頁
八幡書店版:
第6輯 139頁
修補版:
校定版:
270頁
普及版:
123頁
初版:
ページ備考:
001
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
烈風
(
れつぷう
)
に
吹
(
ふ
)
き
散
(
ち
)
らされ、
002
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
みしモリスには
別
(
わか
)
れ、
003
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
只一人
(
ただひとり
)
、
004
屏風
(
びやうぶ
)
山脈
(
さんみやく
)
の
帽子
(
ぼうし
)
ケ
岳
(
だけ
)
を
目当
(
めあ
)
てに
登
(
のぼ
)
りつつ、
005
又
(
また
)
もや
日
(
ひ
)
を
暮
(
く
)
らして、
006
老木
(
らうぼく
)
茂
(
しげ
)
る
木蔭
(
こかげ
)
に
立寄
(
たちよ
)
り、
007
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへて
茲
(
ここ
)
に
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
くるを
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とせり。
008
満天
(
まんてん
)
の
星光
(
せいくわう
)
は
燦然
(
さんぜん
)
として
金色
(
こんじき
)
の
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
ち、
009
紺碧
(
こんぺき
)
の
空
(
そら
)
は、
010
何
(
なん
)
となく
爽快
(
さうくわい
)
を
覚
(
おぼ
)
え、
011
天
(
てん
)
を
仰
(
あふ
)
いで
神徳
(
しんとく
)
を
讃美
(
さんび
)
しつつありし
折
(
をり
)
、
012
俄
(
にはか
)
に
山岳
(
さんがく
)
も
崩
(
くづ
)
るる
計
(
ばか
)
りの
大音響
(
だいおんきやう
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
り、
013
一天
(
いつてん
)
忽
(
たちま
)
ち
曇
(
くも
)
りて、
014
大粒
(
おほつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
バラバラと
降
(
ふ
)
り
出
(
い
)
でぬ。
015
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
016
老木
(
らうぼく
)
の
蔭
(
かげ
)
に
立寄
(
たちよ
)
り
雨
(
あめ
)
を
避
(
さ
)
けむとする
折
(
をり
)
しも、
017
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれたる
白髪
(
はくはつ
)
異様
(
いやう
)
の
大怪物
(
だいくわいぶつ
)
、
018
鏡
(
かがみ
)
の
如
(
ごと
)
き
巨眼
(
きよがん
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
いだ
)
し、
019
鼻
(
はな
)
高
(
たか
)
く、
020
口
(
くち
)
大
(
おほ
)
きく、
021
銅
(
あかがね
)
の
如
(
ごと
)
き
面相
(
めんさう
)
にて、
022
秋山別
(
あきやまわけ
)
を
睨
(
ね
)
めつけにける。
023
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
を
押
(
おさ
)
へ、
024
臍下
(
さいか
)
丹田
(
たんでん
)
に
神
(
しん
)
を
納
(
をさ
)
め、
025
怪物
(
くわいぶつ
)
の
顔
(
かほ
)
を
瞬
(
またた
)
きもせず
睨
(
ね
)
めつけゐたり。
026
怪物
(
くわいぶつ
)
も
又
(
また
)
、
027
ビクともせず、
028
地上
(
ちじやう
)
より
生
(
は
)
えたる
樹木
(
じゆもく
)
の
如
(
ごと
)
く
突立
(
つつた
)
つて、
029
赤
(
あか
)
、
030
青
(
あを
)
、
031
白
(
しろ
)
、
032
黒
(
くろ
)
、
033
黄
(
き
)
、
034
紫
(
むらさき
)
と
幾度
(
いくど
)
も
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
へん
)
じ、
035
爪
(
つめ
)
の
長
(
なが
)
き
毛
(
け
)
だらけの
巨腕
(
きよわん
)
をヌツと
前
(
まへ
)
につき
出
(
だ
)
し、
036
今
(
いま
)
や
秋山別
(
あきやまわけ
)
を、
037
一掴
(
ひとつか
)
みにひン
握
(
にぎ
)
り、
038
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
てむとするの
勢
(
いきほひ
)
を
示
(
しめ
)
しけるにぞ、
039
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
にて……
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
、
040
豊国姫
(
とよくにひめの
)
大神
(
おほかみ
)
、
041
国大立
(
くにひろたちの
)
大神
(
おほかみ
)
、
042
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
、
043
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめの
)
神
(
かみ
)
、
044
金勝要
(
きんかつかねの
)
大神
(
おほかみ
)
、
045
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
へ
幸
(
さち
)
はひ
玉
(
たま
)
へ……と
祈願
(
きぐわん
)
をこらし
居
(
ゐ
)
たりしが、
046
怪物
(
くわいぶつ
)
は
大口
(
おほぐち
)
をあけて、
047
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
き
巨声
(
きよせい
)
にて
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
しぬ。
048
怪物
『アツハヽヽヽ、
049
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
050
能
(
よ
)
つく
聞
(
き
)
け!
吾
(
われ
)
こそはアマゾン
河
(
がは
)
の
森林
(
しんりん
)
に
永住
(
えいぢう
)
致
(
いた
)
す
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
化身
(
けしん
)
であるぞ。
051
イヽヽー
如何
(
いか
)
に
汝
(
なんぢ
)
、
052
勇猛
(
ゆうもう
)
なりとて
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
一族
(
いちぞく
)
に
向
(
むか
)
つて
言霊線
(
ことたません
)
を
発射
(
はつしや
)
し、
053
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
永年
(
ながねん
)
の
棲処
(
すみか
)
を
荒
(
あら
)
さむと
致
(
いた
)
す
憎
(
につく
)
き
奴原
(
やつばら
)
、
054
ウヽヽーうつかり
森林
(
しんりん
)
に
向
(
むか
)
うものならば、
055
某
(
それがし
)
が
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
術
(
わざ
)
を
以
(
もつ
)
て、
056
汝
(
なんぢ
)
が
身体
(
からだ
)
を
寸断
(
すんだん
)
し
呉
(
く
)
れむ。
057
万一
(
まんいち
)
汝
(
なんぢ
)
改心
(
かいしん
)
をなし、
058
是
(
これ
)
より
引返
(
ひきかへ
)
すに
於
(
おい
)
ては、
059
汝
(
なんぢ
)
が
罪
(
つみ
)
を
許
(
ゆる
)
し、
060
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
け
遣
(
つか
)
はすべし。
061
返答
(
へんたふ
)
は
如何
(
いか
)
に』
062
と
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てけるを、
063
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
不退転
(
ふたいてん
)
の
信念
(
しんねん
)
を
固
(
かた
)
め、
064
秋山別
『エヽヽー
面倒
(
めんだう
)
な、
065
某
(
それがし
)
は
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
御子
(
みこ
)
、
066
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
067
汝
(
なんぢ
)
が
如
(
ごと
)
き
曲神
(
まがかみ
)
の
言
(
げん
)
を
用
(
もち
)
ゐて、
068
のめのめ
引返
(
ひきかへ
)
す
様
(
やう
)
な
腰抜
(
こしぬけ
)
武士
(
ぶし
)
ではないぞ。
069
オヽヽー
恐
(
おそ
)
ろしき
其
(
その
)
面構
(
つらがま
)
へを
致
(
いた
)
し、
070
活神
(
いきがみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
脅
(
おど
)
しつけようと
致
(
いた
)
しても
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だ。
071
早
(
はや
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
せ』
072
怪物
『ヤイ
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
073
良
(
よ
)
つく
聴
(
き
)
け。
074
カヽヽー
神々
(
かみがみ
)
と
申
(
まを
)
すが、
075
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
が
神
(
かみ
)
ならば、
076
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
おろち
)
も
亦
(
また
)
神
(
かみ
)
であるぞよ。
077
神
(
かみ
)
と
云
(
い
)
ふ
点
(
てん
)
に
於
(
おい
)
て
何処
(
どこ
)
に
違
(
ちが
)
つた
所
(
ところ
)
があるか。
078
此
(
この
)
方
(
はう
)
はウラル
教
(
けう
)
を
守護
(
しゆご
)
致
(
いた
)
す
元
(
もと
)
の
神
(
かみ
)
にして、
079
世界
(
せかい
)
の
先祖
(
せんぞ
)
と
聞
(
きこ
)
えたるアダム、
080
エバの
霊
(
みたま
)
より
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
者
(
もの
)
なるぞ。
081
言
(
い
)
はば
汝
(
なんぢ
)
ら
人民
(
じんみん
)
の
祖神
(
おやがみ
)
である。
082
子
(
こ
)
が
親
(
おや
)
に
対
(
たい
)
してたてつくと
云
(
い
)
ふ
道理
(
だうり
)
は
何処
(
どこ
)
にあるか、
083
キヽヽ
鬼門
(
きもん
)
の
金神
(
こんじん
)
とはそりや
何
(
なん
)
の
囈言
(
たはごと
)
、
084
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
おろち
)
が
悪神
(
わるがみ
)
なれば、
085
鬼門
(
きもん
)
の
鬼
(
き
)
の
字
(
じ
)
は
又
(
また
)
鬼
(
おに
)
ではないか、
086
クヽヽ
下
(
くだ
)
らぬ
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すより、
087
早
(
はや
)
く
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
せば、
088
苦労
(
くらう
)
なしに
神徳
(
しんとく
)
が
頂
(
いただ
)
けるではないか、
089
ケヽヽ
見当
(
けんたう
)
の
取
(
と
)
れぬ
神界
(
しんかい
)
の
模様
(
もやう
)
、
090
人間
(
にんげん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
如何
(
どう
)
して
分
(
わか
)
らうぞ、
091
コヽヽ
是
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
神
(
かみ
)
が
言葉
(
ことば
)
を
分
(
わ
)
けて
申
(
まを
)
したら、
092
如何
(
いか
)
な
頑迷
(
ぐわんめい
)
な
其
(
その
)
方
(
はう
)
でも、
093
合点
(
がてん
)
が
往
(
い
)
つたであらう。
094
サヽヽさつぱりと
今迄
(
いままで
)
の
心
(
こころ
)
を
取直
(
とりなほ
)
し、
095
大蛇
(
をろち
)
の
神
(
かみ
)
に
帰順
(
きじゆん
)
致
(
いた
)
すか、
096
シヽヽしぶとう
致
(
いた
)
して
居
(
ゐ
)
ると
最早
(
もはや
)
量見
(
れうけん
)
はならぬぞ、
097
スヽヽ
好
(
すき
)
だ
嫌
(
きら
)
ひだと、
098
神
(
かみ
)
に
区別
(
くべつ
)
を
立
(
た
)
て、
099
世界
(
せかい
)
をうろたへまはる
腰抜共
(
こしぬけども
)
、
100
セヽヽせせこましい
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
はずに、
101
天地
(
てんち
)
一体
(
いつたい
)
の
真理
(
しんり
)
を
弁
(
わきま
)
へ、
102
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
方
(
はう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せよ、
103
ソヽヽそれが
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
取
(
と
)
つて
最
(
もつと
)
も
安全
(
あんぜん
)
な
道
(
みち
)
であるぞ、
104
タヽヽ
高天原
(
たかあまはら
)
の
聖地
(
せいち
)
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむづかさ
)
だとか、
105
イソの
館
(
やかた
)
に
鎮
(
しづ
)
まる
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
部下
(
ぶか
)
だとか、
106
チヽヽ
小
(
ちい
)
さき
隔
(
へだ
)
てを
立
(
た
)
てて、
107
自
(
みづか
)
ら
小
(
ちい
)
さき
穴
(
あな
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
み、
108
ツヽヽ
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
許
(
ばか
)
りを
持
(
も
)
て
囃
(
はや
)
し、
109
テヽヽ
天
(
てん
)
に
輝
(
かがや
)
く
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
次
(
つぎ
)
に
致
(
いた
)
し、
110
トヽヽ
十曜
(
とえう
)
の
神紋
(
しんもん
)
を
閃
(
ひらめ
)
かし、
111
世界
(
せかい
)
を
宣伝使
(
せんでんし
)
面
(
づら
)
さげて、
112
うろたへ
廻
(
まは
)
るとは
何
(
なん
)
のたわ
事
(
ごと
)
、
113
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
傘下
(
さんか
)
に
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
つて、
114
吾
(
わが
)
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
するか、
115
さもなくば
汝
(
なんぢ
)
が
身体
(
しんたい
)
は
風前
(
ふうぜん
)
の
燈火
(
ともしび
)
だ。
116
ハヽヽヽヽ』
117
と
四辺
(
あたり
)
に
響
(
ひび
)
く
高笑
(
たかわら
)
ひ。
118
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
暗夜
(
あんや
)
、
119
此
(
この
)
深山
(
しんざん
)
に
於
(
おい
)
て、
120
斯
(
か
)
かる
怪物
(
くわいぶつ
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
121
胸
(
むね
)
轟
(
とどろ
)
き、
122
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
もよだつ
計
(
ばか
)
りに
恐
(
おそ
)
ろしくなり
来
(
き
)
たりぬ。
123
されど
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
も、
124
一旦
(
いつたん
)
心
(
こころ
)
にきめた
信仰
(
しんかう
)
を
翻
(
ひるがへ
)
さじと、
125
臍下
(
さいか
)
丹田
(
たんでん
)
に
息
(
いき
)
をこめ『
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
』と
辛
(
から
)
うじて、
126
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
奏上
(
そうじやう
)
すれば、
127
怪物
(
くわいぶつ
)
の
顔
(
かほ
)
は
漸
(
やうや
)
くに
和
(
やはら
)
ぎ
少
(
すこ
)
しく
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へ
居
(
ゐ
)
るにぞ、
128
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
の
非常
(
ひじやう
)
に
効力
(
かうりよく
)
ありしことを
心中
(
しんちう
)
に
打喜
(
うちよろこ
)
び、
129
怪物
(
くわいぶつ
)
に
向
(
むか
)
つて、
130
秋山別
『オイお
爺
(
ぢ
)
イさま、
131
随分
(
ずいぶん
)
偉
(
えら
)
い
勢
(
いきほひ
)
で、
132
吾々
(
われわれ
)
を
威喝
(
ゐかつ
)
したぢやないか。
133
そンな
事
(
こと
)
を
怖
(
こわ
)
がる
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
は
只
(
ただ
)
の
一人
(
ひとり
)
もないぞよ。
134
俺
(
おれ
)
の
怖
(
こわ
)
いと
云
(
い
)
ふのはそンな
化州
(
ばけしう
)
でも
何
(
なん
)
でもないワ』
135
怪物
『ワツハヽヽヽ、
136
それなら
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
何
(
なに
)
が
一番
(
いちばん
)
怖
(
こわ
)
いと
思
(
おも
)
ふか。
137
此
(
この
)
爺
(
おやぢ
)
は
恐
(
おそ
)
ろしくないか』
138
秋山別
『ヘン、
139
何
(
なに
)
が
恐
(
おそ
)
ろしいのだ。
140
夜
(
よる
)
になればそンな
偉相
(
えらさう
)
な
面
(
つら
)
をして
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るが、
141
お
日様
(
ひさま
)
がお
出
(
で
)
ましになると、
142
すぐに
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
ふ
代物
(
しろもの
)
が
恐
(
おそ
)
ろしくて、
143
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
生
(
い
)
きて
行
(
い
)
けるかい。
144
コリヤ
此
(
この
)
方
(
はう
)
は
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
り、
145
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
へ
往
(
ゆ
)
き、
146
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
まで
探険
(
たんけん
)
して、
147
実地
(
じつち
)
修養
(
しうやう
)
を
経
(
へ
)
た
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だぞ。
148
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
が
怖
(
こわ
)
くて
堪
(
たま
)
らうかい』
149
怪物
『そンなら、
150
一
(
ひと
)
つ
怖
(
こわ
)
い
者
(
もの
)
があると
云
(
い
)
つたのは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だい。
151
俺
(
おれ
)
の
怖
(
こわ
)
いと
云
(
い
)
ふのは
誠
(
まこと
)
と
云
(
い
)
ふ
一字
(
いちじ
)
許
(
ばか
)
りだ』
152
とウツカリ
怪物
(
くわいぶつ
)
は
口
(
くち
)
を
辷
(
すべ
)
らしたるを、
153
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
いて、
154
秋山別
『ハヽー
此奴
(
こいつ
)
、
155
誠
(
まこと
)
が
怖
(
こわ
)
いと
云
(
い
)
ひよつたなア。
156
大方
(
おほかた
)
言霊
(
ことたま
)
に
恐
(
おそ
)
れてゐるのだらう。
157
ヨシ、
158
之
(
これ
)
からグヅグヅ
吐
(
ぬか
)
しよつたら、
159
言霊
(
ことたま
)
を
連発
(
れんぱつ
)
してやるのだナア』
160
と
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で
決定
(
きめ
)
て
了
(
しま
)
つた。
161
秋山別
『オイ
爺
(
ぢぢ
)
、
162
モウしめたものだ。
163
貴様
(
きさま
)
は
誠
(
まこと
)
が
一番
(
いちばん
)
怖
(
こわ
)
いと
云
(
い
)
ひよつた。
164
誠生粋
(
まこときつすゐ
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
言霊
(
ことたま
)
をこれから
発射
(
はつしや
)
してやるから、
165
其
(
その
)
積
(
つも
)
りで
居
(
を
)
れ。
166
ナヽヽ
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
しても、
167
此
(
この
)
言霊
(
ことたま
)
は
俺
(
おれ
)
の
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
るのだから、
168
貴様
(
きさま
)
の
力
(
ちから
)
でとめる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
こまい、
169
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
さぬと、
170
ニヽヽ
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
も
行
(
い
)
かさぬ
様
(
やう
)
に、
171
秋山別
(
あきやまわけ
)
がここで
封
(
ふう
)
じて
了
(
しま
)
つてやるぞ』
172
怪物
『ヌヽヽ
吐
(
ぬか
)
すな
吐
(
ぬか
)
すな。
173
強盗
(
ぬすびと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとは
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
事
(
こと
)
だぞ。
174
主人
(
しゆじん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
さうと
致
(
いた
)
した
痴者
(
しれもの
)
奴
(
め
)
、
175
ネヽヽ
佞
(
ねぢ
)
け
曲
(
まが
)
つた
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
言霊
(
ことたま
)
が、
176
此
(
この
)
方
(
はう
)
に
対
(
たい
)
して
応用
(
おうよう
)
が
出来
(
でき
)
て
堪
(
たま
)
るものかい、
177
ノヽヽ
野天狗
(
のてんぐ
)
、
178
野狸
(
のだぬき
)
、
179
野狐
(
のぎつね
)
の
様
(
やう
)
な
厄雑神
(
やくざがみ
)
の
容物
(
いれもの
)
となり、
180
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
するのなンのと、
181
ハヽヽ
腹
(
はら
)
が
撚
(
よ
)
れるワイ、
182
余
(
あま
)
り
可笑
(
をか
)
しうてのウ。
183
ヒヽヽ
姫
(
ひめ
)
の
後
(
あと
)
を
野良犬
(
のらいぬ
)
の
様
(
やう
)
に
嗅
(
か
)
ぎまはる、
184
フヽヽ
不束者
(
ふつつかもの
)
奴
(
め
)
が、
185
ヘヽヽ
屁
(
へ
)
でも
喰
(
くら
)
つたがよからうぞ、
186
ホヽヽ
呆
(
はう
)
け
野郎
(
やらう
)
奴
(
め
)
、
187
マヽヽ
誠
(
まこと
)
が
怖
(
こわ
)
いと
申
(
もう
)
せば
直
(
すぐ
)
に
附
(
つ
)
け
上
(
あが
)
り、
188
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
してやらうなどと、
189
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で
北叟笑
(
ほくそゑ
)
みを
致
(
いた
)
して
居
(
ゐ
)
るぞよ。
190
この
方
(
はう
)
は
余
(
あま
)
りの
可笑
(
をか
)
しさに、
191
ミヽヽ
見
(
み
)
つともない、
192
其
(
その
)
面付
(
つらつき
)
で
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
し、
193
恋
(
こひ
)
の
鮒
(
ふな
)
のと、
194
ソリヤ
何
(
なん
)
のたわ
事
(
ごと
)
。
195
ムヽヽ
昔
(
むかし
)
から
無理
(
むり
)
往生
(
わうじやう
)
の
恋
(
こひ
)
が
遂
(
と
)
げられた
例
(
ため
)
しはないぞ。
196
メヽヽ
盲
(
めくら
)
滅法界
(
めつぽふかい
)
に、
197
モヽヽ
盲目
(
まうもく
)
的
(
てき
)
に、
198
ヤヽヽやり
切
(
き
)
らうと
思
(
おも
)
うても、
199
イヽイ
行
(
い
)
きは
致
(
いた
)
さぬぞよ。
200
ユヽヽ
幽冥界
(
いうめいかい
)
へ
落
(
おと
)
されて、
201
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
み、
202
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
に
乗
(
の
)
せられ、
203
エヽヽえぐい、
204
熱
(
あつ
)
い
苦
(
くるし
)
みに
会
(
あ
)
ひ、
205
ヨヽヽヨウもヨウも
幽界
(
いうかい
)
の
探険
(
たんけん
)
をして
来
(
き
)
たなどと、
206
口幅
(
くちはば
)
の
広
(
ひろ
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はれたものだ、
207
ラヽヽらつちもない、
208
リヽヽ
悋気
(
りんき
)
喧嘩
(
げんくわ
)
を
致
(
いた
)
したり、
209
ルヽヽ
坩堝
(
るつぼ
)
の
様
(
やう
)
な
黒
(
くろ
)
い
洒
(
しや
)
つ
面
(
つら
)
をして、
210
レヽヽ
恋愛
(
れんあい
)
の
恋慕
(
れんぼ
)
のと、
211
ソリヤ
何
(
なに
)
を
吐
(
ほざ
)
くのだい、
212
ロヽヽ
碌
(
ろく
)
でなし
奴
(
め
)
。
213
ワヽヽ
吾
(
わ
)
れの
身分
(
みぶん
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ。
214
ヰヽヽいたづら
小僧
(
こぞう
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
215
ウヽヽ
囈言
(
うさごと
)
のような
恋
(
こひ
)
を
語
(
かた
)
り、
216
ヱヽヽ
縁
(
えん
)
があるの、
217
ないのと、
218
ヲヽヽ
可笑
(
おか
)
しいワイ。
219
貴様
(
きさま
)
の
怖
(
こわ
)
いのは
大方
(
おほかた
)
女
(
をんな
)
だらう。
220
女
(
をんな
)
の
為
(
ため
)
に、
221
シーズン
河
(
がは
)
へ
投込
(
なげこ
)
まれ、
222
有
(
あ
)
るに
有
(
あ
)
られぬ
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
し、
223
地獄
(
ぢごく
)
の
八丁目
(
はつちやうめ
)
迄
(
まで
)
落
(
おと
)
されて
来
(
き
)
よつたのだから、
224
女
(
をんな
)
にはコリコリ
致
(
いた
)
したと
見
(
み
)
えて、
225
元気
(
げんき
)
のない
其
(
その
)
面付
(
つらつき
)
は
何
(
なん
)
だい』
226
秋山別
『ヨシ
待
(
ま
)
て、
227
糞爺
(
くそぢぢ
)
、
228
今
(
いま
)
に
秋山別
(
あきやまわけ
)
が
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
、
229
円満
(
ゑんまん
)
清朗
(
せいらう
)
なる
生言霊
(
いくことたま
)
の
弾丸
(
だんぐわん
)
を
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
面体
(
めんてい
)
に
向
(
むか
)
つて
乱射
(
らんしや
)
してやるから
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ。
230
コリヤ
取
(
と
)
つときの
言霊
(
ことたま
)
だぞ。
231
最前
(
さいぜん
)
のは
鉛
(
なまり
)
の
玉
(
たま
)
だつたが、
232
今度
(
こんど
)
は
銀
(
ぎん
)
の
玉
(
たま
)
と
金
(
きん
)
の
玉
(
たま
)
だ。
233
化物
(
ばけもの
)
に
向
(
むか
)
つて
金
(
きん
)
の
玉
(
たま
)
を
発射
(
はつしや
)
すれば、
234
化者
(
ばけもの
)
は
滅亡
(
めつぼう
)
するのは
昔
(
むかし
)
から
定
(
き
)
まつてゐる。
235
サア
良
(
い
)
いか』
236
怪物
『アハヽヽヽ、
237
睾玉
(
きんたま
)
を
発射
(
はつしや
)
するのも
面白
(
おもしろ
)
からう。
238
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
最早
(
もはや
)
女
(
をんな
)
に
絶縁
(
ぜつえん
)
し
来
(
き
)
た
以上
(
いじやう
)
は、
239
睾玉
(
きんたま
)
は
不必要
(
ふひつえう
)
だ。
240
サア
何
(
なん
)
ぼなと
発射
(
はつしや
)
せい。
241
受取
(
うけと
)
つてやらう。
242
併
(
しかし
)
乍
(
なが
)
ら
只
(
ただ
)
の
二
(
ふた
)
つより
有
(
あ
)
ろまい。
243
其
(
その
)
代
(
かは
)
り、
244
其
(
その
)
二
(
ふた
)
つを
発射
(
はつしや
)
したが
最後
(
さいご
)
、
245
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
勇気
(
ゆうき
)
はなくなり、
246
言霊戦
(
ことたません
)
はモウ
駄目
(
だめ
)
だぞ』
247
秋山別
『
馬鹿
(
ばか
)
だなア。
248
そんな
睾
(
きん
)
の
玉
(
たま
)
とは
違
(
ちが
)
うのだ。
249
一言
(
いちげん
)
天地
(
てんち
)
を
震憾
(
しんかん
)
し、
250
一声
(
いつせい
)
よく
風雨
(
ふうう
)
雷霆
(
らいてい
)
を
叱咤
(
しつた
)
する
黄金
(
わうごん
)
の
言霊
(
ことたま
)
だ』
251
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
252
秋山別
『
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
』
253
と
四五回
(
しごくわい
)
も
繰返
(
くりかへ
)
せば、
254
流石
(
さすが
)
の
怪物
(
くわいぶつ
)
も
追々
(
おひおひ
)
其
(
その
)
容積
(
ようせき
)
を
減
(
げん
)
じ、
255
遂
(
つひ
)
には
二三尺
(
にさんじやく
)
の
童子
(
どうじ
)
の
姿
(
すがた
)
となり、
256
小
(
ちい
)
さき
声
(
こゑ
)
にて、
257
童子(怪物)
『コリヤ
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
258
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
俺
(
おれ
)
の
一番
(
いちばん
)
怖
(
こわ
)
がる
誠
(
まこと
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
して
攻
(
せ
)
めよつたな。
259
ヨシ
此
(
この
)
方
(
はう
)
にも
考
(
かんが
)
へがある。
260
今日
(
けふ
)
はこれで
別
(
わか
)
れてやるが、
261
明晩
(
みやうばん
)
キツと
仇
(
かたき
)
を
打
(
う
)
つてやるから
其
(
その
)
積
(
つも
)
りで
居
(
を
)
れ。
262
ウーーツ』
263
と
唸
(
うな
)
りを
立
(
た
)
ててパツと
其
(
その
)
儘
(
まま
)
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
264
(
大正一一・八・二〇
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