霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第八章 巡拝(じゆんぱい)〔一三四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻 篇:第2篇 文明盲者 よみ(新仮名遣い):ぶんめいもうじゃ
章:第8章 巡拝 よみ(新仮名遣い):じゅんぱい 通し章番号:1344
口述日:1923(大正12)年01月29日(旧12月13日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年1月28日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
イクとサールは大広前の神殿を拝礼し終わり、蠑螈別、魔我彦、お寅などの旧跡を巡っては歌を四で回った。そして木花姫神、金勝要神、玉依姫を祀った祠を廻り、それぞれ述懐の歌を歌った。
日の大神、月の大神、そして最上段の国常立尊の祠の前に参拝した。二人は拝礼を終ると、互いにからかい合いながら、枝ぶりのよい松の七八本かたまった下に、あまり広からず狭からざる瀟洒な館が立っている。それが松姫の館であった。
二人は館の前にやってくると、さすがに恥ずかしくなり、互いに先に初稚姫のところへ行けと押し合いを始めた。スマートは二人を認めると、喜んで走ってきて二人にじゃれついた。
イクとサールは軽口を叩き合いながら思い切って門口に立ち寄り、恐そうに中を眺めた。初稚姫と松姫は、何事かにこにこと話の最中である。サールはガラリと戸を開け、松姫に挨拶した。松姫は二人を仲に招いた。二人は、初稚姫にびくびくしながら中に入る。
初稚姫は二人を見ると、言葉静かに話しかけた。二人は頭をかき、もじもじとして土間にしゃがんでしまった。初稚姫に促されて、イクは思い切って、自分たちはどうしても初稚姫のお供をしたいと申し出た。
初稚姫は山口の森で起こったことを二人に問いかけ、二人が水晶玉だと思っていたのは、夜光の玉といって筑紫の島から現れたダイヤモンドだと明かした。そして、いったん妖魅の手に入ったからには、玉は汚れているから清めなければならないと忠告した。
そして、イクが玉に執着していることを看破して諭し、この玉は自分が日の出神に祈願して、二人の熱心に応じて神様から授けられたことを明かした。二人の身魂が一つになった証拠であり、一人が独占すべきないことを二人に諭した。
この宝は世界救世のための御神宝でもあり、人間が私すべきものでないこと、大切に保存して、祠の森に帰って玉を保持すべきことを説いた。しかしサールは、それなればこの神宝を返上するから、どうかお供させてくれ、と熱誠を面に表し涙を流して頼み込んだ。
初稚姫は、単独での神業遂行が自分への神命であることを歌に詠んで二人に諭した。松姫は互いの仲裁をなし、二人に初稚姫の言葉を聞くように促し、時間をおいて省みるように諭した。二人は自分たちの思いを歌に伝え、しばらく時間をおいて身の振り方を考えることにした。
イクとサールはどうしても初稚姫がお供を許してくれないので、進退窮まり涙に暮れていた。初稚姫は松姫に別れを告げ、いちはやく小北山を発って征途に上った。
イクとサールは初稚姫が先に発ったことを知らずに一夜を明かした。そして文助が危篤と聞いて、夜中ごろに館を飛び出し、河鹿川に降って水垢離を取り、その回復を祈った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-11-18 20:32:57 OBC :rm5208
愛善世界社版:107頁 八幡書店版:第9輯 418頁 修補版: 校定版:112頁 普及版:48頁 初版: ページ備考:
001 イク、002サールの二人(ふたり)は、003大広前(おほひろまへ)神殿(しんでん)拝礼(はいれい)しをはり、004蠑螈別(いもりわけ)(こも)りしと()(やかた)(まへ)()つて、
005サール『蠑螈別(いもりわけ)(とら)()さまの古戦場(こせんぢやう)
006()るにつけても可笑(をか)しくなりぬ』
007イク『この(やかた)土瓶(どびん)(をど)徳利(とくり)()
008(さかづき)われし古戦場(こせんぢやう)なり』
009サール『魔我彦(まがひこ)やお(とら)()さまが改心(かいしん)
010なしたる場所(ばしよ)(この)(やかた)なり』
011イク『()ひドレの熊公(くまこう)さまが飛込(とびこ)んで
012(おど)文句(もんく)(かね)(せん)(りやう)占領(せんりやう))。
013一段(いちだん)(たか)(きづ)ける段梯子(だんばしご)
014(のぼ)りて()くも(ひめ)(たづ)ねて』
015 二人(ふたり)木花姫(このはなひめ)(まつ)りたる(ちひ)さき(ほこら)参拝(さんぱい)拝礼(はいれい)(をは)り、
016イク『木花姫(このはなひめ)(かみ)(めぐみ)()のあたり
017(ひら)()めにき木々(きぎ)(こずゑ)に』
018サール『()(はな)(ひめ)(みこと)(おん)(まへ)
019その鼻高(はなたか)をさらすイクなり。
020天教(てんけう)(やま)より(くだ)りし皇神(すめかみ)
021わが馬鹿面(ばかづら)(わら)ひますらむ。
022イクの(やつ)(たぬき)(まが)(つま)まれて
023(はぢ)()らずに大前(おほまへ)()つ』
024 ()(うた)ひ、025今度(こんど)金勝要(きんかつかねの)(かみ)(ほこら)(まへ)(すす)拝礼(はいれい)(をは)り、
026イク『(えん)(むす)(かしこ)(かみ)()きしより
027ゐたたまらずして(まう)()にけり』
028サール『(その)(つら)何程(なにほど)(かみ)(をが)むとも
029(つま)となるべき(ひと)のあるべき』
030イク『吾輩(わがはい)(かほ)(なが)めて(わら)ふより
031一寸(ちよつと)()()水鏡(みづかがみ)をば』
032サール『顔容(かほかたち)姿(すがた)(つま)出来(でき)ようか
033(たま)(うるは)しき(ひと)でなくては。
034(この)(やう)()えても(おれ)はをちこちの
035(をんな)にチヤホヤされる曲者(くせもの)
036イク『(その)(やう)慢心(まんしん)ばかりするでないよ
037乙女(をとめ)馬鹿(ばか)にされた()ながら。
038(かね)(かみ)(うづ)御前(みまへ)にこんな(こと)
039(さへづ)(やつ)鰥鳥(やもめどり)かも。
040さア()かう大神(おほかみ)(さま)(はづ)かしい
041(をんな)なんぞと()(つら)でなし
042 アハハハハハ』
043(わら)ひながら玉依姫(たまよりひめ)竜宮(りうぐう)乙女(おとひめ)(さま)(まつ)つたる(ほこら)(まへ)(すす)みよつた。
044イク『いろいろの(たから)をためて(うみ)(そこ)
045(かく)(たま)ひし(よく)(かみ)(さま)
046サール『馬鹿(ばか)()ふな乙姫(おとひめ)(さま)(いま)(はや)
047物質欲(ぶつしつよく)(はな)れた(かみ)よ』
048イク『これはしたり失礼(しつれい)(こと)()ひました
049聞直(ききなほ)しませ乙姫(おとひめ)(かみ)
050サール『(かみ)(さま)(たから)(もつ)人々(ひとびと)
051(あた)(たま)へどお(まへ)には列外(れつぐわい)
052イク『列外(れつぐわい)(また)案外(あんぐわい)()らねども
053(たから)なくては()()つを()ず』
054サール『物質(ぶつしつ)(たから)(もと)めて(なん)になる
055()ちぬ(たから)(みたま)につめよ』
056イク『馬鹿(ばか)()ふな水晶玉(すいしやうだま)物質(ぶつしつ)
057されど暗夜(やみよ)()らしましける。
058(かね)なくて(なん)のおのれが人間(にんげん)かと
059()人々(ひとびと)相手(あひて)にもせず。
060それ(ゆゑ)(おれ)金銀(きんぎん)財宝(ざいほう)
061むげには()てぬ冥加者(みやうがもの)ぞや』
062サール『イクの(やつ)イク()()らぬ証拠(しようこ)には
063宝々(たからたから)(あこが)れゐるも。
064(かみ)(さま)何程(なにほど)(たから)あるとても
065貧乏面(びんぼふづら)にくれるものかは。
066サア()かう()(しやう)(ぐわつ)をするよりも
067(たから)(わす)れて(たから)(ひろ)ひに。
068(おれ)()(たから)といふは金銀(きんぎん)
069水晶(すいしやう)でない(をしへ)(たから)よ』
070 かく(うた)(をは)つて、071今度(こんど)中段(ちうだん)(みや)(まへ)(すす)んだ。072此処(ここ)には()大神(おほかみ)(ほこら)()つてゐる。
073イク『伊弉諾(いざなぎ)(すめ)大神(おほかみ)(まつ)りたる
074この御舎(みあらか)(こと)(うるは)し』
075サール『(その)(はず)だつくしの日向(ひむか)立花(たちばな)
076(みそ)(たま)ひし(かみ)()しませば』
077イク『許々多久(ここたく)(つみ)(けが)れに(おぼ)れたる
078(みたま)(あら)(かみ)御前(みまへ)に』
079サール『曲神(まがかみ)(たばか)られたる(おろか)さを
080(ゆる)(たま)へと()びよイク(こう)
081イク『かもてなや(あたま)()たりよが()たりよまいが
082(まへ)()つた(こと)でなければ』
083サール『道伴(みちづ)れの一人(ひとり)(たぬき)(たた)かれて
084吠面(ほえづら)かわくを()るつらさかな。
085天教(てんけう)(やま)天降(あも)りし()(かみ)
086(みや)殊更(ことさら)(たか)くおはせり』
087 (また)此処(ここ)()つて、088今度(こんど)(つき)大神(おほかみ)(まつ)りたる(ほこら)(まへ)(すす)んだ。
089イク『素盞嗚(すさのを)(かみ)御霊(みたま)(まつ)りたる
090(やしろ)(まへ)(つき)大神(おほかみ)
091サール『古狸(ふるだぬき)(ふくろ)(やつ)馬鹿(ばか)にされ
092乙女(をとめ)にまでも(わら)はれにけり。
093さながらに愛想(あいさう)(つき)大神(おほかみ)
094貴様(きさま)(つら)(わら)(たま)はむ』
095イク『馬鹿(ばか)()ふな善言(ぜんげん)美詞(びし)(かみ)(さま)
096(かなら)ずよきに見直(みなほ)しまさむを』
097サール『(この)(をとこ)世界(せかい)(まれ)馬鹿(ばか)なれば
098(まも)らせ(たま)(つき)大神(おほかみ)
099イク『サールこそ馬鹿(ばか)証拠(しようこ)にや水晶(すいしやう)
100(たま)をばイクにせしめられける』
101サール『イクの(やつ)イク()がないと()つた(ゆゑ)
102(たま)()たせておいたばかりよ』
103イク『サア()かう(つき)(ひかり)()らされて
104(なん)とはなしに(はづ)かしき(よひ)
105 今度(こんど)最上段(さいじやうだん)国常立(くにとこたちの)(みこと)(ほこら)(まへ)参拝(さんぱい)した。
106イク『掛巻(かけまく)(かしこ)(かみ)(おん)(まへ)
107(まう)(きた)りし(われ)罪人(つみびと)
108さりながら()(あらた)めて大神(おほかみ)
109(みち)(つか)へしイク身魂(みたま)なり』
110サール『われこそは(すめ)大神(おほかみ)御恵(みめぐみ)
111(あづか)りました(ひつじ)サールの(かみ)
112イク『罰当(ばちあた)りサールのやうな(つら)をして
113(ひつじさる)とはよくもいはれた。
114(まへ)こそ世人(よびと)がサールの人真似(ひとまね)
115(あざけ)るとても仕方(しかた)あるまい』
116サール『三五(あななひ)(みち)にサール(もの)ありと()
117(この)神司(かむづかさ)()らぬ馬鹿者(ばかもの)
118イク『国所(くにどころ)(たち)のき(ひこ)(おほかみ)
119(ひと)()はれた馬鹿者(ばかもの)(たれ)
120 ()二人(ふたり)拝礼(はいれい)(をは)り、121()いで(たがひ)揶揄(からか)()ひながら、122枝振(えだぶ)りのよい(まつ)七八本(しちはちほん)かたまつた(した)に、123(あま)(ひろ)からず(せま)からざる瀟洒(せうしや)たる一棟(ひとむね)()つてゐる。124それが所謂(いはゆる)松姫(まつひめ)(やかた)であつた。
125イク『常磐木(ときはぎ)(まつ)木蔭(こかげ)()てられし
126松姫館(まつひめやかた)をなつかしみ(おも)ふ』
127サール『(わが)(した)初稚姫(はつわかひめ)のいます(うへ)
128(ひと)しほ(こひ)しき(やかた)なりけり』
129イク『小北山(こぎたやま)(かなめ)となりし(この)(たち)
130(あふぎ)(ごと)くに()てられにける』
131サール『常磐木(ときはぎ)(まつ)(みどり)青々(あをあを)
132とめどもなしに()()てるかも』
133イク『初稚姫(はつわかひめ)(かみ)(つかさ)がますと()けば
134(むね)(とどろ)きて(すす)みかねつつ』
135サール『臆病風(おくびやうかぜ)(また)()(すさ)みイクの(やつ)
136イク()のなきを暴露(ばくろ)せりけり』
137イク『そんな(こと)()ふなら(おれ)(さき)()
138(ひと)(きも)をば()せてやらうかい』
139サール『面白(おもしろ)初稚姫(はつわかひめ)(まへ)()
140(しか)()ばされベソをかくだろ』
141イク『水晶(すいしやう)(たま)(いだ)きしわれなれば
142初稚姫(はつわかひめ)()(たま)ふべし。
143その(とき)(ゆび)をくはへてサールの(やつ)
144(うら)めしさうに()てゐるがよい』
145サール『(ひめ)(さま)()うたら(みんな)素破(すつぱ)ぬき
146一伍(いちぶ)一什(しじふ)(まを)()ぐべし。
147その(とき)(あか)(かほ)をばせぬがよい
148梟鳥(ふくろどり)にもなぶられる(やつ)よ』
149イク『イクらでも(ひと)悪口(わるくち)()ふがよい
150首吊(くびつ)りそこねし死損(しにぞこ)()が』
151サール『貴様(きさま)とて矢張(やはり)首吊(くびつ)仲間(なかま)ぞや
152()うして(ひめ)(かほ)があはせよう』
153 二人(ふたり)流石(さすが)(はづ)かしさに()へかね、154松姫(まつひめ)(やかた)四五間(しごけん)ばかり(そば)までやつて()て、155(たがひ)に「お(まへ)から(さき)()け」「イヤ貴様(きさま)から(さき)へ」と、156押合(おしあ)ひをやつてゐる。157スマートは二人(ふたり)(かげ)()るより、158(よろこ)んで(はし)(きた)り、159(むね)()びついたり、160背中(せなか)()きついたり、161(ほほ)をなめたり、162(いさ)()した。
163イク『ヤア、164スーちやんか、165()()()無事(ぶじ)でお目出度(めでた)う。166(やうや)此処(ここ)までお(あと)(した)つて(まゐ)りました。167何卒(どうぞ)(ひめ)(さま)(よろ)しうお()りなしを(ねが)ひますよ』
168サール『ハハハハハ馬鹿(ばか)だなア。169(この)(ごろ)衆議院(しうぎゐん)候補者(こうほしや)のやうに、170(いぬ)にまで追従(つゐしよう)してゐやがる、171(いぬ)がもの()ふかい』
172イク主人(しゆじん)威勢(ゐせい)があると、173(なん)だか(いぬ)(まで)(あたま)()がるやうな()になるものだ。174そこが人情(にんじやう)(しか)らしむる(ところ)だよ。175(むすめ)(よめ)にやつてある在所(ざいしよ)(はい)ると、176(その)(おや)野良犬(のらいぬ)にでも辞儀(じぎ)をするといふぢやないか。177貴様(きさま)(わけ)(わか)らぬ(やつ)だなア。178そんな(こと)今日(こんにち)虚偽(きよぎ)万能(ばんのう)()(なか)に、179どうして生存(せいぞん)(つづ)けられると(おも)うてるか、180時代遅(じだいおく)れの骨董品(こつとうひん)だなア』
181サール『ほつといてくれ、182何程(なにほど)(えら)さうに()つても、183(ひめ)(さま)(しか)られるかと(おも)つて、184ビリビリしとるやうな腰抜(こしぬけ)言葉(ことば)に、185()うして権威(けんゐ)があるものか、186マア、187(おれ)のすることを()てをれ、188エヘン』
189()ひながら、190(おも)()つて門口(かどぐち)立寄(たちよ)り、191(こは)さうに(なか)(なが)めた。192初稚姫(はつわかひめ)松姫(まつひめ)何事(なにごと)一生(いつしやう)懸命(けんめい)に、193ニコニコしながら(はなし)最中(さいちう)であつた。194サールがガラリと()()け、
195サール『へーご(めん)なさいませ。196松姫(まつひめ)(さま)197(はじ)めてお()にかかります。198(わたし)(ほこら)(もり)のサールと(まを)(もの)199一人(ひとり)従者(じゆうしや)はイクと(まを)します。200イヤもう意気地(いくぢ)のない野郎(やらう)(ござ)いますから、201何卒(どうぞ)可愛(かあい)がつてやつて(くだ)さいませ』
202松姫(まつひめ)『それは それは よくマアいらせられました。203サ、204どうぞお(あが)(くだ)さいませ』
205サール『スマートさまも()壮健(さうけん)で、206大慶(たいけい)至極(しごく)(ぞん)じます』
207初稚姫(はつわかひめ)()機嫌(きげん)()らうといふ(かんが)へか、208(しき)りに(いぬ)追従(つゐしよう)してゐる。209イクは不在(ふざい)(うち)盗人(ぬすびと)這入(はい)るやうな調子(てうし)で、210ビリビリもので、211足音(あしおと)もさせず這入(はい)つて()た。
212 初稚姫(はつわかひめ)二人(ふたり)()て、213言葉(ことば)(しづか)に、
214初稚姫貴方(あなた)はイクさま、215サールさま、216(かみ)(さま)へお(まゐ)りで(ござ)いますか』
217 二人(ふたり)は、
218イク、サール『へー、219あの、220(なん)です』
221(あたま)をかき、222モヂモヂとして土間(どま)(しやが)んで(しま)つた。
223初稚(はつわか)(わらは)(なん)御用(ごよう)(ござ)いましたのか、224何卒(どうぞ)(はや)仰有(おつしや)つて(くだ)さいな』
225 イクは(おも)()つて、
226イク『イヤ(じつ)(ところ)(ひめ)(さま)の、227何処(どこ)までもお(とも)をさして(いただ)かうと(おも)ひまして、228(あと)(した)(まゐ)つたので(ござ)います。229吾々(われわれ)両人(りやうにん)真心(まごころ)をお()()(くだ)さいまして、230是非(ぜひ)にお(とも)をさして(いただ)きたう(ござ)います』
231初稚姫貴方(あなた)232山口(やまぐち)(もり)(なに)(かは)つたことは(ござ)いませぬでしたか』
233イク『ハイ、234イヤもう面白(おもしろ)いこつて(ござ)いましたよ。235結構(けつこう)()神力(しんりき)(いただ)いて(おに)(やつ)236二匹(にひき)(まで)遁走(とんそう)させました。237それはそれは随分(ずいぶん)愉快(ゆくわい)なもので(ござ)いましたよ』
238初稚姫『それはお手柄(てがら)(ござ)いましたな。239そして貴方(あなた)240(なん)だか(かみ)(さま)から(いただ)いたでせう』
241イク『ハイ、242(いただ)きました』
243初稚姫無事(ぶじ)此処(ここ)まで、244貴方(あなた)守護(しゆご)して()ましたか。245途中(とちう)(ほか)(もの)()()るやうなことはありませなんだかな』
246イク『へ、247(この)(とほ)り、248此処(ここ)所持(しよぢ)して()ります。249(じつ)立派(りつぱ)水晶玉(すいしやうだま)(ござ)います』
250初稚姫『それは夜光(やくわう)(たま)()つて、251水晶(すいしやう)ではありませぬ。252筑紫(つくし)(しま)から(あら)はれた結構(けつこう)なダイヤモンドですよ』
253イク『へーエ、254さうで(ござ)いましたか、255(まこと)有難(ありがた)いこつて(ござ)いました』
256初稚姫貴方(あなた)257途中(とちう)妖怪(えうくわい)につままれ、258一旦(いつたん)ふんだくられるやうな、259不都合(ふつがふ)(こと)はなさいますまいな』
260サール『イヤもう(おそ)()りました。261(じつ)(ところ)は、262古狸(ふるだぬき)(たぶら)かされ、263()られて(しま)つたのですが、264千代(ちよ)さまのお(かげ)(ふたた)(もと)(かへ)つたのです』
265初稚姫(その)(たま)一旦(いつたん)曲神(まがかみ)()()つた(うへ)は、266大変(たいへん)(けが)れて()りますよ。267これは(いま)のうちに(みそぎ)をなさらぬと、268(やく)()たなくなりますからねえ』
269イク『塩水(しほみづ)(もら)つて(きよ)めませうかなア』
270初稚姫貴方(あなた)無形(むけい)(たましひ)をお(きよ)めになれば自然(しぜん)(たま)(きよ)まります。271そしてお(まへ)さまは(その)(たま)執着心(しふちやくしん)()つてゐるでせう。272なぜサールさまに(わた)さなかつたのですか。273一旦(いつたん)貴方(あなた)()()り、274妖魅(えうみ)()られたのだから、275貴方(あなた)(たま)(たい)して、276監督権(かんとくけん)自然(しぜん)放棄(はうき)したやうなものです。277今度(こんど)はサールさまに()たせておくが(よろ)しい。278(じつ)(ところ)(わらは)より()出神(でのかみ)(さま)にお(ねが)(まを)し、279貴方(あなた)(がた)熱心(ねつしん)(かん)じて、280二人(ふたり)(さま)(なか)一個(いつこ)をお(あた)(まを)したのですから、281(この)(たま)二人(ふたり)身魂(みたま)(ひと)つになつた証拠(しようこ)です。282(けつ)して一人(ひとり)独占(どくせん)すべき(もの)ではありませぬ。283(すなは)ちイクさまの(こころ)はサールさまの(こころ)284サールさまの(こころ)はイクさまの(こころ)285二人(ににん)一体(いつたい)となり、286神界(しんかい)(ため)活動(くわつどう)なさるやうに仕組(しぐ)まれてあるのです』
287サール『オイ、288イク(しう)289どうだ。290ヤツパリ(たから)独占(どくせん)(ゆる)されまいがな。291貴様(きさま)自分(じぶん)(もの)のやうにして、292(おれ)にも(ろく)()せず、293(ふところ)()()んで()よつたものだから、294神罰(しんばつ)(あた)つて、295(たぬき)野郎(やらう)一旦(いつたん)()られて(しま)つたのだよ』
296イク『モシ(ひめ)(さま)297さうすると(この)(たま)は、298これからサールに(わた)すべき(もの)(ござ)いますか』
299初稚姫(たれ)(もの)といふ(わけ)には(まゐ)りませぬ。300二人(ふたり)さまが交代(かたみ)保護(ほご)なさるれば(よろ)しい。301そして(この)(たから)世界(せかい)救済(きうさい)(ため)()神宝(しんぱう)で、302人間(にんげん)(わたくし)すべき(もの)ではありませぬ。303(しばら)拝借(はいしやく)してゐる(かんが)へになつて、304大切(たいせつ)保存(ほぞん)なさいませ。305そして(その)(たま)()()つた以上(いじやう)は、306(わらは)について()必要(ひつえう)はありませぬ。307(いち)()(はや)(ほこら)(もり)(かへ)つて(くだ)さい。308貴方(あなた)()親切(しんせつ)有難(ありがた)(ござ)いますが、309(わらは)(かみ)(さま)沢山(たくさん)(まも)つて(くだ)さいますから、310(けつ)して(さび)しい(こと)(ござ)いませぬからな』
311サール『それなら、312(この)(たま)貴方(あなた)()(かへ)(いた)します。313何卒(どうぞ)314どんな御用(ごよう)でも(いた)しますから、315そんな(こと)仰有(おつしや)らずに、316サール一人(ひとり)でも、317ハルナの(みやこ)までお(とも)(ゆる)して(くだ)さいませ。318モシ(この)(とほ)りで(ござ)います』
319熱誠(ねつせい)(おもて)にあらはして、320(なみだ)(なが)しながら(たの)()むのであつた。
321初稚姫(はつわかひめ)(よる)(ひか)(たから)(かみ)()(きみ)
322(ほこら)(もり)(かへ)()きませ。
323この(たま)()出神(でのかみ)(たま)ひてし
324暗夜(やみよ)()らす(うづ)御宝(みたから)
325曲神(まがかみ)のたけり(くる)へる(つき)(くに)
326かかる(たから)()()くべしやは。
327(なれ)こそは(この)御宝(みたから)(まも)るべく
328(はか)(たま)ひし(かみ)御心(みこころ)
329ハルナへは(とも)()()(こと)ならず
330(かみ)(きび)しき(おほ)せなりせば』
331イク『(ひめ)(さま)のその()言葉(ことば)には(そむ)かれず
332さりとて(この)(まま)(かへ)るべきやは』
333サール『いかならむ(おほ)()けさせ(たま)ふとも
334(ゆる)させ(たま)見直(みなほ)しまして』
335初稚姫(はつわかひめ)益良夫(ますらを)(こころ)(はな)(にほ)へども
336手折(たを)らむ(よし)もなきぞうたてき』
337イク『さりとても(この)(まま)これが(かへ)らりよか
338仮令(たとへ)()すとも(ひめ)(つか)へむ』
339サール『どうしても(ゆる)(たま)はぬ(こと)ならば
340われは此処(ここ)にて(はら)()るなり』
341松姫(まつひめ)姫君(ひめぎみ)(いづ)言葉(ことば)()かずして
342(まよ)へる(ひと)(あは)れなりけり。
343赤心(まごころ)(あふ)()でたる益良夫(ますらを)
344(こころ)はかりて(なみだ)こぼるる。
345さりながら(すめ)大神(おほかみ)御心(みこころ)
346(そむ)くべしやは宣伝使(せんでんし)のわれ』
347初稚姫(はつわかひめ)『イク、サール二人(ふたり)(つかさ)村肝(むらきも)
348(こころ)(しづ)めてかへりみませよ』
349イク『(いま)(しば)思案(しあん)(さだ)めていらへせむ
350(なに)()もあれ(たの)(まゐ)らす』
351サール『姫君(ひめぎみ)言葉(ことば)(そむ)くにあらねども
352弥猛心(やたけごころ)(おさ)ゆるすべなし
353さりながら(しば)彼方(かなた)(やす)らひて
354()振方(ふりかた)(むね)()ひみむ』
355 ()(うた)(もつ)(ひめ)(こた)へ、356蠑螈別(いもりわけ)357(とら)住居(ぢゆうきよ)せし(もと)教主館(けうしゆやかた)退(しりぞ)きて、358二人(ふたり)(ちや)(すす)りながら、359(うで)()み、360吐息(といき)をもらし、361進退(しんたい)(きは)まつて、362(なみだ)()れてゐた。363これより初稚姫(はつわかひめ)松姫(まつひめ)(わか)れを()げ、364二人(ふたり)(すき)(うかが)ひ、365スマートを(ともな)ひ、366逸早(いちはや)聖場(せいぢやう)()()で、367征途(せいと)(のぼ)ることとなつた。368イク、369サールの両人(りやうにん)は、370依然(いぜん)として初稚姫(はつわかひめ)松姫館(まつひめやかた)にいます(こと)確信(かくしん)し、371(きく)(さけ)(すす)められ一夜(いちや)()かした。372そして文助(ぶんすけ)危篤(きとく)()いて、373夜中頃(よなかごろ)(やかた)飛出(とびだ)し、374河鹿川(かじかがは)(くだ)つて水垢離(みづごり)()り、375一生(いつしやう)懸命(けんめい)(その)恢復(くわいふく)(いの)つた。
376大正一二・一・二九 旧一一・一二・一三 松村真澄録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki